制服へ着替えるだけで気持ちが沈むなら、もう十分に疲れています
出勤日の朝になると、おなかが痛くなる。
職場の駐車場へ着いても、車からすぐに降りられない。休憩室から笑い声が聞こえると、「また自分のことを言われているのでは」と足が止まる。
仕事そのものは嫌いではありません。
レジ、品出し、清掃、調理、事務。覚えた仕事も増え、お客様から感謝されることもあります。
それでも、特定の人と同じシフトの日は苦しい。
自分にだけ挨拶を返さない。ほかの人が失敗したときは笑って済ませるのに、自分には強い口調で注意する。仕事を頼まれて断れず、気づけば一人だけ時間内に終わらない量を抱えている。
休憩へ入ると、自分以外の人たちだけで話が盛り上がっている。会話へ入ろうとすれば空気が変わり、黙っていれば「付き合いが悪い」と言われる。
帰宅後も、言われた言葉が頭から離れません。
「私の覚えが悪いから仕方ないのかな」
「若い人に注意されるのが嫌なだけだと思われたくない」
「この年齢で辞めたら、次の仕事は見つからないかもしれない」
「家計のために働いているのだから、少しくらい我慢しないと」
そう考え、翌日も職場へ向かっている方は少なくありません。
50代のパートには、収入だけでは割り切れない事情があります。
住宅費、子どもの学費や独立支援、親の介護、自分たちの老後資金。辞めたいと思っても、「明日から行きません」と簡単には決められないでしょう。
だからこそ、耐えられるかどうかだけで考えないことが必要です。
職場全体が合わないのか、特定の人との接点がつらいのか、仕事の分け方に問題があるのか。それを分けると、辞める前に変えられる部分と、離れた方がよい状態が見えてきます。
「人間関係がつらい」を四つに分けると、打つ手が変わります
職場で苦しいことをすべて「人間関係」とまとめると、何を変えればよいのか分からなくなります。
まず、最近つらかった出来事を次の四つに分けてみてください。
| つらさの種類 | 具体的な場面 | 最初に考える対応 |
|---|---|---|
| 特定の人との対立 | 一人の先輩だけが強く当たる、挨拶を無視する、嫌味を言う | 接点を仕事上の会話へ絞り、言動を記録する |
| 仕事の分け方の偏り | 面倒な作業、急な残業、欠勤者の穴埋めが自分へ集まる | 担当量と優先順位を責任者に決めてもらう |
| 職場の集団になじめない | 休憩中の雑談、グループ連絡、行事への参加が負担 | 仕事に必要な関係と私的な付き合いを分ける |
| 職場そのものの問題 | 人手不足、指示が毎回変わる、相談しても放置される | 個人間で解決せず、店長や管理部門へ伝える |
たとえば、「先輩が怖い」と感じていても、詳しく見ると、先輩の機嫌より仕事の指示が二重になっていることが問題かもしれません。
先輩から「品出しをして」と言われ、店長からは「先にレジへ入って」と言われる。先にレジへ入ると、先輩から「頼んだことを無視した」と責められる。
この場合、先輩と仲良くなる努力より、誰の指示を優先するかを責任者に決めてもらう方が役立ちます。
一方、業務と関係なく容姿や年齢をからかわれる、みんなの前で繰り返し侮辱される場合は、仕事の覚え方だけを直して済む問題ではありません。
出来事を具体的に分けることで、「全部自分が悪い」という考えから少し離れられます。
全員に好かれるより、「仕事を滞らせない関係」を目標にします
パート先では、仲のよい人同士で昼食を取ったり、勤務外でも連絡を取り合ったりすることがあります。
そこへ入れないと、職場全体から嫌われているように感じるかもしれません。
けれど、働き続けるために必要なのは、全員と親しくなることではありません。
- 挨拶をする
- 必要な報告をする
- 仕事の質問へ答える
- 引き継ぎを残す
- 困ったときに責任者へ伝える
これらができていれば、休憩中の雑談へ毎回入らなくても、仕事上の関係は作れます。
雑談を断るときも、嫌っているように説明する必要はありません。
「今日は少し疲れたので、休憩中は静かに休みますね」
「その集まりは今回は失礼します。明日の勤務は予定どおり入ります」
仕事の外まで付き合わないと嫌われる職場はあります。しかし、無理をして私生活まで差し出すと、かえって疲れが大きくなります。
親しくはないけれど、業務連絡は普通にできる。その程度の距離でも、職場の関係としては成り立ちます。
嫌味や陰口には、言い返すより「仕事の内容へ戻す」言葉を使います
嫌味を言われたとき、黙っていると認めたようで悔しい。でも強く言い返すと、「あの人はすぐ怒る」と周囲へ言われそうで怖い。
その場で相手の性格を指摘するより、会話を仕事へ戻します。
| 場面 | その場で使える言葉 |
|---|---|
| 「年だから覚えるのが遅い」と言われた | 「年齢ではなく、間違えやすい手順をもう一度教えてください」 |
| みんなの前で失敗をからかわれた | 「直す場所を具体的に教えてもらえますか。次からそこを見直します」 |
| 自分だけ仕事を頼まれ続ける | 「今はAとBを担当しています。どれを先にすればよいか、責任者に決めてもらえますか」 |
| 休憩中にほかの人の悪口へ誘われる | 「その場を見ていないので、私からは何とも言えません」 |
| 聞こえるように陰口を言われる | 「仕事について私に伝えることがあれば、直接お願いします」 |
| 教わっていないことで責められた | 「私はまだその手順を教わっていません。次回できるように確認させてください」 |
| 年下の人から命令口調で言われる | 「内容は分かりました。次からは作業名と期限を一緒に伝えてもらえると助かります」 |
その場で言葉が出ないこともあります。
あとから、「さきほどの件ですが、作業についての注意は受け止めます。ただ、年齢について皆の前で言われるのは困ります」と伝えても構いません。
相手を言い負かすことが目的ではありません。
何についてなら話すのか、どの言い方は受け入れないのかを、短く示すことが目的です。
頼まれやすい人ほど、「できません」より先に今の仕事を見せます
まじめで、断るのが苦手な人には仕事が集まりやすくなります。
「お願いしやすいから」
「ほかの人は嫌な顔をするから」
「あなたなら気づいてやってくれると思って」
最初は頼られているようでうれしくても、毎回続けば負担になります。
仕事を断るとき、「嫌です」「無理です」だけでは、協力する気がないと受け取られることがあります。
今抱えている仕事と、できる範囲を一緒に伝えます。
| 頼まれた状況 | 返し方の例 |
|---|---|
| 予定外の作業を頼まれた | 「今はレジ締めをしています。こちらを止めて先に行う作業でしょうか」 |
| 退勤直前に仕事を頼まれた | 「あと10分で退勤です。10分でできる範囲なら対応します。残りは誰へ引き継ぎますか」 |
| 欠勤者の仕事が全部回ってきた | 「今日の時間内ではすべて終わりません。優先する三つを決めてください」 |
| 自分だけ何度もシフト変更を頼まれる | 「今月はすでに二回変更しています。今回は元のシフトでお願いします」 |
| 教える役を当然のように任された | 「教える時間を取る場合、私の担当作業をどなたへ移しますか」 |
仕事量を調整するのは、働く人一人の責任ではありません。
「どれを優先するか」「どれを翌日に回すか」を責任者に返すことで、自分だけが全部を背負う形を減らせます。
年下の上司に戸惑うときは、年齢ではなく役割と伝え方を分けます
50代で新しい職場へ入ると、店長や教育担当が自分の子どもと同じくらいの年齢ということがあります。
仕事を教わること自体は受け入れていても、上から押さえつけるような口調で話されると、心がざわつくでしょう。
「人生経験はこちらの方が長いのに」
「若い人に馬鹿にされている気がする」
「悔しいと思う自分が大人気ないのだろうか」
年下から指示を受けることと、尊重されない話し方を我慢することは別です。
| 受け入れる必要があること | 我慢し続けなくてよいこと |
|---|---|
| 職場のルールや手順を教わる | 年齢を理由に能力を決めつけられる |
| 仕事のミスを指摘される | 皆の前で必要以上に侮辱される |
| 役職に基づく指示を受ける | 業務と関係のない私生活まで命令される |
| 新しい機器や方法を覚える | 質問すると笑われる、説明を拒まれる |
| 経験のある方法を変える | 理由を聞くことまで反抗と扱われる |
指示の内容は受け止めながら、困る伝え方だけを切り離して伝えます。
「手順が違っていたことは分かりました。次から直します。ただ、皆さんの前で年齢の話をされると、仕事の内容へ集中しにくいです」
「指示は受けますので、どの作業をいつまでに行うのかを伝えてもらえると助かります」
年下であることを問題にすると、話が世代間の対立になります。業務上、何に困っているかを示した方が、周囲にも説明しやすくなります。
ミスを減らしたいときは、謝り続けるより手順を自分の言葉で確かめます
人間関係が悪くなるきっかけに、仕事の覚え方が関係している場合もあります。
教える人によって説明が違う。忙しくて質問できない。新しいレジやタブレットの操作が苦手。聞き返すと嫌な顔をされるので、分からないまま進めてしまう。
この場合、「もっとしっかりしなければ」と自分を責めるだけでは改善しません。
- 作業手順を短くメモする
- 教わった人と日付を書く
- 「この順番で合っていますか」と復唱する
- 人によって指示が違う場合は責任者へ尋ねる
- 初めての仕事は、終わりの状態を見せてもらう
- 忙しくない時間に質問をまとめて行う
謝るときも、必要以上に自分を下げなくて構いません。
「申し訳ありません。次からは、伝票の右上を見てから入力します」
具体的な直し方まで言えば、同じ謝罪を何度も繰り返さずに済みます。
一方で、教えていない作業をできないと責める、指示をわざと伝えない、質問しても答えず失敗後に非難するといった状態は、本人の努力だけで解決しにくいものです。
その場合は、「教え方」や「指示系統」の問題として責任者へ伝えます。
休憩室やグループ連絡から少し離れても、仕事は続けられます
パート先では、仕事中より休憩時間の方がつらいことがあります。
誰かの悪口、家庭の詮索、夫の職業や子どもの進路の比較。「あの人には言わないでね」と言われた話が、翌日には全員へ広がっている。
自分も何か話さなければ仲間に入れないと思い、あとで言わなければよかったと後悔することもあるでしょう。
休憩時間は、職場の人へ私生活をすべて説明する時間ではありません。
| 聞かれたこと | 詳しく答えたくないときの返し方 |
|---|---|
| 夫の収入や仕事 | 「普通の会社員ですよ。詳しいことは本人のことなので」 |
| 子どもの結婚や進路 | 「本人が決めることなので、私は見守っています」 |
| 自分の病気や通院 | 「今は仕事に支障のない範囲で調整しています」 |
| ほかの人への評価 | 「私は一緒の時間が少ないので、よく分からないです」 |
| 休日の誘い | 「休日は家の予定があるので、今回は失礼します」 |
| グループチャットへの即返信 | 「勤務に必要な連絡は確認します。勤務外は返信が遅くなることがあります」 |
完全に孤立すると仕事の情報まで入らなくなる場合は、業務に必要な連絡方法だけ確保します。
「シフト変更と持ち物の連絡は、職場の連絡表にも記入していただけますか」
私的なグループへ入らなければ仕事が分からない状態なら、責任者へ業務連絡の方法を確かめてよいでしょう。
相談するときは、「あの人が嫌い」ではなく仕事への影響を伝えます
店長や責任者へ相談しても、「どこの職場にも合わない人はいる」「大人なのだから二人で話して」と返されることがあります。
相談が単なる好き嫌いとして受け取られないために、出来事と仕事への影響を分けて伝えます。
| 伝える項目 | 具体例 |
|---|---|
| いつ | 7月15日の午前10時ごろ |
| どこで | バックヤードで、ほかに二人いる前 |
| 何をされた・言われた | 「年だから覚えられない」と言われた |
| 仕事へどう影響したか | 必要な質問ができず、作業を止めてしまった |
| すでに試したこと | 手順を確認したいと本人へ伝えた |
| どうしてほしいか | 教育担当を変える、指示を責任者から統一する |
話し方は、次のように組み立てます。
「○○さんを処分してほしいという話から始めたいのではありません。指示の出し方が人によって違い、質問すると年齢について言われるため、作業を正確に進めにくくなっています。指示する人を一人にするか、担当を少し離してもらえないでしょうか」
「仲良くできません」だけでなく、変更してほしい勤務上の条件まで伝えます。
- 教育担当を変えてほしい
- 同じ持ち場になる回数を減らしてほしい
- 指示を責任者から出してほしい
- 休憩時間を少しずらしてほしい
- 仕事量と優先順位を明確にしてほしい
- 複数人の前で注意せず、個別に伝えてほしい
相手の性格を変えることは難しくても、接点や仕事の流れを変えられることはあります。
記録は仕返しのためではなく、「自分の感じ方だけなのか」を確かめるために残します
つらい出来事が続くと、記憶が混ざります。
相談しようとしたときに、「いつですか」「具体的に何と言われましたか」と聞かれて答えられず、自分でも大したことではなかったように感じてしまうことがあります。
記録には、感情だけでなく事実を書きます。
| 記録すること | 書き方の例 |
|---|---|
| 日時・場所 | 7月18日、午後2時、レジ横 |
| 相手と周囲にいた人 | Aさん、近くにBさんとCさん |
| 実際の言葉や行動 | 「また間違えたの。年を取ると駄目ね」と言われた |
| 自分の対応 | 手順を教えてほしいと返した |
| 仕事への影響 | その後質問できず、作業確認に15分かかった |
| 心身への影響 | 帰宅後も動悸があり、翌朝食べられなかった |
「最悪だった」「いじめられた」とだけ書くより、実際の言葉と場面を残す方が、第三者へ説明しやすくなります。
勤務表、業務上のメッセージ、責任者へ相談した日時と返答も、分かる範囲で控えておきます。
ただし、職場内での録音や資料の持ち出しには、就業規則、個人情報、営業上の情報などが関係する場合があります。判断に迷うときは、外部相談窓口へ状況を説明してから進めてください。
厳しい指導とハラスメントは、声の大きさだけでは決められません
注意を受けると、すべてハラスメントに思えることがあります。反対に、「パートだからこの程度は普通」と我慢しすぎる人もいます。
厚生労働省の案内では、職場のパワーハラスメントは、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業環境が害されるという三つの要素をすべて満たすものとされています。客観的に見て必要な業務指示や適正な指導は、直ちにパワーハラスメントになるわけではありません。
| 業務上の指導として行われることがある例 | 業務の範囲を超えている可能性を考える例 |
|---|---|
| ミスした手順を示し、やり直しを求める | 「こんなこともできない」と人格まで否定する |
| 安全のため、その場で強めに停止を求める | 長時間にわたり皆の前で怒鳴り続ける |
| 期限内に仕事を終えるよう伝える | 達成不可能な量を一人だけに繰り返し課す |
| 勤務態度について個別に注意する | 無視して必要な情報を与えず、失敗させる |
| 職場のルールに従うよう求める | 年齢、家庭、容姿など業務と無関係な部分を侮辱する |
実際にハラスメントへ当たるかは、言葉だけでなく、関係性、頻度、経緯、仕事への必要性などを含めて判断されます。
自分一人で法律上の名前を確定してからでなくても、「この言動で働き続けるのが難しい」と職場や外部窓口へ伝えられます。
パートだから何をされても仕方がない、ということではありません
「正社員ではないから、嫌なら辞めればいい」
そう言われたり、自分でそう思ったりすることがあります。
しかし、パートや有期契約で働く人も、職場の相談制度や労働関係法令の対象です。
パートタイム・有期雇用労働法では、名称だけでなく働き方の要件に応じて対象が決まり、正社員との間に不合理な待遇差を設けることの禁止や、待遇差について説明を求める仕組みが設けられています。
人間関係の問題すべてが待遇差に当たるわけではありませんが、次のようなことが重なっている場合は、雇用条件の問題としても見てみます。
- 正社員と同じ責任の仕事をしているのに、説明なく扱いが大きく違う
- 契約にない仕事を継続的に任されている
- 自分だけ休憩や研修の機会を与えられない
- 説明を求めたあとに、シフトを極端に減らされた
- 契約更新や賃金の条件を口頭だけで変更された
すぐ違法だと決めるのではなく、雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、給与明細、シフト表などを手元で見直します。
分からない点は、「パートだから仕方ない」と飲み込まず、担当者へ理由を尋ねることができます。
社内で動かないときは、外の相談窓口で「次に何をするか」を聞けます
店長へ相談したけれど、何も変わらない。
相談した内容が相手本人へそのまま伝わり、かえって居づらくなった。小さな職場で、店長自身が問題の相手になっている。
そのような場合は、職場の外で状況を話す選択肢があります。
厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、いじめ、嫌がらせ、パワーハラスメントなど、幅広い職場のトラブルを対象に、電話や面談で相談を受け付けています。利用は無料で、予約は不要と案内されています。
| 相談先 | 向いている悩み | 相談前に用意できるもの |
|---|---|---|
| 職場の店長・上司 | 担当、シフト、指示系統を変えてほしい | 困った場面と希望する変更 |
| 本社の人事・相談窓口 | 店長へ言いにくい、相談後も改善しない | 記録、勤務表、これまでの相談経緯 |
| 労働組合 | 一人で職場と話すことが難しい | 雇用契約や問題の経緯 |
| 総合労働相談コーナー | いじめ、嫌がらせ、雇止め、賃金など相談先が分からない | 出来事の時系列、希望する解決 |
| 都道府県労働局の担当部署 | パートと正社員の待遇差などを尋ねたい | 仕事内容、待遇、比較している条件 |
相談する際、相手を処罰できるかどうかだけを尋ねる必要はありません。
「この記録の取り方でよいか」
「職場へどの順番で話せばよいか」
「契約更新前に何を確かめればよいか」
次の一歩を考えるためにも利用できます。
心身に変化が出ているときは、職場の結論より先に休む道を考えます
人間関係のつらさは、目に見えにくいため、限界を超えても働き続けてしまうことがあります。
次のような状態が続いていないでしょうか。
- 出勤前に吐き気、動悸、腹痛が起きる
- 翌日の勤務を考えて眠れない
- 食欲がなくなった、または食べ続けてしまう
- 休みの日も職場の会話を繰り返し思い出す
- 家族へ当たることが増えた
- 好きだったことをしても気持ちが動かない
- 仕事中に涙が出る、簡単な判断ができない
- 「自分がいなくなればいい」と考えることがある
こうした状態があるときは、相手との話し合いを完璧に終えてから休もうとしないでください。
勤務日数を一時的に減らせないか、休暇を取れないかを職場へ尋ねます。体調が悪い場合は、医療機関へ今の症状と仕事への影響を具体的に伝えます。
厚生労働省の「こころの耳」では、働く人やその家族を対象に、仕事、人間関係、心身の不調などについて、電話、SNS、メールによる無料・匿名の相談窓口を案内しています。受付時間や利用条件は変更される場合があるため、利用時に公式案内をご覧ください。
相談したからといって、すぐ退職や治療を決めなければならないわけではありません。
今の状態を一人で判断しないために、話してみるという使い方もできます。
家族から「最近おかしい」と言われたら、否定する前に変化を聞いてみます
本人より先に、家族が変化へ気づくことがあります。
「仕事の日は顔つきが違う」
「夜中に何度も起きている」
「帰ってくると、ずっと職場の人の話をしている」
言われると、「家計のために頑張っているのに」と腹が立つかもしれません。
家族に辞めるかどうかを決めてもらう必要はありませんが、外から見える変化は一つの判断材料になります。
| 家族に頼めること | 頼み方の例 |
|---|---|
| 話を聞いてもらう | 「解決策より、今日は10分だけ聞いてほしい」 |
| 変化を教えてもらう | 「最近、私の様子で変わったところがある?」 |
| 家計を一緒に見る | 「辞めた場合、何か月なら生活できるか見てほしい」 |
| 相談内容をまとめる | 「職場へ話す内容が伝わるか、一度読んでほしい」 |
| 受診や相談へ付き添ってもらう | 「一人だとうまく話せないので、付き添ってもらえる?」 |
反対に、家族から「そのくらい我慢しなよ」と言われても、自分のつらさが消えるわけではありません。
「辞めると決めたわけではないけれど、眠れない状態が続いている。まず働き方を変えられないか考えたい」と、今の段階を伝えます。
辞めるか迷ったら、「まだ頑張れるか」ではなく三つの可能性を比べます
職場を辞めるべきかどうかに、誰にでも当てはまる答えはありません。
ただ、我慢できるかだけで判断すると、限界まで残りやすくなります。
| 選択肢 | 考える内容 |
|---|---|
| 今の職場で調整する | 担当変更、シフト変更、教育担当変更で負担が減るか |
| 働きながら次を探す | 収入を保ちつつ、勤務時間や職種の合う求人を探せるか |
| いったん離れて休む | 心身の状態が、仕事探しをすぐ始められる段階か |
次の状態が重なっている場合は、今の職場へ残ることだけを正解にしない方がよいでしょう。
- 相談しても状況が悪化する
- 問題の相手と離れる勤務ができない
- 仕事に必要な情報を意図的に与えられない
- 体調不良が休日にも戻らない
- 家族生活へ大きな影響が出ている
- 職場へ行くことに強い恐怖を感じる
- 自分を守るために嘘や隠し事が増えている
辞めると考えたときは、勢いで翌日から行かなくなる前に、雇用契約書、契約期間、就業規則、残っている休暇、最終給与、貸与品の返却方法などを見ます。
有期契約の途中、体調不良、ハラスメントが疑われる場合など、状況によって考え方が異なることがあります。退職方法で揉めそうなときは、職場へ伝える前後に総合労働相談コーナーなどで確認しておく方法もあります。
次の仕事が決まっていなくても、体調を壊すまで残る必要はありません。一方、すぐ辞めることが家計上難しいなら、シフトを減らしながら探す、短期間だけ生活費を組み替えるという段階もあります。
今日できることは、嫌な人を変えることではなく「一場面を記録すること」です
職場の人間関係を、今日一日で解決することはできないかもしれません。
相手を反省させることも、全員から理解してもらうことも、自分一人では決められません。
でも、つらさを曖昧なまま抱える状態からは動けます。
今日、紙やスマートフォンへ次の四つだけ書いてみてください。
- いつ、どこで起きたか
- 実際に何を言われ、何をされたか
- 仕事へどんな影響があったか
- 何が変われば働きやすくなるか
たとえば、次のように書きます。
「午後1時、休憩室で、Aさんから『50代なのにそんなことも分からないの』と言われた。周囲に二人いた。その後、質問しづらくなり、作業の確認が遅れた。教育担当を別の人にするか、質問を責任者へ直接できるようにしてほしい」
ここまで書ければ、単に「つらい」と我慢していた状態から、「何を伝えるか」が見える状態へ変わります。
全員と仲良くなる必要はありません。
年下の人に何を言われても笑って受け流す必要も、生活費のために体調を壊すまで耐える必要もありません。
まずは、次の一回だけ変えてみてください。
仕事を追加されたら、黙って引き受ける前に「今の担当のうち、どれを後にしますか」と尋ねる。嫌味を言われたら、「仕事について直接伝えてください」と返す。相談するときは、一場面の記録を持っていく。
それでも状況が変わらなければ、その記録は、外へ相談する材料にも、離れる決断をする材料にもなります。
続けるにしても、辞めるにしても、あなたが弱かったからではありません。自分が安心して働ける場所を選び直すことも、これからの生活を守るための仕事の一つです。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「あかるい職場応援団」:職場のパワーハラスメントの定義や具体的な考え方の確認先。
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」:いじめ、嫌がらせ、パワーハラスメント、雇止めなど、幅広い職場トラブルの相談先。
- 厚生労働省「パートタイム労働者、有期雇用労働者の雇用管理の改善のために」「多様な働き方の実現応援サイト」:パートタイム・有期雇用労働法や待遇差に関する確認先。
- 厚生労働省「こころの耳」:働く人や家族を対象とする、仕事、人間関係、心身の不調に関する電話・SNS・メール相談の案内。
- 制度、相談受付時間、利用条件は変更される場合があります。利用時は各機関の公式案内で最新情報をご確認ください。


















