予定のない休日に、連絡先を開いても送れる相手が見つからない
土曜日の朝、今日は誰かと食事でもしたいと思ってスマートフォンを開いた。
けれど、気軽に声をかけられる人が思い浮かばない。以前の同僚とは退職してから疎遠になり、子どもの学校を通じた付き合いも終わった。昔の友人には、何年も連絡していません。
SNSには、旅行や食事を楽しむ同年代の写真が並んでいます。
自分だけ人間関係を築けなかったように見えて、画面を閉じる。誰かと会いたい気持ちはあるのに、今さらどこへ行き、何を話せばよいのか分かりません。
50代になると、学生時代のように同じ年代の人が毎日集まる場所は減ります。
仕事では立場ができ、家庭では子育てや介護に時間を取られます。離婚、死別、転居、退職などをきっかけに、それまでの付き合いが一度に少なくなることもあります。
これは、人付き合いの能力がなくなったという話ではありません。
人と自然に知り合う仕組みが、生活の中から減っているのです。
「出会いがほしい」の中身を、三つに分けて考えます
出会いがないと感じたとき、すぐ婚活サービスを探す必要はありません。
自分が欲しい関係によって、向いている場所が違うからです。
気軽に話せる知り合いがほしい
毎日連絡を取る親友ではなく、会えば挨拶をする人、一緒にお茶を飲める人、趣味の話ができる人を求めている状態です。
この場合は、地域の講座、運動教室、ボランティアなど、同じ人と何度も会える場所が向いています。
一緒に過ごせる友達がほしい
休日に出かける相手や、悩みを話せる関係を望んでいるなら、一度きりの交流会より、数か月続く活動の方が関係を育てやすくなります。
恋人や将来のパートナーがほしい
恋愛や再婚を望んでいる場合は、その意思がある人が集まる場所を選ばないと、友達関係との行き違いが起こります。
婚活サービスやマッチングアプリだけでなく、紹介、趣味の集まり、再婚希望者向けの催しなども候補になります。
「孤独をなくしたい」と「結婚したい」は同じではありません。
ここを分けるだけでも、申し込む場所を選びやすくなります。
最初から親友や生涯の伴侶を見つけようとすると、一回の出会いへ大きな期待がかかります。まずは「次に会ったとき挨拶できる人を一人つくる」程度から始めて構いません。
一度きりの交流会より、同じ曜日に通える場所を選びます
人間関係を広げようとして、人数の多い交流会へ参加したものの、誰とも話せず疲れて帰った経験があるかもしれません。
その一回だけで、「自分には友達づくりが向いていない」と判断する必要はありません。
初対面の人と短時間で打ち解けることと、時間をかけて関係を築くことは別です。
会話が得意ではない人ほど、毎週または毎月、同じ人と顔を合わせる場所を選んだ方が負担を減らせます。
| 場所 | 向いている人 | 参加前に見ること |
|---|---|---|
| 公民館や自治体の講座 | 費用を抑え、学びながら交流したい人 | 単発か連続講座か、年齢層、申込方法 |
| 習い事や文化教室 | 共通の話題がある方が話しやすい人 | 月謝、教材費、見学や体験の有無 |
| 運動教室やウォーキング | 長い会話より、一緒に体を動かす方が楽な人 | 体力に合うか、競技志向が強すぎないか |
| ボランティア活動 | 役割がある方が人と関わりやすい人 | 活動時間、交通費、保険、担当する作業 |
| 読書会や趣味の集まり | 好きなことを入口に知り合いたい人 | 参加人数、常連中心か、初心者を受け入れているか |
| 婚活イベント | 恋愛や結婚を望む人と直接会いたい人 | 対象年齢、参加費、本人確認、勧誘の有無 |
| マッチングアプリ | 時間や地域に縛られず相手を探したい人 | 利用料金、本人確認、安全対策、解約方法 |
立派な趣味を持っている必要はありません。
スマートフォン講座、料理、写真、歴史散策、園芸、健康体操など、「少し気になる」程度で選べます。
内容よりも、通いやすい曜日と場所であることの方が、関係を続けるうえでは現実的です。
会話が苦手なら、話すことより一緒にすることがある場所へ行きます
交流を目的とした集まりでは、「自由に歓談してください」と言われることがあります。
自由と言われるほど、何を話せばよいのか分からなくなる人もいます。
その場合は、最初から会話を目的にしない場所を選んでください。
- 地域の清掃や花壇整備
- イベントの受付や会場準備
- 図書館や地域行事の手伝い
- 料理や工作の講座
- ウォーキングや軽いスポーツ
- ボードゲームや囲碁・将棋
作業があれば、
「これはどこへ置きますか」
「前回も参加されたんですか」
「初めてなので、やり方を教えてください」
という短い会話から始められます。
全国の都道府県・市区町村にある社会福祉協議会のボランティア・市民活動センターでは、地域によって活動の情報提供や参加先の紹介を行っています。
窓口では、
「50代で、初めて一人で参加します。人と話すだけの集まりより、作業が決まっている活動を探しています」
と伝えると、希望を説明しやすくなります。
「友達をつくらなければ」と力むより、顔を覚えてもらうことから始めます
新しい場所へ参加しても、一度で連絡先を交換できるとは限りません。
むしろ、初日に深い話までしようとすると、帰宅後に疲れ切ってしまいます。
最初の三回は、次の程度を目標にします。
- 一回目は、会場へ行き最後まで参加する
- 二回目は、前回見た人へ自分から挨拶する
- 三回目は、一人へ短い質問をする
会話も、相手の私生活へ踏み込みすぎない内容から始めます。
「この講座は以前も受けましたか」
「家でも続けていますか」
「この辺りで似た活動はありますか」
相手から話しかけられたときも、面白い返事をしようとしなくて構いません。
「まだ慣れていなくて、今日が二回目です」
これだけでも会話になります。
昔の知り合いへ連絡するなら、近況報告だけで終えても構いません
新しい場所へ行くことだけが、出会いを増やす方法ではありません。
以前の同僚、学生時代の友人、趣味を通じて知り合った人など、疎遠になった関係をつなぎ直す方法もあります。
何年も連絡していないと、「今さら何と思われるだろう」とためらいます。
長い謝罪や事情説明は必要ありません。
「久しぶりです。先日、以前一緒に行った店の近くを通って思い出しました。元気にしていますか」
「最近ウォーキングを始めました。以前よく歩いていたと聞いたので、ふと思い出して連絡しました」
返事が来たら、すぐ会う約束を迫らず、数回やり取りします。
反応がなければ、それ以上追わなくて構いません。返事がないことと、あなたが嫌われていることは同じではありません。
友達がほしい場所と、恋人を探す場所を混ぜない方が楽なことがあります
趣味の集まりへ参加したら、異性との出会いもあるかもしれない。
その期待を持つこと自体は問題ありません。
ただ、相手が趣味仲間だけを求めているのに、早い段階で交際を求めると、その場所へ通いにくくなることがあります。
友達をつくる活動では、まず活動そのものを続けます。
恋愛や再婚をはっきり望むなら、同じ目的の人が利用する婚活イベント、結婚相談所、マッチングアプリなどを別に検討した方が、気持ちの行き違いを減らせます。
婚活を始める前には、次の希望を決めてください。
- 恋人がほしいのか、結婚を希望するのか
- 同居を望むのか、別居の交際でもよいのか
- 子どもや親へ、いつ紹介したいか
- 仕事、住まい、介護をどこまで共有するか
- 毎月、婚活へ使える金額はいくらか
50代の出会いでは、気持ちだけでなく、親の介護、成人した子ども、住まい、仕事、老後のお金が関係することがあります。
すぐ結論を出さず、交際を続けながら一つずつ話せば構いません。
マッチングアプリは「早く親しくなる人」より「境界を守る人」を見ます
友人から勧められてアプリを入れたものの、写真や自己紹介を書くことが恥ずかしく、登録画面で止まる人もいます。
最初から自分を魅力的に見せようとしなくて構いません。
年代、休日の過ごし方、望む関係を、事実に沿って短く書きます。
「休日は散歩や日帰りの外出をしています。まずは食事や会話から、ゆっくり関係を築ける方を希望しています」
利用前には、本人確認の方法、料金、課金の仕組み、違反報告やブロック機能、退会と定期購入の解約方法を確かめます。
退会手続きと、スマートフォン側の定期購入の解約が別になっているサービスもあるため、支払いを止める方法まで見てください。
相手とのやり取りでは、次の境界を守ります。
- 住所、勤務先、資産、家族の詳しい情報をすぐ伝えない
- 最初から外部の連絡アプリへ移ることを急がない
- 初めて会う場所は、日中の人目がある場所にする
- 自宅や車内、相手が指定した密室へ行かない
- 帰る交通手段は自分で確保する
- 会う日時と場所を、信頼できる人へ伝えておく
- 投資、借金、立替え、荷物の受け取りを引き受けない
参加して疲れた日は、向いていないのではなく負荷が大きすぎた可能性があります
人と会った後、楽しいより疲れた気持ちが強く残ることがあります。
だからといって、出会いを求めること自体をやめる必要はありません。
人数、時間、会話の量が、自分に合っていなかったのかもしれません。
次回は条件を小さく変えます。
- 大人数の交流会から、10人程度の講座へ変える
- 一日イベントから、一時間の活動へ変える
- 自由歓談から、作業やテーマが決まった活動へ変える
- 毎週参加から、月に一度へ変える
- 知り合いを増やす目的から、活動を楽しむ目的へ戻す
一回参加して合わなかった場所へ、我慢して通い続けなくて構いません。
ただし、「自分はどこへ行っても無理だ」と結論を広げず、何が疲れたのかを一つだけ見ます。
騒がしい場所が苦手だったのか。自己紹介が長かったのか。年齢層が合わなかったのか。
原因が分かれば、次の場所を選び直せます。
誘って断られるのが怖いときは、相手が断りやすい声のかけ方を使います
少し話せる人ができても、食事やお茶へ誘う段階で止まることがあります。
断られたら、これまでの関係まで気まずくなる気がするからです。
相手が負担なく断れる誘い方にすると、声をかけやすくなります。
「次回の講座の後、私は近くでお茶を飲んで帰る予定です。時間が合えば一緒にどうですか」
「今度この展示へ行こうと思っています。興味があれば声をかけてください」
予定と選択肢を示し、返事を急がせません。
断られたら、理由を詳しく聞かず、
「分かりました。また講座で会いましょう」
と終えます。
一度断られただけなら、その後も普段どおり挨拶できます。
家から出ること自体が難しいなら、「友達づくり」を目標にしません
人と会いたいと思っても、着替える、電車へ乗る、知らない場所へ行くことが大きな負担になっている人もいます。
数か月ほとんど外出していない。電話へ出られない。仕事や家事にも影響が出ている。
この状態で「勇気を出して交流会へ行く」と決めても、動けない自分を責める結果になることがあります。
まずは、オンラインの講座を視聴する、図書館へ短時間行く、決まった店で買い物をするなど、人と深く話さなくても生活の外側へ触れられる行動から始めます。
孤独だけでなく、眠れない、食べられない、強い気分の落ち込みが続くなど、日常生活が保てない状態なら、友達を探すことより、医療機関や地域の相談窓口へ今の状態を伝えることを優先してください。
内閣府の孤独・孤立対策ページでは、悩みの内容に応じた支援制度や窓口を探せます。
今週は、申し込まずに「来週も同じ人が来る場所」を一つ探します
出会いがほしいと思った日に、すぐ有料サービスへ申し込む必要はありません。
まず、自宅から無理なく通える範囲で、次のいずれかを一つだけ検索してください。
「市区町村名 公民館 講座」
「市区町村名 ボランティアセンター」
「市区町村名 社会人 サークル」
「市区町村名 50代 ウォーキング」
見つけたら、参加人数、開催頻度、費用、見学の可否を見ます。
選ぶ基準は、華やかさではありません。
自宅から通えること。月に一回以上続くこと。一人で参加しても不自然ではないこと。
条件に合う場所があれば、申し込みの前に次の一文で問い合わせます。
「50代で、一人で初めて参加します。初心者でも大丈夫でしょうか。参加者は毎回同じ方が多いですか」
返事を聞いてから、行くかどうかを決めれば構いません。
友達の数を急に増やす必要はありません。
来週、同じ場所で同じ人へもう一度挨拶できる。その予定が一つできれば、今の生活にはすでに新しい接点が生まれています。
















