雇用保険受給資格者証を見ると、支給残日数が「18日」になっている。
次の認定日は来月。その入金が終わった後も、家賃、国民健康保険料、携帯電話、電気代は続きます。
求人には応募しているものの、書類選考で落ちる。面接へ進んでも「今回は見送ります」という連絡が届く。家族には「まだ手当がある」とだけ話し、残りの日数までは言えていない方もいるでしょう。
失業手当が終わる怖さは、収入が一つ減ることだけではありません。
次に何を頼ればよいのか分からず、仕事探しと生活費の心配を同時に抱えることです。
この時期は、求人を増やすだけでは足りません。最後に入るお金と、その後に使える制度を、同じ予定表へ並べる必要があります。
最初に見るのは「残り何日」ではなく「最後にいくら、いつ入るか」です
失業手当は、原則として4週間に一度の失業認定を受け、認定された失業日数に応じて支給されます。
通常は28日分ずつ支給されていても、支給残日数が18日なら、最終回も28日分入るとは限りません。
また、認定日と実際の入金日は同じ日ではありません。失業認定後、通常は5営業日ほどで指定口座へ振り込まれますが、休日や金融機関の事情などで前後する場合があります。
次の四つを分けて確かめてください。
| 確かめる日・金額 | 見る場所 | 家計での意味 |
|---|---|---|
| 支給残日数 | 雇用保険受給資格者証 | あと何日分の基本手当が残っているか |
| 受給期間満了日 | 雇用保険受給資格者証 | 残日数があっても、この日を過ぎると受け取れない可能性がある |
| 最後の認定日 | 認定日の案内・失業認定申告書 | 最終回の求職活動実績や就労申告を行う日 |
| 最終入金額と予定日 | ハローワークの雇用保険給付窓口 | 家賃や生活費へ使える最後の入金 |
受給資格者証を見ても分からないときは、次のように尋ねます。
「支給残日数が18日となっています。私の場合、最後の認定日と、最後に入る予定額の目安を教えてください」
最終入金額が分かれば、「まだ一か月ある」と思っていた期間が、実際には二週間程度だったという見落としを防げます。
「手当が終わる日」「最後の認定日」「最後の入金日」は同じとは限りません。生活費を考えるときは、銀行口座へ入る予定日を基準にします。
受給期間の満了と、所定給付日数の終了は別です
失業手当には、支給を受けられる日数である「所定給付日数」と、受給できる期間があります。
一般的な受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。
たとえば所定給付日数が残っていても、受給期間満了日を過ぎれば、残りをすべて受け取れないことがあります。
病気やけが、妊娠、出産、育児などで30日以上働けない期間があった場合は、受給期間を延長できることがあります。
ただし、単に就職先が見つからなかったという理由だけで、受給期間が自動的に延びるわけではありません。
途中で働けない時期があった方は、次のように伝えてください。
「受給中に病気で一か月以上求職できなかった期間があります。受給期間延長や傷病手当の対象を確認したいです」
働けなかった期間や診断書などが必要になる場合があるため、満了日を過ぎる前に雇用保険給付窓口へ聞きます。
失業手当は自動延長されませんが、終了前だから聞ける制度があります
「まだ就職できていないので延長してください」と申し出れば、誰でも基本手当が延びる制度ではありません。
一方、離職理由、健康状態、災害、求職活動の状況などにより、個別延長給付の対象になる方もいます。
対象は限られており、単に応募先が少なかった、希望条件に合う求人がなかったという事情だけで認められるものではありません。
もう一つ、確認したいのが公共職業訓練です。
ハローワークが、再就職に職業訓練が必要だと判断し、公共職業訓練などの受講を指示した場合、訓練中に所定給付日数が終了しても、訓練終了まで基本手当が続くことがあります。
ただし、受講指示は、原則として一定の支給残日数がある段階で行われます。
残り数日になってから希望しても、募集期限、選考日、開講日との関係で間に合わない可能性があります。
支給残日数が一か月程度になったら、職業相談窓口で次のように聞いてください。
「手当の残日数が少なくなっています。今の応募状況を踏まえ、受講指示の対象になる職業訓練はありますか」
「訓練を受けた場合、基本手当、通所手当、受講手当がどうなるかを確認したいです」
訓練は、給付期間を延ばすためだけに選ぶものではありません。修了後の求人、取得できる技能、通学時間、訓練期間中の生活費まで見て判断します。
支給残日数があるうちの就職は、再就職手当の対象になる場合があります
受給中に安定した仕事へ就き、就職日の前日までの失業認定を受けた後に、所定給付日数の3分の1以上が残っているなどの要件を満たすと、再就職手当を受けられる場合があります。
残日数によって対象になるかが変わるため、採用が決まったら、勤務開始前にハローワークへ連絡してください。
「採用が決まり、〇日から勤務予定です。残日数で再就職手当の対象になるか、就職日前に必要な手続きを教えてください」
ただし、再就職手当のために、仕事内容や労働条件を見ずに就職を決める必要はありません。
雇用期間、社会保険、勤務時間、賃金、通勤、試用期間を見たうえで、生活を続けられる仕事かを考えます。
給付の対象になるかと、その職場で働き続けられるかは、別の判断です。
短いアルバイトでつなぐ場合も、働いた事実は必ず申告します
最後の入金まで生活費が足りず、単発の仕事や短時間のアルバイトを考える方もいるでしょう。
失業手当を受けている間に働くことが、すべて禁止されているわけではありません。
ただし、仕事をした日、労働時間、収入は、報酬をまだ受け取っていない場合も含め、失業認定申告書へ正確に記載します。
働き方によっては、その日の基本手当が支給されない、減額される、支給日が後へ繰り越される、就職として扱われることがあります。
アルバイトを始める前に、次の条件を窓口へ伝えてください。
- 一週間の勤務予定時間
- 雇用期間
- 一日の勤務時間
- 日給・時給と給与の支払日
- 雇用保険へ加入する予定があるか
「週二日、一日五時間の仕事を考えています。基本手当と失業認定にどのような影響がありますか」
生活費が苦しいからこそ、申告漏れによる返還や不正受給の問題を増やさないことが重要です。
給付が終わっても、ハローワークでの仕事探しは続けられます
基本手当が終わることと、ハローワークを利用できなくなることは同じではありません。
給付終了後も、求人紹介、応募書類の相談、面接対策、職業訓練の案内などを受けられます。
同じ条件で応募を続けても結果が出ない場合は、応募数だけを増やすのではなく、どこで止まっているかを見ます。
- 応募しても書類選考を通らない
- 面接までは進むが採用されない
- 応募できる求人自体が少ない
- 体力、通勤、介護などで勤務条件が限られる
- 以前の職種にこだわると求人がない
- 希望賃金を下げると生活が成り立たない
窓口では、求人を紹介してもらうだけでなく、過去の応募結果を見せます。
「12社へ応募し、10社が書類不通過、2社が面接不採用でした。年齢だけでなく、職務経歴書や応募職種に問題がないか見てほしいです」
50代以降では、これまでの肩書や経験をすべて書くより、応募先で使える仕事へ絞って伝えた方がよい場合もあります。
失業手当終了後は、求職者支援制度の対象になる可能性があります
雇用保険の受給が終了した方などを対象に、無料の職業訓練と就職支援を行う「求職者支援制度」があります。
一定の要件を満たす場合は、訓練期間中に月10万円の職業訓練受講手当と、通所手当などを受けられます。
給付金の主な要件として、次のような基準があります。
- ハローワークへ求職の申込みをしている
- 雇用保険の被保険者や受給資格者ではない
- 働く意思と能力がある
- 職業訓練による支援が必要だとハローワークに認められる
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいる家以外の土地・建物を所有していない
- 訓練の出席要件などを満たす
収入や資産の要件を満たさず給付金を受けられない場合でも、無料の訓練のみ受講できることがあります。
訓練には募集期間と選考があります。失業手当をすべて受け終えてから探すのではなく、受給中に次の募集時期を聞いておく方が動きやすくなります。
「失業手当が〇月に終了します。終了後に求職者支援制度を利用できるか、次の募集と収入要件を確認したいです」
家賃が払えなくなりそうなら、滞納前に住居確保給付金を確認します
生活費の中で最も大きい支払いが家賃なら、失業手当の終了前から住居の支援を調べます。
住居確保給付金は、離職・廃業後一定期間内の方や、本人の責任によらず収入が離職と同程度まで減少した方などが、収入、資産、求職活動などの要件を満たす場合に、家賃相当額の支給を受けられる制度です。
支給額には地域と世帯人数による上限があり、原則3か月、条件を満たせば延長により最長9か月となる場合があります。
給付金は、原則として自治体から貸主や不動産事業者へ直接支払われます。
相談先は、地域の自立相談支援機関です。
電話では、次のように伝えます。
「失業手当が来月で終了し、現在の預金では二か月後の家賃が払えません。住居確保給付金の収入・資産要件と必要書類を確認したいです」
すでに滞納している場合は、滞納月数、退去を求める通知の有無、次の支払日も伝えてください。
保険料や税金は、払えなくなってから放置しないでください
失業手当が終わると、家賃や食費だけでなく、国民年金、国民健康保険、住民税などが重く感じられます。
請求書を見ないままにすると、未納が積み上がり、その後の相談もしづらくなります。
国民年金保険料
失業や収入減少で保険料の納付が難しい場合は、免除制度を申請できます。
失業した本人については、前年所得にかかわらず審査する特例がありますが、配偶者や世帯主の所得なども審査に関係します。
雇用保険受給資格者証や離職票の写しを用意し、市区町村の年金窓口または年金事務所へ聞いてください。
未納のままにせず、免除申請を行うことで、年金の受給資格期間や障害基礎年金などの要件に関係する場合があります。
国民健康保険料
倒産、解雇、雇止めなど一定の離職理由に該当する方には、保険料を軽減する制度があります。
自己都合退職でも、自治体独自の減免、分割納付、納付相談を利用できる場合があります。
雇用保険受給資格者証に記載された離職理由が判断材料になるため、資格者証と保険料通知書を持参します。
住民税・公共料金
住民税は前年の所得をもとに計算されるため、現在無収入でも請求が続くことがあります。
減免、猶予、分割納付の条件は自治体によって異なります。納期限を過ぎる前に、現在の収入と失業手当の終了日を伝えてください。
電気やガスなども、停止予定日が届いている場合は放置せず、各事業者へ支払い方法を尋ねます。
あと一か月を切ったら、支払いを三つに分けます
失業手当の終了が近づくと、すべての請求を同じ重さで考え、身動きが取れなくなることがあります。
支払いは次の三つに分けます。
生活を止めないために優先するもの
- 食費
- 家賃
- 電気、ガス、水道
- 通院と必要な薬
- 求職活動に必要な交通費と通信費
窓口へ支払い方法を相談するもの
- 国民年金保険料
- 国民健康保険料
- 住民税
- 公共料金の滞納分
新たな利用を止めるもの
- 使っていない定額サービス
- 継続購入している商品
- 急がない民間保険やサービスの追加契約
- 返済のために別の高金利借入れをすること
借金の返済が難しい場合は、別のカードローンで埋める前に、法テラス、弁護士、司法書士などへ返済方法を聞く方が安全です。
食費や住まいが尽きるなら、失業手当の終了を待ちません
次の仕事が決まらず、失業手当の残日数も少ない。それでも、受給が完全に終わるまで公的な生活相談をしてはいけない、ということではありません。
次の状態なら、地域の自立相談支援機関や福祉事務所へ現在の状況を伝えてください。
- 一週間以内の食費がない
- 次の家賃を支払えない
- 電気、ガス、水道が止まる予定になっている
- 通院や薬を中断しようとしている
- 家を失う日が決まっている
- 預金を使い切る日が近い
生活保護は、生活に困窮する方の最低限度の生活を保障し、自立を支える制度です。
必要書類がすべてそろっていなくても申請できます。同居していない親族へ先に援助を頼んでからでなければ申請できる、という制度でもありません。
窓口では、失業手当を受けていることを隠さず、残日数と最終入金予定を伝えます。
「失業手当があと12日分残っていますが、最終入金後も仕事が決まらず、家賃と食費を維持できません。利用できる制度と生活保護の申請について話したいです」
家族には「仕事が決まらない」だけでなく、残りの日付を伝えます
配偶者や成人した子どもへ、失業手当が終わることを話せずにいる方もいます。
「心配をかけたくない」「だらしないと思われそう」という気持ちがある一方、突然口座残高がなくなってから伝えると、家族も対応を選べません。
話すときは、就職できない理由を長く説明するより、三つの数字を出します。
- 最後の入金予定日
- 入金後に残る預金
- 毎月不足する金額
「失業手当の最後の入金は8月15日の予定で、入金後の預金は約18万円です。今の支出だと10月の家賃まで持たないので、今週ハローワークと自立相談支援機関へ行く」
家族へお金を頼むかどうかは、その後に考えれば構いません。
最初は、隠していた期限と、自分が次に動く予定を共有します。
今日は受給資格者証を開き、窓口で三つだけ聞きます
今夜、すべての制度へ申し込む必要はありません。
雇用保険受給資格者証を手元に置き、明日ハローワークへ伝える三つの質問を用意してください。
- 私の最後の認定日と、最終入金額の目安はいくらですか
- 残日数があるうちに利用できる職業訓練や再就職手当はありますか
- 給付終了後、求職者支援制度の対象になる可能性はありますか
電話の第一声は、次の形で十分です。
「失業手当の終了が近いのですが、まだ仕事が決まっていません。残日数と最終入金、終了前に確認すべき制度について相談したいです」
その電話で仕事が決まるわけではありません。
それでも、「いつお金が尽きるか分からない状態」から、「次の入金日と、聞く窓口が分かっている状態」へは進めます。














