階段を上がるたび、「この家にあと何年住めるだろう」と考えます
二階に寝室があり、浴室は冷えやすく、スーパーまでは車で十五分。
夫が運転できていたころは困らなかった家も、一人になってからは暮らしにくさが目立ちます。
子どもからは、「駅や病院に近い賃貸へ移ったら」と言われています。
小さな部屋なら掃除が楽になり、雪かきや庭の手入れもいりません。近くに店があれば、車を手放した後も暮らせそうです。
けれど、引っ越した後に今の家が残ります。
「賃貸になじめず、戻りたくなったらどうするのか」
「家賃と固定資産税を両方払い続けられるのか」
「空き家にしたら傷むのではないか」
「今売ったら、思い出まで処分するようで後悔しないか」
長く暮らした家は、資産であるだけではありません。
家族を育てた場所であり、配偶者との時間が残る場所であり、何かあったときに戻れる安心でもあります。
そのため、住み替えを考えるときに最初から「売るか、残すか」を決めようとすると、動けなくなります。
先に決めたいのは、家の処分ではなく、新しい暮らしが本当に自分に合うかを確かめる方法です。
引っ越したい理由を、「家への不満」ではなく生活場面で書きます
| 今の家で困る場面 | 住み替え先に必要な条件 |
|---|---|
| 階段で息切れし、洗濯物を二階へ運べない | ワンフロア、またはエレベーターのある建物 |
| 車がないと通院や買い物ができない | 病院、薬局、スーパー、バス停が徒歩圏内 |
| 庭、雪かき、外壁の管理が負担 | 共用部分を自分で管理しなくてよい住宅 |
| 一人暮らしで、倒れたときに気づかれない | 家族の近く、見守り、緊急連絡体制がある住宅 |
| 家が広く、掃除と光熱費の負担が大きい | 日常生活に必要な広さへ小さくする |
| 浴室や廊下が寒く、段差も多い | 断熱、手すり、段差、浴室の使いやすさを見る |
| 近所付き合いが減り、ほとんど人と話さない | 外出しやすく、人と関われる立地 |
「老後は賃貸の方が楽そう」という理由だけでは、物件を比べる基準が定まりません。
現在の家で何ができなくなりつつあるのかを書けば、新居で譲れない条件が見えてきます。
持ち家の結論は、引っ越し前ではなく暮らした後に出す方法があります
今の家を売ってから賃貸へ移ると、新しい暮らしが合わなくても簡単には戻れません。
資金に余裕があり、家の管理ができる場合は、一定期間だけ持ち家を残して住み替える方法があります。
| 進め方 | すること |
|---|---|
| 引っ越し前 | 新居と元の家にかかる費用を両方計算する |
| 最初の3か月 | 通院、買い物、騒音、室温、近所との距離を体験する |
| 6か月前後 | 元の家へ戻りたい日がどのくらいあったか振り返る |
| 見直し日 | 残す、貸す、売るの三案を家族と比較する |
| 結論後 | 家財、契約、税金などの具体的な手続きへ進む |
三か月や半年という期間は、一律の決まりではありません。
ただし、期限を決めずに残すと、「もう少し考えてから」が何年も続き、二つの住まいの費用と管理が重くなります。
「○月末に今後を決める」と、見直し日まで決めてください。
元の家には、四つの選択肢があります
| 選択肢 | 向いている状況 | 負担・注意点 |
|---|---|---|
| 一定期間、空けたまま残す | 新居が合うか試したい、戻る可能性がある | 固定費、見回り、換気、庭、修繕が必要 |
| 家族が住む | 同居家族や子どもに具体的な利用予定がある | 名義、費用、修繕、将来の退去条件を曖昧にしない |
| 第三者へ貸す | 長期間戻る予定がなく、賃貸需要が見込める | 修繕、管理、税務、契約終了まで戻れない可能性 |
| 売却する | 戻る可能性が低く、管理を続けたくない | 家財整理、売却費用、税金、家族の納得が必要 |
どの方法にも良い面と負担があります。
「空き家は悪い」「賃貸収入を得れば得」「売れるうちに急ぐべき」と、一つの答えで決める必要はありません。
持ち家を残せるかは、家賃ではなく二つの家の総額で考えます
新しい賃貸の家賃が月七万円でも、住み替え後の住居費が七万円になるわけではありません。
| 新しい賃貸でかかる費用 | 元の持ち家で続く費用 |
|---|---|
| 家賃 | 固定資産税・都市計画税 |
| 共益費・管理費 | 火災保険など |
| 家賃債務保証料 | 最低限残す電気・水道等 |
| 火災保険 | 庭木、除草、清掃 |
| 駐車場・駐輪場 | 雨漏り、給湯器、外壁等の修繕 |
| 見守りや生活支援の料金 | 空き家管理業者の費用 |
| 更新料・契約更新費用 | 住宅ローンが残っていれば返済 |
さらに、引っ越し代、敷金、礼金、仲介手数料、家具やカーテンの買い替えなど、最初だけかかる費用もあります。
次の三つを分けて計算してください。
- 毎月必ず出る金額
- 一年に一度または数年ごとに出る金額
- 引っ越し時だけ必要な金額
家賃だけなら払えても、持ち家の屋根修理が重なると生活費を圧迫することがあります。
年金生活では、家賃を払った後に残る金額を見ます
| 項目 | 月額の記入欄 |
|---|---|
| 年金・その他の手取り収入 | 円 |
| 賃貸の家賃・共益費 | 円 |
| 元の家の月割り維持費 | 円 |
| 食費・日用品 | 円 |
| 医療・介護 | 円 |
| 電気・ガス・水道・通信 | 円 |
| 交通費 | 円 |
| 予備費・修繕費の積立て | 円 |
| 毎月残る金額 | 円 |
「預金があるから数年は大丈夫」ではなく、毎年いくら減るかまで見ます。
高齢になるほど、医療・介護や住まいの支援へ支出が増える可能性があります。二重の住居費を続ける期間には上限を設けておく方が安心です。
賃貸は、持ち家を処分する前に探します
家を売れば手元資金が増え、賃貸審査も通りやすくなると思うかもしれません。
しかし、希望する地域で高齢者が入居できる物件がすぐ見つかるとは限りません。
貸主側には、家賃滞納だけでなく、単身高齢者の死亡時の契約終了や室内に残る家財への懸念があることが、国の住宅施策でも課題として挙げられています。こうした課題へ対応するため、2025年10月から改正住宅セーフティネット法が施行され、居住支援や家賃債務保証、残置物処理などの仕組みが拡充されています。
まず数社の不動産会社へ、次の条件を正直に伝えます。
- 年齢と同居人数
- 年金など毎月の収入
- 預貯金や持ち家の状況
- 緊急連絡先になれる人
- 家賃債務保証会社を利用できるか
- 見守りサービスを利用する意思
- 現在の介護状態
- 入居を希望する時期
一社で難しいと言われても、すべての賃貸住宅へ入れないという意味ではありません。
物件探しが進まないときは、居住支援の窓口があります
高齢であること、保証人がいないこと、年金収入であることなどから物件探しが進まない場合は、地域の居住支援法人や居住支援協議会を調べます。
居住支援法人は、都道府県の指定を受け、住宅確保に配慮が必要な高齢者などへ、物件情報の提供、入居相談、家賃債務保証、見守りなどの生活支援を行う法人です。支援内容は法人や地域によって異なります。
また、住宅セーフティネット制度では、高齢者などの入居を受け入れる登録住宅や、見守りなどの支援を提供する居住サポート住宅を検索できます。居住サポート住宅の認定制度は、改正法の施行に伴い2025年10月に始まりました。
自治体の住宅担当窓口へは、次のように尋ねます。
「70代の一人暮らしで、持ち家から賃貸への住み替えを考えています。年金収入で、近くに保証人になれる親族がいません。高齢者の賃貸探しを支援する居住支援法人や登録住宅を教えてください」
一般の賃貸と高齢者向け住宅は、支援の範囲が違います
| 住まいの種類 | 主な特徴 | 費用を見るときの注意 |
|---|---|---|
| 一般の民間賃貸 | 物件数が多く、暮らしの自由度が高い | 家賃のほか、保証料、見守り、緊急対応を別契約する場合がある |
| セーフティネット登録住宅 | 高齢者など住宅確保要配慮者の入居を受け入れる登録住宅 | すべてに見守りや介護サービスが付くわけではない |
| 居住サポート住宅 | 住宅と見守りなどの入居中支援を組み合わせる | 支援内容、対象者、料金を物件ごとに見る |
| サービス付き高齢者向け住宅 | バリアフリー構造で、少なくとも状況把握と生活相談を提供 | 家賃だけでなく、共益費、基本サービス料、食費等を合計する |
サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー構造を備え、少なくとも状況把握と生活相談を提供する登録制度です。ただし、介護サービスがすべて月額料金に含まれるとは限りません。
元気なうちは一般賃貸が暮らしやすくても、将来の見守りを別に用意する必要があります。
反対に、支援のある住宅では安心が増える一方、サービス料金を含めると負担が大きくなる場合があります。
間取りより先に、十年後も玄関を出られるかを見ます
| 物件で見る場所 | 老後の暮らしで確かめること |
|---|---|
| 建物入口 | 段差、自動ドア、重い扉、雨の日の滑りやすさ |
| エレベーター | 停止階、車いすの広さ、点検時の代替手段 |
| 玄関 | 上がり框、手すり、靴を履く場所 |
| 浴室・トイレ | 段差、手すり、暖かさ、介助できる広さ |
| 室内 | 引き戸、廊下幅、寝室からトイレまでの距離 |
| 周辺道路 | 坂、横断歩道、歩道、夜間の明るさ |
| 買い物 | 店までの距離だけでなく、荷物を持って戻れるか |
| 医療・介護 | かかりつけ医、薬局、訪問サービスの対応地域 |
| 災害時 | 避難場所、停電時の階段、浸水や土砂災害の情報 |
内覧日は元気でも、五年後、十年後には杖や歩行器を使う可能性があります。
「今住めるか」だけでなく、「足腰が弱っても外へ出られるか」で見てください。
子どもの近くへ移る場合も、近さだけで決めないようにします
子どもの家から徒歩五分の賃貸なら安心に見えます。
しかし、子どもが転勤する、仕事が変わる、家庭の事情で頻繁に来られなくなることもあります。
| 家族へ聞くこと | 話す内容 |
|---|---|
| 普段の支援 | 買い物、通院、連絡をどこまで頼めるか |
| 緊急時 | 夜間や仕事中に誰が動くか |
| 将来の転居 | 子どもが同じ地域に住み続ける見込み |
| 合鍵 | 誰が持ち、どの状態で使うか |
| 介護が必要になった後 | 在宅サービスと家族の役割をどう分けるか |
「近くへ来れば全部できる」と子どもが言っていても、具体的な頻度へ置き換えます。
住み替え後の暮らしを、一人の家族の善意だけに乗せないことが長く続けるために必要です。
持ち家を空けておくなら、管理する人と頻度を決めます
人が住まなくなった家は、何も使わないから費用がかからないわけではありません。
当面活用や売却をしない空き家には、通風、漏水、屋根や外壁、庭、郵便、施錠などの管理が必要です。自分で管理することが難しい場合は、空き家管理業者や修繕業者の利用が国からも案内されています。
| 管理すること | 担当と頻度 |
|---|---|
| 郵便物の回収 | 月○回・担当者 |
| 室内の換気 | 月○回・担当者 |
| 水漏れ・におい | 訪問時に確認 |
| 屋根・外壁・窓 | 台風や大雨の後に確認 |
| 庭木・雑草 | 成長期の前後に手配 |
| 防犯・施錠 | 訪問時に確認 |
| 電気・水道 | 残す契約と使用目的を決める |
| 保険 | 空き家になることを保険会社へ伝え、契約条件を確認 |
管理されない状態が続き、周囲へ悪影響を及ぼすおそれがある空き家は、自治体による指導や勧告の対象になる場合があります。管理不全空家や特定空家として勧告を受けると、敷地の固定資産税等に関する住宅用地特例を受けられなくなる可能性があります。
「いつか戻るかもしれない」という気持ちがあっても、管理をしなくてよい理由にはなりません。
家財を全部残すと、戻れる安心より管理の負担が増えることがあります
試し住みの段階では、家具や思い出の品をすべて処分する必要はありません。
ただし、新居と元の家に生活用品が分かれると、必要な物がどちらにあるか分からなくなります。
| 新居へ持っていく物 | 元の家へ残す物 |
|---|---|
| 毎日使う衣類と薬 | 季節外の家財 |
| 重要書類 | すぐに判断できない思い出の品 |
| 通帳、印鑑、保険関係 | 将来家族と分けたい物 |
| 日常的に使う調理器具 | 戻ったときだけ必要な最低限の家具 |
| 連絡先と医療情報 | 処分前に写真や記録を残したい物 |
貴重品や重要書類を無人の家へ残さないようにします。
住み替えが定着した後、元の家へ残した物を「使う」「家族へ渡す」「処分する」の三つに分けていきます。
持ち家を貸すなら、「戻りたくなったら返してもらう」は難しい場合があります
家賃収入があれば、新しい賃貸の家賃を補えると考える方もいます。
ただし、貸した家は、自分の都合だけですぐ空けてもらえるとは限りません。
普通建物賃貸借では、貸主からの更新拒絶などに制限があります。一方、定期建物賃貸借は、契約で定めた期間が満了すると更新されず終了する制度ですが、書面による契約や事前説明など所定の手続きが必要です。
| 貸す前に確かめること | 理由 |
|---|---|
| 何年間戻る予定がないか | 契約期間を考えるため |
| 貸せる状態までの修繕費 | 給湯器、壁、設備などの負担が出るため |
| 管理を誰へ任せるか | 入居者対応や修繕手配が必要になるため |
| 家賃の手取り額 | 管理費、修繕、空室期間を差し引いて見るため |
| 住宅ローンや保険の条件 | 自己居住から賃貸へ変える場合の扱いを確かめるため |
| 税金と申告 | 賃料収入は不動産所得の対象になり得るため |
不動産所得は、原則として家賃等の総収入金額から、貸付けに直接必要な固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などを差し引いて計算します。
「家賃八万円で貸せる」という査定を、そのまま八万円の手取りとは考えないでください。
自宅を手放さず貸す仕組みもありますが、条件を比べます
高齢者の住み替えでは、所有する住宅を一定の仕組みで借り上げてもらい、第三者へ転貸する制度が利用できる場合があります。
国のサービス付き高齢者向け住宅情報でも、自宅を売却せず、定期借家契約を利用して賃料収入につなげる「マイホーム借上げ制度」が住み替え支援の一例として案内されています。
ただし、すべての住宅が対象になるとは限りません。
- 対象年齢や住宅の条件
- 耐震性や改修の必要性
- 最初にかかる費用
- 空室時の賃料の扱い
- 契約期間
- 将来自宅へ戻れる時期
- 通常の賃貸管理との手取り額の違い
制度名だけで決めず、普通に貸す場合、借上げ制度を使う場合、空き家管理を続ける場合の三つを同じ条件で比べてください。
売却は「家を捨てること」ではなく、暮らしを支える資産へ変える方法です
戻る可能性が低く、管理を続ける人もいない場合は、売却が現実的になることがあります。
売却代金を、新居の家賃、医療・介護費、生活費の予備として使えるからです。
一方、売却には仲介手数料や登記、家財処分などの費用がかかり、売却益が出れば税金の検討も必要です。
自分が住んでいたマイホームを売却した場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。以前住んでいた家の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るなどの期限要件があります。実際の適用可否は個別条件で判断されます。
「しばらく残してから売ろう」と考える場合も、税の特例に期限があることを踏まえ、税務署や税理士へ時期を確かめてください。
今は売らない場合も、家の価値と売りやすさだけは調べます
家を残すと決めることと、家の現在価値を知らないままにすることは別です。
売却を急がなくても、次の情報を集めておくと判断しやすくなります。
- 土地と建物の名義
- 住宅ローンや抵当権の有無
- 固定資産税の通知書
- 建築時期、増改築、修繕履歴
- 境界や接道の状況
- 家財を残したまま売れるか
- 売却価格の査定
- 賃料の査定
- 売却までに必要な修繕や解体
査定額は、その金額で確実に売れるという約束ではありません。
複数社から説明を聞き、金額だけでなく、売却までの期間や必要な作業を比べます。
配偶者がいる場合は、二人の体力と気持ちを分けて聞きます
夫は今の家を離れたくない。妻は運転も庭仕事も限界に近い。
このように、夫婦で住み替えへの考えが違う場合があります。
| 聞くこと | 話し方の例 |
|---|---|
| 残りたい理由 | 「この家で続けたいことは何?」 |
| つらい作業 | 「家の中と外で、一番負担なのはどこ?」 |
| 住み替え先の希望 | 「小さくても残したい部屋や暮らしはある?」 |
| 一人になった場合 | 「どちらか一人になっても、この家で暮らせそう?」 |
| 試す方法 | 「一か月だけ別の地域で暮らして比べてみない?」 |
元気な配偶者が家事、運転、修繕を担っている場合、その人が動けなくなった後も同じ家に住めるかを考えます。
今の二人の生活だけでなく、一人になった後の暮らしも判断材料にします。
子ども世代は、「売った方がいい」と結論を急がないようにします
遠方の子どもから見ると、空き家の管理や将来の相続が心配になります。
そのため、「今のうちに売って」「近くへ来て」と言いたくなるでしょう。
ただ、親にとっては、家を手放すことが自分の人生の終わりを決められるように感じられる場合があります。
| 避けたい言い方 | 話し合いやすい言い方 |
|---|---|
| 「もうこの家には住めないよ」 | 「階段と買い物がつらくなったとき、どんな暮らしなら安心?」 |
| 「空き家を残されると困る」 | 「残す場合、誰がどの費用と管理を担当するか決めたい」 |
| 「売れるうちに売った方が得」 | 「売る場合と半年残す場合の費用を一緒に比べよう」 |
| 「近くに来れば全部面倒を見る」 | 「通院は月一回、緊急時はこう動くという役割まで決めよう」 |
親の気持ちを尊重することと、子どもが無期限に空き家管理を引き受けることは同じではありません。
残すなら、管理担当と費用負担を具体的にします。
試し住み中は、「便利だったこと」と「戻りたかった場面」を記録します
| 見ること | 記録例 |
|---|---|
| 移動 | 病院へ一人で行けた、坂道で疲れた |
| 買い物 | 徒歩で買えるが、荷物を運ぶのがつらい |
| 建物 | 暖かいが、隣室の音が気になる |
| 人間関係 | 子どもに会いやすいが、以前の友人と離れた |
| 家事 | 掃除が楽になり、庭仕事がなくなった |
| 費用 | 家賃のほかに共益費と保証料がかかった |
| 安心 | 夜間の一人暮らしは変わらず心細い |
| 元の家 | 月一回戻ったが、泊まりたいとは思わなかった |
引っ越した直後は、新しさへの緊張や片付けの疲れがあります。
最初の一週間だけで合う・合わないを決めず、日常の通院や季節の変化も経験してから判断します。
次の状態なら、持ち家を残す期限を短くした方がよい場合があります
- 二重の住居費で毎月預金を取り崩している
- 見回りや庭の管理をする人がいない
- 雨漏り、傾き、設備故障など大きな修繕が必要
- 元の家へ半年以上戻っていない
- 家財が多く、侵入や火災が心配
- 家族の誰も将来住む予定がない
- 売却時の税の特例期限が近い
- 新居での生活に落ち着き、戻る理由がなくなった
反対に、新居で体調を崩した、地域になじめない、医療や交通が思ったより不便だった場合は、急いで売らずに選択を戻す余地を残します。
住み替えの結論は、五つの質問で絞れます
| 質問 | 「はい」の場合に考える方向 |
|---|---|
| 新居で一年以上暮らしたいと思えるか | 持ち家を貸す・売る方向を検討する |
| 元の家へ戻る具体的な条件があるか | 条件が曖昧なら、残す期限を決める |
| 二重の住居費を無理なく払えるか | 難しければ、早めに貸す・売る判断へ進む |
| 元の家を管理する人が決まっているか | いなければ管理委託または処分を考える |
| 家族が将来使う具体的な予定があるか | 時期、費用、名義を家族で言葉にする |
「いつか戻る」「子どもが使うかもしれない」という言葉には、時期と条件を付けてください。
具体化できない場合は、気持ちの安心のためだけに高い管理費を払い続けていないかを見直します。
今日することは、不動産会社へ売却を頼むことではありません
紙を一枚用意し、次の六行を書いてください。
- 今の家で一番つらいこと:
- 新居に必ず必要な条件:
- 賃貸へ払える月額上限:
- 持ち家を残した場合の年間費用:
- 元の家へ戻るとしたら、どのような場合か:
- 持ち家の結論を見直す日:
まだ物件を探していなければ、不動産会社または居住支援の窓口へ一件問い合わせます。
物件が決まりかけているなら、家賃だけでなく、共益費、保証料、見守り、更新費用を含む年間額を出します。
引っ越しが決まっているなら、持ち家の見回り担当と次の見直し日を決めます。
老後の住み替えは、長年暮らした家を否定することではありません。
今までの家が役目を終えたと決める必要もありません。
まず新しい場所で暮らせるかを試し、戻れる余地を一定期間だけ残し、その間に現実の費用と気持ちを確かめる。
その順番なら、売却を急いだ後悔と、空き家を残し続ける負担の両方を減らせます。
今日は「家をどうするか」ではなく、「新しい住まいで何を楽にしたいか」を一つ書くところから始めてください。
出典・確認先メモ
- 国土交通省「住宅セーフティネット制度」:高齢者などの賃貸住宅への円滑な入居を支える登録住宅、居住支援法人、居住支援協議会等の制度。改正住宅セーフティネット法は2025年10月1日に施行されています。
- 国土交通省「居住サポート住宅情報提供システム」:高齢者などを対象とし、見守り等の支援を行う認定住宅を条件から検索できます。
- 国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅」:バリアフリー構造、状況把握、生活相談等に関する登録制度。
- 国土交通省「空き家対策」:空き家の管理方法、管理不全空家・特定空家と固定資産税等の住宅用地特例に関する取扱い。
- 国土交通省「定期建物賃貸借」:期間満了により更新されず終了する契約の仕組みと必要な手続き。
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例」「不動産所得」:居住用財産の3,000万円特別控除の要件と、住宅を貸した場合の所得計算。
- 賃貸審査、保証料、契約条件、売却時の税金、住宅ローン、保険、空き家管理は、本人の年齢、収入、住宅、地域、契約内容によって異なります。契約や処分の前に、各窓口の最新条件をご確認ください。


















