明日の食費がないとき、貸付の審査だけを待つことはできません
冷蔵庫に残っているのは卵と調味料だけ。三日後には電気料金の支払期限が来るのに、次の給料日は二週間先です。
インターネットで調べると、「社会福祉協議会なら生活費を貸してくれる」という情報が出てくる。しかし、どのくらい借りられるのか、今日申し込めばいつ入るのか、借金があっても利用できるのかは分かりません。
ここで最初に知っておきたいのは、社会福祉協議会の生活福祉資金が、窓口へ行けばその場で現金を受け取れる制度ではないことです。
相談、必要書類の提出、審査、貸付決定、借用書の作成などを経て振込みへ進みます。資金の種類や地域、書類の状況によって時間がかかるため、今日の食事や今夜の住まいを失う状態では、貸付以外の支援も同時に頼る必要があります。
社会福祉協議会の貸付は「給付金」ではなく、世帯への貸付です
生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯などの生活を経済面から支え、生活の安定や自立につなげるための制度です。
実施主体は都道府県社会福祉協議会ですが、最初の相談や申込みは、原則として住んでいる市区町村の社会福祉協議会で受け付けます。
対象の目安は、次の世帯です。
- 必要な資金をほかから借りることが難しい低所得世帯
- 障害者手帳などの交付を受けた方が属する世帯
- 65歳以上の高齢者が属する世帯
ただし、高齢者や障害者がいるという理由だけで、すべての資金を利用できるわけではありません。資金の使い道、世帯収入、ほかに利用できる制度、返済の見込みなどが見られます。
貸付は個人だけを見るのではなく、原則として世帯単位で扱われます。本人の収入が少なくても、同居する家族の収入や支出を含めて判断されることがあります。
社会福祉協議会へは、「お金を借りたい」だけでなく、「何に、いつまでに、いくら必要で、今後どう返せそうか」を伝えます。
必要なお金の使い道によって、申し込む資金が変わります
| 資金の種類 | 主な使い道 | 全国共通の主な貸付上限 |
|---|---|---|
| 緊急小口資金 | 休業、医療費、給与の盗難などにより、緊急かつ一時的に生活費が必要になった場合 | 10万円以内 |
| 総合支援資金・生活支援費 | 失業や減収などから生活を立て直すまでの生活費 | 単身は月15万円以内、二人以上は月20万円以内。貸付期間は原則3か月 |
| 総合支援資金・住宅入居費 | 新しい賃貸住宅の敷金、礼金など | 40万円以内 |
| 総合支援資金・一時生活再建費 | 就職に必要な技能習得、滞納した公共料金、債務整理に必要な費用など | 60万円以内 |
| 福祉資金 | 療養、介護、福祉用具、住宅補修、転居、就職支度など、目的が決まった一時的な費用 | 使い道ごとに上限が異なる |
| 教育支援資金 | 高校、短大、大学、高等専門学校などの授業料や入学時の費用 | 教育支援費は月3万5,000円から6万5,000円以内、就学支度費は50万円以内 |
| 不動産担保型生活資金 | 一定の居住用不動産を所有する低所得の高齢者世帯の生活費 | 不動産評価や世帯状況により決まる |
表の金額は全国制度上の上限です。申し込めば上限額を受け取れるという意味ではありません。
実際の貸付額や期間は、必要額、世帯状況、返済計画、都道府県社会福祉協議会の審査によって決まります。
昔の「コロナ特例貸付」と、現在の緊急小口資金は別です
検索すると、「緊急小口資金は20万円」「保証人不要で無利子」「総合支援資金を繰り返し借りられる」といった情報が出ることがあります。
これらには、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた世帯向けの特例貸付に関する古い情報が含まれています。
コロナ特例貸付の新規申請受付は、2022年9月末で終了しています。
現在、新たに申し込む場合は、本来の生活福祉資金貸付制度の条件で審査されます。通常の緊急小口資金の上限は10万円で、対象となる理由や返済見込みなどの確認があります。
過去にコロナ特例貸付を利用し、現在その返済が難しい方は、新規貸付の相談とは別に、申請した社会福祉協議会へ償還猶予や免除の対象となる可能性を尋ねてください。
「返せないほど苦しい人ほど借りられる」とは限りません
生活福祉資金は生活が苦しい世帯の制度ですが、貸付である以上、審査では返済できる見込みも見られます。
たとえば、毎月の収入が生活費だけで消え、今後も増収の見込みがなく、新しい返済を加えると生活が成り立たない場合、貸付が生活再建につながらないと判断されることがあります。
これは、「困り方が足りない」「努力していない」という意味ではありません。
返済が難しい状態では、さらに借金を増やすより、生活保護、家賃の給付、保険料の減免など、返済を必要としない制度の方が合う場合があります。
窓口では、借りられるかだけでなく、次のように聞いてください。
「現在の収入では返済を増やすことも心配です。貸付と給付のどちらを先に検討すべきか、家計を見て判断してほしいです」
緊急小口資金も、申込み当日に受け取れるとは限りません
「緊急」という名前から、申請した日に現金を受け取れると思うことがあります。
しかし、緊急小口資金にも審査があります。本人確認、世帯の収入、必要となった理由、返済の見込みなどを確認したうえで、貸付が決まれば指定口座へ振り込まれます。
相談当日の交付を前提にせず、最も近い支払期限を伝えてください。
「手元に2,000円しかなく、三人分の食費が必要です。電気は四日後に止まる予定です。貸付の結果を待つ間に利用できる支援も教えてください」
電気、ガス、水道が止まりそうな場合は、各事業者へも支払期限、支払える金額、分割や猶予の可否を尋ねます。
今日食べる物がない、今夜の住まいがない、必要な薬を買えない場合は、市区町村の自立相談支援機関や福祉事務所へ「今日必要な支援がある」と伝えてください。
相談から振込みまでは、いくつかの段階があります
一般的には、次のように進みます。
- 市区町村社会福祉協議会へ相談する
- 世帯状況と資金の使い道を聞き取ってもらう
- 利用できる制度や資金の種類を検討する
- 申込書と必要書類を提出する
- 都道府県社会福祉協議会などが審査する
- 貸付決定後、借用書などを提出する
- 指定された口座などへ資金が交付される
- 据置期間の後に返済が始まる
総合支援資金では、自立相談支援機関による支援を受け、就労、住まい、家計などを含む生活再建の計画を作ることがあります。
社会福祉協議会へ一度行けば手続きがすべて終わるとは限りません。資金によっては、民生委員との面談や、見積書、医師の証明、学校関係書類などが必要になる場合もあります。
最初の電話では「必要額・期限・理由・返済の見通し」を伝えます
制度名が分からなくても構いません。
次の形で話すと、相談が始まりやすくなります。
「夫婦二人暮らしです。夫の休業で今月の収入が十万円減り、家賃と食費が六万円不足します。家賃の期限は今月末です。来月から職場復帰の予定があります。生活福祉資金の対象になるか聞きたいです」
まだ返済の見通しが分からない場合は、無理に「返せます」と言わなくて大丈夫です。
「来月の収入額がまだ決まっておらず、返済できるかも含めて相談したいです」
事実と異なる収入や、確実ではない就職予定を伝えると、後の手続きが難しくなります。分からないところは「未定」と伝えてください。
持参する資料は、世帯と使い道が分かるものです
必要書類は資金や地域によって異なりますが、最初の相談では次の資料が役立ちます。
- 運転免許証、マイナンバーカードなどの本人確認書類
- 住民票など世帯構成が分かるもの
- 給与明細、年金通知書、離職票など収入状況が分かるもの
- 預金通帳や口座の入出金記録
- 家賃、公共料金、医療費、借金返済など毎月の支出
- 滞納通知、請求書、退去に関する文書
- 見積書、入学案内、診断書など資金の使い道を示す資料
- ほかの公的制度へ申請している場合は、その書類
すべてそろうまで相談を延期する必要はありません。
「通帳と請求書はありますが、収入証明書がまだありません。先に相談し、申込みまでに必要な書類を教えてください」
原本が必要か、コピーでよいか、提出した書類が返却されるかも、窓口で確かめてください。
すでに支払った費用や契約済みの費用は、対象外となることがあります
福祉資金や教育支援資金などは、何に使うかが決まった目的別の貸付です。
資金によっては、社会福祉協議会へ相談する前に購入、工事、契約、支払いを済ませると、貸付対象にならない場合があります。
たとえば、住宅の修理、福祉用具の購入、転居、入学費用などを考えている場合は、業者と契約したり代金を払ったりする前に聞いてください。
「給湯器の交換見積りを受け取りましたが、まだ契約していません。この費用は福祉資金の対象になる可能性がありますか」
一時生活再建費では、滞納した公共料金や債務整理に必要な費用などが対象となることがありますが、カードローンの返済資金として自由に借りられる制度ではありません。
借金返済で生活費が残らない場合は、社会福祉協議会へ借金の全体像を伝え、法律相談や家計改善支援も含めて進めます。
連帯保証人がいなくても、相談を諦める必要はありません
生活福祉資金では、原則として連帯保証人を求める資金があります。
ただし、連帯保証人を立てられない場合でも、申込みが可能な資金があります。
国の制度上、連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.5%となるものがあります。緊急小口資金と教育支援資金は、原則として無利子です。
連帯保証人には、借りた本人が返済できなくなった場合に返済義務が生じます。家族へ名前だけ貸してもらうような頼み方は避け、責任と返済計画を説明してください。
保証人を頼める人がいない場合は、最初からその事実を伝えます。
「別世帯の親族がおらず、連帯保証人を立てられません。保証人なしで申し込める資金と利子を教えてください」
家族に知られたくない場合は、連絡方法と世帯審査を先に聞きます
借入れを家族へ知られることが怖く、相談をためらう方もいます。
相談しただけで、すぐ親族へ連絡されるとは限りません。しかし、生活福祉資金は世帯単位の制度であり、同居家族の収入資料や協力が必要になる場合があります。
連帯保証人、連帯借受人、民生委員などが関係する資金では、本人だけで手続きを完了できないこともあります。
予約時に、次の点を確かめてください。
「同居家族へ知られずに相談したい事情があります。申込みには誰の収入資料や署名が必要で、郵便物はどこへ届きますか」
配偶者から生活費を渡されない、通帳を取り上げられている、相談したことを知られると暴力を受けるおそれがある場合は、単なる家計問題ではない可能性があります。
その場合は、安全な連絡方法から、配偶者暴力相談支援センターなどへも伝えてください。今すぐ身体の危険がある場合は110番を優先します。
貸付を利用できなかったときは、次の窓口名まで聞きます
審査の結果、貸付を受けられないこともあります。
そのときに、「自分は支援を受ける資格がない」と考える必要はありません。
貸付が合わない理由には、返済の見込み、資金の使い道、世帯収入、すでに契約済みの費用、別制度を優先できることなどがあります。
窓口では、次のように聞いてください。
「この貸付が難しい場合、今の家賃と食費について、次に相談する制度と窓口名を教えてください」
状況によっては、自立相談支援機関、福祉事務所、ハローワーク、年金事務所、学校、法律相談などへつながります。
生活福祉資金を借りられるかどうかと、公的支援を受けられるかどうかは同じではありません。
返済中に収入が減ったときは、黙って滞納を続けません
貸付を受けた後、病気、失業、介護などで返済が難しくなることがあります。
その場合は、引落しができなくなってから放置するのではなく、申込みをした社会福祉協議会へ連絡してください。
事情によっては、返済開始時期を遅らせる償還猶予などを相談できる場合があります。
「失業して今月から返済が難しくなりました。収入が回復するまで利用できる手続きを確認したいです」
返済を別のカードローンで補うと、生活福祉資金とは別の債務が増えます。現在の残高、収入、ほかの借金も含めて伝えてください。
今日は「何に・いつまでに・いくら必要か」を一文にします
今夜、申込書を完成させる必要はありません。
最も近い請求書や見積書を一枚開き、使い道、期限、不足額を見てください。
電話で伝える言葉は、次の形で十分です。
「休業で収入が減り、今月末の家賃が五万円不足します。来月から復職予定です。生活福祉資金の対象になるか、貸付以外の制度も含めて相談したいです」
次に、「市区町村名 社会福祉協議会 生活福祉資金」と検索し、住んでいる地域の窓口と受付時間を保存します。
貸付を申し込むかどうかは、相談後に決められます。今日は、必要な金額と期限を窓口へ伝えられる状態にするところまでで構いません。














