出かける予定があり、久しぶりに以前よく着ていた服を出した。
ボタンは留まる。鏡の前にも立てる。それなのに、どうもしっくりきません。
お腹まわりだけが強調されて見える。肩が落ち、袖が長く感じる。以前は顔が明るく見えた色なのに、今日は服だけが浮いているようです。
別の服へ着替えても落ち着かず、最後には「何を着ても似合わない」と、外出そのものが嫌になることがあります。
体重が増えたことへの落ち込みだけではありません。昔の自分には戻れないような寂しさもあれば、服にそこまで悩む自分への腹立たしさもある。買い替えれば済むと思いながら、以前の服を手放すのもためらいます。
服が似合わなくなったと感じるとき、変わっているのは体重だけではありません。肩の位置、筋肉の付き方、姿勢、顔まわり、服の生地や形との相性が変わっていることがあります。
「似合わない」を一つの問題にしないでください
鏡を見て違和感があると、すぐに「太ったから」「老けたから」と考えがちです。
けれど、服が合わなくなった理由は、少なくとも次の三つに分けられます。
| 起きていること | よくある状態 | 先にすること |
|---|---|---|
| 着られない | ファスナーが上がらない、腕や首が通らない | 今の寸法に合うサイズへ替える |
| 着られるが苦しい | 座るとお腹が圧迫される、腕を上げにくい | ゆとり、伸縮性、着丈を見直す |
| 着られるが似合わない | 肩が落ちる、丈が中途半端、顔色が沈む | 服の形、色、重心、姿勢との相性を見る |
「着られない服」を着こなしで解決することは難しく、「似合わない服」をすべて大きいサイズへ替えても解決しません。
何が起きているのかを分けると、体を責める前に服の方を直せる部分が見えてきます。
鏡の印象だけで決めず、座る、歩く、腕を上げる動作まで行います。動きにくい服は、見た目が整っていても今の生活には合っていません。
昔のサイズ表示を、現在の自分への評価にしないでください
以前は9号だった、Mサイズを着ていた、ウエストは何センチだった。
数字には、自分の過去が結び付いています。そのため、大きいサイズを試すことが、体型の変化を認めるようで嫌に感じることがあります。
ただし、服のサイズ表示は、体の良し悪しを示す数字ではありません。
同じMサイズでも、メーカー、年代、デザインによって肩幅や身幅は異なります。伸びない生地のMと、ゆったりした形のMも同じではありません。
無理に以前と同じ表示を選ぶと、横方向へ引っ張られ、しわが増えます。かえって体の線が強く見えることもあります。
試着するときは、サイズ札を見て落ち込む前に、正面と横から次を見てください。
- 肩の縫い目が本来の肩より大きくずれていないか
- 胸やお腹から横方向のしわが出ていないか
- 背中が引っ張られていないか
- 首元が浮いたり、詰まりすぎたりしていないか
- 裾が前だけ持ち上がっていないか
表示が一つ大きくても、しわが減り、姿勢が自然に見えるなら、その服の方が現在の体に合っています。
体重では分からない変化を、四か所だけ測ります
体重がほとんど変わっていないのに、以前の服が合わなくなることがあります。
加齢に伴い筋肉量や姿勢が変われば、同じ体重でも服の収まり方は変わります。反対に、体重が増えても、すべての部位が同じように変わるわけではありません。
服選びのために体を見るなら、体重だけでなく、次の四か所を測ります。
- 胸まわり
- お腹の最も出ている部分
- 腰・お尻まわり
- 肩から手首、または股下の長さ
ウエストは、細い場所だけでなく、実際にパンツやスカートのベルト部分が当たる位置も測ります。
さらに、今着ていて楽な服を平らに置き、身幅、着丈、ウエスト幅、股上を測っておくと、店舗や通販で比較しやすくなります。
体の数字だけを見て服を選ぶより、「楽に着られる服の寸法」を基準にする方が、失敗を減らせます。
今着られる三着から、現在の似合う条件を見つけます
クローゼットを全部見直そうとすると、着られない服の多さに気持ちが疲れます。
最初に探すのは、手放す服ではありません。今着ていて比較的落ち着く服を三着選びます。
選んだ三着について、共通点を見てください。
- 首元が少し開いている
- 肩がきちんと合っている
- お腹の前に生地が張り付かない
- 腰の位置が高く見える
- 落ち感のある生地で横へ広がりにくい
- 顔の近くに明るい色がある
- 前を開けて縦の線を作れる
「何を着ても似合わない」のではなく、以前合っていた形が、今の体との相性を失っているだけかもしれません。
現在似合う条件が二つか三つ分かれば、新しい服を選ぶ基準になります。
気になる部位を隠すより、服の重心を整えます
体型が気になると、体全体を大きな服で覆いたくなることがあります。
ゆとりは必要ですが、肩も袖も裾も大きい服では、体の輪郭が広がって見える場合があります。
お腹まわりが気になる場合
お腹へ張り付く薄い生地や、最も出ている位置で終わる短い丈は、線を拾いやすくなります。
肩は合っていて、お腹の前へ少しゆとりがある形を選びます。前開きの羽織りで縦の線を作る方法もあります。
パンツやスカートは、立った状態だけでなく、座ったときに食い込まない位置と股上を見てください。
胸や背中の厚みが変わった場合
前のボタンが開く、背中に横じわが出るときは、胸囲だけでなく肩や背中の幅が足りない可能性があります。
首が詰まりすぎる服より、少し縦へ開いた襟元の方が、顔まわりがすっきり見える場合があります。
肩や腕が細くなった場合
大きいサイズを選び続けると、肩が落ち、袖が長くなります。
身幅に余裕があっても、肩線が大きくずれない服を探します。袖丈を直すだけで、全体が整って見えることもあります。
腰やお尻の形が変わった場合
パンツが後ろだけ余る、前だけ苦しい場合は、サイズより股上や型紙が合っていない可能性があります。
同じ号数でも、細身、標準、ゆったり型を比べてください。ベルトで強く締めて合わせるより、腰まわりの形が合う一本を持つ方が楽です。
試着室では立ち姿だけで決めません
店の鏡の前ではきれいに見えたのに、家で着たら苦しかった。そうした失敗は、試着中に動いていないことから起こります。
試着したら、次の動作を行います。
- 椅子へ座る
- 腕を前と上へ伸ばす
- 床の物を取るつもりで少しかがむ
- 上着やコートを重ねる
- 店内を数分歩く
座るとウエストが苦しい、腕を上げると裾まで持ち上がる、歩くとスカートが回る。こうした服は、外出中も何度も直すことになります。
また、姿勢を作って鏡を見るだけでなく、普段の立ち方へ戻して見てください。
試着中だけ胸を張り、お腹を引っ込めなければ着られない服は、長時間着るには負担があります。
顔映りが変わったときは、服の色を全部捨てなくて構いません
以前似合っていた濃い色やくすんだ色が、急に顔を疲れて見せることがあります。
肌、髪、眉、眼鏡の色が変わると、顔の近くに置いた色の見え方も変わります。
ただし、好きな色の服を全部処分する必要はありません。
- 顔と服の間に白や明るい色の襟を入れる
- スカーフやネックレスで顔まわりに明るさを足す
- 濃い色はパンツやスカートへ回す
- 眼鏡や口紅の色との組合せを変える
- 昼間の自然光でも一度見る
室内照明だけでは、顔色が実際より黄色く、または青白く見えることがあります。
「この色はもう似合わない」と決める前に、顔から離した位置で使えないかを試します。
姿勢の変化は、服の丈と前後差に表れます
背中が丸くなる、腰が反る、肩の高さが左右で違うと、服の裾が前後でそろわなくなることがあります。
前だけ短くなる、後ろ襟が抜ける、ジャケットの片側だけしわが寄る場合は、体重より姿勢や左右差が関係しているかもしれません。
姿勢を無理に正した状態に服を合わせるのではなく、普段の立ち方で丈を決めます。
肩パッドを外す、左右の袖丈を調整する、前後差のある裾を選ぶなど、服側のお直しで整う場合もあります。
痛みやしびれがあり、急に姿勢が変わった、片側だけ動かしにくいという場合は、着こなしの問題にせず医療機関へ伝えてください。
全部を買い替える前に、服を四つへ分けます
体型が変わったからといって、クローゼットの中身を一日ですべて入れ替える必要はありません。
服を次の四つに分けます。
- 今すぐ着られる:動きやすく、外出に使える
- 直せば着られる:袖、裾、ウエスト、ボタン位置などを直したい
- しばらく保留:思い入れがあり、今は手放せない
- 手放してよい:苦しい、傷んでいる、数年着ていない
保留の服には期限を付けます。「半年後にもう一度見る」と決め、一か所へまとめてください。
毎朝、着られない服が目に入る状態を減らすだけでも、服選びの負担は軽くなります。
お直しは「痩せたら着る」までの応急処置ではありません
袖が長い、裾が中途半端、ウエストだけ苦しいという服は、お直しで着やすくなる場合があります。
特に、肩幅や生地が気に入っている服は、買い替えるより直した方がよいことがあります。
店へ持ち込むときは、普段合わせる下着や靴を着用し、次のように伝えてください。
「立ったときだけでなく、座ったときにもお腹が苦しくないようにしたいです」
「腕を上げることが多いので、肩まわりの動きも見てください」
反対に、肩幅、生地の傷み、全体の形が今の体と合わない場合は、複数箇所を直すより買い替えた方が安いこともあります。
買い足すなら「一式」ではなく、土台になる三点から始めます
服が似合わないと感じると、上着から靴まで一度に買い替えたくなります。
しかし、試着に慣れないまままとめて購入すると、同じ失敗を繰り返しやすくなります。
最初は、現在の生活で使う三点から整えます。
- 座っても苦しくないボトムス
- 肩と胸まわりが合う上着またはシャツ
- 手持ちの服と合わせやすい羽織り
この三点を基準に、手持ちの服を組み合わせます。
新しい服が必要なのは、体型が変わった自分を隠すためではありません。今の体で、仕事、外出、食事、通院を無理なく行うためです。
通販では、モデル写真より服そのものの寸法を見ます
通販は店舗へ行かずに選べますが、同じサイズ表記でも実寸が違います。
商品ページでは、次の内容を見てください。
- 商品の仕上がり寸法
- 生地の伸縮性と厚み
- 裏地の有無
- モデルの身長だけでなく着用サイズ
- 返品・交換できる期限と条件
- 返送費を誰が負担するか
自分の体の寸法と同じ数値ではなく、服に必要なゆとりを含めて選びます。
手持ちで着やすい服の身幅や着丈と比べる方が、商品写真だけで判断するより確実です。
届いた服は、タグを外す前に室内で試着します。座る、歩く、上着を重ねるところまで行い、返品する場合に備えて包装や伝票を残してください。
冠婚葬祭や面接が近いときは、体型を変える計画を先にしません
結婚式、同窓会、面接、法事が近づくと、「その日までに痩せなければ」と考えることがあります。
短期間で体型を変えることを前提に服を選ぶと、当日にサイズが合わない可能性があります。
先に、現在の体で座れて、歩けて、長時間着られる一着を確保してください。
礼服やスーツは、次の順番で見ます。
- 肩と背中が引っ張られないか
- 前を留めて座れるか
- 食事後も苦しくないか
- 裾や袖が移動の邪魔にならないか
- 靴を履いて安全に歩けるか
当日まで時間がなければ、購入だけでなく、レンタルや手持ち服のお直しも選択肢になります。
家族からの「太ったね」を、服選びの基準にしないでください
家族は軽い気持ちで、「その服、前の方が似合った」「少し太ったんじゃない」と言うことがあります。
本人は、鏡を見るたびに気にしていたことを言葉にされ、外出する気力まで失うかもしれません。
服について意見を聞く場合は、体型の評価ではなく、具体的な見え方を尋ねます。
「太って見えるかではなく、肩と丈のどちらが合っていないように見える?」
「この二着なら、どちらが顔色が明るく見える?」
家族側も、本人が頼んでいないのに減量を勧めたり、食べる量を監視したりする必要はありません。
体調が気になる場合は、見た目ではなく変化を伝えます。
「最近、服が急にゆるくなり、食事も減っているのが気になっている」
急な体型変化は、服の買い替えだけで終わらせません
年齢とともに体つきが少しずつ変わることはあります。
一方、次のような変化がある場合は、服の問題だけと考えず、かかりつけ医などへ伝えてください。
- 減量をしていないのに、短期間で体重が大きく減った
- 食欲低下、飲み込みにくさ、強い疲労感が続いている
- 急に体重が増え、足や顔のむくみ、息切れがある
- お腹だけが急に張る、痛みや便通の変化がある
- 薬を変更してから体重やむくみが変わった
- 立ち上がりや歩行が以前より難しくなった
- 更年期と思われる不調で、仕事や日常生活に支障が出ている
高齢期の意図しない体重減少は、食事量の低下、口や歯の問題、薬の影響、病気、活動量の低下など、さまざまな要因と関係することがあります。
受診時には、「太った」「痩せた」だけでなく、いつ頃から、何キロ程度、食事や活動量にどんな変化があるかを伝えます。
「三か月ほどで服が急にゆるくなりました。減量はしておらず、食欲も落ちています」
その情報があると、医師も体型変化の背景を判断しやすくなります。
運動は服へ体を戻す罰ではなく、動きやすさを守るために行います
以前の服が入らないと、急に食事を減らしたり、無理な運動を始めたりしたくなることがあります。
けれど、50代以降は体重だけでなく、筋力や日常の動きやすさも見たい時期です。
厚生労働省の情報では、加齢に伴い筋肉量や基礎代謝量が低下することが示されています。高齢期には、体重を減らしすぎることが低栄養や筋力低下につながる場合もあります。
体を動かすなら、持病や痛みに合わせ、次のような日常動作から始めます。
- 座り続ける時間の途中で立つ
- 近所を無理のない時間だけ歩く
- 椅子からゆっくり立って座る
- 買い物や家事で体を動かす時間を保つ
膝、腰、胸などに痛みがある場合は、服を着るために無理をせず、医師や運動の専門職へ自分に合う方法を尋ねてください。
今夜は、明日着る一組だけを10分間試します
クローゼット全体を片付ける必要はありません。
明日着る上下一組を選び、家の中で10分間着てください。
鏡を見る前に、椅子へ座り、腕を上げ、部屋を歩きます。
その後、違和感を一つだけ言葉にします。
「お腹が目立つ」ではなく、「座るとウエストが食い込む」
「老けて見える」ではなく、「肩が落ち、袖が長い」
「全部似合わない」ではなく、「顔の近くの色が暗く見える」
理由が一つ分かれば、明日は大きいサイズを試す、袖を折る、明るい襟元を足すなど、服側で一つ変えられます。
以前の体へ戻るまで外出を待つ必要はありません。今の体が楽に動け、鏡の前で何度も直さなくて済む服を一組作る。そこから、これからの服選びを始められます。













