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介護・見守り

デイサービスを嫌がる親への勧め方|拒否する理由と利用につなぐ伝え方

2026.07.23 更新 なやみ晴れ編集部
#介護・見守り
この記事の結論

デイサービスを嫌がる親御さんには、必要性を繰り返し説くより、「何が嫌なのか」を具体的に分けます。利用時間、入浴、集団活動、送迎などを調整し、一回だけ試す方法もあります。本人をだまして連れて行かず、拒否が続くときは別の事業所や訪問型の支援も含めて見直してください。

送迎車が家の前へ着いた途端、父が上着を脱いで奥の部屋へ戻ってしまう。

「今日は行かない」

職員さんを待たせている。こちらは仕事へ出なければならない。昨日までは「行ってみてもいい」と話していたのに、何を言っても首を横に振ります。

つい声が強くなることがあります。

「家にいても何もしないでしょう」

「みんな心配しているの」

「一回くらい行ってくれてもいいじゃない」

親御さんのために勧めている気持ちは本当です。同時に、その数時間だけでも介護から離れたい、仕事や家事を片づけたいという気持ちもあるでしょう。

それでも拒まれると、こちらの苦労を分かってもらえないように感じます。

ただ、親御さんが拒否しているものは、デイサービスという制度そのものとは限りません。

一日中知らない場所にいること、集団で体操すること、入浴を手伝われること、迎えの車へ乗ることなど、嫌なのは一部分かもしれません。

「行きたくない」の中身を、一つずつ分けます

親御さんへ「なぜ嫌なの」と聞いても、「嫌なものは嫌だ」「必要ない」としか返ってこないことがあります。

理由をうまく説明できないからといって、わがままとは限りません。本人の中では、次のような抵抗が重なっている可能性があります。

親御さんが感じていること 表に出やすい言葉 見直せること
介護される人として扱われたくない 「年寄りの行く所だ」「まだ世話はいらない」 本人が続けたい運動、入浴、趣味など具体的な目的から提案する
知らない人の中で過ごすのがつらい 「話す人がいない」「人が多くて疲れる」 少人数の事業所、静かな席、短い利用時間を検討する
集団活動が合わない 「子どもみたいなことはしたくない」 個別活動、機能訓練、囲碁、園芸など本人の好みに合う所を探す
入浴や排泄の介助が恥ずかしい 「風呂は家で入る」「人に触られたくない」 初回は入浴なしにする、同性介助の希望を伝える
送迎や長時間利用が負担 「朝が早い」「帰るまでが長すぎる」 送迎時刻、利用時間、半日型などをケアマネジャーへ尋ねる
体調が悪い 「今日はだるい」「腰が痛い」 睡眠、便秘、痛み、薬の影響などを確かめる
以前の利用で嫌なことがあった 「もうあそこには行かない」 職員の対応、席、活動、利用者同士の出来事を聞く

理由が分からないまま「楽しいところだから」と繰り返しても、親御さんが心配している部分には届きません。

「何があれば行けるか」ではなく、まず「どの場面が一番嫌だったか」を聞きます。

「お風呂が嫌だった? それとも一日いるのが長かった?」

「人が多いことと、送迎車に乗ることなら、どちらがつらい?」

二つほどの具体的な選択肢にすると、本人も答えやすくなります。

初めて勧めるときは、「介護のため」より一日の内容を伝えます

家族から「介護が必要だから行って」と言われると、親御さんには、できないことを指摘されたように聞こえる場合があります。

通所介護、いわゆるデイサービスでは、食事や入浴などの日常生活上の支援、機能訓練、交流などが提供されます。ただし、内容や雰囲気は事業所によってかなり違います。

制度名だけで勧めず、本人に関係する内容を伝えてください。

「足が弱らないように、午前中だけ運動できる所を見に行かない?」

「家のお風呂は滑りやすいから、広い浴室を一度見せてもらおう」

「将棋をする人がいるそうだから、見学だけして合わなければ帰ろう」

「昼ごはんを食べて、三時には帰れる所があるみたい」

実際に提供されない内容を、受け入れてもらうためだけに伝えてはいけません。

「病院へ行く」と言って車へ乗せ、着いた先がデイサービスだったという進め方は、その日は利用できても、次から家族や送迎職員を警戒する原因になります。

ポイント

名称を言い換えてごまかすのではなく、「どこで、何をして、何時に帰るのか」を短く伝えます。

「ずっと通うか」ではなく、一回の見学に話を小さくします

親御さんが嫌がっているときに、「毎週二回通おう」と話せば、生活を急に変えられるように感じるでしょう。

最初は、決める範囲を小さくします。

「通うかはまだ決めない。建物を見て、職員さんと十分話したら帰ろう」

「一回だけ行って、嫌だったところを帰ってから教えて」

事業所によっては、見学や体験的な利用に対応している場合があります。実施内容、費用、送迎、食事の有無は異なるため、ケアマネジャーや事業所へ事前に尋ねてください。

見学の日は、本人が疲れにくい時間を選びます。

午後になると疲れて機嫌が悪くなる方なら午前中。朝の動き出しに時間がかかる方なら、早い時間を避けます。

見学で見るのは、建物の新しさだけではありません。

本人へも、帰宅後すぐ「楽しかったでしょう」と答えを誘導せずに尋ねます。

「一番嫌だったのは何だった?」

「次に行くなら、変えてほしいことはある?」

デイサービスなら、どこでも同じではありません

一か所を嫌がったからといって、すべての通所サービスが合わないとは限りません。

事業所には、それぞれ特徴があります。

食事・入浴・日中の介護を中心とする通所介護

一日を通して過ごし、食事、入浴、機能訓練などを受ける一般的なデイサービスです。

家で一人になる時間が長い方や、入浴の介助が必要な方、ご家族の介護負担を軽くしたい場合に候補となります。

運動やリハビリを中心とする通所サービス

体を動かすことに関心がある方は、「介護施設」よりも運動の場として受け入れやすい場合があります。

通所リハビリテーションは、医師の指示などのもとで、介護老人保健施設、病院、診療所などに通い、リハビリテーションを受けるサービスです。本人の状態や希望によって利用できるサービスが異なります。

認知症対応型通所介護

認知症の方を対象に、専門的なケアを行う通所サービスです。

一般的なデイサービスでは、人の多さや活動の進み方についていけず落ち着かない方でも、少人数で環境が合えば過ごしやすくなる場合があります。地域密着型サービスのため、原則として住民票のある市区町村内の事業所を利用します。

短時間型・小規模型の事業所

一日利用が長く感じる方には、短い時間で運動などを行う事業所や、少人数で過ごす事業所が合うことがあります。

ただし、入浴や食事を提供していない場合もあります。本人に必要な支援と、事業所の内容が合っているかを見てください。

「家から近い」「空きがある」だけで決めず、親御さんが嫌がった理由に対応できる場所かをケアマネジャーへ伝えます。

初回利用は、全部参加させる日ではありません

初日に、入浴、体操、昼食、レクリエーションをすべて経験してもらおうとすると、親御さんには負担が大きすぎることがあります。

最初は、成功させる条件を少なくします。

認知症がある方は、慣れない場所で「いつ帰れるのか」「家族に置いていかれたのか」が分からず、不安が強くなることがあります。

事前に、職員へ本人の情報を渡してください。

「元大工で、道具や建物の話が好きです」

「大人数の歌は嫌がりますが、将棋は好きです」

「帰宅時刻を何度も聞きます。『三時に娘さんが待っています』と伝えると落ち着きます」

病名や介助量だけでなく、本人が話しやすいこと、苦手なこと、落ち着く言葉まで共有すると、初日の対応が変わります。

送迎車が来てから拒否したときは、玄関で説得を続けません

送迎当日の拒否は、ご家族にも職員にも焦りが出ます。

複数人で囲み、「せっかく来てもらったのだから」と説得すると、本人は逃げ場を失ったように感じます。

まず、その日の体調を見ます。

体調不良なら、無理に行かせず、事業所へ状況を伝えます。

体調に問題がなくても強く拒む場合は、送迎職員と短時間話してもらい、それでも難しければ、その日は中止する判断もあります。

「今日は行かないことにする。ただ、何が嫌だったかは後で教えてほしい」

一回休んだことを失敗と考える必要はありません。

ただし、家族が仕事へ行けないなど生活に直接影響する場合は、「また次回」と繰り返すだけでは続きません。ケアマネジャーへ当日の状況を伝え、時間、曜日、送迎担当、事業所そのものを変えられないか検討します。

帰宅後の「もう行かない」は、疲れだけで出ることもあります

利用後、親御さんが「二度と行かない」と言うことがあります。

その場で次回の約束を取ろうとせず、食事や休息を優先します。

翌日など、落ち着いた時間に聞きます。

「人が多かったのと、時間が長かったのでは、どちらが嫌だった?」

「職員さんにされて嫌だったことはあった?」

「お風呂なしなら、もう一度行けそう?」

事業所からも、利用中の様子を聞いてください。

本人は「何もしていない」と話していても、実際には食事を取り、職員と会話をし、穏やかに過ごしていた場合があります。一方、表面上は問題なく見えても、活動を断れず疲れ切っていた可能性もあります。

本人と事業所のどちらか一方だけを正しいとせず、利用中と帰宅後の両方を見ます。

家族が休むために利用することも、後ろめたいことではありません

通所介護には、本人の生活機能を維持するだけでなく、社会的な孤立を減らし、家族の介護負担を軽くする目的もあります。

それでも、親御さんへ「私が大変だから行って」と言うことに罪悪感を持つご家族は少なくありません。

逆に、介護者の都合を一切隠し、「全部あなたのため」と伝え続けると、親御さんも納得できないことがあります。

責める言い方を避けながら、家庭の事情を伝えて構いません。

「水曜日は仕事で家にいられない。お昼とお風呂を手伝ってもらえる所があると、家での生活を続けやすい」

「私も休む時間が必要だけれど、家から出したいわけではない。二人とも続けられる方法を探したい」

親御さんの希望だけでなく、支える家族の生活も、ケアプランに関わる事実です。

「行かないなら家で見る」以外の方法もあります

デイサービスを拒否されたからといって、家族だけで介護するしかないわけではありません。

嫌がっている理由によっては、次の支援が合うことがあります。

人が集まる場所そのものが苦手な方に、別のデイサービスを次々勧めても、同じ拒否が続くかもしれません。

「入浴を安全に行いたい」「家族が週一回休みたい」「昼間の服薬を見てほしい」など、必要な役割へ戻って考えます。

嫌がり方が急に強くなった場合は、サービス以前に体調を見ます

以前は通えていたのに、数日間で急に強く拒むようになった。怒り方が激しくなり、会話もかみ合わない。

この場合は、単に気が変わったとは限りません。

痛み、発熱、脱水、便秘、睡眠不足、薬の影響などにより、普段と違う混乱や拒否が出ることがあります。

急な変化があれば、事業所やケアマネジャーだけでなく、かかりつけ医へも伝えてください。

意識がもうろうとしている、呼吸が苦しい、突然ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないなどの症状がある場合は、デイサービスへ行くかではなく、119番を含む救急対応を優先します。

また、親御さんが物を投げる、家族を殴ろうとするなど、けがの危険がある状態では、一人で送迎車へ乗せようとしないでください。距離を取り、身の危険が迫る場合は110番、けがや急病は119番へ連絡します。

拒否が三回続いたら、説得ではなく利用計画を変えます

毎回同じ時間に、同じ言葉で勧め、同じように拒否されているなら、親御さんの気持ちだけの問題ではありません。

利用条件が合っていない可能性があります。

次の順番で見直します。

1.拒否した場面を一件ずつ残す

「いつも嫌がる」ではなく、日時、直前の様子、本人の言葉、利用後の疲れを記録します。

「火曜日午前8時半。送迎車が見えると『風呂には入らない』と言って奥の部屋へ移動。前回は入浴後に疲れて夕食を取らなかった」

2.ケアマネジャーへ、変えてほしい条件を伝える

「利用を続けさせる方法ではなく、入浴なし、短時間、別の事業所を含めて組み直したいです」

3.一つだけ条件を変えて試す

曜日、利用時間、入浴、活動、送迎職員などを一度に全部変えると、何が合ったのか分かりません。

最も嫌がっている条件を一つ外します。

4.本人の様子と家族の負担を一緒に振り返る

利用中に落ち着いていたかだけでなく、帰宅後の疲れ、翌日の体調、ご家族が介護を続けやすくなったかも見ます。

ケアプランは、一度作ったら変えられないものではありません。本人の状態や希望、家族の状況に合わせて、ケアマネジャーと見直します。

利用条件と費用は、要介護度や地域で異なります

介護保険の通所介護は、一般に要介護1から5の認定を受けた方が対象です。要支援の方は、市区町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業など、別の枠組みで通所型サービスを利用する場合があります。

サービスを利用する際は、本人の状態や希望に応じたケアプランを作り、事業所と契約します。

利用者の負担額は、要介護度、利用時間、地域区分、所得による負担割合、事業所の加算などで変わります。食費、おむつ代、行事費などが別途必要になる場合もあります。

費用については、ケアマネジャーや事業所へ次のように尋ねてください。

「週一回利用した場合、介護保険の自己負担と食費などを合わせて、月にいくらほどになりますか」

「欠席や当日キャンセルの場合に、食費やキャンセル料はかかりますか」

「入浴を外した場合、費用と利用内容はどう変わりますか」

料金表の基本額だけでは、実際の月額が分からない場合があります。本人の介護度と利用内容を伝え、保険外の費用まで含む見込み額を出してもらってください。

親御さんが契約前でも、家族だけで状況を伝えられます

親御さんがデイサービスという言葉を聞くだけで拒否する場合、本人を無理に窓口へ連れて行く必要はありません。

既にケアマネジャーがいるなら、家族だけで拒否の様子を伝えられます。

介護認定を受けていない、担当者がいない場合は、親御さんが住む地域の地域包括支援センターへ連絡してください。

「母がデイサービスを強く嫌がります。入浴と日中の見守りが必要ですが、集団活動が嫌なようです。本人を説得する前に、利用方法や別の支援を家族だけで聞きたいです」

地域包括支援センターへ話したからといって、利用契約や介護認定が自動的に始まるわけではありません。

現在の困りごとを伝え、どの制度やサービスが合いそうかを聞く場所です。要支援の方が利用できる地域の通所型サービスなど、自治体独自の情報も確かめられます。

今は、親御さんが嫌がった一場面だけを伝えます

今夜、もう一度親御さんを説得する必要はありません。

ケアマネジャーへ、次の形で一文送ってください。

「送迎車が来たとき、『お風呂に入りたくない』と言って利用を拒否しました。入浴なし、短時間、別の事業所を含めて調整できる方法を教えてください」

「デイサービスを嫌がる」という大きな問題ではなく、嫌がった場面を一つ伝えます。

親御さんに合う場所が見つからないこともあります。今は通所より訪問の方が合う場合もあるでしょう。

目的は、何としてもデイサービスへ通わせることではありません。

親御さんの生活を守り、ご家族も介護を続けられる形を作ることです。そのために条件を変える、場所を変える、通う方法そのものを変える。次の一手は、一つではありません。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. デイサービスを嫌がる親を無理に連れて行ってもよいですか?

体調や安全上の緊急性がない限り、複数人で押さえたり、行き先を偽ったりして連れて行くのは避けます。入浴、活動、利用時間など、拒否の原因を一つずつ外せないか、ケアマネジャーや事業所と調整してください。

Q. 認知症の親が当日の朝になるとデイサービスを拒否するのはなぜですか?

利用の予定を忘れ、突然知らない場所へ連れて行かれるように感じている場合があります。体調不良や前回の疲れも考えられるため、当日の様子と本人の言葉を残し、送迎方法や利用時間を見直してください。

Q. デイサービスは一日中利用しなければなりませんか?

利用時間は事業所やサービスの種類、ケアプランによって異なり、短時間型の事業所もあります。現在の事業所で時間を短くできるか、半日型など別の候補があるかをケアマネジャーへ尋ねてください。

Q. デイサービスの利用を一度断ったら、別の事業所へ変更できますか?

本人の状態や希望に合わない場合は、ケアマネジャーとケアプランを見直し、別の事業所を検討できます。変更前に、何が嫌だったのかを具体的に伝え、同じ条件の施設を選ばないようにしてください。

Q. 親がデイサービスを拒否しても、家族だけでケアマネジャーへ相談できますか?

家族だけでも、拒否の様子や介護負担を伝えられます。担当のケアマネジャーがいない場合は、親御さんの居住地を担当する地域包括支援センターへ、必要な支援と本人が嫌がっている理由を伝えてください。

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