求人を開くたび、「週3日」と書いてあるのに応募できない
週5日で働くつもりはない。でも、毎日家にいる生活も何となく落ち着かない。
生活費を少し補いたい。人と話す機会がほしい。体が動くうちは社会とのつながりを残したい。理由はいくつもあるのに、求人を見ると手が止まります。
「週3日から」と書かれていても、勤務時間は朝から夕方まで。仕事内容には「立ち仕事」「重量物あり」「状況により残業」とある。自宅から近い仕事は若い人向けに見え、経験を生かせそうな仕事は週5日勤務です。
応募して断られるのも嫌だし、採用されてから「やはり体が続かない」と辞めるのも気が重い。
その結果、求人サイトを開いて閉じる日が続くことがあります。
ここで考え直したいのは、「週3日の仕事があるか」だけではありません。
自分が週3日なら、どのような条件で続けられるのかを先に決めることです。
「週3日働きたい」の中身を、三つに分けます
同じ週3日でも、目的によって合う仕事は変わります。
| 働きたい主な理由 | 優先したい条件 | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 毎月の収入を増やしたい | 時給、勤務時間、交通費、安定したシフト | 求人の月収例だけでなく、手取りと毎月入れる日数を見る |
| 生活に張り合いがほしい | 人との交流、無理のない責任、日中勤務 | 収入だけで選ぶと、忙しさや人間関係が負担になることがある |
| 体を動かして健康を保ちたい | 適度な移動、短時間、休憩の取りやすさ | 荷物運び、階段、屋外作業、暑さ寒さの影響を確認する |
| これまでの経験を生かしたい | 経験職種、補助業務、後輩支援、資格の活用 | 以前と同じ役職や待遇にこだわると、選択肢が狭くなることがある |
| 家族の介護や家事と両立したい | 曜日固定、急な休みへの対応、短い通勤 | 毎週変わるシフトや代替出勤の有無を確かめる |
収入が第一なら、短時間すぎる仕事では目的を満たせません。
反対に、外へ出ることが目的なのに、責任の重い仕事や長時間勤務を選ぶと、働くことで生活全体が苦しくなります。
応募前に、次の一文を自分で完成させてください。
「私は、○○のために、週3日、1日○時間まで働きたい」
例えば、「生活費を月5万円補うために、週3日、1日4時間ほど働きたい」と決めれば、求人を選ぶ基準が明確になります。
日数より先に、「1日何時間なら翌日に残らないか」を考えます
週3日なら楽に働けるとは限りません。
1日8時間の週3日勤務は、週24時間です。通勤や着替え、準備まで含めれば、勤務日はほぼ一日が仕事になります。
一方、1日4時間の週3日なら週12時間です。同じ週3日でも、体への負担も収入も大きく違います。
仕事を始める前に、自宅で次の状態を試してみる方法があります。
- 予定している起床時間に起きる
- 通勤時間と同じ時間だけ歩く、または公共交通機関に乗る
- 勤務時間と同じ長さだけ外出する
- 帰宅後に食事や入浴を普段どおり行えるか見る
- 翌朝まで疲れや痛みが残らないか確かめる
一日だけ動けるかではなく、翌日に生活を戻せるかが判断の分かれ目です。
仕事の翌日はほとんど横になり、買い物や家事ができないなら、勤務時間か負荷を下げる余地があります。
持病、関節の痛み、息切れ、めまいなどがある場合は、「働いてよいか」という漠然とした聞き方ではなく、想定する仕事を主治医へ伝えます。
「週3日、1日5時間ほど、立ったまま接客する仕事を考えています。現在の体調で注意する点はありますか」
仕事内容が具体的であるほど、医師も生活上の注意を伝えやすくなります。
三日連続より、間に休みを入れた方が続く人もいます
月・火・水と三日連続で働き、残りを休む方が予定をまとめやすい人もいます。
一方、疲れが翌日に残りやすいなら、月・水・金のように間を空ける方が続きやすくなります。
どちらが正解というものではありません。
- 連続勤務をすると二日目から足腰が重くなるか
- 休日に通院や家事を入れる必要があるか
- 家族の介護や送迎がある曜日はいつか
- 土日や早朝の勤務ができるか
- 曜日固定と毎月変わるシフトのどちらが合うか
求人票の「週3日から」は、必ずしも希望する三日を自由に選べるという意味ではありません。
土日を含む三日なのか、会社が指定する曜日なのか、繁忙期には週4日以上を求められるのか。面接前後に確かめてください。
応募時には、次のように伝えられます。
「週3日を希望しています。長く続けたいので、月・水・金のように勤務の間を空けられる求人を探しています。繁忙期の追加勤務が必要かも教えていただけますか」
時給が高くても、通勤で消耗する仕事は続きにくくなります
仕事を探すとき、時給へ目が向くのは当然です。
ただ、60代の週3日勤務では、通勤も仕事内容の一部として考えた方が現実的です。
片道45分なら、往復で1時間30分。週3日で4時間30分を通勤に使います。電車の乗り換え、駅の階段、雨の日の移動も負担になります。
求人を比較するときは、次の時間と費用を含めます。
- 自宅から職場までの実際の所要時間
- 駅や停留所から職場まで歩く時間
- 交通費が全額支給されるか、上限があるか
- 車通勤の場合のガソリン代、駐車場代
- 制服への着替えや始業前準備の時間
- 昼食代や仕事用の服、靴にかかる費用
例えば、月6万円の給与を得ても、交通費の不足、昼食、仕事着などに毎月1万円以上かかれば、手元へ残る額は変わります。
多少時給が低くても、自転車や徒歩で通え、短時間で帰宅できる仕事の方が、長く続けやすい場合があります。
「経験がない仕事」より、「体力の使い方が分からない仕事」に注意します
60代向けの求人では、清掃、警備、品出し、調理補助、介護補助、マンション管理、送迎、倉庫内作業などを見かけることがあります。
未経験から始められる仕事もありますが、「簡単な作業」と書かれていても、身体的に軽いとは限りません。
| 求人でよく見る表現 | 応募前に聞きたいこと |
|---|---|
| 清掃業務 | 階段、しゃがむ作業、重いごみ、屋外清掃があるか |
| 品出し・軽作業 | 荷物の最大重量、冷蔵・冷凍環境、立ちっぱなしの時間 |
| 警備・案内 | 座れる時間、屋外勤務、夜勤、巡回距離、暑さ寒さへの対策 |
| 調理補助 | 洗い場の比率、熱い厨房、重い鍋、ピーク時の忙しさ |
| マンション管理 | 清掃範囲、階段、設備対応、住民対応、一人勤務かどうか |
| 送迎 | 使用車種、乗降介助、運転範囲、事故時の対応、免許条件 |
| 事務補助 | パソコン操作の内容、電話対応、入力速度、座り続ける時間 |
求人票だけで分からないときは、職場見学を頼んでも構いません。
「仕事内容を理解して長く働きたいので、可能であれば実際の作業場所と、荷物の重さを見せていただけますか」
見学を申し出たことで採用が不利になるとは限りません。むしろ、入社後の行き違いを減らしたいという姿勢が伝わります。
以前の肩書きを下げるのではなく、使う経験を絞ります
長年勤めた会社で、管理職、営業、経理、製造、接客などを経験してきた人ほど、再就職先との違いに戸惑うことがあります。
以前より賃金が低い。年下の上司から指示を受ける。補助的な仕事を任される。
分かって応募しても、実際に働くと複雑な気持ちになることがあります。
しかし、過去の肩書きをすべて捨てる必要はありません。
その仕事で使える経験だけを取り出します。
- 人への説明や苦情対応ができる
- 決められた手順を守れる
- 新人へ落ち着いて教えられる
- 金銭や在庫を正確に扱える
- 安全確認を習慣にしている
- 欠勤が少なく、時間を守ってきた
面接では、経歴を長く説明するより、今回の仕事でどう役立つかを伝えます。
「前職では店舗運営を担当していましたが、今回は役職を希望しているわけではありません。お客様への説明と、決められた手順を守る点で経験を生かせると考えています」
採用側が心配するのは、経験の多さより、「以前のやり方へこだわらないか」「長く続けられるか」「希望条件が途中で変わらないか」という点です。
月にいくら必要かを決めると、無理なシフトを避けられます
収入目標が曖昧だと、求人を見るたびに条件が揺れます。
時給1,200円で、1日5時間、週3日働く場合、単純計算では週1万8,000円です。ただし、実際の月収は勤務日数、祝日、欠勤、交通費、保険料、税金などで変わります。
まず、働く目的に必要な金額を分けます。
- 毎月の生活費不足を補う金額
- 医療費や家の修繕に備える金額
- 趣味や旅行に使いたい金額
- 貯蓄へ回したい金額
月3万円で足りる人が、月8万円のために体力を削る必要はありません。
反対に、生活費が月8万円不足しているなら、週3日の短時間勤務だけでは足りない可能性があります。その場合は、勤務日数だけでなく、家計、住居費、年金、ほかの収入も一緒に見直す必要があります。
「働けるだけ働く」ではなく、「必要な収入を、生活を壊さない働き方で得られるか」を見ます。収入目標と体力の上限が合わない場合は、仕事選びだけで解決しようとしないことが大切です。
週3日でも、社会保険や雇用保険の対象になることがあります
保険への加入は、「週3日だから入らない」「パートだから関係ない」と日数だけでは決まりません。
勤務先の規模、週の所定労働時間、賃金、契約期間などによって扱いが変わります。
2026年7月時点では、一定規模以上の事業所などで働く短時間労働者について、週の所定労働時間が20時間以上、所定内賃金が月額8万8,000円以上、学生ではないなどの要件を満たすと、健康保険・厚生年金保険の加入対象になる場合があります。
制度改正により、企業規模や賃金に関する要件は今後段階的に変更されます。求人票だけで判断せず、勤務先へ次のように聞いてください。
「この勤務時間の場合、健康保険、厚生年金、雇用保険の加入対象になりますか。給与から差し引かれるおおよその項目も教えてください」
保険料が引かれると、額面より手取りが少なくなります。一方、厚生年金への加入によって将来の年金額に反映されたり、健康保険の給付が利用できたりする場合があります。
目先の手取りだけでなく、加入による保障も含めて考えます。
働くと年金が全部止まるわけではありません
年金を受けながら働く人が心配しやすいのが、「収入が増えると年金が減るのではないか」という点です。
厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受ける60歳以上の人は、賃金と老齢厚生年金の額によって、在職老齢年金の仕組みで老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる場合があります。
2026年4月からは、支給停止を判断する基準額が月額51万円から65万円へ引き上げられました。基準額は年度により改定されることがあります。また、老齢基礎年金は在職老齢年金による調整の対象ではありません。
週3日のパートで直ちに年金が減るとは限りません。
ただし、給与、賞与、受け取っている老齢厚生年金額によって結果が違うため、年金事務所で試算してもらう方法があります。
電話や窓口では、次のように伝えます。
「老齢厚生年金を受給しており、週3日の勤務を検討しています。予定している月給は○万円です。在職老齢年金への影響と、厚生年金へ加入した場合の扱いを知りたいです」
年金額が書かれた通知書と、求人票や予定給与が分かるものを手元に置くと、話が進みやすくなります。
仕事の入口は求人サイト一つに絞らなくて構いません
希望条件の求人が見つからないと、「60代を雇う職場はない」と感じることがあります。
実際には、求人の出し方が場所によって違います。
ハローワークの生涯現役支援窓口
全国の主要なハローワークには、概ね60歳以上の求職者を対象とした「生涯現役支援窓口」が設けられています。
これまでの職歴、年金の受給状況、希望する働き方などを踏まえた職業相談や職業紹介のほか、職場見学、面接会、セミナーなどを案内してもらえる場合があります。
窓口では、漠然と「何か仕事はありますか」と聞くより、条件を伝えます。
「週3日、1日4~5時間、通勤30分以内を希望しています。立ち続ける仕事は難しいですが、接客と電話対応の経験があります」
シルバー人材センター
地域のシルバー人材センターでは、清掃、施設管理、家事支援、植木、事務、軽作業など、地域に応じた仕事を扱っています。
ただし、すべてが一般的な雇用契約とは限りません。請負、委任、派遣、職業紹介など契約形態によって、指揮命令、報酬、事故時の保障、雇用保険の扱いが異なります。
登録前に、「雇用契約ですか」「仕事中のけがには、どの保険が適用されますか」「月に何日程度の仕事がありますか」と尋ねてください。
自治体・地域の就業支援
自治体によっては、高齢者向けの就職相談、合同面接会、講習会などを行っています。地域の広報紙や自治体ホームページに掲載されることもあります。
知人の紹介
知人の紹介は、職場の雰囲気を事前に聞ける利点があります。
一方、「知り合いだから断りにくい」「契約書を作らず働き始める」という問題も起こりやすいため、勤務時間、賃金、仕事内容、休みは書面で確かめます。
面接では「週3日しか無理」ではなく、続けられる条件を伝えます
週3日勤務を希望することに、後ろめたさを感じる必要はありません。
ただし、「週3日しか働けません」とだけ伝えると、採用側には制約だけが残ります。
次の三点を続けて伝えると、意図が分かりやすくなります。
- 希望する曜日と時間
- その条件なら継続できる理由
- 勤務中に担える仕事
例えば、次のように話せます。
「週3日、午前9時から午後2時までを希望しています。無理に日数を増やすより、この条件で長く安定して勤務したいと考えています。前職で接客と在庫管理をしていたため、売り場案内や品出しの確認業務には対応できます」
介護や通院など、詳しく話したくない事情まで説明する必要はありません。
「家庭の都合により火曜日は勤務できませんが、それ以外の曜日は相談できます」と、仕事に関係する範囲を伝えれば十分です。
採用の連絡が来ても、その場で「働きます」と答えなくて構いません
仕事が決まるとうれしくなり、条件を十分に見ないまま承諾してしまうことがあります。
働き始める前に、労働条件通知書や雇用契約書で次の項目を確かめます。
- 契約期間と更新の有無
- 勤務する曜日、始業・終業時刻、休憩時間
- 時給、締日、支払日、交通費
- 試用期間中の条件
- 残業や休日出勤の有無
- 仕事内容と変更される可能性
- 勤務場所と異動の可能性
- 社会保険、雇用保険、労災保険の扱い
- 休暇、欠勤、退職に関するルール
面接で「残業はほとんどない」と聞いても、契約書には別の内容が書かれている場合があります。分からない箇所は署名前に尋ねます。
「一度持ち帰って家族と予定を確かめ、明日までにお返事してもよろしいでしょうか」
この程度の時間を求めることは、不自然ではありません。
「簡単に稼げる在宅仕事」へ先にお金を払わないでください
通勤に自信がないと、在宅ワークを探す人もいます。
自宅でできる仕事は選択肢の一つですが、仕事を始める前に教材費、登録料、機材代、サポート料などを求める募集には注意が必要です。
- 仕事内容より「誰でも高収入」を強調している
- 求人応募後、別の投資や副業へ誘導される
- 仕事のためとして高額な講座を契約させる
- 個人名義の口座へ先に振り込ませる
- 銀行口座、暗証番号、本人確認書類を送るよう求める
- 荷物を受け取り、別の場所へ転送するだけと言われる
こうした条件がある場合は、契約や送金を止めます。
すでに支払った、または契約してしまった場合は、募集画面、メッセージ、振込記録、契約書を消さずに残し、消費生活センターなどへ状況を伝えてください。
働き始めた最初の一か月は、「できたか」より「回復できたか」を見ます
採用された後、最初から周囲と同じ速さで動こうとすると、疲れを隠したまま無理を重ねることがあります。
最初の一か月は、次の変化を見てください。
- 仕事の前日に眠れない状態が続いていないか
- 勤務後の痛みや疲労が翌日まで残るか
- 食事や入浴、服薬がおろそかになっていないか
- 休日が回復だけで終わっていないか
- 勤務時間外の連絡や追加出勤が増えていないか
- 仕事を覚えるにつれ、負担が軽くなっているか
慣れるまで疲れることはあります。
ただ、三~四週間たっても生活が戻らないなら、続けるための調整が必要です。
勤務先には、限界になる前に具体的な変更を頼みます。
「仕事は続けたいのですが、三日連続勤務の後に体調が戻りません。来月から一日ずつ間を空けた勤務へ変えられないでしょうか」
「午後になると足の痛みが強くなります。休憩の位置を変えるか、勤務を一時間短くできるか相談したいです」
辞めるか我慢するかの二択にせず、曜日、時間、作業内容を一つずつ調整します。
今日見る求人は一件だけ。応募せず、通勤時間を測ります
求人を何十件も見比べると、条件が混ざり、かえって決めにくくなります。
今日は一件だけ、気になる求人を選んでください。
まだ応募はしません。
自宅から職場までの経路を調べ、実際に働く時間帯の所要時間を確認します。可能なら職場の近くまで行き、駅の階段、バスの本数、入口までの距離、周囲の休憩場所を見ます。
帰宅後、「この移動を週3回続けても生活が崩れないか」だけを考えます。
行けそうなら、翌日に仕事内容を確認する。難しければ、通勤時間を短くして探し直す。
仕事を決める必要はありません。まず、無理なく通える範囲を一つ確定するだけで、次に見る求人が選びやすくなります。


















