電話を切るたびに、「また言いたいことを言えなかった」と疲れます
退院した父親が自宅へ戻り、訪問介護とデイサービスを利用することになりました。
家族は、夜中のトイレや転倒が心配です。次の訪問でケアマネジャーへ伝えようと思っていました。
ところが、面談ではサービスの日程や書類の説明が次々と進み、こちらが話し始めても、「それは介護保険では難しいですね」と短く終わってしまいます。
電話をしても折り返しが数日後になることがあり、父親の状態が変わったことを伝えても、次の定期訪問まで話が進みません。
「忙しい人だから、これくらい我慢すべきなのか」
「一度断られただけで担当を替えるのは、わがままではないか」
「変更したら、今のデイサービスまで使えなくなるのではないか」
「親は気に入っているから、家族だけで替えてよいのだろうか」
介護が始まったばかりの家族には、ケアマネジャーへどこまで頼んでよいのかも分かりません。
不満を言って関係が悪くなるくらいなら、自分たちで何とかしようと考えます。しかし、言えないことが積み重なると、困ったときに支援を調整する相手がいなくなってしまいます。
変更するかどうかを決める前に、「人柄が好みと違う」のか、「必要な情報や支援が届かない」のかを分けてみます。
ケアマネジャーは、介護を直接行う人ではなく支援をつなぐ人です
ケアマネジャーは、本人の心身の状態や生活環境、本人・家族の希望を踏まえてケアプランを作り、訪問介護、通所介護、福祉用具、医療機関などとの連絡・調整を行います。サービス開始後も生活状況を把握し、必要に応じて計画を見直す役割があります。
| ケアマネジャーへ頼めること | 別の人や窓口が担当すること |
|---|---|
| 本人・家族の困りごとを聞き、必要な支援を考える | 掃除、排泄介助、買い物などをその場で直接行う |
| ケアプランを作成・変更する | 医療上の診断や治療方針を決める |
| 介護サービス事業所と連絡を取る | 希望した事業所の空きを必ず確保する |
| 福祉用具や住宅改修の相談をつなぐ | 家族の代わりにすべての家事や手続きを引き受ける |
| 本人の状態変化を受けてサービスを組み直す | 夜間・休日にいつでも個人的に駆け付ける |
依頼したことがケアマネジャーの役割外だったり、介護保険の対象にならなかったりする場合はあります。
ただし、「できません」で終わらせず、難しい理由や代わりの方法を説明してもらうことは、今後の介護を考えるうえで欠かせません。
一度希望が通らなかっただけでは、相性が悪いとは限りません
家族が望むサービスをケアマネジャーがすぐケアプランへ入れない場合、利用条件、本人の状態、事業所の空き、介護保険の支給限度額などが関係していることがあります。
| 起きたこと | すぐ変更する前に聞きたいこと |
|---|---|
| 訪問介護の回数を増やせないと言われた | 介護保険上の理由か、事業所の人員不足か、別の方法があるか |
| 希望するデイサービスを勧めてもらえない | 空き、送迎範囲、本人の状態など、勧めない理由は何か |
| 家族の希望より本人の意見を優先された | 本人の希望と安全上の心配をどう両立させる考えか |
| すぐに折り返しがなかった | 通常の連絡方法と緊急時の窓口はどう決められているか |
| 施設入所をまだ勧められないと言われた | 在宅生活のどこに限界の目安を置いているか |
ケアプランは本人の希望に基づいて作成され、利用者は複数のサービス事業者の紹介を求めることができます。ケアマネジャーは、特定の事業者へ不当に偏らず、公正中立にサービス選択を支えることが求められています。
希望が通らない理由を聞いたとき、根拠と代替案が示されるなら、専門職として異なる意見を伝えている可能性があります。
説明を聞いても納得できない、ほかの選択肢を示してもらえない場合は、担当や事業所の見直しを考えます。
変更を考えてよいのは、話しにくいと感じたときだけではありません
| 気になる状態 | 変更を考える理由 |
|---|---|
| 本人や家族の話を途中で遮り、困りごとを把握しようとしない | 生活上の変化がケアプランへ反映されにくい |
| 状態が変わったと伝えても、対応や説明がない | 転倒、服薬、介護負担などの問題が長く残る |
| 連絡方法や折り返しの目安が分からない | 必要なときに誰へ伝えるか判断できない |
| 家族だけ、または本人だけの意見で一方的に進める | 本人の希望と家族の負担を一緒に扱えない |
| 特定の事業所だけを強く勧め、ほかの候補を示さない | 利用者がサービスを選ぶ機会を持てない |
| 説明のないままケアプランやサービス内容が変わる | 本人・家族が支援の目的を理解できない |
| 侮辱的な言葉、威圧、個人情報の不適切な扱いがある | 相性ではなく、安心して支援を任せられない問題になる |
ケアマネジャーとの関係は、単に感じのよさを求めるものではありません。
本人の暮らしや家族の介護負担に変化があったとき、その事実を安心して伝え、選択肢を一緒に考えられることが必要です。
まず一度だけ、「困った出来事・望む対応・期限」を伝えます
「もっと親身になってほしい」と伝えても、相手には具体的に何を変えればよいか分かりません。
人格への評価ではなく、実際に起きたことを短く伝えます。
先週、父が夜中に二回転び、母一人では起こせませんでした。
今のサービスで続けられるのか、訪問回数や福祉用具を含めて見直したいです。
次の定期訪問を待たず、今週中に一度話す時間をいただけますか。
| 伝える要素 | 例 |
|---|---|
| 実際に起きたこと | 夜間に二回転倒した |
| 生活への影響 | 配偶者一人では介助できない |
| 望むこと | 訪問介護、福祉用具、ショートステイを含めて考えたい |
| 返事が欲しい時期 | 今週中に連絡が欲しい |
電話では話しづらい場合は、メール、連絡帳、面談時の紙など、記録に残る方法を使います。
感情を隠す必要はありませんが、「いつも冷たい」「何もしてくれない」ではなく、今後変えてほしい行動へ話を絞ります。
本人と家族で評価が違うときは、どちらかを黙らせません
家族は「何も動いてくれない」と感じていても、本人は「よく話を聞いてくれる人だから替えたくない」と言うことがあります。
反対に、家族には丁寧でも、本人が「勝手に話を決められる」と感じている場合もあります。
ケアプランは本人の希望を基礎に作られるため、本人が意思を伝えられる場合は、その考えを中心に扱います。一方で、介護を担う家族の負担や安全上の問題も、支援を組み立てるための重要な情報です。
| 立場 | 聞きたいこと |
|---|---|
| 本人 | 今のケアマネのどこが安心か、替えると何が困るか |
| 同居家族 | 介護のどの場面が限界に近いか |
| 離れて暮らす家族 | 連絡不足により、どの判断ができず困っているか |
| ケアマネジャー | 本人と家族の希望をどう捉え、何を優先しているか |
お父さんが今の担当者を信頼していることは分かったよ。
ただ、夜の介助をしているお母さんが限界に近いことも伝えたい。
担当を替えるか決める前に、家族の負担を含めてもう一度話す場を作らない?
本人が判断しにくい状態にある場合は、家族だけで結論を急がず、地域包括支援センターなどの第三者へ状況を共有します。
同じ事業所の別担当者なら話せそうな場合があります
現在のケアマネジャー個人とは合わなくても、居宅介護支援事業所の対応や場所に不満がない場合は、事業所の管理者へ担当交代を頼む方法があります。
現在の担当者と連絡の取り方や話の進め方が合わず、必要なことを伝えにくい状態です。
事業所との契約は続けたいので、別のケアマネジャーへ担当を替えられるか相談したいです。
同じ事業所内で担当者だけを替える場合は、事業所内の調整で進められることがあります。ただし、人員体制や担当件数によって交代できない場合もあるため、管理者へ尋ねます。
居宅介護支援事業所そのものを替える場合は、新しい事業所との契約や自治体への変更届が必要になります。
事業所ごと替えるなら、先に新しい受け入れ先を探します
現在の契約を先に終わらせると、新しいケアマネジャーが決まるまで調整役がいない期間が生じる可能性があります。
2026年7月の厚生労働省の説明では、ケアマネジャーが「大きく不足している」と答えた自治体が約2割あり、受け入れ先がすぐ決まらない地域では、地域包括支援センターなどが調整を行う場合があるとされています。
急を要する問題がなければ、次の順番で進めます。
- 現在の支援で困っていることを一枚にまとめる
- 新しい居宅介護支援事業所の候補を探す
- 受け入れ可能か、変更希望月から担当できるかを聞く
- 本人と家族が新しい担当候補と話す
- 受け入れ先が決まってから、現在の事業所へ変更を伝える
- ケアプランや支援経過などを引き継いでもらう
- 自治体へ必要な変更届を出す
緊急性の高い放置や威圧的な対応などがある場合は、新しい担当探しと並行して、事業所の管理者や自治体へ連絡してください。
新しい担当候補には、経験年数より話し合い方を聞きます
| 尋ねること | 見たい点 |
|---|---|
| 連絡方法 | 電話、メール、連絡帳のどれに対応できるか |
| 折り返しの目安 | 通常時と急な状態変化で連絡先が違うか |
| 家族との情報共有 | 本人の同意を踏まえ、遠方家族とも共有できるか |
| 得意な支援 | 認知症、医療依存度、看取り、家族介護などの経験 |
| 本人との関わり | 本人の希望をどのように聞くか |
| サービス選び | 複数の事業所や方法を示してもらえるか |
| 現在のサービス | 訪問介護やデイサービスの継続希望をどう引き継ぐか |
| 担当件数と訪問 | 無理のない頻度で状況を見てもらえるか |
居宅介護支援事業所は、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で所在地、連絡先、運営方針などを検索できます。自治体や地域包括支援センターから、地域の事業所一覧を受け取れる場合もあります。
評判がよい人でも、家族が望む連絡方法や、本人の生活に合うとは限りません。
最初の電話で、現在困っていることを一つ伝え、その話をどう受け止めてくれるかも見ます。
今の訪問介護やデイサービスを続けたいことは、最初に伝えます
ケアマネジャーを替えたからといって、利用中の訪問介護やデイサービスが自動的にすべて終了するわけではありません。
サービス事業者は利用者が選ぶことが基本で、ケアマネジャーは本人の希望に基づいて事業者との調整を行います。
ただし、新しいケアマネジャーが状態を見直した結果、ケアプランの内容や回数について提案が変わる場合はあります。また、現在の事業所と新しい居宅介護支援事業所との連携状況によって、調整が必要になることもあります。
ケアマネジャーは変更したいのですが、現在の訪問介護とデイサービスには満足しています。
できる限り同じサービスを続けたいので、変更月の予定と引き継ぎ方法を先に教えてください。
| 引き継ぐ内容 | 見ること |
|---|---|
| 現在のケアプラン | 利用目的、サービス内容、回数 |
| 週間予定 | 曜日・時間・送迎・訪問予定 |
| 本人の状態 | 認知機能、移動、食事、排泄、服薬など |
| 緊急時の対応 | 誰へどの順番で連絡するか |
| 家族の状況 | 同居、遠距離、仕事、介護できる時間 |
| 医療情報 | かかりつけ医、訪問看護、入退院歴 |
| 今後の課題 | 転倒、介護疲れ、住み替えなど |
現在の担当者には、長い不満の説明をしなくても構いません
変更を伝えるとき、これまでの不満をすべて説明して納得してもらおうとすると、話がこじれることがあります。
変更の意思と希望日、引き継ぎをお願いしたいことを簡潔に伝えます。
家族で検討し、○月から別の居宅介護支援事業所へ変更することにしました。
これまでのケアプランと支援経過を、新しい担当者へ引き継いでいただきたいです。
現在利用しているサービスは、可能な限り継続したいと考えています。
理由を聞かれた場合は、相手を評価する言葉ではなく、自分たちが必要とする支援を伝えます。
状態が変わったときに早めに相談できることと、家族への情報共有を重視して選び直しました。
利用者が別の居宅介護支援事業者を希望した場合、現在の事業所は、直近のケアプランと実施状況に関する書類を利用者へ交付することとされています。
変更届の方法は自治体によって違います
居宅介護支援事業所を替える場合、多くの自治体では「居宅サービス計画作成依頼(変更)届」などを提出します。
必要書類、提出期限、オンライン申請の可否、本人と事業所のどちらが提出するかは自治体ごとに異なります。世田谷区や横浜市でも、事業所変更時の届出と介護保険被保険者証などの提出が案内されています。
| 手続き前に聞くこと | 尋ねる相手 |
|---|---|
| 必要な変更届の名称 | 市区町村の介護保険担当窓口 |
| 提出する人 | 新しい居宅介護支援事業所または自治体 |
| 必要書類 | 変更届、介護保険被保険者証など |
| 提出期限 | 自治体と新しい事業所 |
| 変更が始まる日 | 新旧の居宅介護支援事業所 |
| 要支援の場合の窓口 | 地域包括支援センターまたは自治体 |
書類の提出を新しい事業所が代行する場合でも、変更月と手続きが完了したかを家族でも把握しておきます。
ケアマネ不足で次が見つからないときは、地域包括支援センターへつなぎます
候補へ電話をしても、「新規の受け入れはできません」と断られることがあります。
その場合は、現在の事業所との契約を急いで終えず、本人の住所を担当する地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口へ伝えます。
担当ケアマネジャーの変更を希望していますが、複数の居宅介護支援事業所から受け入れが難しいと言われました。
現在のサービスを止めずに変更できる事業所を探したいので、地域内の調整について相談したいです。
市区町村や地域包括支援センターでは、介護サービスの利用方法や地域の事業所について相談・情報提供を行っています。地域でケアマネジャーが見つかりにくい場合には、地域包括支援センターや職能団体などが受け入れを調整する例もあります。
相性では済ませにくい問題は、変更と苦情相談を分けて進めます
次のような場合は、担当変更だけで終わらせず、事業所の管理者や公的な窓口へ事実を伝えます。
- 本人の意思を無視して契約やサービス変更を進めた
- 特定のサービス事業者しか選べないように説明された
- 威圧的・侮辱的な言動が繰り返された
- 個人情報を本人の同意なく不必要に伝えられた
- 安全に関わる状態変化を伝えても放置された
- 苦情を伝えた後に、不利益な扱いを受けたと感じる
| 相談先 | 伝える内容 |
|---|---|
| 居宅介護支援事業所の管理者 | 担当者とのやり取り、改善してほしい点、担当交代の希望 |
| 地域包括支援センター | 本人の生活状況、家族の負担、変更先探し |
| 市区町村の介護保険担当窓口 | 制度、変更手続き、事業所の対応への苦情 |
| 都道府県の国民健康保険団体連合会 | 介護サービスや事業者の対応に関する相談・苦情 |
居宅介護支援事業所には苦情受付の窓口や処理手順を明らかにすることが求められています。また、市町村や国民健康保険団体連合会は、介護サービスに関する苦情を受け、必要な調査、指導、助言などを行う役割を持っています。
相談するときは、担当者への印象だけでなく、日付、発言、依頼した内容、返答、その結果起きたことをメモして持参します。
家族の希望を全部かなえる人より、違う意見も説明できる人を選びます
新しいケアマネジャーが家族の希望へすべて賛成してくれれば、最初は安心します。
しかし、長く付き合う相手として必要なのは、希望どおりに手配する人だけではありません。
- 本人と家族の意見が違うとき、両方を聞ける
- 介護保険でできない理由を説明できる
- できない場合に別の方法を提案できる
- 本人の状態変化に応じて計画を見直せる
- 家族が無理をしているとき、それを支援上の課題として扱える
- 特定の事業者だけでなく、複数の選択肢を示せる
話しやすさは必要ですが、耳当たりのよい答えだけを返すこととは違います。
意見が違う場面でも、何を根拠に考えたのかを説明し、本人と家族が選べる状態を作ってくれるかを見ます。
今日するのは、担当者へ「もう無理です」と電話することではありません
今日は紙を一枚用意し、最近困った場面を三つだけ書いてください。
- いつ、何が起きたか
- ケアマネジャーへ何を伝えたか
- どのような返事や対応だったか
- 本当はどうしてほしかったか
- いつまでに対応が必要か
その中で最も生活への影響が大きい一件を、現在のケアマネジャーへ具体的に伝えます。
一度伝えても状況が変わらない場合は、事業所の管理者へ担当交代を尋ねます。事業所ごと替えたい場合は、地域包括支援センターや自治体から候補を紹介してもらい、受け入れ先を決めてから引き継ぎを進めてください。
ケアマネジャーを変更することは、これまでの支援をすべて否定することではありません。
本人の状態や家族の暮らしが変われば、必要な連絡方法や支援の進め方も変わります。
介護を長く続けるためには、遠慮せず状況を伝えられ、意見が違っても話し合える相手が必要です。
まずは「合わない」という気持ちを我慢するのではなく、次の担当者に求めたいことを一つ、具体的な言葉にするところから始めてください。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省・介護サービス情報公表システム:ケアマネジャーと居宅介護支援の役割、公正中立なサービス調整。
- 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」:本人の希望に基づくケアプラン、複数事業者の紹介、変更時の書類交付。
- 世田谷区・横浜市:居宅介護支援事業所を変更する際の届出、必要書類、提出方法。
- 厚生労働省:市区町村・地域包括支援センターによる相談対応と、ケアマネジャー不足時の地域調整。
- 厚生労働省・国民健康保険中央会:介護サービスに関する苦情処理と相談窓口。















