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親が同じ電話を何度もしてくるとき|責めずに受け止める対応と見守りの整え方

2026.07.27 更新 なやみ晴れ編集部
#介護・見守り#見守り#認知症相談
この記事の結論

親が同じ電話を何度もしてくるときは、「さっきも言った」と責める前に、電話の内容、時間帯、頻度、本人の不安、生活上の危険を分けて見ましょう。認知症と決めつけず、返し方の型、連絡ルール、家族の役割分担を作り、負担が続く場合は地域包括支援センターなどに相談できます。

同じ電話が続くと、心配と疲れが一緒に積もっていきます

親から電話が来る。出てみると、さっき聞いたばかりの話。

「明日の病院、何時だった?」
「今日は誰か来るんだっけ?」
「通帳がない気がする」
「さっき電話した?」
「あなた、今どこにいるの?」

最初は普通に答えられても、同じ電話が一日に何度も続くと、家族の気持ちは少しずつ削られます。

仕事中に何度も鳴る。夕飯の支度中にまた電話が来る。夜になっても同じ話をする。出ないと心配になり、出ると疲れる。着信音が鳴っただけで胸が重くなる。

「また同じ話だ」
「何回言えば分かるの」
「でも、もし本当に困っていたらどうしよう」
「怒ってしまった自分が嫌になる」

こう感じてしまうのは、冷たいからではありません。

同じ電話への対応は、単なる会話ではなく、見守り、介護、仕事、家事、兄弟関係、自分の生活の時間まで巻き込むからです。

親が心配なのに、親の電話がつらい。この矛盾を抱えている人は少なくありません。

まずは、電話をやめさせる方法を探す前に、「何のために同じ電話が来ているのか」を分けて見ていきましょう。

この記事は、高齢の親が同じ電話を何度もしてくるときに、家族が対応を整理するための一般的な内容です。認知症の診断を行うものではありません。急な混乱、徘徊、火の元、薬の飲み間違い、金銭トラブル、強い不安、被害妄想、暴力、自傷他害のおそれがある場合は、地域包括支援センター、医療機関、救急、警察など状況に応じた窓口へ早めに相談してください。

同じ電話には、物忘れだけでなく「不安の確認」が混ざっていることがあります

親が同じ電話を何度もしてくると、家族はすぐに「認知症では」と心配になります。

もちろん、同じことを何度も聞く、電話したことを覚えていない、約束や予定を忘れるなどが続く場合は、認知面の変化を疑って相談した方がよいことがあります。

ただ、同じ電話の背景がすべて認知症とは限りません。

親の中では、「予定が不安」「一人でいるのが心細い」「お金や薬のことが分からない」「寂しいけれど寂しいとは言えない」など、別の気持ちが動いていることもあります。

電話の内容 背景にあるかもしれないこと 家族が見るポイント
予定を何度も聞く 忘れている、不安で確認したい、カレンダーを見ても分からない 予定表が見やすいか、本人が記録できているか
薬のことを何度も聞く 飲み忘れが怖い、薬が多すぎる、実際に管理が難しい 薬の残り、飲み間違い、薬局や医師への相談
お金や通帳の話を繰り返す 紛失不安、支払い忘れ、被害感、判断力の低下 請求書、通帳、契約、詐欺リスク
「今どこ?」と何度も聞く 寂しさ、見捨てられ不安、時間感覚のずれ 一人時間が長すぎないか、連絡の見通しがあるか
同じ昔話をする 安心できる話題に戻っている、会話を続けたい 困りごとなのか、単なる会話なのか
「誰か来た気がする」と言う 不安、聞き間違い、物忘れ、被害感 実際の出来事か、頻度、生活への影響
電話したことを覚えていない 記憶の変化が関係している可能性 頻度、他の生活変化、受診や相談の必要性

同じ電話を「困った行動」とだけ見ると、家族は疲れていきます。

でも、「親は何を確かめたくて電話しているのか」と見方を少し変えると、対応の入口が変わります。

電話の回数を減らすには、電話のたびに答え続けるだけでなく、親が確かめたいことを別の形で見えるようにする必要があります。

最初に記録したいのは、電話の回数より「内容と時間帯」です

同じ電話が続くと、家族の中では「一日中かかってくる」という感覚になります。

実際に多い場合もありますが、相談につなげるためには、電話の内容と時間帯を少しだけ記録しておくと役に立ちます。

親を監視するためではありません。

何に困っているのか、どこから支援すればよいのかを見つけるためです。

記録すること 例 分かること
電話の時間帯 朝8時、昼前、夕方、夜中など 不安が強くなる時間、生活リズム
電話の内容 予定、薬、お金、体調、寂しさ、昔話 本人が何を確かめたいか
同じ内容の回数 同じ予定を1日5回聞く 記憶や確認方法の困り具合
本人が前の電話を覚えているか 「さっき話したよ」と言うと驚く 記憶の変化の可能性
電話後に落ち着くか 答えると安心する、すぐまたかけてくる 答え方や別の支援が必要か
生活上の危険があるか 火の元、薬、お金、外出、転倒など 早めに相談すべきか

たとえば、次のように簡単で十分です。

日付 時間 内容 対応 気づいたこと
7/8 9:10 病院の時間を確認 紙に書いてあると伝えた カレンダーを見つけられていない様子
7/8 10:25 同じ病院の時間を確認 もう一度伝えた 前の電話を覚えていない
7/8 18:40 薬を飲んだか分からない 薬箱を見るよう伝えた 薬の管理が必要かも

「最近電話が多いです」より、「同じ病院の時間を午前中に3回聞きました」の方が、地域包括支援センターや医療機関にも伝わりやすくなります。

返し方は、毎回考えずに「型」を作ると疲れにくくなります

同じ電話に毎回まともに向き合っていると、家族は消耗します。

しかも、忙しいときほど言葉が強くなります。

「さっき言ったでしょ」
「何回も聞かないで」
「メモを見てって言ったよね」

言ったあとに後悔することもあるでしょう。

そこで、よくある電話には返し方の型を作っておくと少し楽になります。

親の電話 避けたい返し方 返し方の型
「明日の病院、何時?」 「さっきも言ったよ」 「明日は10時だよ。冷蔵庫のカレンダーにも書いてあるよ。一緒に見てみよう」
「薬、飲んだっけ?」 「自分で覚えておいて」 「薬箱の今日の朝のところを見てみよう。空なら飲んでいるよ」
「通帳がない」 「またなくしたの?」 「いつもの引き出しを一緒に順番に見よう。見つからなければ明日確認しよう」
「今どこにいるの?」 「仕事中って言ったでしょ」 「今は仕事中だよ。夕方6時にまた電話するね」
「誰か来るんだっけ?」 「何もないってば」 「今日は誰も来ない日だよ。玄関の予定表にも書いておこう」
「さっき電話した?」 「したよ、覚えてないの?」 「うん、少し前に話したよ。心配になったんだね」

ポイントは、否定を減らし、答えを短くし、次に見る場所を示すことです。

毎回長く説明すると、家族も疲れますし、親も覚えきれません。

「答える」「見る場所を伝える」「次の連絡時間を言う」。この3つで十分なこともあります。

電話だけで安心させようとすると、電話の回数が増えることがあります

親が不安そうだと、家族はできるだけ丁寧に電話で安心させようとします。

もちろん、親に優しくすることは大事です。

ただ、電話をかけるたびに家族が長く話してくれる状態になると、親の中で「不安になったら電話すれば安心できる」という流れが強くなることがあります。

そうなると、電話を切った直後にまた不安になり、また電話する。家族はまた答える。親は一時的に安心する。でも、不安の元は残る。これが繰り返されます。

電話で起きていること 家族の負担 変えたいこと
不安になるたびに電話 仕事や家事が止まる 電話以外の確認方法を作る
毎回長く説明する 同じ説明に疲れる 短い返し方にそろえる
出ないと連続でかかる 着信音が怖くなる 次に出る時間を伝える
電話後すぐまた同じ内容 怒りや罪悪感が増える メモ、予定表、薬箱など見える道具を使う
家族一人に集中する 介護疲れにつながる 兄弟や支援者で役割を分ける

電話を完全に止めるのではなく、電話に頼りすぎない形へ少しずつ移すことが大切です。

親の不安を無視するのではありません。

不安になったとき、電話以外にも見られるもの、頼れる人、決まった連絡時間を作っていくということです。

予定・薬・お金の電話は、家の中に「見れば分かる場所」を作ります

親が同じ電話を何度もしてくる内容には、繰り返されやすいテーマがあります。

予定、薬、お金、来客、持ち物、家族の居場所です。

こうした内容は、電話で何度も答えるより、家の中に「見れば分かる場所」を作る方が効果的な場合があります。

繰り返される電話 作るとよいもの 置く場所
「明日の予定は?」 大きめの月間カレンダー、今日の予定カード 冷蔵庫、食卓、電話の横
「薬を飲んだ?」 曜日別の薬ケース、服薬カレンダー 食卓、薬を飲む場所
「誰か来る?」 今日の来客メモ 玄関、電話の横
「お金を払った?」 未払い・支払い済みの箱 書類置き場
「通帳はどこ?」 貴重品の定位置メモ 本人と決めた保管場所
「あなたはいつ来る?」 次に会う日カード 電話の横、カレンダー

文字は小さくしすぎないでください。

高齢になると、見えているつもりでも読みづらいことがあります。メモは大きな文字で、短く、同じ場所に置く方が使いやすいです。

たとえば、電話の横に次のような紙を貼ります。

電話の横に置くメモ 書く内容
今日の日付 7月8日 水曜日
今日の予定 予定なし。夕方6時に娘から電話あり。
明日の予定 10時に内科。9時30分に迎えに行く。
薬 朝・昼・夜の薬は薬箱を見る。
困ったとき 急ぎなら電話。急ぎでなければ夕方6時に話す。

このメモを作っただけで電話が完全に減るとは限りません。

でも、家族が毎回ゼロから説明する負担は少し減ります。

連絡ルールは、親を突き放すためではなく家族が続けるために作ります

同じ電話が続くと、家族は「もう出たくない」と思うことがあります。

でも、出ないと罪悪感が出る。出ると疲れる。どちらを選んでも苦しい。

その状態を少し変えるために、連絡ルールを作ります。

決めること 例 目的
毎日話す時間 朝9時と夕方6時に電話する 親が待つ目安を持てる
急ぎの電話の基準 転んだ、火が消えない、具合が悪い、知らない人が来た 本当に急ぐ電話を見分ける
急ぎでない内容 予定確認、同じ質問、昔話、寂しさ 決まった時間に話す
出られない時間 仕事中、運転中、夜中など 家族の生活を守る
代わりに出る人 兄弟、配偶者、近所の協力者 一人に集中させない
緊急時の連絡先 119、近所の人、管理人、地域包括、家族代表 家族が遠方でも動ける形を作る

親には、命令ではなく安心の形で伝えます。

「何度も電話しないで」ではなく、こう言います。

「毎日夕方6時に必ず電話するね。急ぎのときはその前でもいいよ。急ぎじゃないことは、6時にまとめて話そう」

ルールを作っても、最初はうまくいかないかもしれません。

それでも、家族が続けられる形を作ることは必要です。家族が倒れるまで出続けることは、親のためにもなりません。

怒ってしまったときは、次の電話で関係を戻せば大丈夫です

同じ電話に何度も対応していると、つい強く言ってしまうことがあります。

「だから言ったでしょ」
「もう何回目?」
「忙しいって分からないの?」

電話を切ったあと、自己嫌悪になる人もいるでしょう。

でも、毎回やさしく完璧に対応するのは無理です。

家族にも仕事があり、体調があり、生活があります。疲れているときに同じ電話が何度も来れば、心に余裕がなくなるのは自然です。

怒ってしまったあと 次にできること 言い方の例
強く言ってしまった 次の電話で短く戻す 「さっきは強く言ってごめんね。予定はカレンダーに書いてあるよ」
電話に出なかった 出られる時間を伝える 「仕事中は出られないけど、夕方6時に電話するね」
責める言葉を使った 仕組みの話へ戻す 「覚えておいて、じゃなくて、見れば分かるようにしよう」
自分が限界だと感じた 家族や窓口に相談する 「同じ電話が続いて疲れている。対応を分けたい」
親が怒ってしまった その場で説得しない 「今日はここまでにしよう。また落ち着いたら話そう」

一度怒ったから、もう取り返しがつかないわけではありません。

次の電話で、少しだけ言い方を戻せばいいのです。

介護や見守りは、きれいな正解を毎日続けるものではありません。乱れたら戻す。疲れたら分ける。限界なら相談する。その繰り返しです。

電話の内容が火の元・薬・お金・外出に関わるなら、早めに相談を考えます

同じ電話でも、内容によって緊急度は違います。

昔話を何度もする電話と、火を消したか分からない電話では、対応の重さが違います。

家族が早めに相談した方がよいのは、生活の安全やお金、健康に関わる電話が増えているときです。

電話の内容 心配な理由 相談先の例
「火を消したか分からない」 火災につながる可能性がある 地域包括支援センター、消防相談、ガス会社、家族
「薬を飲んだか分からない」 飲み忘れや二重服薬が起きる可能性がある かかりつけ医、薬剤師、地域包括支援センター
「お金がなくなった」 紛失、被害感、詐欺、金銭管理の困難が考えられる 地域包括支援センター、消費生活センター、家族
「家に知らない人が来た」 訪問販売、詐欺、不安、被害妄想の可能性がある 家族、警察相談、消費生活センター、地域包括
「帰り道が分からない」 迷子や事故の危険がある 警察、家族、地域包括支援センター
夜中に何度も電話 昼夜逆転、不安、混乱、介護負担の増加 医療機関、地域包括支援センター

厚生労働省は、認知症が疑われる症状に気づいたときや介護で悩んだときの相談先として、地域包括支援センター、認知症疾患医療センター、かかりつけ医、もの忘れ外来、電話相談などを案内しています。地域包括支援センターは全ての市町村に設置されており、認知症に詳しい関係機関とも連携しながら支援を行うとされています。

電話の内容が安全に関わるなら、「親が嫌がるから」と家族だけで抱え続けないでください。

相談は、親を施設に入れるためだけのものではありません。今の生活をどう安全に続けるかを考える入口です。

兄弟姉妹で温度差があるときは、着信履歴と内容を共有します

親から同じ電話が何度も来る負担は、特定の家族に集中しやすいです。

近くに住む娘だけに電話が来る。長男にはあまり電話しない。親が頼りやすい子どもだけに集中する。兄弟に話しても「うちにはそんなに電話来ないよ」と言われる。

そうなると、対応している人だけが疲れていきます。

共有すること 例 目的
着信の回数 昨日は同じ内容で7回電話があった 負担を見える化する
電話の内容 薬、病院、通帳、火の元の確認が多い 生活リスクを共有する
時間帯 夜9時以降が増えている 昼夜逆転や不安の強い時間を知る
対応者の負担 仕事中にも出ていて限界に近い 役割分担につなげる
相談したいこと 地域包括へ連絡してよいか 家族内の合意を作る

兄弟姉妹への文面は、責めるより作業として伝える方が話しやすくなります。

「最近、母から同じ内容の電話が一日に何度も来ています。薬や予定の確認が多く、私だけでは対応がきつくなってきました。電話の記録を共有するので、週に何回か対応を分けられないか相談したいです。地域包括支援センターにも一度相談したいと思っています。」

負担を分けるには、まず負担が見える形になっている必要があります。

離れて暮らす親の場合は、電話だけで見守ろうとしすぎない

遠方に住む親から同じ電話が何度も来る場合、家族は電話に頼りがちです。

すぐ行けないから、電話で確認する。電話で安心させる。電話で薬を見てもらう。電話で火の元を聞く。

でも、電話だけでは見えないことがあります。

冷蔵庫に同じ食品がたくさんあるか。薬が残っているか。部屋が荒れているか。請求書がたまっているか。火の周りに物が置かれているか。本人の服装や表情が変わっているか。

電話だけでは分かりにくいこと 現地で見たいこと 頼れる相手
食事 冷蔵庫、賞味期限、同じ食品の買いすぎ 家族、ヘルパー、配食サービス
薬 飲み残し、重複、薬袋の混乱 薬剤師、かかりつけ医、訪問看護
家の安全 火の元、段差、ストーブ、配線 地域包括、ケアマネジャー、家族
お金 未払い請求書、通帳、契約書、訪問販売の書類 家族、地域包括、消費生活センター
生活リズム 昼夜逆転、外出頻度、入浴、洗濯 近隣、民生委員、地域包括

遠方から支える場合は、親の住所地の地域包括支援センターへ相談してみてください。

「同じ電話が増えており、薬や予定の確認が難しくなっている。遠方で直接見に行けない日が多い」と伝えると、地域の見守りや介護保険の相談につながりやすくなります。

親の寂しさが強い場合は、電話以外のつながりを増やします

同じ電話の背景に、寂しさがあることもあります。

「寂しい」と言えず、予定を聞く。話す用事がなくても電話する。子どもとつながっている感じがほしくて、同じ話を繰り返す。

この場合、電話の回数を減らすだけでは、親の不安が強くなることがあります。

親の状態 電話以外のつながり 考えたいこと
一人時間が長い 配食、デイサービス、地域の集まり 日中に人と話す機会があるか
家族だけに依存している 近所、親族、友人、民生委員 連絡先が一人に偏っていないか
外出が減った 通いの場、介護予防教室、散歩の同行 体力や移動手段の不安がないか
会話の相手がいない 電話相談、認知症カフェ、地域活動 安心して話せる場があるか
家族が疲れている 見守りサービス、介護サービス、家族会 家族だけで受け止め続けていないか

厚生労働省は、認知症カフェを、認知症の人や家族、地域の人、介護・福祉などの専門家が情報を共有し、お互いを理解し合う場として案内しています。地域によって「オレンジカフェ」など名称が異なるため、自治体や地域包括支援センターで確認できます。

親の電話が寂しさから来ている場合、「電話しないで」と言うだけでは解決しにくいです。

家族以外にも、日中の会話相手や安心できる場所を少しずつ増やしていくことが必要になります。

家族の限界が近いときは、介護のグチも相談していい

親の電話に毎日対応していると、家族の方が先に疲れ切ることがあります。

着信音が怖い。電話に出る前からイライラする。親に優しくできない。仕事中も気になる。夜も落ち着かない。兄弟に分かってもらえない。親のことを大切に思っているのに、電話が来ると嫌な気持ちになる。

これは、家族の性格が悪いからではありません。

負担が一人に偏っているサインです。

家族のサイン 起きていること 先にすること
着信音で動悸がする 常に緊張している 電話対応を一人で抱えない
強く言ってしまう 余裕がなくなっている 返し方の型を作り、相談先を持つ
仕事や家庭に支障がある 見守りが生活を圧迫している 家族で役割分担する
親の電話を無視したくなる 限界が近い 地域包括支援センターへ相談する
罪悪感が強い 親を大切に思う気持ちと疲れが混ざっている 家族会や電話相談で話す

認知症の人と家族の会では、認知症に関する知識や介護の仕方だけでなく、介護のグチや悩みも相談できる電話相談を実施していると案内しています。経験者が相談に応じる窓口として、本部フリーダイヤルや支部の電話相談が紹介されています。

家族が弱音を吐くことは、親を見捨てることではありません。

むしろ、対応を続けるために必要な安全弁です。

受診や相談につなげる目安は、電話の回数だけでなく生活への影響で見ます

同じ電話が多いと、「何回以上なら相談すべきか」と考えたくなります。

でも、回数だけでは判断しきれません。

一日10回でも内容が昔話中心で、家族で対応を分けられている場合と、一日3回でも火の元や薬の話で危険がある場合では、急ぎ方が違います。

相談を考えたい状態 理由 相談先
同じ電話が増え、本人が前の電話を覚えていない 記憶の変化が生活に出ている可能性 かかりつけ医、もの忘れ外来、地域包括
薬・火の元・お金の電話がある 健康や安全、財産に関わる 地域包括、医療機関、薬剤師、消費生活センター
夜間や早朝の電話が増えた 昼夜逆転、不安、混乱の可能性 医療機関、地域包括
家族の生活に支障が出ている 介護負担が大きくなっている 地域包括、家族会、電話相談
本人が強く不安がる・怒る 本人も困っている可能性がある かかりつけ医、認知症疾患医療センター
兄弟間で対応が揉めている 家族だけでは役割分担が難しい 地域包括、ケアマネジャー、専門職

相談は、「もう介護が必要です」と決めるためだけのものではありません。

今の電話対応をどう続けるか、家の中にどんな仕組みを作るか、受診をどう促すか、家族の負担をどう分けるかを考えるためのものです。

今日できる一歩は、電話に出続けることではなく「電話メモ」を作ることです

親が同じ電話を何度もしてくるとき、今日すぐに電話の回数をゼロにすることは難しいかもしれません。

でも、今日できることはあります。

最後に、次の表だけ埋めてみてください。

整理すること 書く内容
一番多い電話内容 予定、薬、お金、寂しさ、火の元など
一番困る時間帯 仕事中、夕方、夜中、早朝など
電話以外で見せるもの カレンダー、薬箱、予定カード、支払い箱
家族で分けること 電話対応、記録、訪問、相談先への連絡
相談する目安 薬・火の元・お金・外出・夜間電話が増えたら相談

親の同じ電話に疲れる自分を、責めすぎないでください。

大事に思っているからこそ出てしまう。出るからこそ疲れる。疲れるから怒ってしまう。これは、家族だけで抱えるには重い循環です。

電話を減らすことだけを目標にせず、親が何を不安がっているのかを見える形にする。毎回考えなくていい返し方を作る。電話以外の確認方法を置く。家族で役割を分ける。必要なら地域包括支援センターや電話相談へつなぐ。

今日の一歩は、完璧な対応ではありません。

次の電話に少し落ち着いて出るための、メモを一つ作ることです。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. 親が同じ電話を何度もしてくるとき、最初にどう対応すればいいですか?

まず「さっきも言った」と責めず、電話の内容、時間帯、頻度を簡単に記録してください。予定、薬、お金、火の元など何を確かめたくて電話しているのかが見えると、カレンダーや薬箱、連絡ルールなど具体的な対策を作りやすくなります。

Q. 同じ電話を何度もするのは認知症のサインですか?

同じ電話だけで認知症と決めつけることはできませんが、電話したことを覚えていない、薬や火の元、お金、外出にも不安がある場合は相談の目安になります。かかりつけ医、もの忘れ外来、地域包括支援センターなどに、具体的な出来事を伝えて相談しましょう。

Q. 親の電話にイライラして強く言ってしまいます。どうしたらいいですか?

毎回やさしく完璧に対応するのは難しいので、よくある電話には返し方の型を作っておくと負担が減ります。強く言ってしまったときは、次の電話で「さっきは強く言ってごめんね」と短く戻し、電話対応を家族で分担することも考えてください。

Q. 仕事中に親から何度も電話が来る場合、出ないといけませんか?

緊急の可能性がある内容と、急ぎでない確認電話を分けることが大切です。「仕事中は出られないけれど、夕方6時に必ず電話する」と決まった連絡時間を伝え、火の元や体調不良など急ぎの基準も家族で決めておくと対応しやすくなります。

Q. 親の同じ電話がつらいとき、家族だけで相談できますか?

できます。地域包括支援センターや認知症の電話相談では、本人がまだ受診していない段階でも、家族の困りごとを相談できる場合があります。「同じ電話が増えて対応に疲れている」「薬や火の元も心配」と具体的に伝えると、次の動き方を一緒に考えやすくなります。

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