請求額を見て、エアコンのリモコンを置いてしまう
電気料金のお知らせを開くと、先月より5,000円ほど高くなっていました。
ガス代も上がっています。
特別ぜいたくをした覚えはありません。家族に聞いても、「いつもと同じように使っている」と言います。
それでも、請求額を見ると不安になり、暑い昼間にエアコンを切ったり、お風呂を短く済ませたりします。
「このまま毎月上がったら、生活費が足りなくなる」
「古い家電のせいなのか、契約が合っていないのか」
「電力会社を替えれば安くなると言われたけれど、かえって高くならないだろうか」
「高齢の親が、電気代を気にして冷暖房を使っていないのも心配」
光熱費が高くなったとき、最初に冷暖房や入浴を我慢すると、原因が分からないまま生活だけがつらくなります。
請求額は、使用量だけで決まるものではありません。
まず「どれだけ使ったか」と「同じ量を使った場合の料金がどう変わったか」を分けてください。
今月と先月ではなく、前年の同じ月と比べます
冷暖房や給湯の使用量は季節で大きく変わります。
冬から春、夏から秋のように気温が変わる時期は、先月との比較だけでは増えた原因を判断しにくくなります。
| 見る項目 | 今月 | 前年同月 | 違い |
|---|---|---|---|
| 電気の請求額 | 円 | 円 | 円 |
| 電気使用量 | kWh | kWh | kWh |
| ガスの請求額 | 円 | 円 | 円 |
| ガス使用量 | ㎥ | ㎥ | ㎥ |
| 検針期間の日数 | 日 | 日 | 日 |
請求額だけが増え、使用量がほとんど変わっていなければ、料金単価や調整額、契約内容の影響を見ます。
請求額と使用量の両方が増えていれば、在宅時間、気温、給湯、家族人数、家電の使い方など、暮らしの変化を探します。
スマートメーターが設置されている家庭では、契約先の会員ページやアプリなどで、日別・時間帯別の使用状況を見られる場合があります。スマートメーターは、電気使用量の自動計量や使用状況の見える化に活用されています。
高くなった理由は、四つの分岐で考えます
| 請求書の状態 | 考えられる主な理由 | 次に見る場所 |
|---|---|---|
| 使用量が増えている | 冷暖房、給湯、在宅時間、家族人数、家電 | 日別・時間帯別使用量と生活の変化 |
| 使用量は同じで金額が高い | 単価、燃料費・原料費調整、賦課金、支援の終了 | 請求明細の単価と調整額 |
| 基本料金が変わった | 契約容量、プラン、割引条件の変更 | 契約名称と供給条件 |
| 理由が思い当たらないほど急増した | 給湯設定、機器の不具合、漏水、契約変更、検針期間 | 過去の使用履歴、機器、契約先への問い合わせ |
「高いから節約する」ではなく、「使用量」「単価」「契約」「機器」のどこが動いたのかを探します。
電気料金の明細では、四つの欄を見ます
一般的な電気料金は、契約容量などに応じた基本料金、使用量に応じた電力量料金、燃料価格の変動を反映する燃料費調整額、使用量に応じた再生可能エネルギー発電促進賦課金などで構成されます。料金の名称や計算方法は契約プランによって異なります。
| 明細の項目 | 意味 | 見直し方 |
|---|---|---|
| 基本料金・最低料金 | 契約容量や契約種別などで決まる部分 | 容量が生活に対して過大でないかを見る |
| 電力量料金 | 使用したkWhに応じる部分 | 使用量と段階・時間帯別単価を見る |
| 燃料費調整額等 | 燃料価格などの変動を反映する部分 | 前年同月の単価と比較する |
| 再エネ賦課金 | 使用量に応じて加算される部分 | 使用量を減らすと連動して減る |
契約先によっては、時間帯別、市場価格連動型、基本料金なし、通信やガスとのセットなど、料金の仕組みが異なります。
特に自由料金では、燃料費等の調整方法や上限の有無、市場価格の反映方法がプランごとに違います。単価だけでなく、値上がり時の計算方法まで読んでください。
ガス代は、都市ガスかLPガスかで見る場所が変わります
都市ガスでは、基本料金と使用量に応じた従量料金に加え、原料価格の変動を反映する原料費調整が行われる料金体系があります。原料の貿易統計価格などを基に、原則として毎月調整される仕組みです。
LPガスは販売事業者や地域、物件によって料金が異なります。
| ガスの種類 | 明細で見る項目 | 見直すときの注意 |
|---|---|---|
| 都市ガス | 基本料金、使用量、単位料金、原料費調整 | 前年同月の使用量と単価を比較する |
| LPガス・プロパンガス | 基本料金、従量料金、設備料金、調整額 | 戸建てか賃貸かで会社変更の可否が異なる |
LPガス料金は、2025年4月から請求内訳を「基本料金」「従量料金」「設備料金」に分けて通知する三部料金制が全面施行されています。賃貸住宅では、一定の設備費用をガス料金へ計上することが原則禁止されるなど、料金透明化のための制度改正も行われています。
賃貸集合住宅では、入居者が自分だけの判断でLPガス会社を変更できないことがあります。
会社変更を勧めるサービスへ申し込む前に、現在の料金表をガス会社へ求め、大家や管理会社へ変更できる契約かを聞いてください。
使用量が増えたときは、「誰が使ったか」より生活の変化を探します
電気使用量が増えやすい変化
- 在宅勤務や退職で、家にいる時間が増えた
- 猛暑・厳寒で冷暖房の使用時間が延びた
- 家族が帰省・同居し、部屋ごとの冷暖房が増えた
- 衣類乾燥機、食器洗い乾燥機、除湿機を使い始めた
- 電気温水器やエコキュートの設定・沸き上げ量が変わった
- 冷蔵庫やエアコンの効きが悪くなった
- ペットや高齢家族のため、一日中空調を使うようになった
ガス使用量が増えやすい変化
- 冬になり、水道水の温度が下がった
- 浴槽へお湯をためる回数が増えた
- 家族の入浴時間が離れ、追いだきが増えた
- シャワーの使用時間が長くなった
- 床暖房やガスファンヒーターを使い始めた
- 家族人数や在宅時間が増えた
夫婦のどちらが使いすぎたかを追及するより、「昨年と違う生活は何か」を書く方が原因へ近づけます。
冷暖房を切る前に、健康を守る線を決めます
暑い日に電気代を気にしてエアコンを我慢すると、室内でも熱中症になるおそれがあります。厚生労働省は、気温や湿度が高い日は無理な節電をせず、エアコンや扇風機を適切に使うよう案内しています。
冬も、寒さを我慢し続ければよいわけではありません。厚生労働省の健康情報では、冬の室温は18℃以上が推奨され、低い室温は血圧や睡眠などへ悪影響を及ぼす可能性が示されています。特に高齢者や持病のある方は注意が必要です。
冷暖房を使わないことを目標にせず、同じ室温を少ないエネルギーで保つ方法を先に選びます。
電気代は、温度を極端に変えず効率を上げます
冷房時に試したいこと
- 日中はカーテン、すだれなどで日差しを遮る
- 扇風機やサーキュレーターを併用する
- ドアや窓の開閉を減らす
- エアコンのフィルターを定期的に掃除する
- 室外機の吹き出し口を物でふさがない
- 使っていない部屋まで冷やさない
暖房時に試したいこと
- 床まで届く厚手のカーテンを使う
- 窓やドアの隙間から冷気が入っていないか見る
- 暖かい空気を扇風機などで循環させる
- 電気カーペットやこたつは使う面・場所を絞る
- 就寝や外出に合わせてタイマーを使う
資源エネルギー庁も、カーテンによる日射・冷気対策、扇風機の併用、フィルター清掃、室外機の周囲を空けることなどを、無理のない省エネ方法として案内しています。効果は機器、住宅、地域、使い方により異なります。
ガス代は、給湯の回数と保温時間を見ます
ガス代が高い家庭では、調理より給湯の使い方が影響している場合があります。
生活を崩しにくい見直し
- 家族の入浴時間をできる範囲で近づける
- 浴槽にふたをし、冷めにくくする
- 追いだきの回数を記録する
- シャワーを出したままにする時間を短くする
- 必要以上に高い給湯温度になっていないか見る
- 給湯器の自動保温時間を確認する
入浴の間隔を空けないこと、浴槽へふたをすること、シャワーを流したままにしないことは、資源エネルギー庁が示す給湯の省エネ方法にも含まれます。
ただし、高齢者や体調に不安がある方へ、短時間の入浴や低すぎる温度を無理に求めないでください。
古い家電を、光熱費だけを理由に一度に買い替えない
電気代が高いと、「古いエアコンや冷蔵庫をすべて替えれば安くなる」と考えたくなります。
しかし、買替え費用を電気代の差だけで回収するには時間がかかることがあります。
| 買替えを考えやすい状態 | 急がなくてもよい状態 |
|---|---|
| 故障や異音がある | 問題なく動き、使用時間も短い |
| 冷暖房の効きが明らかに悪い | フィルター清掃や設定見直しをしていない |
| 生活に対して容量が合っていない | 電気代だけを理由にローンで購入する |
| 修理費が高く、部品も入手しにくい | 複数台を同時に買い替えようとしている |
まず機種、製造年、使用時間、部屋の広さを調べ、現在の機器を効率よく使う方法と買替え後の差を比べます。
契約を替える前に、12か月分の総額で比べます
「基本料金ゼロ」「セットで割引」という言葉だけでは、本当に安くなるか判断できません。
比較表へ入れる項目
| 比較すること | 現在の契約 | 検討中の契約 |
|---|---|---|
| 基本料金・最低料金 | ||
| 使用量ごとの単価 | ||
| 燃料費・原料費の調整方法 | ||
| 市場価格連動の有無 | ||
| セット割引の条件 | ||
| 契約期間・解約金 | ||
| 支払方法・紙明細の費用 | ||
| 前年12か月の使用量での試算 |
夏だけ、冬だけの使用量で比べると、年間では高くなるプランを選ぶ可能性があります。
電気やガスの切替えについては、勧誘内容をよく理解しないまま契約した、前の契約の違約金を知らなかった、希望した会社とは別の会社から請求されたといった相談も寄せられています。契約先、料金計算、解約条件を書面で確かめ、その場で即決しないでください。
2026年夏は、電気・都市ガス料金への支援があります
2026年7月・8月・9月の使用分について、国による電気・都市ガス料金の支援が実施されます。
| 使用月 | 家庭向け電気・低圧 | 都市ガス |
|---|---|---|
| 2026年7月使用分 | 1kWh当たり3.5円 | 1㎥当たり14円 |
| 2026年8月使用分 | 1kWh当たり4.5円 | 1㎥当たり18円 |
| 2026年9月使用分 | 1kWh当たり3.5円 | 1㎥当たり14円 |
支援は小売事業者などを通じ、使用量に応じた値引きとして請求へ反映される予定です。利用者が値引きを受けるために、電話や訪問を通じて個別に契約する制度ではありません。
LPガスについては、同じ全国一律の都市ガス値引きとは仕組みが異なり、地方公共団体が地域の実情に応じた支援を行う場合があります。自治体や契約先の案内を確かめてください。
支援がある月でも、請求額は使用量や契約条件によって異なります。
「支援対象だから何もしなくてよい」ではなく、値引き前の使用量と単価も見ておくと、支援終了後の家計を考えやすくなります。
配偶者とは、「誰がつけっぱなしにしたか」ではなく一つだけ変えます
避けたい言い方
「あなたがエアコンを使いすぎるから高い」
「お風呂が長すぎる。来月からシャワーだけにして」
「電気代が高いから、昼間は冷房を切って」
話しやすい言い方
「前年同月より電気使用量が80kWh増えている。夜間と昼間のどちらが増えたか、一緒に見てみない?」
「ガスは追いだきの回数が増えていそうだから、今週だけ入浴時間を近づけて使用量を見たい」
「体調を崩すほど冷暖房を減らすのではなく、まずカーテンとフィルター掃除を試そう」
一度に十個のルールを作ると続きません。
「今月は追いだきを一回減らす」「使っていない部屋の暖房を切る」など、一つだけ決めます。
高齢の親が冷暖房を我慢している場合は、金額より室温を見ます
離れて暮らす親へ電話すると、「電気代が高いから、今日はエアコンをつけていない」と言われることがあります。
その場で「つけなさい」と叱るだけでは、親は隠れて我慢するかもしれません。
家族が一緒に見られること
- 室温計を見やすい場所へ置く
- 昨年同月の使用量と比べる
- 契約先のアプリや明細を一緒に見る
- 国や自治体の支援が反映されているかを見る
- エアコンのフィルターと室外機周辺を確認する
- 契約変更の勧誘を受けていないか聞く
- 支払いが難しいなら、期限前に契約先へ連絡する
親への声のかけ方
「使いすぎを責めたいのではなく、暑い日に冷房を切っていないかが心配なんだ」
「請求額だけでなく、去年と使用量がどのくらい違うか一緒に見よう」
「契約を替える前に、今のプランと解約金を確認してから考えよう」
高齢の親が電話や訪問で契約変更を勧められ、内容を理解しないまま切り替えている場合は、書面を見せてもらいます。契約トラブルは消費者ホットライン188や、電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口へつなげられます。
支払いが厳しいときは、冷暖房を止める前に連絡します
請求書を払えない可能性があるときは、期限を過ぎるまで放置せず、契約している電力・ガス会社へ連絡してください。
支払日の扱い、利用できる支払方法、分割等への対応は事業者や状況によって異なります。
電話する前に用意するもの
- 契約者名とお客さま番号
- 請求額と支払期限
- 現在支払える金額
- 次に収入が入る日
- 過去の未払いの有無
- 家賃や食費など、ほかにも不足している支出
電気代だけでなく、家賃、食費、税金なども足りない状態なら、光熱費の節約だけでは生活を立て直せません。
生活困窮者自立支援制度では、地域の相談窓口で、仕事、住まい、家計などの困りごとを受け付けています。家計改善支援では、収支の見える化や支援計画の作成、関係機関へのつなぎなどが行われます。
公的窓口へ伝える言葉
「電気代とガス代が上がり、家賃を払うと食費が残りません」
「収入が減り、今月の光熱費を期限までに払えない可能性があります」
「冷暖房を控えて体調が心配です。家計全体を見てほしいです」
光熱費の相談だけでは大げさだと思わず、毎月の収入と支払いを一緒に持っていってください。
今日するのは、冷暖房の設定を変えることではありません
今日は、直近の請求書と前年同月の請求書を用意します。
次の五つだけを書いてください。
| 今日書くこと | 今月 | 前年同月 |
|---|---|---|
| 電気使用量 | kWh | kWh |
| 電気料金 | 円 | 円 |
| ガス使用量 | ㎥ | ㎥ |
| ガス料金 | 円 | 円 |
| 契約プラン名 |
使用量が増えていたら、在宅時間、冷暖房、給湯、家族人数の変化を一つ書きます。
使用量が同じなのに高ければ、燃料費・原料費の調整、単価、契約プラン、支援の有無を見ます。
原因が分かったら、今月変えることを一つだけ決めてください。
フィルターを掃除する。
入浴時間を近づける。
使っていない部屋の暖房を止める。
契約先へ料金計算を聞く。
どれか一つで構いません。
電気代・ガス代が上がったことは、家族の誰かがだらしなかった証拠ではありません。
気温、単価、契約、生活人数、設備など、複数の要因が重なります。
冷暖房や入浴を我慢する前に、使用量と単価を分けて見る。
今日二つの請求書を並べられれば、「何となく高くて怖い」という状態から、「どこを一つ変えるか」を選べる状態へ進めます。
出典・確認先メモ
- 資源エネルギー庁「月々の電気料金の内訳」「料金の仕組みと料金メニュー例」:基本料金、電力量料金、燃料費調整、再エネ賦課金に関する確認先。
- 資源エネルギー庁「ガスの原料費調整制度について」:都市ガス料金へ原料価格の変動を反映する仕組みの確認先。
- 資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」:冷暖房、給湯、家電の省エネ方法に関する確認先。
- 厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」「室温と高血圧、睡眠の関係」:暑さ・寒さを我慢しすぎない室温管理に関する確認先。
- 経済産業省・資源エネルギー庁「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援」:2026年夏の電気・都市ガス料金の値引きに関する確認先。
- 資源エネルギー庁「賃貸住宅のLPガス料金」:LPガスの三部料金制と賃貸住宅の料金透明化に関する確認先。
- 消費者庁・電力・ガス取引監視等委員会「電気・ガスの契約トラブルなどに気をつけましょう」:契約変更、違約金、勧誘、相談窓口に関する確認先。
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」:家計改善、仕事、住まいなど生活全般の相談に関する確認先。


















