午前二時、連絡先を開いては「迷惑だ」と閉じてしまう
配偶者は隣の部屋で眠っている。離れて暮らす子どもには、生活がうまくいっていないことを知られたくない。友人へ連絡するには時間が遅過ぎる。
昼間なら何とかやり過ごせたことが、夜になると出口のない問題に見えてきます。
借金、介護、夫婦関係、仕事、病気、死別。いくつものことが重なっていると、何が一番つらいのか自分でも分からなくなることがあります。
この時間に、人生の結論を出す必要はありません。
今決めるのは、明日からどう生きるかではなく、次の一時間を一人で安全に過ごせるかです。
最初に「今すぐ危険か」「一人では危ないか」「朝まで待てるか」を分けます
| 現在の状態 | 今夜の行動 |
|---|---|
| 自分を傷つける方法や場所を具体的に考えている、止められる自信がない | 一人にならず、危険な物から離れて119番へ連絡する |
| すでに自分を傷つけた、薬を処方量より多く飲んだ、意識や呼吸がおかしい | すぐ119番へ連絡する。薬の包装やお薬手帳があれば手元に置く |
| 「消えたい」という思いが繰り返し浮かぶが、今すぐ行動するつもりはない | 一人でいる時間を短くし、身近な人か相談窓口とつながる |
| 眠れず涙が出る、考えが止まらないが、自分の安全は保てる | 今夜は大きな判断を止め、体を落ち着かせる行動へ切り替える |
「自分は本当に死ぬつもりではない」と思っていても、酒を多く飲んでいる、薬が手元にある、強い焦りが続いている、一人で衝動を抑えられない場合は、危険を低く見積もらないでください。
119番では、うまく説明できなくても構いません。
「自分を傷つけそうで、一人では安全を保てません。今いる場所は〇〇です」
すでに何かをしてしまった場合は、隠さず、何をしたか、いつ頃か、意識があるかを伝えます。
自分を傷つける可能性があるときは、相談窓口につながるまで一人で耐えるのではなく、119番による緊急の助けを優先します。
「誰にも連絡できない」は、話す相手がいないとは限りません
連絡できない理由は、人によって違います。
迷惑をかけたくない。弱い人だと思われたくない。事情を一から説明する力が残っていない。以前相談したとき、「考え過ぎだ」と言われた。家族へ知られると責められる。
そのため、長い説明をしようとすると、誰にも連絡できなくなります。
今夜送る文面は、事情の説明ではなく、安全を確保するための一文で十分です。
「今夜、一人でいるのが少し危ない。説明は明日でいいから、十分だけ電話をつないでいてほしい」
「答えや助言はいらない。今、起きていると返事だけほしい」
「体調が悪くて一人では心細い。今夜だけ同じ部屋にいてほしい」
深夜に連絡することをためらう気持ちはあっても、命や身体の安全に関わる連絡は、翌朝まで隠す必要のない連絡です。
身近な人へ話せない夜は、名前や事情を全部説明しなくてよい窓口を使います
家族や知人へ連絡できない場合は、心が限界に近い人のための相談窓口があります。
#いのちSOSは、「死にたい」「消えたい」「生きることに疲れた」と感じている方のための無料相談です。
電話番号は0120 061 338です。電話で話すことが難しい場合は、公式サイトからチャットなどの利用方法を確認できます。
最初から悩みの経緯を説明する必要はありません。
「今すぐ何かをするつもりはありませんが、消えたい気持ちが強く、一人で朝まで過ごすのが怖いです」
「何を話せばよいか分かりません。今夜の安全を一緒に考えてほしいです」
このように、現在の危険と、今してほしいことを伝えます。
電話が混み合ってつながらないときは、「自分の悩みは相談するほどではない」と結論づけず、時間を置いてかけ直すか、厚生労働省の「まもろうよ こころ」でSNS・チャットを含む別の方法を探してください。
ただし、自分を傷つけそうな状態で相談窓口につながらない場合は、待ち続けず119番へ切り替えます。
一人の部屋で考え続けないために、場所を変えます
心が追い詰められている夜は、同じ部屋、同じ姿勢、同じ画面の中で考え続けるほど、選択肢が少なく見えることがあります。
安全に外へ出られる状態なら、明るく人のいる場所へ移ります。コンビニエンスストアの近く、集合住宅の共用部分、病院の救急外来など、完全に一人にならない場所です。
外出が危険な天候や体調なら、家の中でも寝室から居間へ移り、照明をつけ、玄関や電話に近い場所で過ごします。
自分を傷つけるために使いそうな物が近くにある場合は、触り続けず距離を取ってください。可能なら同居人へ預けるか、その部屋から離れます。
車の運転は避けます。考えがまとまらない、酒や薬の影響がある、強い焦りがある状態で一人で遠くへ移動することは、安全確保にならない場合があります。
落ち着き方は「元気になる方法」ではなく、危険な時間を短くする方法です
水を飲む、呼吸を整える、足の裏の感覚に意識を向ける。こうした方法だけで深い苦しみが解決するわけではありません。
目的は、苦しさを消すことではなく、衝動のまま行動するまでの時間を延ばすことです。
次の順番で、三分だけ行います。
- 両足を床へつけ、椅子や壁に体を預ける
- 常温の水を一口ずつ飲む
- 目に入る物を五つ、心の中で名前にする
- 「今夜決めないこと」を一つ口に出す
たとえば、次のように言います。
「退職するかは明日決める」
「家族へ全部話すかは、今夜決めない」
「この苦しさが一生続くかどうかは、今は判断しない」
三分後も危険な思いが強い場合は、同じ方法を繰り返すより、人または緊急の支援へつながる行動へ移ってください。
酒や薬で眠ろうとすると、今夜の安全を判断しにくくなります
早く意識をなくしたくて酒を飲む。処方された睡眠薬が効かないため、自分の判断で追加する。
その場では考えが鈍くなっても、飲酒によって気分の落ち込みや衝動が強まり、眠りが浅くなることがあります。
処方薬は医師から指示された量を超えて飲まず、別の薬や酒と自己判断で組み合わせないでください。
すでに多く飲んだ、何錠飲んだか分からない、強い眠気やふらつきがある場合は、無理に寝ようとせず119番へ連絡します。
薬の名前や量を正確に説明できなくても、包装、お薬手帳、残っている薬を救急隊へ見せられます。
朝になったら、悩みの原因より「続いている変化」を医療機関へ伝えます
一晩つらかったからといって、必ず心の病気だとは限りません。
ただし、次の変化が続いている場合は、気持ちの持ち方だけで片づけず、かかりつけ医、心療内科、精神科などへの受診を考えます。
- 眠れない、早朝に目が覚める状態が続く
- 食欲が落ち、体重や体力が減っている
- 仕事、家事、入浴、通院などができなくなった
- 以前楽しめたことに関心を持てない
- 酒や市販薬の量が増えている
- 「消えたい」「家族の負担だ」という考えを繰り返す
- 焦りや怒りが強く、じっとしていられない
心療内科や精神科へ直接行くことに抵抗がある場合は、普段通っている内科の医師へ話しても構いません。
「夜になると消えたい気持ちが出て、眠れない日が一週間続いています。昨夜は一人でいるのが危ないと感じました」
原因をきれいに説明するより、いつから、眠れているか、食べられているか、自分を傷つけたい思いがあるかを伝える方が、受診時の判断材料になります。
かかりつけ医がなく、どこへ行けばよいか分からない場合は、地域の保健所、保健センター、精神保健福祉センターでも、心の健康や受診先について相談できます。夜間や休日は、都道府県の精神科救急情報センター等を利用できる地域もあります。
家族から「消えたい」と言われたら、励ます前に危険を尋ねます
家族から突然、「もういなくなりたい」と言われると、聞いた側も動揺します。
「そんなことを言うな」「家族がいるでしょう」「明日になれば変わる」と説得したくなるかもしれません。
けれど、最初は善悪を判断せず、次のように聞いてください。
「今、自分を傷つけたい気持ちはある?」
「具体的にしようとしていることはある?」
「今、一人にしない方がいい状態?」
具体的な計画がある、危険な物を用意している、酒を大量に飲んでいる、本人が安全を約束できない場合は、一人にせず119番へ連絡します。
本人から「誰にも言わないで」と頼まれても、命に関わる危険を一人だけで抱える必要はありません。
差し迫った危険がない場合も、今夜は同じ部屋で過ごす、電話をつないだままにする、翌日の受診へ同行するなど、孤立する時間を減らします。
支える家族自身も、すべてを一人で判断しなくて構いません。本人の名前を出さずに、相談窓口へ接し方を聞くこともできます。
今夜は、電話番号を入力して発信ボタンの手前まで進みます
今から、心がつらくなった理由を全部書き出す必要はありません。
まず、自分へ一つだけ問いかけてください。
「次の一時間、一人で安全にいられるか」
答えが「分からない」「自信がない」なら、119番へ連絡するか、人のいる場所へ移ります。
今すぐの危険はないものの、一人で朝まで過ごすことが難しい場合は、身近な人へ短い一文を送るか、0120 061 338を電話画面へ入力してください。
発信するか迷うなら、番号を入力した状態で一度、水を飲みます。それでもつらさが変わらなければ、事情をうまく説明しようとせず、そのまま発信します。
今夜の目標は、元気になることでも、悩みを解決することでもありません。朝までの安全を、一人だけで守らなくてよい状態へ移すことです。
















