通帳の残高が増えた翌日から、いくつもの使い道が頭に浮かびます
長年勤めた会社を退職し、口座へ退職金が振り込まれました。
見慣れない金額が通帳に並ぶと、ほっとする一方で、急に判断を迫られているような気持ちになります。
古くなった車を買い替えたい。家の水回りも直したい。元気なうちに旅行へ行きたい。住宅ローンを返してしまえば、毎月の負担も軽くなります。
銀行からは、退職金向けの定期預金や投資商品の案内が届くかもしれません。
ところが、何かに使おうとすると、今度は別の心配が出てきます。
「一度使い始めたら、思ったより早くなくなるのではないか」
「年金だけで暮らせなかったら、このお金を何年もたせればよいのか」
「使わずに残したまま、自分が楽しめる時期を過ぎるのも嫌だ」
「夫婦のどちらかが介護になったら、いくら必要か分からない」
退職金が入った直後は、安心と不安が同時にやってきます。
この時期に必要なのは、将来を正確に当てることではありません。
使ってよいお金と、まだ使い道を決めないお金を分けることです。
振り込まれた金額を、そのまま「自由に使えるお金」と考えません
最初に見るのは、退職金の額ではなく、退職後に手元へ残る資産の全体です。
| 一覧にするもの | 確かめる内容 |
|---|---|
| 退職金 | 振込額、源泉徴収された税額、退職所得の源泉徴収票 |
| 預貯金 | 普通預金、定期預金、生活費用口座の残高 |
| 企業年金 | 一時金か年金か、支給開始時期と見込額 |
| 公的年金 | 受給開始年齢、本人と配偶者の見込額 |
| 確定拠出年金・iDeCo | 受取時期、一時金・年金の選択肢 |
| 金融商品 | 現在の評価額、元本保証の有無、換金できる時期 |
| 負債 | 住宅ローン、自動車ローン、カードの分割払い等 |
一般的な退職手当の退職所得は、収入金額から勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引き、その残額の2分の1を基に計算します。ただし、勤続年数が短い場合や役員退職金などには異なる扱いがあり、同じ年に複数の退職手当を受け取る場合も計算が変わることがあります。
退職金と確定拠出年金等の一時金を受け取る人は、「どちらも退職所得だから同じ」と自己判断せず、受取年や勤務・加入期間を勤務先や税務の窓口へ伝えてください。
まず、税金を差し引いた実際の受取額と、ほかの老後資金を一枚にまとめます。
退職後の生活費は、「今の支出」から仕事に関する費用だけを引いて終わりではありません
退職すれば、通勤費や仕事着、外食が減ることがあります。
その一方で、家にいる時間が増えて光熱費が上がる、平日の外出や趣味が増える、車を使う回数が増えることもあります。
| 退職後に減りやすい支出 | 退職後に増える可能性がある支出 |
|---|---|
| 通勤費 | 自宅の電気・冷暖房費 |
| 仕事着・クリーニング | 趣味・旅行・交際費 |
| 職場での昼食・飲み会 | 通院・薬・健康管理費 |
| 仕事上の付き合い | 住宅修繕・家電交換 |
| 現役中の積立 | 親の介護・子どもや孫への援助 |
退職前の家計簿があるなら、直近一年分を使います。
家計簿がなければ、通帳やカード明細から、少なくとも次の費用を月額へ直してください。
- 住居費
- 食費・日用品
- 光熱費・通信費
- 保険料
- 車の維持費
- 医療費
- 趣味・旅行・交際費
- 家族への援助
- 税金や年払い費用の月割額
節約後の理想額ではなく、現在の暮らしに近い金額を出します。
退職金の取り崩し額は、年金との差額から考えます
「退職金が2,000万円あるから、毎月10万円使ってよい」と総額だけで考えると、何年後に不足するかが見えません。
先に、毎月の生活費から、年金やほかの定期収入を差し引きます。
毎月の生活費 - 毎月入る年金・給与等 = 退職金などで補う不足額
たとえば、夫婦の生活費が月27万円、手取りの年金が月21万円なら、毎月の不足は6万円です。
年間では72万円になります。
| 不足を補う期間 | 単純計算による必要額 |
|---|---|
| 5年間 | 360万円 |
| 10年間 | 720万円 |
| 20年間 | 1,440万円 |
実際には、物価、医療・介護、住宅修繕、夫婦の年金額の変化などがあるため、この計算だけで将来を確定することはできません。
それでも、「何となく毎月引き出す」状態から、生活費として必要な取り崩し額を見える形にできます。
年金見込額は、手元の古い通知だけで決めません
まだ年金を受け取っていない人は、受給開始後の収入をできるだけ具体的にします。
日本年金機構の「ねんきんネット」では、現在の加入条件を前提にした試算だけでなく、今後の働き方、収入見込み、就業期間、年金を受け取り始める年齢などを変えた試算ができます。試算結果は目安であり、共済加入歴や加給年金などによって実際の金額と異なる場合があります。
| 年金について見ること | 理由 |
|---|---|
| 本人の見込額 | 退職金で補う毎月の不足を出すため |
| 配偶者の見込額 | 世帯全体の収入を知るため |
| 受給開始時期 | 年金開始までの空白期間を計算するため |
| 働き続けた場合 | 再雇用や短時間勤務の影響を比べるため |
| 夫婦の一方が亡くなった場合 | 世帯収入が変わる可能性を考えるため |
夫婦二人分の年金が続く前提だけで、退職金を使い切る計画にしないようにします。
退職金は、三つの箱へ分けると使い道が見えます
| 箱 | 入れるお金 | 使い方 |
|---|---|---|
| 毎月の不足を埋める箱 | 年金開始までの生活費、年金だけでは足りない分 | 毎月決めた額だけ生活口座へ移す |
| 近い将来の支出に備える箱 | 住宅修繕、車、医療、介護、税金、家電等 | 目的ごとに予定額を分け、別の用途に使わない |
| 長く残す箱 | 十年以上先にも使う可能性がある資金 | すぐ使わず、預け先や運用方法を時間をかけて考える |
退職金が入った口座から、その都度生活費を引き出すと、どの目的にいくら使ったのか分からなくなります。
三つの箱は、必ず三つの銀行口座を作るという意味ではありません。
通帳を分ける、定期預金へ移す、家計表の中で色分けするなど、自分が混同しない方法で構いません。
1,800万円を受け取った場合の分け方を考えてみます
次は、考え方をつかむための一例です。
退職金の手取りが1,800万円で、夫婦の毎月の不足が6万円、年金受給開始まで二年あるとします。
| 使い道 | 仮に分ける金額 | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 年金開始までの不足 | 144万円 | 月6万円×24か月 |
| 年金開始後5年分の不足 | 360万円 | 月6万円×60か月 |
| 住宅修繕 | 200万円 | 外壁・給湯器等の予定額 |
| 医療・介護等の予備費 | 200万円 | 生活費と分けて保有 |
| 車・家電等 | 100万円 | 買替えの優先順位を決める |
| 旅行・楽しみ | 100万円 | 数年間の予算として分ける |
| 当面使い道を決めない資金 | 696万円 | 急いで運用・贈与・返済に回さない |
この金額が誰にでも適切という意味ではありません。
重要なのは、退職金1,800万円を一つの大きな財布として見ないことです。
取り崩しは、大きな口座から必要なときに下ろす方法にしません
生活費の不足を退職金で補う場合は、自分で作る「毎月の給与」のように扱います。
毎月25日に、退職金用の口座から生活口座へ6万円を移す。
生活費が余った月も、翌月の引出額は増やさない。
不足した月は、理由を見てから追加で移す。
| 取り崩し方法 | 特徴 |
|---|---|
| 毎月定額を移す | 家計管理がしやすく、日常的な使いすぎを抑えやすい |
| 年に一度まとめて移す | 手間は少ないが、生活口座に多額があると使いやすくなる |
| 不足したときだけ下ろす | 節約できる場合もあるが、使途と残額を把握しにくい |
| 資産残高の一定割合を使う | 残高に応じて支出を調整できるが、毎年使える額が変動する |
家計を安定させたい人は、まず毎月の不足額を定額で移す方法から始めると、残高の減り方を確認しやすくなります。
毎月の取り崩し額に、旅行や家電を混ぜないようにします
毎月6万円と決めても、旅行代、車検、冷蔵庫の買替えまで同じ金額から出すと、生活費の不足が大きく見えます。
| 毎月の取り崩しに入れるもの | 別枠にするもの |
|---|---|
| 食費・日用品の不足 | 住宅修繕 |
| 光熱費・通信費 | 自動車購入・車検 |
| 通常の医療費 | まとまった入院費 |
| 通常の交際費 | 海外旅行・記念旅行 |
| 日常の交通費 | 家電・家具の買替え |
| 毎月払う保険料 | 子ども・孫へのまとまった援助 |
特別支出は、毎月の生活費と分けて、年間の上限を決めます。
年に一度の費用は、「予想外の出費」にしないようにします
固定資産税、自動車税、車検、保険料、冠婚葬祭などは、毎月は発生しません。
しかし、時期が分からない支出ではありません。
| 年払い・不定期の費用 | 準備方法 |
|---|---|
| 税金 | 前年の金額を基に、月割りで確保する |
| 車検・自動車保険 | 次回時期と概算額を書く |
| 住宅修繕 | 設備ごとの使用年数と見積額を調べる |
| 家電 | 冷蔵庫・エアコン等の買替え候補を一覧にする |
| 冠婚葬祭 | 年間予算を設け、生活費と分ける |
| 旅行 | 旅行回数と一回当たりの予算を先に決める |
これらを「臨時だから退職金から出す」と繰り返すと、取り崩し額を把握できません。
退職直後の大きな買い物には、待つ期間を作ります
退職金が入る時期に合わせ、車、住宅設備、金融商品などの案内が届くことがあります。
本人も「長年働いた区切りだから」と、気持ちが大きくなりやすい時期です。
すでに必要性と予算が決まっている支出を除き、次のルールを置きます。
100万円を超える支出は、その日に契約しない。
見積書を持ち帰り、夫婦で目的と総額を確かめる。
退職金以外の預貯金でも払える内容かを考える。
一週間後にも必要だと思えたら、もう一度検討する。
「退職金があるから払える」と「その支出が今後の生活に必要」は別です。
住宅ローンは、退職金で全額返せば必ず安心とは限りません
退職後も住宅ローンが残っていると、完済して身軽になりたいと感じます。
一方で、退職金の大部分を返済へ使うと、手元の現金が少なくなります。
| 繰上返済前に見ること | 理由 |
|---|---|
| ローン残高 | 退職金のうち何割を使うことになるか |
| 金利と残り期間 | 返済で減らせる利息を把握するため |
| 毎月返済額 | 年金収入で払い続けられるかを見るため |
| 繰上返済手数料 | 返済方法による費用を知るため |
| 返済後の現金 | 医療・介護・修繕へ使える額が残るか |
| 今後の収入 | 再雇用や配偶者収入がいつまで続くか |
完済、部分的な繰上返済、現在の返済を続ける方法を並べ、返済後に残る現金まで比べます。
子どもや孫への援助は、退職金の残りからではなく上限を先に決めます
子どもの住宅購入、孫の進学、結婚など、退職時期と家族の大きな支出が重なることがあります。
「困っているなら助けたい」という気持ちは自然です。
ただ、援助した後に本人の医療・介護費が不足すれば、別の形で子どもへ負担をかける可能性があります。
| 援助前に考えること | 聞いておきたい内容 |
|---|---|
| 自分たちの生活費 | 年金だけで足りない分を確保できているか |
| 住宅・医療・介護 | 今後必要になる予備費を残せるか |
| 援助の目的 | なぜ必要で、ほかの方法はないか |
| 金額 | 今回限りか、今後も続く可能性があるか |
| 返済 | 贈与なのか貸付けなのかを曖昧にしない |
| きょうだい間の扱い | ほかの子どもへどのように伝えるか |
大きな金額を渡す場合は、贈与税や相続への影響が生じることがあるため、送金前に税務署や税理士等へ個別にご確認ください。
退職金で投資を始めるなら、使う予定のあるお金を先に外します
まとまったお金を普通預金へ置いたままにすると、もったいないと言われることがあります。
しかし、投資信託、株式、外貨建て商品などには値動きがあり、必要なときに元本を下回っている可能性があります。
金融機関は、投資商品を勧める際、顧客の知識・経験・財産状況や契約目的を踏まえた勧誘を行い、投資判断に必要な情報を説明する必要があります。それでも、最終的な損益は本人が負うため、説明を理解できない商品を契約しないことが基本です。
| 運用へ回す前に外すお金 | 例 |
|---|---|
| 年金開始までの生活費 | 二~三年分の毎月の不足 |
| 数年以内に使うお金 | 住宅修繕、車、医療、家電等 |
| 緊急時の予備費 | 収入減、介護、災害等への備え |
| 近く返す負債 | 返済時期が決まったローン等 |
そのうえで残った、長期間使う予定のない部分について、元本割れを受け入れられる金額かを考えます。
「退職金限定」「今日まで」と言われても、その日に契約しません
退職直後は、金融機関だけでなく、知人やSNSを通じて投資を勧められることがあります。
- 元本保証で高い利回りが得られる
- 必ず値上がりする
- 金融庁が認めた商品である
- 今だけ特別な枠がある
- 家族には話さない方がよい
- 損を取り戻すため、別の商品へ追加投資する
- 個人名義の口座へ振り込む
金融庁は、「必ずもうかる」「元本を保証する」「後で高く買い取る」などの勧誘について、詐欺的商法の可能性が高いとして取引を見合わせるよう注意を呼びかけています。登録業者であっても信用力や利益が保証されるわけではなく、取引内容を理解できない状態で契約しないよう案内しています。
退職金を狙った勧誘かどうかを見抜こうとするより、「その日には契約しない」というルールを置く方が実行しやすくなります。
現金で置く場合も、一つの金融機関へまとめる前に仕組みを知ります
当面使わない退職金を、普通預金や定期預金へ置く人もいます。
預金保険制度では、利息の付く普通預金や定期預金などの一般預金は、預金者一人につき一金融機関ごとに合算し、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。一定の条件を満たす決済用預金は全額保護されます。
1,000万円を超える預金がある場合は、金融機関を分けることだけでなく、次の点も見てください。
- 同じ金融機関の別支店へ分けても合算される
- 商品が預金保険の対象か
- 定期預金の満期と中途解約条件
- すぐ使う生活費を引き出せる状態か
- 夫婦の名義を実態なく移していないか
金利だけで預け先を決めず、使う時期と引き出しやすさも比べます。
退職金用の口座から、カードや日常の引き落としを外します
退職金が入った口座を、日々の買い物や公共料金の引き落としに使い続けると、残高の減り方が見えにくくなります。
| 口座の役割 | 使い方 |
|---|---|
| 生活口座 | 年金、給与、毎月の生活費を出し入れする |
| 退職金の管理口座 | 毎月決めた額と、承認した特別支出だけを移す |
| 特別支出の口座 | 住宅、車、医療、旅行等の予定額を分ける |
退職金用口座のキャッシュカードを持ち歩かない、スマートフォン決済へ登録しないなど、すぐ使えない小さな工夫も役立ちます。
夫婦で「使ってよい額」の感覚が違うと、残高より先に関係が減っていきます
一方は、「長く働いたのだから、今こそ楽しみたい」と考える。
もう一方は、「介護が始まるまで一円でも多く残したい」と考える。
どちらも間違いではありません。
| 話すこと | 具体的な問い |
|---|---|
| 生活費 | 年金だけでは毎月いくら不足するか |
| 住宅 | 今後十年で直す可能性がある場所はどこか |
| 健康 | 医療・介護用に最低いくら残したいか |
| 楽しみ | 元気なうちに何へいくら使いたいか |
| 家族への援助 | 子どもや孫へどこまで出すか |
| 残したいお金 | 相続のためか、自分たちの不安を減らすためか |
退職金を使わず残すことだけが目的ではないと思っている。
ただ、旅行や車へ使う前に、毎月の不足と住宅修繕、医療・介護の分を分けたい。
二人で使う楽しみの予算も、最初から別に取っておこう。
夫婦それぞれが自由に使える金額も決めます
退職金のすべてを夫婦会議で決める形にすると、小さな買い物まで許可を求めるようになり、息苦しくなることがあります。
| お金の区分 | ルール例 |
|---|---|
| 毎月の生活費 | 世帯の口座から支払う |
| 夫婦の楽しみ | 年間予算を決めて旅行や外食へ使う |
| 各自の自由費 | 月額または年額を決め、用途を細かく問わない |
| 大きな支出 | 一定額以上は二人で決める |
「10万円を超える支出は二人で話す」など、金額の境界を決めておくと、毎回の言い争いを減らせます。
取り崩し額は、決めたら一生固定するものではありません
物価、年金、健康、家族の状況は変わります。
毎月の額を決めると同時に、見直す時期も決めてください。
| 見直す時期 | 見る内容 |
|---|---|
| 半年後 | 退職後の実際の生活費と、予想との差 |
| 年に一度 | 年間支出、残高、翌年の大きな予定 |
| 年金受給開始時 | 実際の手取り年金と毎月の不足 |
| 再雇用終了時 | 給与がなくなった後の家計 |
| 病気・介護が始まった時 | 医療・介護費、住み替え、家族の支援 |
| 配偶者が亡くなった時 | 年金、生活費、住居の維持費 |
| 大きな相場変動時 | 運用資産から予定どおり取り崩せるか |
毎月の不足が6万円から8万円へ増えた場合は、「予定より使った」と責めるのではなく、どの支出が変わったかを見ます。
残高だけでなく、「あと何年分あるか」を書きます
退職金の残高が1,000万円と分かっても、多いのか少ないのか判断しにくいものです。
毎年の取り崩し額で割り、何年分に相当するかを見ます。
現在の取り崩し用資金 ÷ 年間の取り崩し額 = 単純計算で何年分あるか
取り崩し用資金が900万円、年間の不足が72万円なら、単純計算では12年半分です。
運用益、物価上昇、医療・介護、大きな支出を反映していないため、実際の期間を保証する数字ではありません。
それでも、「残高が減って怖い」という感覚を、「現在の支出なら何年分ある」という生活の数字へ変えられます。
減り方が予定より早いときは、生活全体を一度に切り詰めません
退職金の残高が想定より早く減っていると気づくと、旅行も外食も全部やめたくなります。
まず、予定との差を三つへ分けます。
| 減った理由 | 見直し方 |
|---|---|
| 毎月の生活費が高い | 住居、保険、通信、車など継続する支出から見る |
| 特別支出が重なった | 一時的か、今後も繰り返すかを分ける |
| 家族への援助が増えた | 金額と終了時期を家族で話す |
| 投資資産が下がった | 生活資金を売却せずに済む現金があるかを見る |
| 収入が想定より少ない | 年金額、再雇用、短時間仕事等を見直す |
月一万円の固定費を見直せれば、年間では12万円、十年では単純計算で120万円の違いになります。
楽しみをすべて削る前に、長く続く支出を一つずつ見ます。
使うことが怖い人は、「楽しむための予算」を先に分けます
退職金が減るのが怖く、一円も使えない人もいます。
老後資金を守ることは必要ですが、健康で動ける時期にしかできないこともあります。
| 楽しみの予算で決めること | 例 |
|---|---|
| 使う期間 | 退職後の最初の5年間 |
| 総額 | 5年間で100万円 |
| 目的 | 旅行、趣味、家族との食事 |
| 一回の上限 | 旅行一回20万円まで |
| 見直す日 | 毎年の結婚記念日 |
生活費と医療・介護の備えを確保した後なら、楽しむために分けたお金を使うたびに罪悪感を持つ必要はありません。
子どもには、残高ではなく管理のルールを伝えます
高齢の親が退職金を持っていると、子どもが投資詐欺や使いすぎを心配することがあります。
一方で、親は財産を監視されているように感じるかもしれません。
退職金の総額を毎回話すつもりはないけれど、生活費は毎月決めた額だけ移している。
100万円を超える契約はその日に決めず、必ず持ち帰ることにした。
投資商品を勧められたときは、契約前に家族へ一度伝えるよ。
親が自分で管理できる間は本人の意思を尊重しながら、契約を急かされた場合の連絡先だけ共有します。
誰かに見てもらう場合は、商品より家計を先に見せます
退職金の相談で、最初から「どの商品を買えばよいか」と聞くと、生活に必要なお金まで運用の話へ流れやすくなります。
相談時には、次の資料を持参します。
- 退職金の源泉徴収票
- 本人と配偶者の年金見込額
- 預貯金・金融商品の一覧
- 住宅ローンなどの残高
- 直近一年の生活費
- 住宅修繕、車、介護等の予定
- 子どもへの援助予定
J-FLECでは、家計管理、生活設計、年金、保険、資産形成などに関する個別相談の無料体験を提供しています。相談では個別商品の提案・推奨は行わないと案内されています。利用方法や受付状況は公式案内をご確認ください。
税金の計算、相続、住宅名義など、個別の法律・税務判断が必要な内容は、それぞれの専門窓口へ分けて確認します。
今日するのは、退職金の使い道を全部決めることではありません
まとまった退職金を見ると、すぐに正しい置き場所を決めなければと思います。
けれど、使い道を決めない時間も、退職金を守るために必要です。
今日は、紙を三つに分けてください。
- 毎月の生活費を補うお金
- 十年以内に使う予定があるお金
- まだ使い道を決めないお金
次に、本人と配偶者の年金見込額を確認し、毎月の不足を一つだけ計算します。
最後に、次の三つを家族のルールとして書きます。
生活費として引き出すのは、毎月○万円まで。
○万円を超える買い物や契約は、その日に決めない。
半年後に実際の生活費と残高を見直す。
退職金を長持ちさせるために、今後の楽しみをすべて諦める必要はありません。
反対に、長く働いたご褒美だからと、先の生活を見ないまま使う必要もありません。
退職金は、一度も減らしてはいけないお金ではなく、これからの暮らしへ少しずつ移していくお金です。
まずは何を買うか、どこへ預けるかではなく、毎月いくらまでなら落ち着いて取り崩せるかを決めるところから始めてください。
出典・確認先メモ
- 国税庁「退職金を受け取ったとき」「退職手当等に対する源泉徴収」:退職所得控除と一般的な退職所得の計算方法。
- 国税庁「同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき」:複数の退職手当を受けた場合の控除・税額計算。
- 日本年金機構「ねんきんネットによる年金見込額試算」:働き方や受給開始年齢等を変えた老齢年金の試算。
- 金融庁「預金保険制度」:一般預金等の保護範囲と決済用預金の扱い。
- 金融庁「金融サービス利用者相談室」「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください」:金融商品のリスク説明、適合性、無登録業者・断定的な投資勧誘への注意。
- 金融経済教育推進機構「J-FLECはじめてのマネープラン」:家計管理、生活設計、年金、資産形成等に関する個別相談。


















