面談が終わるたび、「また言えなかった」と思っている
月に一度の訪問で、ケアマネジャーから「お変わりありませんか」と聞かれた。
本当は、母の夜間のトイレ介助が増え、家族が眠れていません。デイサービスの日数を増やせないか聞きたかったのに、母が先に「何も困っていません」と答えました。
家族が話そうとすると、ケアマネジャーは時計を見ながら、「今の介護度では難しいですね」「ご家族でお願いします」と短く返します。
以前も同じでした。
変更したい気持ちはあるものの、これまで動いてもらった恩もあります。担当を替えたと知られたら、今使っているデイサービスや訪問介護で気まずくならないか。母に「わがままを言うな」と責められないか。
そのため、毎回何も言えないまま見送ってしまいます。
ケアマネジャーは介護生活の中心にいるため、相性が合わなくても、普通の担当者変更より言い出しにくくなります。
ただ、変更は相手を罰する手続きではありません。親御さんの生活と家族の負担を、話し合える相手へつなぎ直すための選択です。
変更する前に、「誰への不満なのか」を分けます
介護サービスで困ったことが起きると、窓口になっているケアマネジャーへの不満として感じやすくなります。
ところが、問題の担当先が別にある場合もあります。
| 困っていること | 最初に伝える相手 |
|---|---|
| 話を聞かない、連絡が遅い、希望をケアプランへ反映しない | ケアマネ本人または居宅介護支援事業所の管理者 |
| 訪問介護職員の言葉遣いや介助方法に問題がある | 訪問介護事業所の責任者。ケアマネにも共有する |
| デイサービスの送迎や施設内対応に問題がある | デイサービスの管理者。必要に応じてケアマネが調整する |
| 要介護認定の結果が実態と合わない | 市区町村の介護保険担当窓口 |
| 利用料や請求内容に疑問がある | 請求した事業所とケアマネ。解決しなければ市区町村など |
| ケアマネ事業所全体の対応や運営に問題がある | 市区町村の介護保険担当窓口や国保連合会 |
訪問介護職員との相性が悪いのにケアマネだけを替えても、訪問介護事業所が同じなら問題が残ることがあります。
反対に、複数のサービス事業所との調整が進まず、家族の希望も取り上げられないなら、ケアマネ変更によって状況が動く可能性があります。
一度伝えれば直りそうなことと、変更した方がよいことを見分けます
ケアマネジャーも、家族が困っている程度を把握できていない場合があります。
遠慮して「少し大変です」としか話していなければ、緊急性が低いと受け取られているかもしれません。
次のような場合は、変更前に一度、具体的な改善を求める方法があります。
- 連絡が取りにくい時間帯がある
- 本人の前では家族が話しにくい
- ケアプランの説明が短く、内容を理解できない
- 家族が希望するサービスをまだ具体的に伝えていない
- 担当になって日が浅く、生活状況が十分に共有されていない
例えば、次のように期限と行動を示します。
「母の前では話しにくい内容があります。今後は訪問前か訪問後に、家族だけで十分ほど話す時間を取ってください」
「夜間介助が週五日あり、家族が仕事を休み始めています。現在のサービスを続ける説明だけでなく、回数変更や別サービスを含む案を次回までに示してほしいです」
一方、次の状態なら、何度も我慢して関係改善を試す必要はありません。
- 本人や家族を繰り返し侮辱する
- 話した内容を否定するだけで、代替案を示さない
- 状態が悪化してもケアプランを見直そうとしない
- 必要な連絡を何度しても放置する
- 本人の同意なく、不要な範囲へ個人情報を伝える
- 特定の事業者だけを強く勧め、ほかの候補を尋ねても説明しない
- 契約や費用について事実と異なる説明をする
- 本人の安全に関わる問題を軽く扱う
ケアマネジメントは、特定のサービスや事業者へ偏らず、公正中立に行うことが求められています。
提案された事業所へ疑問がある場合は、
「この事業所を選んだ理由と、ほかに利用できる候補を教えてください」
と尋ねて構いません。
ケアマネ変更の基準は、「好きか嫌いか」だけではありません。親御さんの変化を共有できるか、選択肢の理由を説明してもらえるか、必要な調整が期限内に進むかを見ます。
同じ居宅介護支援事業所で、担当者だけ替える方法があります
今の事業所の場所や対応時間には不満がなく、担当者との相性だけが問題なら、事業所の管理者へ担当変更を頼む方法があります。
同じ事業所内での変更なら、事業所が持っている記録や連絡体制を引き継ぎやすく、利用中のサービスへの影響も抑えやすい場合があります。
現在の担当者へ直接伝えにくければ、管理者へ電話してください。
「現在の担当者を責めたいわけではありませんが、家族が困っている内容をうまく共有できず、今後の介護を話し合うことが難しくなっています。同じ事業所内で別の担当者へ替えていただくことはできますか」
細かな出来事をすべて話す必要はありません。
新しい担当者に求める条件を伝えます。
- 認知症の介護に詳しい人
- 医療機関との連携経験がある人
- 家族へ連絡できる時間帯が合う人
- 施設入所と在宅介護を並行して考えられる人
- 本人と家族の意見を分けて聞ける人
事業所の人数や担当件数によっては、希望どおりの交代が難しい場合もあります。そのときは、別の居宅介護支援事業所への変更を考えます。
別の事業所へ移るなら、現在の担当へ断る前に候補を探します
先に現在の契約を終え、その後で新しいケアマネを探すと、ケアプランやサービス調整の担当が一時的に不明確になるおそれがあります。
まず、新しい居宅介護支援事業所へ受け入れられるか聞いてください。
介護サービス情報公表システムでは、地域の居宅介護支援事業所を検索できます。市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターで、事業所一覧を受け取れる場合もあります。
電話では、次の内容を伝えます。
「要介護2の母が自宅で生活しており、現在はデイサービスと訪問介護を利用しています。ケアマネの変更を考えています。新規で担当できる方はいますか。認知症と家族介護の調整について経験のある方を希望しています」
受け入れ可能なら、次を聞きます。
- 担当予定者と面談できるか
- 連絡の取りやすい曜日と時間
- 現在のサービスを継続できるよう調整できるか
- 現在の事業所との引継ぎをどう行うか
- 市区町村への変更届を誰が提出するか
- 新しい担当者へ切り替わる日
居宅介護支援事業所を変更する場合は、市区町村へ「居宅サービス計画作成依頼変更届」などの提出が必要になることがあります。
書類名、提出者、期限は自治体によって異なります。新しい事業所が手続きを支援または代行する場合もあるため、本人や家族だけで判断せず、事前に確認してください。
「角を立てない」ために、事実と決定だけを短く伝えます
これまでお世話になった相手へ変更を伝えるとき、理由を詳しく説明しなければ失礼だと感じることがあります。
しかし、長く説明するほど、不満への反論や引き止めが始まり、話が終わらなくなる場合があります。
変更を決めた後は、相手の評価ではなく、今後の決定として伝えてください。
同じ事業所で担当を替える場合
「これまで対応していただき、ありがとうございました。今後の介護について家族が話しやすい体制へ変えたいため、事業所の管理者へ担当変更をお願いしました。引継ぎをお願いします」
別の事業所へ移る場合
「家族で検討し、〇月から別の居宅介護支援事業所へお願いすることにしました。これまでの支援には感謝しています。新しい担当者への情報共有をお願いします」
理由を繰り返し聞かれた場合
「連絡方法と今後の支援方針を含め、家族が話しやすい体制へ変えるためです。変更の判断は家族で決めています」
相手を納得させることまで、変更する側の責任ではありません。
ただし、感情的に電話を切り、連絡を一切拒むと、親御さんの医療や介護情報が十分に引き継がれないことがあります。変更理由と引継ぎは分けて考えてください。
ケアマネを替えても、利用中のサービスが必ず全部変わるわけではありません
ケアマネを替えたら、慣れているヘルパーやデイサービスも使えなくなるのではないかと心配する方がいます。
居宅介護支援事業所と、訪問介護やデイサービスなどの事業所は、それぞれ別に契約していることが一般的です。
そのため、ケアマネ変更だけを理由に、現在のサービスが自動的にすべて終了するとは限りません。
ただし、新しいケアマネは本人の状態や希望を改めて把握し、必要に応じてケアプランを作成し直します。次の事情があると、日程や事業所が変わる場合があります。
- 現在のサービス内容が本人の状態に合っていない
- 同じ事業所や時間帯に空きがない
- 新旧事業所の切替日とサービス開始日が合っていない
- 利用しているサービスが現在の居宅介護支援事業所と一体的に運営されている
- 本人や家族がサービス事業所の変更も希望している
新しい事業所へは、
「デイサービスと訪問介護は、できれば現在の事業所を続けたいです。変更が必要な場合は、契約を動かす前に理由を説明してください」
と伝えてください。
引継ぎでは、ケアプランだけでなく「家で起きていること」を渡します
新しいケアマネへ変更しても、家族が一から長い説明をし直すのは大きな負担です。
新旧事業所間の引継ぎとあわせて、家族からも次の情報を伝えます。
- 現在使っているサービスと曜日
- 主治医、薬局、訪問看護などの連絡先
- 最近三か月で起きた転倒、入院、認知機能の変化
- 本人が続けたい生活と嫌がる介助
- 家族が担っている通院、買い物、夜間対応
- これまで頼んでも進まなかったこと
- 次の一か月で期限が来る更新、退院、短期入所など
- 緊急時に最初に連絡する家族
不満の経緯だけを長く話すより、これから優先したいことを示します。
「以前の担当者と合わなかったので全部変えてください」
ではなく、
「夜間介助で家族が眠れないことが最優先です。今月中に、ショートステイと訪問介護の組み替えを検討したいです」
と伝えた方が、新しい支援へつながります。
親御さんが変更を嫌がるときは、本人の困りごとへ話を戻します
家族は変更したいのに、親御さんが「今の人でいい」「面倒なことをするな」と言う場合があります。
親御さんは現在のケアマネへ慣れており、新しい人へ一から話すことを負担に感じているのかもしれません。
本人の前で、ケアマネの悪い点を並べる必要はありません。
「今の人が悪いから替えるのではなく、夜の介助や通院について、もう少し具体的に話せる担当者を探したい」
「まず一度、新しい人と会ってから決める方法もあるよ」
と、変更によって何を良くしたいのかを伝えます。
介護を受ける本人の意思は尊重される必要があります。
一方、同居家族が毎晩の介助を担っているなど、ケアプランが家族の生活へ大きく影響する場合、家族の限界も隠さず伝えてください。
本人の希望だけ、家族の希望だけに寄せず、「今の体制で続けられない事実」を共有します。
要支援の場合は、担当窓口が異なることがあります
要介護認定を受けている方の在宅ケアプランは、一般に居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当します。
要支援1・2の方や介護予防・日常生活支援総合事業の対象者は、地域包括支援センターや指定介護予防支援事業所などがケアマネジメントを担っていることがあります。
現在の担当者がどの事業所との契約で動いているか分からない場合は、介護保険証、契約書、ケアプランの事業所名を見てください。
要支援の担当変更を希望する場合は、
「現在の介護予防ケアマネジメントの担当を変更したいのですが、どの事業所または地域包括支援センターへ申し出ればよいですか」
と市区町村へ尋ねると、窓口を確認できます。
変更だけで済ませず、苦情として残した方がよいケースがあります
単なる相性の問題なら、担当変更だけで解決できます。
しかし、不適切な対応によって本人へ被害が出た、説明なく契約を進められた、個人情報の扱いに問題があったなどの場合は、変更とは別に苦情を伝える選択があります。
まず、居宅介護支援事業所の管理者や苦情受付窓口へ、日時、発言、起きたこと、求める対応を伝えます。
事業所内で解決しない場合は、市区町村の介護保険担当窓口や、都道府県の国民健康保険団体連合会が窓口になることがあります。
国保連合会は介護保険サービスに関する苦情を受け、対象となる案件について調査や事業者への指導・助言を行う機関です。ただし、損害賠償、医師の診断、要介護認定への不服など、扱えない内容もあります。
最初の連絡では、
「ケアマネ変更だけでなく、事業所の対応について苦情として記録を残したいです。〇月〇日に起きたことと、その後の対応を説明します。こちらで扱える内容か教えてください」
と伝えます。
契約書や重要事項説明書には、事業所の苦情窓口、市区町村、国保連合会などの連絡先が記載されていることがあります。
安全に関わる問題は、新しいケアマネが決まるまで待ちません
ケアマネから返事が来ないため、必要な支援が止まったままになっている場合があります。
食事や服薬ができない、転倒が続く、退院日が迫っている、家族が介助を続けられないといった状態では、担当変更の手続きだけを待たないでください。
利用中の介護サービス事業所、主治医、病院の退院支援担当者、市区町村、地域包括支援センターへ、現在維持できないことを直接伝えます。
「ケアマネの変更を進めていますが、母を今夜から一人にできません。現在の支援だけでは生活を維持できないため、緊急に利用できる対応を一緒に考えてください」
意識障害、呼吸困難、大きなけがなど、命や身体に差し迫った状態では119番を優先します。
今日は「変更したい」ではなく、希望する変更方法を一文で伝えます
変更を考え続けているだけでは、次の担当者は決まりません。
今日は、今の状況に合う一文を選び、居宅介護支援事業所の管理者か地域包括支援センターへ伝えてください。
同じ事業所で担当を替えたいなら、
「現在のケアマネとは家族の困りごとを十分に共有できないため、同じ事業所内で担当変更が可能か相談したいです」
別の事業所へ移りたいなら、
「居宅介護支援事業所の変更を考えています。新しい事業所の探し方と、現在のサービスを切らさず移る手順を教えてください」
苦情として扱ってほしいなら、
「担当変更だけでなく、〇月〇日の対応について事業所の管理者へ正式に伝えたいです」
変更する理由を完璧に説明する必要はありません。
担当者だけを替えるのか、事業所ごと移るのか、苦情も残すのか。その一つを決めて伝えれば、止まっていた介護の話を次へ進められます。















