「近所の店まで」と出た親が、いつもの時間を過ぎても帰りません
午後三時、父が財布と買い物袋を持って家を出ます。
行き先は、歩いて十分ほどのスーパーです。何年も通っている店なので、家族も最初は気にしていませんでした。
ところが、四時を過ぎても戻りません。
携帯電話へかけても出ない。店へ電話すると、「今日は見かけていないと思います」と言われます。
家族で近所を探し始めるものの、どちらへ向かったのか分かりません。
「もっと早く探せばよかった」
「一人で行かせた自分が悪かった」
「もう玄関から出ないようにした方がいいのでは」
無事に帰ってきたあとも、次の外出をどうするかで家族の意見が割れます。
外へ出さなければ、行方不明になる心配は減るかもしれません。
しかし、本人にとって買い物は、食べたい物を選ぶ時間であり、店員と話す機会であり、「まだ自分で生活できる」と感じられる行動でもあります。
安全を守りたい家族と、自分の暮らしを続けたい親。どちらかが間違っているのではありません。
必要なのは、一人外出をすべて認めるか、完全に禁止するかをその場で決めることではなく、どこまでなら安全に続けられるかを具体的に見直すことです。
外出できるかどうかは、「認知症だから」だけでは決まりません
同じ認知症という診断があっても、できることや苦手なことは人によって違います。
一人で外出できるかを考えるときは、記憶だけでなく、道順、時間、判断、身体の状態を分けて見ます。
| 見たいこと | 比較的保たれている状態 | 見守りを増やしたい変化 |
|---|---|---|
| 外出の目的 | 行き先と買う物を説明できる | 出たあとに目的を忘れる、説明が毎回答えと違う |
| 道順 | いつもの道を往復できる | 曲がる場所を間違える、近所で迷う |
| 時間 | おおよその帰宅時間を意識できる | 夕方や夜になっても帰ろうとしない |
| 困ったときの行動 | 店員や近所の人へ助けを求められる | 自宅の住所や家族の連絡先を伝えられない |
| 交通安全 | 信号や車、自転車に注意できる | 車道へ出る、信号を見ずに渡る |
| 身体の状態 | 歩行が安定し、休憩や水分を取れる | 転倒、息切れ、強いふらつきがある |
| 持ち物 | 鍵、連絡先、必要な現金を持てる | 鍵や財布を頻繁になくす、季節に合わない服で出る |
厚生労働省の意思決定支援に関する考え方でも、認知症の人が自らの意思に基づいて日常生活や社会生活を送れるよう、本人の能力を生かしながら周囲が支えることが示されています。外出も、診断名だけで一律に決めるのではなく、本人の意思と現在できることを見ながら考える生活場面の一つです。
「目的のある外出」と「帰れなくなる外出」を分けて見ます
家族には意味が分からない外出でも、本人の中では理由があることが少なくありません。
以前勤めていた会社へ行こうとしている。昔住んでいた家へ帰ろうとしている。子どもの迎えに行かなければと思っている。
現在の事実とは合わなくても、本人の記憶の中では筋の通った行動です。
| 本人の言葉や行動 | 背景として考えたいこと | 家族の対応例 |
|---|---|---|
| 「仕事へ行く」 | 長年の出勤習慣、役割を果たしたい気持ち | 否定せず、何時にどこへ行くつもりかを聞く |
| 「家へ帰る」 | 昔の家を思い出している、今いる場所に落ち着かない | どの家を思い浮かべているかを聞き、不安の原因を見る |
| 夕方になると外へ出る | 帰宅時間の習慣、疲れや落ち着かなさ | 夕方前に散歩や用事を入れ、時間帯をずらす |
| 何度も買い物へ行く | 買ったことを忘れる、店員との会話を求めている | 買い物メモや回数だけでなく、外出の楽しみも残す |
| 行き先を言わず急いで出る | トイレ、痛み、不安、誰かを探す気持ち | 出口で詰問せず、困っていることを短く聞く |
「どこへ行くの」「何度言えば分かるの」と強く止めると、本人が家族に知られないよう外へ出ることがあります。
まず、外へ出る理由、出やすい時間、向かう方向を記録してください。
理由が分かれば、外出そのものを止めずに、時間帯や付き添い方を変えられる場合があります。
一人外出の段階を、四つに分けて見直します
| 現在の段階 | 外出の例 | 考えられる支え方 |
|---|---|---|
| 一人で往復できる | 決まった店や公園へ行き、ほぼ予定どおり帰る | 行き先と帰宅予定を共有し、連絡先を持つ |
| 少し迷うことがある | 道を一本間違える、帰宅が以前より遅くなる | 昼間の決まった道に限定し、位置情報手段を加える |
| 見守りがあれば出かけられる | 目的地までは行けるが、帰り道に迷う | 片道だけ同行する、店で待ち合わせる、支援者と出る |
| 一人外出の危険が高い | 交通事故、長時間の行方不明、警察保護を経験している | 一時的に単独外出を避け、医療・介護職と生活全体を組み直す |
段階は一度決めたら固定ではありません。
体調の悪い日、道路工事がある日、日没が早い季節には難しくなり、体調が整い、同行者や地域の支えが増えれば再び外出できることもあります。
いつもの道でも迷い始めたサインを見落とさないようにします
- 帰宅までの時間が以前より長くなった
- 同じ店へ行くのに反対方向へ歩く
- 知らない人に連れられて帰宅することが増えた
- 玄関の鍵を開けられず、家の前で立っている
- 外出した目的や買った物を説明できない
- 自宅の住所や家族の名前が出てこない
- 季節や天候に合わない服装で出る
- 夕方から夜に出ようとすることが増えた
- 財布や携帯電話を持たずに出る
- 警察や店から家族へ連絡が来たことがある
一つ当てはまっただけで、外出禁止にする必要はありません。
ただし、複数の変化が重なっている場合は、家族の注意だけで支え続ける段階から、地域や介護の支援を加える段階へ移っています。
急に迷うようになった場合は、認知症の進行だけと考えないでください
昨日まで一人で帰れていた親が、数日のうちに急に道を間違えるようになった場合は、生活上の変化も見ます。
- 発熱や体調不良がある
- 食事や水分が取れていない
- 眠れない日が続いている
- 薬が追加・変更された
- 転倒して頭を打った可能性がある
- 会話や歩き方が急に変わった
- 引っ越し、入院、家族との死別など環境が変わった
急な混乱に加えて、意識が弱い、ろれつが回らない、片側の手足が動かしにくい、立てないなどの異変がある場合は、外出の見守り方法を考えるより先に、119番などの緊急対応を優先します。
緊急性はなくても、急な変化が続く場合は、起きた日時と様子を記録して、かかりつけ医へ伝えてください。
本人に禁止を伝える前に、何が一番危ないのかを一つ選びます
| 家族が心配していること | 外出を全部止めずにできる対応 |
|---|---|
| 帰り道が分からなくなる | 決まった道に限定し、途中で待ち合わせる |
| 車との事故 | 交通量の少ない時間や道を選び、横断歩道まで同行する |
| 転倒 | 歩行状態を見てもらい、靴や休憩場所を見直す |
| 熱中症や寒さ | 気温の厳しい時間を避け、短時間にする |
| 買い過ぎや金銭トラブル | 持つ現金を必要な範囲にし、よく行く店と連絡方法を共有する |
| 行方不明 | 帰宅基準、最近の写真、位置情報、地域の見守りを用意する |
「危ないから外へ出ないで」だけでは、親にとって何を変えればよいのか分かりません。
危険を一つに絞れば、「今日は暑いから夕方にしよう」「帰りだけ迎えに行くよ」と、具体的な提案ができます。
親を責めずに外出方法を変える会話があります
| 避けたい言い方 | 伝えやすい言い方 |
|---|---|
| 「もう一人では出歩かないで」 | 「買い物は続けたいよね。帰りだけ店で待ち合わせない?」 |
| 「この前も迷子になったでしょう」 | 「この前は帰り道が大変だったから、次は昼間に行こう」 |
| 「GPSを持たないなら外出は禁止」 | 「迎えに行きやすいよう、これを持ってもらえると助かる」 |
| 「家族に迷惑をかけないで」 | 「出かけることは止めたくないから、帰る目安を一緒に決めたい」 |
| 「認知症だから無理」 | 「今できる道と、付き添いがあると安心な道を分けよう」 |
本人が「一人で大丈夫」と言ったら、言い争うより、短い距離で一緒に試してみます。
家から店まで後ろから付いていき、曲がる場所、信号、支払い、帰り道をどこまで一人でできるかを見ます。
できたことを認めたうえで、難しかった部分だけ支える方が、本人も受け入れやすくなります。
外出前の持ち物は、本人が毎日使える数に絞ります
| 持ち物 | 準備のポイント |
|---|---|
| 連絡先カード | 本人の名前、家族の電話番号など必要最小限を書く |
| 携帯電話 | 操作できる機種にし、よく使う連絡先を少なくする |
| 位置情報端末 | 本人が毎日持つ靴、かばん、服などに合う方法を選ぶ |
| 鍵 | 本人が分かる定位置にし、予備を信頼できる人へ預ける |
| 必要な現金 | 紛失しても生活全体に影響しにくい額にする |
| 季節に合う物 | 帽子、飲み物、防寒具などを外出前に見える場所へ置く |
身元が分かる物を持つことに抵抗を感じる親もいます。
「迷子札」と呼ばず、「倒れたときに家族へ連絡してもらうカード」など、本人が受け入れやすい説明を考えてください。
認知症があっても、本人の意思をできる限り確かめ、外出の希望を実現する方法を一緒に選ぶ姿勢が基本になります。
GPSは外出を防ぐ道具ではなく、迎えに行くための手掛かりです
位置情報が分かっても、本人が端末を持っていなければ探せません。
電池が切れている、家へ置いたまま出た、建物内などで位置が分かりにくいといったことも考えて、GPSだけへ任せないようにします。
| 選ぶときの視点 | 家族で確かめること |
|---|---|
| 携帯方法 | 毎日必ず履く靴や使うかばんなど、忘れにくい場所か |
| 充電・電池 | 誰が、どの曜日に確認するか |
| 位置の確認 | 何人の家族が操作できるか |
| 通知機能 | 自宅周辺を出たときなど、必要な通知を設定できるか |
| 発見後の対応 | 位置が分かったとき、誰が迎えに行くか |
| 本人の納得 | 何のために持つかを本人へ説明できているか |
自治体によっては、認知症により行方不明になるおそれのある人を対象に、GPS端末の貸与や利用料の助成などを行っています。対象、費用、家族が迎えに行けることなどの条件は自治体ごとに異なります。
購入前に、親の住所地の地域包括支援センターや高齢者担当窓口へ、自治体の制度があるかを聞いてください。
最近の写真は、証明写真ではなく普段の全身を残します
行方が分からなくなったとき、何年も前の顔写真だけでは、現在の本人と印象が違うことがあります。
月に一度程度、本人の同意を得て、普段の姿を撮っておくと伝えやすくなります。
- 顔が分かる正面または斜め前からの写真
- 身長や体格が分かる全身写真
- 普段使う帽子、眼鏡、杖
- よく履く靴
- いつも持つかばんや上着
外出した日の服装も、すぐ説明できるようにします。
本人を監視するために毎回無断で撮影するのではなく、「家族写真を撮ろう」「今日の服、似合っているから撮らせて」など、本人との関係を損なわない方法を選びます。
家族だけが知っている「よく行く場所」を一枚にします
| 記録する場所 | 例 |
|---|---|
| 現在よく行く場所 | スーパー、薬局、公園、喫茶店 |
| 以前通っていた場所 | 勤務先、学校、昔の自宅 |
| 親しい人の家 | きょうだい、友人、近所の知人 |
| 交通機関 | よく使う駅、バス停、路線 |
| 気持ちが不安定なときに向かう場所 | 墓地、病院、配偶者との思い出の場所 |
「いつもスーパー」と思っていても、本人は昔の勤務先やすでにない実家へ向かうことがあります。
本人の生活歴を知るきょうだいや古い友人にも、思い当たる場所を聞いてください。
帰宅を待つ時間は、家族の感覚ではなく基準を決めます
普段は四十分で戻る親を、二時間待ってから探し始めるのか。
一時間遅れた時点で連絡するのか。
毎回判断が変わると、家族は「まだ待つべきか」で時間を使います。
| 決めること | 記入例 |
|---|---|
| 普段の外出時間 | スーパーなら往復四十分 |
| 家族が連絡を始める時刻 | 予定より二十分遅れたら携帯へ電話する |
| 近所を確かめる時刻 | 電話に出ず三十分遅れたら店と道を確認する |
| 警察へ連絡する条件 | 所在が分からない、夜間、悪天候、体調不良など |
| 最初に動く家族 | 長女が警察、長男がよく行く店へ連絡する |
具体的な時間は、親の体調、普段の行動範囲、気温、時間帯によって変わります。
「何時間待つのが正解か」ではなく、普段より明らかに遅い、連絡が取れない、行き先にいないという変化が重なった時点で行動します。
帰ってこないときは、家族全員が同じ道を探さないようにします
所在が分からないときは、次の順番で役割を分けます。
| 担当 | 行うこと |
|---|---|
| 自宅待機 | 本人の帰宅、電話、警察からの連絡に備える |
| 警察への連絡 | 写真、服装、持ち物、健康状態、行き先を伝える |
| 近隣確認 | よく行く店、公園、駅、バス停へ連絡する |
| 位置情報確認 | GPSや携帯電話の位置を確かめ、警察と共有する |
| 支援者への連絡 | ケアマネジャー、地域包括支援センター等へ状況を伝える |
家族全員が自宅を離れると、本人が戻ったときに誰もいない状態になります。
誰がどこを探したかをメッセージなどで共有し、同じ場所を繰り返し回らないようにします。
「もう少し待ってから」ではなく、所在が分からなければ警察へ連絡します
認知症の親が帰ってこないとき、「大げさだと思われないか」「近所を全部探してからの方がよいか」と迷う家族がいます。
警視庁は、家族などが行方不明になった場合、すぐに110番するか警察署へ届け出るよう案内しています。24時間待つ必要はありません。届出時には、行方不明者の写真や関係資料を持参するよう示されています。
緊急性がある場合は110番へ連絡し、届出先や手続きが分からない場合は最寄りの警察署へ尋ねてください。緊急ではない警察相談には「#9110」も案内されています。
警察へ伝えられるよう、次の内容を一枚にまとめます。
- 氏名、生年月日、住所
- 身長、体格、髪形、眼鏡、杖などの特徴
- 当日の上着、ズボン、靴、帽子
- かばん、財布、携帯電話などの持ち物
- 自宅を出た時刻と方向
- 行くと話していた場所
- よく行く場所、以前住んでいた場所、元勤務先
- 持病、服薬、歩行状態
- 位置情報端末の有無
- 現在の写真
一度無事に帰宅した経験があっても、次も同じ結果になるとは限りません。
家族だけで探す時間を長く取らず、所在が分からない段階で警察へ知らせてください。
地域のSOSネットワークは、行方不明になる前に登録できる場合があります
自治体によっては、認知症の人が行方不明になった場合に、警察、行政、地域の協力機関などで情報を共有する見守り・SOSネットワークを設けています。
事前に本人の特徴や写真を登録できる地域、二次元コードなどの見守り用品を配布する地域、GPS利用を支援する地域などがあります。
厚生労働省も、認知症の人の行方不明に備え、地域の見守り体制、SOSネットワーク、警察や関係機関との連携に関する手引きや取組事例を公開しています。
親の住所地の窓口へは、次のように尋ねてください。
「認知症の父が一人で買い物へ行き、最近帰り道を間違えました。行方不明になる前に登録できる見守りネットワーク、GPS助成、身元確認用品はありますか」
制度名や対象年齢、登録に必要な本人の同意、共有される情報の範囲は地域によって異なります。
地域包括支援センターには、外出を止める方法ではなく続ける条件を尋ねます
地域包括支援センターは、すべての市町村に設置されている高齢者の総合相談窓口です。認知症、介護、医療、地域の支援などについて相談し、必要に応じて認知症疾患医療センターや認知症初期集中支援チームなどと連携します。本人が同行しなくても、家族から状況を伝えられます。
電話では、「外出をやめさせたい」と結論だけを伝えず、現在の状況を具体的に話します。
「一人暮らしの母は毎日同じスーパーへ行きます。先月から帰宅が一時間ほど遅れる日が増え、先週は近所の方に送られて帰りました。本人は買い物を続けたいと言っています。一人で行ける範囲と、見守りを付ける方法を一緒に考えたいです」
本人の外出を支えられる地域資源や、見守り登録、介護サービス、医療機関への伝え方を聞いてください。
ケアマネジャーには、家の中の介護だけでなく外出の様子も伝えます
介護サービスを利用している場合は、次の情報をケアマネジャーへ共有します。
- 外出する時間帯と回数
- よく行く場所
- 帰宅が遅れた回数
- 道に迷った、保護された経験
- 家族が付き添える曜日
- 本人が外出で続けたいこと
- 見守り機器への本人の反応
通所サービスを利用する、支援者との外出を取り入れる、買い物同行を検討するなど、本人が外へ出る機会を残しながら危険な時間帯を減らす方法を考えます。
外出をなくすためにサービスを使うのではなく、一人では難しくなった部分を補うために使います。
一人暮らしでは、外出中だけでなく帰宅後まで見ます
一人で帰宅できても、鍵を開けられない、食事を取れない、薬を飲み忘れることがあります。
| 外出前 | 外出中 | 帰宅後 |
|---|---|---|
| 行き先、服装、持ち物を見る | 予定時刻と位置情報を確認する | 鍵、転倒、体調、買い物内容を見る |
| 気温と天候を見る | 必要なら店や支援者と連絡する | 水分、食事、服薬につなげる |
| 帰宅の目安を共有する | 遅れたときの基準で動く | 迷った場所や困ったことを責めずに聞く |
帰宅後に「また迷ったでしょう」と責めると、次から困ったことを隠すかもしれません。
「帰ってきてくれてよかった。今日はどの道が分かりにくかった?」と聞き、次回変えることを一つだけ決めます。
近所や店へ伝えるときは、本人の情報を広げすぎないようにします
よく行く店の店員や近所の人へ、「帰り道に迷うことがあるので、困っている様子なら連絡してほしい」とお願いできる場合があります。
ただし、本人の診断名や家族事情を、必要のない人へ広く伝える必要はありません。
| 共有してよい内容の例 | 慎重に扱いたい内容 |
|---|---|
| 困っている様子のときの家族連絡先 | 詳しい病歴や薬の内容 |
| よく行く店や帰宅方向 | 預金、財産、家族内の事情 |
| 声をかけるときの呼び名 | 本人が望まない写真の拡散 |
| 保護が必要な状態 | 地域全体への無制限な個人情報共有 |
地域のネットワークへ登録する場合も、誰へどの情報が共有されるのかを家族だけでなく、可能な範囲で本人にも説明してください。
外出を一時的に止めた方がよい状態もあります
- 信号や車を判断できず、事故が迫っている
- 季節に合わない服や裸足で出る
- 夜間に出て、行き先も分からない
- 何度も警察に保護されている
- 長時間の行方不明を経験している
- 転倒や強いふらつきがある
- 急な混乱や体調変化がある
- 本人が助けを求めることも、連絡先を示すことも難しい
- 家族が迎えに行ける人を確保できない
この状態で単独外出を止めることは、本人を罰するためではありません。
安全を確保しながら、付き添い、通所、散歩の時間、住まいの環境などを組み直すための一時的な対応です。
ただし、玄関を外から開けられないようにするなど、本人の生命や避難に関わる方法を家族だけで行うのは避けてください。
どうすれば安全を守りつつ外出の機会を残せるか、医療・介護職や地域包括支援センターと考えます。
家族が24時間見張る前提にしないようにします
玄関が開くたびに目を覚まし、親が出ていないか何度も見る。
仕事中も位置情報を確認し、電話に出ないとすぐ実家へ向かう。
この状態が続けば、家族の生活が持ちません。
見守りは、主介護者一人の注意力ではなく、役割を分けます。
| 役割 | 担当例 |
|---|---|
| 外出予定の共有 | 同居家族、訪問する支援者 |
| 位置情報の確認 | 操作できる家族二人以上 |
| 本人への電話 | 曜日や時間で家族が交代 |
| 現地へ迎えに行く | 近隣家族、自治体サービス等の条件を確認 |
| 警察への連絡 | 写真と情報を持つ主担当 |
| 介護体制の見直し | ケアマネジャー、地域包括支援センター |
GPSで場所が分かっても、毎回一人の家族が迎えに行くなら、その人の負担は減りません。
端末を導入する前に、発見後に動く人まで決めておきます。
今日することは、玄関を閉じて外出を止めることではありません
紙を一枚用意し、次の五行を書いてください。
- 親が一人でよく行く場所:
- 普段の外出時間と帰宅時間:
- 最近起きた迷い・遅れ・保護の出来事:
- 所在が分からないとき最初に連絡する人:
- 地域包括支援センターまたは自治体窓口:
次に、現在の親の全身写真を一枚用意し、当日の服装を家族が説明できる状態にします。
本人には、次のように伝えてみてください。
「買い物へ行くことは続けてほしい。帰りが遅いと心配だから、何時までに帰るかと、迎えに行く方法だけ一緒に決めたい」
認知症の親が外へ出ることは、それだけで問題行動ではありません。
本人にとっては、自分で選び、自分の足で歩き、人と関わる生活の一部です。
一方で、一度でも帰れなくなった経験や、交通事故につながる変化を曖昧にすることもできません。
自由か安全かの二択ではなく、昼間だけにする、帰りは迎えに行く、地域へ登録する、位置情報を持つなど、間にある方法を一つずつ試してください。
今日は外出をやめさせる結論を出さず、「普段なら何時に帰る人なのか」を家族で決めるところから始めましょう。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」:本人の意思を尊重し、残された能力を生かしながら日常生活を支える考え方。
- 厚生労働省「認知症に関する相談先」:地域包括支援センター、かかりつけ医、認知症疾患医療センターなどの主な窓口。
- 厚生労働省「地域の見守り体制整備」:見守り・SOS体制、警察や関係機関と連携した地域の取組。
- 警視庁「行方不明者相談のご案内」:家族等が行方不明になった場合の速やかな通報・届出、写真等の準備。
- 自治体の認知症GPS見守り支援事業:位置情報端末の利用条件、費用、迎えに行く家族等の要件例。制度内容は自治体により異なります。















