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介護で帰省回数が増えたとき|家族の分担・交通費・見守りを見直す方法

2026.07.27 更新 なやみ晴れ編集部
#介護#介護・見守り#認知症相談
この記事の結論

介護の帰省が増え続けているなら、回数を我慢して維持するより、家族の役割と地域の支援を組み直す時期です。帰省回数を平等にするのではなく、現地対応、遠隔手続き、費用、緊急対応を分けます。転倒や火の不始末など安全上の問題がある場合は、回数だけ減らさず、先に支援体制を整えてください。

日曜の夕方、親御さんの家を片づけ、冷蔵庫に作り置きを入れ、薬の残りを確かめてから駅へ向かう。

帰りの電車に乗ったところで、「来週も来られる?」とメッセージが届きます。返事を考えているうちに、きょうだいからは「何かあったら知らせて」と家族のグループLINEに書き込まれる。

知らせることは、もう十分にあります。

往復の交通費、移動時間、通院の付き添い、役所への連絡、冷蔵庫の中身、親御さんの同じ話を何度も聞く時間。会社では休みを取りにくく、自宅へ戻れば自分の家事や家族の生活が待っています。

それでも帰省を減らそうとすると、「親を見捨てるようで後ろめたい」という気持ちが出てくることがあります。一方で、「なぜ自分ばかりなのか」と腹が立つ日もあるでしょう。

助けたい気持ちと、もうこれ以上は続けられないという気持ちは、同時にあって構いません。

帰省回数が増えたときに見直すのは、家族の愛情ではありません。親御さんの生活を、誰か一人の移動と我慢に頼らず支える仕組みです。

帰省が「たまの手伝い」ではなくなったら、介護の組み替え時です

月に一度だった帰省が、隔週になり、やがて毎週になる。最初は一時的なつもりでも、その状態が数か月続くと、帰省する人の生活が少しずつ削られていきます。

次のような変化が重なっているなら、帰省回数を増やすだけでは対応しきれなくなっています。

この段階で「あと少し頑張れば落ち着く」と考えても、介護はいつ終わるか分かりません。体調が良くなることもあれば、必要な支援が増えることもあります。

ポイント

帰省回数が増えたこと自体が問題なのではありません。「帰省する人が行けなくなった瞬間に、親御さんの生活が止まる状態」になっていないかが判断の分かれ目です。

一週間の用事を「現地でしかできないこと」から分けます

家族で分担を話し合う前に、親御さんのために行っていることを一度分解します。

このとき、「介護をしている」「親の面倒を見ている」とまとめないことがポイントです。それでは、何を誰へ渡せるのかが見えません。

用事の種類 具体例 担当の考え方
現地で必要なこと 室内の安全確認、通院同行、薬の残数確認、衣替え、書類の確認 近くに住む家族や、帰省する家族がまとめて行う
離れてできること 病院の予約、ケアマネジャーとの連絡、支払い管理、日用品の注文 遠方のきょうだいでも担当できる
地域の人やサービスへ任せられること 訪問介護、デイサービス、配食、見守り、買い物支援、通院付き添い 介護保険と自費サービスを分けて検討する
緊急時だけ必要なこと 転倒、急病、火災、行方不明、鍵の紛失 近距離の家族、近隣協力者、緊急通報先を決める

たとえば、毎回の帰省で日用品を買っているなら、通販や定期配送へ移せるかもしれません。病院の予約や家族への報告は、現地へ行かなくてもできます。

反対に、冷蔵庫に傷んだ食品が増えている、薬が正しく飲めていない、室内で転倒した形跡があるといった変化は、電話だけでは分かりにくいものです。この部分は、訪問サービスや現地確認を残す必要があります。

すべてを家族で続けるか、すべてを外部へ任せるかの二択ではありません。

家族がしなければならないことを減らし、家族だからこそしたいことを残す。その順番で考えます。

きょうだいの帰省回数を同じにしても、負担は平等になりません

家族会議で「月に一回ずつ帰ろう」と決めても、実際の負担はそろわないことがあります。

親御さんの近くに住む人は移動時間が短い一方、急な呼び出しを受けやすくなります。遠方の人は帰省回数が少なくても、交通費や宿泊費が大きくなるでしょう。

小さな子どもがいる人、病気を抱えている人、交代勤務の人では、動ける時間も違います。

分担するときは、帰省回数ではなく、次の五つを並べます。

現地へ行けないきょうだいには、次のような役割を頼めます。

「帰れないなら何もしていない」と決めつけると、話し合いは止まります。一方で、「忙しいから無理」の一言ですべてを任せる状態も長くは続きません。

できることを選んでもらい、担当と期限を決めるところまで進めます。

家族会議は、過去の不満を裁く場にしない方が進みます

分担の話をすると、「前から私ばかりだった」「親から一番援助を受けたのはそっちだ」と、昔の出来事が出てくることがあります。

無関係とは言い切れません。ただ、その話を同時に始めると、今週の通院を誰が支えるのかが決まりません。

最初の話し合いは30分程度に区切り、次の順番にします。

切り出すときは、次のような短い言葉で構いません。

「誰が一番頑張っているかを決めたいのではなく、今の方法では続かないので、来月の用事を分けたいです」

きょうだいが「仕事があるから帰れない」と言ったときも、すぐに責めず、役割を選び直します。

「帰省が難しいことは分かりました。病院との連絡、費用負担、日用品の注文の中なら、どれを担当できますか」

話が過去の不満へ広がった場合は、いったん止めます。

「その話も必要だと思います。ただ、今日は来週の通院と買い物だけ決めさせてください」

交通費は、帰省した人だけの個人的な出費にしない方法があります

新幹線、飛行機、高速料金、ガソリン代、宿泊費。遠距離介護では、移動だけで毎月数万円かかることがあります。

それを帰省した人が黙って払い続けると、後から「自分ばかり負担した」という不満が残りやすくなります。

家族で次のルールを決めておくと、話が感情だけになりにくくなります。

親御さんの預金を家族が自由に使ってよいわけではありません。本人が判断できる状態なら、何のためにいくら使うかを説明し、了承を得たうえで記録を残します。

判断能力に不安がある場合や、きょうだい間で金銭管理について意見が合わない場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ状況を伝え、必要に応じて権利擁護に関する窓口を案内してもらいます。

親御さんには「帰る回数を減らす」だけを伝えないようにします

親御さんが帰省を求める背景には、買い物や通院だけでなく、寂しさや「何かあったらどうしよう」という心配が含まれていることがあります。

そこで、最初から「もう毎週は無理」とだけ伝えると、「迷惑をかけた」「見捨てられた」と受け取られるかもしれません。

帰省を減らす話と、安全を保つ代替策を一緒に伝えます。

「毎週帰る方法では長く続けられないので、来られない週も困らない形を作りたいです。買い物と薬のことを、別の方法でできないか一緒に考えたいです」

サービスを嫌がる場合は、拒否したことを責める前に理由を聞きます。

理由が分かれば、いきなり長時間の訪問を始めず、配食、デイサービスの見学、短時間の生活援助など、受け入れやすいものから試せます。

一度断られたからといって、家族がすべてを背負う必要はありません。親御さんの希望を尊重することと、家族が倒れるまで続けることは別です。

帰省しない週を作るには、介護保険と地域の支援を組み合わせます

すでにケアマネジャーがいる場合は、「介護サービスを増やしたい」とだけ伝えるのではなく、帰省時にしていることを具体的に伝えます。

「毎週、薬の確認と買い物、入浴できているかの確認のために帰っています。月二回程度まで減らせるよう、代わりに使える支援を考えたいです」

伝え方が具体的であれば、訪問介護、通所介護、ショートステイ、福祉用具、配食、地域の見守りなど、どの部分を補えるか検討しやすくなります。

まだ要介護認定を受けていない、どこへ連絡すればよいか分からない場合は、親御さんが住む地域を担当する地域包括支援センターが入口になります。

電話では、次のように伝えれば十分です。

「遠方に住む親のために毎週帰省しています。薬、買い物、通院の負担が増え、今の方法を続けるのが難しくなっています。介護認定が必要か、地域で使える支援があるかを教えてください」

最初の連絡で、施設入居やサービス契約を決める必要はありません。親御さんの状態、家族がしていること、困っている場面を伝え、利用できそうな制度や地域資源を聞くところから始められます。

介護保険で利用できる範囲、自己負担、事業所の空き状況は、要介護度や地域によって異なります。配食、見守り、家事代行、通院付き添いなどは、自治体事業や介護保険外の自費サービスになる場合もあります。

会社を辞める前に、介護休業と介護休暇の使い分けを確かめます

平日の通院、ケアマネジャーとの打ち合わせ、急な入退院が続くと、「仕事を続けるのは無理かもしれない」と考えることがあります。

ただ、退職すると収入が減り、その後の介護費用や自分の生活にも影響します。辞めると決める前に、勤務先の制度を確認してください。

介護休暇は、短時間の付き添いや手続きに使えます

介護休暇は、対象家族が一人の場合は年五日、二人以上の場合は年十日まで、原則として一日または時間単位で取得できる制度です。

通院の付き添い、介護サービスの手続き、ケアマネジャーとの短時間の打ち合わせなどにも利用できます。休暇中が有給か無給かは、勤務先の規定によります。

介護休業は、今後の体制を作る期間として使います

介護休業は、対象家族一人につき三回まで、通算九十三日まで取得できる制度です。

九十三日間、自分だけで介護をするための制度と考えるより、地域包括支援センターへの連絡、介護認定、サービスの手配、家族の分担決定など、仕事と介護を両立する体制を作る期間として使います。

また、2025年4月からは、介護に直面したと申し出た労働者への制度の個別周知や利用意向の確認などが、事業主に義務づけられています。

人事や上司へは、次のように伝えられます。

「親の介護で帰省と通院対応が増えています。退職ではなく仕事を続ける方法を考えたいので、介護休暇、介護休業、勤務時間の調整について利用できる制度を教えてください」

対象となる家族の範囲、雇用条件、申出方法、給与の扱いは制度や会社規定によって異なる部分があります。利用日を決める前に、人事・労務担当へ確認してください。

帰省回数を減らす前に、安全上の穴がないか確かめます

帰省が大変だからといって、親御さんの状態を見ないまま回数だけ減らすのは危険です。

親御さんの状態 考えたい対応
電話で会話でき、食事・服薬・買い物が保たれている 電話や見守りを組み合わせ、帰省間隔を試験的に延ばす
薬の飲み忘れ、食事不足、転倒、支払い忘れが増えている ケアマネジャーや地域包括支援センターへ伝え、訪問や生活支援を増やす
火の消し忘れ、外出後に戻れない、夜間の混乱がある 本人だけで過ごす時間の安全性を早めに見直す
意識障害、呼吸困難、大けが、火災、暴力など今すぐ危険がある 家族会議より先に119番または110番を利用する
「毎週帰れば安全」とは限りません。帰省した日だけ整っていても、残りの日に食事や服薬が止まっていることがあります。帰省回数ではなく、帰省しない日の生活が保たれているかを見てください。

きょうだいが動かないときは、頼み方を「手伝って」から変えます

「少しは手伝って」と頼んでも、受け取る側には何をすればよいか分からない場合があります。

依頼するときは、作業、期限、必要な時間を具体的にします。

避けたい伝え方:「私ばかり帰っているんだから、そっちも何とかして」

伝わりやすい言い方:「来月の通院は12日です。付き添い、病院への確認電話、交通費の分担のどれかをお願いしたいです。金曜日までにできるものを教えてください」

それでも引き受けてもらえない場合は、その人を説得し続けることだけに時間を使わない方がよいでしょう。

誰が何を断ったか、現在誰が何を担っているかを記録し、地域の支援を増やす方向へ切り替えます。

家族間の対立が強く、介護費用や親御さんのお金の扱いでもめている場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターなど、家族以外の人を交えて話すことで、親御さんの生活に必要な事実へ戻しやすくなります。

今夜は、次の帰省予定を決める前に一文だけ送ります

帰省回数を今すぐ半分にすると決める必要はありません。

まず、家族のグループLINEに次の一文を下書きしてください。

「今の帰省回数を長く続けるのが難しくなっています。親の安全を保ちながら役割を分けたいので、今週30分だけ通話できる日を教えてください」

その話し合いまでに、直近一か月で行った用事と、交通費だけを並べます。立派な介護計画を作る必要はありません。

帰省を減らすことが目的ではなく、帰省できない日にも親御さんの暮らしが続く形を作ることが目的です。そこが整えば、帰る日は「崩れた生活を立て直す日」から、親御さんと落ち着いて過ごす日へ少しずつ変えていけます。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. 親の介護では月に何回帰省するのが一般的ですか?

一律の適正回数はありません。親御さんの食事、服薬、転倒、認知面の変化と、訪問介護や見守りを使える日数から決めます。毎週帰るかどうかより、帰省しない日の安全が保たれているかを基準にしてください。

Q. 遠方のきょうだいが帰省できない場合、交通費を負担してもらってもよいですか?

家族で合意できれば、帰省できない人が交通費やサービス利用料を多めに負担する方法もあります。何にいくら使ったかを記録し、親御さんのお金を使う場合は、本人の意思や金銭管理の方法も確かめてください。

Q. 親が訪問介護や見守りサービスを嫌がるときはどうすればよいですか?

知らない人を家へ入れたくない、費用が心配、家族が来なくなるのが寂しいなど、拒否する理由を先に聞きます。配食や短時間の訪問、デイサービスの見学など、抵抗の少ない方法から試せないか、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ伝えてください。

Q. 帰省のたびに介護休業を取得できますか?

介護休業は、対象家族一人につき通算93日、3回まで取得でき、主に今後の介護体制を整えるために使う制度です。短時間の通院付き添いや手続きには介護休暇が合う場合があるため、勤務先の規定と利用条件を確認してください。

Q. 介護の帰省回数を減らすのは薄情でしょうか?

回数を減らすことだけで、親御さんを大切にしていないとは言えません。無理な帰省を続けて仕事や健康を失うより、地域の支援や家族分担を整え、長く関われる形へ変える方が現実的です。

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