送迎車が来る直前になって、「今日は絶対に行かない」と言われます
朝食を早めに済ませ、着替えも用意した。
家族は仕事へ行く準備をしながら、連絡帳、薬、着替えをバッグへ入れます。
ところが、送迎車が来る二十分前になると、親は寝室へ戻り、布団へ入ってしまいます。
「今日は行かない」
「あんな年寄りばかりのところは嫌だ」
「勝手に申し込んだのは誰だ」
家族が「せっかく迎えに来てくれるのだから」と説明すると、親の声はさらに大きくなります。
送迎を断ったあとは、仕事への遅刻が気になる。利用料やキャンセル料も心配になる。何より、その日一日をまた家族だけで見なければなりません。
「無理にでも行ってもらわないと、こちらが持たない」
「でも、泣いたり怒ったりする親を車へ乗せてよいのだろうか」
「私が楽をしたいだけだと思われているのでは」
本人と家族のどちらかが我慢すれば済む話ではありません。
デイサービスを嫌がる理由を見つけ、本人が受け入れられる利用方法と、家族が介護を続けられる条件を一緒に作り直す必要があります。
「デイサービスが嫌」では、何が嫌なのかまだ分かりません
本人が口にする理由と、実際につらい場面が同じとは限りません。
「年寄りばかりで嫌だ」と言いながら、実際には入浴を手伝われることが恥ずかしいのかもしれません。
「家が一番いい」と話していても、送迎車へ乗るときに近所の人から見られることが嫌な場合もあります。
| 本人の言葉 | 隠れているかもしれない困りごと | 家族が聞ける質問 |
|---|---|---|
| 「年寄りの行くところだ」 | 介護される立場になったと認めたくない | 「どの場面で年寄り扱いされたと感じた?」 |
| 「つまらない」 | 活動内容が幼く感じる、参加を強制される | 「一番長く感じた時間は何だった?」 |
| 「知らない人ばかりで嫌だ」 | 集団が苦手、会話へ入れない、聞こえにくい | 「少人数なら過ごせそう?一人の席がある方がいい?」 |
| 「風呂には入りたくない」 | 裸を見られる羞恥心、介助への抵抗、寒さや疲れ | 「お風呂を使わない日なら行けそう?」 |
| 「疲れる」 | 利用時間が長い、椅子が合わない、昼寝できない | 「午前だけならどう?どの時間から疲れた?」 |
| 「迎えに来るな」 | 送迎車や乗降への抵抗、近所の目、運転手との相性 | 「家族が送れば行けそう?車のどこが嫌だった?」 |
| 「何も覚えていない」 | 初めての場所への不安を言葉にできない | 「怖かったこと、困ったことはなかった?」 |
「なぜ行きたくないの」と広く聞くと、「嫌だから嫌だ」で終わることがあります。
送迎、食事、入浴、運動、会話、利用時間と場面を分け、答えやすい質問を一つずつ使ってください。
初めから嫌がる場合と、途中から嫌がり始めた場合では見方が違います
| 拒否が起きた時期 | 見たいこと |
|---|---|
| 利用を提案した段階から拒否 | デイサービスに対する思い込み、介護への抵抗、説明の仕方 |
| 初回の前日に拒否 | 初めての場所、知らない人、送迎への不安 |
| 当日の朝だけ拒否 | 起床時間、着替え、便通、睡眠、送迎前の慌ただしさ |
| 数回通ったあとから拒否 | 職員や利用者との関係、席、活動、入浴、失敗した経験 |
| 帰宅後は悪く言うが、当日は出発する | 疲労、本人なりの照れ、実際の様子と発言の違い |
| 急に強く拒否するようになった | 痛みや体調不良、施設内での出来事、認知機能や気分の変化 |
以前は問題なく通っていた人が急に嫌がり始めた場合は、「わがままが始まった」と考えず、直近の利用日に何があったかを事業所へ聞きます。
転びそうになった。トイレに間に合わなかった。活動へ誘われ続けた。苦手な人の近くの席になった。
本人がうまく説明できない出来事もあるため、職員と家族の両方から状況を集めてください。
デイサービスは「遊びに行く場所」だけではありません
家族が親へ説明するとき、「みんなで楽しく遊ぶところ」「友達ができる場所」と伝えることがあります。
しかし、もともと集団行動やレクリエーションが苦手な人には、魅力ではなく負担に聞こえます。
通所介護では、食事や入浴などの日常生活上の支援、機能訓練などが提供され、本人の生活機能の維持・向上、社会的孤立感の軽減、家族の介護負担の軽減などが目的とされています。何を中心に利用するかは、本人の状態やケアプラン、事業所の内容によって異なります。
| 本人が困っていること | 説明の焦点 |
|---|---|
| 自宅の浴室では転びそう | 「安全な場所でお風呂に入る日」 |
| 足腰が弱っている | 「歩く力を保つために体を動かす日」 |
| 昼食を用意できない | 「お昼を食べて帰れる日」 |
| 一人で過ごす時間が長い | 「家以外でお茶を飲んで過ごす日」 |
| 家族以外の見守りが必要 | 「看護師や職員に体調を見てもらう日」 |
| 家族の介護が続かない | 本人を責めず、家族も休める利用計画を作る |
「家にいるとぼける」「私が困るから行って」と脅すような説明では、本人は追い出されると感じます。
本人にとって役立つ一つの目的を、事実に沿って伝えてください。
親に説明するときは、将来の予定まで約束させないようにします
初めて利用する親へ、「これから毎週火曜と金曜に通うからね」と伝えると、大きな決断を迫られたように感じることがあります。
まず、一回だけの行動として説明します。
| 避けたい伝え方 | 受け入れやすくする伝え方 |
|---|---|
| 「これから毎週行くことになったから」 | 「まず一回、どんな場所か見に行ってみない?」 |
| 「ケアマネさんが行けと言っている」 | 「お風呂と昼食が使いやすいか、自分で見て決めよう」 |
| 「家にばかりいると認知症が進むよ」 | 「今の歩き方を保てる運動があるか聞いてみよう」 |
| 「みんな楽しんでいるから大丈夫」 | 「人と話さずに過ごせる席があるかも聞いてみよう」 |
| 「私が限界だから行って」 | 「二人とも今の暮らしを続けるため、家族以外の手も借りたい」 |
| 「病院へ行くよ」と偽って連れて行く | 「今日はお風呂と昼食を試す場所へ行く」と短く伝える |
長い説明を一度にすると、本人は内容を理解する前に「何かを決められた」と感じます。
今日すること、帰宅する時刻、誰が迎えるかを短く伝えます。
認知症がある場合も、本人の意思を確かめ、分かりやすい情報を示し、可能な限り本人が選べるよう支えることが基本となります。家族の都合だけで決めたり、本人へ事実と異なる説明をしたりするのではなく、選択肢を小さくして伝えます。
「行くか行かないか」ではなく、本人が選べる部分を残します
介護サービスそのものを受け入れにくい親でも、細かな条件なら希望を答えられることがあります。
- 午前と午後なら、どちらがよいか
- 家族の車と送迎車なら、どちらがよいか
- 入浴する日としない日を分けたいか
- にぎやかな席と静かな席なら、どちらがよいか
- 運動、囲碁、読書、手作業のうち、試したいものはあるか
- 半日と一日なら、どちらから試したいか
利用時間や活動、見学・体験への対応は事業所によって異なります。
本人が選んだ条件をケアマネジャーや事業所へ伝え、「この条件なら利用できるか」を聞いてください。
本人が決められる部分を残すことは、拒否をなくすための駆け引きではありません。
自分の生活を自分で選んでいる感覚を守るためです。
見学では設備より、本人が過ごす席と時間を見ます
パンフレットに、広い浴室、豪華な食事、たくさんの行事が載っていても、本人に合うとは限りません。
| 見学時に見る場所 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 玄関と送迎 | 乗降に時間がかかっても急かされないか |
| 本人が座る席 | 一人で静かに過ごせる場所があるか |
| 活動時間 | 参加しない選択や、別の作業ができるか |
| 浴室 | 介助方法、同性介助の希望、個別性への配慮 |
| トイレ | 場所が分かりやすいか、必要な介助を頼めるか |
| 昼食 | 量、硬さ、苦手な物、食べる速さへの対応 |
| 職員の接し方 | 大きな声で子ども扱いせず、本人へ話しかけているか |
| 利用者の人数 | 本人が落ち着ける規模か |
家族だけで見学して契約するより、可能なら本人が短時間でもその場の音、におい、職員の話し方を感じられる機会を作ります。
本人が同行を拒む場合は、家族が見学したうえで、職員に自宅へ来てもらえるか、見慣れたケアマネジャーと一緒に説明できるかを尋ねます。
「デイサービスは全部同じ」と考えず、本人に合う種類を探します
| 本人の希望・状態 | 検討したい特徴 |
|---|---|
| 大人数が苦手 | 定員が少ない事業所、少人数の活動 |
| レクリエーションが苦手 | 個別活動、読書、作業、運動を選べる事業所 |
| 運動を中心にしたい | 機能訓練の内容や時間を確認できる事業所 |
| 入浴が主な目的 | 浴室、介助方法、入浴日を具体的に確認できる事業所 |
| 認知症による不安が強い | 認知症対応型通所介護や、認知症ケアに慣れた小規模な事業所 |
| 通いだけでは生活を支え切れない | 訪問・通い・宿泊を組み合わせるサービス |
認知症対応型通所介護は、認知症のある利用者を対象に、食事や入浴、機能訓練などの専門的なケアを日帰りで提供する地域密着型サービスです。一般の通所介護より本人が落ち着くとは限りませんが、認知症による不安や行動への理解を重視して事業所を探す際の選択肢になります。
また、小規模多機能型居宅介護では、本人の選択に応じて「通い」を中心に「訪問」や短期間の「宿泊」を組み合わせます。決まった曜日に一日通う形が合わない人でも、生活全体を別の組み合わせで支えられる場合があります。
利用できるサービスは、要介護度、住んでいる地域、事業所の空き状況などによって異なります。
本人の好き嫌いを、連絡帳とは別の一枚にして渡します
初めての事業所で、職員は本人の経歴や好みを十分に知りません。
本人が活動を断ったとき、「何にも興味がない人」と受け取られてしまうこともあります。
| 事業所へ伝えること | 記入例 |
|---|---|
| 呼ばれたい名前 | 名字より「和夫さん」と呼ばれる方がよい |
| 以前の仕事・役割 | 経理をしており、数字や新聞を見るのが好き |
| 好きなこと | 将棋、野球中継、園芸、コーヒー |
| 苦手なこと | 歌、子ども向けの工作、大勢の前で話すこと |
| 落ち着く過ごし方 | 窓際で新聞を読む、一人でお茶を飲む |
| 嫌がりやすい言葉 | 「介護」「できないから手伝う」と言われること |
| 不安になったときの対応 | 帰宅時刻を紙で見せると落ち着く |
| 身体面の注意 | 右耳が聞こえにくい、立ち上がりを急かすとふらつく |
「頑固」「わがまま」「何もしたがらない」と性格だけを書くのではなく、どうすれば受け入れやすいかまで伝えてください。
本人が得意だったことを職員が知れば、活動へ参加する人ではなく、新聞を配る人、植物へ水をやる人など、役割を持って過ごせる場合があります。
利用当日の朝は、説得を繰り返すほど出発できなくなることがあります
送迎時刻が近づくほど、家族は焦ります。
何度も時計を見せ、「今日はデイの日」と説明し続けると、本人の不安も強くなることがあります。
前日から長く説得するのではなく、準備を簡単にします。
- 着る服を一組だけ出しておく
- 連絡帳や持ち物は家族が前夜にそろえる
- 起床から送迎までの時間を詰め込みすぎない
- 朝食、排せつ、薬の時間を見直す
- 送迎時刻を大きく変えない
- 可能なら顔なじみの職員に迎えを頼む
- 家族と送迎職員が別々に説得し続けない
声かけは、一文で伝えます。
「今日はお風呂とお昼の日だよ。三時ごろには家へ帰るよ」
親が拒んだら、まず何が嫌なのかを一つ聞きます。
「車が嫌?お風呂が嫌?今日は家で休みたい?」
送迎職員が来てから家族と職員で囲み、力で車へ乗せることは避けます。
出発できない場合の対応、何分待てるか、当日キャンセル料や食事代がどうなるかは、事前に契約書や事業所の説明で確かめてください。
認知症がある親には、予定を思い出させるより安心できる情報を伝えます
「昨日も説明したでしょう」
家族は、何度も同じことを聞かれると疲れてしまいます。
しかし本人にとっては、その日の朝に初めて聞いた予定かもしれません。
| 本人が不安に感じていること | 短く伝える情報 |
|---|---|
| どこへ連れて行かれるか分からない | 「お昼を食べて、お風呂に入る場所」 |
| 帰れないのではと心配 | 「三時に家へ戻る。帰りも送ってもらえる」 |
| 家族に置いていかれる感覚 | 「私は仕事へ行く。帰ったら家で会える」 |
| 知らない人が怖い | 「前に来た職員の田中さんが迎えに来る」 |
| 何をするか分からない | 「運動は見ているだけでもよいと聞いている」 |
一週間先の利用予定まで理解してもらおうとせず、その日の予定だけを伝えます。
本人が落ち着ける言葉や職員が分かってきたら、家族、ケアマネジャー、事業所で声かけをそろえてください。
帰宅後は「楽しかった?」ではなく、具体的な場面を聞きます
親が帰宅した直後に「楽しかった?」と聞くと、「楽しくない」「もう行かない」と答えることがあります。
楽しかったと答えるよう求められていると感じるためです。
| 広すぎる質問 | 答えやすい質問 |
|---|---|
| 「今日はどうだった?」 | 「お昼は食べられた?」 |
| 「楽しかった?」 | 「落ち着いて座れた場所はあった?」 |
| 「みんなと話した?」 | 「話しやすい職員はいた?」 |
| 「お風呂はよかった?」 | 「お湯の温度や介助で嫌だったことはなかった?」 |
| 「また行けるでしょう?」 | 「次は短い時間なら試せそう?」 |
帰宅直後は疲れていることもあります。
水分や休息を優先し、その日の夜や翌日に短く聞く方法もあります。
本人の話と連絡帳の内容が違っていても、すぐ「職員は楽しく過ごしたと書いている」と否定しないでください。
笑顔で活動した時間があっても、本人には入浴や待ち時間のつらさが強く残っている場合があります。
一度行けたことより、帰宅後の疲れ方まで見ます
| 帰宅後の様子 | 考えたい調整 |
|---|---|
| 夕食も取れないほど疲れる | 利用時間、活動量、入浴日を減らせないか |
| 帰宅後に強く怒る | 我慢していた場面、音や人の多さを聞く |
| 夜に眠れなくなる | 昼寝の時間、運動量、帰宅時刻を事業所へ聞く |
| 翌日まで動けない | 半日利用や回数の見直しを相談する |
| 入浴後に皮膚の痛みや寒さを訴える | 入浴方法、温度、更衣、体調を確認する |
| 利用日は食事や水分が増える | 本人に合う良い部分として残す |
通えた回数だけを成功の基準にすると、本人の負担を見落とします。
家族が休めること、本人の体調や生活リズムが保たれることの両方を見て、時間や回数を決めてください。
合わない事業所をやめることは、介護サービスを諦めることではありません
一つのデイサービスを嫌がると、「この親はどこへも行けない」と感じることがあります。
けれど、にぎやかな事業所が合わない人が、少人数の場所では落ち着けることがあります。
運動中心の場所は嫌でも、入浴後に静かに過ごせる場所なら続けられることもあります。
ケアマネジャーは、本人の心身の状態や生活環境に応じてケアプランを作成し、サービス事業者や関係機関との連絡・調整を行います。特定のサービスや事業者に偏らず、公正中立に支援することが求められています。
ケアマネジャーへは、「何とか今のデイへ行かせてほしい」ではなく、次のように伝えます。
「入浴は必要ですが、大人数の活動と一日利用を強く嫌がっています。午前だけ、少人数、活動参加を強制しないという条件で、別の事業所も含めて見直したいです」
介護サービス情報公表システムでは、通所介護など全国の介護サービス事業所の情報を検索・比較できます。ただし、現在の空き、見学、体験、送迎時間などは、ケアマネジャーや事業所へ直接確かめてください。
本人が嫌がる理由が、デイサービス以外にあることもあります
「デイへ行かない」という言葉の背景に、その日の体調や生活上の困りごとが隠れている場合があります。
- 夜に眠れず、朝起きられない
- 便秘や下痢が心配で外出したくない
- 尿もれを人に知られたくない
- 腰、膝、歯などに痛みがある
- 補聴器が合わず、会話が聞き取れない
- 眼鏡が合わず、移動や活動が怖い
- 着替えや持ち物の準備が負担になっている
- 家族がいない間の自宅やペットが心配
急な発熱、強い痛み、息苦しさ、食事や水分が取れない、普段と違う強い混乱などがある場合は、利用を説得するより体調の確認を優先します。
普段から拒否が続く場合も、本人の性格だけにせず、聞こえ、痛み、排せつ、睡眠、薬などを医師やケアマネジャーへ伝えてください。
家族が休みたいという理由も、隠さなくて構いません
家族は、「自分が楽をするために親を預ける」と思われたくなくて、休みたい気持ちを隠すことがあります。
けれど、通所介護には本人の生活機能を支えるだけでなく、家族の介護負担を軽くする目的もあります。
入浴介助、食事、見守りを家族が毎日休みなく担えば、親へ優しく接する余裕がなくなることもあります。
本人へ「あなたが負担だから」と伝える必要はありません。
「今の家で一緒に暮らし続けるため、家族以外の人にも手伝ってもらいたい」と説明します。
家族が休む時間は、介護を放棄する時間ではありません。
夕方以降も介護を続けるために、体力と気持ちを戻す時間です。
デイサービスへ行けない日は、家族が全部埋め合わせなくても構いません
どうしても通所が合わない場合や、利用できない日が続く場合は、別の支援を組み合わせます。
| 困っていること | 別の選択肢 |
|---|---|
| 入浴介助が必要 | 訪問介護、訪問入浴などの対象になるか相談する |
| 食事と安否が心配 | 配食、訪問介護、家族以外の見守り |
| 運動不足が心配 | 訪問リハビリ、通所リハビリ、地域の介護予防活動 |
| 一日中一人になる | 訪問サービス、小規模多機能型居宅介護など |
| 家族が数日休みたい | 短期入所など |
| 認知症による不安が強い | 認知症対応型のサービス、少人数の支援 |
それぞれ利用条件や費用が異なります。
「デイへ行かないなら家族が見るしかない」と決めず、本人の生活で必要な支援を一つずつ別の方法へ置き換えられないかを検討してください。
何度調整しても拒否が続くときは、家族だけで朝を乗り切らないようにします
本人の希望を尊重しようとしても、家族が仕事を失いそう、介護者が眠れない、入浴や服薬を家庭だけでは支えられない状態になることがあります。
この段階では、説得の言葉を増やすより、ケアプラン全体を見直します。
- 現在の事業所を変更できるか
- 利用時間や曜日を変えられるか
- 入浴なし、活動なしなど本人の負担を減らせるか
- 通所と訪問を組み合わせられるか
- 短期入所などで家族の休息を確保できるか
- 要介護認定の区分変更を検討する状態か
- 家族の介護力を超えていないか
担当ケアマネジャーがまだいない場合や、介護認定前の場合は、親の住所地を担当する地域包括支援センターへ話せます。
地域包括支援センターは、市町村が設置し、高齢者の総合相談、介護予防、権利擁護、地域の支援体制づくりなどを担う窓口です。
電話では、次のように伝えてください。
「母がデイサービスを強く嫌がり、送迎時に毎回けんかになります。大人数と一日利用が負担のようです。一方で、自宅での入浴介助と見守りを家族だけでは続けられません。本人が受け入れられる別の支援を一緒に考えてほしいです」
本人の様子に気になる変化があれば、事業所へ具体的に尋ねます
親が施設名を聞いただけでおびえる。特定の職員の話になると強く黙り込む。帰宅後に新しい傷がある。
こうした場合は、「認知症だから話が正確ではない」と決めつけないでください。
まず本人の話を否定せず、いつ、どこで、何が嫌だったかを聞き、身体の状態も見ます。
事業所へは、感情的に責めるのではなく、事実を尋ねます。
- 利用中に転倒や打撲はなかったか
- 本人が強く拒否した活動や介助はなかったか
- 食事、入浴、排せつで普段と違うことはなかったか
- 職員やほかの利用者との間で出来事はなかったか
- 家族へ伝えるべき事故・ヒヤリとした場面はなかったか
説明に納得できない、本人の安全が心配、同じ問題が繰り返される場合は、利用を一度止め、ケアマネジャーや事業所の管理者、市区町村の介護保険担当窓口などへ経過を伝えてください。
今日することは、親を説得し切ることではありません
紙を一枚出し、親が「行きたくない」と言った直前の場面を四つに分けて書いてください。
- いつ嫌がったか:前日、朝、送迎時、帰宅後
- 本人が実際に言った言葉:
- その前後に何があったか:
- どの条件なら行けそうか:
たとえば、次のようになります。
「送迎車が来ると近所の人に見られるのが嫌。入浴は必要。家族の車で午前中だけなら試せるかもしれない」
この一文を、ケアマネジャーと事業所へ伝えます。
「どう説得すれば行きますか」ではなく、「本人が嫌がる条件を減らしたい」と話してください。
親がデイサービスを断ることと、家族が介護を一人で背負わなければならないことは同じではありません。
現在の事業所へ行くことだけを目標にせず、本人が受け入れられる支援と、家族が続けられる介護の両方を探します。
今日は利用を約束させるのではなく、「何が一番嫌だったか」を一つ聞き、その答えを支援者へ渡すところまでで構いません。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム・通所介護」:デイサービスの目的、提供される支援、事業所情報の検索と比較。
- 厚生労働省「認知症対応型通所介護」:認知症のある方を対象とする通所型サービスの内容。
- 厚生労働省「小規模多機能型居宅介護」:通い、訪問、宿泊を組み合わせるサービスの概要。
- 厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」:本人の意思を確かめ、選択を支える基本的な考え方。
- 厚生労働省「地域包括支援センター」:高齢者の総合相談、介護予防、権利擁護などを担う地域の窓口。
- 利用できるサービス、利用時間、送迎、入浴、見学・体験、キャンセル料、自己負担額は、要介護度、自治体、事業所、契約内容によって異なります。担当ケアマネジャーと事業所へ個別にご確認ください。















