「飲んだよ」と言っていたのに、先週の薬が袋のまま残っていた
離れて暮らす母へ、毎晩電話をかけています。
「夕食後の薬は飲んだ?」
母はいつも、「飲んだよ。心配しなくても大丈夫」と答えます。
ところが、週末に実家へ行くと、食卓の端に未開封の薬が何日分も残っていました。
薬箱の中には、いつ処方されたのか分からない薬もあります。寝室の引き出しからは、別の病院でもらった薬が見つかりました。
母に尋ねても、「これは今も飲んでいる」「昨日は飲んだと思う」「その薬はもういらない」と、答えが変わります。
飲み忘れだけならまだしも、忘れたことに気づかず二回飲んでいたらどうしよう。
血圧や糖尿病の薬を勝手に止めていたら。古い薬と新しい薬を一緒に飲んでいたら。
家へ戻ってからも不安になり、電話の回数が増えていきます。
けれど、家族が遠くから確認できるのは、親の返事だけです。
服薬管理を立て直すときに必要なのは、「ちゃんと飲んで」と繰り返すことではありません。
何が起きているのかを分け、親が一人でできる部分と、現地で誰かの手が必要な部分を見つけることです。
最初に分けたいのは、「飲み忘れ」だけではありません
家族が「薬を管理できていない」と感じていても、実際に起きていることは家庭によって違います。
| 起きていること | よくある様子 | 先に考えたい対応 |
|---|---|---|
| 飲み忘れ | 未開封の薬が残る、曜日がずれている | 忘れる時間帯と、残っている薬の種類を薬局へ伝える |
| 重複して飲む | 飲んだことを忘れ、同じ袋をもう一度開ける | 一回分を見分けられる仕組みと、飲んだ後の表示をつくる |
| 飲む時刻を間違える | 朝の薬を夜に飲む、食前・食後を取り違える | 時刻より「朝食後」など生活行動と結びつけられるか検討する |
| 薬を選び間違える | 似た袋や錠剤を取り違える | 一包化や表示方法について薬剤師へ相談する |
| 古い薬を飲む | 以前の処方薬と現在の薬が同じ箱に入っている | 薬剤師に現物を見せ、現在使う薬とそれ以外を分けてもらう |
| 自己判断で止める | 体調がよい、眠くなるなどの理由で飲まない | 困っている症状を医師・薬剤師へ伝え、処方を見直してもらう |
| 袋を開けられない | 手が震える、力が入らない、錠剤を落とす | 包装方法や剤形を変えられないか相談する |
| のみ込みにくい | 薬が口に残る、むせる、飲むことを避ける | 砕いたりせず、医師・薬剤師へ剤形変更の可否を聞く |
「飲み忘れ防止グッズを買えば解決する」とは限りません。
薬を覚えているが袋を開けられない人と、飲んだこと自体を忘れる人では、必要な方法が異なります。
親へ電話する前に、家にある薬を一度だけ全部集めます
最初の作業は、服薬カレンダーを買うことではありません。
現在飲んでいる薬の全体像をつかむことです。
親の了承を得て、家の中にある次のものを一か所へ集めます。
- 病院や診療所でもらった処方薬
- 目薬、塗り薬、貼り薬、吸入薬
- 市販の風邪薬、鎮痛薬、睡眠改善薬など
- サプリメント、健康食品、漢方薬
- 以前の受診でもらった残薬
- 薬袋、説明書、お薬手帳
薬の名前が分からなくても、袋や箱ごと薬局へ持っていけます。
遠方で家族が直接行けない場合は、親や近くの家族に、薬袋の表裏と残っている薬を撮影してもらう方法があります。
薬の一覧へ書くこと
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 薬を出した医療機関 | ○○内科、△△整形外科 |
| 薬を受け取った薬局 | ○○薬局 |
| 飲むタイミング | 朝食後、夕食後、寝る前 |
| 残っている量 | 朝の薬が六日分多い |
| 本人が困っていること | 昼の薬を忘れる、袋を開けにくい |
| 気になる体調 | ふらつき、眠気、便秘、食欲低下 |
家族の判断で薬を捨てたり、一つの容器へ錠剤だけを移したりしないでください。
現在必要な薬か、保管してよい薬かは、薬剤師に現物を見てもらって分ける方が安全です。
「飲んだ?」という電話だけでは、服用したか確かめきれません
親がうそをついているとは限りません。
飲んだつもりになっている。昨日の服用と混同している。家族に心配をかけたくなくて、とっさに「飲んだ」と答えている。
こうした状態では、電話の回数を増やしても正確さは上がりにくくなります。
| 電話での聞き方 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 「薬は飲んだ?」 | 本人の記憶や認識 | 実際に正しい薬を飲んだか |
| 「今日の袋を見せて」 | 手元の袋や表示 | 飲み込んだか、別の場所に薬が残っていないか |
| 「空になった袋を箱へ入れて」 | 袋を開けた形跡 | 錠剤を落とした、置き忘れた可能性 |
| 残薬を週一回数える | 一週間単位の飲み忘れや重複 | どの日に間違えたか |
| 支援者が訪問して見る | 薬の残り、置き場所、本人の動作 | 訪問していない時間の服用 |
遠隔確認は、親の服用を完全に監視する方法ではありません。
飲み間違いの傾向を見つけ、薬剤師や医師へ伝えるための手段として使います。
管理道具は、親が実際に使えるものを一つだけ選びます
服薬管理には、薬袋への日付記載、服薬カレンダー、ピルケース、アラーム、機器による通知など、さまざまな方法があります。
便利そうな物を一度に増やすと、親がどれを見ればよいか分からなくなることがあります。
| 方法 | 向いている状態 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 薬袋へ日付と朝・昼・夜を大きく書く | 文字を読め、日付や時間帯を理解できる | 薬が変わるたびに表示も更新する |
| 一包化 | 一度に複数の薬を選ぶのが難しい | 一包化できない薬もあるため、医師・薬剤師の判断が必要 |
| お薬カレンダー | 曜日と朝・昼・夜の区別ができる | 誰が正しく薬を入れるかを決める |
| 一週間分のピルケース | 自分で開閉でき、ケースの表示を理解できる | 錠剤だけを入れると薬名が分からなくなるため、薬局へ使い方を相談する |
| 空袋を入れる確認箱 | 飲んだ後の行動を習慣にできる | 空袋を入れること自体を忘れる場合がある |
| 電話やスマートフォンのアラーム | 音を聞き、表示を見て行動できる | 止めるだけで飲まないこともある |
| 自動の薬剤ケース | 決まった時間に一回分を出す支援が合う | 薬の補充、通信環境、故障時の対応、料金を確かめる |
PTPシートを一錠ずつ小さく切ると、薬を包装ごと飲み込む事故につながるおそれがあります。薬を取り出しにくい場合は、家族が細かく切り分けるのではなく、一包化を含めた包装方法を薬剤師へ相談してください。
道具を選ぶ前に、親が「日付を読めるか」「袋を開けられるか」「飲んだ後の行動を覚えられるか」を実際の動作で見ます。
一包化は便利ですが、「袋にまとめれば終わり」ではありません
一包化とは、同じタイミングで飲む複数の薬を、一回分ずつ袋へまとめる方法です。
薬を一錠ずつ選ぶ負担を減らせるため、飲み間違いを防ぐ助けになる場合があります。
一方で、一包化しても次の問題は残ります。
- 朝の袋を夜に飲む
- 飲んだことを忘れて、もう一袋開ける
- 袋の日付や文字を読めない
- 頓服薬や一包化できない薬が別になる
- 処方変更前の袋と新しい袋が混ざる
- 袋を開けること自体が難しい
一包化の可否や、服用回数・タイミングの変更は、薬の性質や治療内容によって異なります。
家族の判断で朝昼夜の薬を入れ替えたり、まとめて飲ませたりせず、医師・薬剤師へ「どの時間の薬が残るのか」を伝えて見直してもらいます。高齢者の服薬負担を減らすため、処方内容や服用回数の見直しを多職種で検討する考え方も示されています。
お薬手帳と薬局をまとめると、重なっている薬に気づきやすくなります
内科は自宅近くの薬局、整形外科は病院前の薬局というように、複数の薬局を使っている親もいます。
それぞれの医療機関が、ほかの病院から出ている薬や市販薬を把握できていない場合があります。
家族ができるまとめ方
- 紙のお薬手帳が複数ある場合は、すべて薬局へ持参する
- 可能なら、日常的に相談する薬局を一つ決める
- 市販薬やサプリメントもお薬手帳へ記録する
- 入院・退院・転院時には、最新の薬の一覧を受け取る
- 薬が中止・変更になった日を書いておく
- 家族の連絡先を薬局へ伝えてよいか、親と話す
厚生労働省は、重複投薬や飲み合わせの問題を防ぐため、かかりつけの薬剤師・薬局が服薬情報を一元的・継続的に把握することや、複数のお薬手帳を一冊へ集約することの重要性を示しています。
電子版お薬手帳には、服用歴などを記録し、医師や薬剤師と共有できる機能を持つものがあります。ただし、親本人がスマートフォンを扱いにくい場合は、家族の便利さだけで選ばず、紙の手帳とどちらが続けやすいかを薬局で話します。
薬局では「飲めていません」ではなく、残り方を見せます
親の前で「薬を全然飲んでいない」と言うと、責められたように感じることがあります。
薬剤師へは、評価ではなく事実を伝えます。
薬剤師へ伝える例
「朝食後の薬はほぼなくなっていますが、昼の薬が十日分残っています。」
「寝る前の薬を飲んだか分からなくなり、二袋開けた日がありました。」
「整形外科の薬と内科の薬が別々の場所にあり、本人は区別できていません。」
「薬の袋を開けにくく、錠剤を床へ落とすことがあります。」
「家族は週に一回しか訪問できません。その間、一人で扱える方法を考えたいです。」
薬局へ聞きたいこと
- 現在の薬と古い残薬を分けてもらえるか
- 一包化や大きな文字での日付印字が可能か
- 服用回数や剤形を医師へ相談してもらえるか
- 飲み忘れた場合の対応を、薬ごとに書いてもらえるか
- 家族が残薬や体調について連絡できるか
- 自宅を訪問する服薬支援の対象になるか
薬を飲み忘れたときの対応は、薬の種類や飲み忘れに気づいた時刻によって異なります。
「忘れた分を取り戻すために二回分飲む」「今日は全部止める」と自己判断せず、薬袋や説明書を確認し、処方した医療機関または薬剤師へ問い合わせてください。
親への伝え方は、「管理する」より「間違えにくくする」に変えます
子どもから「薬を管理する」と言われると、親は生活の主導権を奪われるように感じることがあります。
| 親が反発しやすい言葉 | 伝え直す言葉 |
|---|---|
| 「もう自分では薬を管理できないよ」 | 「薬が増えて、誰でも分かりにくいよね。間違えにくい形にできないか聞こう」 |
| 「毎日、飲んだか電話するから」 | 「毎日聞かれるのも嫌だと思うから、電話を減らせる方法を一緒に考えたい」 |
| 「残っているから、また飲み忘れたでしょう」 | 「昼の薬が多く残っているね。昼だけ別の方法にできないか薬局で聞こう」 |
| 「薬箱は私が預かる」 | 「今飲む薬と、もう使わない薬を薬剤師さんに分けてもらおう」 |
| 「ヘルパーに薬を見てもらうから」 | 「私が毎日行けない日に、薬の袋が合っているか見てもらえる人を探したい」 |
親がすぐ同意しなくても、危険な飲み間違いが起きていなければ、まず薬局へ相談するだけでも構いません。
「あなたができないから」ではなく、「薬の形が今の暮らしに合っていないかもしれない」と考えます。
遠方からの確かめ方は、親の負担が少ない順に試します
服薬確認の方法を増やしすぎると、家族にも親にも負担がかかります。
一番簡単な方法から始め、続かなければ次の段階へ進みます。
| 段階 | 方法 | 向いている状態 |
|---|---|---|
| 1 | 週一回、残っている薬を家族が数える | 大きな間違いはなく、傾向だけ見たい |
| 2 | 決まった時刻に短い電話をする | 電話を受け、薬の場所へ移動できる |
| 3 | 空袋を決まった箱へ入れてもらう | 飲んだ後の動作を習慣にできる |
| 4 | ビデオ通話や写真で当日の袋を見る | スマートフォンを扱え、見られる抵抗が少ない |
| 5 | 近隣家族や介護職、医療職が現物を見る | 本人の返事だけでは服用状況を判断できない |
毎日ビデオ通話で薬を飲む姿を見せてもらう方法は、親にとって監視のように感じられる場合があります。
期間を決め、「薬の方法が整うまでの二週間だけ」など、目的と終わりを伝えます。
近くに住む人へ頼むときは、「薬を飲ませて」だけにしません
きょうだい、親戚、近所の人へ協力を頼む場合、責任の範囲を曖昧にしないようにします。
| 頼む内容 | 具体例 |
|---|---|
| 薬の残りを見る | 金曜に、朝の袋が何個残っているか写真を送る |
| 置き場所を整える | 新しい薬をカレンダーへ入れ、古い袋と混ざっていないか見る |
| 体調を聞く | 眠気、ふらつき、食欲低下などがないか聞く |
| 薬局へ同行する | 残薬とお薬手帳を持参し、説明を一緒に聞く |
| 異変時に連絡する | 飲み間違いの可能性があれば、家族と薬局へ連絡する |
医療職ではない人へ、薬を変更する判断や、飲み忘れた分を追加で飲ませる判断まで任せないようにします。
近所の人へ協力を求める場合は、親本人の了承を得て、薬の情報をどこまで共有するかを決めます。
薬剤師が自宅を訪問できる場合があります
親が薬局まで行くことが難しく、残薬や保管状況を自宅で見てもらう必要がある場合は、薬剤師による訪問を検討できます。
介護保険の居宅療養管理指導では、要介護認定を受けた人に対し、医師、歯科医師、薬剤師などが自宅で療養上の管理や指導を行います。通院が難しい在宅の利用者に、薬局の薬剤師が医師や歯科医師の指示に基づいて訪問し、薬学的な管理指導を行う仕組みもあります。
訪問時に相談できることの例
- 実際に残っている薬の確認
- 現在使う薬と古い薬の整理
- 薬の保管場所や管理方法
- 一包化や服用回数について医師との連携
- 副作用が疑われる体調変化の共有
- 家族やケアマネジャーとの情報共有
利用できる条件、回数、費用、対応地域は状況によって異なります。
まず、親が利用している薬局、かかりつけ医、ケアマネジャーへ「薬剤師が自宅で服薬状況を見る支援を利用できないか」と尋ねます。
薬だけでなく体調も見てほしい場合は、訪問看護を検討します
服薬の問題に加えて、血圧、血糖、傷の処置、食事、水分、ふらつきなども心配な場合があります。
訪問看護では、看護師などが主治医の指示に基づいて自宅を訪問し、病状の確認や療養上の世話、診療の補助などを行います。
訪問看護を考えたい場面
- 薬を飲み始めてから体調が変わった
- 複数の持病があり、日々の状態も見てほしい
- インスリン、吸入薬、医療処置などがある
- 薬の管理とともに食事・水分・排泄も心配
- 退院後に薬の内容が大きく変わった
- 家族が体調変化を遠方から判断できない
訪問看護を利用できる保険や条件は、病状、年齢、要介護認定などによって異なります。
かかりつけ医、ケアマネジャー、地域包括支援センターへ現在の服薬状況と家族の距離を伝え、利用方法を確かめます。
介護認定がなくても、薬局とかかりつけ医には相談できます
親が身の回りのことを自分で行っていると、「介護の相談をするほどではない」と感じるかもしれません。
しかし、薬の飲み忘れや重複が起きているなら、まず薬局やかかりつけ医へ話せます。
介護認定がない段階の相談先
- 普段薬を受け取っている薬局
- 薬を処方しているかかりつけ医
- 親の居住地を担当する地域包括支援センター
- 自治体の高齢者相談窓口
日常生活にも支援が必要になっている場合は、地域包括支援センターへ、介護認定や利用できる地域支援について聞きます。
すでに要介護認定を受けている場合は、ケアマネジャーへ「服薬確認のために家族が毎日電話している」「週一回の訪問だけでは残薬を把握できない」と具体的に伝えます。ケアマネジャーは、本人の心身状態や生活環境、本人・家族の希望を踏まえ、サービスの計画と調整を行います。
飲み忘れや重複が分かったとき、家族の判断で調整しません
「朝の薬を忘れたから昼にまとめて飲ませよう」
「昨日二回飲んだかもしれないから、今日は全部止めよう」
このような調整は、薬によって危険になる場合があります。
飲み間違いが疑われたときに伝える情報
- 薬の名前と用量
- 何時ごろ、何錠または何袋飲んだ可能性があるか
- 普段の服用時刻
- 現在の症状
- 年齢、持病、ほかに飲んでいる薬
処方した医療機関または薬局へ連絡し、薬ごとの対応を聞きます。夜間や休日に判断が必要になる薬については、平日のうちに「飲み忘れ・重複時の連絡先と対応」を紙へ書いてもらうと安心です。
薬を使用して異常を感じた場合は、自己判断で急に中止・減量せず、医師や薬剤師へ相談するよう政府広報でも案内されています。PMDAには、薬の効能、飲み合わせ、飲み方などを相談できる窓口があります。
すぐに緊急対応を考えたい状態
- 意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が弱い
- けいれんしている
- 呼吸が苦しい、普段どおりに呼吸していない
- 立てないほどふらつく、転倒して頭を打った
- 冷や汗や震えなどがあり、会話が成り立たない
- 何をどの程度飲んだか分からず、体調変化が出ている
明らかな緊急症状があれば、薬局の営業時間を待たず119番への通報を考えます。
「薬を減らしたい」は、家族が勝手に中止することではありません
病院が増えると、薬の種類や服用回数も増えやすくなります。
親が管理しきれないとき、家族は「この薬はもう飲まなくてよいのでは」と感じるかもしれません。
けれど、薬が多いこと自体と、不要な薬があることは同じではありません。
医師・薬剤師へ相談したいこと
- 現在も必要な薬か
- 同じ目的の薬が複数ないか
- 朝・昼・夜の回数を減らせる可能性があるか
- 飲みにくい錠剤を別の剤形へ変えられるか
- ふらつき、眠気、食欲低下などが薬と関係していないか
- 市販薬やサプリメントとの組み合わせに問題がないか
厚生労働省は、ポリファーマシーを単に薬の数が多い状態ではなく、多剤服用に関連して副作用や服薬過誤などの問題が生じる状態と説明しています。薬の必要性や組み合わせは、症状や病気を踏まえて医師・薬剤師が見直します。
きょうだいで分担するのは、電話の回数ではなく作業です
離れて暮らす親の薬を、一人の子どもだけが確認している家庭があります。
毎日の電話、病院への付き添い、薬局への問い合わせを同じ人が続けると、間違いが起きたときの責任まで一人で背負うことになります。
| 必要な作業 | 分担例 |
|---|---|
| 定時の確認電話 | 平日は長女、土日は長男 |
| 残薬の確認 | 実家に近い家族が週一回見る |
| 病院の付き添い | 月ごとに交代する |
| 薬局との連絡 | 一人を窓口にし、変更内容を家族へ共有する |
| お薬手帳と薬の一覧 | 遠方の家族がデータを更新する |
| 介護・訪問支援の調整 | ケアマネジャーとの連絡担当を決める |
| 緊急時 | 駆けつける人、医療機関へ連絡する人を分ける |
家族の共有メモには、薬の詳しい医療判断ではなく、処方変更日、残薬、飲み間違い、体調変化、問い合わせ先を記録します。
誰かが古い情報をもとに確認しないよう、更新した日も残します。
家族の毎日確認が必要になったら、管理方法を一段変える時期です
一度の飲み忘れだけで、一人暮らしが難しいと決める必要はありません。
ただし、次の状態が重なっている場合は、電話と道具だけでは安全を支えにくくなっています。
- 一週間に複数回の飲み忘れや重複がある
- 飲んだかどうか本人も家族も判断できない
- 古い薬と現在の薬が混ざっている
- 薬を飲んでから強い眠気やふらつきがある
- 袋の日付や朝・昼・夜の区別が難しい
- 薬を床へ落とす、包装ごと飲みそうになる
- 複数の病院・薬局の薬を一人でまとめられない
- 食事や水分が取れず、薬だけ飲んでいる
- 家族が毎日複数回連絡しないと成り立たない
- 服薬以外にも火の元、支払い、道迷いなどの変化がある
この段階では、より高機能な機器を買うことより、親の家で薬の現物と生活を見られる人を増やすことを考えます。
薬剤師、訪問看護師、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどへ、家族が遠方で毎日の対応を続けられないことも伝えてください。
今日の一歩は、毎日の電話を増やすことではありません
まず、次の五行を紙へ書きます。
|
一番心配な飲み間違い: 残っている薬: 薬を出している医療機関: 普段利用している薬局: 明日相談する相手: |
たとえば、こう書けます。
一番心配なこと:寝る前の薬を二回飲む可能性がある。
残っている薬:昼の薬が十日分、古い薬が一袋。
医療機関:内科と整形外科。
薬局:病院ごとに別の薬局を利用。
明日の相談相手:内科の薬を受け取っている薬局。
可能なら、親の了承を得て薬袋と残薬を撮影します。
その写真とお薬手帳を薬局へ見せ、「離れて暮らしているため、家族が毎日薬を並べることはできません。本人が間違えにくい形と、現地で確認できる支援を考えたいです」と伝えてください。
家族が毎日電話し続けることだけが、親を守る方法ではありません。
薬を分かりやすくする人、家で残りを見る人、体調を確かめる人を少しずつ増やせます。
今日、薬を完璧に管理できなくても構いません。
まずは家にある薬を一つの情報へまとめ、薬局へ渡す。そこから、親が一人で担わなくてよい部分と、家族が遠くから抱えなくてよい部分をつくっていきましょう。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針」「地域におけるポリファーマシー対策の普及啓発用資材」:高齢者の服薬上の問題、処方の見直し、ポリファーマシーの考え方。
- 厚生労働省「電子版お薬手帳」「お薬手帳について」:薬剤情報の記録・共有、一元的な管理、電子版お薬手帳の機能。
- 厚生労働省・介護サービス情報公表システム「居宅療養管理指導」:薬剤師などによる自宅での療養管理・指導に関する確認先。
- 介護サービス情報公表システム「訪問看護」:主治医の指示に基づく訪問看護の内容と利用条件。
- 日本薬剤師会「PTP包装シートの誤飲」:薬を包装ごと飲み込む事故と、一包化を含む対策。
- 政府広報オンライン・PMDA「薬の副作用」「全国のくすり相談窓口」:薬による異常を感じた場合の対応、飲み方や飲み合わせの相談先。















