「自分で契約したのだから仕方ない」と、二回目の支払いを急がないでください
点検だけだと思って家へ入れた業者から、「このままでは屋根が崩れる」と言われ、工事契約へ署名した。
電話で勧められた健康食品は、一回だけのつもりだったのに翌月も届いた。解約を申し出ると、「もう発送した」「違約金が必要だ」と強い口調で言われた。
契約書へ自分で署名した。注文ボタンも自分で押した。そのため、「今さら相談しても怒られるだけではないか」と考える方がいます。
けれど、契約した事実だけでは判断できません。
どこで、どのように勧誘されたのか。必要な説明があったか。断った後も勧誘されたか。契約書を受け取った日はいつか。これらによって、解約やクーリングオフを検討できることがあります。
相手から支払いを急かされていても、次の送金、追加工事、新たな書面への署名をいったん止めます。
「家族と契約内容を確認します。今日は追加の支払いと署名はしません」
電話を切れないほど強く迫られている場合は、詳しい理由を説明せず、通話を終えて構いません。
商品やサービスの契約なら、被害か分からない段階でも相談できます
消費生活センターは、消費者と事業者の間で起きた商品・サービスのトラブルを扱う公的な相談窓口です。
悪質商法と断定できなくても、「説明と契約内容が違う」「解約させてもらえない」「高過ぎる気がする」という段階から話せます。
| 起きていること | 消費生活センターへ相談しやすい内容 |
|---|---|
| 訪問販売・点検商法 | 屋根、給湯器、床下、太陽光設備などの契約を急かされた |
| 電話勧誘 | 健康食品、通信回線、電気契約などを断ったのに契約になっていた |
| 通信販売 | 一回購入のつもりが定期購入だった、返品条件が分かりにくかった |
| 高額なサービス | 美容医療、エステ、結婚相手紹介、学習サービスなどを解約したい |
| 副業・投資の勧誘 | 「必ず稼げる」と言われ、教材代やサポート費を支払った |
| 訪問購入 | 貴金属の買取業者が帰らず、売る予定のない物まで持ち帰った |
| 製品・サービスによる被害 | 商品でけがをした、修理しても直らない、説明と品質が違う |
一方、個人間の金銭貸借、相続、離婚、近隣同士の争いなどは、消費生活センターの中心的な担当ではありません。事業のために結んだ契約も、消費者向け制度の対象外となる場合があります。
担当外だったとしても、問題の性質に応じた窓口を案内してもらえることがあります。最初から法律名や担当機関を当てる必要はありません。
188へ電話すると、住んでいる地域の相談窓口につながります
相談先が分からない場合は、局番なしの188へ電話します。郵便番号などを入力すると、原則として居住地域の消費生活センターや消費生活相談窓口へ案内されます。
相談料は無料ですが、通話料金はかかります。受付日や時間は窓口によって異なります。
電話では、次のように伝えてください。
「昨日、自宅へ来た業者と屋根工事を契約しました。契約額は百二十万円で、申込金を十万円払いました。解約できるか、業者へ連絡する前に聞きたいです」
相談員は、契約方法、契約日、書面の内容、支払状況、事業者とのやり取りを聞き取ります。
うまく説明する必要はありません。分からないことは、分からないまま伝えられます。
188へ電話する前に必要なのは、完璧な説明ではありません。「何を契約したか」「いつ契約したか」「いくら払ったか」「相手から今何を求められているか」の四点です。
契約書を受け取ってからの日数は、最初に見ます
訪問販売など一部の取引には、一定期間内なら無条件で契約を解除できるクーリングオフ制度があります。
| 取引の例 | 原則的な期間 |
|---|---|
| 訪問販売 | 正しく記載された契約書面などを受け取った日から8日間 |
| 電話勧誘販売 | 正しく記載された契約書面などを受け取った日から8日間 |
| 特定継続的役務提供 | 正しく記載された契約書面などを受け取った日から8日間 |
| 訪問購入 | 正しく記載された契約書面などを受け取った日から8日間 |
| 連鎖販売取引 | 原則20日間 |
| 業務提供誘引販売取引 | 原則20日間 |
期間は、一般に申込書面または契約書面を受け取った日を一日目として数えます。
ただし、取引の種類、商品、契約場所、書面の内容などによって対象外となる場合があります。書面に必要事項が記載されていない、事業者から「解約できない」と妨害されたといった事情により、期間後でもクーリングオフできる可能性もあります。
「八日を過ぎたから無理」と自分だけで決めず、契約書を手元に188へ連絡してください。
クーリングオフは、はがきなどの書面だけでなく、電子メールや事業者の専用フォームなどの電磁的記録で通知できる場合があります。通知した内容、送信日時、相手先が分かる画面は保存します。
クレジット契約を利用した場合は、販売会社だけでなくクレジット会社への通知が必要になることがあります。
ネット通販には、原則として訪問販売と同じクーリングオフはありません
SNS広告から商品を注文した。初回980円と表示されていたが、実際は複数回の購入が条件だった。
このような通信販売には、原則として訪問販売と同じクーリングオフ制度はありません。
まず、注文時の画面、最終確認画面、広告、返品・解約条件、注文確認メールを保存してください。
販売サイトが後から書き換えられる可能性もあります。スクリーンショットには、価格、回数、解約条件、事業者名、URLが分かる部分を含めます。
商品を開封する前なら、開けずに保管した方がよい場合があります。ただし、自己判断で受取拒否や返送をしても、それだけで契約が終了するとは限りません。
「一回購入の認識でしたが、注文確認メールには四回購入と書かれています。広告と最終確認画面の画像があります」
このように188へ伝え、事業者へ何と申し出るかを聞きます。
すでに支払った場合は、支払方法によって連絡先を増やします
支払い後でも、できることが残っている場合があります。ただし、時間がたつほど資金の回収が難しくなることもあります。
クレジットカードで支払った場合
カード会社へ、契約トラブルが起きていることを早めに伝えます。
「訪問販売の契約について消費生活センターへ相談しています。今後の請求と、必要な手続きを確認したいです」
連絡しただけで請求が必ず止まるわけではありません。販売会社との契約状況やカード会社の手続きにより対応は異なります。
銀行振込みをした場合
詐欺の疑いがあり、振込み直後なら、振込先の金融機関と警察へ早急に連絡します。
金融機関には、振込日、金額、振込先口座、相手の名称を伝えてください。警察へも被害を届けます。
電子マネーや暗号資産を送った場合
「未納料金がある」「返金するには追加送金が必要」と言われ、電子マネーの番号や暗号資産を渡した場合は、事業者との契約争いだけではなく詐欺の可能性があります。
追加で支払わず、110番または警察相談専用電話#9110、188へ連絡します。
契約書がなくても、相手とのやり取りを消さずに持っていきます
相談前に、次の資料を集めます。
- 契約書、申込書、見積書、領収書
- 注文確認メール、広告、最終確認画面
- 事業者とのメール、メッセージ、通話履歴
- 振込明細、カード利用明細、電子マネーの購入記録
- 商品、工事箇所、壊された物などの写真
- 勧誘された日時、場所、言われた内容のメモ
資料がなくても相談できます。
電話勧誘で契約書が届いていない、訪問業者が名刺を置いていかなかった場合は、その事実自体を伝えてください。
「会社名は分かりませんが、昨日の午後二時ごろに二人で来て、給湯器の交換代として現金二十万円を受け取りました」
相手との会話を思い出すときは、きれいな文章に直さず、言われた言葉に近い形で残します。
消費生活センターは、返金を命令する機関ではありません
消費生活センターでは、法令や過去の事例をもとに、解約方法、クーリングオフの通知、事業者への伝え方などの助言を受けられます。
本人だけでの交渉が難しいと判断された場合には、相談員が消費者と事業者の間に入り、話し合いを支援する「あっせん」が行われることもあります。
ただし、相談員が裁判所のように契約の無効や返金を命令するわけではありません。事業者に逮捕や行政処分を行う機関でもなく、あっせんに強制力はありません。
交渉で解決できない、金額が大きい、裁判手続きが必要といった場合は、弁護士や法テラスなどの案内を受けることがあります。
相談しただけで有料契約や裁判が始まることはありません。まず、現在の資料から何が言えるかを聞く場所として利用できます。
家族が気づいたときは、本人を責める前に契約の進行を止めます
親御さんの家へ行くと、健康食品の箱が積まれていた。見慣れない工事契約書があり、すでに何十万円も支払っている。
家族は驚き、「どうして契約したの」「前にも注意したでしょう」と言いたくなるかもしれません。
しかし、責められると、本人が次の契約や支払いを隠すようになることがあります。
最初は、次のように声をかけてください。
「契約したことを責めたいのではないよ。次の支払いがいつか、一緒に書類だけ見せてほしい」
家族から188へ相談することもできます。本人の年齢、居住地、契約内容、支払状況、事業者とのやり取りを分かる範囲で伝えます。
ただし、相談員が事業者とのあっせんを進める際には、契約者本人の意思確認や協力が必要になる場合があります。
認知症などで契約内容の理解が難しくなっている、高額な契約を何度も繰り返している場合は、地域包括支援センターにも状況を伝えます。今回の解約だけでなく、今後の見守りや金銭管理を考えるためです。
業者が家にいる、脅されている、現金を取りに来る場合は110番です
次のような状態では、188へ相談する前に身体と財産の安全を優先します。
- 帰ってほしいと伝えても業者が家から出ない
- 契約しなければ危害を加えると脅されている
- 銀行やATMへ一緒に行くよう迫られている
- 警察官や金融機関職員を名乗る人物がカードを取りに来る
- 現金や通帳を今すぐ渡すよう求められている
相手と二人きりで言い争わず、可能なら鍵のかかる場所や近隣の店などへ移り、110番へ連絡してください。けがや急な体調不良がある場合は119番です。
今日は契約書の表面を一枚撮り、188へ伝える言葉を決めます
今夜、契約が有効か無効かを自分で判定する必要はありません。
契約書や注文メールから、次の四点だけ見つけてください。
- 契約した日
- 事業者名
- 商品・サービス名
- 支払った金額と次の支払日
契約書があれば、最初のページをスマートフォンで撮影します。裏面に解約やクーリングオフの記載があれば、そこも残してください。
188へ伝える言葉は、次の形で十分です。
「訪問してきた業者と昨日契約し、申込金を払いました。解約できるか分からず、追加の支払いを求められています」
電話をした時点で、相手と争うことも、裁判を決めることもありません。
今日は、追加の支払いを止め、契約日が分かる資料を残し、次に相手へ何と伝えるかを公的な窓口で確かめるところまでです。














