誰もいない台所に立つと、「本当に売っていいのか」と動けなくなる
親が施設へ入ったあと、久しぶりに実家の鍵を開けます。
台所には、親が毎朝使っていた湯飲みが残っている。柱には子どもの頃の身長を測った傷があり、押し入れには家族旅行の写真が入っています。
換気のために窓を開け、郵便物を回収し、庭の草を抜く。帰り際に不動産会社のチラシを見ても、電話をかける気にはなれません。
「親が生きているうちに家を売るなんて、追い出すようで申し訳ない」
「この家をなくしたら、帰る場所までなくなる気がする」
「親が亡くなったあとに売ればよかったと後悔しないだろうか」
「自分たちがお金のために急いでいると思われたくない」
一方で、誰も住んでいない家には、固定資産税、保険、光熱費、庭木の手入れ、修繕などが続きます。遠方なら、見に行く交通費と時間もかかります。
売れないのではなく、売ると決めることがつらい。
その気持ちは、優柔不断だから生まれるのではありません。家が不動産であると同時に、親の暮らしと自分の過去を入れておく場所になっているからです。
罪悪感の中身を四つに分けると、話し合う相手が見えてくる
「売るのが申し訳ない」という気持ちを一つのまま抱えていると、何を確かめれば前へ進めるのか分かりません。
| 心に引っかかっていること | 本当に確かめたいこと | 主に話す相手 |
|---|---|---|
| 親を追い出すように感じる | 親は家へ戻りたいのか、戻れる可能性があるのか | 親、主治医、施設職員、ケアマネジャー |
| 思い出を捨てるように感じる | 残したい物や風景は、家そのものなのか | 親、兄弟姉妹、家族 |
| 先祖や親戚に申し訳ない | 誰かが住む、管理する、引き継ぐ意思があるのか | 兄弟姉妹、親族 |
| お金のために売るようで後ろめたい | 維持にかかる費用と、親の生活に必要な資金はいくらか | 親、家計を支える家族、必要に応じて税務・法律の相談先 |
家を売らないことが、必ず親の希望を守ることになるとは限りません。
親は「子どもに迷惑をかけるくらいなら売ってほしい」と思っているかもしれません。反対に、家族が「もう戻れないだろう」と考えていても、親は退院や退所後に戻るつもりでいるかもしれません。
罪悪感をなくしてから決めるのではなく、その気持ちが何を確かめてほしいと知らせているのかを見ます。
最初に見るのは査定額ではなく、「誰の家か」です
親の家について子どもが実務を担っていても、所有者が親なら、基本となるのは親本人の意思です。
まず、登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、売買契約書などから、土地と建物の名義を確かめます。
| 現在の名義や状態 | 売却前に必要になること |
|---|---|
| 親一人の名義 | 親の売却意思と契約内容の理解を確かめる |
| 父母など複数人の共有名義 | 共有者それぞれの意思と、持分を確かめる |
| 亡くなった祖父母や親の名義のまま | 相続人と遺産分割の状況を確認し、相続登記を進める |
| 土地と建物で名義人が違う | 双方の名義、権利関係、売却できる範囲を確認する |
| 住宅ローンや抵当権が残っている | 残債と、売却時の抵当権抹消方法を金融機関へ聞く |
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から、原則3年以内の申請が必要です。制度開始前の相続で未登記の不動産も対象となり、原則として2027年3月31日までが猶予期間です。
親が施設へ移ったため登記上の住所と現住所が違う場合などは、住所変更登記の要否も確かめます。2026年4月1日から、所有者の住所や氏名が変わった場合の変更登記も、原則として変更日から2年以内に申請することが義務づけられています。
書類が見つからない場合も、家族の記憶だけで名義を決めず、法務局や司法書士などへ確認してください。
親が元気なうちの話し合いでは、「売っていい?」と迫らない
親へ突然「家を売っていい?」と聞くと、親は住まいだけでなく、自分の居場所や人生まで手放すように感じることがあります。
先に聞きたいのは、売却への賛成・反対ではありません。
- 今の住まいをどう感じているか
- 体調が整えば家へ戻りたいか
- 戻るなら、どのような手助けが必要か
- 家に残しておきたい物は何か
- 子どもや孫に住んでほしいと思っているか
- 空き家の管理を子どもが続けることをどう思うか
- 維持費と介護費の両方が必要な場合、何を優先したいか
たとえば、次のように切り出せます。
「家を今すぐ売ると決めたいわけではないよ。お母さんがこの先どう暮らしたいかと、家をどうしてほしいかを聞いておきたいんだ」
「家へ戻りたい気持ちがあるなら、いつごろ、どんな支えがあれば戻れそうかを一緒に考えたい」
「私たちだけで勝手に決めたくないから、残したい物や部屋を教えてほしい」
一度に結論まで聞き出す必要はありません。親が疲れたり、怒ったりしたら、その日は思い出や希望を一つ聞くだけで終えます。
「家へ戻るかもしれない」は、時期と条件まで言葉にする
親が入院中や施設入所中の場合、「いつか家へ戻るかもしれない」という理由で、何年も判断を止めることがあります。
戻る可能性を否定する必要はありません。ただ、希望と現実をつなぐ条件を見ます。
| 確かめたいこと | 具体的に見る内容 |
|---|---|
| 身体の状態 | 玄関、階段、浴室、トイレを今の状態で使えるか |
| 必要な介護 | 食事、服薬、入浴、夜間の見守りを誰が担うか |
| 医療 | 通院、訪問診療、緊急時の受診を続けられるか |
| 家の改修 | 手すり、段差、暖房、屋根や水回りの修繕が必要か |
| 家族の負担 | 同居、毎日の訪問、遠距離移動を誰が続けるか |
| 判断の期限 | 次の退院判定、要介護認定更新、施設契約更新など、いつ再検討するか |
「戻れそうか分かるまで半年残す」「次の介護認定更新時にもう一度考える」というように、保留にも期限を付けます。
期限を決めることは、親を急かすことではありません。家を残し続ける費用と管理を、誰がいつまで引き受けるのかを曖昧にしないためです。
売る・残すの二択にせず、四つの選択肢を同じ条件で比べる
家族の話し合いが「売る人」と「守る人」の対立になると、どちらも親を思っていることが見えなくなります。
| 選択肢 | 考えやすい状況 | 見落としやすい負担 |
|---|---|---|
| 期限を決めて残す | 親が戻る可能性があり、家族が一定期間管理できる | 税金、保険、修繕、庭、換気、交通費、管理する人の時間 |
| 家族や親族が住む | 実際に住みたい人がおり、親も納得している | 使用料、修繕費、名義、退去時期、相続時の不公平感 |
| 貸す | 需要があり、建物の状態や立地が賃貸に向いている | 改修、入居者対応、空室、将来売るときの条件 |
| 売る | 戻る見込みが低く、管理者も利用希望者もいない | 家財整理、税金、仲介費用、親や親族への説明 |
| 建物を解体して土地を残す・売る | 建物の劣化が大きく、住宅としての利用が難しい | 解体費、税負担の変化、売却条件、思い出の整理 |
「残したい」と言う家族がいる場合は、その気持ちを否定せず、次のことまで聞きます。
- 誰が名義を引き受けるのか
- 誰が固定資産税と保険料を払うのか
- 月に何回、換気や掃除へ行くのか
- 屋根や給湯器が壊れたとき、誰が費用を負担するのか
- 何年後にもう一度方針を見直すのか
思いがあることと、所有・費用・管理を引き受けられることは別です。
「残したい人がいるから残す」ではなく、「この条件なら残せる」を作ります。
一年残すなら、家にかかるお金と家族の時間を数字にする
売却を急ぐ必要はありませんが、何も決めずに残すことにも費用がかかります。
直近一年分の資料から、次の金額を出します。
| 項目 | 確認する資料 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 納税通知書 |
| 火災保険・地震保険 | 保険証券、口座明細 |
| 電気・ガス・水道 | 請求書、口座明細 |
| 庭木・除草・清掃 | 業者の領収書、家族が行った回数 |
| 修繕 | 屋根、雨漏り、給湯器、水回りなどの見積もり |
| 交通・宿泊 | 家族が管理へ行くための費用 |
| 家族の時間 | 移動、掃除、立ち会いに使った時間 |
家族が無償で草刈りや掃除をしている場合も、「費用はかかっていない」と考えず、回数と時間を書きます。
空き家は、放置期間が長くなるほど老朽化や損傷が進み、売却や賃貸が難しくなる可能性があります。管理が不十分な空き家として自治体から指導を受け、勧告に至った場合には、土地の固定資産税の軽減措置を受けられなくなることもあります。
だからといって、「早く売らないと損」と家族を急かす必要はありません。
一年残す場合に、何を負担することになるのかを知ったうえで選びます。
親の判断力が気になるときは、契約書へ急いで署名してもらわない
親が不動産会社の説明を理解できるか心配でも、「今日だけしっかりしてもらおう」と契約を進めることは避けます。
次のような様子がある場合は、売却手続きへ入る前に、判断能力と支援方法について法律の相談先へ確認してください。
- 売る話をしたこと自体をすぐ忘れる
- 売却代金や住む場所について説明しても理解できない
- 家族によって賛成と反対を変える
- 契約内容とは違う理解をしている
- 署名の意味が分からないまま、家族の言うとおりに書こうとする
すでに成年後見人などが選任されている場合、後見人が本人に代わって、現在の住居だけでなく、施設入所前に住んでいた家などの居住用不動産を売却、賃貸、解体するには、家庭裁判所の許可が必要です。許可を得ない処分は無効になると案内されています。
「介護費が必要だから売れるはず」と家族だけで進めず、本人の住まいを失う影響や売却の必要性を含めて手続きを確かめます。
兄弟の意見が割れたら、「思い出」と「負担」を同じ表に入れない
長男は「親の家を残したい」と言い、近くに住む娘は「もう管理できない」と言う。
遠方の兄弟は、正月に帰る家がなくなる寂しさを話します。一方、実際に郵便物を取り、草を刈り、修理業者へ対応している人は限界を感じています。
このとき、どちらが親思いかを争わないでください。
| 話し合うテーマ | 家族で出す内容 |
|---|---|
| 思い出 | 残したい場所、物、写真、行事 |
| 親の意思 | 本人が話した希望、戻る可能性、売却代金の使い道 |
| 利用 | 今後住みたい人、貸したい人、定期的に使う予定 |
| 管理 | 掃除、庭、修繕、近隣対応をする人 |
| 費用 | 税金、保険、修繕、交通費を負担する人 |
| 期限 | いつまで保留し、いつ再検討するか |
会話は、次のように始められます。
「私も家がなくなるのは寂しい。だから、思い出の話と、今後誰が管理するかの話を分けたい」
「残す案も外さない。その場合、年間費用と管理担当、見直す時期まで決めたい」
「売ることに反対なら、その気持ちだけでなく、住む・費用を負担する・管理するうち、何を引き受けられるかを一緒に考えてほしい」
家を残す意見を言う人に、すべての管理を押しつける必要もありません。家族全員で費用を出す案もあります。
ただし、誰も責任を引き受けないまま、「とりあえず残す」だけを決めることは避けます。
思い出の整理は、不動産会社へ頼む前に少しだけ始める
査定を頼んだあと、家財を急いで処分しなければならなくなり、家族が後悔することがあります。
最初から家中を片づける必要はありません。先に、勝手に捨ててはいけない物を分けます。
- 権利証、登記識別情報、固定資産税などの書類
- 通帳、保険証券、年金、契約関係の書類
- 遺言書やエンディングノート
- 写真、手紙、日記、アルバム
- 仏壇、位牌、遺骨、家系に関わる物
- 親や兄弟が残したいと話している家具や食器
- 借り物や、親族から預かっている物
親が存命なら、本人の持ち物を家族だけで処分しないことが基本です。
「何を捨てるか」と聞くとつらくなる親には、次のように聞きます。
「次の住まいへ持っていきたい物を、この箱一つ分だけ選ぼう」
「孫に見せたい写真を10枚選んでほしい」
「この家で一番好きだった場所を写真に残したい。どこがいい?」
選べない物は、保留箱へ入れて期限を書きます。全部を一日で処分するより、迷う物を残せる小さな場所を作る方が進みやすくなります。
家そのものを残せなくても、家族の記憶は残せます
罪悪感が強いときは、「家を売ったら、親が生きてきた証拠まで消える」と感じることがあります。
売却前に、家の記憶を別の形へ移しておきます。
| 残し方 | 具体例 |
|---|---|
| 写真 | 家の外観、玄関、台所、親の部屋、庭、柱の傷を撮る |
| 動画 | 玄関から各部屋まで歩き、家全体の様子を残す |
| 音声 | 親に、家を建てたときや暮らしていた頃の話を聞く |
| 小さな品物 | 表札、鍵、茶碗、時計など、象徴になる物を一つ残す |
| 記録 | 間取り図に、家族の思い出を書き込む |
| 家族の時間 | 売却前に家族で集まり、最後の食事や写真撮影をする |
残す物を増やしすぎると、新しい住まいや子どもの家が荷物で埋まります。
「家族一人につき一箱」「家具は一人一つまで」など、持ち出す量も決めておくと、思い出を押しつけ合わずに済みます。
査定額は「この家の価値」ではなく、売り方を考える材料です
不動産会社から低い査定額を示されると、親の人生まで低く評価されたように感じることがあります。
けれど、不動産の価格は、土地や建物の状態、道路、立地、需要、売却条件などで決まります。家族が過ごした時間の価値を金額にしたものではありません。
査定を依頼する前に、国土交通省の不動産情報ライブラリで、周辺の取引価格や地価情報を確認できます。ただし、同じ地域でも土地の形や建物の状態などにより価格は変わるため、掲載価格がその家の売却額になるわけではありません。
不動産会社へ査定を頼むときは、価格だけでなく次の内容を比べます。
- 査定価格の根拠
- 土地と建物をそれぞれどう評価したか
- 修繕や解体をせずに売る場合の見通し
- 売り出し価格と成約予想価格の違い
- 売却までに想定する期間
- 仲介手数料以外にかかる費用
- 残置物を残したまま売れるか
- 土地の境界や測量に問題がないか
一社から高い査定額を出されても、すぐに媒介契約を結ぶ必要はありません。
媒介契約には種類があり、不動産会社が担う業務や売主側の制約が異なります。契約期間、販売活動、報告方法、解約条件を読んでから選びます。
売却代金は「子どもで分けるお金」ではなく、まず所有者の財産です
親が存命で親名義の家を売る場合、売却代金は基本的に親の財産です。
介護施設の費用、医療費、住み替え費用、生活費、今後必要になる予備費などを、親のためにどう使うかを考えます。
家族が管理を手伝う場合も、親のお金と子どもの家計を混ぜず、次の記録を残します。
- 売却代金が入った口座
- 仲介手数料、登記、測量などの支出
- 施設費、医療費、生活費への支出
- 親本人へ説明した内容
- 家族間で共有した明細
兄弟の一人が親のお金を管理する場合は、定期的に残高と支出を共有します。
「介護している自分が多く受け取ってよい」「将来相続するから先に分けよう」と家族だけで進めると、贈与や相続、財産管理の問題につながる可能性があります。資金を子どもへ移す場合は、事前に税務署や税理士などへ個別に確かめてください。
税金の期限は、売ると決める前に一度だけ確認する
税制だけを理由に、家族の気持ちを置き去りにして急いで売る必要はありません。
ただし、売る時期によって使える可能性のある特例が変わるため、保留する場合も期限は確認しておきます。
| 家の状態 | 確認したい主な制度 |
|---|---|
| 親が自分の家を売る | 居住用財産を売った場合の譲渡所得の特別控除 |
| 親が以前住んでいた家を売る | 住まなくなってからの期間など、特例の適用期限 |
| 親の死亡後、相続した空き家を売る | 被相続人の居住用財産に関する特別控除 |
| 家を解体して土地を売る | 解体時期、売却までの利用方法、特例要件 |
親本人がマイホームを売り、一定の要件を満たす場合は、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。以前住んでいた家は、原則として住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るなどの要件があります。
相続した親の空き家についても、一定の要件を満たし、2027年12月31日までに売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。相続人が3人以上の場合は、原則として一人当たり最高2,000万円です。老人ホームなどへ入所する前に親が住んでいた家も、一定の要件を満たせば対象となる場合があります。
実際の適用は、建築時期、住んでいた人、売却期限、売却額、耐震や解体の状況、相続人の人数などによって異なります。
査定を頼む前か、少なくとも売買契約を結ぶ前に、税務署や税理士などへ「どの特例の可能性があり、いつまでに何をする必要があるか」を確認してください。
「今は売らない」と決めるなら、次の見直し日までを決める
家族の気持ちが追いつかないとき、売却を保留することも一つの選択です。
ただし、保留には次の五つをセットにします。
- 保留する期限
- 管理を担当する人
- 年間費用の負担割合
- 修繕が必要になった場合の上限額
- 次に売却を検討する条件
たとえば、次のように決めます。
「母の次の介護認定更新まで半年間残す」
「管理は長女、費用は兄弟三人で均等に負担する」
「50万円を超える修繕が必要になった場合は、売却を含めて再検討する」
「母が自宅へ戻らない方針になった時点で、査定を依頼する」
期限のない保留は、近くに住む家族の仕事を増やします。期限のある保留なら、気持ちを整える時間として使えます。
売却を決めたあとも、親族への説明は「処分します」で終わらせない
遠方の親族へ、契約直前になって「実家を売ることになりました」と伝えると、「なぜもっと早く言わなかった」と不満が出ることがあります。
法的に誰の同意が必要かという話と、感情的なしこりを減らすための連絡は分けます。
伝える内容は、次の四つです。
- 親本人の希望や現在の生活状況
- 誰も住まず、誰が管理してきたか
- 残す、貸す、売るを比べた結果
- 思い出の品を確認できる期限
次のように伝えられます。
「母が自宅へ戻る予定がなく、今後の施設費も必要なため、家を売る方向で進めています。思い出の品や残したい写真があれば、○月末までに知らせてください」
「残す案も検討しましたが、管理する人と費用負担を決められませんでした。売却前に家の写真を残し、家族で最後に集まる日を作りたいと思っています」
すべての親族に決定権があるとは限りませんが、知らせ方を丁寧にすることで、「知らないうちに実家がなくなった」という悲しみを減らせます。
今日決めるのは「売るかどうか」ではなく、五つの事実です
罪悪感が強い日に、査定を依頼したり、家財を捨てたりする必要はありません。
今日は、次の五つだけを紙に書いてください。
- 土地と建物の名義人は誰か
- 親は家へ戻りたいと話しているか
- 現在、誰がどのくらいの頻度で管理しているか
- 一年間に家へいくらかかっているか
- 家を残したい人は、何を引き受けられるか
分からない項目には、空欄ではなく「不明」と書きます。
次にすることは、不動産会社へ電話することとは限りません。
親の気持ちが分からないなら、親へ一つ質問する。名義が分からないなら、固定資産税の書類を探す。兄弟の希望が分からないなら、「残したい物」を一人一つ聞く。
親の家を売ることへの罪悪感は、家族を大切にしてきた証拠でもあります。ただし、その気持ちだけで空き家を残し続けると、管理する一人へ負担が集まり、親の生活に使えるお金が減ることもあります。思い出を守ることと、建物を所有し続けることは、分けて考えて構いません。
家を売っても、そこで暮らした時間まで売ることはできません。
親の声を聞く。家族が引き受けられる現実を見る。写真や品物へ思い出を移す。そのうえで売却を選んだなら、それは家族を手放す決断ではなく、今いる親と家族の暮らしを守るための決断です。
出典・確認先メモ
- 法務局「相続登記が義務化されました」:相続登記の申請期限、制度開始前の相続に関する猶予期間の確認先。
- 法務局「住所・名前の変更登記に関する手続のご案内」:2026年4月からの住所・氏名変更登記義務化の確認先。
- 裁判所「成年被後見人等の居住用不動産の処分についての許可」:成年後見人などが本人の居住用不動産を売却・賃貸・解体する場合の手続確認先。
- 国土交通省「空き家対策特設サイト」:空き家を放置するリスク、売却・活用・適切な管理に関する確認先。
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」:周辺の取引価格、地価、防災・都市計画情報などの確認先。
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例」:親本人が居住用財産を売る場合の譲渡所得の特例に関する確認先。
- 国税庁「被相続人の居住用財産を売ったときの特例」:相続した空き家を売る場合の特別控除、期限、主な条件の確認先。


















