「誰かに住んでもらえば安心」と思ったあとで、家族の意見が割れます
親が施設へ入り、実家が空き家になって一年。
月に一度は窓を開けに行くものの、夏は庭の草が伸び、冬には水道管が凍らないか気になります。近所の人から「雨どいが外れかけていますよ」と連絡を受けたこともありました。
固定資産税や火災保険、草刈りの費用だけが出ていくため、長男が言います。
「売るつもりがないなら、誰かに貸せば家賃も入るし、家も傷みにくいんじゃない?」
ところが、妹は反対します。
「知らない人に仏壇のあった家を使われるのは嫌」
「将来、私たちが戻りたくなったらどうするの?」
「近所で問題が起きたら、お母さんの名前まで悪く言われるかもしれない」
空き家を貸す話は、不動産の活用だけでは終わりません。
親の家をどう扱うかという家族の気持ち、入居者が暮らし始めた後の近所付き合い、壊れた設備を直す責任、将来家を売りたくなったときの契約などが重なります。
家賃相場を調べ、募集写真を撮る前に、貸した後の日常を家族で想像することが必要です。
最初に決めるのは、「なぜ貸すのか」と「いつまで貸すのか」です
家族が同じ「貸す」という言葉を使っていても、考えている目的が違う場合があります。
| 家族が考えている目的 | 先に考えたいこと |
|---|---|
| 空き家の傷みを防ぎたい | 貸さずに管理を委託する方法とも比べる |
| 維持費を家賃で補いたい | 修繕費・管理費・空室期間を引いた収支を見る |
| 将来子どもが住むまで活用したい | 何年後に返してもらいたいかを決める |
| 売却前に一時的に貸したい | 入居中の売却や契約終了の難しさを理解する |
| 地域の人に使ってもらいたい | 一般賃貸、空き家バンク、事業利用等の違いを見る |
| 親の家を手放したくない | 家族の気持ちと賃貸経営上の判断を分ける |
「当面使わないから貸す」だけでは、期間満了後の扱いを決められません。
三年後に家族が戻る可能性があるのか、今後も長く賃貸住宅として持つのかによって、契約方法や修繕にかける金額が変わります。
家族会議では、賛成か反対かを聞く前に五つの役割を決めます
「貸してよいと思う?」と尋ねるだけでは、具体的な負担が見えないまま話が進みます。
貸し出した後に誰が何をするのかを並べてください。
| 決める役割 | 家族で話す内容 |
|---|---|
| 契約を結ぶ人 | 誰が貸主として署名し、契約内容を決めるか |
| 家賃を受け取る人 | 振込口座、収入と支出の記録を誰が管理するか |
| 修繕を決める人 | 給湯器や屋根が壊れたとき、誰が見積もりを承認するか |
| 入居者・近所への窓口 | 騒音、駐車、庭木などの連絡を誰が受けるか |
| 将来を決める人 | 売却、家族利用、契約更新をどう話し合うか |
近くに住む家族へ、庭の点検や苦情対応を当然のように任せると、家賃を受け取る人との間に不満が生まれます。
手間を担う人、費用を負担する人、収入を受け取る人が違う場合は、その関係も書いておきます。
家賃が入ったら、最初に固定資産税・保険・管理費・修繕用の予備費へ分ける。
残った金額の扱いは、家族で半年ごとに確認する。
緊急修繕は○円まで担当者が判断し、それを超える場合は家族へ連絡する。
名義が親のままなら、募集前に「誰が貸せるのか」を確かめます
親が亡くなった後も、登記が親名義のままになっている実家は珍しくありません。
誰が相続したのか決まっていない、きょうだいの共有になっている、土地と建物の名義人が違うという場合は、家族の一人だけで賃貸契約を進めると、後から問題になる可能性があります。
- 土地と建物の登記事項証明書を取る
- 現在の所有名義を確かめる
- 相続人や共有者を確認する
- 共有者がいる場合は、賃貸への意向を書面で残す
- 賃料の受取人と税務上の扱いを確認する
相続登記は2024年4月1日から義務化され、原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。義務化前に発生した相続も対象です。
相続関係や共有者の権限が複雑な場合は、募集開始前に法務局、司法書士、弁護士などへ事情を伝えてください。
親が存命なら、子どもだけで「空いているから貸そう」と決めません
親が施設や病院へ移った後の実家でも、家の所有者が親である場合があります。
子どもが管理しているからといって、家の貸し出しや家財の処分を自由に決められるとは限りません。
| 親の状態 | 考えたい進め方 |
|---|---|
| 契約内容を理解して意思表示できる | 家賃、期間、残す物を本人へ説明し、意向を確かめる |
| 説明に時間はかかるが希望を話せる | 短い説明に分け、本人が大切にしている部分を確認する |
| 判断が難しくなっている | 家族だけで契約せず、権限や支援制度を専門窓口へ相談する |
「誰も住まないのだから問題ない」と進めるのではなく、仏壇、家財、庭、近所との関係について親が何を望んでいるかを可能な範囲で聞きます。
家の中に残す物と、入居者へ貸す設備を分けます
家具付きで貸すつもりがなくても、物置、エアコン、照明、カーテン、古い棚などが残っていることがあります。
残置物の扱いが曖昧だと、故障時や退去時に「貸主の設備なのか、自由に処分してよい物なのか」で認識が分かれます。
| 分け方 | 具体例 | 募集前にすること |
|---|---|---|
| 家族が持ち出す物 | 通帳、権利書、写真、手紙、貴金属、仏具 | 内見開始前に別の場所へ移す |
| 住宅設備として貸す物 | 給湯器、エアコン、照明、温水洗浄便座 | 動作と製造年を確かめ、設備表へ記載する |
| 入居者が使える家具 | 食器棚、テーブル、物置等 | 故障・処分・原状回復の扱いを決める |
| 貸さない部屋・収納 | 家族の荷物を保管する一室 | 賃貸範囲から外せるか、管理や出入り方法を検討する |
| 処分する物 | 壊れた家具、古い布団、不用品 | 募集写真を撮る前に撤去する |
貸主の荷物を一部屋へ詰めたまま貸すと、入居者の生活空間が減るだけでなく、家族が荷物を取りに入る際の扱いも問題になります。
原則として、貸した後は入居者の生活の場です。家族が自由に出入りできる前提にはしない方がよいでしょう。
「そのまま住めそう」ではなく、水を出して設備を動かします
空き家は、見た目に大きな傷みがなくても、使っていなかった設備に不具合が出ることがあります。
| 場所 | 募集前に確かめること |
|---|---|
| 屋根・雨どい | 雨漏り、ずれ、詰まり、外れかけた部分 |
| 外壁・基礎 | 大きなひび、剥落、傾き、シロアリの痕跡 |
| 水道 | 漏水、赤水、排水の詰まり、冬季の凍結 |
| 給湯器 | 点火、湯温、製造年、長期未使用後の状態 |
| 電気 | 分電盤、コンセント、照明、古い配線 |
| ガス | 配管、機器、再開栓時の点検方法 |
| 浴室・トイレ | 漏水、換気、カビ、排水、便器の固定 |
| 建具・鍵 | 開閉、施錠、窓ガラス、網戸 |
| 庭・塀 | 倒木、越境枝、崩れ、通行を妨げる部分 |
国土交通省は、個人住宅を賃貸へ活用する際の指針として、住宅の現況、修繕の分担、管理方法などを貸主と借主の間で明確にする必要性を示しています。
家族だけで判断しにくい場合は、不動産会社の査定だけでなく、建築士や住宅診断を行う事業者などに建物の状態を見てもらう方法もあります。
住宅用火災警報器は、付いているかではなく作動するかを見ます
古い実家では、住宅用火災警報器が設置されていない、電池が切れている、設置から長期間たっている場合があります。
住宅用火災警報器は、消防法と市町村の条例に基づいて住宅への設置が義務付けられています。必要な設置場所は地域や建物の構造によって異なるため、管轄の消防署へ確認してください。
- 寝室と階段など必要な場所に設置されているか
- 作動確認の音が鳴るか
- 本体に交換時期の表示がないか
- 消火器や避難経路を妨げる物がないか
- 石油ストーブ等を残す場合の扱いを決めているか
消防設備だけでなく、玄関や勝手口の鍵も入居前に交換するか、不動産会社と決めます。
修繕費を惜しむ前に、「貸主が直す物」を一覧にします
古い家を貸すとき、「家賃を安くする代わりに、壊れても借主に直してもらおう」と考えることがあります。
しかし、修繕の責任が曖昧なままでは、雨漏りや給湯器の故障が起きたときに生活できない状態が続きます。
| 起こりやすい故障 | 募集前に決めること |
|---|---|
| 給湯器・エアコンの故障 | 設備として貸すか、残置物扱いにするか |
| 屋根・外壁からの雨漏り | 連絡先、応急処置、修繕の決裁方法 |
| 水道管・排水の不具合 | 夜間・休日に誰が業者を手配するか |
| 庭木・雑草 | 日常の手入れと大規模剪定を誰が担うか |
| 浄化槽・井戸 | 点検、清掃、費用負担、故障時の対応 |
| 塀・門・物置 | 安全点検と修理を誰が行うか |
国土交通省の賃貸住宅標準契約書や原状回復のガイドラインは、契約時に修繕や原状回復の条件を具体的に確認し、貸主と借主の認識違いを防ぐことを重視しています。
「現状のまま貸す」という一文だけで、修繕責任をすべて借主へ移せるとは限りません。古い設備を残す場合ほど、契約内容を不動産会社等と具体化してください。
将来自分たちが使う可能性があるなら、契約の種類を先に聞きます
住宅の賃貸借には、一般に普通借家契約と定期借家契約があります。
| 契約の考え方 | 特徴 | 向いている可能性がある場面 |
|---|---|---|
| 普通借家契約 | 契約期間が終わっても更新されることがあり、貸主側の都合だけで終了させるのは容易ではない | 長期間、賃貸住宅として使う予定 |
| 定期借家契約 | 契約で決めた期間が満了すると、原則として更新なく終了する | 数年後に家族が使うなど、貸す期間を決めたい |
普通借家契約では、貸主の事情だけで更新を拒絶したり退去を求めたりする場合、正当事由などが問題になります。「子どもが住みたくなったから、すぐ返してもらう」とは限りません。
定期借家契約は期間満了によって終了する仕組みですが、契約書とは別に、更新がなく期間満了で終了することを事前に説明するなど、所定の手続きが必要です。
家族の将来計画に合う契約を選び、不動産会社へ「何年後に、何のために家を使う可能性があるか」を伝えます。
借主によるDIYを認めるなら、工事できる範囲を絵にします
古い空き家では、貸主がすべて改修するのではなく、借主が自分の好みに合わせて直すDIY型賃貸借も考えられます。
ただし、「好きに直してよい」だけでは、構造部分の変更や退去時の原状回復でもめる可能性があります。
| 決めること | 具体例 |
|---|---|
| 工事できる場所 | 壁紙、棚、床、庭など |
| 工事できない場所 | 柱、耐力壁、屋根、配管等 |
| 事前承認 | 工事図面・見積書・業者名を貸主へ提出する |
| 費用負担 | 貸主と借主のどちらが支払うか |
| 所有権 | 設置した設備を退去時に残すか持ち出すか |
| 原状回復 | 元へ戻すのか、そのまま引き渡すのか |
国土交通省は、DIY型賃貸借について、改修内容や退去時の原状回復の有無を貸主と借主が明確に認識し、合意書を取り交わすための書式例や手引きを公開しています。
近所への挨拶は、許可をもらう場ではなく連絡経路を作る場です
空き家を貸すために、近所全員の許可が必要になるとは限りません。
ただし、長く空き家だった家へ人が出入りし、引っ越し車両が来るため、事前に一言あるだけで受け止め方が変わることがあります。
挨拶では、入居者の個人情報を詳しく伝える必要はありません。
長く空き家だった家を、今後は賃貸住宅として使う予定です。
入居日が決まりましたら、引っ越し車両が出入りする可能性があります。
建物や庭、駐車などで気になることがありましたら、こちらの管理窓口へご連絡ください。
| 近所へ伝える内容 | 伝えなくてよい内容 |
|---|---|
| 賃貸住宅として使い始める予定 | 入居者の勤務先や家族構成の詳細 |
| おおよその入居・引っ越し時期 | 入居審査や保証人の情報 |
| 管理会社や家族の緊急連絡先 | 家賃や契約条件 |
| 工事や車両出入りの予定 | 本人の許可を得ていない個人情報 |
近所の人に「何かあったら入居者へ直接注意してください」「庭も見ておいてください」と管理役を押しつけないようにします。
近隣からの連絡を受ける窓口は、貸主か管理会社が担います。
ごみ・駐車・私道・境界は、入居者任せにすると近所でもめやすくなります
戸建ての賃貸では、マンションのように掲示板や管理人がいないため、地域独自のルールが伝わりにくいことがあります。
| 確かめること | 募集・契約時に伝える内容 |
|---|---|
| ごみ出し | 集積所、曜日、当番、指定袋 |
| 自治会・町内会 | 加入の扱い、会費、行事や当番 |
| 駐車 | 敷地内の台数、道路へはみ出さない位置 |
| 私道 | 通行・駐車・工事車両に関する取り決め |
| 境界 | 庭、塀、通路のどこまでが敷地か |
| 庭木 | 日常の手入れ、越境枝、大木の剪定 |
| 雪かき・側溝 | 地域で必要な作業と担当範囲 |
| 浄化槽・井戸 | 点検、清掃、利用方法、費用負担 |
近所の人から教えてもらった口頭のルールだけでなく、自治体、不動産会社、自治会等にも扱いを確認します。
入居者募集の広告と契約時の説明に反映できるよう、紙にまとめて管理会社へ渡してください。
ペット・楽器・事業利用は、家族の好みではなく家と地域への影響で決めます
「親が動物嫌いだったからペットは禁止」「空室を避けたいから何でも可」と感情だけで決めると、募集後に条件を変えにくくなります。
| 利用条件 | 事前に見ること |
|---|---|
| ペット | 床・柱・庭への影響、頭数、鳴き声、原状回復 |
| 楽器 | 演奏時間、建物の遮音性、近隣との距離 |
| 喫煙 | 室内・屋外の範囲、におい、原状回復の条件 |
| 事務所・店舗 | 用途、来客、駐車、法令・保険上の扱い |
| ルームシェア | 入居者全員の契約上の立場 |
| 短期利用・転貸 | 民泊や無断転貸を認めるか |
家族の希望を不動産会社へ伝えたうえで、地域の需要と家の状態を踏まえて条件を決めます。
自主管理か管理会社への委託かは、家までの距離ではなく対応時間で考えます
実家の近くに住んでいても、仕事中や夜中に水漏れへ対応できるとは限りません。
| 管理する仕事 | 家族でできるか考えること |
|---|---|
| 家賃・入金管理 | 未払い時の連絡と記録を続けられるか |
| 修繕受付 | 夜間・休日の不具合に対応できるか |
| 業者手配 | 現地を見て見積もりを判断できるか |
| 近隣苦情 | 感情的な対立を避けて対応できるか |
| 更新・退去 | 書類、精算、立ち会いを行えるか |
| 定期点検 | 屋根、庭、設備等を継続して見られるか |
管理会社へ委託する場合は、「すべて任せられる」と思わず、契約範囲を読みます。
- 入居者募集と契約だけか、入居後の管理も含むか
- 家賃回収や滞納対応をどこまで行うか
- 夜間・休日の緊急受付があるか
- 修繕はいくらまで貸主の事前承認なしで行うか
- 庭や建物の定期点検を行うか
- 近隣からの苦情を誰が受けるか
- 貸主へどの頻度で報告するか
一定規模以上の賃貸住宅管理業者には国土交通大臣への登録が義務付けられ、管理業務の実施状況や苦情対応などを貸主へ定期報告する仕組みがあります。契約前に、管理内容・費用・報告方法を重要事項説明書や管理受託契約書で確かめてください。
サブリースの「手間がない」という説明だけで決めないでください
事業者が空き家を借り上げ、入居者へ転貸するサブリースを提案される場合があります。
管理の手間を減らせる可能性がある一方で、家賃の見直し、免責期間、修繕負担、契約解除の条件などを理解せずに契約すると、想定した収入にならないことがあります。
| 聞くこと | 確かめたい内容 |
|---|---|
| 家賃保証 | 金額が固定か、見直される条件は何か |
| 空室時 | 家賃が支払われない期間はあるか |
| 修繕 | 貸主負担になる工事と承認方法 |
| 解約 | 貸主から終了できる条件と通知期間 |
| 原状回復 | 契約終了時にどの状態で戻るか |
| 転借人 | 入居条件を所有者がどこまで指定できるか |
国土交通省は、サブリース方式について、誇大広告や不当な勧誘を防ぐ規制、契約前の重要事項説明などを定め、貸主向けの注意喚起資料を公開しています。
火災保険は、空き家から賃貸へ変える前に保険会社へ伝えます
親が住んでいたときの火災保険を、そのまま使えるとは限りません。
火災保険では、建物の構造や用法が契約上の重要な情報となり、用法が変わった場合に通知が必要とされることがあります。連絡を怠ると、契約や保険金の支払いへ影響する可能性があります。
- 空き家から賃貸住宅になることを保険会社へ伝える
- 建物の補償範囲と保険金額を見直す
- 水漏れ、風災、個人賠償等の補償を確かめる
- 貸主の家財を残す場合の扱いを聞く
- 入居者に求める家財保険・借家人賠償責任補償を不動産会社と決める
保険商品によって条件が異なるため、「以前から加入しているから大丈夫」と考えず、募集開始前に契約先へ確認してください。
家賃は、そのまま家族の利益になるわけではありません
月8万円で貸せると聞くと、年間96万円の収入になるように感じます。
実際には、入居前の修繕、管理委託料、固定資産税、保険料、入退去時の費用、設備交換、空室期間などがあります。
| 収入から備えたい支出 | 具体例 |
|---|---|
| 毎年・毎月の支出 | 固定資産税、保険料、管理費等 |
| 入居前の支出 | 修繕、清掃、鍵交換、家財処分 |
| 入居中の支出 | 設備故障、雨漏り、庭木、害虫対応 |
| 入退去時の支出 | 募集、契約、清掃、原状回復等 |
| 収入がない期間 | 募集前、退去後、修繕中の空室 |
| 将来の大きな支出 | 屋根、外壁、給湯器、配管等の更新 |
土地や建物を貸して得る所得は、原則として不動産所得に当たり、総収入金額から、収入を得るために直接必要な固定資産税、損害保険料、修繕費などを差し引いて計算します。個別の経費計上や申告方法は税務署・税理士へ確認してください。
家賃用の口座と、親や家族の日常のお金を分け、領収書や契約書を保存しておくと収支を追いやすくなります。
近所から連絡が来たときの順番を、入居前に決めます
入居者が暮らし始めると、本人には悪気がなくても、車の止め方、庭木、生活音、ごみ出しなどで連絡が入ることがあります。
| 連絡を受けたとき | 家族・管理会社の動き |
|---|---|
| 事実を聞く | 日時、場所、起きていることを具体的に聞く |
| 緊急性を見る | 漏水、火災、倒木などは先に安全を確保する |
| 契約・地域ルールを見る | 駐車位置、ごみ、庭の管理範囲を確かめる |
| 入居者へ伝える | 近所の名前を使って責めず、具体的な改善を求める |
| 対応を記録する | 連絡日、内容、入居者への説明、結果を残す |
近所からの話をすべて事実と決めつけず、反対に「入居者の問題だから」と放置もしません。
貸主や管理会社が間に入り、双方の暮らしを守る形で対応します。
貸す前の空白期間も、管理を止めないようにします
貸すと決めても、修繕や募集、入居審査に時間がかかります。
その間も家は空き家です。
- 郵便受けを定期的に空にする
- 窓、屋根、外壁、雨どいを点検する
- 庭木や雑草が道路・隣地へ越境していないか見る
- 漏水や排水の異常がないか確かめる
- 台風や大雨の後に外回りを見る
- 施錠と防犯状態を確かめる
- 不法投棄や動物の侵入がないかを見る
国土交通省は、空き家を活用できない期間も適切な管理が必要とし、自分で点検・補修することが難しい場合は、空き家管理業者などの利用を検討するよう案内しています。
募集開始を止めた方がよい状態もあります
| 現在の状態 | 先に行うこと |
|---|---|
| 所有者や相続人が確定していない | 名義・契約権限を確かめる |
| 家族が貸すことに合意していない | 期間、収入、将来利用を話し直す |
| 雨漏りや傾き等の大きな不具合がある | 安全性と修繕費を調べる |
| 親の荷物が大量に残っている | 残す物・処分する物を家族で分ける |
| 数年後に必ず家族が使う予定がある | 契約方法と終了時期を専門家へ確認する |
| 修繕費を負担する人が決まっていない | 家賃の使い方と決裁者を決める |
| 近隣との境界や私道でもめている | 賃貸前に利用範囲を明確にする |
貸すことを中止する必要があるとは限りません。
ただし、入居者が決まってから問題を解決しようとすると、契約開始日に間に合わず、借主にも迷惑がかかります。
今日するのは、不動産会社へ電話する前の一枚を作ることです
空き家を貸すと決めると、家賃査定や入居者募集を急ぎたくなります。
今日は、家族で次の五つだけ紙へ書いてください。
- 貸す目的:維持費の補填、期間限定、長期運用など
- 貸せる期間:何年後に家族が使う可能性があるか
- 貸主となる人:名義と契約権限
- 管理する人:修繕・苦情・入金を誰が担うか
- 残したい物:家財、庭木、物置、思い出の品
五つが決まらない項目には、「未定」と書いて構いません。
その紙と建物の写真を持って、不動産会社へ相談します。
そして、次のように伝えてください。
「家賃査定だけでなく、貸す前に必要な修繕、管理範囲、契約方法、将来家族が使う場合の注意点を分けて説明してください」
近所には、入居者が決まる前の段階で許可を求めて回る必要はありません。
管理窓口と引っ越し時期が分かった段階で、必要な範囲へ落ち着いて伝えればよいでしょう。
家を貸すことは、空き部屋へ人を入れるだけではありません。
その人の生活を支える家を提供し、修繕や近所との関係を引き受けることでもあります。
すべてを家族だけで担う必要はありません。しかし、誰に何を任せるのかは、募集前に家族自身が決めておく必要があります。
まずは「いくらで貸せるか」より、「貸した後に誰が動くか」を一枚にするところから始めてください。
出典・確認先メモ
- 国土交通省「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」:個人住宅を貸す際の賃貸借・管理・修繕に関する指針。
- 国土交通省「賃貸住宅の入居・退去に係る留意点」:契約内容、修繕、原状回復、普通借家契約に関する確認事項。
- 国土交通省「定期建物賃貸借Q&A」:定期借家契約の終了と契約前の説明手続き。
- 国土交通省「賃貸住宅管理業法ポータルサイト」:管理受託契約、維持保全、家賃管理、貸主への報告。
- 法務省「相続登記の義務化」:相続不動産の登記申請期限と対象。
- 総務省消防庁「住宅用火災警報器」:住宅用火災警報器の設置義務と設置場所。
- 国税庁「不動産収入を受け取ったとき」:不動産所得の考え方と主な必要経費。
- 日本損害保険協会「火災保険の告知事項・通知事項」:建物の構造・用法変更時の保険会社への連絡。


















