家賃が入るなら残したい。でも、大家を続けられる自信はない
親が施設へ入り、実家が空き家になった。あるいは、親が亡くなり、兄弟で家を相続した。
不動産会社へ聞くと、「この地域なら借り手がいるかもしれません」と言われる一方、「古くなる前に売った方がよい」とも言われます。
貸せば、毎月家賃が入る。思い出の家を手放さずに済み、将来は自分や子どもが住めるかもしれません。
けれど、雨漏りや給湯器の故障が起きたら誰が対応するのか。入居者が見つからない期間も、固定資産税や庭の手入れは続きます。
売れば管理から離れられますが、一度手放した家は戻りません。
「安く売って後悔しないだろうか」
「貸して赤字になったら、親の家を傷めただけにならないか」
「兄は売りたい、私は残したい。このまま話すとけんかになりそう」
こうして決められないまま、季節だけが変わっていきます。
郵便受けには広告がたまり、庭木は伸び、久しぶりに室内へ入ると湿ったにおいがする。それでも「まだ急がなくていい」と扉を閉めて帰る。
迷いが長引くのは、判断力がないからではありません。
家賃収入、売却代金、思い出、家族の将来、手続きの負担という性質の違うものを、頭の中だけで比べようとしているからです。
最初に決めるのは「貸すか売るか」ではなく、何を失いたくなくて、どの負担なら引き受けられるのかです。
まず「貸す・売る・期限付きで保留」の三つを並べます
空き家の選択肢は、貸すか売るかの二つだけではありません。
家族の介護や相続手続きで今すぐ判断できないなら、期限を決めて管理しながら保留する方法もあります。
| 選択肢 | 得られるもの | 引き受けるもの | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 貸す | 家賃収入、建物を残せる可能性 | 修繕、空室、入居者対応、税務、契約管理 | 賃貸需要があり、必要な修繕費と管理体制を用意できる |
| 売る | まとまった資金、管理から離れられる | 売却手続き、諸費用、家を手放す決断 | 今後住む予定がなく、管理を続ける人もいない |
| 期限付きで保留 | 家族で考える時間、親が戻る可能性への備え | 固定資産税、点検、通風、庭、火災・防犯対策 | 半年から1年程度で状況が変わる見込みがある |
保留を選ぶ場合に避けたいのは、「決まるまでそのまま」という期限のない状態です。
国土交通省は、空き家をすぐ活用・除却できない場合でも、換気、清掃、郵便物の整理、建物や外壁、屋根、立木などの定期的な点検・管理が必要だと案内しています。遠方で管理が難しい場合は、管理業者などを利用する方法もあります。
保留するなら、次の判断日まで決めます。
「親の退院後の住まいが決まる10月までは管理し、11月に再度話す」
「相続登記と査定を終え、6か月後に貸すか売るか決める」
考える時間を持つことと、放置することは別です。
名義が分からないまま、賃貸募集や売却契約へ進まない
親の家だから、子どもが自由に貸したり売ったりできると思っていたものの、登記簿を見ると亡くなった祖父の名義だった、ということがあります。
まず、法務局で登記事項証明書を取得するなどして、土地と建物の所有者を確かめます。
- 土地と建物の名義人は同じか
- 亡くなった親や祖父母の名義のままではないか
- 兄弟などとの共有名義になっていないか
- 住宅ローンなどの抵当権が残っていないか
- 未登記の増築部分がないか
相続で不動産を取得した人には、取得したことを知った日から原則3年以内に相続登記を申請する義務があります。2024年4月1日より前に始まった相続で登記が済んでいない場合も対象となり、原則として2027年3月31日までの申請が必要です。
相続人が多く、すぐに遺産分割がまとまらない場合には、相続人申告登記という制度もあります。ただし、誰がその家を取得するか決まった後には、別途その内容に沿った登記が必要になることがあります。
賃貸や売却の相談だけなら、家族が先に情報を集めることはできます。
しかし、契約できる人、売却代金や家賃を受け取る人、修繕費を負担する人は、名義や相続内容と切り離せません。
家賃は「毎月入る額」ではなく、1年間に残る額で見ます
不動産会社から「月8万円で貸せそうです」と言われると、年間96万円の収入になるように感じます。
実際には、募集前の修繕、空室期間、管理委託料、保険、税金などがかかります。
次の表を使い、まず1年間の収支を試算してください。
| 項目 | 金額の入れ方 |
|---|---|
| 年間の想定家賃 | 月額家賃×実際に入居が見込める月数 |
| 管理委託料 | 管理会社の月額・割合・追加業務料金 |
| 募集・契約関連費用 | 仲介、広告、保証会社関係など、所有者が負担するもの |
| 固定資産税・都市計画税 | 現在の納税通知書を基にする |
| 火災保険等 | 賃貸する建物に合う補償内容で見積もる |
| 小修繕の予備費 | 水栓、設備、建具などの故障に備える |
| 大きな修繕への積立 | 屋根、外壁、給湯器、水回りなど |
| 空室中の費用 | 電気・水道の基本料、庭、清掃、見回り |
| 遠方対応の費用 | 交通費、鍵の受け渡し、現地確認など |
| 税引き前の年間手取り | 想定家賃から上記費用を差し引く |
たとえば月8万円でも、1年のうち2か月空室になり、修繕や管理などで年間40万円かかれば、単純な96万円は残りません。
国税庁によると、建物などの貸付けによる収入は不動産所得となり、総収入金額から固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などの必要経費を差し引いて計算します。どの費用を経費にできるかは内容によって異なり、記帳や確定申告が必要になる場合もあります。
「家賃で固定資産税だけ払えればよい」のか、「毎年一定額を残したい」のかでも判断は変わります。
家族が望む最低手取り額を決め、その額を下回るなら貸さないという線を引いておくと、期待だけで進みにくくなります。
貸す前の修繕は「きれいにする費用」と「住める状態にする費用」を分けます
長く空き家だった住宅は、見た目を整えるだけでは貸せないことがあります。
水道を開けると漏水した。給湯器が動かない。床が沈む。窓が閉まらない。雨漏りの跡がある。
家族が数日泊まれることと、家賃を受け取って他人に住んでもらえる状態であることは同じではありません。
| 修繕の区分 | 具体例 | 判断の仕方 |
|---|---|---|
| 安全・使用に関わる修繕 | 雨漏り、漏電、給排水、床の腐食、鍵、給湯設備 | 貸すなら優先して見積もる |
| 入居者を探しやすくする修繕 | 壁紙、床、照明、台所や浴室の見た目 | 家賃上昇や成約への効果と費用を比べる |
| 将来必要になりそうな修繕 | 屋根、外壁、配管、浄化槽 | 数年以内の支出として収支へ入れる |
| 家族の好みによる改装 | 高価な設備、間取り変更、装飾 | 地域の需要に合うか、不動産会社へ聞く |
賃貸住宅では、入居者が住むために必要な修繕について、故障の原因や契約内容により所有者側の負担となることがあります。国土交通省の賃貸住宅標準契約書でも、借主の責任で必要になったものを除き、使用に必要な修繕は貸主が行うという考え方が示されています。
募集前の工事だけでなく、入居後に壊れた場合の費用と連絡体制まで考えてください。
修繕見積もりが高い場合は、全額をかければ貸せるのか、修繕費を回収するまで何年かかるのかを計算します。
売却は査定額ではなく、手元に残る金額で比べます
売却査定が1,000万円と聞くと、その金額がそのまま家族に残るように感じます。
実際には、物件によって次のような費用が発生します。
- 不動産会社への仲介手数料
- 測量や境界確認
- 家財の処分
- 建物の修繕または解体
- 相続・住所変更・抵当権抹消などの登記
- 契約書の印紙などの費用
- 売却による利益が出た場合の税金
土地や建物の譲渡所得は、原則として売却代金から取得費、譲渡費用、適用できる特別控除を差し引いて計算します。税額は単純に売却価格へ一定割合を掛けるものではなく、所有期間や取得費、特例の有無などで変わります。
不動産会社へは、次のように依頼します。
「査定価格だけでなく、想定される仲介手数料、家財処分、測量、解体の要否を含め、売却後の手取り見込みを出してください」
一社の査定だけでは、その価格が地域の相場なのか、契約を取るために高く示されたのか判断しにくいことがあります。
複数社へ同じ条件で査定を頼み、「なぜその価格になるのか」「売却までどの程度を想定しているか」も聞いてください。
賃貸査定と売却査定は、同じ時期に取ります
貸すか売るか迷っているのに、賃貸を扱う担当者へだけ聞けば、貸す利点が中心になります。
売買担当者へだけ聞けば、売却を勧められやすくなります。
判断材料をそろえるには、次の四つを同じ時期に取ります。
- 現状のまま貸す場合の想定家賃
- 貸す前に必要な修繕費
- 現状のまま売る場合の査定額
- 修繕または解体して売る場合の査定額
国土交通省は、売却前の建物状況調査(インスペクション)について、建物の状態を知り、売却後のトラブルを減らしたり、修繕の必要性を検討したりする材料になると案内しています。ただし、インスペクションを行えば、すべての不具合が保証されるわけではありません。
不動産会社へ共通して渡したい情報
- 土地と建物の登記事項
- 建築時期、構造、面積
- 空き家になった時期
- 雨漏り、傾き、設備故障など分かっている不具合
- 家財がどの程度残っているか
- 駐車場、接道、上下水道などの状況
- 家族が今後住む可能性
- 希望する判断時期
不具合を隠して高い査定を出してもらうより、分かっている状態を伝えた方が、実際に近い費用と価格を比較しやすくなります。
貸す方が合いやすいのは、家を残したいだけでなく管理を続けられる家庭です
次の項目に多く当てはまる場合は、賃貸を具体的に検討しやすくなります。
- 周辺に戸建て賃貸の需要がある
- 大きな修繕をしても、家賃で回収できる見込みがある
- 数年後に家族が住む可能性がある
- すぐにまとまった売却代金を必要としていない
- 空室や突発修繕に使える予備費がある
- 管理会社へ任せる費用を払える
- 共有者全員が賃貸経営へ同意している
- 確定申告や収支管理を担当する人がいる
- 入居者がいる間は自由に使えないことを受け入れられる
反対に、「空き家のままより家賃が入る方がよい」という理由だけでは、賃貸を続ける準備として足りないことがあります。
家賃収入がなくても支払える修繕予備費があるか。入居者から水漏れの連絡が来たとき、誰が判断するか。その二つに答えられるかを見てください。
売る方が合いやすいのは、将来の利用より今の管理終了を優先したい家庭です
次の項目が多い場合は、売却を先に検討する方が現実的なことがあります。
- 今後、家族が住む具体的な予定がない
- 貸すための修繕費を用意できない
- 地域の賃貸需要が弱い
- 空き家が遠方にあり、対応できる家族がいない
- 兄弟の高齢化などで、今後さらに管理が難しくなる
- 屋根、外壁、水回りなど大きな修繕が近い
- 相続人が多く、家賃や費用の分配が複雑になる
- 介護費、相続精算などでまとまった資金が必要
- 空き家のことを考え続ける精神的負担が大きい
家を売ることは、親との思い出を捨てることではありません。
写真を残す、柱や建具の一部を保管する、売る前に家族で最後に過ごす日を設けるなど、家そのものと記憶を分ける方法もあります。
「思い出があるから残す」と決める場合も、その家を誰が何年間管理するかまで話してください。
将来自分たちが使うなら、「いつか」を日付に変えます
「退職したら住むかもしれない」
「子どもが使うかもしれない」
「親が施設から戻るかもしれない」
こうした可能性があると、売却しにくくなります。
ただ、時期も条件もない「いつか」は、空き家を何年も保留する理由になりがちです。
| 家族の希望 | 決めたい具体的な条件 |
|---|---|
| 親が戻るかもしれない | 医療・介護面で戻れる条件と、判断する時期 |
| 自分が退職後に住みたい | 退職予定年、現在の住居、改修費、配偶者の意向 |
| 子どもが住むかもしれない | 本人に具体的な希望があるか、通勤・通学が可能か |
| 別荘として残したい | 年間何回使うか、管理費を誰が負担するか |
「2027年3月までに親の住まいが決まらなければ売却を始める」のように、次の判断日を置きます。
期限を決めることは、家族の可能性を切り捨てることではありません。可能性が現実になるかを、管理費を払いながら見極める期間を決めることです。
貸した後、家族の都合だけですぐ返してもらえるとは限りません
「数年だけ貸し、必要になったら返してもらえばよい」と考えることがあります。
しかし、住宅の賃貸借契約には、契約期間や終了方法に関するルールがあります。
| 契約の考え方 | 特徴 | 空き家所有者が注意したいこと |
|---|---|---|
| 普通建物賃貸借 | 契約更新を前提とする一般的な契約 | 所有者の都合だけで、希望する時期に明け渡しを受けられるとは限らない |
| 定期建物賃貸借 | 定めた期間の満了により、更新せず終了する契約 | 契約前の書面説明など所定の手続きが必要で、期間が1年以上なら終了通知にも期限がある |
国土交通省によると、定期建物賃貸借では、貸主が契約前に書面を交付して説明する必要があります。また、契約期間が1年以上で、再契約せず終了する場合は、原則として期間満了の1年前から6か月前までに終了通知を行います。
将来家族が使う可能性がある場合は、普通借家と定期借家のどちらが目的に合うかを、宅地建物取引業者などへ契約前に確認してください。
「定期借家なら、どのような場合でも途中で自由に売却・退去させられる」という意味でもありません。期間、再契約、中途解約、売却時の扱いを契約書で確かめます。
自分で管理するか、管理会社へ任せるかでも手取りは変わります
貸すと決めた後も、入居者募集、家賃回収、故障連絡、退去時の精算などがあります。
| 管理方法 | 利点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自主管理 | 管理委託料を抑えやすい | 入居者対応、修繕判断、契約管理を自分たちで担う |
| 管理会社へ委託 | 日常対応を任せやすい | 委託料のほか、どこまで業務に含まれるかを見る |
| サブリース | 事業者が借り上げて転貸するため、管理の手間を減らせる場合がある | 賃料の見直し、免責期間、修繕負担、解除条件を契約前に確認する |
サブリースについて国土交通省は、将来の家賃減額、契約解除、原状回復や大規模修繕の費用負担などが十分に説明されず、トラブルになるケースがあると注意を促しています。「長期一括借上げ」「家賃保証」といった言葉だけで判断せず、契約前の説明書面を読みます。
管理会社へ聞きたいこと
- 入居者募集から退去まで、どこまで対応するか
- 月額管理料以外に発生する料金
- 修繕はいくらまで管理会社の判断で発注するか
- 空室時にかかる費用
- 家賃滞納時の対応
- 庭木や浄化槽など戸建て特有の管理範囲
- 売却する場合の解約条件
- 担当者が変わった場合の引継ぎ
相続した空き家は、貸す前に売却の税特例を調べます
亡くなった親が一人で暮らしていた家を相続した場合、一定の要件を満たして期限内に売却すると、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。相続人が3人以上の場合は、控除上限が2,000万円となる場合があります。現在の制度では、2027年12月31日までの売却が対象です。
この特例には、建築時期、売却代金、相続から売却までの期間など複数の条件があります。
特に注意したいのは、相続から売却までの間に、対象となる家や土地を貸付け、事業、居住に使っていないことが要件の一つとされている点です。いったん貸すことで、将来売却するときにこの特例を利用できなくなる可能性があります。
すべての空き家が特例の対象になるわけではなく、控除額がそのまま現金でもらえる制度でもありません。
貸すか売るか決める前に、次の資料を持って税務署や税理士へ確認してください。
- 親が亡くなった日
- 家の建築時期
- 親が最後に住んでいた時期
- 老人ホームなどへ入所していた場合の時期
- 相続人の人数
- 現在まで誰かへ貸したり住まわせたりしていないか
- 売却査定額
「とりあえず一年だけ貸してから売る」という決め方が、税金を含めると有利とは限りません。
兄弟で意見が違うときは、気持ちと費用を別々に出します
長男は「管理が面倒だから売りたい」。長女は「親が大事にした家だから残したい」。次男は「家賃が入るなら貸せばよい」と言う。
このままでは、それぞれが自分の案の利点だけを話し続けます。
家族会議では、最初に次の二枚を作ります。
一枚目:それぞれの気持ち
- 家を残したい理由
- 売りたい理由
- 将来使いたい人と時期
- 手放した後に後悔しそうなこと
二枚目:それぞれが負担できること
- 修繕に出せる金額
- 空室中に出せる月額
- 現地対応できる回数
- 税務や帳簿を担当できる人
- 緊急修繕の判断をする人
- 売却手続きを担える人
家を残したい人が、すべての費用と管理を負担しなければならないわけではありません。
ただし、「残したい」という希望と、「管理はほかの兄弟に任せたい」という状態が重なると、話は進みにくくなります。
次のように伝えます。
「私は思い出があるので、すぐ売ることには迷いがあります。ただ、修繕費を全額出したり、入居者対応を担当したりすることはできません。賃貸した場合の5年間の収支と役割を見て、続けられないなら売却も受け入れたいです」
共有名義の場合は、一人が家賃を受け取り、一人が修繕費を出すといった曖昧な運用を避けます。
家賃の受取口座、費用負担、税務申告、売却判断の方法を書面へ残してください。
貸すか売るかを比べる五年間の表を作ります
賃貸は毎月の収入、売却は一度の収入なので、そのままでは比較しにくいものです。
同じ五年間という期間で並べてみます。
| 比べる項目 | 貸す場合 | 売る場合 |
|---|---|---|
| 最初に必要なお金 | 修繕、清掃、家財処分、募集費用 | 家財処分、測量、修繕・解体など |
| 得られるお金 | 5年間の家賃収入 | 売却代金 |
| 差し引く費用 | 空室、管理、修繕、保険、税金 | 仲介、登記、測量、税金など |
| 家族の作業 | 収支管理、修繕判断、入退去対応 | 査定、片づけ、契約、引渡し |
| 5年後の状態 | 建物と土地を所有し続ける | 管理から離れ、売却代金が残る |
| 主な不確定要素 | 空室、家賃低下、故障、入居者対応 | 売却期間、値下げ、税額、諸費用 |
金額だけでなく、家族が使う時間も書いてください。
貸した方が数字上は少し多く残っても、遠方の家族が何年も対応を続けるなら、その差額に見合わないことがあります。
「売るか貸すか分からない」と不動産会社へそのまま伝えてよい
相談前に結論を出しておかなければならないと思う方もいます。
けれど、結論を決めるために査定や市場情報を聞くのですから、迷っていることを隠す必要はありません。
次のように伝えられます。
「相続した実家を貸すか売るか決められていません。現状の売却査定、賃貸できる場合の想定家賃、必要な修繕、空室の見込み、管理委託後の年間手取りを比較できる形で教えてください。今すぐ契約する予定はありません」
国土交通省は、空き家を売りたい・貸したい場合、不動産会社だけでなく、自治体の空き家バンクを活用する方法も案内しています。登録条件や仲介方法は自治体によって異なるため、空き家のある市区町村へ確認します。
その場で決めず持ち帰りたい話
- 高額なリフォーム契約
- 長期間のサブリース契約
- 査定当日の専任媒介契約
- 将来の家賃が保証されるような説明
- 共有者へ話す前の賃貸・売却契約
提案を受けたら、初期費用、途中解約、価格や家賃の見直し条件を持ち帰って比べます。
今日することは、家を片づけることではなく四つの数字を集めることです
実家へ行くと、片づけなければ査定も頼めないと思うかもしれません。
けれど、家財が残った状態でも相談や査定ができる場合があります。
今日は次の四つを集めてください。
- 現在の固定資産税額
- 現状での売却査定額
- 現状での想定家賃
- 貸すために必要な修繕の概算
そして、紙の中央へ一本線を引きます。
左側に「貸した場合の5年」、右側に「売った場合の手取り」と書きます。
分からない数字は空欄のままで構いません。
空欄があれば、誰へ何を聞けばよいかが見えてきます。
売却査定は不動産会社へ。賃貸需要と修繕は賃貸管理会社へ。名義は法務局へ。相続した空き家の税特例は税務署や税理士へ。
家族には、結論を迫る前にこう伝えられます。
「貸すか売るかを今日決めたいわけではない。両方の手取りと、誰が何をするのかを出してから、○月末までに決めたい」
思い出のある家だからこそ、家賃が入りそうという期待だけで貸さず、管理が面倒という疲れだけで売らないでください。
数字を集めても迷いが残ることはあります。
それでも、「何となく手放せない」という迷いから、「年間手取りがこの額なら貸す」「家族が使う予定がこの日までに決まらなければ売る」という判断へ変えられます。
今日、決断まで進まなくて大丈夫です。
まず一社へ、賃貸と売却の両方を比較したいと伝える。その一本の連絡が、閉めたままの実家を、家族が扱える選択肢へ戻す一歩になります。
出典・確認先メモ
- 国土交通省「空き家対策特設サイト」:空き家の管理方法、売却・賃貸に利用できる制度、空き家バンク、インスペクションに関する確認先。
- 法務省「相続登記の申請義務化について」:相続登記の期限、相続人申告登記などの確認先。
- 国土交通省「賃貸住宅標準契約書」「定期建物賃貸借Q&A」:賃貸借契約、修繕、定期借家契約の説明・終了手続きに関する確認先。
- 国土交通省「賃貸住宅管理業法ポータルサイト」:サブリース契約の家賃見直し、修繕負担、解除条件などの注意点。
- 国税庁「不動産収入を受け取ったとき」「土地や建物を譲渡したとき」:不動産所得、必要経費、売却時の譲渡所得に関する確認先。
- 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」:控除の要件、売却期限、貸付けを行った場合の取扱いに関する確認先。


















