誰も住んでいない実家の納税通知書だけが、今年も届きます
親が亡くなってから、実家は空き家のまま。
遠方に住んでいるため、年に数回しか行けません。それでも春になると固定資産税の納税通知書が届き、夏には草刈り、秋には台風後の点検、冬には水道管の心配が重なります。
空き家から収入が入るわけではありません。
自分の住宅ローンや家賃、子どもの教育費、親の葬儀や相続手続きで減った貯金から、使っていない家の費用を払い続けています。
「今年だけなら払える。でも来年も同じ額を出せるだろうか」
「兄弟は実家を残したいと言うのに、お金を払うのは私だけ」
「解体すると固定資産税が上がると聞いて、何も決められない」
「売れない家でも、税金はずっと払い続けるしかないのか」
思い出のある家を、お金だけで扱うことへの罪悪感もあります。
けれど、支払いが苦しいという事実を隠して持ち続けると、税金だけでなく、建物の傷みや家族間の不満も増えていきます。
今すぐ売るか残すかを決める必要はありません。
まず、目の前の納税と、空き家を今後どうするかを別の問題として扱います。
今日払えない税金と、来年も続く空き家問題を分けます
固定資産税の納期限が近いと、「売却先を決めなければ」「解体しなければ」と焦ります。
しかし、不動産の処分は数日で終わるとは限りません。
今期の納税は市区町村の納税窓口へ相談し、空き家の方針は別の予定表で考えます。
| 今すぐ扱うこと | 数か月かけて扱うこと |
|---|---|
| 納期限と未納額 | 売却、賃貸、解体、家族利用の比較 |
| 今期に払える金額 | 年間維持費と今後の修繕 |
| 納税相談や猶予制度の対象になるか | 相続人や共有者の意向 |
| 督促状が届いているか | 不動産会社、解体業者などの見積もり |
| 納税通知書の名義と課税内容 | 相続登記、境界、家財の片づけ |
「空き家をどうするか決まっていないから、税金の相談もできない」と考えなくて構いません。
納税窓口には、今払える額、収入と支出、いつなら払える見込みがあるかを伝えます。
納期限までに払えないと分かった時点で、市区町村へ電話します
固定資産税を一度に納めることで生活の維持が難しくなる場合など、一定の要件を満たせば、徴収猶予や換価の猶予を申請できることがあります。
病気や災害、事業上の損失など、制度ごとに条件や申請期限があり、単に「お金が足りない」というだけで必ず認められるものではありません。猶予期間中に分けて納める計画が必要になる場合もあります。具体的な手続きは自治体ごとに確かめてください。
猶予制度の要件に当てはまらない場合でも、納税相談で現在の家計や支払いの見込みを伝えられます。
電話の前に、次のものを用意します。
- 固定資産税・都市計画税の納税通知書
- 納期限と各期の金額
- すでに納めた額
- 今すぐ払える額
- 年金、給与などの毎月の収入
- 家賃、住宅ローン、医療費など主な支出
- 今後まとまった収入が入る予定
- 空き家を売却中なら、その進み具合
納税窓口へ伝える言葉
「相続した空き家の固定資産税について、○月○日が納期限の○万円を一度に払うと生活費が不足します。今月は○万円なら払えます。利用できる猶予制度や納付方法があるか、必要な書類も含めて教えてください」
自分の判断で一部だけ納め、「残りは来月払えばよい」と考えない方が安全です。
自治体との合意や制度上の手続きをしないまま納期限を過ぎると、未納分に延滞金がかかり、督促や滞納処分へ進む可能性があります。払えないときほど通知書をしまい込まず、早めに納税窓口へ連絡してください。
課税明細書を見て、「何にいくらかかっているか」を分けます
納税通知書の合計額だけを見ていると、なぜ高いのか分かりません。
同封された課税明細書で、土地と家屋を分けて見ます。
| 見る項目 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 納税義務者 | 誰の名義で課税されているか |
| 土地の所在地 | 相続した土地がすべて記載されているか |
| 地積 | 登記や認識している面積と大きな違いがないか |
| 家屋の種類・構造 | すでに取り壊した建物が残っていないか |
| 評価額 | 土地・家屋それぞれの評価額はいくらか |
| 課税標準額 | 評価額へ特例や負担調整が反映された後の額 |
| 住宅用地の区分 | 小規模住宅用地などの特例が適用されているか |
| 固定資産税額 | 土地分と家屋分がそれぞれいくらか |
| 都市計画税額 | 対象地域の場合、別にいくら課税されているか |
| 前年度との違い | 税額が増えた理由に心当たりがあるか |
固定資産税は、毎年1月1日現在の土地や家屋の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人へ課税されます。所有者が亡くなっている場合は、現に所有する相続人が納税義務者となることがあり、自治体へ現所有者の申告が必要になる場合もあります。
課税内容に疑問があるときは、納付相談をする部署ではなく、土地・家屋の固定資産税を担当する部署へ聞きます。
「評価に納得できないから、決着するまで払わない」と自己判断するのは避けてください。価格について審査を申し出ても、通常は納期限が自動的に延びるわけではありません。
使っていない家でも、1月1日に所有していれば課税されます
空き家に誰も住んでいないことや、電気・水道を止めていることだけでは、固定資産税はなくなりません。
固定資産税は家の利用回数ではなく、土地や家屋を所有していることに対して課税される税金だからです。
年の途中で売却した場合も、その年度の地方税法上の納税義務者は、原則として1月1日現在の所有者です。売買の際に買主と日割りで清算することはありますが、これは契約上の取り決めであり、市区町村の納税義務者そのものが年の途中で替わるわけではありません。
売却を予定している場合は、次の二つを不動産会社へ聞きます。
- 今年度の固定資産税を買主とどのように清算する契約になるか
- 翌年1月1日時点で所有権移転が終わる見込みか
「売買契約を結んだ日」と「所有権が移転した日」が違う場合もあるため、予定日を曖昧にしないようにします。
空き家にかかるのは、固定資産税だけではありません
税金だけを払えば持ち続けられると思っていたのに、実際には細かな出費が続きます。
| 費用 | 具体例 | 年額を出すときの見方 |
|---|---|---|
| 税金 | 固定資産税、都市計画税 | 納税通知書の年額 |
| 保険 | 火災保険、地震保険など | 空き家の状態で契約内容が合っているかも見る |
| 水道・電気 | 基本料金、点検時の使用料 | 止めると管理に支障がないかを考える |
| 草木の管理 | 草刈り、庭木の剪定、越境枝の対応 | 自分で行く交通費も含める |
| 建物の管理 | 換気、雨漏り点検、害虫、雪下ろし | 管理会社へ頼む場合の年間契約額 |
| 修繕 | 屋根、外壁、窓、給湯器、塀 | 今後3年ほどで必要になりそうな額も見る |
| 防犯 | 鍵交換、郵便物の回収、見守り | 不法侵入や放火を防ぐ管理方法 |
| 移動 | 高速代、ガソリン、宿泊費 | 家族が年に何回通っているか |
| 家財 | 片づけ、処分、遺品の保管 | 売却や賃貸前に必要な費用 |
たとえば固定資産税が年8万円でも、草刈り、保険、交通費、修繕を足すと、実際の負担が年20万円を超えている場合があります。
空き家を残せるかどうかは、固定資産税だけでなく、この合計額で考えます。
「思い出があるから残す」なら、いつまで残すかも決めます
実家を手放せない理由は、お金だけではありません。
親の仏壇がある。兄弟が帰省する場所にしたい。子どもが将来住むかもしれない。家財を片づける気持ちになれない。
その思いを否定する必要はありません。
ただし、「いつか使うかもしれない」という理由だけで期限なく持ち続けると、費用を払う人と、残したい人が別になりやすくなります。
| 残す理由 | 期限を決める例 |
|---|---|
| 気持ちの整理がつかない | 一周忌まで保有し、その後に家族で再検討する |
| 子どもが住むかもしれない | 半年以内に、住む意思と時期、改修費を本人へ聞く |
| 家財を片づけられない | 月に一部屋ずつ進め、6か月後に査定を受ける |
| 親族の帰省先として使いたい | 年間利用回数と維持費を比べ、使う親族も費用を負担する |
| 売るには惜しい | 売却査定と賃貸査定の両方を取り、数字を見て再判断する |
残すと決めた場合も、固定資産税、保険、管理を誰がいくら負担するかを家族で書面にします。
保有・賃貸・売却・解体は、手元に残る金額で比べます
「売ればお金になる」「貸せば家賃が入る」「解体すれば管理が楽になる」と考えても、どの方法にも費用があります。
| 選択肢 | 向いている状態 | 先に出しておく費用 |
|---|---|---|
| 当面保有する | 近い将来に家族が使う予定が具体的にある | 税金、保険、管理、修繕、交通費 |
| 住宅のまま売る | 建物に利用価値があり、買い手が見込める | 仲介、登記、家財処分、測量や修繕の可能性 |
| 現状のまま売る | 修繕費を先に出せず、買主に改修や解体を任せたい | 価格が下がる可能性と契約条件 |
| 賃貸する | 立地に需要があり、必要な改修費を回収できる見込みがある | 改修、設備、管理、保険、空室時の負担 |
| 解体して売る | 建物が傷み、土地としての需要がある | 解体、家財処分、登記、翌年度以降の税額 |
| 更地として活用する | 駐車場などの需要があり、管理を続けられる | 整地、設備、管理、税金、収益の見込み |
| 家族が住む | 居住する人と時期が決まっている | 改修、名義、費用負担、固定資産税の分担 |
売却価格だけでなく、そこから家財処分、仲介、登記、測量、解体などの費用を引いた「手元に残る見込み額」を比べます。
賃貸の場合も、家賃全額が収入として残るわけではありません。改修費、管理費、修繕、保険、固定資産税、空室期間を含めて見ます。
解体すると固定資産税が「必ず6倍」になるわけではありません
空き家の相談でよく耳にするのが、「家を壊すと土地の固定資産税が6倍になる」という話です。
住宅の敷地には住宅用地の特例があり、固定資産税の課税標準は、200平方メートル以下の小規模住宅用地部分では6分の1、200平方メートルを超える一般住宅用地部分では3分の1に軽減されます。
住宅を取り壊し、翌年1月1日時点で住宅用地ではなくなれば、原則としてこの特例を受けられなくなり、土地分の税額が上がる可能性があります。
ただし、土地の税額そのものが一律6倍になるという意味ではありません。
解体後は家屋分の固定資産税がなくなります。土地の評価や負担調整、都市計画税、自治体独自の除却後の軽減措置なども関係するため、土地と家屋を合わせた合計額は物件ごとに異なります。
解体業者へ依頼する前に、市区町村の固定資産税担当へ次のように聞きます。
「現在の土地と家屋の税額を分けて教えてください。今年中に建物を取り壊した場合、来年度の土地の固定資産税と都市計画税は、おおよそどの程度になる見込みでしょうか。自治体独自の負担軽減や解体補助もありますか」
税金が上がる可能性だけを理由に、倒壊しそうな建物を残し続けるのも危険です。
傷んだ空き家を残せば、住宅用地の特例がずっと続くとは限りません
「建物さえ残しておけば、土地の税金は安いまま」と考える方もいます。
しかし、適切に管理されず、放置すれば特定空家になるおそれがある住宅は「管理不全空家」として、市区町村から指導や勧告の対象になることがあります。
管理不全空家または特定空家について、指導に従わず勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から外れることがあります。2023年の空家法改正により、著しく危険な状態になる前の管理不全空家も対象に加わりました。
| 気になる状態 | 早めにすること |
|---|---|
| 屋根や外壁が落ちそう | 近づかず、建築や空き家担当の窓口へ状態を伝える |
| 窓や扉が壊れている | 侵入防止と応急処置の方法を検討する |
| 庭木が道路や隣地へ出ている | 剪定を依頼し、今後の管理頻度を決める |
| 動物や害虫、悪臭がある | 発生源を調べ、自治体や管理業者へ対応を聞く |
| 郵便物やごみがたまる | 定期的な巡回や郵便物の転送を設定する |
| 市区町村から通知が届いた | 放置せず、期限と求められている改善内容を聞く |
空き家を放置すると、倒壊、外壁の落下、害虫、不法侵入、枝の越境などにつながり、売却や賃貸も難しくなりやすいと国土交通省は案内しています。
売れるかどうかは、片づけに大金をかける前に聞きます
実家を売るには、家財を全部処分し、修理してからでなければ査定を頼めないと思う方がいます。
けれど、買主が建物を解体する前提なら、高額な修繕が売値へ反映されないことがあります。
まず現状のまま、複数の不動産会社へ次の二通りを聞きます。
- 建物付きの現状で売る場合の価格と期間
- 解体して更地にした場合の価格と期間
査定時には、価格だけでなく根拠を聞きます。
| 聞くこと | 理由 |
|---|---|
| 近隣で似た物件が売れた事例 | 希望価格ではなく、実際の需要を見るため |
| 建物を利用する買主が見込めるか | 修繕して売る価値があるかを判断するため |
| 解体した場合の価格差 | 解体費を回収できるかを見るため |
| 境界や接道の問題 | 売却条件や測量費に影響するため |
| 家財を残したまま売れるか | 処分費を先に負担すべきか判断するため |
| 仲介と買取の違い | 価格と売却までの速さを比べるため |
「無料査定だから」と、その場で専任の契約まで決める必要はありません。
家族へ査定結果を共有し、税金や管理費を何年払うことになるかも合わせて比べます。
相続した空き家の売却には、期限のある税制が使える場合があります
親が住んでいた空き家を相続し、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
現在の制度では、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなどが要件となり、適用期限は2027年12月31日までとされています。建築時期、耐震性、売却価格、相続人の人数、利用状況など細かな条件があります。
「売ると決めてから税理士へ聞く」のではなく、売却方法を決める前に要件を確かめます。
建物を先に解体するか、売却後に買主が解体するかによっても準備する書類や契約条件が変わる場合があります。
不動産会社だけへ任せず、空き家がある市区町村の確認書発行窓口、税務署、税理士などへ個別に確認してください。
兄弟のうち一人だけが払っているなら、支出と所有の話を分けます
実家を兄弟で相続したのに、納税通知書は長男や近くに住む子どもへ届き、その人が毎年払っていることがあります。
通知書の送付先になっている人と、家族内で費用をすべて負担すべき人が同じとは限りません。
自治体への納税義務と、兄弟間でどのように負担するかは分けて考えます。
| 共有すること | 具体的に残す内容 |
|---|---|
| 所有者・相続人 | 登記事項証明書や遺産分割協議書で見る |
| 年間の固定費 | 税金、保険、管理費、草刈り |
| 臨時支出 | 修繕、家財処分、解体見積もり |
| 立て替え | 誰が、いつ、何を、いくら払ったか |
| 利用状況 | 誰がどのくらい実家を使っているか |
| 今後の希望 | 売却、保有、居住、賃貸のどれを望むか |
| 決める期限 | 次の納税通知書が来る前など、再協議する日 |
兄弟へ話を切り出す文面
「実家を残したいかどうかだけでなく、続けるための費用も一緒に決めたいです。今年は固定資産税○万円、保険と草刈りで○万円かかりました。これまで私が立て替えていますが、来年度も一人で負担することはできません。売却査定も取り、○月までに今後の方針と費用分担を話したいです」
「売るなら思い出を大切にしていない」「残したいなら全額払うべき」と感情だけで決めず、保有に必要な年額を全員で見ます。
相続登記が終わっていない家は、先送りできる期間が限られています
親名義のまま固定資産税だけを払い続け、遺産分割や相続登記が終わっていない場合があります。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
義務化前に発生した相続で、施行前から相続したことを知っていた不動産についても、原則として2027年3月31日までに相続登記を行う必要があります。正当な理由なく怠った場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
遺産分割がまとまらず、期限内の相続登記が難しい場合には、相続人申告登記という制度もあります。ただし、最終的に誰が取得するかを決める遺産分割や、その結果に基づく登記の代わりになるわけではありません。
売却するには、原則として現在の権利関係を整える必要があります。
兄弟間の話し合いが止まっている場合も、「売るか残すか」と「登記の義務」を同じまま放置しないでください。
国へ返せば終わる制度は、建物がある空き家にはそのまま使えません
「誰も欲しがらない土地なら、国へ返せないのか」と考える方もいます。
相続土地国庫帰属制度は、相続などで取得した一定の土地を、審査と負担金の納付を経て国へ帰属させる制度です。
ただし、建物がある土地は申請できません。境界が明らかでない土地、担保権がある土地、管理に過分な費用がかかる土地なども対象外になる場合があります。審査手数料や、承認後の負担金も必要です。
空き家ごと無条件で引き取ってもらえる制度ではないため、解体費用や税額を見ずにこの制度だけを前提にしないでください。
自治体の空き家窓口では、税金以外の制度も一緒に聞きます
固定資産税は納税担当、建物の状態は空き家対策担当、解体補助は住宅や建築担当というように、窓口が分かれている場合があります。
最初の電話で、次の制度があるかを聞きます。
- 空き家の総合相談窓口
- 空き家バンク
- 不動産や相続の相談会
- 老朽危険空き家の解体補助
- 家財処分や改修への補助
- 除却後の土地に対する税負担軽減
- 空家等管理活用支援法人
- 地域で活動する居住支援・まちづくり団体
国土交通省も、空き家の改修や解体について自治体の補助を受けられる場合があり、市区町村の窓口や指定された支援法人などが管理・活用の相談へ応じる場合があると案内しています。
補助制度は、工事を契約した後では申請できないことがあります。
解体や改修を発注する前に、対象条件と申請の順番を聞いてください。
売れないと思っていても、「価格が付かない」と「誰にも譲れない」は別です
人口の少ない地域、山間部、古い住宅では、不動産会社から「仲介は難しい」と言われることがあります。
それでも、次の方法がすべて同じ結果になるとは限りません。
- 一般の買主を探す仲介
- 不動産会社による買取
- 隣地所有者への売却
- 自治体の空き家バンク
- 建物を無償に近い価格で譲り、土地を売る方法
- 家財や修繕を買主負担とする現状売却
- 土地の一部だけをまとめて処分できないかの検討
価格が低くても、今後10年間の税金と管理費を払わずに済むなら、保有を続けるより家計が軽くなる場合があります。
売却価格だけでなく、次の式で比べます。
「売却後に手元へ残る額」-「売らずに今後5年または10年持つ費用」
思い出のある家だからこそ、疲れ切って判断する前に数字を一度並べてください。
今日することは、売却を決めることではなく二本の電話です
納期限が迫り、空き家を持ち続けるのもつらいときは、今日中にすべてを決めようとしないでください。
まず、次の二か所へ電話します。
一本目は、市区町村の納税窓口
「今期分を一度に払えない」と伝え、利用できる納税相談や猶予制度、必要書類を聞きます。
二本目は、市区町村の空き家担当窓口
「相続した空き家を維持できず、売却か解体を考えている」と伝え、相談窓口、空き家バンク、解体補助、管理不全空家に関する手続きを聞きます。
電話を終えたら、紙に次の四つだけを書きます。
- 今年の固定資産税と都市計画税
- 昨年1年間に払った管理費
- 兄弟や家族が負担した額
- 空き家の方針を決める期限
今期の税金をどう払うかと、家を今後どうするかが分かれれば、頭の中の重さも少し分けられます。
空き家を手放すことは、そこで暮らした親や家族の時間を手放すことではありません。
残すなら、費用と管理を続けられる形にする。難しいなら、傷みが進む前に次の人へ渡すか、建物をしまう方法を考える。
固定資産税を黙って払い続けることだけが、実家を大切にする方法ではありません。
まず納期限を放置しないこと。そして、来年も同じ苦しさを繰り返さない期限を一つ決めること。そこから始めれば大丈夫です。
出典・確認先メモ
- 東京都主税局「固定資産税・都市計画税」:1月1日現在の所有者への課税、土地・家屋の課税内容、年の途中で売買した場合の納税義務者に関する確認先。
- 東京都主税局「納税が困難な方に対する猶予制度」「税金の支払い」:徴収猶予、換価の猶予、納税相談、滞納時の取り扱いに関する公的な案内例。実際の窓口と要件は所在地の自治体へ確認。
- 国土交通省「空き家対策特設サイト」:住宅用地特例、管理不全空家・特定空家、空き家を放置するリスク、活用・除却の確認先。
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」:相続した空き家を売却した場合の譲渡所得3,000万円特別控除に関する確認先。
- 法務省「相続登記の申請義務化」「相続人申告登記」:相続登記の期限と、遺産分割がまとまらない場合の手続に関する確認先。
- 法務省「相続土地国庫帰属制度」:制度の対象、建物がある土地など申請できない土地、審査と負担金に関する確認先。


















