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老人ホームの入居待ちが長いときに家族がすること|待機中の介護・費用・施設への連絡を整理

2026.07.12 更新 なやみ晴れ編集部
#介護・見守り#公的支援#老人ホーム
この記事の結論

老人ホームの入居待ちが長いときは、空室の連絡を待つだけでなく、申込状況の更新、候補施設の追加、待機中の介護体制、費用、緊急時の受け皿を並行して整えます。特に転倒、服薬ミス、夜間徘徊、介護者の体調悪化がある場合は、予定していた施設にこだわらず、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ早めに状況を伝える必要があります。

「空きが出たら連絡します」と言われたまま、三か月が過ぎた

施設へ申し込んだ日の帰り道は、少しだけ肩の力が抜けたかもしれません。

これで入居先が決まったわけではなくても、順番を待てば何とかなる。そう思っていたのに、施設からはなかなか連絡が来ません。

その間にも、親御さんは夜中に何度も起きるようになり、薬の飲み忘れが増えました。ご家族は仕事を早退し、週末には買い物や通院へ付き添います。きょうだいへ連絡しても、「もう申し込んだんだから、待つしかないのでは」と言われる。

しかし、施設へ申込みを済ませたことと、入居までの生活が維持できることは別の問題です。

待っている間に状態が変われば、必要な介護も、施設へ伝える情報も変わります。ご家族が倒れる寸前まで今の暮らしを続ける必要はありません。

特養は、単純な「申込み順」で決まるとは限りません

特別養護老人ホーム、いわゆる特養では、申込みが早かった人から機械的に入所するとは限りません。

施設への入所が必要な程度、要介護度、認知症の状態、独居かどうか、介護するご家族の状況、現在利用しているサービスなどを踏まえ、必要性の高い方が優先されることがあります。具体的な基準や運用方法は、自治体や施設によって異なります。

また、特養への新規入所は原則として要介護3以上が対象です。要介護1または2でも、認知症による生活上の支障が大きい、家族からの支援を期待しにくいなど、在宅生活が難しい事情がある場合には、特例的な入所が認められることがあります。

つまり、「50人待ちだから自分は51番目」「半年待てば必ず入れる」とは言い切れません。

一方で、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどは、空室状況、費用、介護度、医療対応、認知症の状態、保証人の条件などによって判断されます。こちらも待ち人数だけでは、入居時期を正確に読めないことがあります。

ポイント

施設へ聞くときは、「何人待ちですか」だけではなく、「現在の状態なら、どのような点が入居判断に関係しますか」「状態が変わった場合は、誰へ連絡すればよいですか」まで確認します。

申込み後に状態が変わったら、施設へ伝え直します

入居申込書を書いた時点では歩けていた方が、その後に転倒して移動介助が必要になることがあります。認知症が進み、火の消し忘れや外出後の迷子が増える場合もあります。

施設は、申込時に提出された情報だけでは、その後の変化を自動的に把握できません。

次のような変化があったときは、担当のケアマネジャーと相談し、申込み先へ連絡してください。

電話では、長い事情説明を一度にする必要はありません。

「入所申込み後に本人と家族の状況が変わりました。申込内容の更新が必要か、担当の方に確認したいです」

これで十分です。施設から必要な資料や伝える項目を案内してもらえます。

連絡したからといって、すぐ入居できるとは限りません。しかし、古い情報のまま待ち続けるより、現在の状態を正しく伝えることが、適切な判断につながります。

待機中の介護は、「入居日まで我慢する計画」にしない

入居時期が分からない以上、「あと一か月だけ家族で頑張る」という計画は崩れやすくなります。

待機中の暮らしは、入居までの仮住まいではありません。数か月以上続く可能性も考え、在宅介護の組み合わせを作り直します。

困っていること 検討できる支援 確認したい点
日中一人になる デイサービス、訪問介護、見守り 利用日数、送迎時間、服薬対応
夜間の介助が続く ショートステイ、夜間対応型サービス、定期巡回 地域での実施状況、空き、利用条件
入浴が難しい 通所介護、訪問入浴、訪問介護 本人の体調、住宅環境、自己負担
家族が休めない ショートステイ、通所回数の見直し 緊急枠の有無、連続利用の扱い
退院後すぐ自宅へ戻れない 老健、ショートステイ、医療機関の退院支援 療養目的、受入期間、医療対応
認知症の症状が強い 認知症対応型通所介護、グループホーム、医療機関との連携 診断、受入条件、行動症状への対応

短期入所生活介護、いわゆるショートステイは、本人が短期間施設へ泊まり、食事、入浴、排泄などの介護を受けるサービスです。ご本人の生活を支えるだけでなく、ご家族の身体的・精神的な負担を軽くする役割もあります。

ただし、希望日に必ず利用できるとは限りません。定期利用の方で埋まっていることもあるため、限界になった当日に初めて探すより、担当ケアマネジャーへ早めに候補を聞いておく方が現実的です。

ケアマネジャーへ伝えるときは「家族が限界」だけで終わらせない

介護者の負担は、遠慮せず伝えてよい情報です。ただ、「もう無理です」だけでは、どの支援を増やすべきか判断しにくいことがあります。

次のように、実際に起きていることを添えてください。

第一声は、次のような短いもので構いません。

「施設の空きを待っていますが、今のサービス量では生活を維持できなくなってきました。入居までの間に増やせる支援と、緊急時の受け皿を一緒に考えてください」

一か所だけを待つか、候補を増やすかは条件を分けて考えます

希望する施設が決まっていると、「ほかへ申し込んだら第一希望に入れなくなるのでは」と迷うことがあります。

複数施設への申込みが可能か、辞退した場合の扱いは施設や地域の運用によって異なるため、各施設へ確認が必要です。ただ、入居の必要性が高いのに一か所だけを何となく待ち続けることは、ご家族の負担を長引かせる可能性があります。

候補を増やすときは、施設名を手当たり次第に並べるのではなく、譲れない条件を三つ程度に絞ります。

すべての希望を満たす施設が空くまで待てる状況なのか、安全のために一部条件を見直す必要があるのか。ここが判断の分かれ目です。

たとえば「自宅から車で15分以内」が第一条件でも、介護者が毎晩対応して眠れない状態なら、距離を30分まで広げることで選択肢が増えるかもしれません。

反対に、たん吸引など継続的な医療処置が必要な場合は、近さより受入体制を優先しなければならないことがあります。

空室の連絡が来てから、お金を集め始めると間に合わないことがあります

入居の連絡は、家族全員の予定が整うまで待ってくれるとは限りません。返答期限、面談、健康診断、契約、支払い、引っ越しの準備が短期間に重なることがあります。

待っている間に、少なくとも次の資料を一か所へまとめておきます。

費用は、パンフレットに書かれた月額だけで判断しません。

居住費、食費、介護保険の自己負担、医療費、薬代、日用品、理美容、洗濯、通院の付き添い、管理費などを含めて、毎月いくら必要になるかを施設へ聞きます。入居一時金がある場合は、退去時の返還条件や償却方法も契約前に確かめます。

介護保険施設やショートステイでは、所得や資産などの条件を満たす方について、食費・居住費の負担を軽減する制度があります。自動的に適用されるとは限らないため、市区町村の介護保険窓口で「介護保険負担限度額認定」の対象になるか確認してください。

施設の月額費用が払えるかだけでなく、入居後も自宅の家賃、固定資産税、医療保険料などが残る場合があります。本人の収入と、入居後も続く支出を分けて計算します。

本人へは「もう家では無理」と結論から伝えない

ご家族にとって老人ホームは、安全を確保するための選択肢です。

しかし本人から見ると、自宅、近所づきあい、仏壇、庭、毎日の習慣を手放す話に聞こえます。「家族に追い出されるのではないか」「入ったら二度と帰れないのではないか」と感じることもあります。

だからといって、安全上の問題を隠す必要はありません。

話すときは、入居の賛否を一度で決めようとせず、困っている場面を一つに絞ります。

避けたい伝え方:
「もう一人では無理だから、施設に入って」

伝えやすい言い方:
「夜に転んだとき、朝まで誰も気づけないのが心配なんだ。家で過ごす方法と、施設で過ごす方法を両方聞いてみたい」

本人が拒否したときは、「嫌なら入らなくていい」と終わらせるのでも、「もう決めたから」と押し切るのでもなく、何を怖がっているのかを聞きます。

家族だけでは話が進まない場合、ケアマネジャー、主治医、地域包括支援センターの職員など、本人が受け入れやすい人から説明してもらう方法があります。

この状態なら、予定している施設だけを待たないでください

通常の待機でよいのは、現在の介護サービスを使いながら、本人の食事、服薬、排泄、移動、安全が保たれ、ご家族にも休息が取れている場合です。

次の状態では、入居予定施設からの連絡を待つだけでは足りません。

この場合は、担当ケアマネジャーへ「緊急で介護体制の変更が必要」と伝えます。ケアマネジャーがいない場合や、どこへ連絡すればよいか分からない場合は、本人の住所地を担当する地域包括支援センターまたは市区町村の介護保険窓口が入口になります。

地域包括支援センターでは、高齢者本人だけでなく、ご家族からの相談も受け付けています。まだ施設を決めていない、何を頼めるか分からない段階でも構いません。

電話では、次のように伝えられます。

「老人ホームを申し込んでいますが、待機中に本人の状態が変わり、家族だけでは安全を保てません。今使える介護サービスと、緊急時の受け皿を教えてください」

呼びかけに反応しない、呼吸が苦しそう、急に片側の手足が動かない、大きなけがや出血があるなど、命や身体に関わる変化があるときは、施設や相談窓口への連絡より119番を優先してください。

入居の連絡が来たときに、慌てて決めないための質問

待ち続けた施設から連絡が来ると、「断ったら次はない」と焦りやすくなります。

けれども、空室が出たことと、その施設で生活を続けられることは同じではありません。少なくとも次の点は、契約前に確かめます。

分からない項目が残っているときは、その場で署名せず、契約書と重要事項説明書を持ち帰れるか聞いてください。

「家族で確認したいので、返答期限を教えてください」と伝えることは、失礼ではありません。

今日するのは、施設への一本の電話で構いません

入居待ちを一日で終わらせることはできません。

しかし、待っている間の暮らしを変えることはできます。

今日、申込み先の施設へ電話し、次の二点だけ聞いてください。

その後、担当ケアマネジャーへ「入居までの介護計画を見直したい」と伝えます。

施設を待つことと、ご家族が耐え続けることは同じではありません。第一希望を残したままでも、ショートステイを使う、別の候補を探す、介護サービスを増やすといった準備はできます。

まずは、止まったままの待機を、状況が変わるたびに見直せる待機へ変える。そこからで十分です。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. 特養へは複数申し込んでもよいですか?

複数の特養へ申し込める地域はありますが、申込方法や辞退時の扱いは自治体・施設によって異なります。第一希望以外へも申し込む場合は、各施設へ「複数申込みは可能か」「別施設へ入居したときの連絡方法」を確認してください。

Q. 特養の待機順位は施設へ聞けば教えてもらえますか?

順位や待ち人数を案内している施設もありますが、入所の必要性や本人・家族の状況によって優先度が変わるため、時期を確約できないことがあります。「何番目か」だけでなく、現在の状態を更新する方法も聞いておくとよいでしょう。

Q. 老人ホームの入居待ち中にショートステイを長く使えますか?

ショートステイは短期間の利用を基本とし、利用可能日数や連続利用の扱いは、要介護度、ケアプラン、施設の空きなどによって変わります。家族の急病や在宅生活の継続が難しい事情がある場合は、担当ケアマネジャーへ具体的な期間と理由を伝えてください。

Q. 本人が老人ホームへの入居を拒否している場合、家族だけで申し込めますか?

申込み手続きができても、実際の契約や入居では本人の意思確認が必要になる場合があります。認知症などで判断が難しい場合も、家族だけで決めず、施設、ケアマネジャー、主治医などへ本人の状態と意思確認の方法を相談してください。

Q. 介護者が限界でも、施設が空くまで在宅介護を続けるしかありませんか?

続けるしかないわけではありません。ショートステイ、訪問介護、通所サービス、老健などを組み合わせられる場合があるため、「家族が疲れている」だけでなく、眠れない、仕事を休んでいる、介助できない動作があるなど、現在起きていることをケアマネジャーや地域包括支援センターへ伝えてください。

こんな相談窓口もあります

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