夜の電話に出ないだけで、最悪の場面まで考えてしまいます
夜九時、いつもの時間に親へ電話をかける。
呼び出し音は鳴りますが、出ません。
十分後にもう一度かけても応答がない。固定電話、携帯電話、メッセージと連絡方法を変えても返事がありません。
「お風呂に入っているだけかもしれない」
そう思おうとしても、頭には別の場面が浮かびます。
廊下で転んで動けないのではないか。薬を重ねて飲んだのではないか。急に具合が悪くなり、電話まで手が届かないのではないか。
親の家までは、新幹線と電車を乗り継いで四時間。今から出ても、その日のうちには着きません。
近くに住む親族へ連絡するべきか迷います。夜遅くに近所の人へ頼むのも気が引けます。
「こんなことで騒いだら、親に怒られるかもしれない」
「でも、何かあったら自分を許せない」
遠距離介護の緊急時に家族を苦しめるのは、距離だけではありません。
連絡が取れないとき、誰へ電話し、誰が家へ入り、誰が救急車を呼ぶのか。その順番が決まっていないため、離れた家族が一人で判断することになります。
不安を完全になくすことはできなくても、迷う時間を短くする準備はできます。
先に埋めたいのは、「気づく・確かめる・入る・運ぶ」の四つです
| 緊急時の段階 | 決めておくこと | 決まっていないと起きること |
|---|---|---|
| 異変に気づく | 定時連絡、訪問、配食、見守り通知など | 倒れていても、異変に気づくまで時間がかかる |
| 現地で確かめる | 近所の人、親族、介護事業所などの連絡順 | 遠方の家族が何人にも手当たり次第電話する |
| 家へ入る | 合鍵を持つ人、鍵の預かり方法、管理会社への連絡 | 人は到着しても室内を確かめられない |
| 救急につなぐ | 119番を頼む人、住所、持病、薬、家族への連絡 | 現地の人が親の情報を分からず説明に困る |
見守り機器を設置しても、「動きがありません」という通知を受けたあとに動く人が決まっていなければ、家族が画面を見ながら焦るだけになります。
まず機器やサービスを選ぶのではなく、この四つの空欄を埋めてください。
連絡が取れないときの順番を、平常時に決めておきます
電話に出ないことは、すぐ生命の危険を意味するわけではありません。
昼寝をしている。入浴中である。携帯電話を別の部屋へ置いている。補聴器を外していて呼び出し音が聞こえない。
一方で、いつもと違う時間帯や、その直前の体調によっては早く動く必要があります。
次のように、家族用の順番を一枚へ書いておきます。
| 段階 | 家族の行動例 |
|---|---|
| 一回目の電話に出ない | 固定電話、携帯電話、メッセージなど、普段使う別の方法でもう一度連絡する |
| 普段なら応答する時間を過ぎた | 予定表、通院、入浴、外出、デイサービスの日ではないかを見る |
| なお連絡が取れない | あらかじめ決めた近隣連絡先の一人目へ、玄関や家の様子を見てもらえるか頼む |
| 一人目が動けない | 二人目の親族、近隣の人、介護事業所、住宅管理者などへ連絡する |
| 倒れている可能性が高い | 現地で確認できる人に119番通報を頼み、家族も連絡が取れる状態を保つ |
| 生命に関わる症状が分かっている | 通常の安否確認を飛ばし、119番につなぐ |
「十分後」「三十分後」といった時間は、親の普段の生活、持病、直前の体調、支援者との距離によって変わります。
一律の正解を決めるのではなく、「夕方の定時電話に出ず、昼の配食も受け取っていないならすぐ現地確認」のように、親の生活に合わせた条件を作ります。
次の症状が分かっているときは、家族の到着を待ちません
- 呼びかけても反応がない、意識がもうろうとしている
- 急にろれつが回らない、顔の片側がゆがむ
- 突然、片方の腕や足に力が入らない
- 急な息切れや呼吸困難がある
- 胸や背中に突然の激しい痛みがある
- 急にふらつき、立っていられない
- 激しい頭痛や腹痛が突然起きた
- 転倒して頭を打ち、その後の様子がおかしい
- 薬を多く飲んだ可能性があり、強い眠気や異変がある
こうした症状は、厚生労働省が高齢者について「迷わず119番」と案内している緊急性の高い症状に含まれます。家族が遠方から向かう時間を待たず、親のそばにいる人から救急要請につなげてください。
近くで動ける人は、一人ではなく二人以上決めます
「何かあれば近所の叔母に頼む」と一人だけ決めても、その人が仕事中、旅行中、入院中ということがあります。
緊急連絡先は、役割の異なる人を二人以上考えます。
| 候補 | 頼めること | 先に話すこと |
|---|---|---|
| 近所の親族 | 玄関や室内の確認、救急要請、病院への同行 | どの程度まで頼めるか、夜間も連絡してよいか |
| 信頼できる近隣の人 | 雨戸、新聞、照明、呼び鈴への反応を見る | 室内へ入る役割まで求めるかどうか |
| 民生委員など地域の関係者 | 地域の制度や相談先につなぐ | 緊急出動を担う人ではないため、役割を決めつけない |
| 訪問介護・訪問看護 | 契約した訪問時間の状況確認、体調変化の共有 | 営業時間外や予定外の連絡に対応できるか |
| 配食・通所サービス | 受け取りや欠席から異変に気づく | 応答がない場合の連絡先と手順 |
| 賃貸住宅の管理会社・大家 | 建物側の対応、緊急時の入室方法の案内 | どの条件なら入室対応が可能か |
連絡先へ名前を書くだけでは不十分です。
「夜の定時電話に出ず、昼の配食にも応答していない場合だけ、玄関を見てほしい」のように、頼む条件を伝えてください。
近所の人へ、体調判断や長時間の付き添いまで背負わせないことも必要です。
合鍵は「どこかに隠す」のではなく、誰が使うかを決めます
緊急時に現地へ行ける人がいても、玄関が施錠されていれば室内へ入れません。
一方で、家族が勝手に合鍵を作ったり、誰でも見つけられる場所へ置いたりすると、本人の不信感や防犯上の問題につながります。
| 合鍵の持ち方 | 考えたいこと |
|---|---|
| 近所の親族へ預ける | 本人の同意、紛失時の対応、返却時期 |
| 信頼できる近隣の人へ預ける | 緊急時だけ使う条件と連絡順 |
| 介護事業所の鍵預かり | 対応の有無、保管方法、利用できる時間帯 |
| 住宅の管理会社へ相談する | 緊急入室の条件、本人確認、費用 |
| 暗証番号式の保管設備を使う | 設置の許可、番号を知る人、番号変更の方法 |
玄関マット、郵便受け、植木鉢の下などへ鍵を置く方法は、緊急時には見つけやすくても、第三者にも見つかる可能性があります。
鍵の場所だけでなく、次の点まで決めてください。
- 誰が持っているか
- どの状況で使ってよいか
- 使ったあと誰へ報告するか
- 親が入院した場合、誰が家を施錠するか
- 鍵を紛失した場合、誰が交換手続きをするか
親が合鍵を嫌がるときは、「監視」ではなく一つの場面から話します
親からすると、合鍵を渡すことは、自分の生活へいつでも入られるように感じる場合があります。
| 避けたい言い方 | 伝えやすい言い方 |
|---|---|
| 「何かあったら困るから鍵を渡して」 | 「転んで電話まで行けないときだけ、叔母さんが入れるようにしたい」 |
| 「一人では危ないでしょう」 | 「普段は勝手に入らない。使う条件を紙に書こう」 |
| 「認知症になったら必要だから」 | 「私も鍵をなくしたときのために、家族へ一本預けているよ」 |
| 「近所の人に預けておくね」 | 「誰なら預けてもよい?親族と管理会社のどちらが安心?」 |
本人が強く拒む場合は、無断で進めず、管理会社や介護事業所が対応できる方法、緊急通報サービスの仕組みなどを地域包括支援センターへ聞きます。
救急隊や支援者へ渡せる情報を、一枚へまとめます
親が自分で病歴や薬を説明できるとは限りません。
遠方の家族も、突然の電話で薬の名前や保険情報の場所を聞かれると、すぐ答えられないことがあります。
| 一枚へ書く項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 本人情報 | 氏名、生年月日、住所、電話番号 |
| 持病 | 心臓病、糖尿病、認知症など現在治療中の病気 |
| 服薬 | お薬手帳や薬の一覧を置いている場所 |
| アレルギー | 薬や食べ物で分かっているもの |
| 通院先 | かかりつけ医、診療科、電話番号 |
| 介護関係 | ケアマネジャー、訪問看護、介護事業所 |
| 緊急連絡先 | 家族二人以上と現地で動ける人 |
| 家の情報 | 合鍵を持つ人、ペット、注意が必要な設備 |
| 書類の場所 | 保険関係、お薬手帳、診察券など |
| 更新日 | 情報を書き直した日 |
暗証番号、銀行の情報、財産一覧など、救急対応に不要な情報まで同じ紙へ書く必要はありません。
薬が変わった、連絡先が変わった、介護事業所が変わったときは、その部分だけ直します。
自治体によっては、救急情報を容器などに入れて保管する仕組みを用意している場合があります。親の住所地で利用できる制度があるか、地域包括支援センターや市区町村へ尋ねてください。
119番で伝える内容を、家族も手元へ置いておきます
119番通報では、救急車が向かう住所、通報者の名前と連絡先、誰がどうしたのかなどを指令員が順番に尋ねます。緊急性が高い場合は、すべての聞き取りが終わる前に救急車が出動することもあります。
親の家の住所は、郵便番号から部屋番号まで家族のスマートフォンへ登録します。
近隣の人へ119番を頼む可能性があるなら、次の内容を一枚にして渡しておきます。
- 親の正確な住所と部屋番号
- 建物名と入口の特徴
- 親の氏名と年齢
- 持病や分かっている症状
- 家族の連絡先
- 合鍵を持つ人
- ペットがいるか
「いつも行く病院へ運んでほしい」と希望しても、救急搬送先は症状、緊急性、受入状況などによって決まります。
家族は搬送先の指定だけを考えるより、親の病歴や薬を伝えられる準備を優先します。
救急車を呼ぶか迷うときの番号は、親の地域で調べておきます
急な病気やけがで、救急車を呼ぶべきか、すぐ病院へ行くべきか迷う場合、利用地域では救急安心センター「♯7119」に電話し、医師、看護師、救急救命士などから助言を受けられます。
♯7119は全国一律ではなく、対象地域や利用時間が異なります。親が住む地域の実施状況と通常番号を、平常時に確かめてください。
消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」では、症状を選ぶと、救急車を呼ぶ、早めに医療機関を受診するなど、緊急度に応じた対応が表示されます。家族側のスマートフォンにも入れておくと、親から症状を聞いたときの判断材料になります。
ただし、意識がない、呼吸が苦しい、ろれつが回らないなど、明らかに緊急性が高い場合は、相談窓口の確認に時間をかけず119番につなげます。
見守り機器は、通知後の表と一緒に決めます
| 検知すること | 通知を受ける人 | 通知後の行動 |
|---|---|---|
| 一定時間、室内の動きがない | 長女 | 本人へ電話し、応答がなければ近隣連絡先へ確認を頼む |
| 夜間に玄関が開いた | 長男 | 本人へ電話し、認知症による外出の可能性があれば現地担当へ連絡する |
| 緊急ボタンが押された | 委託先と家族 | サービスの手順に従い、必要なら救急要請へつなぐ |
| 電気や機器の使用が長時間ない | 家族 | 外出予定を確認し、予定がなければ安否確認へ進む |
| 転倒を検知した | 家族と委託先 | 通話で状態を聞き、立てない・反応がない場合は現地対応を頼む |
導入前には、次の点を確かめます。
- 本人が機器の目的を理解し、受け入れられるか
- 誤報があったとき、誰が対応するか
- 家族が仕事中や就寝中の場合、代わりに誰が受けるか
- 委託先が現地へ駆けつけるのか、電話連絡だけなのか
- 救急要請の判断を誰がするか
- 合鍵をどのように管理するか
- 停電や通信障害時にどうなるか
- 月額費用以外に駆けつけ費用がかかるか
高機能な機器ほど安心とは限りません。
通知を受ける家族が一人しかおらず、その人が常に対応しなければならない仕組みでは、遠距離介護の負担が別の形へ移るだけです。
毎日の電話は、「出なければ異変」と判断できる時間にします
一日に何度も電話をかけると、家族も親も疲れます。
緊急時の手掛かりにするなら、回数より時間と内容を決めます。
- 毎日夕食後の七時に電話する
- 出られない日は、本人から短いメッセージを入れる
- 家族がかけられない日は、きょうだいが代わる
- 電話では食事、薬、転倒、翌日の予定を一つずつ聞く
- 応答がなかったときの次の連絡先を本人にも伝える
親には、次のように説明できます。
「監視したいのではなく、七時の電話に出なければ叔母さんへ見てもらう、と決めておきたい。外出する日は先に教えてね」
親が電話を負担に感じる場合は、音声メッセージ、定時のボタン操作、配食時の確認など、続けやすい方法へ変えます。
配食やデイサービスは、欠席・不在時の連絡方法まで聞きます
配食、デイサービス、訪問介護を利用していても、事業所が家族の想像どおりに動くとは限りません。
弁当を受け取らなくても、玄関へ置いて終了する契約かもしれません。
デイサービスの送迎時に応答がなくても、一定時間後に次の利用者へ向かうことがあります。
契約時には、次の内容を具体的に聞きます。
- 本人が応答しない場合、誰へ連絡するか
- 家族へ連絡がつかない場合、どこまで対応するか
- 室内へ入れる契約や鍵預かりがあるか
- 予定外の安否確認を頼めるか
- 夜間や休日に連絡できる窓口があるか
- 救急要請をした場合、家族へ誰が知らせるか
「介護サービスを使っているから、誰かが見てくれるはず」ではなく、契約上どこまでが支援範囲かを聞いてください。
夜間や短時間の訪問が必要なら、ケアプラン全体を見直します
朝の服薬、夕方の食事、夜間の排せつなど、一日に複数回の短い支援が必要になることがあります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、要介護認定を受けた方を対象に、定期的な巡回と随時通報への対応を組み合わせ、介護職と看護職が連携して日中・夜間を通じた支援を行う地域密着型サービスです。要支援の方は対象外で、地域の事業所状況や本人の状態によって利用可否が異なります。
ケアマネジャーへは、サービス名から頼むのではなく、時間帯を伝えます。
「昼の訪問だけではなく、夜九時ごろに転倒や服薬の不安があります。緊急通報を受けたあとに訪問できる支援が地域にあるか知りたいです」
サービスを増やしても、家へ入る方法や家族への連絡順が決まっていなければ対応が止まることがあります。
ケアプランの見直しでは、平常時の介助だけでなく、異変時の連絡と入室まで話してください。
地域包括支援センターには、介護認定前でも緊急時の不安を話せます
地域包括支援センターは、市町村が設置し、高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防、地域の支援体制づくりなどを担う窓口です。
親がまだ介護認定を受けていなくても、遠方の家族から次のように話せます。
「一人暮らしの母と毎晩電話していますが、応答がないと確認できる人が近くにいません。持病があり、転倒も増えています。緊急時に使える地域の見守り、連絡先、介護認定を含めて準備したいです」
電話前に、次の内容を手元へ置きます。
- 親の氏名、年齢、住所
- 一人暮らしか、同居者がいるか
- 持病、通院先、最近の転倒や急変
- 家族が駆けつけるまでの時間
- 近隣の親族や知人の有無
- 合鍵を持つ人
- 現在利用している医療・介護サービス
- 家族が最も心配している時間帯
「見守りサービスを紹介してください」だけでなく、「電話に出ない夜、現地で確かめる人がいない」と具体的に伝えると、必要な支援を考えやすくなります。
本人が「そこまでしなくていい」と言うときは、家族の不安を主語にします
| 避けたい言い方 | 話しやすい言い方 |
|---|---|
| 「一人では危ないから見守りを付ける」 | 「電話に出ないと私が判断できず困るから、連絡の方法を一つ増やしたい」 |
| 「倒れていても分からないよ」 | 「転んだときにボタン一つで誰かを呼べる形なら安心できそう」 |
| 「近所の人へ全部頼んでおく」 | 「玄関を見るだけなら、誰に頼まれても嫌ではない?」 |
| 「鍵は私が管理する」 | 「勝手に入らない条件を決めて、近くの一人だけに預けたい」 |
| 「何かあったら施設しかない」 | 「今の家で暮らすために、緊急時の入口だけ作っておきたい」 |
親が支援を拒む背景には、老いを認めたくない気持ち、他人を家へ入れたくない気持ち、家族へ迷惑をかけたくない思いがある場合があります。
家族が決めた仕組みを押しつけるのではなく、「誰に知らせるか」「何を見守るか」「どの条件なら入室するか」を本人が選べるようにします。
きょうだいで「駆けつける人」以外の役割も分けます
親の近くに住むきょうだいが一人いると、緊急時の対応がその人へ集中しがちです。
遠方に住む家族にも担えることがあります。
| 役割 | 担当例 |
|---|---|
| 定時連絡 | 曜日ごとにきょうだいで分担する |
| 現地確認 | 親の近くに住む家族や親族 |
| 医療情報の更新 | 通院内容を把握している家族 |
| 介護事業所との連絡 | 主担当を一人決め、内容を共有する |
| 緊急時の交通手配 | 新幹線、航空券、宿泊先を遠方の家族が調べる |
| 費用の分担 | 見守り、交通費、鍵管理などを家族で分ける |
| 主担当が不在時の代役 | 第二連絡先を一人決める |
「近くに住んでいるのだから行って」と頼むだけでは、その人は昼夜を問わず呼び出される不安を抱えます。
現地へ行けない家族は、日常の連絡、書類、費用、病院との情報共有を引き受けてください。
救急搬送後に家族がすることも、一枚にしておきます
親が病院へ運ばれたと聞くと、家族はすぐ出発しなければと思います。
しかし、移動を始める前に集めたい情報があります。
- 搬送先の医療機関名と代表電話
- 救急要請をした人の名前と連絡先
- 発見した時刻と場所
- 本人の症状や意識の状態
- 持参された保険情報、お薬手帳、財布、鍵
- ペットや自宅の火・戸締まりへの対応
- 医療機関から家族の来院を求められているか
現地の人が救急車へ同乗できるとは限りません。
また、家族が病院へ到着する前に検査や治療が進む場合があります。
家族の代表者を一人決め、病院、きょうだい、近隣の人が別々に連絡し続けないようにします。
病状説明や医療情報の共有方法は、本人の状態や医療機関の運用によって異なります。平常時から、病気の説明を受ける家族として誰の連絡先を登録するか、親と話しておくと安心です。
次の状態が重なるなら、緊急連絡網だけでは支え切れません
- 転倒や急病が繰り返され、本人が助けを呼べない
- 電話や緊急ボタンの操作が難しくなっている
- 夜間の外出や道迷いが増えている
- 薬の二重服用や飲み忘れが続いている
- 食事や水分が取れていない日を発見できない
- 近隣連絡先へ頻繁に駆けつけを頼んでいる
- 鍵を開けてもらっても、本人だけで生活を立て直せない
- 介護サービスが入らない時間帯に事故が続く
- 家族が常に電話を気にし、仕事や睡眠を保てない
この段階では、見守り機器を増やすだけでなく、訪問回数、通所、短期入所、家族の近くへの転居、見守りのある住まいなどを並行して検討します。
住まいを変えるかどうかをすぐ決める必要はありません。
ただし、緊急時の連絡が毎週のように発生しているなら、それは「もしもの備え」ではなく、日常的な介護が不足している状態です。
今日作るのは、完璧な介護計画ではなく五行の緊急メモです
遠距離介護の不安が強い日は、見守り機器や施設を一度に探さなくても構いません。
まず、紙へ次の五行を書いてください。
- 親の正確な住所と部屋番号:
- 最初に現地確認を頼める人:
- その人が動けないときの二人目:
- 合鍵を持っている人・入室方法:
- 持病、お薬手帳、緊急情報を置く場所:
一つでも空欄があれば、それが今日埋める項目です。
現地で頼める人が思い浮かばないなら、親の住所地を担当する地域包括支援センターへ電話します。
合鍵がないなら、親と「どの場面なら誰が入ってよいか」を話します。
薬が分からないなら、お薬手帳の場所だけでも親と共有します。
遠方にいる家族が、緊急時に最初にすることは、必ずしも自分が駆けつけることではありません。
親の近くにいる人へ状況を確かめてもらい、必要なら救急へつなぎ、その間に医療情報や移動の準備をすることも、家族にしかできない役割です。
距離をなくすことはできません。
それでも、「連絡が取れなければ誰へ頼むか」が一人決まるだけで、夜の電話に出ないときの迷いは変わります。
今日は、最初に電話する人へ、「こういう場合だけ頼ってもよいか」と聞くところから始めてください。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」:高齢者で緊急性が高い症状と救急車の呼び方。
- 総務省消防庁「119番緊急通報」:通報時に聞かれる住所、通報者の連絡先、症状など。
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)」:救急車を呼ぶか、すぐ受診するか迷う場合の電話相談と実施地域。
- 総務省消防庁「全国版救急受診アプリ Q助」:症状から緊急度に応じた対応を調べる仕組み。
- 厚生労働省「地域包括支援センター」:高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防、地域の支援体制づくりを担う窓口。
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム・定期巡回・随時対応型訪問介護看護」:定期巡回、随時通報、介護・看護の連携による在宅支援。
- 救急相談、見守り、鍵預かり、緊急通報、介護サービスの利用条件や対応範囲は、自治体、医療機関、住宅、事業所、本人の状態によって異なります。親の住所地の各窓口で個別にご確認ください。















