「一度、病院で診てもらわない?」と言った瞬間、父の顔が変わった
父が、同じ食品を何度も買うようになった。
通院日を一日間違え、家族が迎えに行くと「今日は病院ではない」と怒る。電気代の請求書も、支払ったことを忘れてもう一度払いに行こうとしていました。
一つひとつなら、年齢のせいかもしれないと思えます。
けれど、以前にはなかったことが少しずつ重なっている。
意を決して、「最近、忘れることが増えたから、一度病院で診てもらわない?」と伝えました。
すると父は、強い口調で返します。
「俺を認知症扱いするな」
「お前だって忘れることはあるだろう」
「財産や車を取り上げたいのか」
こちらは父を責めたいわけではありません。
薬を間違えて飲まないか、運転中に道が分からなくならないか、詐欺や不要な契約に巻き込まれないかが心配です。
しかし、受診をすすめるほど親子関係が悪くなりそうで、次の言葉が出てこない。
「まだ様子を見た方がいいのか」
「何か起きてからでは遅いのではないか」
「無理に連れていくのはひどいだろうか」
受診を拒まれると、家族は診断を受けさせることだけを目標にしがちです。
けれど、最初にすることは、親へ認知症だと認めさせることではありません。
本人が困っていることを一つ見つけ、その困りごとを軽くするために、体全体を診てもらう提案へ変えることです。
親が拒むのは、病気を理解していないからだけではありません
親が病院を嫌がると、「頑固になった」「現実を認めたくないのだ」と感じることがあります。
しかし、拒む理由によって、切り出し方は変わります。
| 親が感じていること | 口に出やすい言葉 | 家族が変えたい伝え方 |
|---|---|---|
| 認知症と決めつけられた | 「まだ何も決まっていないだろう」 | 病名ではなく、最近困った体調や生活場面から話す |
| 自立を奪われそう | 「車もお金も取り上げる気か」 | 受診と生活上の決定を一度に進めない |
| 家族に失敗を監視されている | 「細かいことばかり見ている」 | 失敗一覧を突きつけず、一番危険な変化だけ伝える |
| 認知症が怖い | 「病院へ行っても治らない」 | 認知症か決めるためではなく、原因と対処を知るためと話す |
| 本人には困った自覚がない | 「生活できているから問題ない」 | 本人の失敗ではなく、家族が一緒に困った場面を使う |
| 病院へ行くこと自体が負担 | 「待たされるし、疲れる」 | 受診先、時間、移動、付き添いを家族が具体的に整える |
| 過去の診察で傷ついた | 「年寄り扱いされるのは嫌だ」 | 本人の話を聞く医療機関を探し、希望を予約時に伝える |
国立長寿医療研究センターは、受診を拒む人を必ずすぐ診察へ連れていける方法はないとしたうえで、本人が信頼する親族やかかりつけ医からすすめてもらうこと、地域包括支援センターへ相談することなどを案内しています。本人も「何かおかしい」と不安を感じている場合があり、急いで説得するより、時間をかけた働きかけが受診につながることがあります。
「認知症の検査」という言葉を、最初の一言にしない方法があります
家族が心配しているのは認知症でも、親本人が困っているのは別のことかもしれません。
眠れない。薬が多い。予定を覚えるのが疲れる。耳が聞こえにくい。以前より歩くのが怖い。
本人が感じている困りごとから話を始めます。
| 気になっている変化 | 避けたい切り出し方 | 話しやすい切り出し方 |
|---|---|---|
| 同じ質問が増えた | 「認知症かもしれないから検査して」 | 「最近、予定を覚えておくのが負担そうだね。楽になる方法がないか先生に聞こう」 |
| 薬を飲み間違える | 「薬も管理できないの?」 | 「薬が増えて分かりにくいよね。飲みやすい形にできないか相談しよう」 |
| 眠れず昼夜が逆転している | 「認知症だから夜に起きるんだ」 | 「夜に眠れなくて疲れているのが心配。睡眠と薬を一度見てもらおう」 |
| 聞き返しが多い | 「話が理解できなくなったね」 | 「耳の聞こえや体調も含めて、健康状態を一度見てもらわない?」 |
| お金の支払いを間違える | 「もうお金を任せられない」 | 「同じ請求書が二枚あって私も迷ったよ。支払いを楽にする方法を一緒に考えたい」 |
| 運転で迷うことがある | 「危ないから免許を返して」 | 「この前、帰り道で迷って怖かったね。体調や薬も含めて運転を続けられる状態か見てもらおう」 |
受診の目的をごまかす必要はありません。
「ただの健康診断だ」と言って、説明なくもの忘れ外来へ連れていけば、本人がだまされたと感じる可能性があります。
「最近の困りごとを相談し、記憶や薬の影響も含めて診てもらいたい」と、分かる範囲で正直に伝えます。
本人が困っていないなら、「家族が困ったこと」から話します
親が「私は何も困っていない」と言うことがあります。
その場合、「本当は困っているでしょう」と認めさせようとせず、家族側の困りごととして伝えます。
通院日を間違えた場合
「この前は私も迎えの日をうまく伝えられなくて、お互い困ったね。次から安心して通えるように、先生へ予定の覚え方を聞いてみたいんだ。」
薬を重ねて飲みそうになった場合
「夜の薬をもう一度飲みそうになったとき、私もどう止めればいいか迷ったよ。私が安心するためにも、薬の方法を先生に聞かせてほしい。」
買い物が重なった場合
「同じ食品が増えていることを責めたいわけではないよ。買い物しやすい仕組みを考えたいから、体調の変化がないか一度見てもらいたい。」
本人が怒り始めた場合
「認知症だと決めたわけではないよ。今日は言い合いをしたくないから、この話はここで止めるね。ただ、薬のことは心配なので、また落ち着いているときに話したい。」
一度の会話で受診を承諾してもらおうとすると、親子ともに追い詰められます。
拒まれた日は話を終え、次に話す余地を残します。
すすめる人を変えるだけで、親の受け取り方が変わることがあります
子どもから言われると反発する一方、長年通っている医師や親しいきょうだいの言葉なら受け入れられる親もいます。
| すすめる人 | 向いている場合 | 頼む内容 |
|---|---|---|
| かかりつけ医 | 高血圧や糖尿病などで定期通院している | 家族から事前に変化を伝え、診察時に認知機能も診てもらう |
| 配偶者 | 本人が夫や妻の意見を重く受け止める | 責めずに「二人の今後のため」と切り出してもらう |
| 本人のきょうだい・友人 | 子どもの話には反発するが、同世代には本音を話せる | 認知症と断定せず、自身の受診経験などから勧めてもらう |
| 訪問看護師・ケアマネジャー | すでに医療・介護サービスを利用している | 生活上の変化を見てもらい、自然な受診の流れを考える |
| 地域包括支援センターの職員 | 本人が受診も介護も拒み、家族だけでは進まない | 訪問や認知症初期集中支援チームとの連携が可能か聞く |
親が信頼している人へ協力を頼む場合も、複数人で囲んで説得する形にはしません。
「みんな認知症だと思っている」と伝わると、本人が家族全体へ不信感を持つことがあります。
話す人は一人にし、家族内で言葉をそろえます。
受診を切り出す時間は、失敗の直後を避けます
財布をなくした直後や、道を間違えて帰宅した直後は、「だから病院へ行って」と言いたくなります。
しかし、本人が動揺し、恥ずかしさや怒りを感じているときに話すと、受診が罰のように聞こえます。
話しやすい条件
- 本人が比較的落ち着いている午前中
- 家族にも時間と気持ちの余裕がある日
- 二人きりで話せる場所
- 次の定期受診が近いとき
- 本人から「最近、忘れる」と口にしたとき
避けたい条件
- 物忘れや失敗を家族に指摘された直後
- きょうだいや親戚が大勢集まっている場
- 本人が疲れている、空腹、飲酒しているとき
- 家族が怒りを抑えられない状態のとき
- 通帳、運転、介護施設など別の重要な決定と同時に話すとき
一回の話は長くても十分程度にします。
本人が話を聞かなくなったら、その日は結論を求めません。
受診前に家族だけで情報を渡せるか、医療機関へ聞いておきます
診察室で親を前にして、「同じ話を何度もする」「お金の管理ができない」と説明するのは難しいものです。
本人の自尊心を傷つけ、診察後の親子関係が悪化する心配もあります。
予約前に医療機関へ連絡し、家族から事前メモを送れるか、診察前後に家族だけで話す時間を取れるかを聞きます。
予約時に伝える例
「本人は物忘れの受診だと強く抵抗する可能性があります。家族が気づいた生活上の変化を、診察前に書面でお渡しできますか。」
「本人の前では話しにくい内容があります。短時間でも、家族だけで医師へ伝える方法はありますか。」
医療機関によって対応方法は異なります。
家族から情報を受け取れても、医師から家族へ本人の診療情報をどこまで説明できるかは別の問題です。本人の同意や医療機関の方針が関係するため、予約時に聞いてください。
持参するのは「認知症だと思う理由」ではなく、暮らしの変化です
診察では、家族の印象より、いつ・どこで・何が起きたかが手がかりになります。
二週間ほど、一日一行で記録します。
| 記録する項目 | 記入例 |
|---|---|
| 日付と場面 | 7月12日、夕方の買い物 |
| 起きたこと | 前日に買った牛乳を、さらに3本買った |
| 本人の反応 | 前日に買ったことを覚えておらず、家族が買ったと思っていた |
| 生活への影響 | 冷蔵庫に入りきらず、食品を処分した |
| 安全への影響 | 今回はなし |
| 体調や薬の変化 | 睡眠不足あり。薬の変更なし |
記録しておきたい生活場面
- 同じ質問や電話を短時間に繰り返す
- 約束した日時や場所を間違える
- 同じ物を何度も買う
- 請求書を二重に払う、支払いを忘れる
- 薬を飲み忘れる、重ねて飲もうとする
- 料理の手順が分からない、火を消し忘れる
- 慣れた場所で道に迷う
- 財布や通帳を盗られたと疑う
- 以前より怒りっぽい、無気力になった
- 身だしなみや家事の状態が変わった
同じことを何度も言う、料理や計算のミス、日時や場所の取り違え、人柄や意欲の変化などが複数見られる場合は、認知症の初期症状の可能性もあるため、専門家へつなぐ目安になります。
記録は親へ突きつける証拠ではありません。
医師へ状況を伝え、原因を考えるための資料として使います。
受診では、認知症かどうかだけを調べるわけではありません
もの忘れがあっても、すべてが認知症によるものとは限りません。
医療機関では、本人と家族から生活の変化や病歴を聞き、服用中の薬、身体や神経の状態、認知機能などを見ます。必要に応じて、血液検査や画像検査などが検討されます。
診察で医師へ伝えたいこと
- 変化が始まった時期と進み方
- 本人が自覚している困りごと
- 家事、買い物、金銭、薬、運転への影響
- 睡眠、食欲、気分の変化
- 転倒、頭部打撲、発熱などの有無
- 処方薬、市販薬、サプリメント
- 飲酒量
- 家族が今後も支えられる範囲
早く状態を把握できれば、認知症ではない別の原因への対応、本人に合う治療や生活上の支援、今後の暮らしの準備へつなげられる可能性があります。国立長寿医療研究センターは、早期の診断が適切な治療や支援、本人と家族の負担軽減につながると案内しています。
「早く連れていかなければ手遅れになる」と本人を急かすのではなく、選べる対策が残っているうちに、今の状態を知るためと考えます。
受診先に迷ったら、かかりつけ医から始めても構いません
最初から認知症専門医を探さなければならないわけではありません。
| 受診・相談先 | 向いている場合 |
|---|---|
| かかりつけ医 | 持病や服薬を把握しており、親も信頼している |
| もの忘れ外来 | 物忘れや生活上の変化を専門的に診てもらいたい |
| 認知症疾患医療センター | 専門的な診断や、医療・介護との連携が必要 |
| 地域包括支援センター | 本人が受診を拒む、どこへ行けばよいか分からない |
| 自治体の高齢者相談窓口 | 地域包括支援センターの場所や地域の支援を知りたい |
厚生労働省は、認知症が心配なときの相談先として、地域包括支援センター、かかりつけ医、認知症疾患医療センター、もの忘れ外来などを案内しています。地域包括支援センターはすべての市町村に設置され、認知症初期集中支援チームなどの関係機関とも連携します。
かかりつけ医へ先に家族が連絡し、次回の定期受診で自然に物忘れの状態も見てもらえるかを聞く方法もあります。
親が受診を拒み続けても、家族だけで相談を始められます
親の同意が得られるまで、何もできないわけではありません。
親の居住地を担当する地域包括支援センターへ、家族だけで電話できます。
電話で伝える例
「一人暮らしの父が、同じ質問を繰り返し、請求書を二重に払うようになりました。薬の飲み方にも心配がありますが、本人は『認知症扱いするな』と受診を拒んでいます。家族からの記録を見てもらい、受診の進め方を一緒に考えてほしいです。」
手元に置きたい情報
- 親の住所、年齢、同居人の有無
- かかりつけ医と持病
- 物忘れが増えた時期
- 生活や安全へ出ている影響
- 親が受診を拒む理由
- 家族が試した言い方と反応
- きょうだいや近隣の支援状況
国立長寿医療研究センターは、受診拒否がある場合に地域包括支援センターへ連絡すると、相談に応じてもらえるほか、訪問診療に対応する医療機関などの情報を得られる可能性があるとしています。
地域によっては、認知症初期集中支援チームが医療・介護の専門職として、本人や家族への初期支援に関わる場合があります。利用方法や対象は自治体へ確かめてください。
訪問を頼む場合も、「認知症を隠して連れていく」代わりにはしません
親が外出や通院を強く嫌がる場合、訪問診療などの可能性を地域包括支援センターへ聞く方法があります。
ただし、本人へ何も知らせず医師や支援者を呼ぶと、「家族が勝手に病人扱いした」と感じることがあります。
本人には、目的を小さく伝えます。
「最近、薬と睡眠のことで私も迷っているから、家で体調を見てもらえる人がいるか聞いてみたよ。」
「今すぐ何かを決めるのではなく、家で困っていることを一度聞いてもらいたい。」
本人の警戒が強い場合は、家族だけで進め方を相談し、最初の訪問で誰が何を話すかを支援者と打ち合わせます。
受診を理由に、通帳・車・家事を一度に取り上げないようにします
家族は安全を守るため、運転、通帳、薬、ガスなどを早く管理したくなります。
しかし、受診をすすめる会話の中で、生活の主導権を一度に移そうとすると、親には「病院へ行ったらすべて奪われる」と聞こえます。
| 心配していること | 最初にできる小さな対応 |
|---|---|
| 薬の重複 | お薬手帳と残薬を確認し、薬剤師へ管理方法を聞く |
| 支払いの重複 | 請求書と支払済み書類を入れる場所を分ける |
| 買い物の重複 | 買い物リストと冷蔵庫内の写真を使う |
| 運転への心配 | 危険な出来事を記録し、医師へ具体的に伝える |
| 火の消し忘れ | 調理方法や安全機器を見直し、使用状況を把握する |
| 訪問販売や詐欺 | 知らない訪問者へ応じない方法と家族への連絡手順を決める |
ただし、すでに重大な事故につながる危険がある場合は、親の気持ちだけを優先して先送りにはできません。
家族だけで強引に進めるのではなく、医師、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどへ、起きた事実と危険度を伝えて対応を考えます。
数日で急に様子が変わった場合は、受診の説得を長く続けません
数か月かけて物忘れが増えた状態と、昨日まで普通だった人が急に会話できなくなった状態は分けて考えます。
早めに医療へ連絡したい変化
- 数時間から数日のうちに急に混乱した
- 自宅や家族の名前を突然間違える
- 会話がまとまらず、ぼんやりしている
- 実際にはいない人や物が見えると訴える
- 昼は落ち着くのに、夕方から夜に大きく悪化する
- 発熱、脱水、食欲低下、強いだるさがある
- 薬を始めた、増やした、減らした時期と重なる
- 転倒や頭部打撲のあとから様子が違う
せん妄は数時間から数日で急に始まり、一日の中で症状が変化する特徴があります。薬だけでなく、脱水や感染症、入院などが関係する場合があり、認知症と間違われることもあります。急な変化がある場合は、通常のもの忘れ外来を予約して長く待つのではなく、かかりつけ医などへ早めに連絡してください。
きょうだいがいる場合は、親を囲む前に家族の言葉をそろえます
長女は早く受診してほしい。長男は「年齢相応だから放っておけばよい」と言う。別のきょうだいは、遠方から「強引に連れていけば」と言う。
家族の意見が違うまま親へ話すと、親は自分に都合のよい意見を選ぶか、家族全員を警戒します。
| 家族でそろえること | 決め方の例 |
|---|---|
| 受診をすすめる人 | 親が最も話を聞きやすい一人にする |
| 受診の理由 | 薬の重複と通院日の間違いを診てもらう |
| 本人へ使う言葉 | 「認知症検査」ではなく「体調と薬の見直し」 |
| 家族が記録する内容 | 事実、日時、生活への影響だけを書く |
| 安全上、先送りしないこと | 薬の重複、火の消し忘れ、運転中の迷い |
| 役割分担 | 予約、付き添い、記録、地域包括への連絡を分ける |
本人の前で、きょうだい同士が「認知症だ」「まだ違う」と議論しないようにします。
診断は家族の多数決で決めるものではありません。
受診に同行するときは、本人が話す時間を奪わないようにします
家族は伝えたいことが多いため、診察室で本人に代わってすべて説明してしまうことがあります。
まず本人へ、「今日は何に困って来ましたか」と話してもらいます。
本人が「何も困っていない」と答えた場合も、すぐ遮らず、その後に家族が具体的な出来事を補います。
診察室での補い方
「本人は大きな困りごとはないと感じています。家族としては、先月から通院日を三度間違え、夜の薬を二回飲みそうになったことが心配です。」
「できなくなったことだけでなく、今も一人で買い物や食事ができていることもお伝えします。」
親のできないことだけを並べず、現在できていることも医師へ伝えます。
診察後は、すぐに「やっぱり認知症だったでしょう」と言わず、医師から言われた次の一歩を一緒に見ます。
診断がつくことは、親の暮らしをすべて変えることではありません
親も家族も、「認知症と診断されたら、すぐ施設へ入る」「何も決められなくなる」と考えていることがあります。
現在の認知症施策では、認知症になってからも本人の意思を尊重し、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるという考え方が示されています。
診断後に必要な対応は、本人の状態や生活によって異なります。
- 薬や持病の治療を見直す
- 予定や服薬を分かりやすくする
- 家族以外の見守りを増やす
- 介護保険や地域の支援を検討する
- 本人が続けたい日課や役割を守る
- 将来の希望を、本人が話せるうちに少しずつ聞く
受診の目的は、親から生活を取り上げることではありません。
今できている暮らしを、どうすれば長く続けられるかを考えるためです。
今日の一歩は、親を病院へ連れていくことではありません
紙やスマートフォンのメモに、次の五行を書いてください。
|
一番心配な出来事: 本人が困っていること: 受診をすすめる人: 最初に使う言葉: 拒まれた場合に家族が連絡する先: |
たとえば、こう書けます。
一番心配な出来事:夜の薬を二回飲みそうになった。
本人が困っていること:薬の種類が多く、分かりにくいと言っている。
すすめる人:かかりつけ医を信頼しているので、定期受診時に医師から話してもらう。
最初の言葉:「薬を飲みやすくできないか、先生に一緒に聞こう」。
拒まれた場合:父の住所を担当する地域包括支援センターへ家族から電話する。
今日、親へ受診の話をしなくても構いません。
まず一番心配な出来事を、日時とともに書く。かかりつけ医へ家族のメモを渡せるか聞く。地域包括支援センターの連絡先を調べる。
そのどれか一つで十分です。
親を言い負かして病院へ連れていくことが、受診の準備ではありません。
親が失いたくないものを理解しながら、本人にも家族にも困っていることがあると伝える。そして、家族だけで背負わず、医療や地域の人と入口をつくる。
受診につながる日は今日ではないかもしれません。
それでも、次に使う言葉と、家族が先に話せる場所を一つ決めれば、何もできずに見守り続ける状態からは動き出せます。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「認知症に関する相談について」:地域包括支援センター、かかりつけ医、認知症疾患医療センター、もの忘れ外来などの相談先。
- 政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」:加齢による物忘れとの違い、初期に見られる変化、早期診断、本人の意思を尊重する考え方。
- 国立長寿医療研究センター「よくある質問・Q&A」:本人が受診を拒む場合の働きかけ、信頼する人やかかりつけ医、地域包括支援センターの活用。
- 国立長寿医療研究センター「認知症の検査と治療について」:早期診断、検査、治療や生活支援につなげる意義。
- 厚生労働省「薬剤性せん妄」:急に始まる混乱、日内変動、薬・脱水・感染症などとの関係。















