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気晴らし・旅

親孝行旅行で高齢の親と何を確認する?体力・薬・宿・移動の決め方

2026.07.18 更新 なやみ晴れ編集部
#心の整理#気晴らし・旅
この記事の結論

高齢の親御さんとの旅行は、年齢だけで諦める必要はありません。ただし「大丈夫?」と聞くだけでなく、普段の歩行、トイレ、服薬、入浴、睡眠を具体的に確かめます。親孝行を急ぐより、本人が無理なく帰宅できる行程を優先してください。

久しぶりに実家へ帰ったとき、親御さんが玄関の段差で一度立ち止まった。

本人は何事もなかったように歩き始めたけれど、以前より足取りがゆっくりになっている。そんな姿を見ると、「元気なうちに一度くらい旅行へ連れて行きたい」と思うことがあります。

一方で、何かあったらどうしようという心配も消えません。

長い移動に耐えられるだろうか。宿の廊下を歩けるだろうか。温泉で転ばないだろうか。せっかく連れて行ったのに、本人が疲れてしまったら、親孝行ではなく自分の満足だったのではないか。

親御さんも、迷惑をかけたくなくて「どこでも大丈夫」「まだ歩ける」と答えることがあります。

子どもは無理をさせたくない。親は子どもをがっかりさせたくない。お互いを思っているのに、肝心の負担が見えないまま計画が進むことがあるのです。

親孝行旅行で最初に決めるのは、行き先ではありません。親御さんが旅先で何を楽しみ、どの動作なら無理なくできるかです。

最初に聞くのは「どこへ行きたい?」ではありません

親御さんへ「どこか行きたい場所はある?」と聞いても、「別にない」「任せるよ」と返ってくることがあります。

旅行へ行きたくないとは限りません。地名を挙げたら費用をかけさせる、予定を組ませる、介助を頼むことになると考え、遠慮している場合があります。

行き先より、旅先で何をしたいかを聞く方が答えやすくなります。

たとえば、次のように尋ねます。

「温泉、景色、食事なら、どれが一番楽しみ?」

「昔みたいに何か所も回るのと、宿でゆっくりするのでは、今はどちらが楽そう?」

答えが「みんなで食事できれば十分」なら、遠方の有名温泉へ行かなくても目的は果たせます。

旅行を豪華にすることより、本人が楽しみにしている時間を残すことが先です。

ポイント

親孝行旅行の満足度は、観光地の数や宿泊料金では決まりません。本人が一番楽しみにしていることを一つ残し、疲れやすい部分を減らすと、旅全体が穏やかになります。

「大丈夫?」ではなく、普段の動作で旅の負担を測ります

親御さんへ「旅行へ行けそう?」と聞けば、多くの場合は「大丈夫」と答えます。

しかし、その大丈夫が、近所の買い物程度を意味するのか、長距離移動や宿泊まで含むのかは分かりません。

旅行の可否は、普段の動作に置き換えて考えます。

普段の様子 旅行で起こりやすい負担 計画に反映すること
10分ほど歩くと休みたくなる 駅構内、駐車場、観光地の移動で疲れる 乗換えを減らし、車椅子や休憩場所を調べる
階段では手すりが必要 駅、宿、寺社、展望台で動けないことがある エレベーターと段差のない経路を尋ねる
長く座ると腰や脚が痛む 車やバスで同じ姿勢が続く 休憩を増やし、片道時間を短くする
トイレが近い、動作に時間がかかる 乗物や団体行動で焦りやすい トイレの位置と休憩間隔を先に見る
布団からの起き上がりが難しい 和室で夜間に立てなくなる ベッドのある客室を選ぶ
浴槽をまたぐときに支えが必要 大浴場で転倒するおそれがある 貸切風呂、客室風呂、入浴しない選択を考える
夕方になると疲れや混乱が強くなる 遅い到着や慣れない宿で落ち着かなくなる 早めに宿へ入り、行程を詰め込まない

「何メートル歩ける?」と聞いても、本人には答えにくいものです。

「駅から宿まで10分くらい歩くけれど、途中で休めれば行けそう?」

「この宿は大浴場まで少し歩くみたい。部屋のお風呂だけでも楽しめそう?」

このように、予定している場面へ置き換えて聞くと、本人も判断しやすくなります。

日帰り・一泊・宿中心は、親御さんが一番疲れる場面で選びます

高齢だから日帰りが楽とは限りません。

朝早く家を出て、一日観光し、夜遅く帰宅する日帰り旅行は、宿泊より体力を使うことがあります。

反対に、慣れない場所では眠れない方、夜間のトイレが心配な方にとっては、自宅へ戻れる日帰りの方が落ち着きます。

近場の日帰りが合いやすい場合

宿で過ごす一泊が合いやすい場合

観光を一か所に絞った旅が合いやすい場合

初回は、近場の日帰りや一泊で試し、帰宅後に何が負担だったかを見る方法があります。

最初から「これが最後の旅行になるかもしれない」と大きな計画を立てると、親御さんも断りにくくなります。次も行ける余白を残すくらいが、ちょうどよいことがあります。

車・電車・バスツアーでは、疲れる場所が違います

自家用車は、自宅から宿まで直接移動しやすく、途中で休憩を増やせます。

ただし、長時間同じ姿勢になりやすく、渋滞中はすぐトイレへ行けません。運転する子どもが疲れれば、親御さんの乗り降りや荷物まで支えられなくなることもあります。

鉄道は車内トイレがある列車を選べる一方、駅の構内移動、ホームへの乗換え、段差が負担になる場合があります。大きな駅では、乗換えだけでかなり歩くこともあります。

バスツアーは行程を考えなくてよい反面、集合時刻や観光時間が決まっています。本人のペースで休憩を延ばしにくいため、歩行距離、トイレ休憩、座席、添乗員の同行を事前に見ます。

交通機関や旅行会社へ配慮を頼む場合は、病名より難しい動作を伝えます。

「高齢の母と利用します。平らな場所はつえで歩けますが、長い階段と10分以上の連続歩行が難しいです。階段を避ける経路や、車椅子を借りられる場所はありますか」

観光庁は、高齢や障害の有無にかかわらず旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」を推進しています。対応可能な内容は施設や事業者ごとに異なるため、予約前に具体的な移動経路を尋ねることが欠かせません。

宿へは、玄関から客室までの動きを順番に尋ねます

予約サイトに「バリアフリー対応」「エレベーターあり」と書かれていても、それだけでは宿泊できるか判断できません。

エレベーターを降りた後に階段がある、大浴場だけ別棟にある、食事会場が座敷になっているなど、設備の一部に負担が残ることがあります。

宿へ電話するときは、次のように始めます。

「高齢の父と宿泊を考えています。平地はつえで歩けますが、階段と床からの立ち上がりが難しい状態です。予約前に館内の移動について教えてください」

続けて、次を尋ねます。

希望を伝えたら、予約記録に残っているかも聞きます。

「エレベーターに近いベッドの部屋は確約ですか。それとも希望としての受付でしょうか」

宿のスタッフが荷物運びなどを手伝える場合はありますが、排せつ、着替え、入浴などの身体介助まで対応できるとは限りません。必要な介助は家族で担えるのか、別の支援が必要なのかを分けて考えます。

異性の親子では、大浴場の介助ができないことがあります

娘が父親を、息子が母親を旅行へ連れて行く場合、大浴場で付き添えないことがあります。

脱衣、洗身、浴槽の出入りに支えが必要なら、男女別の大浴場を利用する前提では計画できません。

その場合は、次の選択肢を調べます。

貸切風呂にも、入口の段差、滑りやすい床、深い浴槽がある場合があります。「貸切だから安心」と考えず、浴槽の縁、手すり、浴室用椅子、利用時間を宿へ尋ねてください。

高齢者の入浴中の事故は、持病や前兆がなくても起こる可能性があります。消費者庁は、湯温を41度以下、湯につかる時間を10分までとすることを一つの目安に挙げ、食後すぐや飲酒後、睡眠薬などの服用後の入浴を避けるよう注意を促しています。

持病がある方や、医療機関から入浴について指示を受けている方は、その内容を優先してください。

薬は「いつもの袋」だけでなく、内容が分かる形で持ちます

旅行中は食事や起床の時刻が変わり、薬を飲む時間もずれやすくなります。

必要な日数分の薬だけでなく、予備、お薬手帳、薬の名称が分かる情報を用意します。電子版のお薬手帳を使っている場合も、スマートフォンの充電切れに備え、服薬内容を家族も把握しておくと安心です。

薬について分からない点があるときは、自己判断で回数や時間を変えず、旅行前に医師または薬剤師へ尋ねます。

「旅行へ行ってもよいですか」だけでは、相手も判断しにくいことがあります。

「片道2時間の車移動で一泊します。夕食時刻が普段より遅くなりそうですが、薬の時間はどうすればよいですか」

「温泉に入る予定があります。服用後の入浴で気をつけることはありますか」

このように、移動時間、宿泊数、食事、入浴の予定を伝えます。

最近薬が変わった、体調が安定していない、旅行先で医療的な処置が必要という場合は、予約を確定する前に医療機関へ伝えてください。

食事とトイレは、観光地より先に決めます

親御さんが旅先で困りやすいのは、特別な観光より、日常の食事や排せつです。

食事では、アレルギーだけでなく、かたい物が噛めない、むせやすい、量が多いと食べられない、塩分などの指示があるといった事情があります。

宿へは、単に「高齢者向けでお願いします」ではなく、必要な内容を伝えます。

「かたい肉や生野菜は食べにくいのですが、やわらかい料理への変更は可能ですか」

「食事量が少ないため、品数を減らすことはできますか。難しければ残しても問題ありませんか」

対応には追加料金がかかることや、変更できない場合もあります。直前ではなく、予約時に尋ねます。

トイレについては、親御さんが「まだ大丈夫」と言っているうちに休憩を入れます。高速道路や観光地では、次のトイレまで時間がかかることがあるためです。

本人が恥ずかしがる場合は、人前で繰り返し尋ねず、出発前に家族の一人が短く聞きます。

「途中で慌てないように、休憩は1時間ごとでよさそう? もっと早い方が楽?」

認知症や介助がある場合は、普段の支援者にも予定を伝えます

認知症があっても、状態や支援方法によっては旅行を楽しめます。

ただし、慣れない場所で夜に混乱する、部屋を間違える、外へ出ようとする、服薬を拒むといった可能性がある場合、ご家族だけで抱え込まない準備が必要です。

担当のケアマネジャー、施設職員、訪問看護師など、普段の様子を知る人へ、次のように伝えます。

「家族で一泊旅行を考えています。夕方の混乱や夜間のトイレを含め、普段と違う場所で注意した方がよいことを教えてください」

相談したからといって、旅行を許可されたり禁止されたりするわけではありません。家族が見落としている負担や、持参した方がよい物を知るための話です。

宿にも、必要な範囲で状態を伝えます。ただし、宿泊施設は介護施設ではありません。常時の見守り、排せつ介助、徘徊への対応などが必要なら、家族で担えるのか、付き添いを増やすのか、旅行形態そのものを見直すのかを決めます。

親孝行を一人で背負うと、同行する子どもが先に疲れます

旅行を企画した人が、運転、荷物、受付、親御さんの歩行、薬、写真撮影まで一人で担うと、旅の途中で余裕がなくなります。

兄弟や配偶者と行く場合は、役割を分けます。

「みんなで手伝う」だけでは、実際には企画した人へ集中しがちです。

「私は運転と宿の受付を担当するので、お父さんの歩行とトイレはお願いしたい」と行動で分けます。

親御さんにも、旅行中にできることは自分でしてもらいます。先回りしてすべて奪うと、本人が子ども扱いされたように感じる場合があります。

時間がかかっても自分で着替えたい、杖があれば歩きたいという希望があるなら、危険がない範囲で待つことも親孝行の一部です。

当日の延期は「失敗」ではなく、旅行の安全管理です

予約をした後は、多少体調が悪くても行かなければ損だと思いやすくなります。

しかし、高齢の方は、前日まで元気でも当日に状態が変わることがあります。

次のような場合は、出発を急がず、旅行の延期や医療機関への連絡を考えます。

急な胸の痛み、呼吸困難、意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しないなど、緊急性がある状態では119番を優先してください。

体調の変化に備え、予約時には無料で取り消せる期限、その後の取消料、変更方法、連絡先を見ておきます。最安値でも変更できないプランより、体調を見ながら判断できるプランが合うことがあります。

旅行予約サイトでは、契約相手、料金、取消条件、問い合わせ先がサイトごとに異なります。宿や交通機関へ伝えた配慮事項についても、「希望として受け付けた」のか「確約された」のかを予約記録で確かめてください。

親御さんが断ったとき、「今しかない」で説得しない

準備を進めた後で、親御さんが「やっぱり行かない」と言うことがあります。

子どもとしては、せっかく調べたのにと思うでしょう。「もう高齢なのだから、行けるうちに」と説得したくなるかもしれません。

けれど、親御さんには、体力以外の理由があることもあります。

まず、旅行の良さを説明するより、何が負担なのかを尋ねます。

「行きたくない気持ちは分かったよ。長い移動が嫌なのか、泊まるのが嫌なのか、そこだけ教えてもらえる?」

泊まりが嫌なら日帰り、遠出が嫌なら近所の食事、温泉が嫌なら自宅で家族が集まる方法もあります。

旅行に連れて行くことだけが親孝行ではありません。本人が望んでいない旅行を成功させるより、今一緒にできることへ形を変える方が、親子の負担を減らせます。

今日は旅行を予約せず、親御さんへ二つだけ聞きます

行き先、宿、交通手段を一度に決める必要はありません。

まず親御さんへ、次の二つを聞いてください。

「温泉、景色、食事の中なら、今はどれを一番楽しみたい?」

「旅行で一番しんどそうなのは、歩くこと、車に乗ること、泊まることのどれ?」

一つ目の答えが旅行の目的になり、二つ目の答えが削るべき負担になります。

「食事を楽しみたい」「泊まるのは嫌」という答えなら、次に探すのは温泉旅館ではなく、近場の日帰り食事プランかもしれません。

親孝行旅行は、子どもが立派な計画を完成させる行事ではありません。親御さんの今の身体と気持ちに合わせて、無理なく一緒に過ごせる時間を見つけることです。予約は、その形が見えてからで間に合います。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. 高齢の親との旅行は何歳まで行けますか?

旅行できる年齢に一律の上限はありません。同じ年齢でも歩行、持病、排せつ、認知機能、必要な介助が異なるため、年齢ではなく普段の動作と旅行の行程を照らし合わせて判断してください。

Q. 親が「どこでもいい」と言う場合、子どもが決めてもよいですか?

行き先を提案して構いませんが、宿泊、長時間移動、温泉、歩行のどれが負担になりそうかは別に聞いてください。「海を見る旅と温泉で休む旅ならどちらが楽そう?」のように二つの案から選んでもらう方法もあります。

Q. つえや車椅子を使う親でもツアーへ参加できますか?

参加条件や対応範囲はツアーごとに異なります。歩ける距離、階段の可否、車椅子から座席へ移れるか、介助者が同行するかを旅行会社へ伝え、観光地の移動や車椅子の収納まで尋ねてください。

Q. 旅行中の薬は、家族が代わりに管理してもよいですか?

普段からご家族が管理している場合も、薬の名称、服用時刻、飲み忘れた際の対応を旅行前に確かめます。服用方法を旅行に合わせて変える必要があるときは、自己判断せず医師または薬剤師へ具体的な行程を伝えてください。

Q. 兄弟から「高齢の親を旅行へ連れ出すのは危ない」と反対されました。

安全だと言い切って説得するより、移動時間、歩行量、宿の設備、服薬、緊急時の対応を共有します。反対する理由が体調、費用、介助負担のどれなのかを分け、必要なら日帰りや近場へ計画を小さくしてください。

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