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親が外出先で迷わないか心配なとき|一人歩きを守る準備と見つからないときの動き方

2026.07.27 更新 なやみ晴れ編集部
#介護・見守り#認知症相談
この記事の結論

親が道に迷う心配があるときは、すぐ外出を禁止せず、行き先と帰宅時刻、連絡先カード、最近の写真を準備します。自治体のSOS登録も確認し、予定を過ぎても居場所が分からない場合は、家族だけで探し続けず早い段階で警察へ連絡してください。

いつもの買い物なのに、帰宅が一時間遅れただけで胸がざわつきます

母親は午後三時ごろ、「牛乳を買ってくる」と言って家を出ました。

歩いて十分ほどのスーパーです。いつもなら遅くても四時には戻ります。

ところが、四時半を過ぎても玄関が開きません。携帯電話へかけても出ず、スーパーへ問い合わせても見当たらないと言われます。

近所を探し始めた一時間後、母親は隣の地区にある交番で保護されていました。

道路工事でいつもの角を曲がれず、見覚えのある建物を探しているうちに、自宅とは反対方向へ歩いていたそうです。

無事だった安心から、家族の口から強い言葉が出ます。

「もう一人で出かけないで」
「迷ったなら、どうして電話しなかったの」
「みんながどれだけ心配したと思っているの」

母親はそれ以上話さず、翌日から散歩へも行かなくなりました。

家族は、事故や行方不明を防ぎたい。本人は、これまでどおり自分で買い物をし、外の空気を吸い、知り合いと挨拶をしたい。

どちらか一方だけを守ろうとすると、家族は常に見張ることになり、本人は自分の暮らしを取り上げられたように感じます。

まず考えたいのは、「外出させてもよいか」ではありません。

どの条件で迷い、迷ったときに誰かとつながり、どうすれば家へ戻れるかです。

一度道を間違えたことと、近所でも繰り返し帰れないことは分けて見ます

道に迷ったという出来事だけで、すぐ認知症と決めつけることはできません。

道路工事、店の移転、暗さ、雨、疲労、視力や聴力の変化、初めての経路などによっても、方向をつかみにくくなることがあります。

起きたこと 次に見たいこと
工事中の道で一度迷った いつもの目印がある道では帰れるか
夕方だけ道が分からなくなった 暗さ、疲労、見えにくさが影響していないか
初めての場所で帰り方を間違えた 慣れた生活圏でも同じことが起きるか
買い物中に目的を忘れた 財布、薬、約束などほかの生活場面にも変化があるか
近所で何度も保護されている 時間、場所、自宅の理解にも変化がないか
昔住んでいた家や職場へ向かおうとする 本人が何をしようとして外出したのか
出かけたこと自体を覚えていない 日常生活全体で記憶や判断の変化がないか

地域包括支援センターでは、認知症の診断がない段階でも、本人や家族からの相談を受け、必要に応じて医療機関や認知症初期集中支援チーム、介護・福祉サービスへつないでいます。近所で迷うことが続く場合は、診断名ではなく、実際に起きた出来事を伝えてください。

ポイント


78歳の母が、いつものスーパーから帰れず、隣の地区で保護されました。
認知症の診断は受けていません。
外出を続けるために、受診や地域の見守りをどう組み合わせればよいか相談したいです。

昨日まで問題なかった人が急に迷ったときは、体調の変化を先に見ます

急に場所が分からなくなった、会話がかみ合わないという変化を、年齢や物忘れだけで片づけないようにします。

次の症状が一緒にある場合は、外出対策を考える前に救急対応を優先します。

これらは脳や心臓などの緊急性が高い病気でもみられるため、迷わず119番を考える症状として案内されています。

暑い日に長時間帰ってこなかった場合は、熱中症にも注意します。発見時に返事がおかしい、自力で水を飲めない、意識がない場合は、涼しい場所へ移すだけで様子を見ず救急車を呼びます。

最初の一週間は、親を試すのではなく迷いやすい条件を探します

外出するたびに問い詰めると、本人は失敗を隠すようになることがあります。

一週間ほど、家族が分かる範囲で次の項目を書きます。

記録すること 書き方の例
外出した時刻 午後3時10分
行き先 駅前スーパー
外出の目的 牛乳と薬を買う
いつもの経路 郵便局前の交差点を通る
帰宅予定 午後4時
実際の帰宅時刻 午後5時20分
迷った場所 工事中の交差点付近
その日の条件 雨、夕方、寝不足
本人の説明 目印の薬局が見つからなかった

「一人で出かける資格があるか」を採点するための記録ではありません。

午前中なら問題ない、工事中の道だけ難しい、複数の用事を回ると混乱する、といった条件が分かれば、外出全体を止めずに危険な部分だけ変えられます。

買い物と銀行と通院を一度に済ませないようにします

外出に不安が出始めた時期は、一回の外出を一つの目的に絞ります。

出発前に決めること 具体例
今日の行き先 駅前スーパーだけ
買う物・すること 牛乳とパンを買う
通る道 交番と郵便局の前を通る道
家を出る時刻 午前10時
帰宅予定 午前11時
途中で休む場所 スーパー入口のベンチ
困ったときに入る場所 交番、いつもの薬局、店のサービスカウンター

「二つ目の角を右」のような数による説明より、「赤い看板の薬局を右」のように、本人が普段使っている目印の方が分かりやすいことがあります。

行きと帰りで別の道を使わず、しばらくは同じ経路を繰り返します。

外出前にそろえたいのは、連絡先・写真・帰宅時刻です

準備するもの 使い方
家族の連絡先カード 本人の名字と家族の電話番号を大きな文字で書く
本人が持つ身元確認用品 見守りシール、登録番号付きキーホルダーなどを衣服や持ち物へ付ける
携帯電話 家族へワンタッチで電話できるようにする
最近の顔写真 警察や地域支援へすぐ渡せるよう家族が保管する
全身写真 身長、体格、姿勢が分かるものを残す
当日の服装写真 玄関で上着、帽子、バッグを含めて一枚撮る
帰宅予定のメモ 家族の一人が行き先と時刻を把握する

自治体によっては、行方不明になる心配がある人の写真や特徴、緊急連絡先を事前に登録するSOSネットワークや、個人情報を表面に書かず身元確認につなげる見守りシールを用意しています。対象者、費用、登録先、必要な写真などは自治体ごとに異なります。

「迷子札」ではなく、具合が悪くなったときの連絡札として勧めます

連絡先カードや見守りシールは、家族には安全対策でも、本人には子ども扱いや監視のように感じられることがあります。

避けたい言い方 伝え直す例
迷子になるから名札を付けて 外で具合が悪くなったとき、私へ連絡してもらえる物を持たない?
勝手に遠くへ行かないで 帰りが遅いと心配だから、行き先だけ教えてね
GPSでいつも見ているから 困ったときだけ居場所を探せる方法を一緒に試したい
もう一人では無理でしょう 明るい時間といつもの道ならどうか、一緒に試そう
ポイント


出かけることを止めたいわけではないよ。
この前みたいに道が変わったとき、私へ連絡できる方法を一つ持ってほしいんだ。
財布に入れるカードと、バッグに付ける物なら、どちらが使いやすそう?

認知症の人や認知機能の低下が疑われる人についても、外出を含む日常生活では、本人の意思をできる限り丁寧にくみ取り、周囲が決定を支える考え方が示されています。安全のためでも、一方的に決めず、本人が持ち続けられる方法を一緒に選びます。

携帯電話は、持って出る・電話に出る・家族へかけるまで試します

携帯電話を持っているだけでは、迷ったときの連絡手段になるとは限りません。

新しい高機能な端末へ替えるより、本人が使い慣れた携帯電話を簡単な設定にした方がよい場合もあります。

電話へ出ないことや、端末を自宅へ置いて出ることも想定し、携帯電話だけへ安全を預けないようにします。

GPSを使うなら、本人が毎回持ち出せる場所を先に決めます

位置情報端末やスマートフォンの位置共有は、居場所を探す助けになります。

ただし、GPSがあれば必ず見つかるわけではありません。

契約・購入前に見ること 理由
どこへ入れるか バッグを替えた日に置いていかないか
充電頻度 本人や家族が無理なく続けられるか
位置の更新間隔 表示された場所と現在地に時間差がないか
屋内や地下での精度 建物内では位置がずれる場合がある
通知を受ける人 仕事中や夜間でも確認できる人がいるか
発見後に迎えへ行く人 位置が分かっても迎えが必要になる
料金 月額、検索、駆け付けなどの費用を分けて見る

本人へ知らせずバッグへ入れると、見つけたときに監視されたと感じ、以後持ち物を隠すことがあります。

「いつでも見るためではなく、帰れなくなったときだけ使う」など、家族が位置情報を見る条件を先に共有します。

SOSネットワークは、行方不明になる前に登録しておくと動きやすくなります

自治体のSOSネットワークでは、本人の顔写真や全身写真、身体的特徴、よく行く場所、緊急連絡先などを事前に登録し、行方不明時に警察や自治体、地域包括支援センター、交通機関、協力事業者などが早期発見へ向けて連携します。

登録に備えてまとめること 内容
顔写真 眼鏡や普段の髪形が分かる最近の写真
全身写真 体格、姿勢、歩き方が分かる写真
身体的特徴 身長、ほくろ、傷、眼鏡、補聴器など
よく行く場所 店、駅、公園、昔の家、以前の職場
移動方法 徒歩、自転車、バス、電車
緊急連絡先 実際に迎えへ行ける家族や支援者
体調に関する情報 持病、服薬、歩行上の注意

制度の名称や対象条件は地域で異なります。認知症の診断がなくても利用できる自治体や、事前登録がなくても行方不明時にネットワークを利用できる自治体があります。本人の住所を担当する地域包括支援センターか、市区町村の高齢者福祉担当へ現在の状況を伝えてください。

近所へ頼むのは「探して連れ帰ること」ではありません

本人が立ち寄る店や、付き合いのある近所の人へ、可能な範囲で協力を頼めることがあります。

ポイント


母が道に迷ったとき、この店を目印にしているようです。
一人で困っている様子があれば、こちらへ電話をいただけると助かります。
家まで送っていただく必要はなく、店内で待たせてもらえれば家族が迎えに行きます。

厚生労働省では、認知症を正しく理解し、地域で本人や家族をできる範囲で手助けする認知症サポーターの養成を進めています。スーパー、金融機関、交通機関などの職員が受講している地域もあります。

帰宅予定を過ぎても見つからないときは、家族だけで探し続けません

「警察へ連絡するのは大げさではないか」「もう少し探せば帰ってくる」と迷うことがあります。

行方不明者届には、何時間待たなければならないという条件はありません。

家の中や敷地、普段すぐ立ち寄る近所を短時間で見ても居場所が分からない場合は、早い段階で110番または警察署へ連絡してください。警視庁も、家族等が行方不明になった場合は、すぐに110番するか警察署へ届け出るよう案内しています。

SOSネットワークへ登録している場合は、まず警察へ連絡したうえで、自治体や地域包括支援センターなど所定の窓口へも連絡します。

警察へ電話する前に、当日の服装を思い出そうとしなくて済む形にします

警察へ伝えること 準備する内容
最後に見た時刻と場所 午後3時、自宅玄関を出た
外出の目的 駅前スーパーで買い物
服装 紺の上着、灰色のズボン、黒い帽子
持ち物 赤いバッグ、携帯電話、財布
身体的特徴 身長、体格、髪形、眼鏡、歩き方
移動手段 徒歩、自転車、交通系ICカードの有無
よく行く場所 スーパー、公園、以前住んでいた家
健康状態 持病、服薬、歩行の状態
本人の写真 最近の顔写真、全身写真、当日の服装写真

行方不明者届では、本人の写真や関係資料を求められるため、写真をすぐ出せる状態にしておくと説明しやすくなります。

交通系ICカード、位置情報端末、携帯電話の情報などを家族が把握している場合は、そのことも警察へ伝えます。家族だけで無理に追跡したり、危険な場所へ入ったりしないでください。

探す人と、家で待つ人と、電話を受ける人を分けます

役割 行うこと
警察への連絡 届出、追加情報、発見後の連絡を担当する
自宅待機 本人が帰宅した場合に迎え、固定電話へ出る
近隣の確認 普段の店、駅、公園などを安全な範囲で見る
自治体への連絡 SOSネットワークや地域包括支援センターへ伝える
情報の集約 家族や知人からの目撃情報を一人へ集める

家族全員が車や自転車で探しに出ると、本人が自宅へ戻ったときに誰もいないことがあります。

一人は自宅や電話の近くに残し、警察や関係者との連絡窓口も一人にまとめます。

SNSへ顔写真を出す前に、警察と共有範囲を話します

早く見つけたい気持ちから、氏名、顔写真、自宅住所、病気などをすぐSNSへ載せたくなることがあります。

しかし、公開した個人情報は、発見後も保存や転載が続く可能性があります。

都道府県を越えて保護された身元不明者の情報を公開し、照会へ対応している自治体もあります。まずは警察と自治体の仕組みを使い、家族だけで個人情報を広げすぎないようにします。

見つかった直後は、「なぜ迷ったの」と問い詰める前に体を見ます

何時間も探した後では、安心と怒りが一度に出てきます。

本人も道が分からず、知らない場所で怖い時間を過ごしていたかもしれません。

ポイント


見つかってよかった。まず座ろう。
痛いところや気分が悪いところはない?
帰って落ち着いてから、次は困らない方法を一緒に考えよう。

発見後は、警察、SOSネットワーク、地域包括支援センターなど、捜索を依頼したすべての窓口へ連絡します。

迷った場所ではなく、迷い始めた理由から次の外出を変えます

迷ったきっかけ 次回変えること
工事で目印がなくなった 新しい目印を本人と一緒に歩いて決める
帰る頃に暗くなった 午前中の外出へ変える
複数の用事を回った 一回一か所にする
携帯電話を置いて出た 玄関に「鍵・財布・電話」の札を置く
昔の家や職場へ向かった 本人が何をしに行こうとしたのか聞く
疲れて休んだ後に方向が分からなくなった 距離を短くし、決まった休憩場所を作る

「もう出歩かないで」と言うだけでは、本人が黙って外出するようになる場合があります。

本人が何をしようとしていたのかまで聞くと、買い物支援、散歩の同行、昔の知人への連絡など、外出の目的を別の方法で満たせることがあります。

一人で出かける条件は、できる・できないの二択にしません

現在の様子 外出方法の例
慣れた道なら帰宅できる 明るい時間、決まった店、連絡手段を持って一人で行く
ときどき道を間違える 家族が途中まで同行し、店内だけ一人で過ごす
近所でも繰り返し帰れない 家族、ヘルパー、地域支援者等と一緒に出かける
信号や車への注意が難しい 安全な公園や施設内など、歩く場所を変える
夜間に一人で出てしまう 生活リズムや外出理由を見直し、地域包括支援センターへ支援を相談する

認知症があっても、地域の人がさりげなく支えることで、外出や自分でできることを続けられる場合があります。危険を放置するのではなく、できる範囲を残しながら不足する部分を周囲が補う考え方です。

離れて暮らす子どもは、毎回の付き添いより連絡の仕組みを作ります

親と離れて暮らしていると、帰宅が遅れていること自体に気づけません。

毎日何度も電話をかける方法は、親子のどちらにも負担になりやすいため、外出時だけの決まりを作ります。

決めておくこと 例
外出時の連絡 玄関を出るときに短い電話をする
帰宅後の合図 電話、メッセージ、見守り機器のボタンを使う
連絡がない場合 近くに住む親族や協力者へ電話する
迎えへ行く人 近隣の家族、タクシー利用などを決める
緊急時の資料 写真、服装、行き先、警察へ伝える事項を家族で共有する

高齢の配偶者だけが一緒に暮らしている場合も、捜索と連絡を一人へ集中させません。

近くの家族、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどへ、行方が分からなくなった経験をあらかじめ共有します。

今日するのは、玄関へ鍵を増やすことではありません

今日は、次の三つだけ準備してください。

次の外出では、行き先、帰宅予定、当日の服装を一人の家族と共有します。

見守りの目的は、親が外へ出ないようにすることではありません。

道が分からなくなったときに、本人が助けを求められ、家族や地域が早く動けるようにすることです。

買い物や散歩には、運動だけでなく、自分で品物を選ぶこと、人と挨拶すること、季節を感じることも含まれています。

その生活を残しながら、危険が増えた部分だけに支えを足していきます。

まずは「もう一人で出ないで」と言う前に、親が必ず持って出る物を一つ見つけ、そこへ家へ戻るための連絡先を入れるところから始めてください。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. 高齢の親が一度道に迷ったら、一人で外出させない方がよいですか?

一度の出来事だけで全面禁止にせず、迷った場所、時間帯、道路工事、体調などの条件を見ます。ただし、近所でも繰り返し帰れない、交通事故につながりかけた場合は、同行や地域の支援を早めに増やしてください。

Q. 親が帰ってこないとき、何時間待って警察へ連絡すればよいですか?

一定時間待たなければならない決まりはありません。家や普段の立ち寄り先を短時間確かめても居場所が分からない場合は、家族だけで探し続けず、すぐ110番または警察署へ連絡してください。

Q. 認知症の診断がなくてもSOSネットワークへ登録できますか?

対象条件は自治体によって異なり、認知症の疑いがあり行方不明になる心配がある人を対象とする地域もあります。親の住所を担当する地域包括支援センターか、市区町村の高齢者福祉担当へ実際に起きたことを伝えてください。

Q. GPSを持たせれば、親が迷っても必ず見つかりますか?

端末を持たずに出た場合や、充電切れ、建物内などでは位置を把握できないことがあります。GPSだけに頼らず、連絡先カード、最近の写真、SOSネットワークへの登録と組み合わせます。

Q. 親が見守りシールや連絡先カードを嫌がるときはどうしますか?

「迷子になるから」ではなく、「外で具合が悪くなったとき、家族へ連絡してもらうため」と目的を伝えます。衣服に付けるのが嫌なら、財布、靴、いつものバッグなど、本人が自然に持てる場所を一緒に選んでください。

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