朝一番の新幹線に乗っても、帰宅は夜になる
親の診察は午前10時。間に合うように始発で家を出て、駅から実家へ向かい、親を病院へ連れて行く。
診察そのものは10分ほどでも、受付、検査、会計、薬局まで終わると午後になることがあります。実家へ親を送り届け、自宅へ戻る頃には一日が終わっています。
そのたびに仕事を休み、交通費を払い、翌日は疲れたまま出勤する。月に一度なら何とかできても、診療科が増えれば月に二度、三度と呼ばれます。
親から「次も頼むね」と言われると、断れない。
一方で、予定表に次の通院日を書き込みながら、心の中ではこう思っているかもしれません。
「このまま何年続くのだろう」
「仕事を失う前に何とかしたい」
「でも、行かなかった日に転んだり、医師の説明を聞き間違えたりしたら、後悔する」
通院付き添いが苦しくなったのは、親を大切に思っていないからではありません。
遠距離の移動、仕事の調整、費用、診察への責任が一人に重なり、続けられる量を超え始めているのです。
ここで考えたいのは、「付き添うか、見捨てるか」の二択ではありません。
これまで一人で引き受けてきた通院の仕事を分け、家族が現地へ行く回数を減らしても安全に受診できる形へ変えることです。
家族がしている「付き添い」を九つの仕事に分けます
「通院付き添いを代わってほしい」と伝えても、何を代わればよいのか分からないことがあります。
通院には、車で送る以外にも多くの仕事が含まれているからです。
| 通院でしていること | 家族が必要かを見るポイント | 代わりを探せる可能性 |
|---|---|---|
| 予約を取る・変更する | 親が電話や予約管理をできるか | 遠方の家族、ケアマネジャーへの相談、本人 |
| 受診の準備をする | 診察券、お薬手帳、質問メモを用意できるか | 訪問介護等の支援内容を確認、近隣家族 |
| 自宅から病院へ送る | 一人で公共交通機関やタクシーを使えるか | 一般タクシー、福祉・介護タクシー、移送サービス |
| 車へ乗り降りする | 歩行、段差、車いす移乗に介助が必要か | 通院等乗降介助、介助対応の移送サービス |
| 病院内を移動する | 車いす、排せつ、見守り、案内が必要か | 病院スタッフ、訪問介護、自費付き添い |
| 受付や問診票を書く | 文字、聞き取り、手続きに支援が必要か | 病院スタッフ、付き添いサービス |
| 医師の説明を聞く | 親が内容を理解し、家族へ伝えられるか | 家族の電話・オンライン参加、説明メモ |
| 会計や薬の受け取りをする | 支払い、処方内容、次回予約を管理できるか | 付き添いサービス、薬局への事前相談 |
| 帰宅後の様子を見る | 検査や治療後に転倒、体調悪化の心配があるか | 近隣家族、訪問支援、見守りサービス |
たとえば、親が自分で医師の説明を理解できるのであれば、必要なのは送迎だけかもしれません。
反対に、認知機能や聴力に不安があり、診察内容をほとんど覚えていない場合は、車だけ手配しても問題は残ります。
前回の通院で自分がしたことを書き出し、次の三つに分けてみてください。
- 家族が対応した方がよいこと
- 地域の人やサービスへ任せられそうなこと
- 医療機関へ対応を尋ねたいこと
すべてを一つのサービスへ任せようとせず、送迎は移送サービス、院内は病院または付き添いサービス、医師の説明は遠方の家族が参加する、と分けた方が見つかりやすいことがあります。
家族が現地へ行く受診と、代わりを頼む受診を分けます
すべての通院を同じ重さで考えると、家族は毎回行かざるを得なくなります。
受診の内容によって、家族が同席したい日と、地域の支援へ任せる日を分けてみましょう。
| 受診の状況 | 考えたい付き添い方 |
|---|---|
| 初めて受診する病院・診療科 | 病歴や生活状況を伝える必要があれば、家族の同席を優先する |
| 検査結果や治療方針の説明がある | 家族が現地で同席するか、病院へ電話・オンライン参加が可能か事前に尋ねる |
| 手術、入院、治療方法を選ぶ | 本人が希望すれば、重要な意思決定を支える家族が参加する |
| 認知機能や聴力に不安がある | 移動だけでなく、診察室での説明補助まで対応できる人を考える |
| 状態が安定した定期受診 | 送迎や院内付き添いを地域の支援へ任せ、結果を共有してもらう方法を検討する |
| 薬の継続や短い経過確認が中心 | 受診間隔や近隣医療機関との連携を変更できないか主治医へ尋ねる |
| 検査や処置後に体調変化の可能性がある | 帰宅後まで支援できる人を手配するか、家族が行く日として残す |
「これからは一度も行かない」と決める必要はありません。
年12回の通院のうち、検査結果を聞く2回は家族が行き、残りは地域の支援を使う。それだけでも移動と休暇の負担は大きく変わります。
受診回数そのものについても、同じ日に複数科を受診できないか、検査日と診察日をまとめられないか、安定している病気を近隣の医療機関で診てもらえないか、主治医へ尋ねる余地があります。
ただし、診療上まとめられない場合もあります。家族の負担だけを理由に治療を変えるのではなく、親本人の状態と安全を踏まえて医療機関と話してください。
介護タクシーを頼めば、診察室まで付き添ってくれるとは限りません
通院付き添いの代わりを探すと、「介護タクシー」「福祉タクシー」「通院介助」「自費付き添い」など、似た言葉がいくつも出てきます。
名称だけで選ぶと、「家から病院までは送ってくれたが、院内の移動は対象外だった」「待ち時間に追加料金がかかった」といった行き違いが起こります。
| 選択肢 | 向いている場面 | 事前に確かめたいこと |
|---|---|---|
| 一般のタクシー | 親が一人で乗降でき、受付や診察にも対応できる | 玄関まで迎えに来るか、車いすを積めるか |
| 福祉・介護タクシーなど | 車いす利用や乗降時の支援が必要 | 乗降以外の介助、院内待機、機材費、迎車料 |
| 介護保険の通院等乗降介助 | 要介護者で、ケアプラン上、乗降や移動等の介助が必要 | 利用要件、対象となる介助、運賃、院内介助の範囲 |
| 自治体・NPO等の移送支援 | 公共交通機関を利用しにくく、地域の利用条件に当てはまる | 対象者、登録、運行範囲、予約期限、付き添いの有無 |
| 介護保険外の自費付き添い | 受付、待機、診察同席、会計、薬局まで任せたい | 対応時間、最低利用時間、交通費、待機料、報告方法 |
介護保険の訪問介護には「通院等乗降介助」があり、訪問介護員等が運転する車両への乗降介助に加え、乗車前後の移動や受診手続きなどを行う仕組みがあります。ただし、利用者の状態やケアプランなどの要件があり、車両による移送の運賃自体は介護保険の対象外です。
病院内での介助は、基本的には医療機関のスタッフによる対応が想定されています。ただし、院内スタッフによる対応が難しく、本人の心身の状態から介助が必要で、適切なケアマネジメントが行われている場合には、訪問介護として扱われることがあります。具体的な取扱いは保険者やケアプランによって異なるため、ケアマネジャーと受診先の双方への確認が必要です。
予約前に聞いておきたい九つの質問
- 自宅の部屋から車まで介助してもらえるか
- 車いすへの移乗や階段への対応が可能か
- 病院到着後、受付まで同行するか
- 院内の移動やトイレ介助まで対応するか
- 診察室への同席が可能か
- 会計や薬局まで付き添うか
- 待ち時間にはどのような料金がかかるか
- 診察内容や次回予約を家族へ報告できるか
- キャンセル料、延長料金、交通費、機材費はいくらか
電話では、単に「通院付き添いはできますか」と聞かず、親がどこで何につまずくのかを伝えます。
「母は玄関から車まで杖で歩けますが、病院内は車いすです。受付と診察室への移動、会計、薬局までの付き添いが必要です。診察後、家族への報告もお願いできますか」
ここまで伝えると、対応範囲と料金を比べやすくなります。
介護認定がなくても、親の地域の包括支援センターへ聞けます
親が介護保険を使っていないと、「まだ介護ではないから、どこにも相談できない」と考える方がいます。
しかし、通院が一人では難しくなってきたこと自体が、今後の生活を考える手がかりです。
| 現在の状況 | 最初に連絡する先 | 伝えること |
|---|---|---|
| 要介護認定を受け、ケアマネジャーがいる | 担当ケアマネジャー | 家族が遠方で毎回同行できないこと、親に必要な介助 |
| 要介護認定を受けていない | 親の住所地を担当する地域包括支援センター | 通院状況、移動能力、物忘れ、家族の距離と負担 |
| 申請中・サービス開始前 | 地域包括支援センター、市区町村の介護保険窓口 | 次回受診が迫っていること、認定前に使える地域支援の有無 |
| 病院内の移動や手続きが問題 | 病院の患者相談窓口、地域連携室、医療ソーシャルワーカー | 一人で受診する際、院内で何が難しいか |
| 仕事を休み続けるのが難しい | 勤務先の人事・総務、両立支援窓口 | 親の通院日、必要な休暇の単位、利用したい制度 |
地域包括支援センターは、各市町村に設置されている介護の総合相談窓口です。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが相談に応じ、必要に応じてケアマネジャーや地域の支援につなぎます。相談先は、介護が必要な親本人の住所地を担当するセンターです。
すでにケアマネジャーがいる場合は、「通院が大変です」だけでなく、家族の限界を数字で伝えます。
「私は県外に住んでおり、片道3時間かかります。月2回の通院のために毎回仕事を休むことが難しくなりました。父は車への乗り降りと院内移動、医師の説明の理解に支援が必要です。家族が行かない日の通院方法をケアプランも含めて考えたいです」
家族の仕事や居住地は、通院体制を考えるための情報です。遠慮して隠す必要はありません。
病院内で困ることは、医療機関にも具体的に伝えます
ケアマネジャーへ相談しても、病院の中でどこまで支援を受けられるかは、医療機関によって異なります。
大きな病院では、患者相談窓口、地域医療連携室、医療福祉相談室などの名称で相談窓口が設けられていることがあります。
医療ソーシャルワーカーは、医療機関で患者や家族の経済的、心理的、社会的な問題について相談を受け、受診や療養、地域生活に必要な調整を支援する職種です。
病院へは、次のように伝えます。
「母は一人暮らしで、私は遠方に住んでいます。今後は毎回同行できません。母は院内の場所が分からなくなることがあり、診察内容も覚えにくい状態です。一人で受診する日に、院内で受けられる支援や相談先を教えてください」
病院へ聞きたいことは、次のように分けられます。
- 入口から受付まで車いす介助を頼めるか
- 診療科まで案内してもらえるか
- 聴力や認知機能に不安がある患者への対応があるか
- 家族が電話やオンラインで診察に参加できるか
- 診察内容を書面で受け取れるか
- 自費付き添い事業者の同席が可能か
- 医療ソーシャルワーカーへ相談できるか
「病院なのだから全部手伝ってくれるはず」と思い込まず、次回の受診前に対応範囲を聞いておく方が安全です。
遠くにいても、医師の説明を共有する方法はあります
親が病院へ行くこと自体はできても、医師の説明を正しく受け取れるか心配な場合があります。
診察後に電話をすると、親から返ってくるのは「特に何も言われなかった」「薬は同じだったと思う」という返事だけ。後日、薬袋を見ると処方が変わっていた、ということもあります。
その場合は、受診前、受診中、受診後の三段階で情報をつなぎます。
受診前に質問を一枚へまとめる
- 前回から変わった症状
- 薬を飲み忘れていないか
- 家で測った血圧や体重
- 家族が医師へ聞きたいこと
- 次回までに注意すること
質問を増やしすぎず、医師に必ず聞きたいものを三つ程度に絞ります。
診察への電話・オンライン参加を事前に頼む
医療機関の設備や運用によっては、診察中に家族が電話やオンラインで参加できる場合があります。ただし、当日に突然電話をかけても対応できるとは限りません。
予約時に、家族が遠方であること、親本人が家族への説明を希望していること、接続方法や時間を確認してください。
病状を家族へ説明する際は、説明する相手や方法について、できる限り患者本人の意思へ配慮することが求められます。親が意思表示できるうちに、「誰へ医療情報を伝えてよいか」を医療機関へ伝えておくと進めやすくなります。
受診後は三行だけ残す
| 記録すること | 記入例 |
|---|---|
| 医師から言われたこと | 血圧は安定、今の薬を継続 |
| 変わったこと | 夕食後の薬が1錠追加 |
| 次の予定 | 9月10日、採血があるため朝食について病院へ確認 |
付き添う人には、この三項目を紙や家族の共有アプリへ記録してもらいます。
完璧な診療記録を作るのではなく、「薬の変更」「生活上の注意」「次回予定」が家族へ伝われば、見落としを減らせます。
親が「他人と病院へ行くのは嫌」と言ったとき
子どもが代わりの付き添いを提案しても、親が拒むことがあります。
「知らない人と行きたくない」
「一人で行ける」
「お金がもったいない」
「家族が来れば済む話でしょう」
親にとっては、家族以外の手を借りることが、衰えを認めるように感じられるのかもしれません。
ここで「私だって大変なの」と怒りだけをぶつけると、親はサービスの話ではなく、子どもに見放されたと受け取ることがあります。
家族の事情と、親の安全を分けて伝えます。
| 親の言葉 | 返し方の例 |
|---|---|
| 知らない人は嫌 | 「いきなり全部任せず、次は私も一緒に会ってみよう。合わなければ別の方法を考えるよ」 |
| 一人で行ける | 「病院へ行けないと思っているわけではないよ。車いすと会計だけ手伝ってくれる人がいると、疲れが少なくならないかな」 |
| お金がもったいない | 「毎回私が往復する交通費と比べて、一緒に金額を見て決めよう」 |
| あなたが来てくれればいい | 「大事な説明の日は行きたい。でも毎回仕事を休むのは続けられないから、普段の受診だけ別の方法を試したい」 |
| もう病院へ行かない | 「通院をやめるかどうかは、次に先生へ相談してから決めよう。通いやすくする方法を先に探したい」 |
最初から今後すべてを任せる契約にせず、一回だけ試す方法もあります。
親が選べる部分を残すことも有効です。事業者の性別、迎えの時間、家族へ報告する内容、院内で手伝ってほしい範囲を親と一緒に決めます。
ただし、転倒を繰り返す、受診日を忘れる、道に迷う、薬を重ねて飲むなど、安全上の問題が出ている場合は、「本人が嫌がるから」で家族だけが無理を続けず、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ状況を具体的に伝えてください。
兄弟の分担は、帰省回数だけで公平を測らない
兄弟姉妹がいても、親の近くに住む人や、これまで対応してきた人へ通院が集中することがあります。
遠方にいる兄弟同士でも、勤務形態、子育て、健康状態、経済状況は違います。
全員が同じ回数だけ帰省する形にこだわるより、通院に必要な仕事を分けます。
| 役割 | 遠方からでもできること |
|---|---|
| 日程管理 | 受診日を家族カレンダーへ入力し、前日に親へ連絡する |
| 予約担当 | 病院、移送サービス、付き添いサービスの予約をする |
| 医療情報担当 | 質問メモを作り、診察結果や薬の変更を一覧にする |
| 費用担当 | 付き添い料金や交通費の全部または一部を負担する |
| 重要受診担当 | 検査結果、治療方針、入院説明の日だけ現地へ行く |
| 相談窓口担当 | ケアマネジャーや病院の相談窓口との連絡を引き受ける |
| 緊急時担当 | 誰が最初に動くか、行けない場合の連絡順を決める |
兄弟へ伝えるときは、「次の病院へ行って」と一方的に割り振るより、続けられない現状と必要な役割を示します。
「親の通院が月2回になり、私が毎回仕事を休むのは難しくなりました。今後は、普段の受診は付き添いサービスを使い、検査結果の日だけ交代で行きたいです。あなたにはサービスの予約と費用の半分をお願いできないかな」
現地へ行けない兄弟にも、予約、費用、情報管理という分担はできます。
帰省費用だけでなく、失っている時間も書き出します
有料の付き添いサービスを見ると、「家族が行けば無料なのに」と感じるかもしれません。
しかし、家族の付き添いにも費用と時間がかかっています。
| 家族が付き添う場合にかかるもの | 書き出す内容 |
|---|---|
| 交通費 | 新幹線、飛行機、高速料金、ガソリン、現地交通費 |
| 宿泊費 | 前泊や、受診が長引いた場合の宿泊 |
| 仕事への影響 | 有給休暇、欠勤、収入減、仕事の持ち帰り |
| 家庭への影響 | 子どもの送迎、家事、配偶者への負担 |
| 体への影響 | 早朝移動、長時間待機、翌日の疲労 |
| 急な変更 | 予約変更による取消料、当日対応のための予定変更 |
一回の自費サービス料金だけを見ず、家族が同行した場合の往復交通費や休暇も含めて、一か月単位で比べます。
家族が付き添う回数をゼロにしなくても、月2回を1回に減らすだけで、サービス費を払っても全体の負担が下がることがあります。
仕事を辞める前に、介護休暇と介護休業の使い分けを聞きます
親の通院日が増えると、有給休暇だけでは足りなくなることがあります。
育児・介護休業法の介護休暇は、一定の要介護状態にある対象家族の介護や世話をするための制度で、通院の付き添いや介護サービスの手続き、ケアマネジャーとの短時間の打ち合わせにも利用できます。
対象家族が一人の場合は年5日、二人以上の場合は年10日まで、原則として一日または時間単位で取得できます。休暇中の賃金が有給か無給かは、勤務先の規定によります。対象条件や申出方法は人事・総務へ確かめてください。
介護休業は、家族一人につき通算93日まで、3回に分けて取得できる制度です。厚生労働省は、休業期間を介護のすべてを自分で行う期間ではなく、介護サービスの手配や家族分担など、仕事と介護を両立する体制を整える準備期間として案内しています。
会社へは、「親の介護で困っています」だけでなく、必要な働き方を伝えます。
「遠方の父の通院が月2回あります。今後は地域のサービスへ切り替える予定ですが、初回の調整と重要な受診には同行が必要です。介護休暇を時間単位で利用できるか、介護休業や時差勤務を含めて制度を教えてください」
仕事を辞めれば通院へ行きやすくなるように見えますが、介護が長引けば収入や自分の老後にも影響します。退職を決める前に、勤務先の制度と地域の支援を組み合わせられないかを先に調べてください。
送迎だけでは足りない状態になっていないかも見ます
通院の手配を変えれば解決すると思っていたものの、親の生活全体に変化が起きている場合があります。
次のような様子があるときは、通院手段だけでなく、在宅生活全体の支援を見直す段階かもしれません。
- 受診日を何度伝えても忘れる
- 同じ病院へ重ねて予約を入れる
- 医師の説明をほとんど覚えていない
- 薬を飲み忘れる、または重ねて飲む
- 病院までの道や院内で迷う
- 転倒やふらつきが増えた
- 食事や着替えが十分にできていない
- 受診を急に拒むようになった
- 電話に出ない日が増えた
- 一人暮らしを続けることに家族が強い不安を感じる
すでに介護保険を利用している場合は、状態の変化をケアマネジャーへ伝え、サービス内容や要介護認定の見直しが必要かを尋ねます。
まだ利用していない場合は、親の住所地を担当する地域包括支援センターへ、「遠方の家族が通院だけでなく日常生活にも変化を感じている」と伝えてください。
通院付き添いの限界は、家族の頑張りが足りない印ではなく、今までの生活の組み方では支えきれなくなったという合図です。
今日することは、次の通院を誰かに丸投げすることではありません
次の受診日が迫っていると、急いで一つのサービスを契約したくなります。
けれど、親に必要なのが送迎だけなのか、診察室までの付き添いなのかが分からないままでは、手配しても不足が残ります。
今日は、前回の通院を思い出して、紙に次の四つを書いてください。
- 自宅を出てから帰宅するまでに、親が一人では難しかったこと
- 家族が行かなければできないと思っていること
- 家族以外でもできそうなこと
- 次回までに問い合わせる相手
問い合わせ先は、一か所で構いません。
ケアマネジャーがいるなら担当者へ。いないなら、親の地域の地域包括支援センターへ連絡します。
電話では、次の一文から始められます。
「県外に住む親の通院へ毎回付き添っていますが、仕事と移動の負担で続けるのが難しくなりました。親は病院までの送迎だけでなく、院内移動と診察内容の理解にも支援が必要です。地域で組み合わせられる方法を一緒に考えてもらえますか」
毎回行けないと伝えることは、親を見放す宣言ではありません。
家族が倒れたり、仕事を辞めたりする前に、地域の人へ一部を渡すための相談です。
次の通院を一回だけ試しに任せる。重要な受診だけ自分が行く。医師の説明は電話で聞く。予約と記録は兄弟に任せる。
一度に完成させなくても、通院の一部分を手放せれば、次に考える余力が戻ります。
親を支えることと、自分の暮らしを守ることは、反対ではありません。長く続けるために、付き添い方を変えてよいのです。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「家族介護に直面している方への支援を知りたい」:地域包括支援センターの役割と所在地の確認方法。
- 厚生労働省「訪問介護の概要」「通院等介助の取扱い」:通院等乗降介助の内容と移送運賃の取扱い。
- 厚生労働省「訪問介護における院内介助の取扱いについて」:院内介助を介護保険で扱う場合の考え方。
- 厚生労働省「介護休暇」「介護休業」:通院付き添いへの介護休暇の利用と、両立体制を整えるための介護休業。
- 個人情報保護委員会「患者・利用者の病状等をその家族等に説明する際に留意すべきこと」:家族への病状説明と本人の意思への配慮。
- 厚生労働省「医療機関における身寄りがない人への支援」:医療ソーシャルワーカーの役割。















