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玄関を開けた瞬間、前より通りにくくなっていた
久しぶりに実家へ行くと、玄関には通販の箱や紙袋が積まれています。
廊下の端には新聞が重なり、居間のテーブルには食べ終えた容器と郵便物。冷蔵庫を開ければ、期限の切れた食品が奥からいくつも出てくる。
親へ「少し片付けようか」と言うと、返ってくるのは強い拒否です。
「勝手に触らないで」
「全部使う物だから」
「自分の家なのに、あなたに指図されたくない」
家族から見れば、使う予定のない物や明らかなゴミに見えます。
それでも親は捨てることを許さない。話すたびにけんかになり、家族も次第に言葉が荒くなります。
「こんな家で暮らして平気なの?」
「近所に知られたら恥ずかしい」
「私が全部捨てるから、もう口を出さないで」
本当は責めたいのではありません。
転んで動けなくならないか、火事にならないか、傷んだ物を食べていないか。親の体と暮らしが心配だから、見過ごせないのです。
一方の親には、「自分の生活を奪われる」「大事な物まで捨てられる」「できない人と決めつけられる」という怖さがあるかもしれません。
家の状態だけを直そうとすると、親子は「捨てる人」と「守る人」に分かれてしまいます。
最初に目指したいのは、見栄えのよい部屋ではありません。親が転ばず、食べて、眠って、トイレへ行ける状態を取り戻すことです。
最初に見るのは物の量ではなく、今日の生活が回っているかです
部屋が散らかっていても、必要な物を取り出し、食事や入浴ができている人もいます。
反対に、見える部屋は片づいていても、冷蔵庫の中が傷んだ食品で埋まり、薬や支払いが止まっていることもあります。
家の見た目だけでなく、次の生活動作を見てください。
| 見る場所・行動 | 確かめたいこと | 急いで対応したい状態 |
|---|---|---|
| 玄関・廊下 | 外へ出られるか、つまずかず歩けるか | 出入口が物で塞がれ、避難や救急搬送が難しい |
| 寝床 | 布団やベッドで横になれるか | 物に囲まれ、床や椅子でしか眠れない |
| トイレ | 安全に入り、使用できるか | 通路がない、汚物が放置されている、使えない |
| 台所 | 火元の周囲が空いているか、調理できるか | コンロや暖房器具の近くに紙・衣類・油が積まれている |
| 冷蔵庫・食卓 | 食べられる物があるか、腐敗物を区別できるか | 腐敗した食品を食べている、水分や食事が取れていない |
| 浴室・洗面所 | 入浴、着替え、洗濯ができているか | 長期間使えず、衛生や皮膚状態に影響している |
| 薬 | 現在の薬を区別し、飲めているか | 古い薬と混ざる、飲み忘れや重ね飲みがある |
| 電気・水道・ガス | 止まっていないか、安全に使えているか | 料金滞納や故障で生活に必要な設備が使えない |
| 庭・建物周辺 | 道路や隣家へ物・枝が出ていないか | 倒れそうな物、害虫、悪臭などが周囲へ及んでいる |
厚生労働省は、ごみが堆積した住居では、悪臭や害虫だけでなく、堆積物の崩落や火災のおそれが生じる場合があり、背景に高齢、障害、生活困窮などの福祉的な課題があることも指摘しています。家の状態だけを問題にせず、本人の生活全体を見る必要があります。
危険度によって、片付ける順番を変えます
家族が実家の状態を見たとき、最初にしたくなるのは、袋へ次々と物を入れることかもしれません。
けれど、時間も体力も限られています。危険度の高い場所から分けてください。
| 状態 | 具体例 | 最初の動き |
|---|---|---|
| 緊急性が高い | 火元が埋もれている、出口が塞がる、腐敗物や排せつ物がある、本人が倒れている | 本人の安全を優先し、必要に応じて消防・救急、自治体、医療・介護の窓口へ連絡する |
| 早めの支援が必要 | 通路が狭い、食品や薬を管理できない、害虫がいる、入浴や洗濯が止まっている | 一部分の安全確保と並行して、地域包括支援センター等へ相談する |
| 生活はできているが悪化傾向 | 未開封の箱、紙袋、衣類が増え、収納からあふれ始めている | 増える場所と理由を確かめ、定期的に小さく減らす仕組みを作る |
緊急性が高い場合を除き、家中を一度に空にする必要はありません。
最初に確保する場所を、次の四つへ絞ります。
- 玄関から外へ出る通路
- 寝床からトイレまでの通路
- コンロ・暖房器具の周囲
- 腐敗物や液体が漏れている場所
「今日は居間をきれいにする」のではなく、「玄関からトイレまで安全に歩けるようにする」と決めます。
途中で親が疲れたり、拒否が強くなったりしたら、その日は通路一本で終えて構いません。
高齢になって片付けられなくなる理由は、性格だけではありません
以前はきれいに暮らしていた親の家に、急に物が増えることがあります。
家族は「だらしなくなった」「頑固になった」と感じるかもしれません。
しかし、片付けは多くの動作と判断を必要とします。
- 物が必要か不要かを判断する
- 分別方法を思い出す
- 指定日まで保管する
- 袋へ入れて口を結ぶ
- 集積場所まで運ぶ
- 粗大ごみの申込みや支払いをする
膝や腰が痛ければ、ごみ袋を運べません。視力が落ちれば分別表示を読みにくくなります。曜日が分からなくなれば収集日に出せません。
配偶者を亡くした後から手が付かなくなった、買い物だけが楽しみになった、物を捨てると過去まで失うように感じるという場合もあります。
| 物が増える背景 | 家族が気づきやすい様子 | 支援の方向 |
|---|---|---|
| 体力・運動機能の低下 | 袋にまとめても運べない、階段や屋外へ出せない | 搬出、ごみ出し、買い物など動作の部分を手伝う |
| 視力・聴力の変化 | 食品表示や分別表を読めない、収集案内が分からない | 表示を大きくし、分別方法を単純にする |
| 判断や手順の難しさ | 同じ物を買う、分類途中の山が増える、収集日を逃す | 認知面を含めて生活全体を医療・介護職へ伝える |
| 喪失や気力の低下 | 配偶者の死や入院後から家事全般が止まった | 片付けを急ぐ前に、食事・睡眠・体調も聞く |
| 物への強い思い | 空箱や壊れた物にも使い道を説明する | 本人が手放せる範囲から始め、判断を奪わない |
| 買い物・通販の増加 | 同じ商品、未開封の箱、定期購入品がたまる | 購入経路や定期契約を見直し、入口を減らす |
| 地域のごみ出し条件 | 集積所が遠い、時間が早い、粗大ごみを頼めない | 自治体や地域のごみ出し支援を調べる |
原因に合わない支援をしても、物は再び増えます。
運べない人に「毎週きちんと出して」と言っても解決しません。購入が続いているのに、家の中だけ片付けても空間はまた埋まります。
「ゴミ屋敷」という言葉を本人へ向けない
家族同士では状況を短く表すために「ゴミ屋敷」と呼ぶことがあるかもしれません。
しかし、本人へそのまま言うと、家だけでなく生き方まで否定されたように感じることがあります。
話を始めるときは、評価ではなく一つの場面を伝えます。
| 避けたい言い方 | 伝え直す例 |
|---|---|
| このままではゴミ屋敷だよ | 廊下の袋につまずきそうなのが心配なんだ |
| どうしてこんなになるまで放っておいたの | 最近、ごみを外まで運ぶのがつらくなっていない? |
| こんな物、全部いらないでしょう | 今日使う物と、しばらく使わない物を分けてもいい? |
| 近所に恥ずかしい | 玄関の前まで物が出ると、外へ出にくくなるのが気になっている |
| 私が全部捨てるから任せて | まず傷んだ食品だけ、一緒に見てもらえないかな |
| 片付けないなら施設へ入って | この家で暮らし続けるために、安全な場所を少し増やしたい |
本人が「困っていない」と言った場合も、家全体の問題を理解させようとしなくて構いません。
「私は、夜にトイレへ行くとき転びそうなことが心配」と、家族側の心配を一つだけ伝えます。
本人の認識を正そうとするより、家で暮らし続けるために変えたい一場面を共有する方が、話を始めやすくなります。
本人に黙って捨てると、次の片付けが難しくなることがあります
親が外出している間に、家族が一気に物を捨てたくなることがあります。
傷んだ食品や明らかなごみを見れば、「聞いていたら何も進まない」と思うでしょう。
けれど、本人にとっては、家族に不要に見える物にも意味があるかもしれません。
無断で捨てられたことが分かると、物を隠す、家族を中へ入れない、鍵を替えるなど、拒否が強まる場合があります。
緊急の危険物を除き、次の三つに分けて進めます。
| 分け方 | 入れる物 | 扱い |
|---|---|---|
| 今日処分する | 本人も不要と認めた物、空になった容器、傷んだ食品 | その日のうちに家の外へ出す |
| 残す | 毎日使う物、重要書類、思い出の品 | 取り出せる場所へ置く |
| 保留する | 本人が迷っている物、家族には不要に見える物 | 箱へ日付を書き、後日もう一度見る |
家族が処分を急ぐときほど、「保留」の箱が役立ちます。
捨てる決断を先送りする箱ではありますが、家の床から物を移し、安全な通路を作ることはできます。
ただし、腐敗物、火元に触れている可燃物、害虫の発生源など、生命や衛生に直結するものは、本人と短く理由を共有し、優先して外へ出します。
一回の片付けは「一か所・一種類・短時間」にします
家族が遠方から来ると、「今日中にできるだけ進めたい」と考えます。
ところが、押し入れ、台所、衣類、郵便物を同時に広げると、親も家族も判断できなくなります。
一回の作業は、次のいずれか一つに絞ってください。
- 冷蔵庫の傷んだ食品だけ
- 玄関の空箱だけ
- 廊下の紙袋だけ
- 今月届いた郵便物だけ
- 同じ種類の日用品だけ
- トイレまでの通路だけ
最初から「捨てる物を探す」のではなく、同じ物を集める作業から始める方法もあります。
ティッシュ、洗剤、缶詰が家中から一か所へ集まると、本人自身が「こんなにあったのか」と気づくことがあります。
片付けを続けやすくする約束
- 開始前に終わる時刻を決める
- 本人が疲れたらその時点で終える
- 家族だけで捨てる物を増やさない
- 重要書類と現金は別の箱へ避ける
- 作業前後の写真は本人の了解を得て撮る
- その日に出たごみは室内へ戻さない
見た目が大きく変わらなくても、通路が一本できた、傷んだ食品を一袋出せたなら、その日の目的は達成しています。
急に物が増えた場合は、体調と生活の変化を見ます
何年も物が多かった家と、半年ほどで急に荒れた家では、考えたいことが違います。
以前は家事ができていた親に急な変化があるなら、片付け方だけでなく、次の様子も見てください。
- 同じ食品や日用品を繰り返し買っている
- 支払期限の過ぎた請求書が増えた
- 薬が大量に残っている、または早くなくなる
- 食事回数や体重が減った
- 入浴、着替え、洗濯が減った
- 曜日や収集日が分からなくなった
- 転倒やふらつきが増えた
- 眠れない、気力がない、誰にも会いたがらない
- 配偶者の死や入院後から生活が変わった
- 通販や訪問販売の商品が急に増えた
急な混乱、発熱、食事・水分不足、強い眠気などがある場合は、認知症と決めつけず医療機関へ状態を伝えてください。
物忘れや判断の難しさがゆっくり増え、生活の複数の場面へ影響している場合は、かかりつけ医や地域包括支援センターへ、家の状態も含めて話します。
本人が受診を嫌がる場合も、家族だけで地域包括支援センターへ先に相談できます。
「片付けを拒む親」ではなく、暮らし全体の支援が必要な場合があります
食事、衛生、医療、住環境など、自分の生活に必要なことを十分に保てなくなっている状態は、支援の場面でセルフ・ネグレクトとして扱われることがあります。
本人が困っていないと言っていても、生命や健康に影響する状態を、家族だけで見守り続ける必要はありません。
厚生労働省の高齢者虐待対応マニュアルには、市町村や地域包括支援センターにおける高齢者のセルフ・ネグレクトへの対応に関する通知も掲載されています。地域包括支援センターは、地域の高齢者に関する総合相談や権利擁護、必要な支援への調整を担う市町村の窓口です。
相談するときは、「親の家がゴミ屋敷です」だけでなく、生活上の事実を伝えます。
「母は一人暮らしです。玄関からトイレまで物をまたいで歩いており、冷蔵庫には腐った食品があります。薬も残っています。本人は片付けや訪問を拒否していて、私は県外に住んでいます」
このように話すと、片付けだけでなく、介護認定、医療、食事、ごみ出し、見守りなどを含めて考えやすくなります。
地域包括支援センターへは、介護認定前でも家族から相談できます
親が介護サービスを使っていないと、「まだ相談する段階ではない」と思うかもしれません。
しかし、家の中の移動、ごみ出し、食事、服薬に支障が出ているなら、生活を続けるための支援を考える段階です。
地域包括支援センターは、介護に関する地域の総合相談窓口で、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが相談に応じます。まずは支援が必要な親の居住地を担当するセンターへ問い合わせます。
| 状況 | 最初に伝える先 | 伝えたい内容 |
|---|---|---|
| ケアマネジャーがいる | 担当ケアマネジャー | 家の写真や生活動線、食事・薬・衛生の変化 |
| 介護認定を受けていない | 地域包括支援センター | 親の年齢、同居状況、家の状態、本人の拒否 |
| 悪臭や害虫が周囲へ及んでいる | 市区町村の環境・福祉・高齢者担当窓口 | 近隣への影響と、本人に福祉的な支援が必要なこと |
| 火災や倒壊の差し迫った危険がある | 消防・自治体など状況に合う緊急窓口 | 危険箇所、本人の在宅状況、出入口の状態 |
| 本人の判断や体調が急に変わった | かかりつけ医・医療機関 | いつから何が変わり、食事や薬へどう影響しているか |
本人が支援者を家に入れたがらない場合は、そのことも隠さず伝えます。
専門職がすぐ家へ入って片付けてくれるとは限りませんが、誰がどのような関わり方なら受け入れられそうかを一緒に考えられます。
家族以外の人なら話を聞くことがあります
親子では、過去の関係が会話に入り込みます。
子どもが「危ない」と言うと、親には「昔から細かい」「家を奪いに来た」と聞こえることがあります。
本人が信頼している人がいれば、片付けの説得役ではなく、困りごとを聞く役を頼みます。
| 協力を頼める人 | 頼み方 |
|---|---|
| かかりつけ医 | 転倒、栄養、服薬など健康面から生活状況を聞いてもらう |
| ケアマネジャー・包括職員 | 家で困っている動作を本人と一緒に見てもらう |
| 近くの親族 | 片付けを迫らず、食事や体調を定期的に見る |
| 民生委員など地域の支援者 | 利用できるか自治体等へ確認し、孤立を減らす関わりを検討する |
| ごみ出し・生活支援の担当者 | 家全体ではなく、指定日に袋を出す作業などから関わってもらう |
大勢で親を囲み、「みんな心配している」と説得するのは避けたいところです。
本人には、自分を追い込むために家族が周囲へ話したように見える場合があります。
最初に関わる人を一人か二人に絞り、目的も「家を全部片付ける」ではなく、「転ばずにトイレへ行けるようにする」と小さくします。
片付け業者を頼む前に、本人の同意と作業範囲を決めます
物が多く、家族だけでは運び出せない場合、片付け業者を利用する方法があります。
ただし、業者を予約した後で親が拒否すると、作業ができずキャンセル料だけが発生することがあります。
依頼前に、次の点を本人と話してください。
- どの部屋へ入ってよいか
- 何を処分してよいか
- 現金、通帳、権利書、写真、仏壇などの扱い
- 本人が当日立ち会うか
- 家族が代わりに判断してよい範囲
- 一日ですべて行うか、数回に分けるか
本人の判断能力に不安がある、家の所有者が別の人である、兄弟間で処分への意見が違う場合は、一人の判断で家財を処分しない方が安全です。
見積もりで分けてもらいたい費用
- 仕分け作業
- 搬出作業
- 車両費
- 廃棄物の収集・運搬・処分
- 家電リサイクル料金
- 買取品の査定額
- 清掃、消臭、害虫対応
- 階段、駐車距離などによる追加料金
- 作業後に物量が増えた場合の料金
- キャンセル料
広告にある「軽トラック定額」「詰め放題」という金額だけで決めず、現地を見た後の総額を書面でもらいます。
家庭の不用品を運ぶ業者は、自治体の許可・委託を確かめます
一般家庭から出た廃棄物を有料で収集・運搬するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可または委託が必要です。
産業廃棄物処理業や古物商の許可だけでは、家庭ごみを廃棄物として回収できるとは限りません。
国民生活センターは、安価な定額広告を見て依頼したところ、作業後に高額な追加料金を請求された事例などを挙げ、市区町村が案内する処分方法や許可業者を利用し、複数の見積もりを取るよう注意を促しています。
業者へ依頼する前のチェックリスト
- 市区町村の一般廃棄物処理業許可または委託を確認したか
- 許可を持つ別業者と連携する場合、その名称と役割が書かれているか
- 現地見積もり後の総額が書面にあるか
- 追加料金が発生する条件が明記されているか
- 家電4品目など、別の処分方法が必要な物を説明されたか
- 買取と廃棄の金額が分かれているか
- 作業前に残す物を双方で確認するか
- キャンセル料と支払時期が書かれているか
見積もり当日に契約を急かされた場合は、その場で決めず書面を持ち帰ってください。
事前の説明と異なる高額請求や強引な契約で困った場合は、消費者ホットライン188を通じて地域の消費生活相談窓口へつながる方法があります。
一度きれいにしても、物が入る仕組みを変えなければ戻ります
片付けを終えた後、家族は安心します。
ところが数か月後に訪れると、再び通販の箱や食品が増えていることがあります。
本人の努力不足と責める前に、物が入る量と出る量を見てください。
| 再び増える原因 | 続けるための工夫 |
|---|---|
| 通販・定期購入 | 本人と契約内容を見て、不要な定期便を停止できるか確認する |
| 買い置きへの不安 | 持つ上限を棚一段など目で分かる量にする |
| ごみを運べない | 家族、地域、介護保険外を含むごみ出し支援を調べる |
| 分別が複雑 | ごみ箱の種類を減らし、大きな文字や写真で表示する |
| 収集日を忘れる | 見えるカレンダー、前日の電話、訪問支援を組み合わせる |
| 郵便物がたまる | 重要な物を置く箱を一つ決め、広告は玄関近くで分ける |
| 物の定位置がない | 収納用品を増やす前に、日常的に使う物の場所を決める |
| 孤立や気力低下 | 片付けだけでなく、食事・通院・人との関わりを支える |
家を空にすることより、「次のごみの日に一袋出せること」の方が、暮らしを保つうえでは役立つことがあります。
兄弟で役割を分けるときは、現地作業だけを負担と考えない
兄弟がいても、実家の近くに住む一人へ片付けが集中しがちです。
遠方の兄弟から「業者へ頼めばいい」と言われても、親の説得、見積もりの立会い、残す物の判断は近くの人が担っています。
片付けに必要な仕事を分けてください。
| 役割 | 遠方からできること |
|---|---|
| 本人との話し合い | 兄弟で言葉をそろえ、一人だけを悪者にしない |
| 自治体への問い合わせ | ごみ出し支援、粗大ごみ、相談窓口を調べる |
| 業者比較 | 許可や委託、料金条件を確認し、見積書を一覧にする |
| 費用負担 | 家族の交通費、用品、業者費用を分担する |
| 書類の確認 | 郵便物、契約書、通販の定期購入を調べる |
| 片付け後の維持 | 電話、通販確認、定期訪問の予定を担当する |
「近くに住んでいるからできるでしょう」ではなく、現地に行く人の交通費と時間も含めて分けます。
家族が怒鳴りそうなほど追い詰められたら、作業を止めます
親が何も捨てさせず、家族が何時間も説得し続けると、互いに感情を抑えられなくなることがあります。
「もう勝手にして」
「こんな親だと思わなかった」
「片付けないなら二度と来ない」
その言葉が出そうになったら、その日の作業を終えてください。
家族が一人で解決できない状態になっているということです。
次のような状況では、片付けを再開する前に外部へ状況を伝えます。
- 親が家族を中へ入れなくなった
- 腐敗物や排せつ物がある
- 火元や避難経路に危険がある
- 親の食事、服薬、衛生が保てていない
- 近隣から苦情や自治体の通知が来た
- 家族が怒鳴る、物を投げる、手を出しそうになる
- 片付けに何度も失敗し、家族の仕事や家庭へ影響している
本人を尊重することと、家族が限界まで我慢することは同じではありません。
「本人が嫌がるので何もできません」で終えず、「家族だけでは安全を保てません」と地域包括支援センターへ伝えてください。
今日するのは、家中の写真を撮ることでも業者を呼ぶことでもありません
実家の状態に気づくと、次の休日を丸ごと使って片付けようと予定を立てたくなります。
今日は、親と一緒に一か所だけ見てください。
玄関、火元、寝床からトイレまでの通路。この三つのうち、最も危ない場所を一つ選びます。
親へは、次のように話せます。
「全部捨てたいわけではないよ。夜にトイレへ行くとき、この袋につまずくことだけが心配なんだ。今日は通れる場所だけ一緒に作らせてくれない?」
本人が応じなければ、その場で押し切らず、次の四つをメモします。
- どの場所が危ないか
- 食事・薬・入浴に変化があるか
- 本人が何と言って拒んだか
- 家族だけで続けられないことは何か
そのメモを使い、親の地域を担当する地域包括支援センターへ電話します。
「高齢の父の家に物が増え、玄関からトイレまで歩きにくい状態です。冷蔵庫には傷んだ食品があり、本人は家族の片付けも訪問も拒否しています。家族は遠方で、安全を保つ方法を一緒に考えてほしいです」
物を全部捨てなければ前へ進めないわけではありません。
通路を一本作る。傷んだ食品を一袋出す。ごみを運べなくなったことを誰かへ伝える。
その小さな変化が、親の暮らしを奪わずに、危険だけを減らす始まりになります。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「『ごみ屋敷』対策について」:ごみの堆積による悪臭、害虫、崩落、火災などの問題と、高齢・障害・生活困窮などの福祉的課題に関する確認先。
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」「家族介護に直面している方への支援を知りたい」:地域包括支援センターの役割と家族からの相談に関する確認先。
- 厚生労働省「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」:市町村・地域包括支援センターにおける高齢者のセルフ・ネグレクトへの対応に関する確認先。
- 環境省「廃棄物の処分に無許可の回収業者を利用しないでください」:家庭の廃棄物や家電の適正な処分に関する確認先。
- 国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」:一般廃棄物処理業の許可・市区町村委託、高額な追加請求を避けるための確認事項。


















