玄関にまた同じ箱が届くと、家族は「これ以上は放っておけない」と感じます
実家へ行くと、玄関に宅配便の箱が三つ積まれている。
中を見ると、以前にも届いていた健康食品、膝用のサポーター、洗剤のセット。同じ商品が戸棚にも残っています。
親に聞くと、「安かったから買った」「前の分はもうない」「今回だけだよ」と答える。けれど、翌週にはまた別の箱が届きます。
クレジットカードの明細には、聞いたことのない会社名が並んでいる。代引きの支払いで、手元の現金が減っていることもあります。
家族としては、すぐに止めたくなるでしょう。
「また買ったの?」
「同じ物がこんなにあるでしょう」
「もう通販は禁止」
そう言えば、親は怒るか、隠すようになるかもしれません。
「自分のお金を自分で使って何が悪い」
「子どもに管理される筋合いはない」
「もう何も話さない」
親が自由に使えるお金で、内容を理解したうえで買っているなら、家族の好みだけで止めることはできません。
一方で、買ったことを覚えていない、定期購入だと分からない、生活費まで使っている、電話で断り切れず注文している状態なら、単なる趣味の買い物として見過ごせません。
最初に分けたいのは、「買う回数が多いか」ではありません。
本人が何を、いくらで、何回買う契約なのかを理解し、生活を壊さずに支払えているかです。
通販の買いすぎは、五つの状態に分けると対応を選びやすくなります
| 現在の状態 | よくある様子 | 家族が先にすること |
|---|---|---|
| 本人が納得して楽しんでいる | 商品、価格、支払方法を説明でき、生活費も足りている | 家族の価値観だけで止めず、予算について話す |
| 定期購入に気づいていない | 「一回だけ」のつもりなのに、同じ商品が毎月届く | 注文確認、納品書、次回発送日、解約条件を調べる |
| 電話で勧められると断れない | 販売員と長く話し、関連商品まで注文している | 誰からの電話で、何を勧められたかを聞く |
| 重複買い・買ったことを忘れる | 同じ物が未開封のまま増え、本人は購入を覚えていない | 商品の数と注文日を記録し、生活全体の変化を見る |
| 生活が崩れ始めている | 食費、家賃、医療費が足りない、借入れや滞納がある | 新しい注文を止める方法と、家計・権利擁護の支援を同時に探す |
一つだけに当てはまるとは限りません。
テレビ通販を見るのが楽しみだったところへ、電話勧誘や定期購入が重なっていることもあります。
「通販依存だ」「認知症だ」と早く決めるより、どの場面で注文が増えているかを見た方が、親も話を聞きやすくなります。
最初の一週間は、荷物を捨てずに「次も届く契約」を探します
家族が焦って箱や納品書を捨てると、販売会社や契約内容が分からなくなります。
未開封の商品は、返品や解約の条件を確かめるまで開けずに置きます。
ただし、受け取りを拒否したり、商品を送り返したりするだけで契約が自動的に解約されるとは限りません。販売会社との手続きが必要かを先に調べてください。
| 一件ごとに書くこと | どこで分かるか |
|---|---|
| 商品名と数量 | 箱、納品書、商品本体 |
| 販売会社名 | 送り状、納品書、カード明細 |
| 注文日・到着日 | 注文メール、伝票、本人のメモ |
| 支払金額 | 請求書、カード明細、代引き領収書 |
| 注文方法 | テレビ、新聞広告、カタログ、電話、インターネット |
| 一回購入か定期購入か | 注文確認書、最終確認画面、規約 |
| 次回発送日 | マイページ、納品書、販売会社への問い合わせ |
| 返品・解約期限 | 広告、利用規約、契約書面 |
まず直近一か月分だけで構いません。
届いた箱を十個すべて並べるのが難しければ、一番新しい商品から調べます。次回発送が迫っている契約を先に止めるためです。
国民生活センターは、高齢者の消費者被害に気づく手がかりとして、不審な契約書や請求書、宅配便の不在通知、同じような商品の大量保有、買ったことを覚えていない様子などを挙げています。家族や地域包括支援センターなど、周囲の人から消費生活センターへ相談することもできます。
「通販」と一括りにせず、誰から電話をかけたかまで見ます
同じ電話注文でも、契約の扱いが同じとは限りません。
| 購入のきっかけ | 考えられる取引 | 最初に見るもの |
|---|---|---|
| テレビや新聞広告を見て、本人から注文した | 通信販売となることが多い | 広告の返品条件、定期購入の表示 |
| 販売会社から突然電話があり、勧められて注文した | 電話勧誘販売に当たる可能性がある | 契約書面、電話日時、勧誘内容 |
| 本人が広告の商品を注文した際、広告にない別商品を勧められた | 追加商品が電話勧誘販売に当たる場合がある | 当初の商品と追加商品の説明内容 |
| インターネットで初回価格を見て注文した | 通信販売の定期購入である可能性 | 最終確認画面、注文メール、解約条件 |
| 注文した覚えのない商品が突然届いた | 誤配送、家族の注文、送り付けなど複数の可能性 | 宛名、送り主、請求の有無、家族の注文履歴 |
「通販だから返品できない」「電話で買ったからクーリング・オフできる」と、購入方法だけで決めないでください。
広告を見た本人が自分から電話したのか、事業者から勧誘電話がかかってきたのか、注文中に広告になかった商品を追加で勧められたのかによって、適用されるルールが変わる可能性があります。
通信販売には、原則としてクーリング・オフ制度がありません
テレビ、新聞、カタログ、インターネットなどの広告を見て申し込む通信販売には、訪問販売や電話勧誘販売と同じクーリング・オフ制度はありません。
返品できるかは、広告や利用規約に書かれた返品特約が基本になります。
返品条件の記載がない場合は、商品を受け取った日から数えて八日以内であれば、送料を消費者が負担して返品できる場合があります。一方、「返品不可」「開封後は返品不可」などの特約が適切に表示されていた場合は、その条件に従うのが原則です。
| 調べる項目 | 見る場所 |
|---|---|
| 返品できる期間 | 広告、納品書、利用規約 |
| 開封後も返品できるか | 返品特約 |
| 返送料を誰が負担するか | 返品方法の案内 |
| 定期購入の解約期限 | 次回発送日の何日前までか |
| 解約方法 | 電話、マイページ、フォーム、書面など |
| 最低購入回数 | 注文時の最終確認画面、契約条件 |
販売会社へ電話するときは、「返品したい」だけでなく、次の点を一つずつ聞きます。
「この注文は一回限りですか。次回発送日はいつですか。次回以降を止める方法と、今回分を返品できる条件を分けて教えてください」
電話した日、相手の名前、回答内容をメモし、ウェブフォームやメールを使った場合は送信画面を保存します。
事業者からの電話で注文した場合は、八日間のクーリング・オフを確認します
販売会社からかかってきた電話で勧められ、商品を注文した場合は、電話勧誘販売に当たる可能性があります。
電話勧誘販売では、法律で定められた契約書面を受け取った日から数えて八日以内であれば、書面または電子メールなどの電磁的記録でクーリング・オフできるのが原則です。事業者が事実と違う説明や威迫を行い、消費者が誤認・困惑して期限内に手続きできなかった場合には、期間経過後も可能となることがあります。
ただし、商品や契約内容によって適用除外があり、健康食品や化粧品などの消耗品を使用した場合など、扱いが変わることがあります。
期限が近いときは、家族だけで判断せず、契約書面を手元に置いて消費者ホットライン188へ相談してください。
| 相談時に伝えること | 例 |
|---|---|
| 電話をかけた側 | 販売会社から親へ電話があった |
| 契約書面を受け取った日 | 7月18日に同封書面を確認した |
| 商品を使ったか | 三箱中、一箱だけ開封した |
| 相手の説明 | 一回だけと思ったが、定期購入だった |
| 本人の理解 | 次回も届くことを把握していなかった |
定期購入は、「解約したつもり」と「次回配送が止まった」を分けます
健康食品、化粧品、飲料などでは、初回価格を安く見せながら、複数回の受け取りや定期購入を条件とする販売があります。
国民生活センターには、一回限りと思って注文したのに二回目が届いた、解約手続きがうまくできない、初回解約には差額を求められた、といった相談が寄せられています。
親が「もう断った」と言っていても、次の発送が止まっているかまで見ます。
- 解約受付日
- 受付番号や担当者名
- 解約完了メール
- マイページの契約状態
- 次回発送予定の表示
- 未払いの商品代金
電話がつながらない場合は、発信履歴を残し、事業者が指定する別の解約方法も確かめます。
通信販売では、定期購入の回数、総額、次回発送、解約期限や方法などを分かりやすく表示することが求められています。表示と実際の契約が違う、解約用の電話が全くつながらないなどの問題があれば、注文画面や広告を保存して188へ伝えてください。
親へは「また買ったの?」ではなく、商品を選んだ理由から聞きます
買い物を止めたい気持ちが先に出ると、親は尋問されているように感じます。
| 避けたい言い方 | 話しやすい言い方 |
|---|---|
| 「また同じ物を買ったの?」 | 「これは何が良さそうで選んだの?」 |
| 「こんな物はいらないでしょう」 | 「今使っている分と、届いた分を一緒に数えてもいい?」 |
| 「だまされているよ」 | 「次も届く契約か、念のため一緒に見てみよう」 |
| 「もう認知症なんじゃない?」 | 「最近、注文したことが分かりにくいことはある?」 |
| 「カードを預かるから」 | 「月に使う金額と、確認する方法を一緒に決めたい」 |
| 「通販は禁止」 | 「楽しみは残しながら、同じ物が増えない仕組みを考えよう」 |
親が買った理由を聞くと、商品以外の目的が見えることがあります。
膝の痛みを何とかしたい。販売員が親切に話を聞いてくれる。テレビを見ながら電話することが毎日の楽しみになっている。家族へ健康な姿を見せたい。
その目的を無視して注文だけ止めると、別の商品や別の会社へ移る可能性があります。
「買わないで」だけでなく、痛みなら医療や運動の相談、孤独なら人と話せる予定など、買い物が埋めていた部分にも目を向けます。
本人が買い物を理解しているなら、全面禁止より予算の枠を作ります
親が内容を理解し、生活費も足りている場合は、通販を使うこと自体を禁止する必要はありません。
家族が「無駄」と思う買い物にも、本人にとっての楽しみがあります。
再発防止は、本人の同意を得ながら、次のような小さなルールから始めます。
| 困っていること | 決められるルール |
|---|---|
| 思いついた日にすぐ注文する | 一万円を超える商品は翌日まで待つ |
| 同じ商品を重ねて買う | 注文前に戸棚の在庫を一緒に見る |
| 月の合計が分からない | 通販用の月予算を封筒や専用口座で分ける |
| 定期購入が増える | 定期購入は一件だけにし、一覧を冷蔵庫へ貼る |
| 電話で断れない | その場で注文せず「家族と相談する」と答える |
| 届く日が分からない | 配送予定日をカレンダーへ書く |
| 高額商品を一人で決める | 一定額以上は注文前に家族へ連絡する |
通販用のカードを一枚に絞る、利用枠を下げる、保存済みカード情報を削除する、注文メールを本人と家族の両方で確認する方法もあります。
カードやアカウントの変更は、本人の同意を得て、カード会社や販売会社の正式な手続きで行ってください。
電話勧誘が多い家では、「断る力」より電話に出る回数を減らします
何度も電話を受けると、最初は断っていても、販売員の親しげな話し方に押されて注文することがあります。
本人へ断り方を繰り返し注意するだけでは、負担が大きくなります。
- 留守番電話を常時設定する
- 番号表示機能を使い、知らない番号にはすぐ出ない
- 迷惑電話対策機能のある電話機を検討する
- 過去に購入した会社へ、勧誘電話を止めるよう求める
- 電話の横に断り文句を書いて置く
断り文句は、長く説明する必要はありません。
「電話では注文しません。必要なら家族と相談します。今後の勧誘電話も断ります」
相手の質問に答え続けると会話が切りにくくなるため、同じ言葉を繰り返して電話を終えます。
販売会社、電話番号、日時をメモしておくと、繰り返し勧誘されたときに相談しやすくなります。
商品を隠したり捨てたりすると、親がさらに注文することがあります
同じ健康食品が大量にあると、家族は処分したくなるでしょう。
けれど、本人に黙って捨てると、「まだ残っていると思ったのに見つからない」と混乱したり、なくなったと思って追加注文したりすることがあります。
まず、未開封品、使用中、返品手続き中に分けます。
| 置き場所 | 入れるもの |
|---|---|
| 使用中 | 現在使っている一個だけ |
| 在庫 | 次に使う未開封品 |
| 手続き中 | 返品・解約条件を確認している商品 |
| 本人と相談して処分 | 期限切れ、不要と合意した商品 |
在庫の箱に「残り六袋」「次回注文は十月以降」と大きく書くと、本人も残量を把握しやすくなります。
食品や健康食品は、賞味期限や一日の摂取目安も見ます。同じ成分の商品を複数使っている場合は、販売会社の説明だけでなく、医師や薬剤師へ持参して確かめる方法があります。
生活費まで使っているなら、「買い物の自由」だけでは済ませません
本人のお金で買っているとしても、次の状態がある場合は早めに介入したいところです。
- 食費、家賃、光熱費、医療費が足りない
- 年金支給日前に現金がなくなる
- カードの分割払いや借入れで通販代を払っている
- 家族へ隠して商品を受け取っている
- 返品や解約を嫌がり、販売員をかばう
- 複数の会社から似た商品が届く
- 支払総額を本人が把握できていない
この場合は、一件の注文を止めるだけでなく、月の収入、通販代、生活費、借入れを一緒に見ます。
| 書き出す数字 | 記入例 |
|---|---|
| 毎月の年金・収入 | 月14万円 |
| 家賃・光熱費・食費・医療費 | 月12万円 |
| 通販の定期請求 | 月3万2,000円 |
| カード・借入れ残高 | 合計18万円 |
| 現在の預金残高 | 6万円 |
| 次の支払期限 | 25日にカード4万5,000円 |
生活費を引くと通販へ使えるお金が二万円しかないのに、定期請求が三万円を超えているなら、本人の希望だけで維持できる契約ではありません。
その数字を見せながら、「買うな」ではなく、「このままだと薬代が足りなくなるので、どれを残すか一緒に決めたい」と話します。
大量購入や不当な勧誘は、通常の返品期限を過ぎても相談できる場合があります
同じ健康食品や寝具などを、本人の生活に必要な量を大きく超えて繰り返し買わされている場合があります。
消費者契約法には、事業者が通常必要とされる量を著しく超える契約だと知りながら勧誘した場合など、一定の要件の下で契約を取り消せる規定があります。また、加齢などによる判断力の著しい低下を不当に利用した勧誘、不実の説明、重要事項を伝えない勧誘などが問題になる場合もあります。
ただし、購入量が多いだけで必ず取り消せるわけではありません。本人の生活状況、購入目的、事業者が知っていた内容、勧誘方法などを個別に見ます。
返品期限を過ぎていても、次の資料を捨てずに188へ相談してください。
- 契約書、注文書、納品書
- 商品と未開封の箱
- 広告、カタログ、注文画面
- 販売会社からの手紙やメール
- 電話の日時と話した内容
- カード明細や振込記録
- 同じ商品の購入履歴
消費生活センターには、子どもからでも早めに相談できます
消費者ホットライン188へ電話すると、最寄りの消費生活センターや相談窓口へ案内されます。相談は無料ですが、通話料金がかかります。
本人が電話を嫌がっていても、家族だけで状況を相談することはできます。
ただし、事業者との具体的な交渉や契約手続きでは、本人の意思確認や委任が必要になる場合があります。
電話の前に、次の内容を一枚にします。
- 親の年齢と同居・別居の状況
- 商品名、販売会社、金額
- 注文方法
- 商品到着日と契約書面を受け取った日
- 開封・使用の有無
- 定期購入かどうか
- 本人が契約内容をどこまで理解しているか
- 同じ商品の在庫や過去の購入件数
「解約できますか」だけでなく、「通信販売か電話勧誘販売か分からない」「親が次回配送を理解していない」と伝えると、確認する順番を教えてもらいやすくなります。
買ったことを覚えていない状態が続くなら、通販以外の生活も見ます
一度の注文間違いだけで、判断力の低下を決めつけることはできません。
ただし、次の変化が重なっている場合は、通販だけを止めても根本的な対策にならないことがあります。
- 買ったことや支払ったことを何度も忘れる
- 同じ商品を短期間に繰り返し注文する
- 請求書の内容を理解しにくくなった
- 通帳や現金を置いた場所が分からない
- 公共料金や家賃の支払いを忘れる
- 販売員を家族だと思うほど親しく話す
- 以前にはなかった怒り方や疑い深さが出ている
- 服薬、食事、身だしなみなどにも変化がある
本人へ「認知症かもしれない」と迫るより、「最近、お金の書類が分かりにくくなっていないか」「支払いを手伝えることはないか」と聞きます。
地域包括支援センターは、高齢者の生活に関する幅広い相談を受け、必要な制度や機関へつなぐほか、消費者被害の防止を含む権利擁護の支援を行っています。担当センターは住所によって異なります。
本人が受診を嫌がる場合も、家族だけで地域包括支援センターへ状況を話し、声のかけ方や次の窓口を聞くことができます。
日常のお金だけ手伝いたい場合は、成年後見より前に使える支援もあります
通販だけでなく、公共料金、福祉サービスの手続き、日常のお金の管理が難しくなっている場合があります。
日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分でも事業の契約内容を理解できる方を対象に、福祉サービスの利用援助、日常的な金銭管理、定期的な訪問などを行う仕組みです。窓口は市町村の社会福祉協議会などで、利用料や対象条件は地域・本人の状況によって異なります。
一方、判断能力の低下により財産管理や契約を本人だけで行うことが難しく、不利益な契約を繰り返す場合は、成年後見制度が選択肢になることもあります。
成年後見制度は、家庭裁判所が選んだ成年後見人等が、制度と権限の範囲内で財産管理や契約の支援を行う仕組みです。日用品の購入など、日常生活に関する行為は一律に取り消せるわけではありません。
| 本人の状態 | 考えられる相談先 |
|---|---|
| 通販の契約だけで困っている | 消費生活センター |
| 暮らしや介護、権利擁護も気になる | 地域包括支援センター |
| 日常的な支払いを手伝ってほしい | 社会福祉協議会の日常生活自立支援事業 |
| 財産管理や重要な契約が本人だけでは難しい | 地域包括支援センター、成年後見制度の相談窓口 |
成年後見制度は、通販を止めるためだけに気軽に始める制度ではありません。本人の権利、費用、利用後の継続的な管理まで含め、地域包括支援センターや法的な相談窓口で検討してください。
きょうだいで対応するときは、親を説得する人と記録する人を分けます
親の通販問題が分かると、きょうだいの間でも意見が分かれます。
「カードを取り上げるべき」
「本人のお金だから放っておけばいい」
「同居している人が管理すればいい」
一人だけが対応すると、親からは監視役と思われ、きょうだいからは報告不足を責められることがあります。
| 役割 | 担当すること |
|---|---|
| 親と話す人 | 本人の希望と困りごとを聞く |
| 契約を調べる人 | 販売会社、金額、定期購入、期限を一覧にする |
| 窓口へ連絡する人 | 188や地域包括支援センターへ状況を伝える |
| 家計を見る人 | 年金、生活費、通販代、借入れを確認する |
| 定期的に訪問する人 | 新しい荷物や請求書が増えていないかを見る |
家族のグループメッセージには、感想ではなく事実を書きます。
「また無駄遣いしていた」ではなく、「7月に健康食品三社、合計2万8,000円。うち二社は定期購入。次回発送は8月5日」と共有します。
親の前で家族が意見を対立させると、本人が責められているように感じます。家族側の方針は、本人へ話す前にある程度そろえておきます。
対策が効いているかは、荷物の数ではなく三か月の生活で見ます
一度解約して荷物が減っても、別の会社から買い始めることがあります。
次の三か月は、次の項目を月に一度見ます。
- 通販の合計金額
- 定期購入の件数
- 未開封商品の数
- 代引きやカード払いの件数
- 食費、医療費、公共料金が払えているか
- 親が買った商品と理由を説明できるか
- 知らない販売会社からの電話や郵便が増えていないか
金額が予算内に収まり、本人が内容を理解しているなら、買い物の楽しみを残せます。
荷物が減っても、親が隠れて別のカードを使う、食事を減らして支払う、販売員との電話を家族に隠すようになった場合は、禁止の仕方が強すぎるか、外部支援が必要な状態かもしれません。
今日することは、すべての通販を止めることではありません
親の家に箱が積まれていると、一日で全部片づけたくなります。
けれど、親の楽しみ、契約の期限、生活費、判断力の変化が重なっている問題を、一度の説得で終わらせるのは難しいものです。
今日は、一番新しく届いた箱を一つだけ選んでください。
箱を開ける前に、次の五つを書きます。
- 販売会社名
- 商品名
- 金額
- 注文方法
- 次回も届く契約か
そして親へ、こう声をかけます。
「買ったことを責めたいのではなく、次も届く契約かだけ一緒に見たい。この商品は何が良さそうだったの?」
定期購入や覚えのない注文なら、書類を捨てず、期限を見て販売会社または188へ連絡します。
同じ物を何度も買ったことを覚えておらず、ほかの支払いや暮らしにも変化があれば、地域包括支援センターへ家族から話します。
親の通販対策の目的は、親からお金の自由を取り上げることではありません。
必要な物を自分で選ぶ楽しみを残しながら、分からない契約、断れない勧誘、生活を壊す支払いから守ることです。
まずは箱一つ、契約一件からで構いません。何が届き、次にいつ、いくら請求されるのかが分かれば、家族が止めるべき場所と、本人へ任せてよい買い物を分けられます。
出典・確認先メモ
- 消費者庁「特定商取引法ガイド・通信販売」:通信販売の返品特約、クーリング・オフの適用、定期購入の表示に関する確認先。
- 消費者庁「特定商取引法ガイド・電話勧誘販売」:電話勧誘販売の契約書面、八日間のクーリング・オフなどの確認先。
- 国民生活センター「高齢者の消費者被害」「見守り新鮮情報」:高齢者の通販・定期購入被害、家族による気づきと見守りの確認先。
- 消費者庁「消費者契約法」:過量契約、不当な勧誘、判断力低下の不当利用などに関する確認先。
- 消費者庁「消費者ホットライン188」:最寄りの消費生活センター等へつながる相談窓口。
- 厚生労働省「地域包括支援センター」「日常生活自立支援事業」、法務省「成年後見制度」:高齢者の権利擁護、日常的金銭管理、財産管理に関する確認先。
- 返品、解約、取消しの可否は、注文方法、表示内容、契約書面、商品の使用状況などによって異なります。期限が迫っている場合は、販売会社だけでなく消費生活センターへ早めにご確認ください。


















