同じ話を三回聞いた夜、親へ何と言えばよいか分からなくなります
夕食を終えた母から、「明日は何時に来るの?」と聞かれる。
予定はさっき伝えたばかりです。もう一度答えると、数分後に同じことを聞かれます。
別の日には、冷蔵庫へ同じ牛乳が何本も入っていた。通院日を忘れ、薬も予定より早く減っている気がする。
家族の中では、少しずつ心配が大きくなっています。
ところが本人へ「もの忘れが増えたね」と言うと、表情が変わります。
「年を取れば誰だって忘れる」
「私を認知症扱いするのか」
「病院へ連れて行って、施設へ入れるつもりでしょう」
強く否定されると、こちらも言い返したくなるかもしれません。
「昨日も同じ話をしたでしょう」
「通帳をどこへ置いたか分からなくなったじゃない」
「みんな心配しているから、検査を受けて」
しかし、事実を並べて説得しようとするほど、本人には「できなくなった証拠を家族に集められている」と感じられることがあります。
受診を勧める目的は、本人に認知症だと認めさせることではありません。
今起きている変化の原因を調べ、これからも本人ができることを続けられるようにすることです。
本人が怒るのは、何も分かっていないからとは限りません
家族から見ると、明らかなもの忘れがあるのに、本人は認めようとしないように見えます。
けれど本人も、「以前ならできたことに時間がかかる」「言葉が出てこない」「家族が自分を気にしている」と、何らかの変化を感じている場合があります。
厚生労働省は、認知症の初期には本人自身が変化や失敗へ気づき、強い不安、悲しさ、否認などを抱くことがあると説明しています。「病院へ行け」と言われたときの怒りは、病気への無理解ではなく、怖さや自尊心を守ろうとする反応かもしれません。
| 親の言葉 | 隠れているかもしれない気持ち | 家族の返し方 |
|---|---|---|
| 「年だから当たり前だ」 | 病気だと言われるのが怖い | 「年齢の変化か、体調や薬の影響かを一度見てもらいたい」 |
| 「私を馬鹿にしている」 | 能力を否定されたと感じている | 「できないと言いたいのではなく、困ることを減らしたい」 |
| 「施設へ入れる気だろう」 | 自宅や自由を失うのが怖い | 「今の暮らしを長く続けるために、先に体を調べたい」 |
| 「病院なんか行かない」 | 検査や診断後の生活が分からない | 「どんなことをされるのが一番嫌か教えてほしい」 |
| 「お前たちの方が忘れている」 | 追い詰められ、反論したくなっている | その場で勝ち負けを決めず、話をいったん終える |
一度怒ったからといって、今後も話せないとは限りません。
その日は説得を続けず、本人が何を怖がっているかを家族側で考え直します。
人の名前が出ないことより、暮らしの変化を見ます
もの忘れがあるだけで、すぐ認知症と決まるわけではありません。
年齢とともに、人名がすぐ出ない、物をどこへ置いたか一時的に分からないといったことは起こります。
一方、経験したこと自体を忘れる、ヒントを出しても思い出せない、判断力が落ちて日常生活へ支障が出るといった変化は、受診を考える材料になります。国立長寿医療研究センターも、もの忘れの程度だけでなく、認知機能の低下によって生活へ支障が出ているかを見分けるポイントとして示しています。
| 見られる変化 | 加齢によるもの忘れでも起こり得る例 | 受診を考えたい例 |
|---|---|---|
| 会話 | 知人の名前がすぐに出ない | 会ったことや話したこと自体を覚えていない |
| 探し物 | 眼鏡の置き場所を忘れるが後で見つける | 物をなくし、家族が盗んだと繰り返し訴える |
| 買い物 | 一つ買い忘れる | 同じ品を何度も買い、家にあることも覚えていない |
| 料理 | 味付けを間違えることがある | 長年作っていた料理の手順が分からなくなる |
| 予定 | 曜日を一時的に勘違いする | 通院や約束を繰り返し忘れ、支障が出る |
| 金銭管理 | 細かな計算に時間がかかる | 同じ請求を払う、未払いが増える、契約を理解できない |
| 薬 | たまに一回飲み忘れる | 飲んだことを忘れて重ねて飲む |
| 移動 | 初めての場所で道に迷う | 慣れた近所で帰り道が分からなくなる |
家族が記録するのは、「何回忘れたか」だけではありません。
忘れた結果、本人がどの場面で困ったか、安全やお金に影響が出たかを見ます。
認知症かどうかを、家族が家で試験しない方がよい理由があります
心配になると、家族は本人を試したくなります。
「今日の日付は?」
「昨日の夕飯は何だった?」
「さっき言った予定を覚えている?」
答えられなければ受診を説得できると思うかもしれません。
しかし、突然質問を重ねられた本人は、診察ではなく尋問を受けているように感じます。緊張や怒りで答えにくくなり、家族関係だけが悪化することもあります。
| 避けたい行動 | 代わりにすること |
|---|---|
| 日付や予定を何度も答えさせる | 間違いが生活へ及ぼした影響を家族がメモする |
| きょうだい全員で本人を囲む | 本人が信頼する一人が落ち着いて話す |
| 失敗を一つずつ指摘する | 受診を勧める理由を一つに絞る |
| 隠れて動画や音声を撮る | 日時と具体的な出来事を文章で残す |
| インターネットの認知症テストを無理にさせる | 医療機関で専門的に評価してもらう |
受診のために必要なのは、本人を言い負かす証拠ではありません。
診察時に、家庭で起きている変化を具体的に伝えられる記録です。
話すのは、失敗した直後ではなく本人が落ち着いている時間にします
財布が見つからず家族を責めた直後や、薬を二度飲みそうになった直後は、本人も家族も感情が高ぶっています。
その場で「だから病院へ行こう」と迫ると、受診が罰のように感じられます。
話す時間と人を選びます。
| 選びたい条件 | 理由 |
|---|---|
| 本人の体調がよい時間帯 | 疲労や眠気が少ない方が話を受け止めやすい |
| 家族が急いでいない日 | 結論を迫らず話を聞ける |
| 一対一または少人数 | 責められている感覚を減らせる |
| 本人が信頼する人から話す | 子どもより配偶者、きょうだい、かかりつけ医の言葉が届く場合がある |
| 人目のない落ち着いた場所 | 本人の自尊心を守りやすい |
家族会議の形で全員が意見を言うより、本人が話しやすい一人が入口を作る方が進みやすいことがあります。
「認知症の検査へ行こう」ではなく、困っている一場面から話します
もの忘れ外来という名前だけで、本人が「認知症と決めつけられた」と感じることがあります。
診断名から話し始めず、最近起きた具体的な困り事と、調べる目的を伝えます。
| 避けたい伝え方 | 伝え直した例 |
|---|---|
| 「認知症だと思うから検査して」 | 「薬を飲んだか分からなくなる日があって心配だから、体調と一緒に見てもらいたい」 |
| 「最近おかしいよ」 | 「通院日を忘れて困ったことが続いたので、原因を確かめたい」 |
| 「みんな心配している」 | 「私は、火の消し忘れがあったことを心配している」 |
| 「検査を受ければ認知症か分かる」 | 「年齢の変化か、薬や体調の影響かも含めて見てもらおう」 |
| 「今行かないと手遅れになる」 | 「困り事が少ないうちに聞いておくと、今後の暮らしを考えやすいと思う」 |
| 「私たちのために行って」 | 「これからも買い物や外出を続けられるように、一度確かめてほしい」 |
たとえば、次のように切り出せます。
最近、薬を飲んだか分からなくなる日が何度かあったよね。
認知症だと決めつけたいわけではなくて、薬や睡眠、体調の影響がないかを一度お医者さんに聞きたい。
いつもの病院で相談するところから、一緒に始めない?
「受診して」と命令するより、「一緒に聞きに行かない?」と、本人だけの問題にしない言い方が向いています。
本人が気にしている症状を入口にしても、うそはつかないようにします
本人が「もの忘れ」を認めたくなくても、ほかの体調を気にしている場合があります。
- 眠れない
- 疲れやすい
- 頭痛やめまいがある
- 薬が多く、飲み方が分からない
- 血圧や血糖が気になる
- 耳が聞こえにくく、会話が分かりづらい
- 気分が落ち込み、外出が減った
これらの症状が実際にあるなら、「体調と薬をまとめて診てもらおう」と、かかりつけ医へつなぐ方法があります。
ただし、「買い物へ行く」と言って病院へ連れて行くなど、行き先を偽る方法は、その後の信頼を失うおそれがあります。
「もの忘れだけではなく、最近の体調をまとめて聞く」と、受診の目的を広く、正直に伝えます。
もの忘れ外来へ直接行く前に、かかりつけ医から始めても構いません
もの忘れ外来という言葉に抵抗が強い場合は、普段の体を知るかかりつけ医へ相談できます。
認知症かどうかを調べる医療機関としては、もの忘れ外来のほか、脳神経内科、精神科、老年内科などがあります。まずかかりつけ医へ話し、必要に応じて紹介してもらう方法もあります。医療機関によっては紹介状や事前予約が必要です。
| 最初の窓口 | 向いている状況 |
|---|---|
| かかりつけ医 | 本人が信頼している医師がいる、持病や服薬も含めて診てほしい |
| もの忘れ外来 | 記憶や判断力の変化を専門的に調べたい |
| 脳神経内科 | 歩き方、手足の動き、言葉などにも変化がある |
| 精神科・老年精神科 | 気分、妄想、幻覚、強い不安などが目立つ |
| 認知症疾患医療センター | 専門的な診断や地域との連携が必要 |
| 地域包括支援センター | 受診先が分からない、本人が拒否する、家族だけで先に話したい |
厚生労働省は、認知症が疑われる場合の相談先として、かかりつけ医、もの忘れ外来、認知症疾患医療センター、地域包括支援センターなどを案内しています。地域包括支援センターは、必要に応じて認知症疾患医療センターや認知症初期集中支援チームなどと連携します。
もの忘れ外来は、認知症だと宣告するだけの場所ではありません
親が受診を嫌がる背景には、「行けば認知症と決めつけられ、すぐ薬や施設の話になる」という思い込みがあるかもしれません。
専門外来では、本人と家族から生活の様子を聞き、記憶や注意力などの検査、必要に応じて血液検査や画像検査などを行い、変化の原因を調べます。もの忘れがあっても、検査上は正常範囲の場合や、軽度認知障害の段階である場合もあります。
| 受診で行われることの例 | 確かめる内容 |
|---|---|
| 本人・家族への問診 | いつから、どのような変化があるか |
| 認知機能の検査 | 記憶、注意、言葉、判断など |
| 診察 | 体調、持病、神経症状、気分など |
| 血液検査 | 体の病気や全身状態など |
| CT・MRI等 | 脳の状態やほかの病気の有無 |
| 結果説明 | 診断、今後の対応、生活上の工夫 |
認知症のように見える変化の中には、治療による回復が期待できる病気が含まれることがあります。また、早い段階なら、本人が今後の暮らしについて自分で考え、家族と話せる時間を持ちやすくなります。
受診は、本人から何かを取り上げるためではなく、まだ選べることが多いうちに原因と対応を知る機会です。
親が断ったときは、同じ言葉で毎日説得しません
一度断られると、家族は焦って、翌日も同じ話を持ち出したくなります。
しかし、何度も「病院へ行って」と言われれば、本人は家族と会うたびに警戒するようになります。
| 拒否された理由 | 次の動き |
|---|---|
| 認知症だと思われたくない | 診断名ではなく、薬や体調を確かめる目的へ戻す |
| 検査が怖い | 予約先へ検査内容や所要時間を聞き、本人へ伝える |
| 知らない病院へ行きたくない | かかりつけ医から始める |
| 家族に命令されたくない | 本人が信頼する配偶者、きょうだい、医師等から話してもらう |
| 自分は困っていない | 本人が不便に感じた場面を入口にする |
| 施設へ入れられると思っている | 今すぐ生活の場所を変える話ではないと説明する |
| 何を言っても強く拒否する | 家族だけで地域包括支援センター等へ相談する |
次に話す日まで、家族は受診理由を一つに絞り、協力を頼む人を考えます。
家族だけで地域包括支援センターへ相談することも可能で、診断前の段階でも相談できます。
家族だけで先に相談しても、本人を裏切ったことにはなりません
本人が受診を断ると、「本人の同意がなければ何もできない」と考えてしまいます。
家族だけで相談する目的は、本人に隠れて診断を付けてもらうことではありません。
今の状況で、どのような伝え方や受診先が適しているか、安全面で先に何をすべきかを聞くためです。
- 地域包括支援センターへ電話する
- かかりつけ医へ、家族から事前に情報を伝えられるか聞く
- もの忘れ外来へ、本人が拒否している場合の予約方法を尋ねる
- 自治体の認知症相談窓口を利用する
- 家族会などで、同じ経験をした家族の工夫を聞く
厚生労働省は、地域包括支援センターを、本人や家族が保健・医療・介護について相談できる窓口として案内しています。受診先が分からない段階でも利用できます。
受診前のメモには、評価ではなく出来事を書きます
診察室で「最近、かなりおかしいです」と伝えても、家庭での様子は十分に伝わりません。
一方、「認知症に違いない」と家族が診断を決める必要もありません。
日時、起きたこと、その結果を短く記録します。
| 書き方 | 記入例 |
|---|---|
| いつ | 7月12日午後3時ごろ |
| 何が起きたか | 通院から帰った30分後に「今日は病院へ行く日だ」と支度を始めた |
| ヒントへの反応 | 診察券を見せても、受診したことを思い出せなかった |
| 生活への影響 | 再び一人で外出しようとした |
| 本人の反応 | 止めると怒り、家族が予定を隠したと言った |
受診時には、次の情報もあると伝えやすくなります。
- 変化へ最初に気づいた時期
- 同じ質問・買い物・支払いなどの具体例
- 料理、掃除、着替え、外出などの変化
- 薬の飲み間違い
- 運転中の事故や道迷い
- 睡眠、食欲、体重、気分の変化
- 持病と服用中の薬・サプリメント
- 飲酒量
- 転倒や頭を打ったこと
- 本人が現在困っていること
国立長寿医療研究センターのもの忘れ外来でも、本人の病状や日常生活を詳しく把握するため、家族との受診が勧められています。
本人の前で言いにくいことは、受診先へ事前に伝えられるか聞きます
診察室で本人の横から、「同じ話を何度もする」「お金の管理ができない」と説明すると、本人が傷ついたり、怒ったりすることがあります。
予約時に、家族のメモを事前に渡せるか尋ねます。
本人の前では話しにくい生活上の変化があります。
診察前に、家族のメモを郵送・受付で提出できますか。
または、本人とは別に短時間お話しできる方法がありますか。
医療機関によって対応は異なります。
本人と家族を別々に診察するとは限りませんが、事前に相談しておくと、本人の尊厳を守りながら必要な情報を伝えやすくなります。
薬・お金・火・運転に影響があるときは、受診への同意を待つ間も備えます
本人の気持ちを尊重することと、明らかな危険をそのままにすることは同じではありません。
| 心配なこと | 受診までにできること |
|---|---|
| 薬を重ねて飲む | 一回分ずつ分け、家族や薬剤師と管理方法を考える |
| 火の消し忘れ | 調理中に一人にしない、機器の安全機能を見直す |
| 訪問販売や詐欺 | 知らない契約や支払いがないか本人と一緒に見る |
| 請求書の未払い・重複払い | 本人の同意を得て支払日や書類の置き場所を決める |
| 道に迷う | 外出先、帰宅予定、緊急連絡先を家族で共有する |
| 運転中の接触・道迷い | 本人を責める話と分け、車の使用と代替手段を早めに検討する |
本人からすべてを取り上げるのではなく、困っている部分だけを支える形から始めます。
安全上の危険が迫っている場合は、家族だけで抱えず、かかりつけ医や地域包括支援センターへ具体的な出来事を伝えます。
急に様子が変わった場合は、認知症が進んだと決めつけません
数時間から数日の間に、急に話が通じなくなった、ぼんやりした、夜中に興奮するようになった場合は、ゆっくり進む認知機能の変化とは別に考える必要があります。
高齢者では、体の病気、薬の影響、脱水などに伴って、意識が混乱した状態が現れることがあります。国立長寿医療研究センターも、身体疾患や薬剤の影響によるせん妄が、認知症と間違われる場合があると説明しています。
- 急に会話がかみ合わなくなった
- 呼びかけへの反応が鈍い
- 発熱や息苦しさがある
- 転倒して頭を打った後から様子が違う
- 新しい薬を飲み始めてから強くぼんやりする
- 突然ろれつが回らなくなった
- 顔の片側がゆがむ
- 片方の手足に力が入らない
特に、ろれつが回らない、顔がゆがむ、片側の手足に力が入らない、立てないほど急にふらつくなどは、救急車を呼ぶ目安として厚生労働省が案内しています。
急な変化は「年のせい」「認知症だから」と様子を見続けず、医療機関へ連絡してください。
受診後も、すぐ生活のすべてを変えるわけではありません
家族も本人も、「診断されたら運転、外出、お金の管理を全部取り上げられる」と心配することがあります。
実際には、診断名だけで生活のすべてを一律に決めるのではなく、現在できていることと、支援が必要なことを分けて考えます。
早期診断には、治療可能な原因を見つけること、症状の進行を緩やかにする治療を検討すること、本人が今後の暮らしを自分で考える時間を確保すること、家族が必要な支援へ早くつながることなどの意味があります。
| 受診後に考えること | 本人と家族で話せる内容 |
|---|---|
| 薬や通院 | 誰が予定や服薬を支えるか |
| 家事 | 続けたい家事と、手伝ってほしい家事 |
| 外出 | 安全に続けられる行き先や方法 |
| お金 | 本人が続ける管理と、家族が補助する部分 |
| 運転 | 現在の状態、医師の助言、代わりの移動手段 |
| 今後の希望 | 住みたい場所、頼りたい人、続けたい習慣 |
受診の目的は、本人の生活を家族が管理することではありません。
本人の希望を聞けるうちに、無理のない支え方を一緒に作ることです。
きょうだいで意見が違うときは、診断名ではなく出来事を共有します
近くで暮らす家族は変化を感じているのに、離れて暮らすきょうだいから「電話では普通だった」「年齢のせいでは」と言われることがあります。
反対に、心配する家族が「どうせ何もしてくれない」と一人で抱え込む場合もあります。
| 共有するもの | 内容 |
|---|---|
| 出来事の記録 | 日時、何が起きたか、生活への影響 |
| 現在の危険 | 服薬、火、運転、金銭など |
| 本人の希望 | 嫌がっていること、困っていること |
| 家族の役割 | 受診同行、記録、連絡、生活支援 |
| 次の期限 | いつまでに誰がどこへ連絡するか |
「認知症に決まっている」「まだ大丈夫」という意見を戦わせるより、「薬が予定より早くなくなった」「同じ請求を二度払った」という事実を共有します。
すべての家族が受診の必要性へ同意するのを待たず、まず一人が相談窓口へ連絡しても構いません。
今日の一歩は、親を説得することではなく三つの出来事を書くことです
親へ受診を勧める言葉を考え続けていると、完璧な言い方が見つかるまで動けなくなります。
今日は、最近起きた出来事を三つ書いてください。
- いつ起きたか
- 何が起きたか
- 本人の生活や安全へどのような影響があったか
その中から、本人自身も「困った」と感じていそうな出来事を一つ選びます。
次に、もの忘れという言葉を使わず、こう伝えてみてください。
「この前、薬のことで困ったでしょう。年齢のせいと決める前に、体調や薬を一度いつもの先生へ聞いてみない?」
断られたら、その場で勝とうとしなくて構いません。
家族だけで、かかりつけ医か地域包括支援センターへ連絡します。
親を病院へ連れて行くことだけが、今日の目標ではありません。
本人の怖さを増やさない伝え方を考え、家族が一人で抱えない相談先を作ることも、受診へ向かう一歩です。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「認知症に関する相談について」:地域包括支援センター、かかりつけ医、認知症疾患医療センター、もの忘れ外来などの相談先。
- 厚生労働省「認知症の人と接するときの心がまえ」:本人の自覚、不安、否認などを踏まえた接し方。
- 国立長寿医療研究センター「もの忘れセンター外来」:もの忘れと認知症の違い、診療の流れ、家族同伴、検査内容。
- 国立長寿医療研究センター「認知症はどう予防する?もの忘れと認知症を知ろう」:加齢によるもの忘れと認知症を疑う変化。
- 国立長寿医療研究センター「よくある質問・Q&A」:早期診断・早期対応の意義、生活上の支障による評価。
- 国立長寿医療研究センター「J-DEPP研究 よくある質問」:受診先、検査、家族だけでの地域包括支援センターへの相談。
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」:脳卒中等を疑う緊急症状と救急要請の目安。















