「安くしてもらった」と言う親の手元に、知らない端末が増えていた
久しぶりに実家へ行くと、親が新しいスマートフォンを使っていました。
機種変更をしたことは聞いていたものの、テーブルの上には、未開封の充電器、据置型のWi-Fiルーター、動画サービスの案内、何枚もの契約書が置かれています。
「毎月いくらになったの?」と尋ねても、返ってくるのは、
「前より安くなると言っていた」
「これは無料で付いてきた」
「難しいことは全部お店の人がやってくれた」
という答えです。
書類を見ると、通信料金のほかに端末の分割代、故障保証、遠隔サポート、セキュリティ、動画配信サービスなどが並んでいます。
家族としては、つい「分からないのに、どうして契約したの」と言いたくなるかもしれません。
けれど、親本人も、長い説明を一度で理解できないまま、何度も聞き返すことに遠慮し、「分かりました」と答えてしまった可能性があります。
今必要なのは、親を責めたり、スマートフォンを取り上げたりすることではありません。
親が何をしたくて店へ行き、何を契約し、これから総額でいくら払うのかを、一つずつ分けることです。
契約内容を理解できないことと、認知症はすぐ結びつけない
スマートフォンの契約には、端末購入、通信回線、通話、保証、オプション、割引、返却など、複数の条件が一度に出てきます。
専門用語を一度で覚えられないからといって、直ちに判断能力が失われているとは限りません。
| 親の様子 | 考えられる状態 | 家族の支え方 |
|---|---|---|
| 短い言葉で説明すると理解できる | 専門用語や説明の速さが負担になっている | 料金と条件を紙へ書き、内容を一つずつ伝える |
| 一つずつは分かるが、複数の案を比較できない | 選択肢が多すぎて判断しにくい | 候補を二つまでに減らし、毎月と総額で比べる |
| 契約内容は忘れるが、書面を見れば思い出せる | 記憶に残りにくく、契約後の管理が難しい | 契約カードを作り、請求を定期的に一緒に見る |
| 契約したこと自体を忘れ、同じ申込みを繰り返す | 金銭管理や判断する力に変化がある可能性 | スマホだけでなく生活全体の見守りへつなげる |
「分かった?」と聞くだけでは、多くの人が「分かった」と答えます。
代わりに、次のように尋ねます。
「毎月払うものを、お母さんの言葉で教えてくれる?」
確認したいのは、難しいサービス名を覚えているかではありません。
- 毎月いくら払うのか
- 何のための契約なのか
- いつまで支払いが続くのか
- 途中でやめたら、何の支払いが残るのか
この四つを本人なりに説明できるかを見ます。
すでに契約した後なら、スマホの設定より先に書類を集める
家族が契約内容に気づいたとき、最初にスマートフォンの設定画面を開き、不要そうなアプリを削除したくなるかもしれません。
しかし、アプリを消しても有料契約が解約されるとは限りません。
まず、次のものを一か所へ集めてください。
- 契約時にもらった書類一式
- 端末や付属品のレシート
- 端末の分割払いに関する書面
- 料金プランと通話オプションの書面
- 故障保証や店頭サポートの案内
- 端末返却プログラムの条件
- 下取りに出した端末の受付書
- 契約後に届いたメールやSMS
- 携帯電話会社の会員ページや公式アプリ
- 最初に発行された請求明細
紙の書類が少ない場合は、電子交付を選び、親のメールや会員ページへ契約書面が届いていることがあります。
見つからないときは、契約した店舗、契約日、親の電話番号を控え、本人と一緒に公式窓口へ書面の確認方法を尋ねます。
「スマホ代」を六つに分けると、高くなった理由が見えてくる
親が「月3,000円と聞いた」と話していても、その金額が通信プランだけを指していることがあります。
実際の毎月の請求は、次の六つに分けて見ます。
| 料金の種類 | 見る内容 |
|---|---|
| 通信プラン | 基本料金、データ容量、容量を超えた場合の扱い |
| 通話料金 | 従量課金、短時間かけ放題、完全かけ放題など |
| 端末代 | 本体価格、毎月の分割額、支払回数、残額 |
| 保証・サポート | 故障保証、交換費用、遠隔操作、店頭サポート |
| 有料オプション | 動画、音楽、セキュリティ、クラウド、留守番電話など |
| 割引・セット契約 | 家族、光回線、電気、カード払いなどによる値引き |
書類の中に月額料金が何か所も書かれている場合は、現在の請求額と、割引が終わった後の請求額を分けます。
親が聞いた「月3,000円」が、最初の数か月だけの金額なのか、端末代を含まない金額なのかを確かめてください。
端末代は、毎月の金額ではなく最後まで持った場合の総額で見る
店頭では、「端末代は月々数百円です」と説明されることがあります。
月々の金額が小さくても、端末本体の価格が小さいとは限りません。
| 端末について書くこと | 記入例 |
|---|---|
| 端末本体の販売価格 | 96,000円 |
| 毎月の分割支払額 | 2,000円 |
| 支払回数 | 48回 |
| 現在の残回数 | 45回 |
| 返却した場合に不要となる支払い | 条件を満たした場合のみ一部免除 |
| 返却しない場合の総支払額 | 96,000円 |
端末返却プログラムでは、決められた時期に端末を返し、一定の条件を満たすことで、その後の分割支払いが不要になる仕組みがあります。
しかし、「端末が無料でもらえる」という意味ではありません。
- いつまでに返却するのか
- 返却時に画面割れや故障があるとどうなるのか
- 返却しなかった場合は、あと何回支払うのか
- 次の機種変更をしなくても利用できるのか
- データの移行や端末初期化は誰が行うのか
まで書面で見ます。
親が返却期限を覚えて管理するのが難しい場合は、家族のカレンダーにも期限を記録しておきましょう。
「実質無料」と言われたら、無料になる物と残る支払いを分ける
スマートフォンの契約と同時に、据置型Wi-Fiルーターやタブレットを勧められることがあります。
「割引が入るので実質無料です」と言われても、機器代以外に通信料金が必要な場合があります。
また、一定期間利用することで機器代と同程度の割引を受けられる仕組みでは、途中で解約すると機器代の残額が残ることがあります。
| 店頭での言葉 | 続けて聞くこと |
|---|---|
| 実質無料です | 何が無料なのか。通信料や事務手数料は別にかかるか |
| 毎月割引されます | 何か月間続くか。途中で解約したら割引はどうなるか |
| 自宅の通信が速くなります | 今ある回線と重複しないか。新たな回線契約が必要か |
| 一緒に持った方がお得です | 端末ごとの本体価格と月額はいくらか |
| 使わなければ解約できます | 解約後に残る機器代と返却条件は何か |
親の家にすでに固定回線やWi-Fiがあるなら、新しい通信機器が本当に必要かを先に見ます。
国民生活センターは、据置型Wi-Fiルーターの「実質無料」をめぐり、通信料金や途中解約時の機器残債を理解していなかった高齢者の相談について注意を呼びかけています。
オプションは、名称ではなく親が使う場面で判断する
契約書に知らないサービス名が並んでいると、家族はすべて不要だと感じるかもしれません。
しかし、親の生活によっては、故障保証や迷惑電話対策、店頭サポートが役立つこともあります。
| オプション | 残す判断材料 | 外す前に見ること |
|---|---|---|
| 故障保証 | 端末を落としやすい、家族がすぐ買い替えを手伝えない | 月額、修理・交換時の負担額、対象外となる故障 |
| 店頭・遠隔サポート | 家族が遠方で、親が店舗へ相談することが多い | 何を頼めるか、予約の要否、1回ごとの料金 |
| 迷惑電話対策 | 知らない電話に出てしまう、不審な勧誘が多い | 端末や回線の標準機能で代用できないか |
| セキュリティサービス | どの機能が提供されるか理解でき、実際に利用する | 端末標準機能との違い、解約方法 |
| 写真保存サービス | 写真を多く撮り、保存方法が親子で決まっている | 容量、料金、解約後の写真の扱い |
| 動画・音楽サービス | 親が自分で開いて日常的に利用する | 無料期間の終了日と、その後の月額 |
判断の基準は、「無料だから付ける」ではありません。
無料期間が終わって有料になっても、親が使うかどうかです。
利用する場面を誰も説明できないオプションは、解約方法と影響を聞いたうえで見直す候補にします。
契約内容は、一枚に収まらなければその日は決めない
契約前でも契約後でも、次の表を使って内容をまとめられます。
| 確認項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 契約者名 | |
| 通信プラン | 月 円 |
| 通話オプション | 月 円 |
| 端末本体価格 | 円 |
| 端末代の毎月額・残り回数 | 月 円・残り 回 |
| 保証・サポート | 月 円 |
| その他の有料サービス | 月 円 |
| 現在の月額合計 | 月 円 |
| 割引終了後の月額合計 | 月 円 |
| 無料期間が終わる日 | 年 月 日 |
| 端末を返す期限 | 年 月 日 |
| 途中解約時に残る費用 |
店舗では、
「親本人が後から分かるように、現在の月額、割引終了後の月額、端末を返さなかった場合の総額を、この一枚に書いてください」
と頼んで構いません。
店員から説明を受けても表が埋まらない場合は、親だけでなく家族も総額を理解できていません。その日は契約せず、見積書を持ち帰ります。
店へ行く前に、「使いたいこと」と「払える上限」を決める
「高齢者におすすめの機種をお願いします」とだけ伝えると、店舗側は幅広い商品やサービスを提案します。
店へ行く前に、親がしたいことを五つ以内に絞ってください。
- 家族へ電話をかける
- 家族からの電話に出る
- メッセージや写真を見る
- 病院や店を検索する
- 地図や乗換案内を使う
- 災害情報を見る
- 動画を見る
- 買い物や銀行のアプリを使う
次に、端末代を含めた毎月の上限を決めます。
たとえば、
- 使う機能:電話、家族との写真、地図
- 毎月の上限:端末代を含めて5,000円
- 希望しないもの:光回線、電気、動画サービス、追加端末
という形です。
通話が中心なのに大容量の通信プランを選ぶ必要はないかもしれません。
反対に、店頭サポートが必要な親へ、手続きがオンライン中心の安いプランを選ぶと、困ったときに家族の負担が増えることがあります。
料金だけでなく、誰が契約後の操作や問い合わせを支えるのかまで含めて選びます。
店頭では、親本人に同じ操作を二回してもらう
文字が大きい、初心者向けと表示されている端末でも、親が使いやすいとは限りません。
家族が代わりに操作せず、親本人に次の動きを試してもらいます。
- 画面を点ける
- 家族の名前を探して電話をかける
- かかってきた電話に出る
- 通話を終了する
- 音量を上げ下げする
- 写真を開く
- ホーム画面へ戻る
- 充電器を接続する
一度できたかではなく、同じ操作を二回続けてできるかを見ます。
途中で止まったときは、すぐ家族が端末を取らず、どの画面や表示で迷ったかを見てください。
文字、ボタンの位置、指の動かし方、音、充電方法など、親にとって難しい部分が分かります。
家族が付き添っても、親に代わってすべて答えない
説明を早く終わらせるため、店員から親へ質問されても、家族が先に答えてしまうことがあります。
それでは、親が何を理解し、どこで分からなくなったのかが見えません。
| 店員からの質問 | 家族が避けたい答え方 | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 普段どのくらい電話しますか | 「母はほとんど使いません」 | 親本人に答えてもらい、利用明細で補う |
| このプランでよいですか | 「それでお願いします」 | 親へ月額と内容を短く説明し直してもらう |
| 保証を付けますか | 「心配なので全部付けます」 | 保証対象、交換費用、月額を聞いて親と選ぶ |
| このサービスは無料です | 「無料なら付けてください」 | 有料になる日、解約方法、その後の月額を聞く |
| 今なら今日中に契約できます | 「せっかく来たので決めます」 | 見積書を持ち帰り、翌日以降に返事をする |
家族の役割は、親の代わりに契約することではありません。
説明の中から、毎月払う物、やめたときに残る物、親が実際に使う物を分け、本人が判断できる形にすることです。
最初に「今日は見積もりだけ」と伝えても失礼ではありません
店舗を予約し、親を連れて出かけると、その日に契約しなければ申し訳ないように感じることがあります。
しかし、説明が一時間以上続き、親が疲れている状態では、理解して選ぶことが難しくなります。
受付時に、次のように伝えます。
「親本人が内容を理解して選べるようにしたいので、今日は見積もりと説明だけをお願いします。契約する場合も、一度持ち帰ってから返事をします」
途中で親が同じ質問を繰り返す、話を聞けなくなる、早く帰りたいと言う場合は、その日は終えて構いません。
契約しないで帰ることも、親の生活を守るための選択です。
名義を子どもへ変えれば解決するとは限らない
親が契約を理解しづらいなら、子どもの名義にした方が簡単だと思うかもしれません。
ただし、子どもが契約者になると、料金、端末の分割代、変更や解約などに関する責任も子どもが負います。
親が一人で店舗へ行っても、契約者本人ではないため手続きできず、毎回子どもの対応が必要になる場合があります。
一方、親名義の契約では、家族が問い合わせても本人確認や委任状を求められることがあります。
契約前に、携帯電話会社へ次の点を聞きます。
- 本人と家族が一緒に行く場合の必要書類
- 家族だけでできる手続きの範囲
- 委任状が必要になる手続き
- 契約者と支払者を別にできるか
- 契約者が来店できなくなった場合の方法
- 家族へ請求額を通知する仕組みがあるか
名義は、その日の手続きの楽さだけでなく、数年後に誰が管理するかを考えて決めてください。
契約した日に、親子で見る「契約カード」を作る
契約書を厚い封筒へ入れてしまうと、無料期間や返却期限を忘れやすくなります。
ノートの一ページなどに、次の内容をまとめてください。
- 携帯電話会社と契約店舗
- 契約者名と電話番号
- 毎月の支払い合計
- 割引終了後の支払い合計
- 端末代の支払い終了月
- 無料オプションが有料になる日
- 端末返却の期限
- 故障時の問い合わせ先
- 次に家族が請求を見る日
暗証番号やパスワードを、誰でも見える紙にそのまま書くのは避けます。
契約内容のメモと、認証情報の保管場所は分けてください。
最初の請求は、契約時の見積もりと横に並べる
契約後、最初の請求が出たら、親子で一度見ます。
初月には事務手数料、日割り料金、以前の契約の料金などが入り、通常月と異なることがあります。
それでも、知らない項目を「最初だけだろう」と放置しないでください。
| 請求で見る場所 | 確かめること |
|---|---|
| 料金プラン | 見積書に書かれたプランと一致しているか |
| データ使用量 | 契約容量に対して多すぎないか、余りすぎていないか |
| 通話料 | かけ放題の対象外となった通話がないか |
| 端末代 | 毎月の分割額と残回数が説明どおりか |
| オプション | 本人が使っていない有料契約がないか |
| 割引 | 予定していた割引が実際に適用されているか |
| 別の会社からの請求 | 店舗で同時契約したサービスが別請求になっていないか |
無料オプションが有料になる前と、端末返却の期限が近づいた時期にも、もう一度請求を見ます。
不要な契約に気づいたら、まず契約日と書面受領日を見る
希望していないプランや端末を契約した、説明された金額と違う、電波が十分入らないといった場合は、契約書を受け取った日を確認し、早めに契約先へ申し出ます。
電気通信サービスには、一定の対象契約について、契約書面を受け取った日などから8日間、初期契約解除や確認措置を利用できる可能性があります。
ただし、一般的な買い物のクーリング・オフと同じ仕組みではなく、対象や解除できる範囲は契約によって異なります。
- 回線契約を解除できても端末代が残る場合がある
- 確認措置では、説明不足や通信状況など一定の条件がある
- 利用した通信料や事務手数料などを支払う場合がある
- 別会社のオプションは個別の解約が必要な場合がある
- 契約書面に申出先や期限が記載されている
「8日以内だから全部返せる」と自己判断せず、契約書面を手元に置いて、携帯電話会社へ対象となる手続きを尋ねます。
店舗へ伝えるときは、「高齢だから」より契約の食い違いを示す
希望と違う契約が見つかると、家族は強い言葉で抗議したくなるかもしれません。
最初は、親の希望と実際の契約を分けて伝えます。
| 伝える内容 | 会話の例 |
|---|---|
| 親が店へ行った目的 | 「電話が使いにくくなったため、機種変更だけを希望していました」 |
| 実際に契約したもの | 「スマホのほか、Wi-Fiルーターと五つの月額サービスがあります」 |
| 理解できていない条件 | 「本人は端末の返却期限や、返さない場合の残額を説明できません」 |
| 説明との食い違い | 「無料と聞いていましたが、別途通信料金が請求されています」 |
| 求めること | 「契約時の説明内容と、解除・変更できる契約を確認したいです」 |
契約時に親が聞いた言葉や、書き留めたメモがあれば持参します。
家族の推測と、本人が実際に聞いた説明は分けて伝えてください。
携帯電話会社で解決しないときは、消費者ホットライン188へつなぐ
不要な端末やオプションを契約していた、本人の希望と大きく異なる、販売時の説明に納得できないという場合は、早めに消費生活センターへ状況を伝えます。
消費者ホットライン188では、郵便番号などを基に、近くの消費生活センターや相談窓口へ案内されます。
電話前に、次の資料を用意します。
- 契約書面
- 見積書
- 請求明細
- 端末と付属品のレシート
- 店舗から届いたメールやSMS
- 親が聞いた説明のメモ
- 店舗へ申し出た日と回答内容
相談時は、
「70代の母が機種変更へ行き、希望していない通信機器とオプションを契約していました。本人は総額と解約条件を理解していません。契約日は○月○日で、店舗へは○日に申し出ています」
と伝えます。
国民生活センターは、不要なオプションを付けられていた携帯電話契約について、契約書と月々の支払額をその場で確かめ、不要な契約に気づいた場合は速やかに事業者や消費生活センターへ申し出るよう案内しています。
親へは「もう一人で店へ行かないで」ではなく、次の約束を作る
トラブルを見つけると、今後は親を一人で店舗へ行かせたくないと思うでしょう。
ただ、頭ごなしに禁止すると、親は自分のことを何も決められないと感じたり、次の契約を家族へ隠したりすることがあります。
| 避けたい言い方 | 伝え直すなら |
|---|---|
| 「何も分からないのに契約しないで」 | 「料金が複雑だから、次は一枚に書いてから一緒に決めよう」 |
| 「店員にだまされたんじゃないの」 | 「希望した内容と契約が合っているか、一緒に見よう」 |
| 「スマホは解約する」 | 「電話や写真は残して、使わない契約だけ外そう」 |
| 「これからは全部私が管理する」 | 「自分で選べるように、数字のところを私が手伝うね」 |
次回からの約束は、四つほどで十分です。
- その場では契約しない
- 毎月と総額を書いた見積書をもらう
- 家族へ一度見せてから返事をする
- 電話や訪問で勧められた契約は、その場で承諾しない
親の自尊心を守りながら、判断する時間を確保する約束です。
契約以外でもお金の失敗が増えているなら、スマホだけの問題にしない
スマホの契約内容を忘れるだけでなく、次のような変化が重なっている場合があります。
- 契約したこと自体を覚えていない
- 同じ商品やサービスを何度も申し込む
- 請求書を捨てる、または隠す
- 暗証番号を知らない人へ伝える
- 不審な相手へ送金しようとする
- 以前より通帳や現金の管理が難しくなった
この場合は、携帯電話会社への対応だけで終わらせず、親が住む地域の地域包括支援センターへ生活全体の変化を伝える方法があります。
地域包括支援センターは、高齢者の総合相談や権利擁護などを担う市区町村の窓口です。
認知症などにより判断する力が不十分となり、不利益な契約を繰り返す心配がある場合は、状況に応じて成年後見制度などの支援が検討されることもあります。
ただし、一度スマホ契約を理解できなかったという理由だけで利用を決める制度ではありません。親の生活状況、本人の希望、ほかの金銭管理の様子を含め、地域の福祉・権利擁護窓口で個別に考えます。
契約を見直した後は、月に一度だけ請求を一緒に見る
契約を正しく整えても、知らない電話、SMS、広告から新しい契約が始まることがあります。
親の了承を得ながら、次の仕組みを作っておくと見守りやすくなります。
- 家族と主要な連絡先を分かりやすい場所へ登録する
- 迷惑電話・迷惑SMS対策の設定を確かめる
- アプリへカード情報を入れる前に家族へ聞く約束をする
- SMSのリンクからIDやカード情報を入力しないと伝える
- 知らない相手に画面共有や遠隔操作を許可しない
- 月に一度だけ、請求明細を親子で見る
毎日監視する必要はありません。
前月より急に高くなった項目や、親が使っていない新しい契約がないかを見るだけでも、早く気づけます。
今日することは、親のスマホを取り上げることではありません
書類が多すぎて、どこから見ればよいか分からない場合は、今日は三つだけ調べてください。
- 現在の毎月の支払合計
- 端末代の残額と残り回数
- 月額料金が発生しているオプションの数
その数字を紙に書いたら、親へ次のように伝えます。
「スマホをやめさせたいわけではないよ。電話と写真は使い続けられるようにして、分からない料金だけ一緒に見たい」
親が契約内容を理解できないとき、家族が全部決めれば、一時的には早く片づきます。
けれど、親が自分で電話を使い、困ったときに助けを求めるには、本人にも最低限の内容が分かる形を残す必要があります。
使いたいことを絞る。毎月と総額を一枚にする。その場で契約せず持ち帰る。最初の請求を一緒に見る。
まず一つできれば、次の機種変更は、今回より落ち着いて進められます。
出典・確認先メモ
- 国民生活センター「不要なオプションが付けられていた!?携帯電話の契約は慎重に」:不要なサービス、契約書、月額料金を確かめる際の参考。
- 国民生活センター「携帯・スマホの契約―高齢者が希望していない端末やプランを勧められた」:販売方法に問題が疑われる場合の相談先。
- 国民生活センター「据置型Wi-Fiルーターが実質無料?契約内容をよく確認」:通信料、割引条件、途中解約時の端末残債に関する確認先。
- 国民生活センター「乗り換えた方が安いと言われ契約したが高額」:初期契約解除・確認措置と8日間の考え方に関する確認先。
- 消費者庁「消費者ホットライン188」:地域の消費生活センター・相談窓口の案内。
- 厚生労働省「地域包括支援センターについて」:高齢者の総合相談、権利擁護に関する確認先。
- 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」:判断能力が不十分な人の契約や財産管理を支援する制度の確認先。


















