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親が入院した後、退院後の介護は何を決める?

2026.06.28 更新 なやみ晴れ編集部
#介護・見守り#親の介護#退院後の介護
この記事の結論

親御さんの退院後の介護は、退院日が決まってから慌てて決めるより、入院中から準備する方が安心です。歩行・食事・服薬・トイレ・認知面・自宅環境・家族の介護力を分け、病院の相談員や地域包括支援センターに早めに相談しましょう。

「退院できます」と言われた日から、家族の準備は急に始まります

親御さんが入院している間、家族はまず治療のことを考えます。手術はうまくいくのか、病状は落ち着くのか、リハビリは進むのか。そこに気持ちが向くのは当然です。

ところが、ある日病院から「そろそろ退院を考えましょう」と言われると、急に現実が押し寄せてきます。

家に戻れるのか。トイレは一人で行けるのか。薬は飲めるのか。夜中に転ばないか。家族の誰が迎えに行くのか。仕事を休めるのか。介護ベッドや手すりは必要なのか。考えることが一気に増えます。

ここで大切なのは、「退院=入院前の生活に戻る」と思い込まないことです。病気やけがの種類によっては、退院できる状態と、以前と同じ暮らしができる状態は同じではありません。

退院後の介護は、家族の気合いだけで決めるものではありません。病院、地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護サービス、家族の分担を組み合わせて考えるものです。

退院後の介護サービス、介護認定、医療・介護連携、施設利用、費用負担は、本人の状態や自治体、医療機関、介護保険の認定状況によって変わります。この記事は一般的な整理です。具体的な手続きや利用可否は、病院の相談窓口、自治体、地域包括支援センター、ケアマネジャーへ確認してください。

最初に見るのは「家に帰れるか」ではなく「家で何ができるか」

家族としては、できれば親御さんを自宅に戻してあげたいと思うことがあります。本人も「家に帰りたい」と言うかもしれません。

その気持ちは大切です。ただ、自宅へ戻るかどうかは、気持ちだけで決めると危険な場合があります。

まずは、退院後にどこまで自分でできるのかを一つずつ見ます。

見ること 病院で聞きたい内容 家族が考えること
歩行 一人で歩けるか、杖や歩行器が必要か、転倒リスクはあるか 玄関、廊下、トイレ、浴室まで安全に動けるか
食事 普通食でよいか、むせ込みや飲み込みに注意が必要か 食事づくり、配食、見守りが必要か
服薬 薬の種類、回数、飲み忘れた場合の対応 薬の管理を本人ができるか、家族や訪問看護が必要か
トイレ 一人で行けるか、夜間の介助が必要か 寝室からトイレまでの距離、手すり、ポータブルトイレの必要性
入浴 自宅浴が可能か、介助やデイサービス入浴が必要か 浴室の段差、浴槽の高さ、転倒防止
認知面 説明を理解できるか、物忘れや混乱があるか 一人で留守番できるか、火の元や服薬管理に不安がないか
医療処置 傷の処置、点滴、酸素、カテーテルなどが必要か 家族が対応できる範囲か、訪問看護が必要か

この確認をせずに退院日だけが決まると、家に戻ってから家族が慌てます。

「歩ける」と言われても、病院の平らな廊下を歩けることと、自宅の段差や狭いトイレで動けることは違います。病院のベッド横ではできた動作が、自宅では難しいこともあります。

病院では、主治医だけでなく相談員にもつながる

退院後の介護を考えるとき、家族が主治医にだけ聞こうとすると、話が医療中心になりやすいです。

もちろん、病気や治療方針は主治医に聞く必要があります。ただ、退院後の暮らしや介護サービスの相談は、病院の退院支援担当、医療ソーシャルワーカー、看護師、リハビリ担当者などが関わることがあります。

病院によって呼び方は違いますが、「退院後の生活が不安なので、相談できる担当の方につないでください」と伝えて大丈夫です。

病院で聞いておきたいこと

病院へのひと言

「退院後に自宅で見られるか不安です。歩行、トイレ、服薬、通院、夜間の見守りについて、家族が何を準備すればよいか相談したいです」と伝えると、話が具体的になります。

退院は、病院を出る日を決めるだけではありません。家で暮らす準備を整える節目です。

介護認定を受けていない場合は、早めに地域包括支援センターへ相談する

親御さんが入院するまで介護保険サービスを使っていなかった場合、退院後に介護が必要になって初めて「介護認定」という言葉に出会うことがあります。

介護認定は、介護保険サービスを使うための大事な手続きです。すぐに結果が出るものではないため、退院が近づいてから慌てると、サービスの調整が間に合いにくくなることがあります。

まだケアマネジャーがいない場合は、親御さんが住んでいる地域の地域包括支援センターや自治体の介護保険窓口に相談します。

状況 まず相談する先 伝えること
介護認定を受けていない 地域包括支援センター、自治体の介護保険窓口 入院中で退院後に介護が必要になりそうなこと
要支援・要介護認定がある 担当ケアマネジャー 入院前と状態が変わったこと、退院予定
ケアマネが分からない 地域包括支援センター、自治体窓口 担当者や手続きの確認をしたいこと
遠距離で家族が動けない 病院の相談員、地域包括支援センター 家族が頻繁に行けないこと、現地で相談先が必要なこと
退院日がかなり近い 病院の退院支援担当、地域包括支援センター 急ぎで自宅環境やサービス調整が必要なこと

「まだ退院日が確定していないから相談できない」と思わなくて大丈夫です。退院日が未定でも、退院後の生活が不安なら相談の入口に立てます。

自宅に戻すか、施設やリハビリ先を考えるかは、家族だけで抱えない

退院後の行き先で多い迷いが、「自宅に戻すか、施設を考えるか」です。

本人が自宅を望んでいる。家族もできれば帰してあげたい。でも、夜間の見守りやトイレ介助が必要かもしれない。仕事もある。兄弟姉妹の協力も限られている。そうなると、気持ちと現実がぶつかります。

この迷いは、家族だけで結論を出そうとすると苦しくなります。

選択肢 向きやすいケース 確認したいこと
自宅に戻る 本人の状態が安定し、家族や介護サービスで支えられる 見守り時間、トイレ、入浴、服薬、通院、夜間対応
自宅+介護サービス 一部の介助が必要だが、在宅生活を続けたい 訪問介護、デイサービス、訪問看護、福祉用具、住宅改修
一時的な施設利用 家の準備が間に合わない、家族の体制が整わない ショートステイ、介護老人保健施設、費用、空き状況
リハビリを続ける もう少し機能回復を目指したい 医師やリハビリ担当の見通し、転院や施設の候補
施設入居を検討する 在宅での見守りや介助が難しい 本人の希望、要介護度、費用、待機状況、医療対応

自宅に戻せないことは、家族の愛情が足りないという意味ではありません。

逆に、施設を考えずに自宅へ戻すことが、いつも本人のためになるとも限りません。大切なのは、本人の希望、体の状態、家族の介護力、住まいの環境、費用を分けて見ることです。

退院前に、自宅の危ない場所を一度だけ見ておく

退院後の介護で見落としやすいのが、自宅の環境です。

病院では手すりがあり、床も平らで、ベッドの高さも調整されています。ところが自宅では、玄関の段差、廊下の荷物、狭いトイレ、深い浴槽、暗い階段など、危ない場所がいくつもあります。

退院前に、家族が一度自宅を見ておくだけでも準備しやすくなります。

自宅で見ておきたい場所

ここで、いきなり介護ベッドや手すりを買いそろえる必要はありません。本人の状態や介護認定、福祉用具のレンタル、住宅改修の制度などを確認してからの方がよい場合があります。

必要なものを焦って買うより、まず「どこが危ないか」を書き出すことが先です。

家族会議では、気持ちより先に作業を分ける

親御さんの退院後介護は、家族間でもめやすいテーマです。

近くに住んでいる人に負担が偏る。長男・長女だからと期待される。仕事をしている人、子育て中の人、遠方に住む人、それぞれ事情があります。

このとき、「誰が親を見るのか」だけを話すと、話し合いが重くなります。まずは、介護を作業に分けて考える方が現実的です。

分ける作業 内容 頼み方の例
退院日の付き添い 病院から自宅や施設までの移動、説明を聞く 退院日だけ半日付き添ってほしい
通院 診察予約、送迎、医師の説明を聞く 月1回の通院だけ交代できないか
服薬管理 薬の仕分け、飲み忘れ確認 薬カレンダーの準備を一緒にしてほしい
買い物・食事 食材、配食、調理、冷蔵庫確認 週末の買い物だけお願いしたい
書類手続き 介護認定、保険、医療費、施設書類 書類だけ一緒に見てほしい
緊急連絡 転倒、体調不良、病院からの連絡 仕事中に出られない時間だけ連絡先になってほしい
費用分担 介護サービス、自費支援、交通費 毎月の負担をどう分けるか話したい

家族会議で大事なのは、立派な結論を一日で出すことではありません。誰が何をできるのか、できないことは外部に頼めるのかを見えるようにすることです。

費用は「介護サービス代」だけでなく、退院後の生活費まで見る

退院後の介護では、介護サービスの料金だけに目が行きがちです。

しかし実際には、通院交通費、紙おむつ、配食、福祉用具、住宅改修、家族の交通費、仕事を休むことによる収入減など、細かな支出が重なります。

費用の種類 例 確認先
介護保険サービス 訪問介護、デイサービス、福祉用具、ショートステイ ケアマネジャー、自治体
医療費 通院、薬、訪問診療、訪問看護 病院、薬局、医療機関
自費サービス 保険外の付き添い、見守り、家事支援 サービス事業者、ケアマネ
住まいの準備 手すり、段差解消、ベッド、マット、照明 ケアマネ、福祉用具事業者、自治体
家族の負担 交通費、仕事を休む、宿泊、食事 家族間で共有
日用品 紙おむつ、尿取りパッド、消毒、介護用品 薬局、介護用品店、自治体

費用が不安なときは、家族だけで「いくらかかるのだろう」と考え続けるより、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、使える制度や支援を確認した方が進みやすくなります。

退院前カンファレンスがあるなら、遠慮せず家族の不安を出す

退院前には、病院、本人、家族、ケアマネジャー、介護サービス事業者などが集まり、退院後の生活について話し合う場が設けられることがあります。

こうした場では、家族が遠慮してしまうことがあります。

「忙しそうだから聞きにくい」「こんなことまで聞いていいのか」「できないと言ったら冷たい家族だと思われるのでは」と感じるかもしれません。

でも、退院後に困るのは本人と家族です。できること、できないことは、早めに伝えた方が安全です。

退院前に伝えてよいこと

「できません」と言うのは冷たいことではありません。できないことを隠したまま退院すると、本人も家族も危なくなることがあります。

今日できる一歩は、退院後の生活を一枚のメモにすること

親御さんの退院後介護を考えると、決めることが多すぎて頭がいっぱいになります。

自宅か施設か。介護認定はどうするか。誰が迎えに行くか。お金は足りるか。仕事は休めるか。兄弟姉妹は手伝ってくれるのか。考え始めると、脳内に退院準備委員会ができて、朝まで会議を続けそうになります。

そんなときは、今日すべてを決めなくて大丈夫です。

まず紙に、次の6つだけ書いてください。

このメモがあると、病院にも、地域包括支援センターにも、家族にも話しやすくなります。

退院後の介護は、家族の愛情だけで抱えるものではありません。本人の暮らしを守るためにも、家族の生活を守るためにも、使える制度や人の手を組み合わせて考えてよいのです。

まずは今日、病院の相談員に「退院後の生活について相談したい」と伝えてみてください。そこから準備を始めれば、退院後の不安は少しずつ形にできます。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. 親が入院した後、退院後の介護はいつから考えればいいですか?

退院日が決まってからではなく、入院中から考え始めた方が安心です。歩行、食事、服薬、トイレ、認知面、自宅環境を病院で聞き、退院後に家族だけで支えられるかを早めに整理しましょう。

Q. 親の退院後、自宅に戻すか施設を探すか迷ったらどうすればいいですか?

本人の希望だけでなく、体の状態、夜間の見守り、トイレや入浴、家族の介護力、自宅の段差、費用を分けて考えます。病院の退院支援担当、地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談し、在宅と施設の両方を比較しましょう。

Q. 介護認定は親が入院中でも相談できますか?

自治体によって手続きの進め方は異なりますが、入院中でも地域包括支援センターや介護保険窓口に相談できる場合があります。退院後に介護サービスが必要になりそうなら、早めに親御さんの住所地の窓口へ確認しましょう。

Q. 退院前に病院で何を聞けばいいですか?

退院予定日、歩行、食事、服薬、トイレ、入浴、認知面、通院頻度、リハビリの必要性、訪問看護や介護サービスの必要性を聞きましょう。家族が仕事や遠距離で対応できない時間帯も、遠慮せず伝えることが大切です。

Q. 退院後の介護を家族だけで抱えきれないときはどうすればいいですか?

まず、通院、服薬、食事、夜間見守り、書類、費用などを作業ごとに分けましょう。そのうえで、家族分担、介護保険サービス、地域包括支援センター、ケアマネジャー、自費サービスを組み合わせて考えると、負担を一人に集中させにくくなります。

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