「残ってほしい」と言われたのに、素直に喜べないことがあります
定年の半年ほど前、人事担当者から再雇用の説明を受ける。
「これまでの経験を生かして、定年後も働いていただきたい」と言われ、必要とされていることはうれしく感じます。
ところが、示された条件を見ると、役職は外れ、給与は下がる予定です。勤務は週5日のまま、通勤時間も変わりません。仕事内容については、「今までの業務を基本に、後輩の支援もお願いします」とだけ書かれています。
帰宅して配偶者へ話すと、「年金だけでは心配だから、働けるうちは働いた方がいいんじゃない」と言われました。
家計を考えれば、その意見も分かります。
一方で、心の中には別の思いがあります。
「給与が大きく下がるのに、責任だけ残るのではないか」
「ようやく自由になると思っていたのに、また同じ生活が続くのか」
「断った後で生活費が足りなくなったら後悔しそう」
「長く勤めた会社の頼みを断るのは、恩知らずではないか」
再雇用を迷うのは、働きたいか、働きたくないかだけの問題ではありません。
収入の安心、これまでの会社との関係、体力、自由な時間、家族の希望が一つの返事に重なっているからです。
まずは、再雇用を受けることを「正解」、断ることを「もったいない」と決めず、定年後の毎日がどう変わるのかを具体的に見ていきます。
返事をする前に、口頭説明を一枚の条件表へ変えます
「今までどおり働いてほしい」「少し責任を軽くする」といった説明だけでは、実際の暮らしを想像できません。
次の項目を、書面またはメールで受け取ります。
| 確かめる項目 | 具体的に聞く内容 |
|---|---|
| 雇用期間 | 契約の開始日と終了日、更新の有無、更新判断の基準 |
| 勤務日数 | 週何日か、繁忙時に増えることがあるか |
| 勤務時間 | 始業・終業、休憩、残業、早出の有無 |
| 仕事内容 | 定年前から残る仕事、新しく加わる仕事、責任の範囲 |
| 役職・指揮命令 | 誰の指示を受け、誰を指導する立場になるか |
| 勤務地 | 現在地のままか、異動・応援勤務があるか |
| 賃金 | 基本給、手当、賞与、昇給、残業代、締日と支払日 |
| 社会保険 | 健康保険、厚生年金、雇用保険へ引き続き加入するか |
| 休暇 | 年次有給休暇、病気時の休み、介護との両立制度 |
| 退職時の扱い | 再雇用終了後の退職金や慰労金があるか |
高年齢者雇用安定法では、65歳未満の定年を定める会社に、定年の引上げ、継続雇用制度、定年制の廃止のいずれかによる65歳までの雇用確保措置を求めています。継続雇用制度を採用する場合、2025年4月以降は原則として希望者全員を対象とする必要があります。
これは、本人が再雇用を必ず受けなければならないという意味ではありません。
会社から選択肢を示されたうえで、本人が条件を見て希望するかどうかを決めます。
「給与が何割になるか」だけでは、手元に残るお金が分かりません
定年前の年収が600万円、再雇用後が300万円と聞くと、「半分になる」と強く感じます。
ただし、判断するときは年収だけでなく、毎月の手取りと仕事のために使う費用を見ます。
| 比べるお金 | 見る内容 |
|---|---|
| 毎月の給与 | 税金・社会保険料を引く前と後の金額 |
| 賞与 | 支給の有無、業績による変動 |
| 通勤費 | 会社支給分と、自分で負担する駐車場・車両費等 |
| 昼食・被服費 | 出勤日に増える食費、服、靴、クリーニング等 |
| 家事の外注・家族負担 | 働き続けることで別に必要になる費用や手間 |
| 年金 | 受給開始時期、働き続けた場合の見込額 |
| 給付 | 高年齢雇用継続給付の対象になるか |
たとえば手取り月額が思ったより少なくても、厚生年金への加入が続き、預貯金の取り崩しを遅らせられるなら、働く意味を感じる人もいます。
反対に、通勤や食事、仕事着に費用がかかり、体調を整えるための出費まで増えるなら、給与額だけで考えたほど家計が楽にならない場合があります。
高年齢雇用継続給付は、自動的に全員へ支払われるものではありません
60歳以降に賃金が下がると、「国が差額を補ってくれる」と聞くことがあります。
高年齢雇用継続給付は、原則として60歳以上65歳未満の一定の雇用保険被保険者が、60歳到達時などと比べて賃金が75%未満へ低下した状態で働く場合に、要件を満たすと支給される制度です。
2025年4月1日以降に60歳へ達した人などは、各月の賃金に対する支給率が最大10%となっています。実際の支給額は賃金の低下率や上限額等によって変わります。
| 会社へ聞くこと | 理由 |
|---|---|
| 自分は対象になる見込みか | 加入期間や賃金によって対象外となることがある |
| 申請を誰が行うか | 会社が手続きする場合と本人申請の場合がある |
| 給付を含めた月額はいくらか | 給与だけを見た場合との違いを知るため |
| いつまで対象になるか | 原則65歳未満の期間を想定して家計を作るため |
給付があることを前提に再雇用を受けるのではなく、自分の条件で試算してもらった後に判断してください。
年金は、「働いたら全部止まる」とは限りません
年金を受けながら働く場合、給与の額によって年金がどうなるのかも気になります。
厚生年金へ加入しながら老齢厚生年金を受ける人は、賃金と老齢厚生年金の額に応じて、年金の一部または全部が支給停止となる場合があります。
2026年4月からは、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が月65万円を超える場合に、超えた額の半分が支給停止の対象となります。老齢基礎年金は、この仕組みによる支給停止の対象ではありません。基準額は年度によって改定されることがあります。
「給与をもらうと年金が損になる」と一律に判断せず、次の数字をそろえます。
- 再雇用後の標準報酬月額の見込み
- 賞与の見込み
- 老齢厚生年金の月額
- 老齢基礎年金の月額
- 年金を受け始める予定年齢
「ねんきんネット」では、今後の働き方や受給開始年齢などの条件を変えて、老齢年金の見込額を試算できます。共済加入歴などによって試算に制約があるため、判断しにくい場合は年金事務所へ条件を伝えてください。
仕事内容が同じか変わるかで、給与の受け止め方も変わります
給与が下がること自体より、「仕事は何も変わらないのに、定年になっただけで待遇だけが下がる」と感じることが、迷いの大きな原因になる場合があります。
| 再雇用後の変化 | 受け止め方を考える材料 |
|---|---|
| 責任が軽くなる | 最終判断、部下の評価、休日の連絡等がなくなるか |
| 勤務時間が短くなる | 給与の低下と自由時間の増加が釣り合うか |
| 仕事量が減る | 締切、件数、担当範囲が実際に少なくなるか |
| 指導役になる | 自分で処理する仕事と、後輩支援の境界があるか |
| 仕事内容が変わらない | 権限、責任、配置変更の範囲にどのような違いがあるか |
| 若い上司の下で働く | 役割変更を自分が納得して受け入れられるか |
厚生労働省の高年齢者雇用安定法Q&Aでは、再雇用後の労働時間、賃金、待遇は、各種法令を守りながら会社と労働者で十分に話し合うことが重要とされています。また、定年後の再雇用者であることだけを理由に、待遇差が直ちに合理的になるわけではないと示されています。
「再雇用だから仕方がない」と受け入れる前に、次のように尋ねます。
給与と役職が変わることは理解しています。
そのうえで、定年前から外れる責任と、再雇用後も担当する仕事を具体的に教えてください。
緊急時の連絡や部下の評価、最終承認も引き続き担当するのでしょうか。
働くか辞めるかではなく、条件を一段軽くできないか聞いてみます
会社から週5日勤務を示されたからといって、受けるか断るかの二択しかないとは限りません。
会社の制度や業務状況によりますが、次のような希望を伝えられる場合があります。
| 負担に感じること | 尋ねられる条件 |
|---|---|
| 週5日は体力的に難しい | 週3~4日、短時間勤務が可能か |
| 長い通勤を続けたくない | 勤務日をまとめる、近い事業所へ移る、在宅勤務が可能か |
| 管理責任を負いたくない | 実務・指導に限定し、評価や最終判断から外れられるか |
| 残業を避けたい | 残業なしの契約や業務量の調整ができるか |
| 家族の介護がある | 固定休、急な休み、短時間勤務へ対応できるか |
| 長期間は決められない | 一定期間働いた後、更新時に条件を見直せるか |
希望がすべて認められるとは限りません。
それでも、「提示された形では難しいが、この条件なら働ける」と伝えることで、辞退せずに済む場合があります。
再雇用のお話はありがたく思っています。
ただ、現在と同じ週5日勤務を続けることには体力面で迷いがあります。
週3日または一日6時間程度の勤務が可能であれば、前向きに検討したいです。
再雇用を断るなら、まず一年分ではなく毎月の不足額を出します
「退職金もあるから何とかなる」「年金が始まれば大丈夫」と考えていても、実際の収支が見えなければ安心できません。
再雇用を断った場合の毎月の生活を、次のように分けます。
| 入ってくるお金 | 出ていくお金 |
|---|---|
| 配偶者の収入 | 食費・光熱費・通信費 |
| 受給中または受給予定の年金 | 住宅ローン・家賃・固定資産税 |
| 退職金から取り崩せる額 | 健康保険・年金保険料 |
| 個人年金・企業年金等 | 医療費・保険料 |
| ほかの仕事による収入 | 車・住宅の修繕費 |
| 預貯金の利息・運用収入等 | 親の介護・子どもへの援助 |
年金の受給開始まで空白があるなら、その月数に必要な金額を別に出します。
たとえば毎月五万円不足し、年金開始まで三年あるなら、単純計算では180万円に加え、税金、健康保険、家の修繕などの予備費が必要です。
その金額を見て、再雇用を受ける、条件を軽くする、別の短時間仕事を探す、支出を見直すという選択肢を比べます。
退職すると、給与だけでなく健康保険の扱いも変わります
再雇用を断って会社の健康保険資格を失う場合、退職後の健康保険を選ぶ手続きが必要です。
協会けんぽでは、退職後の主な選択肢として、任意継続健康保険、国民健康保険、家族が加入する健康保険の被扶養者という三つを案内しています。保険料や加入要件を比べて選びます。
| 選択肢 | 確かめること |
|---|---|
| 任意継続健康保険 | 加入条件、保険料、申請期限 |
| 国民健康保険 | 前年所得等を基にした保険料、軽減の有無 |
| 家族の被扶養者 | 収入などの認定要件を満たすか |
協会けんぽの任意継続は、退職日までの被保険者期間などの条件を満たし、原則として退職日の翌日から20日以内に申請する必要があります。
保険料は世帯や前年所得、加入していた健康保険によって変わるため、再雇用を断る前に三つの見積もりを取っておくと、退職後の支出をつかみやすくなります。
失業給付は、「再雇用を断れば必ずもらえる」とは限りません
定年後に別の仕事を探すつもりなら、雇用保険の給付が気になるところです。
雇用保険の基本手当は、離職しただけで自動的に支給されるものではありません。働く意思と能力があり、求職活動をしているにもかかわらず就職できない状態など、所定の要件を満たす必要があります。
65歳未満で離職した人は基本手当、65歳以上の高年齢被保険者が離職した場合は、一定の条件を満たすと30日分または50日分に相当する高年齢求職者給付金の対象となる場合があります。
ただし、離職理由、退職日の年齢、雇用保険の加入期間、再就職の意思などで扱いは変わります。
- 再雇用を断った場合の離職理由はどのように記載されるか
- 自分は基本手当と高年齢求職者給付金のどちらに当たるか
- 必要な被保険者期間を満たしているか
- 求職活動を始める予定があるか
- 手続きの期限と必要書類は何か
再雇用を断る前に、会社へ離職票の扱いを尋ね、ハローワークへ自分の年齢と契約内容を伝えて確認してください。
体力の判断は、「今働けているから大丈夫」だけでは足りません
定年前まで働けたことと、同じ生活をさらに五年続けられることは別です。
| 最近の状態 | 再雇用を考える材料 |
|---|---|
| 朝の疲れが抜けない | 通勤日数や始業時間を減らせないか |
| 腰・膝・目の不調がある | 立ち仕事、運転、パソコン作業が続く時間 |
| 通院が増えた | 固定の休みや短時間勤務が必要ではないか |
| 休日は寝て終わる | 働きながら生活を楽しむ余力が残るか |
| 仕事への緊張が強い | 責任が実際に軽くなるか、同じ負担が残るか |
| 家族の介護が始まりそう | 急な休みや勤務変更へ対応できる職場か |
「働ける体か」だけでなく、「働いた後に自分の生活が残るか」を見てください。
体調に心配がある場合は、病名だけでなく、勤務時間、通勤、作業姿勢など具体的な働き方を主治医等へ伝え、無理のない範囲を考える方法もあります。
自由な時間を選ぶなら、退職後の月曜日を想像します
会社を辞めれば、通勤も会議もなくなります。
しかし、自由な時間があることと、満足できる時間を過ごせることは同じではありません。
| 退職後にしたいこと | 具体化する問い |
|---|---|
| 旅行 | 誰と、年に何回、いくら使うか |
| 趣味 | 週に何日、どこで、誰と行うか |
| 家族との時間 | 家族も同じ過ごし方を望んでいるか |
| 地域活動 | 参加したい場所や役割が実際にあるか |
| 学び直し | 学んだ後に何をしたいか |
| 別の仕事 | 週何日、どの程度の収入を希望するか |
| 何もしない時間 | 休息として必要か、孤立につながりそうか |
再雇用を断る理由が「今の仕事が嫌だから」だけだと、退職後に何を始めればよいか分からなくなることがあります。
立派な計画は必要ありません。
平日の朝に散歩する、週一回友人と会う、家の片付けを一部屋ずつ進めるなど、最初の一か月の予定を作ります。
配偶者とは、働くべきかではなく家計への影響を話します
本人は自由な時間を望み、配偶者は収入がなくなることを心配している場合があります。
「もう十分働いた」「まだ働けるのにもったいない」と言い合っても、互いの心配は見えません。
| 本人が伝えたいこと | 配偶者へ見せたい数字 |
|---|---|
| 体力的に同じ勤務を続けるのが難しい | 通院、疲労、勤務日数を減らした場合の収入 |
| 自由な時間を持ちたい | 退職後に必要な生活費と使いたいレジャー費 |
| 別の短時間仕事なら続けたい | 再雇用と別の仕事の手取り・勤務時間 |
| 会社を離れたい | 年金開始までの不足額と預貯金の取り崩し |
再雇用を断りたい気持ちはあるけれど、家計の心配をあなた一人に負わせたくはない。
まず年金が始まるまでの不足額と、退職後の健康保険料を一緒に見たい。
不足が大きければ、週3日で働く方法も含めて考えよう。
本人の働き方は本人の意思が基本ですが、家計や家事の変化は夫婦双方へ影響します。
再雇用を受けるかではなく、二人の生活をどの収入と時間配分で成り立たせるかを話します。
会社への恩義と、今後の雇用契約は分けて考えます
長く働いた会社から必要とされれば、断りにくくなるのは自然です。
引き継ぎが終わっていない、後任が育っていないと言われ、自分が辞めると現場が困るように感じることもあります。
ただし、再雇用は過去へのお礼として無条件に引き受けるものではありません。
| 気になっていること | 分けて考えること |
|---|---|
| 後任が困る | 定年前までに引き継げる範囲と、会社が整える体制 |
| 上司に申し訳ない | 個人的な関係と、今後の契約条件 |
| 取引先へ迷惑をかける | 退職後の連絡先や担当変更を会社がどう伝えるか |
| 必要とされなくなるのが寂しい | 仕事以外で人と関わる場所を作れるか |
| 断ると評価が下がりそう | 退職金や退職手続きへ不当な影響がないか |
引き継ぎに協力することと、条件が合わない再雇用契約を受けることは別です。
返事を急かされたら、確認日を決めて持ち帰ります
「来週までに返事をください」と言われても、条件が曖昧なまま承諾する必要はありません。
再雇用のお話をいただき、ありがとうございます。
家計と健康面を含めて検討したいため、勤務時間、仕事内容、賃金、更新条件を書面でいただけますか。
内容を確認し、○月○日までに返事をいたします。
会社側にも人員配置の都合があります。
返事を先延ばしにするのではなく、不明点と回答日を明確にしてください。
辞退するときは、給与への不満をすべて説明しなくても構いません
再雇用を断る理由が、給与、上司、仕事内容への不満であっても、退職時にすべてを伝える必要はありません。
感謝、結論、理由の概要、引き継ぎへの姿勢を短く伝えます。
再雇用のお話をいただき、ありがとうございました。
家族とも話し合い、健康と今後の生活を考え、定年を一区切りとして退職することにいたしました。
せっかくお声がけいただいたところ恐縮ですが、再雇用は辞退させてください。
退職日までの引き継ぎは、責任を持って進めます。
条件が合わないことを理由にする場合は、次のようにも伝えられます。
提示いただいた条件を検討しましたが、週5日の勤務を継続することが難しく、今回は辞退いたします。
勤務日数の調整もご検討いただき、ありがとうございました。
「二度と働きません」「会社には不満しかありません」と将来の選択肢を閉じる言い方は避け、現在の条件では辞退するという伝え方にします。
辞退届や退職書類へ署名する前に、日付と内容を読みます
会社から「再雇用を希望しない」という書類の提出を求められる場合があります。
- 再雇用を希望しないという意思だけの書類か
- 退職日が正しく記載されているか
- 離職理由についてどのような記載になるか
- 退職金の支給条件へ影響する内容がないか
- 競業避止、秘密保持、損害賠償等の条項が含まれていないか
- 撤回や変更の期限について説明があるか
内容が分からない書類には、その場で署名せず、控えを受け取って読みます。
再雇用を断った後に気持ちが変わっても、同じ条件で受け直せるとは限りません。撤回できる期限があるかを辞退前に尋ねておく方が安全です。
再雇用を断っても、働く道まで閉じるわけではありません
今の会社の再雇用を断ることと、完全に仕事を辞めることは同じではありません。
| 選択肢 | 向いている可能性がある人 |
|---|---|
| 別の会社で短時間勤務 | 今の責任や人間関係から離れ、負担を軽くしたい |
| 経験を生かした補助・指導業務 | 現場の最終責任を負わず、知識を生かしたい |
| 繁忙期だけ働く | 年間を通した勤務より、期間を区切りたい |
| 業務委託 | 時間の自由を重視し、契約や経理を自分で管理できる |
| 職業訓練後に再就職 | 別の仕事へ移るための基礎を学びたい |
| しばらく休んでから求職 | 退職直後に体と生活を整える期間が必要 |
ただし、失業給付には受給期間や求職意思に関する条件があります。
長く休んでから探す予定であれば、手続きの時期を自己判断せず、退職前後にハローワークへ尋ねてください。
迷いが残るときは、二つの一週間を書いて比べます
再雇用を受けた自分と、断った自分の一週間を別々に書きます。
| 見る時間 | 再雇用を受けた一週間 | 再雇用を断った一週間 |
|---|---|---|
| 平日の朝 | 何時に起き、何分通勤するか | 何時に起き、午前中を何に使うか |
| 昼間 | どの仕事と責任を担うか | 家事、運動、趣味、求職等をどう行うか |
| 夕方 | 帰宅後にどの程度の体力が残るか | 人と話す機会や外出があるか |
| 休日 | 疲労回復だけで終わらないか | 予定や役割が何もなく不安にならないか |
| 毎月のお金 | 手取り収入と仕事に伴う支出 | 年金・預貯金と退職後の保険料 |
どちらにも、よい面と不安な面があるはずです。
不安が少ない方を選ぶのではなく、自分で対処できる不安はどちらかを見ます。
今日用意するのは、退職届ではなく三枚の資料です
返事を迷っていると、毎日同じことを考えてしまいます。
今日は、次の三つだけをそろえてください。
- 会社から提示された再雇用の条件
- 再雇用後と退職後の一か月の家計
- 年金見込額と健康保険料を確認するための資料
条件が口頭だけなら、人事担当へ書面を依頼します。
家計は完璧でなくても、住居費、食費、保険料、医療費、毎月の不足額だけを書きます。
そのうえで、紙の最後へ次の問いを書いてください。
「給与が下がっても、この仕事を続けたい理由はあるか」
答えが「収入だけ」であれば、必要な収入を得るために週5日が本当に必要かを考えます。
答えが「人とのつながり」「生活のリズム」「経験を生かしたい」であれば、それを保ちながら日数を減らせないかを会社へ聞きます。
答えが「もう十分働いた」なら、その気持ちを否定せず、退職後の生活費と最初の一か月の過ごし方を準備します。
再雇用を断ることは、働いてきた年月を否定することではありません。
受けることも、会社へしがみつくことではありません。
これからの時間と収入を、自分の生活に合う形へ組み直す選択です。
まずは会社への返事より先に、提示された条件を数字と一週間の暮らしへ置き換えるところから始めてください。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「高年齢者雇用安定法Q&A」:65歳までの雇用確保措置、希望者全員を対象とする継続雇用制度、再雇用後の労働条件。
- 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正」:70歳までの就業機会確保は事業主の努力義務。
- 厚生労働省「高年齢雇用継続給付」:対象となる賃金低下と2025年4月以降の支給率。
- 日本年金機構「在職老齢年金制度」:2026年4月以降の支給停止調整額と計算方法。
- 日本年金機構「ねんきんネットによる年金見込額試算」:働き方や受給開始年齢を変えた年金試算。
- 協会けんぽ「退職後の健康保険」:任意継続、国民健康保険、家族の被扶養者という選択肢。
- 厚生労働省・ハローワーク「雇用保険の基本手当・高年齢求職者給付金」:受給要件、年齢別の給付制度。


















