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家の中の転倒を防ぐ見直しポイント|場所別チェックと介護保険の住宅改修

2026.07.02 更新 なやみ晴れ編集部
#暮らし・日常の困りごと#見えにくさ#転倒予防#防災
この記事の結論

家の中の転倒は、段差・浴室・夜間の廊下・階段など、危ない場所がだいたい決まっています。まずお金をかけずできること(床の物やコードを片づける、滑るマットを見直す、足元に明かりをつける、履物を替える)から始めましょう。手すりや段差解消の工事は、要支援・要介護の認定があれば介護保険の住宅改修(上限20万円・原則1割負担など)が使える場合も。事前申請が要るので、まずケアマネか地域包括支援センターへ。

実家の廊下に置かれた新聞の山を見て、ひやりとした人へ

久しぶりに親の家に帰ったら、廊下に新聞や段ボールが積まれ、カーペットの端がめくれている。夜、トイレに立つ親の足元が暗い。浴槽の縁をまたぐ動きが、見ていて危なっかしい。あるいは、電話で「この前ちょっとつまずいてね」と軽く言われて、胸がざわついた。

そんな瞬間に、この記事を開いた人が多いと思います。

口には出しにくいけれど、頭の片隅にこんな考えがよぎっているのではないでしょうか。

「一回転んで骨折したら、そのまま寝たきりになるかもしれない」

「でも、大げさに言って『年寄り扱いするな』と怒らせたくない」

「何から手をつければいいのか、そもそも分からない」

先に、少し気持ちが軽くなることを言います。家の中で転びやすい場所は、実はだいたい決まっています。そして、その多くは、今日、お金をかけずに手を打てます。工事が必要なところも、条件が合えば介護保険が使えます。

この記事では、危ない場所の見つけ方から、無料でできる対策、そして手すりや段差の改修まで、順番に一緒に見ていきます。

この記事は、家庭内の転倒を防ぐための一般的な情報です。介護保険の住宅改修の対象・上限・自己負担割合・手続きや、自治体独自の助成は、時期や市区町村によって異なります。工事を伴う対策は、事前にケアマネジャーや地域包括支援センター、市区町村の窓口で最新の内容を確認してください。

実は外より家の中。転びやすい場所は決まっています

「転倒」というと外を思い浮かべますが、高齢者の転倒は、住み慣れた家の中でも多く起きています。慣れた場所ほど油断が出て、ちょっとした段差や濡れた床で足をとられるからです。

そして、家庭内の転倒は、軽く見られがちですが、実は重い結果につながることがあります。年齢を重ねると軽い転倒でも骨折しやすく、骨折で動けない期間が続くと、筋力が落ちて、そのまま要介護のきっかけになることがあります。高齢者が要介護になる主な原因の一つに「骨折・転倒」が挙げられているのも、そのためです。

脅かしたいのではありません。逆です。原因になる場所が決まっているということは、そこを押さえれば、かなり防げるということです。まずは、どこが危ないかを知るところから始めましょう。

場所別に、危ないポイントをチェックしてみる

家の中を、危ない場所ごとに見ていきます。当てはまるものに、心の中でチェックを入れてみてください。

場所 危ないポイント
玄関 上がり框(あがりかまち)の段差、靴を履くとき体が不安定になる
廊下・居間 めくれた敷物、電気コード、床に置いた物、暗さ
階段 手すりがない、片側だけ、足元が暗い、滑りやすい
浴室 浴槽の出入り、濡れて滑る床、またぐ動作
トイレ 立ち座りで力が要る、つかまる所がない、夜間の移動
寝室 夜中の移動、布団やベッドからの立ち上がり

三つ以上あてはまったら、そこは見直しどきです。とくに「浴室」と「夜間の移動」は、転ぶと大きなけがにつながりやすいので、優先して考えてください。

今日、お金をかけずにできること

いきなり工事を考えなくて大丈夫です。まずは、今日その場でできることから。ほとんどお金はかかりません。

この中でも、「足元の明かり」と「滑るマットの見直し」は、費用のわりに効果が大きい対策です。今夜、親の家(あるいは自分の家)の廊下と浴室を、一度歩いてみてください。「ここ、暗いな」「ここ、滑るな」と感じた場所が、そのまま危険な場所です。

「手をつく場所」を探すと、手すりの付け所が分かります

手すりを付けるとき、「どこに付ければいいのか」で迷います。目安は簡単です。ふだん、壁や家具に手を添えている場所です。

家の中をよく見ると、立ち上がるとき、方向を変えるとき、段差を越えるときに、無意識に手をついている場所があります。階段の壁に手あかがついている、玄関の靴箱にいつも手を添えている、といった跡は、そこに支えが必要なサインです。

手すりには、壁に固定する工事タイプのほか、床に置く据え置き型、天井との間で突っぱる突っ張り型があります。工事のいらないタイプは、介護保険のレンタル(福祉用具貸与)で借りられることもあります。高さや太さは、身長だけで決めず、本人が実際に握って使いやすいものを、専門職と一緒に選ぶと失敗しにくくなります。

工事が要る対策は、介護保険の住宅改修が使えることがあります

手すりの取り付けや段差の解消など、工事が必要な対策には、介護保険の「住宅改修」という仕組みが使える場合があります。

要点を整理します(制度は変わることがあるので、あくまで目安として見てください)。

据え置き型の手すりなど、工事を伴わないものは、介護保険のレンタルで月数百円程度から使える場合もあります。また、介護保険とは別に、独自の住宅改修の助成を用意している自治体もあります。当てはまりそうかどうかも含めて、窓口で聞いてみてください。

いちばんの落とし穴は「工事の前に申請」です

ここは、知らずに損をする人が多いところなので、はっきり書きます。介護保険の住宅改修は、工事を始める前の申請が必要です。先に工事をしてしまうと、支給を受けられなくなることがあります。

おおまかな流れは次のとおりです。

費用はいったん全額を業者へ支払い、後から保険分が戻ってくる「償還払い」が原則ですが、自治体によっては自己負担分だけ払えばよい仕組みもあります。申請書類は、ケアマネジャーに代行を頼めることが多いです。

電話で使う一言

「親の家で転びそうな場所があり、手すりや段差の工事を考えています。介護保険の住宅改修が使えるか、まず何から相談すればいいか教えてください」。担当ケアマネがいなければ、地域包括支援センターへ。

親が「まだ大丈夫」と手すりを嫌がるとき

いざ勧めても、「そんな年寄りみたいなもの要らない」と手すりを嫌がる。これも、よくあることです。手すりや段差解消が「介護の始まり」に見えて、抵抗を感じるのです。

ここでも、伝え方を少し変えると受け入れやすくなります。

身構えさせやすい言い方 受け入れやすい言い方
危ないから手すりを付けるよ 私が来たとき掴めると助かるから、一本だけ付けない?
もう足腰が弱ってるでしょ 孫が来ても安心だし、家族みんなのために付けておきたい
バリアフリーにするからね まずは物を片づけて、明かりを足すところから始めよう

いきなり工事を持ち出さず、片づけや明かりといった軽いものから一緒に始めると、抵抗が和らぎます。最後に決めるのは本人です。押しつけずに、「転ばないための工夫」として、そっと提案してみてください。

立場によって、まず動きやすいことは違います

あなたがどの立場かで、最初の一歩は変わります。

あなたの立場 まず動きやすいこと
離れて暮らす子ども世代 帰省時に危ない場所を写真に撮り、片づけと明かりを。工事はケアマネ・地域包括に相談
同居している家族 床の物・敷物・コードを見直し、夜間の足元灯を設置
本人(自分の家を見直す) 履物と足元の明かり、浴室の滑り止めから。手をつく場所をメモ
配偶者(自分も高齢) 無理に工事せず、まず専門職に相談。据え置き手すりのレンタルも検討

今日は、危ない場所を一つ片づけるだけで十分です

ここまで読んで、「工事とか申請とか、大変そう」と感じたかもしれません。でも、今日、工事をする必要はありません。

今日できるのは、もっと小さなことです。

転倒は、防げる事故です。運が悪かったで済ませず、環境を少し整えるだけで、その一回を減らせます。

大掛かりな工事は、その先の話です。まずは今日、危ない場所を一つ片づけるところから。手すりや段差の改修が必要そうなら、ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談すれば、順番を一緒に考えてくれます。焦らず、一つずつで大丈夫です。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. 家の中で高齢の親が転びそうです。まず何から始めればいいですか?

お金をかけずにできることから始めるのがおすすめです。床の物やコードを片づけて通り道を作り、めくれる敷物や滑るマットを見直し、夜間の足元に明かりを足しましょう。滑りやすい履物を替えるだけでも、転倒のリスクは下がります。

Q. 家の中で高齢者が転びやすいのは、どんな場所ですか?

玄関の段差、めくれた敷物やコードのある廊下、手すりのない階段、濡れて滑る浴室、立ち座りのつらいトイレ、夜間に移動する寝室などです。とくに浴室と夜間の移動は、転ぶと大きなけがにつながりやすいので、優先して見直すとよいでしょう。

Q. 手すりや段差の工事に、介護保険は使えますか?

要支援1・2または要介護1〜5の認定があり、実際に住んでいる自宅であれば、介護保険の住宅改修(上限20万円・原則1割負担など)が使える場合があります。手すりの取り付けや段差解消などが対象です。上限や負担割合は自治体で異なるため、窓口で確認してください。

Q. 先に工事をしてしまっても、あとから介護保険の補助を受けられますか?

介護保険の住宅改修は、工事を始める前の事前申請が原則で、着工後に申請すると支給を受けられないことがあります。工事を考えたら、まず担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、申請の順番を確認してから進めてください。

Q. 親が「まだ大丈夫」と手すりを嫌がります。どうすればいいですか?

年寄り扱いされたと感じて抵抗することがあるので、正面から勧めるより、「私が来たとき掴めると助かる」「家族みんなのため」と伝えると受け入れやすくなります。まずは片づけや明かりなど軽い対策から一緒に始め、最後は本人の気持ちを尊重して進めましょう。

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