納付書を開くと、今月の生活費が足りなくなる金額でした
会社を退職して国民健康保険へ切り替えた後、保険料の納入通知書が届いた。
同じ週には住民税の納付書も届き、二つを合わせると8万円を超えています。
口座にあるお金は11万円。月末までには家賃、電気代、食費、通院代も必要です。
「税金だから、何より先に払わなければいけない」
「役所へ行っても、払ってくださいと言われるだけでは」
「滞納したら、すぐに口座を差し押さえられるのだろうか」
そう思うと納付書を見られなくなり、封筒ごと引き出しへ入れたくなります。
けれども、国民健康保険料と税金は、請求している窓口も、使える可能性がある制度も同じではありません。
最初にすることは、すべてを今月中に払う方法を探すことではなく、どの納付書を、どこへ、いくら相談するのかを分けることです。
封筒を四つに分けると、最初に電話する場所が分かります
| 届いたもの | 主な相談先 | 窓口で聞くこと |
|---|---|---|
| 国民健康保険料・国民健康保険税 | 市区町村の国民健康保険担当、収納・納付相談担当 | 軽減、減免、納付猶予、分割納付 |
| 住民税・固定資産税・軽自動車税など | 市区町村の税務課、納税課、収納担当 | 納付相談、徴収猶予、換価の猶予、減免の有無 |
| 所得税・消費税などの国税 | 納付先の税務署の徴収担当 | 納税の猶予、換価の猶予、分割計画 |
| 国民年金保険料 | 年金事務所、市区町村の年金窓口 | 免除、納付猶予、失業による特例 |
国民健康保険料の算定方法や徴収期限、減免の基準は、市区町村の条例などによって定められています。厚生労働省も、市町村国保については居住する市区町村の国民健康保険窓口へ問い合わせるよう案内しています。
一つの窓口へ電話すれば、すべての支払いをまとめて調整してもらえるとは限りません。
国保と住民税の両方が難しい場合は、それぞれの担当へ同じ家計状況を伝えます。
電話の前に、「払えない」ではなく六つの数字を書きます
窓口で事情をうまく説明できなくても、数字があれば話を始められます。
| 書くこと | 記入例 |
|---|---|
| 今回の納付額 | 国保4万2,000円、住民税3万8,000円 |
| 納期限 | 7月31日 |
| 現在使える現金 | 11万円 |
| 今月必要な生活費 | 家賃6万円、食費2万円、薬代5,000円 |
| 今払える額 | 国保・税を合わせて2万円程度 |
| 次に収入が入る日と金額 | 8月25日、給与見込み12万円 |
さらに、収入が減った理由を一行で書きます。
- 会社都合で退職した
- 雇止めで収入がなくなった
- 病気で勤務日数が減った
- 自営業の売上が落ちた
- 配偶者との離婚・死別で世帯収入が減った
- 災害や家族の介護で働けなくなった
減免や猶予の審査では、収入が減った事実や現在の収支を示す資料が必要になる場合があります。自治体によっては、離職票、給与明細、年金通知、事業の帳簿などが確認資料として案内されています。
窓口には「いくらなら払えるか」まで伝えます
「お金がないので払えません」だけでは、窓口側も支払計画を考えにくくなります。
今払える額が少なくても、生活費と次の収入日を基に伝えてください。
「国民健康保険料4万2,000円の納付が難しく、期限は7月31日です。退職で収入が減り、今月は1万円なら支払えます。次の収入は8月25日の予定です。分割納付と、失業や所得減少による軽減・減免、猶予の対象になるかを教えてください」
住民税なら、国民健康保険料を住民税へ置き換えて同じように伝えられます。
窓口で聞いた内容は、次の形で残します。
- 連絡した日と時刻
- 担当窓口・担当者名
- 今月支払う額と期限
- 次回以降の支払額
- 提出する申請書と書類
- 減免等の申請期限
自己判断で少額だけ納付しても、残額について分割の合意が成立したことにはなりません。納める額と日程を窓口へ伝え、案内された方法で進めます。
分割・軽減・減免・猶予は、同じ制度ではありません
| 方法 | どのようなものか | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 分割納付 | 一括で払えない金額を複数回に分ける相談 | 認められる金額や期間は家計・滞納状況等で異なる |
| 法定の軽減 | 所得が一定基準以下の世帯などの保険料を軽くする | 世帯の所得が把握されている必要がある |
| 減免 | 失業、所得減少、災害などの事情により保険料・税額を減らす | 申請が必要な場合があり、期限も自治体ごとに異なる |
| 徴収・納税の猶予 | 一定期間、納付や滞納処分等を猶予する制度 | 病気、災害、休廃業などの要件や証明書類がある |
| 換価の猶予 | 財産を差し押さえて売却する手続を一定期間猶予する | 申請期限や納付意思などの要件が設けられている |
「払えないので分割にしてください」とだけ伝えるより、減免や猶予の対象も同時に聞いた方が、現在の収入に合う制度を見つけやすくなります。
ただし、相談しただけで自動的に保険料や税額が下がるわけではありません。申請書と必要資料を提出し、審査を受ける制度もあります。
国民健康保険料が高いときは、所得情報が反映されているかを見ます
国民健康保険料・保険税は、世帯の所得や加入人数などを基に計算されます。
所得が一定基準以下の世帯には、均等割・平等割を7割、5割または2割軽減する制度があります。
ただし、収入がなかった人を含め、世帯の所得状況が確認できないと軽減を判定できない場合があります。自治体によっては、所得未申告の人がいる世帯は軽減・減免を適用できないと案内しています。
通知額が高いと感じたら、次を窓口へ聞きます。
- 前年の所得はいくらとして計算されているか
- 世帯人数と国保加入者が正しく反映されているか
- 所得がない人の申告が必要か
- 低所得世帯の軽減が適用されているか
- 年度途中の加入・脱退が反映されているか
今年収入が減っても、国保の保険料は前年所得を基に計算されるため、すぐには低くならないことがあります。
その場合は、「計算が間違っている」と決めつけるのではなく、今年の所得減少を理由とする減免制度が自治体にあるかを別に聞きます。
倒産・解雇・雇止めなら、失業による軽減を届け出られる場合があります
倒産、解雇、雇止めなど一定の理由で離職した人には、国民健康保険料・保険税の軽減制度があります。
自治体の案内例では、離職時に65歳未満で、雇用保険受給資格者証等の離職理由番号が対象に該当する場合、給与所得を通常の30%として所得割や軽減判定を計算します。軽減対象となる期間は、離職日の翌日が属する月から翌年度末までとされています。
対象になるかは、自己都合か会社都合かという呼び方だけでなく、雇用保険受給資格者証・受給資格通知の離職理由番号で判断されます。
窓口へ次の資料を持参または提示します。
- 雇用保険受給資格者証または受給資格通知
- 国民健康保険料の通知書
- 本人確認書類
- 自治体指定の届出書
届出をしなければ反映されないことがあるため、「失業したことは役所も分かっているはず」と待たずに確認してください。
自己都合退職や営業不振でも、所得減少による減免がないか聞きます
非自発的失業者の軽減に該当しなくても、今年の収入が大きく減った場合に、自治体独自の減免を利用できることがあります。
対象になり得る事情の例は、次のとおりです。
- 自己都合退職後に再就職できていない
- 勤務日数や給与が大きく減った
- 自営業を廃業・休業した
- 売上や事業所得が大きく減った
- 病気やけがで働けなくなった
- 災害で住宅や事業へ損害を受けた
厚生労働省も、災害その他の特別な事情で納付が難しい場合には、国民健康保険料・保険税の減免や納付猶予を受けられる場合があると案内しています。
具体的な減収率、対象月、必要書類、申請期限は自治体ごとに違います。
減免を申請した月以降だけが対象となる自治体もあるため、収入が減った時点で早めに聞く方が安全です。
住民税などの市税も、納期限前から相談できます
住民税は前年の所得を基に計算されるため、今年退職して収入が減っていても、高かった時期の所得に対する納付書が届くことがあります。
今の収入では一括納付が難しい場合は、市区町村の納税・収納担当へ連絡します。
自治体の市税には、災害、病気、事業の休廃止などで一時に納付できない場合の徴収猶予や、納付によって生活維持が難しくなる場合の換価の猶予が設けられていることがあります。たとえば横浜市は、市税について徴収猶予・換価の猶予の申請制度を案内しています。
窓口では次を分けて聞いてください。
- 現在の滞納額と納期限
- 今後届く同じ税の納付額
- 分割納付が可能か
- 徴収猶予・換価の猶予の対象か
- 失業・病気・災害等による減免制度があるか
住民税と国保の支払いが重なっている場合は、双方へ「もう一方の納付額」も伝えます。家計全体を示すことで、無理のない納付額を話しやすくなります。
所得税などの国税は、税務署の徴収担当へ連絡します
確定申告後の所得税や個人事業の消費税など、国税を納期限までに払えない場合は、市役所ではなく税務署が相談先です。
国税庁は、国税を一時に納付すると生活の維持や事業継続が難しくなる場合などに、申請による換価の猶予や納税の猶予が認められることがあると案内しています。猶予期間は原則1年以内で、認められた税額は原則として期間中に分割して納付します。
猶予が認められると、差押えや財産の換価が猶予され、延滞税の全部または一部が免除される場合があります。
申請期限が設けられている制度もあるため、納期限を過ぎるまで待たず、所轄税務署の徴収担当へ連絡します。
納期限を過ぎても、通知を開かないままにはしません
納期限を過ぎると、督促状や催告書が届き、延滞金・延滞税が加算される場合があります。
さらに滞納が続くと、法令に基づく財産調査や、預貯金・給与などの差押えへ進むことがあります。
ただし、納期限の翌日に突然、何の連絡もなくすべての財産が差し押さえられるという意味ではありません。
大事なのは、督促状が届いてから慌てるのではなく、払えない理由が分かった段階で連絡を入れることです。
| 届いたもの | 取る行動 |
|---|---|
| 納付書 | 金額と期限を確認し、間に合わないなら担当へ連絡する |
| 督促状・催告書 | 放置せず、現在の滞納額と支払方法を聞く |
| 差押事前通知等 | 通知にある担当へ至急連絡し、収支資料を用意する |
| 知らない番号からのSMS | 通知内のリンクではなく、自治体公式サイトや納付書で連絡先を確認する |
国保を滞納しても、病院へ行くのを自己判断でやめません
国民健康保険料を滞納していると、「保険が使えないのでは」と思い、受診を我慢する方がいます。
滞納が続き、特別な事情もない場合には、自治体からの通知を経て「特別療養費」の対象となり、医療機関の窓口でいったん医療費全額を支払う取扱いになることがあります。後から保険給付相当分の支給申請をする仕組みですが、滞納状況により保険料へ充当される場合もあります。
一方で、災害等の特別な事情、公費負担医療を受けている人、一定年齢以下の子どもなど、適用から除外される場合があります。
受診が必要な体調なのに、「保険料を払っていないから行けない」と一人で判断しないでください。
国保窓口へ現在の資格と窓口負担を聞き、医療費そのものの支払いが難しい場合は、病院の相談窓口にも支払い方法を伝えます。
今月払うために、家賃・食費・薬代をすべて使い切らないようにします
国保や税金の納付は必要ですが、家賃、食事、薬、仕事へ行く交通費までゼロにして一括納付すると、すぐ次の生活が立ち行かなくなります。
| 今月必要なもの | 金額 | 支払日 |
|---|---|---|
| 家賃・住宅費 | ||
| 食費・日用品 | ||
| 電気・ガス・水道 | ||
| 通院・薬・通勤 | ||
| 国民健康保険料 | ||
| 住民税等 |
生活に必要な額を差し引いた結果、今月払えるのが5,000円や1万円でも、その数字を窓口へ伝えます。
高金利の借入れやクレジットカードのキャッシングで全額を埋める前に、減免・猶予・分割の対象を聞いてください。税や保険料を払えても、新しい返済によって来月の生活がさらに苦しくなる場合があります。
毎月の収入そのものが足りないなら、納付相談と家計相談を並行します
一時的な退職や病気ではなく、収入が少なく家賃や食費も払えない場合は、国保・税の担当窓口だけでは生活全体を立て直せないことがあります。
生活困窮者自立支援制度には、仕事、住まい、家計など複数の悩みをまとめて扱う地域の相談窓口があります。家計改善支援を実施している自治体では、収支の見える化、滞納の解消、利用できる給付や貸付けへの接続などを一緒に考えます。
次の状態なら、自治体の「生活困窮者自立相談支援窓口」「くらしの相談窓口」なども探してください。
- 国保と税金以外にも家賃・公共料金の滞納がある
- 食費や薬代が足りない
- 収入がなく、次に払える日を決められない
- 複数のローンやカード返済がある
- 離職後、仕事探しや住まいにも困っている
- 通知を見ること自体がつらく、一人では手続できない
国保の納付相談をした後に生活相談を利用してもよいですし、生活相談の担当者と一緒に各窓口へ連絡する方法もあります。
家族が代わりに調べるときは、未開封の封筒を責めません
親や配偶者の部屋から、国保や税金の督促状が何通も見つかることがあります。
驚いて「なぜ放っておいたの」「貯金はどこへ使ったの」と聞くと、本人はさらに封筒を隠すかもしれません。
| 責める言葉 | 一緒に動きやすい言葉 |
|---|---|
| 「どうして早く言わなかったの」 | 「今日分かったものから、期限と金額を並べよう」 |
| 「全部私が払えばいいの?」 | 「援助を決める前に、減免や分割が使えないか聞こう」 |
| 「役所へ行ってきて」 | 「電話で何を言うか、一緒にメモを作ろう」 |
| 「もうお金を任せられない」 | 「今月の収入と支払いを一枚にして、足りない額を見よう」 |
本人以外が具体的な納付状況を聞く場合、本人確認や委任状を求められることがあります。
家族は、封筒を税目別に分ける、収入資料を集める、電話へ同席するところから手伝えます。
窓口で断られたように感じたら、質問を一つずつに分けます
窓口で「まず今月分を納めてください」と言われると、それ以上話せなくなることがあります。
その場合は、制度名を一つずつ聞いてください。
- 「分割納付として相談できる金額を教えてください」
- 「所得減少による減免制度はありますか」
- 「非自発的失業者の軽減対象か確認してください」
- 「徴収猶予または換価の猶予に該当する可能性はありますか」
- 「申請期限と必要書類を紙で教えてください」
希望額がそのまま認められるとは限りません。
それでも、何の制度に該当しなかったのか、次に何を提出すればよいのかが分かれば、ただ「払えと言われた」という状態から進めます。
今日することは、納付書を一枚選んで一本電話することです
国保、住民税、年金、カード、公共料金が重なっていると、全部を解決してからでなければ連絡できない気がします。
今日は、納期限が最も近い納付書を一枚選んでください。
紙へ次の五つを書きます。
- 納付するもの:
- 金額と期限:
- 今払える額:
- 次の収入日:
- 収入が減った理由:
そのメモを見ながら、納付書に記載された窓口へ連絡します。
「期限までの一括納付が難しいため連絡しました。今月は○円なら払えます。収入が減った理由は○○です。分割だけでなく、軽減、減免、猶予の対象になるかと、申請期限を教えてください」
電話を一本かけても、すぐにすべての支払いがなくなるわけではありません。
けれども、払えないまま封筒を閉じている状態から、今月払う額と次に提出する書類が分かる状態へ変えられます。
国民健康保険料や税金を払えないことは、生活を立て直す意思がないという意味ではありません。
収入が変わった今の家計に、以前の所得を基にした請求が重なっていることもあります。
生活を守りながら納付を続けるために、払えない理由を隠さず、期限が近いうちに窓口へ伝えるところから始めてください。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」:所得に応じた軽減、特別な事情による減免・納付猶予、自治体窓口の確認先。
- 大阪市「保険料の軽減・減免」:非自発的失業、所得減少、災害等による軽減・減免と申請期限・資料の例。
- 新宿区「国民健康保険料の納付相談」:徴収猶予、督促、延滞金、滞納処分に関する確認先。
- 大阪市「国民健康保険料のお支払いが難しい場合」:納付相談、猶予、差押え、特別療養費に関する確認先。
- 横浜市「納税にお困りの場合は」:市税の徴収猶予・換価の猶予に関する確認先。
- 国税庁「国税を期限内に納付できないとき」:納税の猶予、換価の猶予、分割納付、延滞税等に関する確認先。
- 政府広報オンライン「生活困窮者自立支援制度」:仕事・住まい・家計など生活全体の相談窓口に関する確認先。


















