同じ会社を三つのサイトで見つけて、応募したか分からなくなる
朝、求人サイトから届いたメールを開くと、昨日見た会社が「新着求人」として載っている。
別のサイトにも似た募集があった気がする。応募したのはどちらだったか。そもそも、保存しただけだったか。
そのうち電話が鳴っても、どの会社からの連絡か分からず出るのをためらう。メールには「応募ありがとうございます」と書かれているのに、求人名を見ても思い出せません。
仕事を探すために登録したはずなのに、通知を整理することが仕事のようになってしまいます。
複数の求人サイトを使うこと自体が問題なのではありません。掲載されている会社や職種が異なるため、入口を増やすことで見つかる求人もあります。
ただし、役割を決めずに登録数だけ増やすと、求人を比較する前に疲れてしまいます。
最初に必要なのは、最も多くのサイトへ登録することではなく、どのサイトを何のために使うか決めることです。
最初は「主に見る場所・補う場所・人に聞く場所」の三つで足ります
求人の探し方には、それぞれ得意な範囲があります。一つのサイトだけで全てを探そうとする必要はありませんが、同じ役割のサイトを何個も並べる必要もありません。
| 探し方 | 向いている使い方 | 応募前に気をつけること |
|---|---|---|
| 総合型の求人サイト | 地域、職種、時間帯などを広く検索する | 対象年齢だけでなく、実際の仕事内容や体力負担を見る |
| シニア向け求人サイト | 年齢を理由に応募しにくいと感じる人が、シニア歓迎求人を探す | 「シニア歓迎」でも勤務時間や業務量が軽いとは限らない |
| ハローワーク | 求人検索に加え、職業相談や紹介を受けたい | 求人票で分からない点は、窓口から事業所へ確認してもらえる場合がある |
| 人材紹介・派遣会社 | 希望条件を伝え、求人提案や日程調整を任せたい | 雇用主、契約期間、更新条件、派遣先での仕事内容を確かめる |
| シルバー人材センター | 地域の短時間業務や、生きがいを含めた就業を探す | 仕事によって請負、委任、派遣、職業紹介などの形が異なる |
例えば、次の組み合わせなら役割が重なりすぎません。
- 主に見る場所:総合型またはシニア向け求人サイトを一つ
- 不足を補う場所:もう一つ、掲載職種の違う求人サイト
- 人に聞く場所:ハローワークの生涯現役支援窓口など
登録数に正解はありません。ただ、求人の見落としが心配で次々に登録している段階なら、まず2〜3種類で一週間探してみる方が、自分に必要な入口を判断しやすくなります。
求人サイトを増やす目的は、同じ求人を何度も見ることではありません。「広く探す」「シニア歓迎を探す」「人に相談する」のように役割を分けると、登録数を増やしすぎずに済みます。
求人を見る時間より、通知を消す時間が長くなったら増やしすぎです
サイトを増やしたことで選択肢が広がっているのか、それとも仕事探しが散らかっているのか。次の状態が続くなら、いったん登録先を減らす時期です。
- 同じ会社の求人を何度も開いている
- どこから応募したか思い出せない
- スカウトメールを読むだけで一日が終わる
- 応募期限や面接日時を見落とした
- 登録内容を複数サイトで直すのが負担になっている
- 希望していない地域や職種の通知ばかり届く
- 求人を比べるほど、自分の希望が分からなくなっている
使わないサイトを退会するところまで急がなくても構いません。
まず通知を停止し、二週間ほど開かずに様子を見ます。それで困らなければ、今の仕事探しには必要性が低い可能性があります。
反対に、応募したい求人が一つのサイトへ偏っているなら、そのサイトを主な入口にします。
サイトへ登録する前に、「譲れない条件」を五つだけ決めます
求人サイトごとに検索条件が違うと、片方では週3日、もう片方では週5日の求人を保存するなど、比較の基準が崩れます。
最初に、どのサイトでも共通して使う条件を決めます。
- 通勤時間は片道何分までか
- 週に何日、1日に何時間まで働くか
- 立ち仕事、荷物運び、夜勤など避けたい作業は何か
- 毎月いくら程度の収入が必要か
- 必ず休みたい曜日や、通院など外せない予定はあるか
条件を厳しくしすぎると求人がほとんど残らないこともあります。そのため、譲れない条件とは別に、「できれば希望する条件」も分けておきます。
例えば、「通勤30分以内は譲れないが、事務職であることは希望」「週3日は譲れないが、曜日は相談できる」という形です。
求人サイトごとに違う人物になって探すのではなく、同じ基準で求人を見比べられるようにします。
応募ボタンを押す前に、一つの応募記録を作ります
応募管理は、高度な表計算ソフトでなくてもできます。
スマートフォンのメモ、紙のノート、カレンダーなど、自分が毎日見られるものを一つだけ使います。
記録するのは次の項目です。
- 応募した日
- 会社名と店舗・事業所名
- 職種名
- 応募した求人サイト名
- 求人ページのURLまたは求人番号
- 勤務地、勤務日数、勤務時間
- 時給または月給、交通費
- 応募後の状態
- 次にすることと期限
- 担当者名、電話番号、メールアドレス
応募後の状態は、文章で長く書かなくても構いません。
「保存」「応募済み」「返事待ち」「面接予定」「辞退」「不採用」「採用」のように決めておくと、一覧で見分けられます。
特に大切なのは、求人サイトの名前です。
同じ会社へ応募しても、サイト上のメッセージ機能で連絡が来る場合と、会社から直接メールや電話が来る場合があります。どの入口を使ったか分かれば、返信先を探しやすくなります。
同じ求人が別のサイトに出ていたら、条件を横に並べます
会社名や仕事内容が同じでも、掲載日、勤務時間、時給、雇用形態が少し違う求人があります。
単なる重複掲載の場合もあれば、店舗、勤務時間帯、雇用主、紹介会社が異なる場合もあります。
次の点を見比べてください。
- 会社名と実際の勤務先
- 職種名と具体的な作業内容
- 雇用主が勤務先企業か、派遣会社か、紹介会社か
- 勤務地と勤務時間
- 給与、交通費、手当
- 掲載日と応募期限
- 求人番号や管理番号
- 契約期間と更新の有無
同じ求人だと判断できる場合は、一つの経路から応募します。
どちらから応募するか迷ったら、掲載日が新しい、仕事内容が具体的、問い合わせ先が明確、希望条件が詳しく記載されている方を候補にします。人による支援が必要なら、窓口や担当者を通じて応募できる経路を選ぶ方法もあります。
誤って同じ会社へ二重に応募してしまった場合は、放置せず短く連絡します。
「別の求人サイトからも同じ募集へ応募してしまったことに気づきました。重複した応募となり申し訳ありません。○○サイトから送った応募を正式な応募として扱っていただけますでしょうか」
間違いをごまかすより、先に伝えた方が採用担当者も応募情報をまとめやすくなります。
連絡先は一つにまとめ、電話に出られる時間を伝えます
複数サイトへ登録すると、通知メール、サイト内メッセージ、SMS、電話が同時に届きます。
普段使うメールに買い物や家族からの連絡も入っていると、応募先からのメールが埋もれます。
仕事探し専用のメールアドレスを一つ作る方法があります。難しい場合は、今のメール内に「仕事応募」というフォルダを作り、求人サイトや応募先からのメールを移します。
電話へすぐ出られない事情があるなら、応募文に連絡可能な時間を書いて構いません。
「平日の午後1時から4時頃は電話に出やすいです。出られなかった場合は、留守番電話へ会社名とご用件を残していただけますと助かります」
知らない番号からの着信だけで判断せず、留守番電話やメールも確かめます。ただし、応募していない会社から個人情報や振込を求める電話には、その場で答えないでください。
スカウトメールは、採用の約束ではありません
登録後、「あなたの経歴に興味を持ちました」「ぜひ応募してください」といった連絡が届くことがあります。
声をかけてもらえたことは応募のきっかけになりますが、面接や採用が決まったわけではありません。登録条件に合う人へ、広く送られている場合もあります。
次の内容が書かれているかを見ます。
- どの職歴や資格を見て連絡したのか
- 会社名、勤務地、仕事内容が具体的か
- 勤務時間と給与が明示されているか
- 面接前に費用を求められないか
- 求人サイト外の通信アプリへ急いで移るよう求められないか
興味がなければ、すべてへ返信する必要はありません。
応募したい場合も、届いた文面だけで決めず、求人ページと企業の公式情報を見てから進みます。
使い回してよいのは経歴の事実。応募理由は求人に合わせます
複数の求人サイトへ、職歴を一から入力するのは大変です。
勤務先、在籍期間、担当業務、資格などの事実は、元になる文章を一つ作って使い回せます。
ただし、自己紹介や応募理由まで全社同じにすると、今回の仕事をなぜ選んだのかが伝わりにくくなります。
応募先ごとに変えるのは、次の部分だけでも十分です。
- その求人で生かせる経験
- 希望する勤務日数と時間
- 長く続けられる理由
- 仕事内容のどこに関心を持ったか
例えば、清掃の求人なら、前職の肩書きを長く説明するよりも、次のように伝えた方が仕事とのつながりが見えます。
「前職では店舗の開店準備と安全確認を担当していました。決められた手順を守り、周囲を見ながら作業する経験を清掃業務でも生かしたいと考えています」
「年齢のため何でも構いません」「シニアですが雇ってください」と自分を下げる必要はありません。
できることと希望条件を、仕事に関係する言葉で伝えます。
求人票では、時給以外に「後から変わる範囲」を見ます
応募前には、仕事内容と勤務場所がどこまで変わる可能性があるかも見てください。
求人募集では、業務内容や就業場所の変更範囲、有期契約を更新する場合の基準なども明示対象になっています。
求人ページに記載がない、または意味が分かりにくい場合は、応募先へ尋ねます。
- 採用後に担当する具体的な業務
- 別の業務へ変更される可能性
- 別店舗や別事業所へ異動する可能性
- 契約期間と更新の判断基準
- 更新回数や通算契約期間に上限があるか
- 試用期間中に給与や時間が変わるか
- 残業、休日出勤、追加シフトの有無
- 交通費と社会保険の扱い
応募前に全てが決まっていない場合でも、「入社してから考えます」で済ませず、現時点の条件を書面で確かめます。
サイトごとに表現が違うときは、面接時に次のように聞けます。
「二つの求人サイトで勤務時間の記載が違っていました。現在募集している条件は、週3日、午前9時から午後3時で合っていますか」
仕事を始める前にお金を払う求人は、いったん止まります
求人サイトだけでなく、SNS広告やメッセージから「簡単な副業」「スマートフォンだけで高収入」と案内されることがあります。
次のような募集には注意してください。
- 仕事内容が曖昧なのに、高収入だけを強調する
- 応募後すぐ、別の通信アプリへ移動させる
- 研修費、登録料、教材費、サポート料を先に求める
- 作業ミスや違約金を理由に追加送金を求める
- 商品を購入すれば仕事を紹介すると言われる
- 銀行の暗証番号やネットバンキングの情報を聞かれる
- 荷物や現金を受け取り、別の場所へ送るよう指示される
- 断ると、損害賠償や法的措置を示して急かす
通常の給与振込に口座情報が必要になることはありますが、暗証番号やログイン用パスワードを会社へ知らせる必要はありません。
すでに支払った場合は、相手とのメッセージ、求人画面、振込記録、契約書を消さずに残します。消費者ホットライン188では、地域の消費生活相談窓口につながる案内を受けられます。
求人サイトだけで決めにくいときは、検索ではなく人へ条件を伝えます
何百件見ても合う求人が分からないときは、検索条件の問題ではなく、希望の言葉にしにくさが原因かもしれません。
全国の主要なハローワークには、概ね60歳以上の求職者を対象とした生涯現役支援窓口があります。これまでの経験、生活環境、年金受給の状況などを踏まえた職業相談や職業紹介、職場見学などの案内を受けられる場合があります。
窓口では、求人サイトの登録数を説明するより、探している条件を伝えます。
「三つの求人サイトを使っていますが、同じ求人が多く、自分に合う仕事を絞れません。週3日、1日5時間以内、通勤30分以内で、立ち続けない仕事を探しています」
シルバー人材センターを利用する場合は、一般的なパート採用と同じとは限らない点にも注意が必要です。
登録前に、「雇用契約ですか」「仕事は毎月どの程度ありますか」「仕事中のけがにはどの保険が適用されますか」と確かめます。
ご家族が手伝う場合も、本人の知らないところで応募しません
スマートフォンの操作が苦手な親御さんに代わり、子ども世代のご家族が求人を探すこともあります。
検索や入力を手伝うことはできますが、本人が知らないまま応募すると、突然電話が来ても仕事内容が分からず、本人が困ります。
ご家族が手伝う範囲を分けてください。
- 求人を探して候補を三件まで見せる
- 本人と一緒に勤務条件を読む
- 職歴入力を補助する
- 応募前に、本人が希望しているか確かめる
- 面接日時は本人の予定を見て決める
- 家族の電話番号やメールを本人の連絡先として無断で登録しない
本人が「もう働きたくない」のか、「応募操作が分からないだけ」なのかでも、必要な支援は違います。
「代わりに応募しておいた」ではなく、「この三件のうち、話を聞いてみたい会社はある?」と選べる形にします。
一週間に一度、20分だけ求人サイトを整理します
仕事探しは、毎日長く続ければよいとは限りません。
週に一度、20分だけ応募状況を見直します。
- 返事を待っている会社はどこか
- 面接日時や返信期限は近くないか
- 同じ求人を二重に保存していないか
- 希望条件から外れた求人を消せるか
- 役に立っていないサイトの通知を止めるか
- 登録情報に古い勤務希望が残っていないか
応募中の会社があるサイトは、選考が終わる前に退会しない方が連絡を追いやすくなります。
選考が終わり、今後も使わないと決めたサイトは、保存した求人やメッセージを見たうえで、退会方法や登録情報の扱いを公式ページで確かめてください。
今日は、登録中のサイトを「主・補助・停止」に分けます
新しい求人を探す前に、スマートフォンのメモを開きます。
現在登録している求人サイトの名前を並べ、それぞれの横に三つのうち一つを書いてください。
- 主:今後も毎週見るサイト
- 補助:主なサイトにない求人だけを見るサイト
- 停止:通知を止め、しばらく使わないサイト
主にするサイトは一つ、補助は一つか二つで十分です。
その後、応募記録へ「会社名・応募日・サイト名」の三項目だけを入れます。過去の応募を全部思い出せなくても、今日以降の分から始めれば構いません。
求人を増やす前に入口を減らすと、自分が探していた働き方が見えやすくなります。


















