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高齢の親が虐待されているかもと思ったら|家族が最初に連絡する相談先

2026.07.04 更新 なやみ晴れ編集部
#お金・生活費#公的支援#相談先
この記事の結論

高齢の親御さんが虐待されているかもと思ったら、まず安全を優先してください。けがや危険がある場合は110番・119番も選択肢です。判断に迷う段階でも、地域包括支援センターや市区町村の高齢者虐待担当窓口に相談できます。

「もしかして」と思った時点で、もう一人で抱えなくて大丈夫です

親御さんの腕に見慣れないあざがある。

電話口の声がいつもより小さい。施設に面会へ行くと、職員の前では笑うのに、二人きりになると急に黙る。家の中は片づいておらず、薬も飲めていない。通帳のお金が不自然に減っている。

はっきりした証拠があるわけではない。

でも、胸の奥で「何かおかしい」と小さな警報が鳴っている。

こういうとき、多くのご家族は迷います。

「虐待なんて言葉を使っていいのだろうか」

「相手を疑って、もし違ったらどうしよう」

「親本人が『大丈夫』と言っているなら、踏み込まない方がいいのか」

「施設や親族と揉めたら、親にもっと悪い影響が出るのでは」

その迷いは自然です。親御さんを守りたい気持ちと、誰かを責めたくない気持ちが、頭の中で綱引きを始めるからです。しかもこの綱、なかなか丈夫で、夜中にも平気で引っ張ってきます。

ただ、高齢者虐待は「確実な証拠を家族がそろえてから動くもの」ではありません。

家族だけで犯人探しをする必要はありません。まずは、親御さんの安全、見たこと・聞いたことの記録、相談できる窓口を分けて考えます。

この記事は、高齢の親御さんへの虐待が心配なときに、ご家族が状況を整理するための一般的な情報です。命や身体に差し迫った危険がある場合は、地域包括支援センターや自治体への相談を待たず、110番・119番など緊急対応を優先してください。制度や窓口名は自治体により異なるため、最終的にはお住まいの市区町村で確認してください。

高齢者虐待は、殴る・蹴るだけではありません

「虐待」と聞くと、暴力を想像しやすいかもしれません。

でも、高齢者虐待には、身体的な暴力だけでなく、暴言、無視、必要な介護をしないこと、お金を勝手に使うこと、本人の意思に反する扱いなども含まれます。

東京都福祉局の高齢者虐待防止と権利擁護の情報では、主な虐待の種類として、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待、介護・世話の放棄・放任が示されています。厚生労働省も、高齢者虐待防止に関する法律や自治体向けマニュアルなどの情報を公表しています。

虐待の種類 家族が気づきやすいサイン 見落としやすい点
身体的虐待 あざ、傷、骨折、転倒の説明が毎回あいまい 「年だから転びやすい」で片づけてしまう
心理的虐待 怒鳴られる、脅される、無視される、怯えた表情がある 証拠が残りにくく、本人も言い出しにくい
介護・世話の放棄 食事不足、服薬忘れ、入浴できていない、部屋が不衛生 介護疲れや知識不足と重なり、虐待と気づきにくい
経済的虐待 年金や通帳を管理され、本人が自由に使えない 家族内のお金の話として外に出にくい
性的虐待 本人が強く嫌がる身体接触、衣類や下着の違和感 本人が恥ずかしさや恐怖で話せないことがある

大事なのは、「これは虐待だ」と家族が断定することではありません。

「親御さんの安全や尊厳が守られていないかもしれない」と感じた時点で、相談してよいということです。

今すぐ危ないかどうかで、最初の動き方は変わります

虐待かもしれないと思ったとき、最初に見るのは「誰が悪いか」ではなく、「今すぐ危険があるか」です。

緊急性が高いときに、証拠集めや家族会議を優先してしまうと、親御さんの安全が後回しになることがあります。

状況 最初にすること 相談・連絡先の目安
暴力を受けている最中、命の危険がある その場で止めようと無理をせず、安全な場所から通報する 110番
けが、意識がぼんやり、脱水、強い衰弱がある 医療につなぐことを優先する 119番、医療機関
あざや傷があるが説明が不自然 写真、日時、本人の話を記録し、早めに相談する 地域包括支援センター、市区町村
介護放棄や食事不足が疑われる 生活状況、食事、服薬、室内の様子をメモする 地域包括支援センター、ケアマネジャー、市区町村
年金や通帳を取り上げられているように見える 通帳、請求書、本人の発言を記録する 地域包括支援センター、市区町村、必要に応じて法律相談
施設での対応に違和感がある 面会時の様子、説明内容、ケア記録の有無を残す 施設相談窓口、市区町村、都道府県の担当窓口

警察庁は、事件や事故など緊急の場合は110番、緊急でない生活上の悩みごとは警察相談専用電話「#9110」や最寄りの警察署への相談を案内しています。消防庁も、消防車・救急車が必要な場合に119番通報を行うものと案内しています。

「大げさかもしれない」と思っても、命や身体の危険があるなら、大げさなくらいでちょうどよい場面があります。

地域包括支援センターと市区町村は、決めつける前の相談先です

高齢者虐待が心配なとき、まず覚えておきたい公的な相談先は、地域包括支援センターと市区町村の高齢者福祉・高齢者虐待担当窓口です。

神奈川県の高齢者虐待防止の案内では、虐待を受けている高齢者を発見した人は市町村への通報が義務づけられていること、本人も相談できること、虐待に気づいたら市町村の高齢者福祉担当課や地域包括支援センターへ相談するよう示されています。

ここで大事なのは、「虐待と確定していないと相談できない」わけではないことです。

むしろ、確定できないからこそ相談します。

相談先 向いている場面 伝えるとよいこと
地域包括支援センター 在宅の親御さんの様子が心配、介護者との関係が不安 親御さんの住所、年齢、介護状況、見たサイン
市区町村の高齢者虐待担当窓口 虐待かもしれない状況を公的に相談したい いつ、どこで、誰が、何をした・言ったか
ケアマネジャー 介護サービス利用中で、家庭内の介護負担や変化がある サービス利用状況、家族の限界、本人の変化
施設の相談窓口・苦情受付 施設内の対応に違和感がある 職員名、日時、説明内容、面会時の様子
警察 暴力、脅し、監禁、身の危険がある 今起きている危険、場所、けがの有無

市区町村や地域包括支援センターは、家族の話を聞いたうえで、必要に応じて事実確認や支援につなげます。

家族が一人で調査員になる必要はありません。

相談前に残す記録は、きれいな文章でなくてかまいません

虐待が心配なとき、記録はとても役立ちます。

ただ、日記のように丁寧に書こうとすると続きません。必要なのは、文学賞を狙う文章ではなく、あとから状況が分かるメモです。

スマホのメモでも、紙でも、写真でも大丈夫です。

記録のコツ

「たぶん虐待」「ひどい扱い」だけではなく、「6月○日、右腕に青あざ。本人は『ぶつけた』と言ったが、説明が途中で変わった」のように、見たこと・聞いたことを分けて残すと相談しやすくなります。

本人が話した内容は、できるだけ本人の言葉に近い形で残します。

ただし、親御さんに無理に聞き出したり、加害が疑われる人の前で問い詰めたりするのは避けてください。親御さんがあとで責められる可能性があります。

親本人が「大丈夫」と言っても、そこで終わりにしなくていいことがあります

高齢者虐待が難しいのは、本人が助けを求めないことがある点です。

理由はいろいろあります。

ですから、本人が「大丈夫」と言っただけで、家族がすべて安心してよいとは限りません。

ただし、本人を責める必要もありません。

言い方を少し変えるだけで、話しやすくなることがあります。

避けたい聞き方 少し話しやすい聞き方
虐待されているの? 最近、嫌な思いをすることはない?
誰にやられたの? このあざ、いつごろ気づいた?痛みはある?
本当のことを言って 話しにくかったら、今すぐ全部言わなくても大丈夫だよ
なんで黙っていたの? 言いにくかったよね。少しずつでいいから聞かせて
あの人が悪いんでしょ? まず、お母さん/お父さんが安心して過ごせているかを知りたい

問い詰めるより、逃げ道を残す。

親御さんが話せる速度に合わせながら、同時に外部の相談先へつなぐ。この両方が必要なことがあります。

介護している家族が加害者かもしれないときは、「責める」より「離す」ことを考えます

高齢者虐待は、悪意だけで起こるとは限りません。

介護疲れ、睡眠不足、孤立、認知症症状への対応の難しさ、お金の不安、兄弟姉妹の協力不足。そうしたものが積み重なり、怒鳴る、叩く、無視する、食事や薬の世話ができなくなることがあります。

だからといって、虐待が許されるわけではありません。

ただ、家族同士で「あなたが虐待している」とぶつけると、相手が防御的になり、親御さんの安全がさらに見えにくくなることがあります。

まず考えたいのは、誰が悪いかを裁くことではなく、親御さんと介護者を一度安全に離すことです。

状況 家族だけでやりがちな対応 外部につなぐ考え方
介護者が怒鳴っている 「怒鳴らないで」と注意して終わる 介護負担、認知症対応、サービス不足を地域包括へ相談する
手を上げた可能性がある 家族内で謝らせて終わる 再発防止のため、距離を置く方法や緊急保護の可能性を相談する
食事や薬の世話ができていない 本人のだらしなさとして責める 訪問介護、配食、服薬支援、ショートステイを検討する
お金を使い込んでいるように見える 親族会議で問い詰める 通帳管理、成年後見制度、法律相談の必要性を窓口で聞く
介護者本人も限界と言っている もう少し頑張ってと言う 介護者支援、レスパイト、サービス追加を急いで相談する

介護者を追い詰めると、状況が悪化することがあります。

「親を守ること」と「介護者を助けること」は、対立しない場合があります。むしろ両方を見ないと、家の中で問題がぐるぐる回り続けます。

施設やサービス事業所での虐待が心配なときは、証拠探しより記録と窓口です

施設での虐待が心配な場合、家族はとても悩みます。

「強く言ったら、親への対応が悪くなるのでは」

「施設にはお世話になっているし、疑うのは申し訳ない」

「でも、面会のたびに親の様子が変だ」

この場合も、いきなり職員を責めるより、記録を残し、窓口を分けて動きます。

横浜市の高齢者虐待防止事業の案内では、在宅における養護者からの虐待相談窓口だけでなく、在宅介護サービス事業者や介護保険施設等の従事者による虐待防止に関する担当窓口も示されています。地域によって窓口名は違いますが、施設や事業所に関する相談先も公的に用意されています。

施設内のことは家族だけでは見えにくいものです。

見えないからこそ、記録と公的窓口の力を借ります。

経済的虐待は、家族内のお金の話に見えるため遅れやすいです

高齢の親御さんのお金を、家族が管理しているケースは珍しくありません。

問題は、管理と支配の境目が見えにくいことです。

こうした場面では、いきなり親族を問い詰めるより、まず資料を集めます。

通帳、請求書、介護サービスの領収書、施設費、公共料金、本人の発言。これらをもとに、地域包括支援センターや市区町村へ相談します。

財産管理、成年後見、相続、名義変更などが絡む場合は、法的な判断が必要になることがあります。記事だけで判断せず、自治体の相談窓口、社会福祉協議会、法テラス、弁護士など、状況に応じた相談先を確認してください。

相談するときは、うまく説明できなくてもこの順番で話せば大丈夫です

窓口へ電話する前に、完璧な説明を用意しようとすると、手が止まります。

でも、相談員はきれいな報告書を求めているわけではありません。

最初の電話では、次の順番で話せれば十分です。

話す順番 伝える内容の例
1. 誰のことか 80代の母のことで相談したいです。母は一人暮らしで、兄がよく出入りしています。
2. 何が心配か 腕にあざがあり、本人が兄を怖がっているように見えます。
3. いつからか 2週間前から電話の様子が変わり、昨日面会して気づきました。
4. 今危ないか 今すぐ命の危険があるかは分かりませんが、本人が話すのを怖がっています。
5. 何をしてほしいか 虐待かどうか分からないので、今後どう動けばよいか相談したいです。

電話で言葉が詰まっても大丈夫です。

「うまく説明できません。でも、親の様子が心配です」と言ってください。その一文だけでも、相談は始められます。

今日できる一歩は、犯人探しではなく「安全の入口」を作ることです

高齢の親御さんが虐待されているかもしれない。

その疑いを持つだけでも、家族にとっては重いことです。

誰かを疑うことに罪悪感があるかもしれません。親御さんの言葉を信じたい気持ちもあると思います。家族関係を壊したくないという思いもあるでしょう。

それでも、見て見ぬふりをしてよい話ではありません。

今日できることは、次のうち一つで大丈夫です。

虐待かどうかを、あなた一人で判定しなくて大丈夫です。

あなたの役割は、親御さんの安全が見えにくくなっている状態に、小さな明かりをつけることです。

いきなり全部を解決しなくて構いません。

まずは、見たことを残す。窓口を一つ控える。危険なら緊急通報する。

その一歩は、小さく見えても、親御さんを守る入口になります。

出典・確認先メモ

よくある質問

Q. 高齢の親が虐待されているかもと思ったら、どこに相談すればいいですか?

まずは親御さんの住む地域の地域包括支援センター、または市区町村の高齢者虐待担当窓口に相談できます。けがや暴力など今すぐ危険がある場合は、110番や119番も選択肢です。虐待と確定していなくても、心配なサインがあれば相談して構いません。

Q. 証拠がない状態で高齢者虐待の相談をしてもいいですか?

証拠がそろっていなくても相談できます。家族が無理に調査したり、相手を問い詰めたりすると、親御さんの安全がかえって見えにくくなることがあります。日時、見た様子、本人の発言など、分かる範囲のメモを持って相談しましょう。

Q. 親本人が「大丈夫」と言う場合は見守るしかありませんか?

本人が家族や施設をかばったり、仕返しを恐れて話せなかったりすることがあります。「大丈夫」という言葉だけで終わらせず、あざ、表情、生活状況、お金の動きなどを見て、心配が続く場合は地域包括支援センターなどに相談してください。

Q. 介護している家族が虐待しているかもしれないとき、直接注意してもいいですか?

危険が差し迫っている場合を除き、いきなり責めると状況が悪化することがあります。介護疲れや孤立が背景にあることもあるため、地域包括支援センターや市区町村に相談し、親御さんの安全確保と介護者支援を分けて考えることが大切です。

Q. 施設で虐待されているかもしれないときは、まず施設に言うべきですか?

軽い違和感であれば、面会時の様子や説明内容を記録し、施設の相談窓口や管理者に事実ベースで確認する方法があります。ただし、けがや強い恐怖、説明の不自然さが続く場合は、市区町村や都道府県の担当窓口にも相談してください。

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