午前五時の電話が続き、「もう仕事を辞めるしかない」と思います
母親から電話が入ったのは、出勤の準備をしていた午前五時でした。
ベッドから起き上がれず、トイレへ行けないといいます。急いで実家へ向かい、着替えと朝食を手伝ってから会社へ行きました。
会議には遅れ、上司へ事情を説明すると、「今後も続くなら、働き方を考えた方がいい」と言われました。
夜は買い物と薬の仕分け。休日には病院の付き添いと掃除があります。
仕事中も、母親が転んでいないか、電話が鳴っていないかが気になり、目の前の作業に集中できません。
「私が辞めれば、急な呼び出しにおびえなくて済む」
「会社へ迷惑をかけるくらいなら、自分から退職した方がいい」
「親を施設へ入れるお金はないし、きょうだいも頼れない」
「でも、収入がなくなった後の生活も怖い」
辞めたいという気持ちは、仕事を投げ出したいからではありません。
介護、職場、家計のすべてに迷惑をかけない方法を考え続け、もう判断する力が残っていない状態なのかもしれません。
その状態で退職届を書くと、「明日会社へ行かなくてよい」という一つの苦しさだけを基準に決めてしまいます。
退職するかどうかを考える前に、今の介護を自分一人で行わなくて済む形へ変えられるかを確かめます。
親の安全が差し迫っている日は、両立の計画より先に助けを呼びます
次のような状態がある場合は、数週間先の働き方を考えるより、今日の安全を優先します。
- 転倒して立てない、強い痛みや出血がある
- 呼びかけへの反応が悪い、会話が急にかみ合わない
- 食事や水分が取れず、ぐったりしている
- 火の消し忘れや徘徊があり、一人にできない
- 介護する家族が眠れず、運転や仕事に支障が出ている
- 親へ怒鳴る、乱暴に扱いそうになるほど追い詰められている
急な体調変化があれば、かかりつけ医や救急へ連絡します。
今夜一人にできない、介護者が限界に近いという場合は、親の住む地域の地域包括支援センター、市区町村の介護保険窓口、担当ケアマネジャーへ、緊急性をそのまま伝えてください。
「仕事を続けたいので相談したい」だけでなく、「今夜から一人にできない」「介護する私が眠れていない」と具体的に話します。
退職届を出す前の一週間は、答えを出す期間ではなく材料を集める期間です
| 日 | 行うこと | 分かること |
|---|---|---|
| 1日目 | 一週間の介護内容と呼び出された時間を書く | 仕事を妨げている介護が何か |
| 2日目 | 親の地域包括支援センターへ連絡する | 介護認定、サービス、地域支援の選択肢 |
| 3日目 | 勤務先の就業規則と両立支援制度を見る | 休業、休暇、時短、残業免除等の条件 |
| 4日目 | 上司または人事へ面談を申し込む | 担当変更、勤務時間、在宅勤務等の余地 |
| 5日目 | きょうだい・配偶者と役割を分ける | 自分にしかできないことが本当にどこまであるか |
| 6日目 | 介護サービス利用後の一週間を仮に作る | 勤務を続けられる曜日と時間 |
| 7日目 | 退職した場合と続けた場合の家計を比べる | 気持ちではなく生活を含めた判断材料 |
一週間で介護の問題が解決するわけではありません。
ただし、「辞める以外に道がない」という状態から、利用できる制度と足りない支援を分けられます。
最初に、仕事を中断させている介護を一つずつ書きます
「親の介護が大変」とまとめてしまうと、会社にもケアマネジャーにも必要な支援が伝わりません。
| 行っていること | 回数・時間 | 困っている場面 |
|---|---|---|
| 朝の着替え・排泄 | 平日毎朝60分 | 始業時刻に間に合わない |
| 通院の付き添い | 月2回、半日 | 有給休暇が残らない |
| 買い物・食事の準備 | 週3回 | 帰宅が遅くなり睡眠が減る |
| 薬の管理 | 毎晩 | 電話では確認できない |
| 夜間の電話 | 週2~3回 | 翌日の運転や仕事が危険 |
| 介護サービスとの連絡 | 平日日中 | 勤務中に電話へ出なければならない |
| 書類・支払い | 月数回 | 本人が管理できなくなっている |
書き出したら、それぞれを次の三つに分けます。
- 家族でなければ難しいこと
- 介護・医療の専門職へ頼めること
- 時間や方法を変えれば家族以外でもできること
通院日の医師への説明は家族が必要でも、移動や待ち時間のすべてを家族が担う必要はないかもしれません。
食事も、毎日作りに行く以外に、配食、訪問介護、まとめ調理などを組み合わせられます。
自分にしかできない介護と、そう思い込んでいた介護を分けます
| 現在していること | 別の方法の例 |
|---|---|
| 毎朝実家へ行く | 訪問介護、デイサービスの送り出し、同居家族との分担 |
| 昼食を届ける | 配食サービス、冷凍弁当、通所サービスでの食事 |
| 一人で入浴を手伝う | 訪問入浴、通所介護での入浴 |
| 毎回病院へ付き添う | 通院支援、介護タクシー、付き添いが必要な診察だけ家族が行く |
| 夜間のトイレを介助する | 福祉用具、寝室の変更、夜間対応サービス等を検討する |
| 休日に一週間分の家事を行う | 訪問介護、家事支援、地域の生活支援を組み合わせる |
| 親を一人にしない | デイサービス、ショートステイ、見守りサービス等を検討する |
親が嫌がるから、サービスは使えないと思うこともあります。
その場合も、「家族以外に介護されたくない」と一括りにせず、何が嫌なのかを聞きます。
知らない人が家へ入ることが嫌なら通所型、集団が苦手なら訪問型、入浴介助だけ抵抗があるなら食事や掃除だけ頼むなど、範囲を小さくできます。
親の介護サービスは、親の地域包括支援センターから動かします
地域包括支援センターは、市町村が設置する高齢者の総合相談窓口です。保健・医療・介護、権利擁護、介護予防などを含めて支援し、家族からも相談できます。
父の介護と仕事を両立できず、退職を考えるほど困っています。
朝の排泄介助と夜間の呼び出しで勤務を続けにくい状況です。
介護認定の申請と、家族が仕事中に利用できるサービスを一緒に考えてください。
介護保険サービスを利用するには、原則として市区町村へ要介護・要支援認定を申請し、認定後にケアプランを作ってサービスを利用します。申請後は認定調査と主治医意見書などに基づいて判定されます。
すでに認定を受けている場合は、担当ケアマネジャーへ「家族が働き続けられる計画に変えたい」と伝えます。
介護される本人の希望だけでなく、家族が対応できる曜日と時間もケアプランの材料です。
ケアマネジャーには「平日の昼は無理」とはっきり伝えます
家族が頑張ればできることまで「できます」と答えると、家族の介護を前提にサービスが組まれます。
現在できているかではなく、半年後も続けられるかで答えてください。
- 平日の日中は勤務中で対応できない
- 毎朝の訪問は週五日続けられない
- 夜間対応が続き、睡眠が不足している
- 通院付き添いで有給休暇を使い切りそう
- 休日をすべて介護に使い、休息が取れていない
- 遠方なので、急な呼び出しに毎回対応できない
今は私が何とかしていますが、このままでは退職することになります。
私が仕事を続ける前提で、朝と平日日中の支援を増やせないか考えてください。
「仕事より親を優先しないのか」と思われるのが怖くても、できない時間を隠さないことが、介護を長く続けるために必要です。
会社には「辞めます」ではなく「続ける条件を相談したい」と伝えます
上司へ最初に退職の意向を伝えると、話が引き継ぎや退職日の調整へ進みやすくなります。
まず、人事や両立支援の窓口へ面談を申し込みます。
家族の介護により、現在の勤務のままでは継続が難しくなっています。
退職を決める前に、介護休業、介護休暇、短時間勤務、残業免除など、利用できる制度と給与への影響を確認したいです。
面談では、介護の詳しい病名をすべて説明するより、仕事に影響する時間を伝えます。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 介護が必要な家族 | 別居する母親 |
| 現在困る時間 | 朝7時から9時、月2回の通院日 |
| 急な対応 | 転倒時に呼び出される可能性がある |
| 希望する働き方 | 一時的な時差出勤、残業免除、通院日の休暇 |
| 利用したい期間 | 介護サービスが整うまでの3か月 |
| 仕事の引き継ぎ | 緊急連絡時に代わってもらう担当を決めたい |
「いつまで続くか分かりません」だけでなく、まず三か月試したいなど、見直し時期を付けると話し合いやすくなります。
介護休業は、家族一人につき通算93日を三回まで分けて使えます
介護休業は、対象家族一人につき通算93日まで、三回に分けて取得できます。対象となるのは、二週間以上にわたり常時介護を必要とする状態の家族であり、介護保険の要介護認定を受けていることだけが条件ではありません。雇用形態や契約期間、労使協定による除外などの条件は個別に確かめる必要があります。
この93日を、家族が朝から晩まで介護するためだけに使うと、復職後に同じ問題が戻ります。
厚生労働省も、介護休業を、家族が介護へ専念する期間ではなく、仕事と介護を両立できる体制を作る準備期間として活用する考え方を示しています。
| 休業中に行うこと | 目指す状態 |
|---|---|
| 要介護認定の申請・見直し | 必要なサービス量が判定される |
| ケアマネジャーとの打ち合わせ | 勤務時間中の支援が組まれる |
| サービスの見学・契約 | 訪問、通所、短期入所等を試せる |
| 家族の役割分担 | 一人だけに連絡と介護が集中しない |
| 住環境の見直し | 転倒や夜間介助を減らす |
| 会社との復職面談 | 勤務時間と緊急時の対応を決める |
雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす場合、介護休業中は、原則として休業開始時賃金日額に支給日数と67%を掛けた介護休業給付金が支給されます。実際の金額には上限があり、休業中に賃金が支払われる場合は減額されることがあります。
通院や手続きには、時間単位で使える介護休暇があります
介護休暇は、年次有給休暇とは別に、対象家族が一人なら年五日、二人以上なら年十日まで、一日または時間単位で取得できます。
通院の付き添いだけでなく、介護サービスの手続きやケアマネジャーとの打ち合わせにも利用できます。休暇中を有給とするか無給とするかは、勤務先の規定によります。
| 介護休暇を使いやすい場面 | 取り方の例 |
|---|---|
| 認定調査への同席 | 午前中の数時間 |
| ケアマネジャーとの面談 | 終業前の1~2時間 |
| 通院の付き添い | 半日または一日 |
| 退院時の説明 | 必要な時間だけ |
| サービス開始日の立ち会い | 朝の数時間 |
| 急な体調変化への対応 | 当日の残り時間 |
年次有給休暇をすべて使い切ってから介護休暇を調べるのではなく、用途を分けます。
朝と夕方が苦しいなら、短時間勤務や時差出勤を尋ねます
事業主は、対象となる労働者が介護と仕事を両立できるよう、短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、介護サービス費用の助成等のうち、一つ以上の措置を設ける必要があります。
対象家族一人につき、利用開始から連続する三年以上の期間で、二回以上利用できる制度とすることが求められています。実際に会社が採用している制度や対象条件は、就業規則で確かめてください。
| 困っている時間 | 相談する働き方 |
|---|---|
| 朝の介助で間に合わない | 始業時刻の繰下げ、フレックス |
| 夕方の食事準備が必要 | 終業時刻の繰上げ、短時間勤務 |
| 通院日が決まっている | 特定曜日の勤務短縮、介護休暇 |
| 遠距離介護で移動が必要 | 在宅勤務、出勤日の集約 |
| 夜間介護で睡眠不足 | 深夜勤務の制限、勤務時間帯の変更 |
| 急な連絡が多い | 担当業務や会議時間の一時的な調整 |
短時間勤務で給与がどの程度下がるか、賞与や社会保険、退職金へどのように反映されるかも書面で尋ねます。
残業と夜勤を減らせるだけで、退職を避けられることがあります
対象となる労働者が請求した場合、会社は所定労働時間を超える残業を免除する制度があります。また、法定時間外労働を月24時間・年150時間以内に制限する制度や、午後10時から午前5時までの深夜勤務を制限する制度もあります。対象条件、申出期限、事業運営上の例外などがあるため、勤務先へ具体的に確かめてください。
日中の仕事は続けられても、残業後に実家へ向かう生活が限界という人はいます。
退職か現状維持かではなく、まず残業のない働き方を一定期間試します。
2025年4月から、会社側の介護離職防止対応も強化されています
2025年4月から、家族の介護に直面したと申し出た労働者に対し、事業主が介護休業や両立支援制度を個別に知らせ、利用意向を確かめることが義務になりました。
介護休業等を利用しやすくするための研修、相談窓口、利用事例の提供など、雇用環境の整備も事業主に求められています。介護のためにテレワーク等を選べる措置を講じることは努力義務です。
会社から制度の説明がない場合も、「当社にはない」と言われただけで終わらせず、就業規則と法定制度を分けて見ます。
介護休業等の申出や利用を理由とした解雇、雇止め、降格などの不利益な取扱いは禁止されています。制度利用を理由に退職や非正規雇用への変更を強要された場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談できます。
上司へ話しにくいときは、希望ではなく業務への影響から伝えます
「家庭の事情で配慮してほしい」とだけ言うと、どのような対応が必要か伝わりません。
現在、母の介護で毎週火曜の午前と、平日の18時以降に対応が必要です。
このままでは遅刻と残業辞退が増えるため、三か月間、火曜の時差出勤と残業免除を利用したいです。
その間に介護サービスを整え、○月に働き方を見直したいと考えています。
会社へは、次の資料を求めます。
- 介護休業・介護休暇の申出方法
- 短時間勤務等の利用条件
- 残業・時間外労働・深夜業制限の手続き
- 休業・休暇中の給与
- 介護休業給付の申請手続き
- 賞与、昇給、退職金、社会保険への影響
- 会社独自の有給休暇や在宅勤務制度
口頭説明だけで決めず、就業規則や制度資料を持ち帰って確認します。
きょうだいには「手伝って」ではなく、作業を一つずつ渡します
「私だけが介護している」と伝えても、遠方のきょうだいから「できることがあれば言って」と返されることがあります。
何を頼めばよいか考える負担まで一人で背負わないよう、作業を分けます。
| 役割 | 頼み方の例 |
|---|---|
| 通院 | 来月の眼科だけ付き添ってほしい |
| 電話 | 月・水・金の夜に薬を飲んだか聞いてほしい |
| 手続き | 介護サービス事業所を三つ調べてほしい |
| 費用 | 配食代を月五千円ずつ分担してほしい |
| 緊急対応 | 私が出張中の連絡先になってほしい |
| ケア会議 | オンラインでケアマネジャーとの面談へ参加してほしい |
| 休息 | 月一回、土曜から日曜まで交代してほしい |
今のままだと仕事を辞めることになります。
「できることがあれば」ではなく、来月から一つ担当してほしいです。
通院、週二回の電話、配食代の負担の中から、続けられるものを選んでもらえないでしょうか。
全員が同じ時間を出す必要はありません。
近くに住む人は訪問、遠方の人は手続きや費用というように分けられます。
親が「子どもにしてほしい」と言っても、続けられる範囲を伝えます
親から「知らない人に来てほしくない」「施設には行きたくない」と言われると、家族は断れなくなります。
親の希望を聞くことと、家族がすべてを引き受けることは別です。
できるだけ家で暮らしたいという気持ちは分かっているよ。
私も手伝いたいけれど、仕事を辞めて毎日来ることはできない。
私ができるのは週二回で、それ以外は家に来てもらうサービスを一緒に選びたい。
「できない」と伝えることは、親を見捨てることではありません。
家族が倒れず、何年も支えられる介護へ変えるための境界です。
退職すれば介護の時間は増えますが、別の負担も始まります
| 退職直後に変わること | 確かめる内容 |
|---|---|
| 給与 | 毎月の手取りがなくなった後、生活費を何で賄うか |
| 賞与・退職金 | 退職時期によって金額が変わらないか |
| 健康保険 | 任意継続、国民健康保険、家族の扶養等の選択肢 |
| 年金 | 厚生年金から国民年金への変更や将来額への影響 |
| 介護費 | サービスを減らして家族が担うのか、費用は変わらないのか |
| 再就職 | いつから、どの勤務条件なら働けるか |
| 本人の老後 | 自分の生活・医療・介護に残せる資金 |
| 社会との接点 | 介護以外の時間や人間関係を保てるか |
退職後も介護が続けば、収入のない期間が想定より長くなることがあります。
介護のために退職して、すぐ働けない場合、雇用保険の基本手当が自動的に支給されるわけではありません。基本手当は、働く意思と能力があり、求職活動をしていても就職できない人を対象とする制度です。
親族の介護等により、退職後も引き続き30日以上働けない場合は、基本手当の受給期間を延長できることがあります。また、家庭事情の急変により離職を余儀なくされた場合は、特定理由離職者に該当する可能性がありますが、最終的な離職理由はハローワークが資料や事情を基に判断します。
退職届を出す前に、ハローワークへ介護の状況と退職予定日を伝え、必要になる資料を聞いておきます。
「介護サービス代が高いから辞める」の前に、失う収入と比べます
月五万円の介護サービスを追加することを、高いと感じるのは自然です。
しかし、退職によって失うものは月給だけではありません。
| 続ける場合 | 退職する場合 |
|---|---|
| 介護サービス費が増える | 給与と賞与がなくなる |
| 短時間勤務で給与が下がる場合がある | 健康保険・年金の負担方法が変わる |
| 家族以外が介護へ入る | 家族が介護する時間が増える |
| 仕事との調整が必要 | 再就職時に介護との両立条件が必要になる |
| 職場とのつながりが残る | 介護以外の居場所が減る場合がある |
たとえば、サービス追加で月五万円かかっても、退職で手取り二十五万円がなくなるなら、家計全体では違う結果になります。
サービス費だけを見ず、税・社会保険を含む退職後の手取りと、将来の年金への影響を合わせて比べます。
辞めないことを正解にしすぎる必要もありません
制度やサービスを使えば、誰でも仕事を続けられるわけではありません。
- 本人の心身がすでに働けない状態に近い
- 介護サービスを増やしても夜間対応が続く
- 職場の勤務時間や勤務地をどうしても変えられない
- 本人と家族の安全を守る緊急対応が必要
- 収入や再就職の見通しを含めて、退職の方が暮らしを保てる
- 介護以外の理由も含め、本人が働き方を変えたいと考えている
このような場合、退職や転職が現実的な選択になることがあります。
大切なのは、疲れ切った一日の終わりに勢いで辞めるのではなく、休業や時短を一度も使わないまま辞めるのでもなく、退職後の収入と介護体制を作ってから動くことです。
今すぐ退職を考えるほどつらいときは、三つの状態に分けます
| 現在の状態 | 次の行動 |
|---|---|
| 急に介護が始まり、何も整っていない | 介護休業を使い、認定・サービス・家族分担を整える |
| 日中は何とかなるが、通院や残業が難しい | 介護休暇、時差出勤、短時間勤務、残業免除を組み合わせる |
| サービスを使っても本人の心身が限界 | 休職、勤務変更、転職、退職を含め、医療と家計の両方から考える |
「辞めたい」と感じたこと自体を、弱さだと思わないでください。
それは、現在の介護の組み方では続けられないという知らせです。
変えるべきなのは、必ずしも仕事だけではありません。
今日するのは、退職届を書くことではなく二本の電話です
今日は、すべての制度を調べ切らなくて構いません。
まず、親の住所を担当する地域包括支援センターへ電話し、次のように伝えます。
家族の介護で勤務を続けられず、退職を考える状態です。
家族が仕事中に使える介護サービスと、認定申請について相談したいです。
次に、会社の人事や相談窓口へ連絡します。
介護により現在の勤務継続が難しくなっています。
退職を決める前に、利用できる介護休業、休暇、短時間勤務、残業免除と給与への影響を確認したいです。
この二本の電話をした後で、今の一週間を紙へ書き、家族以外へ渡せる介護に丸を付けてください。
仕事を辞めれば、明日の遅刻への心配は減るかもしれません。
しかし、介護そのものが一人分減るわけではなく、今度は収入と将来への心配が加わることがあります。
退職を思いとどまるためではありません。
辞める場合にも、辞めない場合にも、介護を一人で背負わない土台が必要だからです。
まずは退職届を一週間だけ伏せ、親の地域と勤務先へ、それぞれ一度助けを求めるところから始めてください。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「介護休業制度特設サイト」:介護休業、介護休暇、短時間勤務、残業・深夜業制限、2025年4月施行の改正内容。
- 厚生労働省「介護休業」:対象家族一人につき通算93日・三回、制度の目的、介護休業給付。
- 厚生労働省「介護休暇」:対象家族の人数に応じた日数、時間単位取得、給与の取扱い。
- 厚生労働省「短時間勤務等の措置」「所定外労働・時間外労働・深夜業の制限」:勤務時間を調整する制度。
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」:地域包括支援センターの役割と家族介護への相談支援。
- 介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」:要介護認定の申請、認定調査、ケアプラン、サービス利用。
- 厚生労働省・ハローワーク「基本手当」「特定理由離職者の範囲」:介護退職後の基本手当、受給期間延長、離職理由の判断。














