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遠距離介護で緊急時に行けないとき|駆けつける前に作る対応表

2026.07.27 更新 なやみ晴れ編集部
#介護#介護・見守り#認知症相談
この記事の結論

遠距離介護の緊急時は、家族が最初に駆けつける前提をやめ、119番、現地で確認する人、ケアマネジャー、遠方家族の役割を先に決めます。親の医療情報と連絡先を一枚にまとめ、鍵の扱いと「何分連絡が取れなければ動くか」まで共有しておきましょう。

夜9時、親からではなく近所の方から電話がかかってきます

「お母さまが玄関の前で座り込んでいます。声は出ていますが、立てないようです」

実家までは新幹線を乗り継いで四時間。今から向かっても、その日のうちには着けません。

母へ電話をかけても出ない。近所の方も、家の中へ入ってよいのか分からない。救急車を呼ぶほどなのかも判断できません。

「すぐ行きます」と言いたくても、実際には行けない。

その瞬間、遠くに住んでいることへの罪悪感と、何を指示すればよいか分からない焦りが一度に押し寄せます。

遠距離介護の緊急時に必要なのは、家族が何時間かけてでも最初に現地へ着くことではありません。

本人の近くにいる人が安全を確かめ、必要なら救急へつなぎ、遠方の家族が情報と連絡をまとめることです。

「緊急時は帰省する」だけでは、到着するまでの時間が空白になります

家族が遠方にいる場合、親の異変が起きてから到着するまでに、数時間から半日以上かかることがあります。

その間に必要なのは、次の四つです。

これを一人の近所の方やケアマネジャーへ全部頼むのではなく、役割ごとに分けます。

起きたことを「赤・黄・青」の三段階へ分けます

段階 状況の例 最初の行動
赤:生命に関わる可能性 意識がない、呼吸がおかしい、急に片側の手足が動かない、強い胸痛、大量出血 家族への連絡より119番を優先する
黄:当日中の確認が必要 転倒して痛みがある、食事や水分が取れない、発熱が続く、薬を多く飲んだ可能性 本人の様子を現地で見てもらい、医療機関や救急相談へつなぐ
青:急変ではないが放置しない 冷蔵庫が空、薬が残っている、受診を忘れた、支払いが止まりそう 次の訪問や介護サービスの調整へ回す

突然の激しい頭痛、急な呼吸困難、顔や手足の片側の異変、ろれつが回らない、支えなしで立てないほどの急なふらつきなどは、迷わず救急車を呼ぶ症状として厚生労働省から案内されています。家族へ相談してからではなく、その場にいる人が119番へ連絡するよう決めておきます。

救急車を呼ぶか、今すぐ受診するか迷う場合は、実施地域では救急安心センター「#7119」で、医師、看護師、救急救命士などから助言を受けられます。緊急性が高いと判断された場合は、119番への案内も行われます。

電話を受けたら、「誰が悪いか」より六つの事実を聞きます

親や近所の方から連絡が来ると、家族は「なぜもっと早く言わなかったの」と聞きたくなります。

最初は、次の六つだけを確かめてください。

聞くこと 質問例
現在地 「今は家の中ですか。外ですか」
意識 「名前を呼ぶと返事をしますか」
呼吸 「息苦しそうですか。普段どおり話せますか」
けが・症状 「どこが痛いですか。出血はありますか」
動けるか 「自分で立てますか。無理に起こしていませんか」
現地にいる人 「今そばにいる人と、連絡先を教えてください」

答えがはっきりしない、本人と直接話せない、様子が明らかにおかしい場合は、遠方の家族が詳しい判断をしようとせず、現地から119番へ連絡してもらいます。

「大丈夫」と言う親の言葉だけで電話を終えないようにします

親は、子どもを呼び戻したくない、入院したくない、近所に知られたくないという思いから、「大丈夫」と答えることがあります。

次のように、行動で確かめます。

遠方から電話だけで安全を断定するのは難しいため、転倒や急な体調変化があった場合は、近くの人、訪問看護、介護事業所など、実際に本人を見られる人へつなぎます。

現地で最初に動く人を、家族以外から一人決めておきます

候補 頼める可能性があること 事前に決めること
近所の親族 様子の確認、救急隊の迎え、戸締まり 不在時の第二候補
信頼できる近所の人 外からの確認、呼びかけ、緊急通報 家へ入る範囲と連絡先
ケアマネジャー 介護サービスの調整、関係者への情報共有 営業時間外の連絡方法と対応範囲
訪問介護・訪問看護 訪問時の状態確認、事業所への報告 予定外の訪問が可能か、緊急時の連絡方法
住宅の管理人・大家 建物の共用部確認、救急隊への案内 居室への立入り条件
配食・見守り担当者 訪問時に応答がない場合の連絡 何回応答がなければ家族へ知らせるか

近所の人へ、救急対応や身体介助まで背負わせる必要はありません。

「呼び鈴を押して返事があるか見る」「倒れていたら119番へ連絡する」という小さな役割で十分です。

連絡先の中心は、親の地域にある窓口へ置きます

介護認定前やケアマネジャーがいない場合は、親の住所地を担当する地域包括支援センターへ連絡します。

地域包括支援センターは、すべての市町村に設置されている高齢者の総合相談窓口で、保健・医療・介護、権利擁護、地域の支援などを扱います。遠方に住む家族からも、親が暮らす地域の支援について相談できます。

電話では、漠然と「遠いので心配です」と言うより、緊急時の空白を伝えます。

「母は一人暮らしで、私は片道四時間の場所に住んでいます。転倒してもすぐ行けません。近くに親族はおらず、現在は介護サービスもありません。連絡が取れないときに使える見守りや、介護認定前でも相談できる支援を知りたいです」

ケアマネジャーへは、「緊急時に全部対応してほしい」と頼みません

ケアマネジャーは、家族の代わりに24時間駆けつける人ではありません。

一方で、親の状態、利用サービス、関係事業所を知り、介護体制を調整する中心になれる人です。

次の内容を一緒に決めます。

夜間や休日の対応範囲は、事業所によって異なります。「緊急時はケアマネジャーへ」と書くだけでなく、営業時間外はどこへ連絡するのかも聞いてください。

鍵は「誰かが持っている」ではなく、使える条件まで決めます

親が家の中で倒れていても、玄関が開かなければ、現地へ着いた人が入れません。

しかし、安全のためとはいえ、本人に内緒で合鍵を配ると、親との信頼を損ねることがあります。

決めること 記入例
合鍵を持つ人 近所の姉と長女
使ってよい条件 電話と呼び鈴に応答がなく、家族が立入りを依頼したとき
鍵の保管方法 施錠できる場所。玄関周辺へ無造作に置かない
使用後の報告 入室した人、時刻、目的を家族へ知らせる
本人への説明 救急時だけ使うことを、本人と共有する

鍵ボックスなどを使う場合も、設置場所、暗証番号を知る人、番号を変える時期を決めます。

賃貸住宅や集合住宅では、管理人や管理会社の対応範囲も先に聞いてください。

冷蔵庫や玄関に置く緊急情報は、一枚で読める量にします

記載する情報 内容
本人情報 氏名、生年月日、住所
家族連絡先 第一・第二連絡先、続柄
医療情報 持病、アレルギー、かかりつけ医
服薬 お薬手帳の保管場所
介護情報 ケアマネジャー、利用事業所
生活上の注意 認知症、難聴、歩行、意思疎通の特徴
保険証類 保管場所のみ。番号を不用意に掲示しない
鍵 管理者と連絡方法

通帳、暗証番号、詳しい財産情報まで掲示する必要はありません。

救急隊や現地の支援者が、本人の安全を確かめるために必要な情報へ絞ります。

内容が古いままにならないよう、受診先、薬、家族の電話番号が変わったときに更新してください。

親の同意を得て、支援者同士が連絡できる状態を作ります

家族だけが、ケアマネジャー、訪問看護、近所の人、主治医の連絡先を持っていても、現地の人同士がつながらなければ対応が遅れます。

本人が意思を伝えられるうちに、次の共有について話します。

「全部の情報を皆へ知らせる」のではなく、それぞれの役割に必要な範囲だけ共有します。

病院から電話が来たら、すぐ出発する前に到着期限を聞きます

「お母さまが救急搬送されました」と病院から連絡が来ると、家族は荷物を詰め始めます。

その前に、次の内容を聞いてください。

聞くこと 質問例
現在の状態 「意識はありますか。緊急処置中ですか」
入院の見込み 「入院になりますか。帰宅の可能性もありますか」
家族が必要な時刻 「家族は何時までに到着する必要がありますか」
電話でできること 「到着までに電話で伝える情報はありますか」
必要な物 「保険証類や薬は、いつまでに必要ですか」
連絡担当 「今後は、どの部署のどなたへ連絡すればよいですか」

家族の到着が翌日になる場合は、隠さず具体的に伝えます。

「実家まで四時間かかり、最短で明日の午前になります。今夜中に家族が必要な手続きはありますか。電話で対応できることを教えてください」

病院や本人の状態によって対応は異なります。遠方だからと自分で「行かなくてもよい」と決めず、医療機関が家族へ求めていることと期限を聞いてください。

入院時の持ち物は、近くの人が全部用意する前提にしません

救急搬送後、病院から着替えや日用品を求められることがあります。

事前に小さな入院用バッグを作っておくと、現地の人が家中を探さずに済みます。

貴重品や大量の現金は入れません。

バッグの場所を、本人、家族、必要な支援者で共有します。

家族が行けない一晩を、誰がつなぐか決めておきます

起きたこと 当面必要な対応 事前に考える人・サービス
軽いけがで帰宅した 食事、薬、夜間の見守り 近隣親族、訪問介護、見守りサービス
配偶者が入院し、一人になった 一人で生活できるかの確認 ケアマネジャー、地域包括支援センター
主介護者が急病になった 介護サービスの増加や宿泊先 ケアマネジャー、ショートステイ
退院したが一人では不安 退院当日の生活支援 病院の退院支援担当、介護事業所
認知症の混乱が強い 安全な場所と見守り 医療機関、地域包括支援センター、介護事業所

「何かあればショートステイへ」と考えていても、当日に必ず空きがあるとは限りません。

短期入所生活介護は、施設へ短期間宿泊し、食事や入浴などの日常生活上の支援を受けるサービスです。家族の介護負担を軽くする目的もありますが、実際の利用には本人の状態、空床、受入条件、ケアプランなどの確認が必要です。

緊急時に初めて施設を探すのではなく、利用候補、申込み方法、送迎の有無をケアマネジャーへ聞いておきます。

介護サービスの「営業時間外」を家族で把握します

支援者・サービス 聞いておきたいこと
ケアマネジャー 休日・夜間に連絡できる番号があるか
訪問介護 予定外の訪問へ対応できるか
訪問看護 緊急時訪問の契約があるか
配食サービス 応答がないとき、誰へ連絡するか
見守りサービス 異常検知後、現地確認まで含むか
ショートステイ 緊急利用の相談方法と受入条件

契約しているだけで、24時間すべての異変へ駆けつけてもらえるとは限りません。

「夜間に転倒した場合」「電話に応答がない場合」など、場面を示して聞いてください。

きょうだいの役割は、親からの距離だけで決めません

役割 担当例
現地確認 親に最も近い親族
病院との連絡 医療情報を把握している家族
交通・宿泊手配 遠方からオンラインで動ける家族
介護事業所との連絡 ケアマネジャーと普段やり取りする家族
費用の記録 領収書や立替金をまとめる家族
親族への連絡 情報を一つにまとめて伝える家族

親に最も近い人へ、現地確認、病院、荷物、家の管理をすべて任せないようにします。

遠方にいる人も、病院への電話、交通手配、情報共有、費用管理を担えます。

誰が親族へ説明するかを一人に決めます

緊急時に複数の家族が病院へ電話すると、情報が食い違ったり、医療者の負担になったりすることがあります。

連絡の中心を一人決め、次の項目を家族のグループへ共有します。

「何か分かったら連絡する」ではなく、「次は午後11時に共有する」と時間を決めると、電話が集中しにくくなります。

仕事を休む制度は、急変後に初めて調べないようにします

要件を満たす労働者は、対象家族の介護や世話のために介護休暇を利用できます。通院の付き添いや介護サービスの手続き、ケアマネジャーとの短時間の打ち合わせにも使え、対象家族一人なら年5日、二人以上なら年10日まで、原則として時間単位で取得できます。休暇中を有給とするか無給とするかは勤務先の規定によります。

急な電話を受けた日に慌てないよう、勤務先へ次の点を聞いておきます。

職場へ親の病名や家庭事情をすべて話す必要はありません。「遠方の親に緊急対応が生じたときの制度を知りたい」と、人事・労務窓口へ尋ねます。

緊急帰省の費用は、家族の善意だけで払わないようにします

急な新幹線、飛行機、宿泊、タクシーが重なると、一度の帰省でも負担が大きくなります。

決めること 例
親本人が負担する費用 医療・介護、本人の生活に必要な物
家族で分ける費用 緊急帰省の交通費、宿泊費
立替えの記録 支払った人、日付、目的、領収書
緊急用の予算 一回の帰省と数日の滞在を想定した額
精算日 月末または退院後に家族で共有

親のお金から支払う場合も、家族が自由に口座を動かせるとは限りません。

平常時から、緊急時の費用をどのように払うか、本人と話しておきます。

緊急時の会話を、一度だけ家族で練習します

紙の連絡表を作っても、使ったことがなければ、いざというときに誰も見つけられないことがあります。

「日曜の夜、親が電話へ出ず、配食の弁当も玄関に残っている」という場面を想定し、家族で順番を確認します。

  1. 誰が親へ電話するか
  2. 何分応答がなければ現地確認を頼むか
  3. 誰へ現地確認を依頼するか
  4. 家へ入る鍵はどこにあるか
  5. どの状態なら119番へ連絡するか
  6. ケアマネジャーや支援者へ誰が伝えるか
  7. 遠方家族は何時に出発するか

十分程度、口に出して確認するだけで、連絡先や鍵の問題が見つかります。

備えを見直すのは、介護度が変わったときだけではありません

緊急連絡表へ古い番号が残っていると、備えがあるつもりでも連絡できません。

半年に一度、または生活の変化があったときに、本人と一緒に見直してください。

遠距離のまま続けることが難しくなったサインがあります

起きていること 次に考えること
週に何度も緊急連絡が入る 訪問回数や住まいを含む介護体制の見直し
本人が救急要請できない 定期訪問、見守り、同居以外の住まい
夜間に一人で過ごせない 宿泊を含むサービス、施設・住まいの検討
現地で動く人がいない 地域資源や民間サービスを含む再構築
家族が仕事を続けられない 介護休業、サービス増加、役割分担
本人が食事・服薬・排せつを維持できない 在宅生活を続ける条件そのものの再検討

遠距離介護が難しくなったからといって、すぐ同居か施設かを決める必要はありません。

訪問、通い、宿泊を組み合わせる介護サービスなどもあり、地域の事業所は介護サービス情報公表システムで調べられます。利用できるサービスや空き状況は地域によって異なるため、ケアマネジャーや地域包括支援センターと現実的な組み合わせを考えてください。

今日することは、次の緊急帰省の切符を調べることではありません

まず、紙を一枚用意し、次の五行を書いてください。

空欄があれば、そこが最初に備える場所です。

現地で動く人がいなければ、親の住所地の地域包括支援センターへ電話する。

鍵が曖昧なら、本人と保管方法を話す。

医療情報がまとまっていなければ、お薬手帳と家族連絡先を同じ場所へ置く。

今日できるのは、そのうち一つで構いません。

緊急時にすぐ行けないことは、親を見捨てているという意味ではありません。

離れた場所から119番や支援者へ正確につなぐこと、病院との連絡をまとめること、到着までの生活を途切れさせないことも介護です。

家族が到着するまで何も始まらない体制をやめれば、距離があっても対応できる余地は増えます。

まずは「私が行くまで待って」ではなく、「私が着く前に誰が何をするか」を一枚に書くところから始めてください。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. 遠距離介護で親が救急搬送されたら、すぐ病院へ行かなければいけませんか?

まず病院へ、親の現在の状態、入院の見込み、家族が必要となる時刻を聞きます。到着まで数時間かかることを伝え、電話で提供する情報や、先に用意すべき物を確認してください。

Q. 一人暮らしの親と連絡が取れないとき、何時間待てばよいですか?

一律の待ち時間はありません。普段の連絡時間を過ぎ、電話や呼び鈴に応答せず、近くの人も様子を確かめられない場合は、長く待たず現地確認や警察・消防への連絡を検討してください。

Q. 遠方の家族から地域包括支援センターへ相談できますか?

親の住所地を担当する地域包括支援センターへ、離れて暮らす家族から相談できます。親の状態、家族が到着するまでの時間、近くで動ける人の有無を伝えると、地域で利用できる支援を検討しやすくなります。

Q. 緊急時に備えて、近所の人へ合鍵を渡してもよいですか?

本人の同意を得て、持つ人、使ってよい条件、使用後の報告方法を決めます。玄関周辺へ無造作に隠さず、賃貸住宅では管理会社の対応も先に確認してください。

Q. 家族がすぐ行けないとき、親を緊急でショートステイへ預けられますか?

ショートステイは短期間の宿泊と生活支援を受けるサービスですが、当日の空床、本人の状態、受入条件などによって利用できない場合があります。平常時からケアマネジャーへ候補施設と緊急利用の手順を聞いておきましょう。

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