通知を見た瞬間に苦しくなるのは、固定資産税だけの問題ではないかもしれません
固定資産税の納税通知書が届いた。
封筒を開ける前から、なんとなく重い気持ちになる。家を持っている以上、払うものだと分かっている。でも、今年は収入が減った。医療費や介護費が増えた。物価も上がって、貯金を崩しても足りない。
「この家を持っているのに、税金が払えないなんて情けない」
「実家を相続したけれど、住んでもいない家の税金が重い」
「親の家の固定資産税を、なぜ自分だけが払っているのだろう」
「督促が来たらどうなるのか怖い」
「役所に相談しても、払ってくださいと言われるだけでは」
固定資産税が払えない不安は、単に「税金が高い」という話ではありません。
住まいを守りたい気持ち、家計の限界、相続した実家への負担、家族との分担、売るか残すかの迷いまで重なっていることがあります。
ただ、通知を見ないまま置いておくと、状況は整理しにくくなります。
まずは、払えるかどうかを決める前に、通知の中身を「事実」として分けて見ていきましょう。
最初に見るのは、金額よりも「期別」と「納期限」です
固定資産税の通知を見ると、まず合計額に目が行きます。
でも、合計額だけを見ると、不安が大きくなりすぎます。
固定資産税は、自治体によって納期が分かれていることが多いため、まず「いつまでに、どの期別を、いくら払うのか」を見ます。
| 通知で見る場所 | 確認すること | 理由 |
|---|---|---|
| 納税義務者 | 誰の名前で通知が来ているか | 本人が相談するのか、家族が代理で動くのか変わるため |
| 固定資産の所在地 | 自宅、実家、空き家、土地など | どの不動産の税金か確認するため |
| 年税額 | 1年分の合計額 | 家計全体への負担を見るため |
| 期別ごとの金額 | 第1期、第2期など各回の金額 | 今すぐ払う必要がある金額を分けるため |
| 納期限 | いつまでに払う必要があるか | 相談や支払いの優先順位を決めるため |
| 問い合わせ先 | 市区町村の税務課、納税課、収納課など | 分割や猶予を相談する窓口になるため |
「今年全部でいくらか」だけでなく、「今月いくら必要か」に分けると、相談の言葉が作りやすくなります。
たとえば、こうです。
「年税額は払えそうにないが、第1期だけなら一部払える」
「第1期の納期限が近いが、給料日まで待たないと払えない」
「実家の分と自宅の分が重なっている」
このように、困っている場所が具体的になるほど、窓口でも話しやすくなります。
払えないと分かったら、納期限の前に納税担当へ連絡します
固定資産税が払えないとき、いちばん避けたいのは、通知を見ないまま放置することです。
役所に電話するのは気が重いと思います。
「怒られるのでは」
「どうせ払うしかないと言われるのでは」
「家を持っているなら払えるでしょうと思われそう」
そう感じるかもしれません。
それでも、納期限前に相談する方が、事情を伝えやすくなります。
| 状況 | 相談で伝えること | 聞きたいこと |
|---|---|---|
| 今すぐ全額は払えない | 手元資金、次の入金日、一部なら払える金額 | 分割納付や納付計画を相談できるか |
| 収入が減った | 退職、休職、売上減、年金生活など | 猶予制度や生活相談につながるか |
| 医療費・介護費が増えた | 家族の病気、入院、介護費用の増加 | 徴収猶予などの対象になり得るか |
| 相続した実家の税金が重い | 誰が相続したか、誰が払っているか、家族の分担 | 納税義務者、共有者、今後の相談先 |
| 空き家で収入を生まない | 住んでいない、売却予定、管理費もかかる | 今後の納税計画や空き家相談先 |
東京都主税局は、納税が困難で一定の要件に該当する場合、申請により「徴収猶予」または「換価の猶予」という納税の猶予制度を利用できる場合があると案内しています。納税通知書等を準備し、早めに所管の窓口へ連絡するよう示されています。
固定資産税は地方税なので、実際の相談先は市区町村の税務課・納税課・収納課などです。
通知に書かれている問い合わせ先へ、「支払いが難しいので、納付方法を相談したい」と伝えてください。
役所へ電話するときは、事情を長く話すより数字を用意します
相談の電話では、うまく説明しようとしなくて大丈夫です。
むしろ、感情だけを話そうとすると、何から伝えればよいか分からなくなります。
電話の前に、次のメモを作っておきましょう。
| メモすること | 書き方の例 | 役立つ理由 |
|---|---|---|
| 通知番号・整理番号 | 通知書に書かれた番号 | 窓口が内容を確認しやすくなる |
| 納税義務者名 | 通知に書かれている名前 | 本人確認や代理相談の確認に必要 |
| 納期限 | 第1期:○月○日 | 急ぎ度が分かる |
| 払えない金額 | 第1期○円、年税額○円 | 相談対象を具体化できる |
| 今払える金額 | 今月は○円までなら可能 | 分割相談の材料になる |
| 次に入金できる日 | 年金支給日、給料日、売上入金日など | 納付計画を考えやすくなる |
| 払えない理由 | 収入減、医療費、失業、介護、相続した空き家など | 猶予や生活相談の判断材料になる |
電話では、次のように短く伝えれば十分です。
「固定資産税の納税通知書が届きましたが、納期限までに全額を払うのが難しい状況です。分割や猶予など、相談できる方法があるか確認したくてお電話しました。」
もし家族が代わりに電話する場合は、本人確認や委任が必要になることがあります。
まず「家族ですが、本人の代わりに相談できる範囲を教えてください」と聞くと進めやすくなります。
分割納付と猶予は、同じ意味ではありません
固定資産税が払えないとき、「分割にしてもらえないか」と考える人は多いと思います。
ただし、分割納付と猶予は同じではありません。
自治体によって呼び方や扱いは異なりますが、相談するときは次のように分けて考えると整理しやすくなります。
| 言葉 | 大まかな意味 | 相談時の注意点 |
|---|---|---|
| 分割納付の相談 | 一度に払えない税額を、複数回に分けて納付する相談 | 自治体の判断や納付計画による。延滞金が発生する場合がある |
| 徴収猶予 | 災害、病気、事業の損失などで一時に納税が困難な場合に、徴収を猶予する制度 | 申請や要件確認が必要。自治体により手続きが異なる |
| 換価の猶予 | 納税により生活や事業継続が困難になるおそれがある場合などに、財産の換価を猶予する制度 | 申請期限や書類がある。滞納を放置することとは違う |
| 減免 | 災害など特定の事情で税額の軽減や免除を受けられる場合がある制度 | 対象要件は自治体ごとに異なる。早めの確認が必要 |
東京都主税局の案内では、徴収猶予・換価の猶予はいずれも一定の要件があり、猶予期間、延滞金、担保、申請書類、申請期限などが示されています。たとえば換価の猶予は、都税を一時に納税することで生活の維持や事業継続を困難にするおそれがある方が対象とされています。
あなたの自治体で同じ扱いになるとは限りません。
ただ、「払えないから放置」ではなく、「分割」「猶予」「減免の対象可能性」を言葉として知っておくと、窓口で質問しやすくなります。
督促状が来ても、そこで終わりではありません
すでに督促状が届いている場合、怖くて見たくないと思います。
でも、督促状が来た後でも、連絡しないまま放置しないことが大切です。
固定資産税を納期限までに納めない場合、地方税法では督促や滞納処分に関する規定があります。e-Gov法令検索では、地方税法の法令情報を確認できます。
ただし、具体的な督促、延滞金、差押えまでの流れは自治体や状況によって異なります。
| 届いているもの | 今やること | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 納税通知書 | 納期限と期別を確認し、払えないなら相談する | 封筒を開けずに置いておく |
| 督促状 | すぐに担当課へ連絡し、納付方法を相談する | 「もう遅い」と決めつける |
| 催告書 | 未納額、期限、連絡先を確認する | 家族にも隠して放置する |
| 差押予告に近い通知 | 至急、担当窓口へ連絡する | 借金で急いで埋める前に相談しない |
| 複数年の滞納 | 今後の納付計画、生活状況、家計全体を相談する | 古い分から目をそらす |
督促が来たからといって、電話してはいけないわけではありません。
むしろ、そこからでも相談する方が、何もせず進むより安全です。
生活費まで足りないなら、税金だけの相談で終わらせない方がいいです
固定資産税が払えない理由が、一時的な入金遅れだけなら、納税担当との相談で整理できることがあります。
でも、食費、医療費、家賃、光熱費、ローン、介護費まで苦しいなら、固定資産税だけを分割しても生活が戻らないかもしれません。
その場合は、税金の相談と生活費の相談を分けて考えます。
| 困っていること | 相談先の例 | 話す内容 |
|---|---|---|
| 固定資産税そのものが払えない | 市区町村の納税課・収納課・税務課 | 納期限、未納額、払える金額、猶予や分割の相談 |
| 生活費が全体的に足りない | 生活困窮者自立支援制度の相談窓口 | 収入、家賃、税金、医療費、借入、家計状況 |
| 借入返済が重い | 多重債務相談、法律相談、消費生活センター | 借入先、残高、毎月返済額、滞納状況 |
| 仕事や収入が不安定 | ハローワーク、自治体の就労相談 | 収入減、就労可能時間、生活の見通し |
| 相続した家の負担が重い | 自治体の空き家相談、不動産相談、法律相談 | 所有者、共有者、維持費、売却・管理の可能性 |
厚生労働省の生活困窮者自立支援制度では、生活に困りごとや不安を抱えている場合、地域の相談窓口で相談を受け、支援員が状況に応じた支援プランを一緒に作成すると案内されています。家計改善支援や住まいに関する支援につながる場合もあります。
固定資産税が払えないことは、家計全体の限界を知らせるサインかもしれません。
税金の窓口だけで苦しさが残るなら、生活相談にもつなげてください。
実家や空き家の固定資産税を払っているなら、家の今後も一緒に考えます
固定資産税が苦しい人の中には、自分が住んでいない家の税金を払っている人もいます。
親から相続した実家。誰も住んでいない空き家。兄弟で共有している土地。売るか残すか決まらないまま、自分だけが納付書を気にしている家。
この場合、税金だけを毎年払っていても、根本の負担は減りません。
| 家の状態 | 起きやすい悩み | 考えたいこと |
|---|---|---|
| 親が住んでいる家 | 親の年金では払えず、子どもが負担している | 親の収支、子ども間の分担、今後の住まい |
| 相続した実家 | 誰も住んでいないのに税金と管理費が続く | 売却、賃貸、解体、管理、共有者との話し合い |
| 兄弟共有の不動産 | 納付書対応や支払いが一人に偏る | 共有者間の負担割合、連絡記録、今後の方針 |
| 空き家 | 税金、草木、防犯、修繕が負担になる | 自治体の空き家相談、管理方法、処分方針 |
| 売りたいが動けない家 | 荷物、相続登記、家族の反対で進まない | 不動産相談、司法書士、家族会議 |
固定資産税が毎年つらいなら、「今年どう払うか」と「この家を来年以降どうするか」を分けて考える必要があります。
今年の納付相談は市区町村の納税担当へ。
家の今後は、空き家相談、不動産会社、司法書士、税理士、法律相談など、状況に合う窓口へ確認してください。
家族に言いにくいときは、責任の話ではなく期限の話から始めます
固定資産税が払えないことを家族に言いにくい人もいます。
「家を持っているのに払えないなんて」
「またお金の話かと思われる」
「兄弟に言っても、どうせ自分が払うことになる」
「親に心配をかけたくない」
そう思って一人で抱えているうちに、納期限が近づいてしまうことがあります。
家族に話すときは、最初から責任を追及しない方が進みやすいです。
| 言いたくなる言葉 | こじれやすい理由 | 伝え直す言葉 |
|---|---|---|
| 「なんで私だけ払うの」 | 相手が責められたと感じる | 「納期限が近いので、今年の支払いをどう分けるか相談したい」 |
| 「払えないから何とかして」 | 金額や期限が分からず動きにくい | 「第1期が○円で、○日まで。今払えるのは○円です」 |
| 「実家をどうするの」 | 大きな話になりすぎる | 「今年の税金と、来年以降の家の方針を分けて話したい」 |
| 「兄弟なのに協力して」 | 感情のぶつかり合いになりやすい | 「支払い、書類確認、役所連絡のどれを担当できるか決めたい」 |
| 「もう売るしかない」 | 突然すぎて反発されやすい | 「税金と管理費が続くので、選択肢だけ一度見たい」 |
家族に見せるために、納税通知書のコピーや写真、期別の金額表を用意しておくと話しやすくなります。
感情の話だけにせず、期限と金額を一緒に置くことが大切です。
家族が代わりに調べている場合は、本人の納税通知書を一緒に見ます
この記事を、本人ではなく家族が読んでいることもあると思います。
親の家に固定資産税の通知が届いていた。高齢の親が払えていないようだ。配偶者が納付書をしまったままにしている。兄弟の誰かが通知を受け取っているのに、こちらには共有されていない。
家族としては、「早く言ってよ」「なんで払ってないの」と言いたくなるかもしれません。
でも、本人が高齢だったり、家計が苦しかったり、通知の意味を理解できていなかったりする場合、責めると余計に隠してしまうことがあります。
| 家族が言いたくなること | 本人が話しやすい言い方 | 一緒にすること |
|---|---|---|
| 「なんで放っておいたの」 | 「納期限が近いから、一緒に中身を見よう」 | 通知書を開けて期別と金額を確認する |
| 「払えないなら言って」 | 「今いくらなら払えるか、一緒に考えよう」 | 手元資金と入金予定を書く |
| 「役所に電話して」 | 「本人が電話しにくければ、相談できる範囲を私が確認するね」 | 委任や本人確認の必要性を聞く |
| 「実家をどうするつもり」 | 「今年の税金と、家の今後は分けて考えよう」 | 納付相談と不動産の方針を分ける |
| 「兄弟にも払わせよう」 | 「誰が何を負担しているか、表にして共有しよう」 | 支払履歴と今後の分担を整理する |
家族が代わりに相談する場合でも、本人確認や委任状が必要になることがあります。
窓口へ行く前に、「家族が代理で相談できる範囲」「必要な持ち物」を確認しておくと安心です。
借入で払う前に、返済まで含めて考えます
固定資産税の納期限が迫ると、カードローンやリボ払い、親族からの借金で払おうと考えることがあります。
一時的に払えれば、督促は避けられるかもしれません。
でも、翌月から返済が始まり、生活費がさらに苦しくなることもあります。
| 支払い方法 | 一時的な安心 | 注意点 |
|---|---|---|
| 手元の貯金で払う | 延滞を避けられる | 生活費や医療費が足りなくならないか見る |
| 親族に借りる | すぐ支払える場合がある | 返済時期や家族関係がこじれないようにする |
| カードローンで払う | 納期限に間に合う場合がある | 利息と返済が生活費を圧迫する可能性 |
| リボ払いで払う | 月々の支払いが小さく見える | 返済期間が長くなり、総額が増えやすい |
| 納税相談をする | 分割や猶予を相談できる可能性 | 必ず希望通りになるとは限らないが、放置より安全 |
借りて払う前に、まず納税担当へ相談してください。
税金を払うための借入が、来月以降の家計をさらに苦しくするなら、生活困窮者自立支援窓口や多重債務相談も選択肢になります。
「家を売るべきか」は、税金が払えない当日に決めなくて大丈夫です
固定資産税が払えないと、「この家を持ち続けるのは無理なのでは」と考えることがあります。
その気づきは大切です。
ただ、納期限が迫っている日に、売却や相続、解体まで一気に決めるのは負担が大きすぎます。
| 今すぐ考えること | 少し時間をかけて考えること |
|---|---|
| 今回の納期限にどう対応するか | 家を売るか、貸すか、残すか |
| 納税担当へ相談するか | 空き家管理を誰がするか |
| 一部でも払える金額はいくらか | 兄弟や共有者の負担割合 |
| 督促や延滞を避けるために何をするか | 相続登記や名義の確認 |
| 生活費が足りているか | 売却時の税金や費用 |
固定資産税が払えないことは、「この家を持ち続ける負担を見直すタイミング」ではあります。
でも、今日決めるのは、まず納付相談です。
家の今後は、家族、不動産会社、司法書士、税理士、自治体の空き家相談などを使いながら、別の時間で考えてください。
今日できる一歩は、通知書に3つ丸をつけることです
固定資産税の通知が来て払えないとき、今日すぐ解決しなくて大丈夫です。
まず、通知書に3つだけ丸をつけてください。
- 納期限
- 今払う必要がある期別の金額
- 問い合わせ先
次に、次の表を作ります。
| 項目 | 自分のメモ |
|---|---|
| 第何期の支払いか | |
| 納期限 | |
| 支払う必要がある金額 | |
| 今払える金額 | |
| 次に入金できる日 | |
| 払えない理由 | |
| 相談する窓口 | |
| 家族に共有するか |
そして、電話でこう伝えます。
「固定資産税の納付書が届きましたが、納期限までに全額を払うのが難しいです。分割や猶予など、相談できる方法があるか教えてください。」
固定資産税が払えないことは、恥ずかしいことではありません。
ただ、放置すると選択肢が狭くなることがあります。
今できることは、家を売る決断でも、借金でも、家族への謝罪でもありません。
まず通知を開ける。期限と金額を見る。担当窓口へ相談する。
そこから、今年の支払いと、来年以降の暮らしを分けて考えていきましょう。
出典・確認先メモ
- 東京都主税局「納税が困難な方に対する猶予制度について」:徴収猶予、換価の猶予、申請期限、分割納付、延滞金、必要書類の考え方を確認する参考先です。
- e-Gov法令検索「地方税法」:固定資産税を含む地方税の法令情報を確認する参考先です。
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」:生活費全体が苦しい場合の相談、家計改善支援、住居確保給付金などを確認する参考先です。


















