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認知症かもしれない親のお金管理はどうする?

2026.06.28 更新 なやみ晴れ編集部
#介護・見守り#親のお金管理#認知症#認知症相談
この記事の結論

認知症かもしれない親御さんのお金管理は、家族が勝手に通帳やカードを預かる前に、本人の同意、支払い状況、家族間の共有、銀行や地域包括支援センターへの相談を分けて進めることが大切です。まずは記録を残すことから始めましょう。

通帳が見つからない日から、家族の心配は急に現実になります

親御さんが「通帳がない」と何度も探している。公共料金の支払い用紙が未開封のまま置かれている。同じ健康食品を何箱も買っている。キャッシュカードの暗証番号を忘れたと言う。財布のお金が合わないと言って、ご家族を疑う。

こうしたことが重なると、「そろそろお金の管理を家族が手伝った方がいいのでは」と感じます。

ただ、お金の話は親子でも踏み込みにくいものです。親御さんに「通帳を見せて」と言うだけで、財産を狙っているように思われないか。兄弟姉妹から「勝手に管理している」と言われないか。良かれと思って支払いを手伝ったのに、あとで使い込みを疑われないか。

ここは、かなり気を使います。しかも、介護や医療のように「困っているから手伝う」と単純に進めにくいところがあります。

だからこそ、最初にやるべきことは、通帳を預かることではありません。親御さんのお金まわりで何が起きているのかを、支払い、現金、カード、契約、家族共有に分けて見える形にすることです。

認知症の診断、預金の引き出し、成年後見、家族信託、相続、税金、契約トラブルは、個別事情によって扱いが変わります。この記事は一般的な整理のための内容です。実際の手続きは、医療機関、地域包括支援センター、金融機関、消費生活センター、司法書士・弁護士などに確認してください。

最初に見るのは、財産総額ではなく「生活に必要なお金が回っているか」です

親御さんのお金管理が心配になると、つい預金額や通帳の残高が気になります。もちろん残高も大事です。ただ、最初に見るべきなのは「毎月の生活に必要なお金が止まっていないか」です。

支払いが止まると、電気・ガス・水道、家賃、保険、医療、介護サービスに影響が出ます。大きな財産管理の前に、まず生活の土台を守る必要があります。

見る場所 起きやすいこと 家族が最初にできること
公共料金 払込用紙を放置する、督促状が届く 未開封の郵便物、引き落とし口座、支払期限を確認する
家賃・住宅ローン 引き落とし不能、管理会社から連絡が来る 毎月の支払日と残高不足の有無を見る
医療費・薬代 通院を忘れる、薬をもらいに行かない 診察券、薬局の領収書、お薬手帳を確認する
介護費用 デイサービスやヘルパー代の支払い忘れ 請求書とケアマネジャーからの連絡を確認する
保険料 口座残高不足で失効の恐れがある 保険会社からの郵便物、契約内容、支払方法を見る
税金 固定資産税、住民税、自動車税を忘れる 納付書の保管場所と期限を確認する

最初から「親の全財産を把握しなければ」と考えると、話が大きくなりすぎます。まずは、生活に直結する支払いが止まっていないか。ここだけでも確認できれば、かなり前進です。

通帳やカードを預かる前に、本人の同意と記録を残します

親御さんが物忘れをするようになると、ご家族は「通帳とカードをこちらで預かった方が安全では」と考えることがあります。

その気持ちは自然です。紛失や詐欺、使いすぎを防ぎたいからです。

ただし、親御さん本人の同意がないまま通帳、印鑑、キャッシュカード、現金を動かすと、あとで家族間のトラブルになることがあります。兄弟姉妹から疑われることもありますし、親御さん本人が「勝手に取られた」と感じることもあります。

やろうとしていること 先に確認したいこと 残しておきたい記録
通帳を預かる 本人が理由を理解し、預けることに同意しているか 預かった日、口座名、残高、保管場所
キャッシュカードを預かる 誰が、何の支払いのために使うのか 引き出し日、金額、使い道、領収書
現金を管理する 毎月いくらを生活費として使うのか 現金出納メモ、買い物レシート
支払いを代行する 本人のための支払いか、家族の支払いと混ざっていないか 請求書、振込控え、領収書
口座引き落としを変更する 本人の意思、金融機関や契約先の手続き 変更日、契約先、手続き書類の控え

記録を残すのは、家族を疑うためではありません。むしろ、手伝っている家族を守るためです。

「親のためにやったのに、あとで説明できない」という状態が一番つらいです。お金の管理は、優しさだけで進めると危険です。優しさに、メモと領収書を添えてください。

親にお金の話を切り出すときは、「管理」ではなく「支払い確認」から入る

親御さんに「お金の管理が心配」と言うと、強く反発されることがあります。

親御さんからすると、「自分はもう信用されていないのか」「子どもに財布を握られるのか」と感じる場合があります。特に、これまで家計をしっかり守ってきた方ほど、プライドが傷つきやすいです。

最初から通帳を見せてもらうより、支払いの確認から入る方が話しやすいことがあります。

避けたい言い方 言い換え例 狙い
「お金の管理ができていないよ」 「支払い漏れがあると困るから、一緒に郵便物だけ見てもいい?」 責める印象を減らす
「通帳を預かるね」 「通帳の保管場所だけ、いざという時のために教えておいてほしい」 支配ではなく備えとして伝える
「また同じ物を買ってる」 「同じ注文が重なっているかもしれないから、一緒に確認しよう」 失敗を責めない
「暗証番号を忘れたの?」 「銀行で困らないように、手続きの方法を聞いておこうか」 本人の不安を減らす
「詐欺にあうよ」 「最近変な電話が多いみたいだから、怪しい契約がないか一緒に見よう」 怖がらせすぎない

お金の話は、正論で押すほどこじれます。親御さんの尊厳を守りながら、生活に必要な支払いだけ先に確認する。ここから始めるのが現実的です。

最初の声かけ

「通帳を見せて」ではなく、「支払い漏れがないか一緒に見たい」と伝えると、親御さんの抵抗が少し下がることがあります。目的は財産を把握することではなく、生活を止めないことです。

お金の異変は、金額よりも「繰り返し方」で見ます

一度の買い間違いや支払い忘れだけで、すぐ認知症と決めつけることはできません。

ただ、同じような異変が何度も続く場合は、記録して相談につなげた方がよいです。金額の大きさだけでなく、同じ行動が繰り返されているかを見ると、状況を伝えやすくなります。

見られる変化 記録するポイント 相談につなげたい理由
同じ物を何度も買う 商品名、回数、購入先、金額 記憶の抜け、定期購入、訪問販売の可能性を見るため
支払いを忘れる 未払いの種類、督促の有無、期限 生活インフラや契約に影響するため
財布や通帳をなくしたと言う いつ、どこで、何回起きたか 紛失か、置き忘れか、被害妄想に近いのかを見るため
家族を疑う 何を取られたと言うか、頻度、きっかけ 家族関係が悪化する前に対応するため
高額な契約をする 契約先、金額、契約日、説明資料 消費者トラブルや判断力低下の可能性があるため
ATMで困る 暗証番号忘れ、操作ミス、行員への相談歴 金融機関への事前相談が必要になるため

この記録は、親御さんを責めるためのものではありません。医療機関、地域包括支援センター、金融機関、消費生活センター、専門家に相談するときの材料です。

「最近おかしいです」より、「今月、同じ健康食品が3回届き、合計で2万4,000円払っています」の方が、相談先は状況をつかみやすくなります。

銀行で困る前に、取引銀行へ聞けることがあります

認知症が進むと、銀行で本人確認や意思確認が難しくなることがあります。

預金は本人の財産です。そのため、家族であっても、本人の意思確認なしに自由に引き出せるものではありません。一方で、生活費、医療費、介護施設費用など、本人のために必要なお金があり、家族が困る場面もあります。

この場合は、家族だけで判断せず、まず取引銀行に相談してください。銀行によって対応や必要書類、代理人制度、予約型代理人サービスなどの扱いが異なることがあります。

銀行へ聞きたいこと 聞き方の例
本人がまだ話せる段階 「将来に備えて、家族が手続きを手伝う方法はありますか」
暗証番号を忘れ始めた 「本人がATM操作に困っています。窓口でできる手続きはありますか」
入院費や介護費が必要 「本人の医療費・介護費の支払いで預金を使う必要があります。必要書類を教えてください」
家族が代理で行きたい 「代理人として手続きするには、どのような確認が必要ですか」
今後の認知症が心配 「代理人制度や財産管理サービス、成年後見の案内はありますか」

銀行の対応は一律ではありません。ネット上の体験談だけで「できる」「できない」と決めず、親御さんが使っている金融機関に直接確認するのが安全です。

兄弟姉妹がいるなら、先に共有しないと善意が疑われます

親御さんの近くに住む子どもが、お金の管理を手伝うことはよくあります。

通院に付き添う。買い物を代行する。介護サービスの支払いをする。銀行に同行する。こうした動きは、近くに住む家族に偏りがちです。

ただ、遠方の兄弟姉妹から見ると、「親の通帳を見ているらしい」「何に使っているのか分からない」と不安になることがあります。実際には親のために動いているのに、説明不足で疑われる。これは本当にしんどいです。

共有したいこと 共有方法の例 目的
何に困っているか 支払い忘れ、通帳紛失、契約トラブルなどを短く伝える 管理を始める理由を共有する
どこまで手伝うか 公共料金、医療費、介護費など範囲を決める 勝手に財産を動かしている印象を避ける
毎月の支出 支払い一覧や領収書を写真で共有する 透明性を持たせる
親の同意 本人が了承している内容をメモで残す 後の誤解を減らす
相談先 地域包括支援センター、銀行、専門家に相談した内容を共有する 家族だけの独断にしない

家族間のお金のトラブルは、「誰が悪いか」より「記録がない」「共有されていない」ことで大きくなります。

近くに住む家族だけが悪者にならないように、月1回でもよいので、支払いと残高の大まかな状況を共有できる形を作っておきましょう。

詐欺や不要契約が心配なときは、本人を責めずに証拠を残します

認知症や軽い認知機能の低下があると、悪質な電話勧誘、訪問販売、不要な定期購入、高額な修理契約などに巻き込まれることがあります。

親御さんが契約してしまったとき、ご家族はつい「なんで契約したの」「そんな話を信じたの」と言いたくなります。気持ちは分かります。こちらも心臓がひやっとします。

でも、責めると本人は隠すようになります。次に何かあったとき、家族に言わなくなる方が危険です。

見つけたもの 残すもの 相談先
見覚えのない請求書 請求書、封筒、契約日、金額 消費生活センター、消費者ホットライン188
定期購入の商品 商品名、会社名、申込画面、明細 販売会社、消費生活センター
訪問販売の契約書 契約書、名刺、領収書、説明資料 消費生活センター、必要に応じて専門家
不審な電話 電話番号、日時、話の内容 警察相談、消費生活センター
高額な振込 振込先、金額、理由、通帳記録 金融機関、警察、消費生活センター

契約を取り消せるか、返金できるかは、契約内容や時期、販売方法によって変わります。迷ったら、早めに消費生活センターへ相談してください。

親御さんには、「怒っているのではなく、次に同じことが起きないように一緒に見たい」と伝える方が、話が進みやすくなります。

成年後見や家族信託は、通帳を預かるための合言葉ではありません

親御さんのお金管理を調べると、成年後見、任意後見、家族信託という言葉が出てきます。

ただ、これらは「家族が親のお金を自由に使えるようにする制度」ではありません。目的も、使える時期も、手続きも違います。

制度・方法 考えやすい場面 注意点
銀行の代理人制度など 本人がまだ意思表示でき、家族の支援を事前に決めたい 金融機関ごとに内容や条件が異なる
任意後見 将来判断能力が低下したときに備え、支援者を決めておきたい 公正証書契約や家庭裁判所の関与がある
成年後見 すでに判断能力が不十分で、財産管理や契約支援が必要 本人保護が中心で、家庭裁判所の関与や報告がある
家族信託 判断能力があるうちに、不動産や財産管理の方法を設計したい 契約設計、家族合意、税務・登記確認が必要
日常生活自立支援事業など 福祉サービス利用や日常的な金銭管理に不安がある 地域により窓口や利用条件が異なる

制度名だけで選ぼうとすると難しくなります。まずは、「親の何を守りたいのか」を書いてください。

この目的が見えると、地域包括支援センター、銀行、司法書士、弁護士、消費生活センターなど、どこに相談すべきかが分かりやすくなります。

親が「お金を取られた」と言うときは、否定より安全確認を先にします

認知症の初期や進行過程で、財布や通帳をなくしたときに「誰かに取られた」と言うことがあります。家族が疑われることもあります。

疑われた側は傷つきます。「そんなことするわけないでしょ」と強く言いたくなります。親子だからこそ、胸に刺さります。

ただ、ここで正面から否定し続けると、言い争いになりやすいです。まずは、探す、安全を確認する、記録する、相談する、の順番にします。

場面 避けたい反応 対応例
財布がないと言う 「また忘れたんでしょ」と言う 「一緒にいつもの場所から見てみよう」と探す
家族を疑う 「私を疑うなんてひどい」と責め返す 「心配なんだね。まず何がなくなったか確認しよう」と言う
通帳がないと言う すぐに通帳を取り上げる 保管場所を決め、必要なら銀行へ紛失相談をする
何度も同じ話をする 「さっきも言った」と強く返す 日付と内容を記録し、医療・介護相談につなげる

もちろん、本当に盗難や詐欺の可能性がある場合もあります。最初から「認知症だから勘違い」と決めつけず、通帳記録、カード利用、家の中、訪問者、電話勧誘の有無を確認してください。

家族が疲れ切る前に、相談先を分けて使います

親御さんのお金管理は、ご家族だけで抱えるとかなり重くなります。

通帳、カード、介護費、詐欺、兄弟姉妹、本人の怒り、銀行手続き。全部を一人で見ようとすると、介護をしている家族が先に倒れてしまいます。

相談先は、一つではありません。困りごとによって分けて使います。

困りごと 相談先 相談内容
認知症かもしれない かかりつけ医、もの忘れ外来、認知症疾患医療センター 診察、検査、今後の医療相談
介護や見守りも心配 地域包括支援センター 介護サービス、見守り、家族支援、相談先の整理
預金の引き出しや代理手続き 取引銀行 本人確認、代理人制度、必要書類、支払い方法
高額契約や詐欺が心配 消費生活センター、消費者ホットライン188、警察相談 契約トラブル、返金、被害防止
成年後見や家族信託 司法書士、弁護士、公証役場、家庭裁判所 制度選択、申立て、契約、財産管理
兄弟姉妹で揉めそう 専門家、地域包括支援センター、必要に応じて法律相談 記録の残し方、役割分担、法的整理

相談することは、家族として失敗したという意味ではありません。むしろ、親御さんのお金と家族関係を守るための現実的な動きです。

今日やるなら、通帳を預かるより「支払い一覧」を作る

お金管理が心配になると、すぐ通帳やカードをどうするかに意識が向きます。

でも、今日の一歩としておすすめしたいのは、支払い一覧を作ることです。親御さんの生活が止まらないように、毎月何が出ていくのかを見える形にします。

書く項目 例
支払い名 電気、ガス、水道、家賃、保険、電話、新聞、介護費、医療費
支払方法 口座引き落とし、振込用紙、クレジットカード、現金
支払日 毎月10日、月末、年払いなど
金額の目安 固定額、変動額、年1回の支払い
確認する人 本人、同居家族、近くの子ども、遠方の子ども
証拠の残し方 領収書保管、写真共有、家計ノート、共有フォルダ

支払い一覧があるだけで、家族の会話はかなり落ち着きます。「通帳を見せて」ではなく、「電気や保険の支払いが止まらないように、一覧だけ作ろう」と言いやすくなるからです。

今日すべてを把握する必要はありません。まずは、封筒を一か所に集める。公共料金だけ見る。介護費だけ見る。それで十分です。

出典・確認先メモ

認知症の診断、預金の引き出し、代理手続き、成年後見、家族信託、契約トラブルへの対応は、本人の状態、金融機関、地域、制度改正、家族関係によって変わる場合があります。実際に手続きや相談を進める際は、公式情報と個別事情を必ず確認してください。

親御さんのお金管理は、家族の愛情だけで抱えるには重いテーマです。だからこそ、勝手に動かさず、記録を残し、共有し、必要なところは窓口につなぐ。この順番で十分です。まずは今日、未開封の郵便物を一か所に集め、支払い一覧を作るところから始めてみてください。

よくある質問

Q. 認知症かもしれない親の通帳を家族が預かってもいいですか?

本人の同意があり、生活費や医療費など本人のために使う目的が明確なら、家族が保管を手伝う場合もあります。ただし、勝手に預かったり使ったりすると、本人や兄弟姉妹とのトラブルになりやすいため、預かった日、残高、使い道、領収書を記録しておきましょう。

Q. 親が認知症で預金を引き出せないときはどうすればいいですか?

まず取引銀行に、本人の生活費・医療費・介護費の支払いで困っていることを相談してください。必要書類や対応は金融機関ごとに異なるため、ネット情報だけで判断せず、銀行窓口で確認することが大切です。

Q. 親の支払い忘れが増えたら、家族は何から始めればいいですか?

公共料金、家賃、保険料、医療費、介護費などの支払い一覧を作ることから始めてください。未開封の郵便物、督促状、通帳の引き落とし履歴を確認し、必要に応じて口座引き落としや家族の定期確認を検討します。

Q. 認知症の親が詐欺や高額契約をしていないか心配です。どう確認すればいいですか?

請求書、契約書、定期購入の商品、通帳の出金、カード明細、不審な電話番号を確認してください。責めると本人が隠してしまうことがあるため、「怒っているのではなく、一緒に確認したい」と伝え、怪しい契約は消費生活センターや188へ早めに相談しましょう。

Q. 成年後見や家族信託は、親のお金管理に必ず必要ですか?

必ず必要とは限りません。支払い一覧の作成、銀行への相談、家族間共有で対応できる場合もあります。一方で、判断能力の低下が進み、預金管理・契約・不動産・介護費用の支払いが難しい場合は、成年後見や家族信託などを専門家に確認した方がよいことがあります。

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