電話は月に一度も鳴らないのに、請求額だけは毎月変わらない
固定電話を使うのは、離れて暮らす親から連絡が来るときくらい。
こちらから電話をかけるときはスマートフォンを使い、FAXも何年も動かしていません。それでも、インターネットやテレビの料金と一緒に、毎月まとまった額が引き落とされています。
「固定電話をやめれば、かなり安くなるのではないか」
「でも、昔からの番号をなくして後悔しないだろうか」
「電話を解約したら、インターネットまで使えなくならないか」
「停電や災害のときは、固定電話があった方が安心ではないか」
請求書を見ても、サービス名がいくつも並び、どれが電話代なのか分かりにくいことがあります。
固定電話を残すかどうかは、電話機を使った回数だけでは決められません。
最初にするのは解約の申し込みではなく、毎月払っているものを、電話、インターネット、機器、付加サービスに分けることです。
「固定電話代」と思っている金額には、別の契約が混ざっています
通信費の請求には、次のような項目がまとまっている場合があります。
| 請求項目 | 内容の例 | 見直すときのポイント |
|---|---|---|
| 電話回線の基本料金 | 加入電話、ひかり電話、ケーブル電話など | どの種類の電話かを確かめる |
| 通話料 | 固定電話、携帯電話、国際電話への発信 | 実際に月何回使っているかを見る |
| インターネット回線 | 光回線など | 電話だけ解約した後の料金を聞く |
| 接続事業者の料金 | プロバイダー料金など | 回線料金と別請求になっていないかを見る |
| 機器の料金 | ルーター、ホームゲートウェイなどのレンタル | 解約時に返却が必要か聞く |
| 付加サービス | 番号表示、転送、迷惑電話対策、サポートなど | 今も使っている機能かを一つずつ見る |
| テレビ・動画など | 専門チャンネル、映像サービス | 電話とは別に解約できるか聞く |
電話をほとんど使っていなくても、ネット回線や機器、使っていないオプションが料金の中心になっていることがあります。
反対に、電話を外すことでセット割引がなくなり、インターネット料金が上がる場合もあります。
「固定電話を解約したらいくら安くなるか」は、現在の請求額から電話らしい項目を引くだけでは分かりません。
請求書を二か月分並べ、五つの印を付けます
一か月分だけでは、一時的な通話料や工事費が混ざっていることがあります。
紙の請求書、会員ページ、クレジットカードの明細などから、直近二か月分を用意してください。
| 印 | 付ける項目 | 見ること |
|---|---|---|
| 丸 | 電話の基本料金 | 契約している電話の種類 |
| 三角 | 通話料 | 月に何回、誰へかけているか |
| 四角 | インターネット料金 | 電話とセットになっているか |
| 星 | 機器・オプション | 名前を見ても用途が分からないもの |
| 線 | 解約・変更できそうな項目 | 外した後の合計額を事業者へ聞く |
請求元が二社以上ある場合もあります。
通帳には通信会社の名前、カード明細には別のサービス名があるなら、同じ回線に関する支払いかどうかも見てください。
電話機の形ではなく、契約している回線の種類を知ります
見た目は同じ固定電話でも、回線の仕組みは一つではありません。
- 従来からある加入電話
- 光回線と組み合わせて使うひかり電話
- ケーブルテレビ会社などが提供する固定電話
- 携帯電話網を利用する固定電話サービス
自宅の電話機だけを見ても、どの契約か判断できないことがあります。
請求書や契約書で分からなければ、契約先へ次のように聞きます。
「現在使っている固定電話の正式なサービス名と、電話だけの月額料金を教えてください」
2024年に行われた固定電話のIP網への設備移行では、利用者側の手続きや工事は原則不要で、電話番号や電話機も引き続き利用できると案内されました。設備が切り替わったことと、利用者が別会社の光回線へ急いで変更しなければならないことは同じではありません。
固定電話を残す理由は、「何となく安心」から具体的な用途へ変えます
| 固定電話を使う場面 | 解約前に考えること |
|---|---|
| 高齢の親や親戚から電話が来る | 携帯番号へ変更を伝えられるか |
| 病院や介護事業所へ登録している | 緊急連絡先を変更できるか |
| FAXを使う | 今後も必要か、別の方法へ変えられるか |
| 防犯・見守り・緊急通報機器をつないでいる | 別回線でも動くか、機器の提供会社へ聞く |
| 仕事や地域活動の連絡先にしている | 番号変更を知らせる相手と書類を洗い出す |
| 家族がスマートフォンを使えない | 固定電話を外した後の連絡方法を練習する |
| 着信も発信もほとんどない | オプション削減、休止、解約を比べる |
「災害時に必要だから残す」という理由も、もう一段具体的にします。
停電時に使えるか、携帯電話の電波は自宅で入るか、家族が充電器やモバイルバッテリーを扱えるかまで見てください。
ひかり電話は、停電中に緊急通報もできない場合があります
光回線を使うひかり電話は、通常時には110番や119番などへ発信できます。
一方、停電すると回線終端装置や電話用機器が動かず、緊急通報を含めて通話できません。無停電電源装置を用意することで、一定時間使える場合があります。
また、高齢者向けの非常通報装置などは、ひかり電話へ接続できない場合もあるため、機器の提供元への確認が必要です。
固定電話を防災目的で残すなら、回線名だけで判断せず、実際に停電したときの動きを考えます。
- 携帯電話を枕元へ置けるか
- 自宅の中で携帯電話の電波が入るか
- 充電用の電池やモバイルバッテリーがあるか
- 110番・119番をかける操作ができるか
- 見守り機器や非常ボタンがどの回線を使っているか
固定電話を残していても、停電時に必ず使えるとは限りません。
料金を下げる方法は、解約だけではありません
| 選択肢 | 向いている状態 | 注意点 |
|---|---|---|
| 不要なオプションだけ外す | 番号と電話は残したい | 迷惑電話対策など必要な機能まで外さない |
| 通話プランを変える | 通話回数が少ない、または特定の相手だけ | 月額と通話料の合計で比べる |
| 電話サービスを変更する | ネットを使っており、番号を残したい | 番号継続、工事費、停電時の利用を聞く |
| 加入電話を利用休止する | 将来、電話回線を再利用する可能性がある | 対象回線、手数料、期間、再開時の番号変更を確かめる |
| 固定電話を解約する | 用途がなく、携帯電話で代替できる | ネット料金、番号、機器返却、登録先の変更を見る |
加入電話など一部の回線には「利用休止」という手続きがありますが、すべての電話サービスで使えるわけではありません。
NTT西日本の案内では、加入電話などの利用休止は最大10年間で、5年ごとの更新が必要です。また、再開時には電話番号が変わります。「今の番号を保管しておく制度」とは限らない点に注意してください。
電話だけを解約する前に、ネットと機器がどうなるか聞きます
電話とインターネットがセットの場合は、電話の解約後に次のことが起こる可能性があります。
- 電話とのセット割引がなくなる
- インターネットの月額料金が変わる
- 現在のルーターやホームゲートウェイを交換・返却する
- 工事費や事務手数料がかかる
- 電話番号を失い、後から元へ戻せない
- FAXや警備・見守り機器が使えなくなる
契約先には、電話だけの金額ではなく、変更前後の請求総額を出してもらいます。
「固定電話を解約した場合、インターネットを含む毎月の支払総額はいくらになりますか」
「解約月にかかる費用と、返却する機器を教えてください」
「今の電話番号を残す方法があるか、残せない場合はいつ使えなくなるかを教えてください」
答えを聞いたその場で申し込まず、金額と条件を紙へ書きます。
営業電話の「固定電話が使えなくなる」は、その場で信じない
「古い電話回線が廃止される」
「今すぐ光回線へ変更しないと電話が止まる」
「契約を切り替えれば、通信費が必ず安くなる」
このような電話が突然かかってくることがあります。
NTT東日本は、メタル設備の老朽化などを踏まえ、2035年頃までに光回線やモバイル回線を使うサービスへ段階的に移行する方針を示しています。ただし、知らない事業者からの電話だけで、当日中に契約を変更する必要があるという意味ではありません。
国民生活センターには、現在の契約先を装われた、使えなくなると言われた、安くなるはずが不要なオプションで高くなったといった光回線の電話勧誘相談が寄せられています。2026年7月にも、電話が来た日に契約せず、事業者名・サービス名・月額料金・契約期間・解約料を書面で確かめるよう注意喚起されています。
営業電話には、次のように答えて構いません。
「今日は契約しません。事業者名、サービス名、毎月の総額、工事費、解約条件を書面で送ってください。現在の契約先へ自分で確認します」
電話で聞くことを一枚にしてから、契約先へ連絡します
| 質問 | 回答を書く欄 |
|---|---|
| 現在の固定電話の正式なサービス名は何か | |
| 電話に関する月額料金はいくらか | |
| 使っている付加サービスは何か | |
| オプションだけ外した後の総額はいくらか | |
| 電話を解約した後のネットを含む総額はいくらか | |
| 解約・変更時に一度だけかかる費用はあるか | |
| 返却する機器はあるか | |
| 今の番号を残せるか | |
| 変更が実施される日はいつか |
問い合わせの最後には、次のように念を押します。
「今日は説明を聞くだけで、変更の申し込みはしません。回答を家族と比べてから、必要なら改めて連絡します」
書面を受け取らないまま新しい光回線を契約してしまった場合、通信サービスには契約書面を受け取ってから8日以内に利用できる初期契約解除制度が適用されることがあります。ただし、回線以外の機器などは対象外になる場合があります。
夫婦や親子では、「使っていないでしょう」だけで解約を決めない
家族から見ると、固定電話は不要に思えることがあります。
しかし、本人にとっては、長年使ってきた番号がなくなることや、スマートフォンだけになることが心細い場合があります。
| 避けたい言い方 | 代わりに聞くこと |
|---|---|
| 「誰もかけてこないから、もう解約するよ」 | 「この番号がなくなると困る相手はいる?」 |
| 「スマホがあれば十分でしょう」 | 「停電や緊急時に、スマホで電話できそう?」 |
| 「高いプランにだまされている」 | 「分からない項目を一緒に契約先へ聞こう」 |
| 「今日中に安い会社へ変えよう」 | 「今の契約と変更後の総額を紙で比べよう」 |
高齢の親の契約を見直す場合も、家族が電話番号や暗証情報を勝手に変更せず、本人の希望を聞きながら進めます。
今日するのは、固定電話を解約することではありません
通信費を見直したいと思っても、いきなり電話機のコードを抜く必要はありません。
今日は、請求書を一枚だけ開き、次の四つを書いてください。
- 固定電話の正式なサービス名:
- 電話に関係していそうな月額:
- 過去二か月の発信回数:
- 番号がなくなると困る相手・機器:
たとえば、次のようになります。
「ひかり電話らしいが正式名は不明。電話とオプションで月額約1,000円。発信は二か月で一回。親と病院がこの番号を知っている。見守り機器は使っていない」
ここまで分かれば、契約先へ聞く内容が見えてきます。
固定電話を残すことも、解約することも、どちらが正しいとは決まっていません。
月に一度も使わなくても、家族が安心して連絡できるなら、不要なオプションだけ外して残す方法があります。
代わりの連絡手段があり、番号や機器にも役割がないなら、解約して毎月の固定費を減らす方法があります。
大事なのは、「高いから何となく乗り換える」のではなく、今払っているものと、変更後に失うものを同じ紙で比べることです。
まず明日は、請求書に書かれた現在の契約先へ、「電話だけを外した場合の支払総額を教えてください」と聞いてみてください。
出典・確認先メモ
- NTT東日本「固定電話のIP網移行」:2024年の設備移行と、利用者側の手続き・電話番号・電話機への影響。
- NTT東日本「加入電話から光・モバイル回線を用いたサービスへの移行」:2035年頃までの段階的な設備移行方針。
- NTT東日本「ひかり電話」:緊急通報、停電時の利用、非常通報装置に関する注意。
- NTT西日本「電話サービスの解約・利用休止・一時中断」:利用休止の対象、期間、再開時の電話番号。
- 国民生活センター「光回線の電話勧誘トラブル」:事業者名、契約条件、オプション、解約条件を確かめる際の注意。


















