結婚の話は出るのに、お金の話だけができません
何度目かのデートで、相手から「結婚したら、どのあたりに住みたい?」と聞かれる。
子どもを望むか、仕事を続けたいか、休日をどう過ごしたいか。少しずつ将来の話が増えてきました。
けれど、年収の話になると口が止まります。
勤め先や仕事内容は聞いているものの、実際にどのくらいの収入があるのかは分かりません。
「年収はいくらですか」と聞けば、お金だけで相手を選んでいると思われそうです。
今までの雰囲気を壊したくない。自分の収入を聞き返されるのも少し怖い。それでも、結婚後の家賃や生活費、子ども、働き方を考えるには、何も知らないままでは進めません。
聞きたい気持ちは、相手を値踏みしたいからとは限りません。
二人の収入で暮らせるのか。転職や出産で一時的に収入が減っても支え合えるのか。借入れや家族への仕送りを含めて、どのような生活になるのか。
本当に知りたいのは、年収という数字より、二人で生活を作れる相手かどうかではないでしょうか。
年収を知りたい理由を、自分の中で一つ選びます
同じ「年収を聞きたい」でも、その奥にある心配は人によって違います。
| 本当に知りたいこと | 年収以外に聞きたいこと |
|---|---|
| 二人で生活費を払えるか | 結婚後も共働きを希望するか、生活費をどう分けたいか |
| 子どもを持てるか | 育児中の働き方、教育費への考え、休職への理解 |
| 住宅を購入できるか | 住みたい地域、借入れ、頭金、賃貸への考え |
| 仕事が安定しているか | 雇用形態、転職予定、収入の変動、働き続ける意思 |
| 自分だけが家計を背負わないか | 生活費の分担、家事・育児の分担、貯蓄への考え |
| 隠れた負担がないか | ローン、奨学金、養育費、親への仕送りなど |
理由が分からないまま金額だけ聞くと、望む年収を超えていたら安心し、下回っていたら迷うという単純な判断になりやすくなります。
先に「月々の生活が成り立つかを知りたい」「子どもができたときの働き方を考えたい」と、自分の目的を言葉にしてください。
初対面で聞く必要はありませんが、婚約後まで待つ必要もありません
知り合ってすぐの段階では、お互いに結婚相手として進むか分からず、詳しい収入を答えたくない人もいます。
一方で、婚約や同居を決めたあとまで避け続けると、生活設計に大きな違いが見つかっても戻りにくくなります。
| 関係の段階 | 話しやすい内容 | まだ急がなくてもよい内容 |
|---|---|---|
| 初対面・一、二回目 | 仕事内容、働く時間、休日、今後も仕事を続けたいか | 正確な年収、貯蓄額、資産の内訳 |
| 何度か会い、交際を考える時期 | 生活水準、共働きへの考え、お金の使い方 | 通帳残高や給与明細などの提示 |
| 結婚を前提に交際する時期 | 年収の目安、収入の変動、生活費の分担、借入れ | 必要性のない口座番号や詳細な金融情報 |
| 婚約・同居・入籍を決める前 | 正確な収入、貯蓄、負債、養育費、親への援助、家計案 | 相手の同意なく家族へ詳細を共有すること |
結婚を前提に交際したいと思ったときが、お金の話を始める一つの目安です。
「年収を聞く日」を設けるのではなく、住まいや働き方、生活費について話す流れの中で扱います。
相手へ尋ねる前に、自分がどこまで話せるかを決めます
相手の年収を知りたいのに、自分の収入は伏せたいとなると、質問された側は不公平に感じるかもしれません。
正確な数字を最初から開示できなくても、自分から同じ範囲を伝えます。
たとえば、次のように始められます。
「私は年収が四百万円前後で、月による変動はあまりありません。結婚後も仕事は続けたいと思っています。あなたは働き方や収入について、どんな見通しですか?」
年収を幅で伝えるなら、相手にも同程度の答えを求めます。
自分は百万円単位でしか答えず、相手には一円単位の正確さを求めるような聞き方は避けてください。
「年収はいくら?」より、結婚後の暮らしを主語にします
| 身構えられやすい聞き方 | 話を始めやすい聞き方 |
|---|---|
| 「年収はいくらですか?」 | 「結婚後の生活を考えたいので、お互いの収入の目安を話さない?」 |
| 「その仕事なら結構もらっていますよね」 | 「今の仕事は、収入が安定している方?月によって変わる?」 |
| 「私を養えますか?」 | 「結婚後も共働きにするか、生活費をどう分けるか話したい」 |
| 「貯金はいくらありますか?」 | 「二人とも、毎月貯蓄するタイプか使うタイプか知っておきたい」 |
| 「借金はないですよね?」 | 「私は奨学金があと二年あります。お互いに返済中のものがあれば共有したい」 |
| 「親への仕送りはしていませんよね?」 | 「結婚後も続く家族への援助や支払いは、お互いにある?」 |
相手を調べる口調ではなく、二人が同じ情報を出し合う話として始めます。
質問を一度に並べると面接のようになるため、最初は収入と働き方、次に生活費、別の日に借入れや家族への援助というように分けても構いません。
最初は正確な金額より、収入の幅と安定性を聞きます
会社員でも、基本給と賞与の割合によって毎月使える金額は変わります。
自営業、歩合給、契約社員、フリーランスなどでは、前年の年収だけで今後の収入を見通しにくいこともあります。
| 聞きたいこと | 会話例 |
|---|---|
| おおよその年収 | 「三百万円台、四百万円台という目安でも教えてもらえる?」 |
| 月の収入 | 「毎月の手取りは、だいたいどのくらいの幅になる?」 |
| 賞与への依存 | 「年収の中で、ボーナスが占める割合は大きい?」 |
| 収入の変動 | 「忙しい年と少ない年で、どのくらい差がある?」 |
| 今後の働き方 | 「転職や独立、働く時間を変える予定はある?」 |
| 働けない時期への考え | 「どちらかが病気や育児で休んだら、家計をどうしたい?」 |
高い年収を答えてもらっても、その大部分が不安定な賞与や一時的な売上なら、二人の家計では慎重に見た方がよい場合があります。
反対に、希望していた年収より低くても、支出が少なく、借入れがなく、二人で安定して働けるなら、具体的な生活が見えてくることもあります。
年収より先に、お金の価値観を知れる会話があります
収入の質問を切り出せない時期でも、普段の会話から金銭感覚を知ることはできます。
- 住まいにはどのくらいお金をかけたいか
- 外食と自炊のどちらが多いか
- 旅行や趣味へお金を使いたいか
- 車や住宅をローンで購入することをどう考えるか
- 毎月決まった額を貯蓄しているか
- 高額な買い物をするとき、誰かへ相談したいか
- 夫婦のお金を一緒にするか、別々にしたいか
婚活中の男女を対象にした一つの調査では、相手のお金事情について交際前に聞きづらいと答えた人が約九割に上り、気になる項目では年収より「お金の使い方の価値観」が上位でした。聞きにくいと感じること自体は珍しくありません。
ただし、価値観が合うという言葉だけで終わらせず、具体的な暮らしへ置き換えます。
「堅実な人がいい」ではなく、「毎月先に貯蓄して、残りで生活したい」など、行動が見える言葉で話してください。
結婚前に見るのは、収入・支出・負債・将来負担の四つです
| 見る項目 | 具体的に確かめたい内容 |
|---|---|
| 収入 | 年収、手取りの目安、賞与、変動、今後の働き方 |
| 支出 | 家賃、車、趣味、保険、日常的なお金の使い方 |
| 負債 | 住宅・自動車ローン、奨学金、カード、事業上の借入れ |
| 将来も続く負担 | 養育費、親への援助、家族の住居費、事業への資金 |
年収六百万円で借入れや固定費が大きい人と、年収四百万円で支出を管理できている人では、結婚後に使えるお金が同じとは限りません。
二〇二六年に行われた独身男女への調査でも、年収以外に結婚前に共有したい情報として、生活費の分担、借入れ・ローン、貯蓄、奨学金返済、親への援助などが挙げられています。年収だけでは生活設計を判断しにくいことがうかがえます。
借入れは「あるか」だけでなく、毎月いくら返しているかを聞きます
借入れがあること自体で、直ちに結婚相手として問題があるとは限りません。
住宅ローン、奨学金、事業資金など、理由や返済状況はさまざまです。
一方で、金額や返済の遅れを隠されていた場合は、二人の生活へ直接影響します。
| 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 借入れの種類 | 「住宅や車、奨学金など、返済中のものはある?」 |
| 残っている金額 | 「結婚生活に影響する額なら、残額の目安も共有したい」 |
| 毎月の返済額 | 「毎月いくらが返済に出ている?」 |
| 完済予定 | 「今の予定では、いつごろ払い終わる?」 |
| 返済の遅れ | 「これまで支払いが遅れたことはある?」 |
自分に奨学金やローンがある場合は、相手へ尋ねる前に同じ情報を伝えてください。
再婚の場合は、元配偶者や子どもに関する支払いを避けて通れません
再婚を考える相手に子どもがいる場合、養育費や教育費、面会に伴う支出が続くことがあります。
元配偶者との関係を細かく聞き出す必要はありませんが、結婚後の家計へ関わる部分は共有したいところです。
- 毎月支払っている養育費
- 支払いが続く見込みの期間
- 進学などで臨時の負担が生じる可能性
- 子どもとの面会や移動にかかる費用
- 相手の子どもと自分との生活をどう考えているか
自分にも子どもがいる場合は、同じ情報を先に伝えます。
「前の家族に使うお金」と責めるのではなく、結婚後も必要な支出として家計へ入れます。
親への仕送りや実家の負担も、収入からは見えません
相手が毎月親へ仕送りをしている。実家の住宅ローンや家賃を一部負担している。今後、親の介護費を出す可能性がある。
こうした事情は、年収だけを聞いても分かりません。
次のように尋ねられます。
「結婚後も続けたい家族への援助や、今後必要になりそうな支払いはある?」
親を大切にすることを否定する質問ではありません。
金額、期間、夫婦の家計からどこまで負担するかを、結婚前に考えるための会話です。
一緒に架空の家計を作ると、質問が尋問になりにくくなります
収入を聞くだけでは話しにくい場合、結婚後の一か月を仮に作ります。
| 項目 | 二人で決めること |
|---|---|
| 住居費 | 住みたい地域、家賃の上限、負担割合 |
| 食費・日用品 | 共同口座に入れるか、担当を分けるか |
| 光熱・通信 | 固定費として誰が管理するか |
| 貯蓄 | 毎月先にいくら残すか |
| 個人の支出 | 趣味や交際費をどこまで自由にするか |
| 将来費用 | 住宅、出産・育児、老後、親への援助 |
「家賃十二万円の家に住むなら、二人でどう分ける?」と話せば、相手の年収だけでなく、負担の考え方が見えてきます。
完全な家計簿を作る必要はありません。
二人の希望する生活が、現在の収入で無理なく続くかを見るための仮計算です。
相手がすぐ答えられないことと、隠し続けることは分けます
年収を尋ねたとき、相手が戸惑ったからといって、すぐ何かを隠しているとは限りません。
お金の話を家庭でしてこなかった人や、過去に収入で評価された経験がある人は、慎重になることがあります。
| 相手の反応 | 考えられる対応 |
|---|---|
| 「少し考えてから話したい」 | 話す日を改めて決め、急かさない |
| 年収の幅は答える | 関係が進んだ段階で、より具体的に共有する |
| 自分の情報も聞きたいと言う | 同じ範囲を互いに開示する |
| 一度は話をそらす | 質問の目的を説明し、別の日に尋ねる |
| 何度聞いても怒る・責める | 金額より、お金の話し合いができないことを問題として見る |
| 話すたびに金額や仕事内容が変わる | 関係を急いで進めず、一貫しない理由を聞く |
一回のためらいと、結婚を具体的に話しながら情報を隠し続けることは同じではありません。
「教えないなら別れる」と迫る前に、なぜ知りたいのかを説明します。
それでも話し合い自体を拒まれるなら、年収が高いか低いかではなく、共同生活に必要な情報を共有できる相手かを考えてください。
プロフィールと話が違うときは、責める前に数字の範囲を確かめます
プロフィールには年収五百万円と書かれていたのに、会話では月の手取りが想像より少ないことがあります。
年収に賞与や副業収入が含まれている、前年だけ収入が多かった、転職して現在の収入が変わったなど、説明できる理由もあります。
次のように事実を聞きます。
「プロフィールには五百万円とあったけれど、今の仕事でも同じくらいの見込み?前年の金額なのかな」
訂正が必要な情報なら、なぜ修正していなかったのかも聞いてください。
説明が不自然、毎回答えが変わる、確認しようとすると威圧される場合は、入籍、同居、高額な契約などを急がない方がよいでしょう。
収入証明を求めるなら、自分も同じ条件にします
結婚相談所などでは、サービスによって収入に関する提出書類やプロフィールの確認方法が異なります。
何が確認済みなのか分からない場合は、相手を問い詰める前に運営者や担当者へ確認できる範囲を尋ねます。
個人間で給与関係の書類を見せ合う場合も、結婚を現実的に進める段階になってから、双方の同意で行います。
- 一方だけへ提出を求めない
- 住所、勤務先番号、個人番号など不要な情報は隠す
- 画像データを無断で保存・転送しない
- 確認した内容を家族や友人へ勝手に共有しない
- 口座番号や暗証番号まで見せない
知り合って間もない段階で、通帳全体や本人確認書類の画像まで送る必要はありません。
年収を確かめることと、個人情報をすべて渡すことは分けて考えてください。
希望より年収が低かったときは、すぐ合否を出さず生活へ置き換えます
相手の年収が、自分の希望より低いこともあります。
そのときは、希望額を下回った事実と、結婚生活が難しいかどうかを分けます。
- 二人とも現在の仕事を続ける予定か
- 希望する地域の住居費はいくらか
- 子どもを望むか
- どちらかが休職する可能性はあるか
- 借入れや家族への援助はあるか
- 生活水準をどこまで調整できるか
- 収入を増やすための現実的な見通しがあるか
計算した結果、希望する暮らしが難しいなら、無理に条件を下げる必要はありません。
ただし、「年収五百万円未満だから不安」という曖昧なままではなく、「出産後に一人の収入でも家賃と生活費を払えることが必要」など、自分の譲れない理由を明確にします。
年収が高くても、安心できる結婚生活とは限りません
年収が高いと分かった瞬間に、お金の話を終わらせないようにします。
| 年収以外に見たいこと | 気になる場面 |
|---|---|
| 支出の管理 | 収入が増えるほど使い切る |
| 借入れ | 複数のローンや返済を曖昧にする |
| 話し合う姿勢 | 家計について尋ねると怒る |
| 相手への金銭要求 | 交際中から支払い、貸付け、立替えを求める |
| 家事・育児への考え | 高収入を理由に、家庭の負担をすべて任せようとする |
| 将来の安定性 | 現在の収入を長期間維持できる前提で話す |
収入の多さは一つの判断材料ですが、お金について誠実に話し合えることとは別です。
聞き返されたときに、自分が恥ずかしくならない準備もします
相手へ年収を尋ねれば、「あなたはどのくらい?」と聞かれる可能性があります。
自分の収入が低い、非正規雇用である、休職中である、転職を考えているなど、言いにくい事情があるかもしれません。
隠すのではなく、現状と今後を分けて伝えます。
「今は年収三百万円ほどです。結婚後も続けたい仕事ですが、出産後の働き方はまだ決めていません」
「昨年は休職したため収入が少なかったですが、現在は復職しています」
収入への自信がなくても、支出管理、貯蓄、働き方への考えを伝えられます。
年収を聞く会話は、相手の条件を調べる場ではなく、自分の現実も見せる場です。
今日することは、メッセージで突然年収を尋ねることではありません
まず紙へ、次の四行を書いてください。
- 相手の年収を知りたい理由:
- 自分が伝えられる収入の範囲:
- 年収以外に共有したいこと:
- 話を切り出す予定の場面:
次に、伝える一文を作ります。
「結婚後の住まいや働き方を現実的に考えたいので、次に会ったとき、お互いの収入と生活費について話したいです」
この一文なら、今すぐ数字を送るよう迫らず、相手にも準備する時間を渡せます。
年収を聞くことは、相手をお金だけで判断することではありません。
年収だけを聞き、暮らし方や負担を話さないときに、数字だけの判断になりやすくなります。
二人の生活を考える段階なら、お金の話を避け続けるより、自分の情報も出しながら丁寧に尋ねる方が誠実です。
今日は年収額を聞き出そうとせず、「なぜ知りたいのか」を一文にするところから始めてください。
出典・確認先メモ
- 松井証券「婚活とお金事情に関する実態調査」:婚活中の男女がお金の話を聞きづらいと感じる割合、年収と金銭感覚への意識を確認。
- オーネット「独身男女の結婚と家計に関する意識調査」:結婚前に共有したい生活費の分担、借入れ、貯蓄、奨学金、親への援助などを確認。
- 各調査は対象者や調査方法が限定された民間調査です。数字を婚活中のすべての人へ当てはめず、お金について話す際の一つの参考として扱ってください。
















