身寄りがない不安は、「今日困っていないこと」ほど後回しになりやすいです
今は一人で暮らせている。買い物にも行ける。病院にも自分で通える。通帳も自分で管理している。誰かに迷惑をかけているわけでもない。
それでも、ふとした瞬間に考えてしまうことがあります。
「急に入院したら、誰に連絡が行くのだろう」
「部屋の鍵は誰が開けるのだろう」
「通帳や保険のことを誰も知らない」
「亡くなった後、葬儀や家財はどうなるのだろう」
「頼れる家族がいないことを、病院や役所にどう言えばいいのだろう」
身寄りがない、または家族と疎遠で頼りにくいという不安は、普段は見えない場所にあります。
けれど、入院、転倒、災害、認知機能の低下、賃貸契約、亡くなった後の手続きなどが近づくと、急に現実の問題として出てきます。
だからといって、今すぐ全部の契約をしなければならないわけではありません。
最初にすることは、難しい制度を調べ尽くすことではなく、「自分に何かあったとき、誰が何を見れば分かるか」を紙に残すことです。
最初に作るのは、立派な終活ノートではなく「もしもの一枚」です
身寄りがない不安を考え始めると、終活ノート、遺言、任意後見、死後事務、身元保証、葬儀契約、家財整理など、言葉が一気に押し寄せてきます。
これでは、始める前に疲れてしまいます。
最初は一枚で十分です。
「もし自分が急に入院したら、誰に何を伝えるか」を書く紙を作ります。
| 書くこと | 具体例 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 本人情報 | 氏名、生年月日、住所、電話番号 | 救急時や入院時に本人確認しやすくする |
| 緊急連絡先 | 親族、友人、近所の方、支援者など | 第一連絡先・第二連絡先を分ける |
| かかりつけ医 | 内科、整形外科、歯科、薬局など | 普段の治療や薬を確認しやすくする |
| 持病・薬 | 高血圧、糖尿病、血液をサラサラにする薬など | 救急時や入院時の安全に関わる |
| 保険・年金 | 健康保険、介護保険、年金、生命保険の有無 | 手続きや費用確認の入口になる |
| 住まい | 持ち家、賃貸、管理会社、大家、合鍵の場所 | 入院中や亡くなった後の対応に関わる |
| ペット | 犬、猫、鳥などの有無、餌、動物病院 | 急な入院時に命に関わる |
| 知らせてほしい人 | 親族、友人、地域の人、知らせたくない人 | 本人の希望を周囲が尊重しやすくなる |
この一枚は、完璧でなくて構いません。
空欄があっても大丈夫です。空欄があるということは、「ここはこれから決めるところ」と分かったということです。
紙は、保険証ケース、冷蔵庫、薬箱、玄関近く、または信頼できる人に渡せる封筒に入れておきます。
スマホだけに入れておくと、いざというときロックが開かないことがあります。紙は地味ですが、救急時にはかなり頼れる存在です。電池も切れません。
準備は「生きている間」と「亡くなった後」で分けます
身寄りがない方の準備で混乱しやすいのは、生きている間の支援と、亡くなった後の手続きが混ざることです。
入院時の連絡先、日々の支払い、介護サービス、通帳管理は、生きている間の話です。
葬儀、納骨、家財処分、契約解約、役所手続きは、亡くなった後の話です。
ここを分けると、今何を優先すればよいか見えやすくなります。
| 分け方 | 準備すること | 相談先の例 |
|---|---|---|
| 急病・入院 | 緊急連絡先、医療情報、保険証、支払い方法 | 病院の医療相談室、地域連携室 |
| 日常生活 | 買い物、通院、薬、見守り、家事の支援 | 地域包括支援センター、自治体 |
| お金・書類 | 通帳、年金、保険、公共料金、契約一覧 | 社会福祉協議会、金融機関、専門家 |
| 判断力が低下したとき | 任意後見、成年後見、日常生活自立支援事業 | 社会福祉協議会、家庭裁判所、弁護士、司法書士 |
| 住まい | 賃貸契約、保証人、鍵、家財、退去時の対応 | 管理会社、自治体、専門家 |
| 亡くなった後 | 葬儀、納骨、家財整理、解約、連絡先、死後事務 | 専門家、葬儀社、死後事務サービス、法テラス等 |
全部を一人で理解しようとすると、かなり大変です。
まずは「生きている間に困ること」と「亡くなった後に困ること」を分けるだけでも、頭の中の重さが少し軽くなります。
緊急連絡先は「完璧に頼れる人」ではなく、役割別に考えます
身寄りがない方が最初に困りやすいのが、緊急連絡先です。
病院、賃貸契約、介護サービス、見守りサービスなどで、緊急連絡先の記入を求められることがあります。
このとき、「家族がいないから書けない」と止まってしまう方がいます。
でも、緊急連絡先は、必ずしもすべてを背負う人でなければならないとは限りません。提出先によって、求められる役割が違います。
| 役割 | 候補になる人・窓口 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 電話を受ける人 | 親族、友人、甥姪、遠方の子ども | 日中や夜間に電話へ出られるか |
| 近くで様子を見る人 | 近所の友人、民生委員、地域の見守り | 家へ行ける範囲、鍵の扱い |
| 医療説明を一緒に聞く人 | 信頼できる親族、友人、支援者 | 本人が説明を共有してよい相手か |
| 退院後の生活を考える人 | 地域包括支援センター、ケアマネジャー | 介護や生活支援につながるか |
| 死後の連絡を受ける人 | 親族、友人、専門サービス、死後事務受任者 | 亡くなった後の対応まで含むか |
緊急連絡先をお願いするときは、こう伝えると相手も受け取りやすくなります。
「保証人やお金の責任をお願いしたいわけではありません。病院や管理会社から急ぎの連絡があるとき、まず電話を受ける人として名前を書いてもよいか確認したいです」
そして、提出先にも聞きます。
「この緊急連絡先は、連絡を受けるだけですか。費用や保証責任はありますか」
この確認をせずに名前を書くと、相手にも自分にも不安が残ります。
入院や医療の備えは、保証人探しだけで終わらせません
身寄りがない方にとって、入院は大きな不安です。
病院で身元保証人や身元引受人を求められることがあります。けれど、身寄りがないことだけで必要な医療をあきらめる必要はありません。
厚生労働省は、身寄りがない人にも必要な医療を提供できるよう、医療機関向けに「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援」に関するガイドラインや事例集を公表しています。
病院で困ったときは、受付で止まらず、医療相談室、地域連携室、患者相談窓口、医療ソーシャルワーカーにつないでもらいましょう。
| 入院前に整理すること | 書いておく内容 | 相談先 |
|---|---|---|
| 緊急連絡先 | 第一連絡先、第二連絡先、連絡してよい人 | 病院の相談窓口 |
| 医療情報 | 持病、薬、アレルギー、かかりつけ医 | 主治医、薬局 |
| 支払い方法 | 保険証、限度額、本人払い、口座、カード | 病院の会計窓口、医療相談室 |
| 退院後の住まい | 自宅に戻れるか、階段や段差、介護の有無 | 地域連携室、地域包括支援センター |
| ペットや鍵 | 家に動物がいるか、合鍵の場所、郵便物 | 信頼できる人、地域の相談先 |
| 本人の希望 | 治療説明を聞いてほしい人、知らせたくない人 | 病院相談員、主治医 |
病院に伝える言葉は、難しくなくて大丈夫です。
「身元保証人になってくれる家族はいません。緊急連絡先、支払い方法、退院後の生活について、医療相談室に相談したいです」
この一言をメモに書いて持っておくと、いざというとき口に出しやすくなります。
お金と書類は、誰かが見れば分かる状態にしておきます
身寄りがない方の準備で、とても大事なのがお金と書類です。
通帳、年金、保険、公共料金、賃貸契約、携帯電話、サブスク、借入、葬儀の希望。これらが本人の頭の中にだけあると、入院や亡くなった後に周囲が動けません。
ただし、通帳や暗証番号を誰かに丸ごと預ければよい、という話でもありません。
まずは一覧を作ります。
| 項目 | 書く内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 銀行口座 | 金融機関名、支店名、用途 | 暗証番号はカードと一緒に置かない |
| 年金 | 年金の種類、振込口座、通知書の保管場所 | 金額まで細かく書かなくても入口だけ分かればよい |
| 保険 | 生命保険、医療保険、火災保険、自動車保険 | 証券番号や連絡先を控える |
| 公共料金 | 電気、ガス、水道、電話、携帯、ネット | 引き落とし口座や契約名義を確認する |
| 住まい | 賃貸契約、管理会社、大家、家賃保証 | 退去時の連絡先や鍵の扱いも見る |
| 借入・ローン | カードローン、リボ払い、分割払い | 隠したい場合も、最終的に分かる場所へ残す |
| デジタル契約 | スマホ、メール、サブスク、通販、ネット銀行 | ログイン情報の扱いは慎重にする |
お金の一覧を作るときは、「誰かに財産を取られないか」と不安になる方もいます。
その不安は自然です。
だから、最初から金額をすべて書かなくても構いません。まずは「どこに何があるか」だけで十分です。
もし判断力や手続きに不安が出てきた場合は、日常生活自立支援事業も選択肢になります。厚生労働省は、日常生活自立支援事業について、判断能力が不十分な方が地域で自立した生活を送れるよう、福祉サービスの利用援助や日常的金銭管理などを行うものと説明しています。
判断力が落ちる前に考えるなら、任意後見と成年後見の違いを知っておきます
「もし認知症になったら、お金や契約は誰が見るのだろう」
身寄りがない方にとって、この不安はとても大きいです。
ここで関係してくるのが、任意後見や成年後見です。
名前は似ていますが、考えるタイミングが違います。
| 制度・方法 | 大まかな考え方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 任意後見 | 本人の判断能力があるうちに、将来支援してもらう人を契約で決めておく | 今は元気だが、将来の財産管理や契約が不安 |
| 成年後見・保佐・補助 | 判断能力が不十分になった方を法律的に支援する制度 | すでに契約や財産管理の判断が難しくなっている |
| 日常生活自立支援事業 | 福祉サービス利用や日常的金銭管理を支援する | 契約内容を理解する力はあるが、日常の手続きに不安がある |
| 家族・友人の手伝い | 書類確認、同行、連絡先、生活の見守り | 法的な代理までは必要ないが、少し支えがほしい |
裁判所は、成年後見制度について、認知症などで物事を判断する能力が十分ではない方について、本人の権利を守る人を選び、法律的に支援する制度と説明しています。
ただし、成年後見は「困ったときにすぐ家族代わりになってくれる便利な手続き」ではありません。申立て、審判、費用、後見人の選任、継続的な管理が関わります。
まだ判断力があるうちに将来の支援者を決めたい場合は、任意後見、財産管理契約、見守り契約などを専門家に相談する方法があります。
ここは自己判断で契約せず、地域包括支援センター、社会福祉協議会、法テラス、弁護士、司法書士などに確認しながら進めましょう。
住まいと鍵の準備は、倒れた後では遅れやすいです
身寄りがない一人暮らしでは、住まいと鍵も大きな問題になります。
急に入院したとき、誰が家の鍵を開けるのか。賃貸の管理会社へ誰が連絡するのか。冷蔵庫の中、郵便物、ペット、ガスや電気、家賃の支払いはどうなるのか。
このあたりは、元気なうちに決めておかないと、周囲が動けません。
| 準備すること | 具体的に決めること | 注意点 |
|---|---|---|
| 合鍵 | 誰が持つか、どこに保管するか | 玄関外に隠す方法は防犯上慎重にする |
| 管理会社・大家 | 連絡先、契約名義、緊急時の対応 | 勝手な鍵設置や入室ルールに注意する |
| 家賃・公共料金 | 支払い口座、滞納時の連絡先 | 入院中に止まらないようにする |
| 郵便物 | 重要書類、転送、定期的に見る人 | 本人の同意なく勝手に転送しない |
| 家財 | 残したい物、処分してよい物、貴重品 | 亡くなった後に家財整理で困りやすい |
| ペット | 餌、病院、預け先、鍵を開ける人 | 急な入院時に最優先で確認する |
賃貸の場合は、契約書に緊急連絡先、保証会社、退去時対応、残置物の扱いなどが書かれていることがあります。
持ち家の場合は、固定資産税、火災保険、空き家管理、相続や売却など、別の問題が出てきます。
住まいは「生きている間の生活の場」であり、「亡くなった後に誰かが片付ける場所」でもあります。
元気なうちに、家の中の重要書類と鍵の扱いだけでも決めておくと、後の混乱を減らせます。
亡くなった後のことは、縁起の悪い話ではなく「残された人を困らせない話」です
身寄りがない方にとって、亡くなった後の話はつらいものです。
「自分が死んだ後のことなんて、考えたくない」
「誰も来なかったらどうなるのだろう」
「葬儀や納骨の希望を誰に伝えればいいのか」
「家財やペットをどうしてもらえばいいのか」
こうした話は、後ろ向きに見えます。
けれど、実際には自分の希望を守るための準備です。
| 亡くなった後に必要になりやすいこと | 元気なうちに残すこと | 相談先の例 |
|---|---|---|
| 死亡時の連絡 | 知らせてほしい人、知らせなくてよい人 | 信頼できる人、死後事務の受任者 |
| 葬儀 | 葬儀の規模、宗教、費用の希望 | 葬儀社、自治体、専門家 |
| 納骨・お墓 | 墓地、納骨堂、永代供養、散骨などの希望 | 寺院、霊園、専門家 |
| 家財整理 | 残したい物、処分してよい物、貴重品の場所 | 信頼できる人、専門業者、死後事務契約 |
| 契約解約 | 電気、ガス、水道、携帯、保険、サブスク | 死後事務受任者、専門家 |
| ペット | 引き取り先、世話メモ、費用 | 家族、友人、動物病院、保護団体 |
遺言については、財産の行き先を決める役割があります。
法務省は、自筆証書遺言書保管制度について、法務局で自筆証書遺言書を保管する制度として案内しています。自筆証書遺言を作る場合でも、形式や保管方法には注意が必要です。
一方で、死後事務契約は、葬儀、納骨、家財処分、行政手続き、契約解約などを依頼する契約です。
遺言と死後事務契約は、役割が違います。遺言だけで葬儀や部屋の片付けがすべて動くわけではありませんし、死後事務契約だけで財産の行き先を自由に決められるわけでもありません。
| 準備 | 主な役割 | 注意点 |
|---|---|---|
| エンディングノート | 希望や情報を分かりやすく残す | 法的効力があるとは限らない |
| 遺言 | 財産の行き先などを決める | 形式に不備があると問題になることがある |
| 任意後見契約 | 判断能力が落ちた後の支援者を決める | 公正証書など手続きが関わる |
| 死後事務委任契約 | 葬儀、納骨、家財整理、解約などを依頼する | 費用、範囲、解約条件を確認する |
| 身元保証サービス | 入院・施設・死後対応などを支援する場合がある | 事業者により内容と料金が大きく違う |
亡くなった後の準備は、怖い話ではありません。
「自分の希望を、誰かが分かるようにしておく話」です。
高齢者等終身サポート事業は、急いで契約するほど中身を見ます
身寄りがない方の不安に対して、身元保証、生活支援、入退院支援、死後事務、葬送支援などを行う民間サービスがあります。
こうしたサービスが助けになる場合もあります。
ただし、契約前にはかなり慎重に見た方がよいです。
消費者庁は、高齢者等終身サポート事業を利用する際、サービス内容や支払能力などを確認し、不安がある場合は消費生活センターや地域包括支援センターに相談するよう案内しています。
また、国民生活センターも、高齢者サポートサービスについて、契約前にサービス内容や支払総額、解約条件等をよく確認するよう注意喚起しています。
| 契約前に見ること | 確認する内容 |
|---|---|
| サービス範囲 | 身元保証、見守り、入退院付き添い、死後事務、葬儀のどこまで含むか |
| 料金 | 入会金、月額、都度費用、預託金、支払総額 |
| 解約・返金 | 途中解約、死亡時の精算、返金条件 |
| 医療同意 | 医療行為への同意を扱えるのか、扱えないのか |
| 財産管理 | 通帳、印鑑、鍵、現金を預けるのか |
| 死後事務 | 葬儀、納骨、家財整理、行政手続き、契約解約の範囲 |
| 対応地域・時間 | 夜間、休日、遠方の病院、施設に対応できるか |
| 第三者の確認 | 契約書を専門家や相談窓口に見てもらえるか |
「身寄りがない方を支えます」という言葉だけで決めないでください。
自分が困っているのは、入院時の保証なのか。日常の見守りなのか。お金の管理なのか。亡くなった後の葬儀や部屋の片付けなのか。
困りごととサービス内容が合っているかを見ます。
契約書の小さな文字には、たいてい大事なことが書いてあります。もう少し大きく書いてくれたら親切なのですが、現実はそうもいきません。読みにくければ、その場で契約せず、誰かに見てもらいましょう。
家族と疎遠な場合も、「頼らない」と「知らせない」は分けます
身寄りがないと感じている方の中には、法律上の親族はいるけれど、長年連絡を取っていない方もいます。
子どもと疎遠。兄弟姉妹と仲が悪い。甥や姪に迷惑をかけたくない。親族に財産や病気のことを知られたくない。
こうした事情は、人それぞれです。
ただ、「頼らない」と「知らせない」は分けて考えた方がよい場合があります。
| 状況 | 考えたいこと | 残しておくとよいこと |
|---|---|---|
| 親族とは疎遠だが、連絡先は分かる | 緊急時に知らせるかどうか | 知らせてよい人、知らせたくない人 |
| 頼みごとはしたくない | 連絡だけなら可能か | 「保証ではなく連絡のみ」の希望 |
| 財産を渡したい人がいる | 遺言が必要か | 財産の希望、専門家への相談メモ |
| 親族に知らせたくない | 法的にどこまで希望を反映できるか | 理由、相談先、専門家への確認 |
| 親族関係が分からない | 戸籍や相続関係の確認が必要か | 本籍、戸籍関係の書類の保管場所 |
「誰にも迷惑をかけたくない」と思うほど、何も残さないままになりがちです。
しかし、何も残さないと、かえって周囲が困ることがあります。
頼るかどうかは別として、連絡先、希望、知らせてほしい人、知らせたくない人は、紙に残しておくとよいです。
相談先は、困りごとごとに変えます
身寄りがない不安を相談したいと思っても、どこへ行けばよいか分かりにくいものです。
役所なのか、地域包括支援センターなのか、社会福祉協議会なのか、弁護士なのか、葬儀社なのか。
相談先は、困りごとで分けます。
| 困りごと | 相談先の例 | 相談する内容 |
|---|---|---|
| 一人暮らしの見守り・介護不安 | 地域包括支援センター、市区町村の高齢者相談 | 見守り、介護保険、生活支援、緊急時の備え |
| 日常のお金や福祉手続き | 社会福祉協議会 | 日常生活自立支援事業、金銭管理、福祉サービス利用 |
| 入院や退院後の生活 | 病院の医療相談室、地域連携室 | 保証人、支払い、退院支援、介護サービス |
| 判断能力が落ちた後の支援 | 地域包括支援センター、家庭裁判所、弁護士、司法書士 | 任意後見、成年後見、財産管理 |
| 遺言・死後事務 | 弁護士、司法書士、行政書士、公証役場、法テラス | 遺言、死後事務契約、任意後見、相続 |
| 身元保証サービスの契約不安 | 消費生活センター、地域包括支援センター | 契約内容、料金、解約、預託金、トラブル予防 |
| 法的な相談 | 法テラス、弁護士、司法書士 | 契約、相続、財産管理、親族関係 |
厚生労働省は、地域包括ケアシステムについて、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、住まい・医療・介護・生活支援などを一体的に支える考え方を示しています。
身寄りがないことを、いきなり民間契約で埋めようとしなくても大丈夫です。
まずは地域の相談先で、「自分には頼れる家族が少ない。元気なうちに準備したい」と話してみてください。
今日できる一歩は、「もしもの封筒」を一つ作ることです
ここまで読むと、準備することが多く感じるかもしれません。
でも、今日すべてを決める必要はありません。
まず、封筒を一つ用意してください。
表に大きく「もしもの封筒」と書きます。
中に入れるのは、最初はこれだけで十分です。
- 自分の氏名・住所・生年月日
- 第一緊急連絡先
- 第二緊急連絡先
- かかりつけ医と薬局
- 持病と薬のメモ
- 保険証やお薬手帳の場所
- 通帳や保険書類の保管場所
- 家の鍵を誰が持っているか
- ペットの有無
- 亡くなった後に知らせてほしい人
- 今後相談したい窓口
空欄があっても大丈夫です。
むしろ、空欄が見えたら「ここを次に相談しよう」と分かります。
身寄りがないことは、何も準備できないという意味ではありません。
家族の代わりを一人で見つけようとすると苦しくなりますが、緊急連絡先、医療、住まい、お金、死後の希望を少しずつ分ければ、準備できることはあります。
まずは、もしもの封筒を一つ。
そこから、自分の暮らしを守る道を少しずつ作っていきましょう。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「身寄りがない人への対応について」では、身寄りがない人にも必要な医療を提供できるよう、入院や医療に係る意思決定支援に関するガイドラインや事例集が案内されています。厚生労働省:身寄りがない人への対応について
- 厚生労働省「日常生活自立支援事業」では、判断能力が不十分な方が地域で自立した生活を送れるよう、福祉サービス利用援助や日常的金銭管理などを行う仕組みが案内されています。厚生労働省:日常生活自立支援事業
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」では、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、住まい・医療・介護・生活支援などを一体的に支える考え方が示されています。厚生労働省:地域包括ケアシステム
- 裁判所「成年後見制度の概要」では、判断能力が十分ではない方を法律的に支援する制度として、後見・保佐・補助・任意後見が案内されています。裁判所:成年後見制度の概要
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度について」では、自筆証書遺言書を法務局で保管する制度や手続きが案内されています。法務省:自筆証書遺言書保管制度について
- 消費者庁「高齢者等終身サポート事業の利用に関する注意点」では、身元保証や死後事務、日常生活支援等を利用する際、サービス内容や支払能力を確認し、不安がある場合は消費生活センターや地域包括支援センターへ相談するよう案内されています。消費者庁:高齢者等終身サポート事業の利用に関する注意点
- 国民生活センターは、高齢者サポートサービスについて、契約前にサービス内容、支払総額、解約条件等をよく確認するよう注意喚起しています。国民生活センター:高齢者サポートサービスの契約トラブルに注意


















