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健康・見た目

親の食欲が落ちて心配なとき|食べさせる前に見る変化と受診の目安

2026.07.27 更新 なやみ晴れ編集部
#健康・見た目#心の整理
この記事の結論

親の食欲が落ちたときは、無理に完食させず、水分が取れているか、体重が減っていないか、むせや口の痛みがないかを見ます。急な変化やぐったりした様子があれば早めに受診し、食事量・体重・薬の変更を記録して伝えてください。

好きだった煮物まで残すと、「何か悪い病気では」と心配になります

以前は食卓へ出すと喜んでいた料理を、親が箸で少し動かしただけで残す。

「今日はおなかが空いていない」

そう言って席を立つ姿を見ると、家族は落ち着きません。

翌日は食べやすそうなうどんを用意する。それも半分以上残す。果物を勧めても、「あとで食べる」と冷蔵庫へ戻します。

「このまま弱ってしまうのでは」
「もっと栄養のある物を食べさせなければ」
「病院へ連れて行くほどなのか分からない」
「何度言っても食べないので、つい強い口調になってしまう」

離れて暮らしている場合は、電話で「ちゃんと食べている」と言われても、本当の量が分からないことがあります。

冷蔵庫には食品が入っているのに、前回訪ねたときとほとんど減っていない。賞味期限の切れた総菜が残っている。以前より服がゆるく見える。

そんな変化に気づき、「自分がもっと早く見ていれば」と責任を感じる方もいるでしょう。

ただ、食欲が落ちる理由は一つではありません。

食べたくないのか、食べたいけれど噛めないのか、飲み込むのが怖いのか。買い物や調理がつらいのか、薬や体調の変化が関係しているのか。

料理を増やす前に、「食べられない場所」を探すことが必要です。

「食欲がない」と「食べにくい」は、似ていても対処が違います

親の様子 考えたいこと 家族が見られる場面
食卓についても手を付けない 吐き気、発熱、便秘、痛み、気分の落ち込みなど 食事以外の体調や一日の過ごし方
硬い物だけ残す 歯の痛み、義歯のずれ、噛む力の低下 肉、野菜、せんべいなど特定の物を避けていないか
食事中にむせる 飲み込みにくさ 水分、汁物、錠剤でせき込まないか
食べ始めるが途中で疲れる 体力低下、呼吸の苦しさ、食事姿勢、飲み込み 食事時間が以前より長くなっていないか
自分で用意すると食べない 買い物、調理、後片付けの負担 誰かと食べる日には量が増えるか
味がしないと言う 口の乾燥、薬、体調、味覚や嗅覚の変化 味付けを濃くする前に口や薬の変化を見る
食べたことを忘れている 記憶や生活リズムの変化 食事の痕跡、配膳、冷蔵庫の減り方

高齢者の食欲低下には、歯や義歯の問題、噛む・飲み込む機能の低下、薬の影響、病気、精神的なストレス、独居による欠食など、複数の要因が関係します。年齢だけを理由に片づけず、食事の前後で何が起きているかを見る必要があります。

今日と昨日の量だけでなく、「いつから減ったか」をたどります

一食を残しただけなら、前の食事が遅かった、暑さで食べにくかったなど、一時的なこともあります。

家族が知りたいのは、食欲が落ちた日が一日あったかではなく、普段と違う状態が続いているかです。

見る期間 確かめること
今日 水分、発熱、吐き気、痛み、呼びかけへの反応
ここ三日 食事量、尿、便、むせ、服薬、外出や活動量
ここ一か月 体重、服のゆるみ、歩く速さ、疲れやすさ
ここ半年 体重減少、病気、入院、薬、生活環境の変化

体重を毎日量る必要はありませんが、食欲低下が続いているときは、同じ体重計で週一回程度記録すると変化を伝えやすくなります。

厚生労働省の高齢者向け低栄養予防資料では、六か月間で二〜三キログラムの体重減少がある場合を、低栄養のリスクに気づく目安の一つとして挙げています。理由の分からない減量や体調不良がある場合は、医療機関への相談が勧められています。

以前の体重が分からない場合は、ベルトの穴、服のゆるみ、頬や腕の変化も一緒に伝えられます。

食事量より先に、水分が取れているかを見ます

食欲が落ちると、食事に含まれる水分も減ります。

本人が「水は飲んでいる」と言っても、コップ一杯を一日かけて少しずつ飲んでいるだけかもしれません。

高齢者は喉の渇きを感じにくく、食事量の低下によって食事から取る水分も減るため、脱水に気づきにくいことがあります。口の乾燥、脱力、立ちくらみ、元気のなさ、反応の鈍さなどが重なる場合は注意が必要です。

意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応がおかしい、自分で水分を飲めない、呼吸が苦しい、繰り返し吐いているなどの場合は、食事の工夫より緊急性の判断を優先してください。迷うときは、利用できる地域では救急相談窓口を使うほか、消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」で必要な対応を確かめられます。 ([防災科学技術研究所][1])

「むせるから食べない」場合は、好物を増やすだけでは解決しません

親が食事を残していても、本人は「食欲がない」としか言わないことがあります。

実際には、一口飲み込むたびにせき込む、喉へ残る感じがする、食べると疲れるため、食卓を早く離れたくなっている場合があります。

これらは、噛む・飲み込む機能を確かめたい変化です。飲み込みにくさは低栄養や脱水だけでなく、窒息や誤嚥性肺炎につながる可能性もあります。

むせるからと、家族の判断だけで食べ物を極端に細かくしたり、飲み物へ市販のとろみを大量に付けたりするのは避けます。

本人に合わない硬さや粘りでは、かえって食べにくくなることがあります。

まず、何を食べたときにむせるかを記録し、かかりつけ医、歯科医、訪問看護師、言語聴覚士などへ伝えてください。

歯や入れ歯の痛みは、本人から言い出さないことがあります

歯が痛い、義歯が当たる、口内炎がしみる。

本人は「歯医者へ行くほどではない」「年だから仕方ない」と我慢し、食べやすい物だけ選ぶことがあります。

食べ方の変化 口の中で見たいこと
肉や生野菜を残す 噛むと痛い歯、義歯のずれ
片側だけで噛む 反対側の歯や歯ぐきの痛み
熱い物や酸っぱい物を避ける 口内炎、傷、乾燥
食べ物を口からこぼす 唇や舌の動かしにくさ
味がしないと言う 舌の汚れ、口の乾き、義歯の手入れ

口の機能が低下すると、肉、魚、野菜などを避け、柔らかい炭水化物へ食事が偏りやすくなります。歯科では歯や義歯だけでなく、噛む力、舌、唾液、飲み込みなどを評価できる場合があります。

「食欲がないそうです」とだけ伝えず、「硬い肉だけ残す」「入れ歯を外している時間が増えた」と具体的に話してください。

薬が増えた時期と、食べなくなった時期を並べます

高齢の親は、複数の医療機関から薬を処方されていることがあります。

新しい薬が始まったあと、吐き気、口の乾き、便秘、眠気などが出て、食事量が落ちている可能性もあります。

厚生労働省の高齢者向け医薬品適正使用の指針でも、薬の有害事象として食欲低下、便秘、抑うつ、認知機能低下などが起こることがあるとされています。

記録すること 例
新しく始まった薬 血圧の薬が先週一種類増えた
量が変わった薬 睡眠薬が半錠から一錠になった
食欲低下が始まった時期 変更から三日後ごろ
一緒に出た変化 眠気、便秘、吐き気、口の乾き
複数の処方先 内科、整形外科、心療内科

薬が原因かもしれないと思っても、家族の判断で急に中止したり、量を減らしたりしないでください。

処方した医療機関か、普段利用する薬局へ、薬の一覧と食欲低下の時期を伝えます。

市販薬、漢方薬、健康食品も使っている場合は、一緒に伝えてください。

便秘や痛み、息苦しさが食卓から遠ざけている場合があります

食欲の話をすると、胃腸だけを考えがちです。

しかし、腰や膝が痛くて食卓へ座れない、息苦しくて食べ続けられない、便秘でおなかが張るなど、別の症状が食事量へ影響することがあります。

親が「食べたくない」と言ったときは、「何なら食べられる?」だけでなく、「どこか痛い?」「息が苦しい?」「便は出ている?」と一つずつ聞きます。

複数の質問を一度にすると、本人が面倒になり「何もない」と答えることがあります。

配偶者との死別や一人きりの食卓で、食べる意味が薄れることもあります

体に明らかな症状がなくても、生活の変化から食欲が落ちる場合があります。

配偶者を亡くした。一緒に食べていた友人が入院した。外出が減り、曜日の感覚が薄くなった。

一人分を作る気になれず、朝は菓子パン、昼は食べず、夜はお茶漬けだけという日が続くこともあります。

家族が気づく変化 声のかけ方
好きだった物にも反応しない 「何を食べたい?」ではなく「朝は何を口にした?」と聞く
一日中横になっている 眠り、だるさ、痛み、気持ちの落ち込みを分けて聞く
人と会わなくなった 大勢の場ではなく、短い食事やお茶へ誘う
調理をしなくなった 作ることを求めず、食べやすい一食を一緒に用意する
死別後から食事量が落ちた 無理に元気づけず、食事と気持ちの変化を医師へ伝える

「寂しいから食べない」と決めつけるのも、「気の持ちよう」と励ますのも避けます。

気分の落ち込みに加えて、不眠、何も楽しめない、身の回りのことができない状態が続く場合は、身体の受診と合わせて医療機関へ伝えてください。

認知機能の変化では、「食べない」と「食べ方が分からない」が混ざります

認知症がある方や物忘れが増えた方では、食欲そのものとは別の理由で食事量が減ることがあります。

この場合、「食べなさい」と繰り返すより、皿を一つずつ出す、使い慣れた食器にする、静かな席へ移すなど、食卓の環境を変える方法があります。

急に食べ方が変わった、ぼんやりしている、会話がかみ合わないなど、普段と違う変化があるときは、認知症の進行と決めつけず医療機関へ伝えてください。

食べてもらおうとして、皿を山盛りにしないようにします

家族は、少しでも多く食べてほしくて、好物を何品も並べたくなります。

しかし、食欲が落ちているときに大きな皿を見ると、それだけで「食べ切れない」と感じることがあります。

負担になりやすい出し方 試しやすい出し方
一度に三品以上を山盛りにする 小さな器で一品ずつ出す
三食で必要量を取らせようとする 食事と間食に分ける
硬い肉や大きな野菜をそのまま出す 噛みやすさに合わせて切り方や調理法を変える
冷めた料理を置いたままにする 香りや温度が感じられる量だけ出す
本人の食べたい時間を無視する 食欲がある時間帯に少し多めに取る
「全部食べて」と見守り続ける 一緒に食べ、残しても責めない

食べられる量が少ない日は、卵、豆腐、魚、肉、乳製品などを、本人が食べやすい形で少量加える方法があります。

ただし、腎臓病、心臓病、糖尿病、嚥下障害、食事制限などがある方は、一般的な栄養の勧め方が合わない場合があります。栄養補助食品や飲料を継続して使う前に、かかりつけ医や管理栄養士へ相談してください。

「一口だけでも」と迫るほど、食卓がつらい場所になることがあります

親が食べない姿を見ると、家族は不安から強く勧めてしまいます。

避けたい言い方 聞きやすい言い方
「これくらい食べないと倒れるよ」 「食べると痛いところや、むせる物はある?」
「せっかく作ったのに」 「今日はどのくらいなら入りそう?」
「好きな物まで食べないなんておかしい」 「味やにおいが前と違って感じる?」
「食べたと言うけれど、本当?」 「今日は朝から何を口にしたか一緒に書こう」
「病院へ行かないとだめ」 「食べにくい理由を確かめるために、結果だけ聞きに行かない?」

食事のたびに説得されると、本人は食卓へ来ること自体を避ける場合があります。

完食を目標にせず、食べにくさを一つ聞き取る時間へ変えます。

三日分の記録があると、受診時の説明が具体的になります

医療機関へ行っても、「最近あまり食べません」だけでは、いつからどの程度減ったかが伝わりにくいことがあります。

記録する項目 書き方の例
食事量 朝はヨーグルト半分、昼はうどん三口、夜はなし
水分 湯のみ三杯程度
体重 一か月前52kg、現在49.5kg
むせ・口の状態 お茶で二回むせた、右の入れ歯を外している
尿・便 尿が少ない、便は四日出ていない
体調 微熱、だるさ、腹痛はなし
薬 一週間前から新しい薬が一種類増えた
生活の変化 友人の入院後から外出しなくなった

食べた物を毎回細かく計量する必要はありません。

普段の半分、茶わん三分の一、スプーン五口など、家族が続けられる書き方で十分です。

受診先は、原因を一つに決めず選びます

目立つ変化 最初に伝えやすい場所
食欲低下、体重減少、だるさなど全身の変化 かかりつけ医、内科
歯の痛み、義歯、口内炎、噛みにくさ 歯科
むせ、飲み込みにくさ、食後の声の変化 かかりつけ医から嚥下評価に対応する医療職へつないでもらう
薬が増えてから食べなくなった 処方した医療機関、かかりつけ薬局
一人暮らしで調理や買い物ができない 地域包括支援センター、ケアマネジャー
気持ちの落ち込みや不眠も続く かかりつけ医へ心身両方の変化を伝える

何科へ行けばよいか迷う場合は、普段の状態を知るかかりつけ医へ、食欲、体重、口、飲み込み、薬の記録をまとめて持参します。

すでに介護サービスを利用している方は、ケアマネジャー、訪問看護師、デイサービスの職員から、食事量や体重の変化を聞けることもあります。

予約の電話では、「食欲がない」だけで終わらせません

次のように伝えると、医療機関側も状況を判断しやすくなります。

「82歳の母です。五日ほど前から食事が普段の三分の一になり、水分も湯のみ三杯程度です。一か月で体重が二キロ減り、お茶を飲むとむせることがあります。昨日から少し元気がありません。今日受診すべきか、予約できる時間を教えてください」

電話では、次の内容を手元に置きます。

本人が電話を嫌がる場合も、家族から医療機関へ一般的な受診方法を尋ねることはできます。

ただし、診断や処方の変更には、本人の診察や個別の確認が必要です。

遠方の家族は、電話の「食べたよ」だけで判断しないようにします

離れて暮らす親は、子どもを心配させたくなくて、「ちゃんと食べている」と答えることがあります。

問い詰める代わりに、具体的な場面を聞きます。

訪ねられる家族がいる場合は、次の場所を見ます。

買い物、調理、配膳が難しくなっているなら、食事内容だけの問題ではありません。

地域包括支援センターへ「食欲はあるようだが、自分で食事を用意できていない」と伝えると、配食、買い物、介護予防、介護認定など地域の状況に合う方法を検討してもらえます。

配食サービスは、食事を届ければ終わりとは限りません

一人暮らしの親へ配食を頼むことは、食事を用意する負担を減らす一つの方法です。

ただし、届いた弁当を受け取っても食べていない場合や、量・硬さが合わず残している場合があります。

申し込む前に見ること 聞きたい内容
食事の硬さ 本人が噛み、飲み込める形か
量 少量対応や主食量の変更があるか
受け取り 本人が玄関まで出られるか
安否への対応 応答がないとき、誰へ連絡するか
保存と温め 本人が表示を理解し、安全に温められるか
費用 一食の料金、配送料、休止や解約方法

本人が気に入らない弁当を毎日残しているなら、契約を増やすより、食べられる理由・食べられない理由を見直します。

次の変化があるときは、様子を見る期間を長くしないでください

緊急性が疑われる場合は、かかりつけ医の予約日まで待たず、医療機関や救急相談へ連絡してください。

食欲低下だけに見えても、高齢者では体調の悪化が「元気がない」「食べない」という形で現れることがあります。

今日することは、栄養のある献立を何品も作ることではありません

親が食べないと、家族は買い物へ走り、好物や栄養補助食品を並べたくなります。

けれど、原因が口の痛みやむせ、薬、便秘、感染症にあるなら、食べ物の種類を増やすだけでは進みません。

今日は、紙へ次の五つだけ書いてください。

そして、食卓ではこう聞きます。

「食べてほしいから聞くのではなく、食べにくい理由を知りたい。噛むと痛い、飲み込みにくい、気持ちが悪いの中で、近いものはある?」

一度で答えが出なくても構いません。

水分が取れていて、急な体調変化がないなら、少量を分けて出しながら記録します。

急な変化がある、体重が減っている、数日続いている場合は、その記録を持ってかかりつけ医へ連絡してください。

食べられない親を責めないことと、食べない状態を放置しないことは両立できます。

完食させることを今日の目標にせず、「なぜ食べにくいのかを一つ見つける」ところから始めてください。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. 高齢の親が食べなくなったら、何日くらい様子を見てもよいですか?

日数だけでなく、水分、体重、発熱、痛み、むせ、元気の程度で判断します。急に食事量が落ちた、水分も取れない、ぐったりしている場合は、数日待たず医療機関へ連絡してください。

Q. 親の食欲がないとき、何を食べさせればよいですか?

一度に多く出さず、本人が噛みやすく食べやすい物を少量ずつ試します。ただし、むせ、歯の痛み、持病による食事制限がある場合は、食材を増やす前に医師や歯科医、管理栄養士へ状態を伝えてください。

Q. 食事中にむせることが増えましたが、年齢のせいでしょうか?

加齢で飲み込む機能が変化することはありますが、むせ、食後の濁った声、食事時間の延長などが続く場合は評価が必要です。何を飲食したときに起きるかを記録し、かかりつけ医や歯科へ伝えてください。

Q. 薬を飲み始めてから食欲が落ちた場合、薬をやめてもよいですか?

薬が食欲や口の乾き、便秘などへ影響する場合はありますが、自己判断による中止は避けてください。処方した医療機関か薬局へ、薬を始めた日と食欲が落ちた時期を伝えます。

Q. 離れて暮らす親が「食べている」と言いますが、確かめる方法はありますか?

「ちゃんと食べた?」ではなく、朝から口にした物や飲み物を具体的に聞いてください。訪問時には、冷蔵庫の食品の減り方、賞味期限、薬、服のゆるみなどを見ると、生活の変化に気づきやすくなります。

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