今月も振り込んだあと、自分の通帳を開くのが怖くなる
親の施設から届いた請求書は、今月も12万円。
親の年金だけでは足りないと言われ、足りない5万円を自分の口座から振り込む。さらに通院の付き添い、衣類、日用品、実家までの交通費もかかっています。
最初は、数か月だけのつもりだったのかもしれません。
ところが介護は終わる時期が見えにくく、気づけば自分の貯金を取り崩し、子どもの教育費や自分たち夫婦の老後資金まで気になり始めます。
「親を見捨てるようで、払えないとは言えない」
「兄弟に頼んでも、結局動くのは自分」
「親には貯金がないと言われたけれど、本当の残高は知らない」
「施設を変えたら、親がかわいそうではないか」
親のことを思う気持ちと、自分の生活を守りたい気持ちは、どちらかが間違っているわけではありません。
ただし、自分の生活費を削り、借入れまでして介護費を払い続ける形は、長くは続きません。
介護を投げ出すのではなく、誰のお金から、何に、毎月いくら払っているのかを見直す必要があります。
「親の介護に月10万円」では、減らせる場所が見えません
介護にかかるお金は、介護保険サービスの自己負担だけではありません。
施設なら食費や居住費、在宅なら配食やおむつ、家族の交通費などが加わります。全部を「介護費」とまとめると、公的制度の対象になる費用と、契約を見直せる費用が混ざってしまいます。
直近1~3か月の請求書とレシートを集め、次のように分けてください。
| 費用の種類 | 主な内容 | 先に見ること |
|---|---|---|
| 介護保険サービスの自己負担 | 訪問介護、デイサービス、ショートステイ、施設サービスなど | 負担割合、高額介護サービス費、支給限度額 |
| 施設の食費・居住費 | 食事、部屋代、滞在費 | 負担限度額認定の対象施設か、部屋の種類を変えられるか |
| 施設独自の費用 | 管理費、生活支援費、洗濯、理美容、行事、電気代 | 必須費用か、希望による追加サービスか |
| 医療費 | 診察、薬、入院、歯科、訪問診療 | 介護費と分け、高額療養費などの対象を確かめる |
| 日用品・消耗品 | おむつ、衣類、衛生用品、補聴器の電池など | 施設料金に含まれている物と重複していないか |
| 親本人の生活費 | 携帯電話、保険、家賃、税金、交際費 | 介護開始前から続く契約を見直せないか |
| 子ども側の介護関連費 | 交通費、宿泊費、付き添いで休んだ日の減収 | 親の請求とは別に記録し、兄弟間の分担に含める |
| 内容が分からない支出 | 現金手渡し、用途不明の振込、説明のない請求 | 誰が何に使ったかを確認してから次回を払う |
介護保険サービスを利用した場合、利用者は原則として費用の1割、一定以上の所得がある場合は2割または3割を負担します。施設では、このほかに食費、居住費、日常生活費などがかかります。
つまり、請求額が高い理由が、介護サービスの回数なのか、部屋代なのか、保険外の追加サービスなのかによって、取るべき対応が変わります。
現金を渡し続けるより、請求書と領収書が残る払い方に変えます
親から「今月も足りない」と言われ、その都度3万円、5万円と現金を渡している場合は、何に使われたか分からなくなりやすいものです。
援助をすぐにゼロにできなくても、次回から払い方を変えられます。
- 施設や事業所の請求書を見てから払う
- 親へ現金を渡さず、必要な請求先へ直接振り込む
- 立て替えた人は領収書を残す
- 兄弟が確認できる共有表へ金額を記録する
- 定期的な支出と一度だけの支出を分ける
親に頼まれた金額を疑うということではありません。
これからも支払いを続けられる形にするため、金額の根拠を家族で共有するということです。
施設へは、次のように聞けます。
「家族が不足分を支払っていますが、今後の継続が難しくなっています。介護保険の自己負担、食費・居住費、管理費、任意の追加費用を分けた明細をいただけますか」
子どもの貯金を出す前に、親本人のお金を一度並べます
親が「お金がない」と言っていても、本当に使えるお金がまったくないのか、毎月の年金だけでは足りないという意味なのかで状況は違います。
親本人について、次の項目を一度書き出します。
| 親本人のお金 | 確認するもの |
|---|---|
| 毎月の年金 | 年金振込通知書、通帳の入金額 |
| 預貯金 | 普通預金、定期預金、ゆうちょなど |
| 保険や共済 | 入院給付、介護給付、解約返戻金の有無 |
| 収入 | 家賃収入、企業年金、個人年金、仕送りなど |
| 資産 | 自宅、不動産、有価証券など |
| 借入れ・未払い | ローン、カード、税金、保険料、施設費 |
| 継続中の契約 | 保険、携帯電話、新聞、定期購入、会費 |
親の介護や生活に必要な費用は、まず親本人の収入・資産と利用できる制度でどこまで賄えるかを見ます。
これは、親の財産を使い切らせるという話ではありません。
親のお金を把握しないまま、子どもの教育費や老後資金だけを減らしていく状態を避けるためです。
親が金額を見せることに抵抗を示す場合は、全財産を管理したいわけではないと伝えます。
「貯金を取り上げたいわけではないよ。私も毎月の援助を続けるのが難しくなっているから、介護費が親の年金でどこまで払えるか、一緒に計算したい」
親の口座を使うときは、家族だから自由に動かせるとは考えない
親の通帳やカードを預かり、介護費を支払っている方もいるでしょう。
親本人が内容を理解し、依頼できる状態なら、銀行に正式な代理手続きや代理人カードの有無を聞く方法があります。
一方、認知症などで契約や財産管理の判断が難しくなっている場合、家族が暗証番号を使って本人になり代わるだけでは、後から入出金の説明が難しくなることがあります。
成年後見制度は、判断能力が不十分な人について、預貯金などの財産管理や、介護サービス・施設入所の契約を支援する制度です。本人の状態に応じて利用方法が異なるため、地域包括支援センター、市区町村の権利擁護窓口、家庭裁判所などで手続きを確かめます。
制度を利用するかまだ決めていなくても、次の状態があるなら、早めに地域包括支援センターへ伝えてください。
- 親が預金額や支払いを理解できなくなっている
- 同じ請求を何度も払おうとする
- 通帳や印鑑を紛失する
- 高額な契約を繰り返す
- 施設契約や申請手続きを本人が進められない
- 家族間で親のお金の使い方をめぐって対立している
子どもの援助額は、「親に必要な額」だけで決めない
親の不足が月6万円なら、自分が6万円出さなければと思ってしまうことがあります。
しかし、子どもの家計にも、守る必要がある生活があります。
次の費用を残したあとで、無理なく出せる額を見てください。
- 家賃や住宅ローン
- 家族の食費、水道光熱費、医療費
- 子どもの教育費
- 自分たち夫婦の税金・社会保険料
- 借入れの返済
- 急な病気や失業に備える資金
- 自分たちの老後へ残す資金
親へ出せる金額は、残った全額ではありません。
自分の家で急な出費があっても、借入れずに済む余裕を残した金額です。
| 援助の決め方 | 例 |
|---|---|
| 上限を決める | 月3万円を超えては出さない |
| 期間を決める | 3か月だけ立て替え、その間に制度と契約を見直す |
| 対象を決める | 施設の基本料金だけを援助し、任意サービスは親の範囲で選ぶ |
| 臨時費を決める | 入院や家電故障は、支払う前に家族で協議する |
| 再検討日を決める | 介護認定の更新時や3か月後に見直す |
「払える限り払う」という決め方では、終わりがありません。
月額、期間、対象の三つを決めることで、援助を介護計画の一部として扱えるようになります。
高額介護サービス費は、施設の請求すべてが上限になる制度ではありません
介護保険サービスの1割、2割または3割の利用者負担が、同じ月に所得区分ごとの上限額を超えた場合、超過分が高額介護サービス費として支給される制度があります。
ただし、施設の食費・居住費、日常生活費、介護保険の対象外サービス、福祉用具購入費や住宅改修費などは、通常この計算に含まれません。
そのため、施設代が月15万円だからといって、請求全体が一定額まで下がるとは限りません。
まず請求書のうち、高額介護サービス費の対象になる「介護保険サービスの自己負担分」がいくらかを分けます。
市区町村によっては、対象者へ申請書を送る仕組みや、一度申請すれば次回以降は自動的に支給する仕組みがあります。運用や申請期限は自治体により異なるため、親の介護保険証を発行している市区町村へ次のように聞きます。
「親の介護サービス自己負担が毎月高額です。高額介護サービス費の対象になっていますか。申請済みか、未申請の期間がないか確認したいです」
施設の食費・部屋代には、別の負担軽減が使える場合があります
介護保険施設やショートステイを利用する低所得の方には、所得や預貯金などの要件を満たすと、食費・居住費の負担を軽減する「負担限度額認定」があります。
対象となる施設や資産要件があり、民間の有料老人ホームなど、すべての住まいに使える制度ではありません。原則として市区町村への申請が必要です。
施設へは、
「この施設は負担限度額認定の対象ですか。認定を受けた場合、食費と居住費はいくらになりますか」
と確認します。
市区町村には、
「親は施設費を年金だけで払えず、子どもが不足分を出しています。負担限度額認定の対象になるか、必要書類を教えてください」
と伝えます。
過去に対象外だった人でも、世帯や所得、資産の状況が変わっていることがあります。以前だめだったからと決めず、現在の条件で確認してください。
医療費と介護費が両方高いなら、一年分を合わせる制度も見ます
親が介護サービスだけでなく、通院や入院も続けている場合は、医療費と介護費を別々に見ない方がよいことがあります。
高額医療・高額介護合算療養費制度では、同じ医療保険上の世帯について、毎年8月から翌年7月までの医療保険と介護保険の対象となる自己負担を合算し、所得区分ごとの限度額を超えた場合に、超過分が支給されます。食費、居住費や保険対象外の費用などは含まれません。
医療と介護で窓口が異なることもあるため、親が加入する医療保険の窓口へ、
「介護費と医療費の両方が毎年高額です。高額医療・高額介護合算療養費の申請対象か確認したいです」
と尋ねます。
自治体や事業者独自の軽減は、ケアマネにも聞いてみます
国の制度以外に、市区町村独自の助成や、対象となる社会福祉法人が行う利用者負担の軽減が設けられている地域があります。
すべての自治体や事業者で利用できるわけではなく、所得・資産などの条件も異なります。
制度名を知らなくても、次のように聞けば構いません。
- 市区町村:「低所得の高齢者が使える、介護サービスの独自助成はありますか」
- 施設:「社会福祉法人による利用者負担軽減を実施していますか」
- ケアマネジャー:「この地域で申請できる介護費の軽減制度を一緒に確認してもらえますか」
申請は親本人の所得や世帯状況を基に判定されることが多いため、子どもが払っている事実だけで対象になるとは限りません。
それでも、使える制度を確認しないまま毎月不足分を補うより、負担を下げられる可能性があります。
在宅介護では、サービスを減らす前に組み合わせを見直します
在宅介護で費用が高い場合、デイサービスを一日減らす、訪問介護をやめる、と考えやすいものです。
しかし、必要なサービスを急に減らすと、家族の介護時間が増え、仕事を休む日や交通費が増えることがあります。
| 費用が増えている部分 | ケアマネジャーへ聞くこと |
|---|---|
| 介護保険の支給限度額を超えている | どのサービスが超過分になっているか |
| 保険外の訪問サービスが多い | 介護保険内のサービスや地域支援へ置き換えられないか |
| 通所回数が多い | 安全と家族負担を保ったまま、利用時間や事業所を調整できるか |
| おむつ・配食・移動費が高い | 自治体の給付、助成、配食支援がないか |
| 家族の付き添いが多い | 通院介助、訪問診療、送迎を含む代替手段がないか |
| 親の状態が以前より重くなった | 現在の要介護度やケアプランが状態に合っているか |
ケアマネジャーには、遠慮せず家計の限界を金額で伝えます。
「現在は親の年金を超える月5万円を私が払っています。来月から出せるのは月2万円までです。親の安全を保ちながら、保険外費用とサービスの組み方を見直したいです」
「少し高いです」と伝えるより、現在の不足額と出せる上限が分かる方が、具体的な検討につながります。
施設介護では、退去を決める前に契約の中身を一つずつ見ます
施設費が高いからといって、すぐ転居を決めるのは不安でしょう。
親が環境に慣れている、認知症があり変化に弱い、空きのある施設が見つからない、といった事情もあります。
まず、現在の施設の契約と明細を見ます。
- 月額の基本料金
- 介護保険サービスの自己負担
- 家賃・居住費
- 食費
- 管理費
- 水道光熱費
- おむつ・日用品
- 医療連携費や通院費
- 任意の生活支援・行事・理美容
- 入居一時金や退去時の精算条件
部屋の種類を変えられないか、任意サービスを外せないか、施設内でより負担の少ない契約へ変更できないかを聞きます。
転居を検討する場合は、月額だけでなく、次の費用も比較してください。
| 比較するもの | 見落としやすい点 |
|---|---|
| 新しい施設の月額 | 管理費、医療、日用品を含む総額 |
| 入居時費用 | 敷金、一時金、家具・衣類の準備 |
| 転居費用 | 運送、移動、付き添い、元施設の精算 |
| 家族の負担 | 面会の交通費、通院付き添いの回数 |
| 親への影響 | 環境変化による心身への負担 |
転居が必ず安くなるわけではありません。
施設の相談員、ケアマネジャー、地域包括支援センターに、現在の月額と親の収入を伝え、候補を具体的に比べます。
兄弟には「手伝って」ではなく、金額と役割を分けて伝えます
兄弟へ「私ばかり負担している」と伝えても、相手が何をすればよいか分からず、話が止まることがあります。
まず、直近3か月の支出を共有します。
| 分担するもの | 例 |
|---|---|
| 毎月の金銭負担 | 不足額6万円を、収入や家庭事情に応じて分ける |
| 臨時費用 | 入院、家電、衣類などは事前に協議する |
| 通院・面会 | 月ごと、曜日ごとに担当を決める |
| 事務手続き | 長男は介護保険、次女は医療費、長女は施設連絡を担当する |
| 親の家の管理 | 郵便、税金、修繕、片づけを分ける |
| 記録 | 領収書と支払内容を共有表へ入れる |
兄弟の収入や子育て状況が違えば、全員が同額でなくても構いません。
お金を多く出せない人が、通院、申請、施設との連絡を多く担当する方法もあります。
会話は次のように始められます。
「この3か月、親の介護関係で月平均8万円を私が出しています。私の家計では続けられないので、来月から私が出せるのは月3万円までです。残りの費用と手続きをどう分けるか、請求書を見ながら決めたいです」
払ってくれるまで我慢するのではなく、自分が出せる上限を先に示すことが必要です。
兄弟が協力しなくても、自分一人で全額を背負うと決めなくていい
何度頼んでも返事がない。遠方だから無理と言われる。親との関係が悪く、かかわりたくないと言われる。
兄弟の協力を得られない場合もあります。
そのとき、足りない分をすべて自分が埋めるのではなく、現在の支払い能力に合わせて介護計画を見直します。
- 自分が出せる上限を書面やメッセージで伝える
- 施設・ケアマネジャーに、家族援助の減額時期を伝える
- 公的な軽減制度の申請状況を調べる
- 親の収入と資産から払える範囲を出す
- 地域包括支援センターを交えて家族会議を依頼する
- 契約上、自分が保証人等になっている場合は内容を確認する
施設の契約で、子どもが連帯保証人や身元引受人などになっている場合は、名称だけでなく、契約書に書かれた支払い責任の範囲を見てください。
契約上の責任がある場合、一方的に振込を止めると問題になる可能性があります。施設へ支払えない見込みを早めに伝え、契約書の内容に疑問があれば、自治体の法律相談や法テラスなどで個別に確かめます。
親が「子どもが払うのは当たり前」と言うときも、限界は伝えてよい
親から、
「育ててやったのだから」
「ほかの家は子どもが出している」
「貯金は自分のために残しておきたい」
と言われることもあります。
親の不安を否定する必要はありませんが、子どもの家計が壊れる金額を払い続ける約束もできません。
| 言いにくいこと | 伝え方の例 |
|---|---|
| もう全額は払えない | 「親を放っておくつもりはないけれど、来月から私が出せるのは月2万円までです」 |
| 親の預金を確認したい | 「援助額を決めるため、年金と貯金で何年払えるか一緒に見たいです」 |
| 追加サービスを減らしたい | 「生活に必要なサービスは残して、希望で付けている費用を一度見直したいです」 |
| 兄弟にも共有したい | 「私一人では決められないので、請求額を兄弟にも見せます」 |
| 施設変更も検討したい | 「すぐ移ると決めるのではなく、今の費用とほかの選択肢を比べたいです」 |
「もう一円も出さない」と感情のまま伝えるより、出せる上限と、代わりに進める手続きを一緒に伝えると、介護を続ける話として受け取られやすくなります。
地域包括支援センターには、親の相談だけでなく子どもの家計も話します
地域包括支援センターは、高齢者の介護、保健、福祉、権利擁護などを扱う市区町村の総合相談窓口です。家族介護者への支援も役割に含まれています。
「親の介護の相談だから、自分のお金の話は場違い」と思わなくて構いません。
次のように具体的に伝えます。
「親の介護費として、年金で足りない月5万円を私が1年以上払っています。自分の生活費も不足し始め、来月からは同じ金額を出せません。親が使える軽減制度、ケアプラン、施設費、家族の分担を一緒に見直したいです」
持っていける範囲で、次の資料を用意します。
- 介護保険被保険者証と負担割合証
- 施設・介護事業所の請求書
- 親の年金額が分かるもの
- 親の預貯金のおおよその額
- 医療費の明細
- 子どもが立て替えた金額の一覧
- 現在のケアプラン
- 施設の契約書
資料が全部そろわなくても、相談は始められます。
親の収入・資産と制度を使っても足りない場合は、福祉事務所へつなぎます
親の年金が少なく、預貯金もほとんどない。軽減制度を使っても施設費や生活費を払えない。
この状態で、子どもが自分の生活を維持できないほど援助し続ける必要があるとは決めつけないでください。
生活保護制度では、収入や資産などを活用しても最低生活費に満たない場合、差額が保護費として支給されます。必要に応じて、生活扶助、医療扶助、介護扶助などが生活状況に応じて検討されます。親族からの援助も収入の一つとして扱われますが、実際に継続できない援助額を無理に約束するのではなく、現在の状況をそのまま伝えます。
親の住民票がある地域の福祉事務所へ、
「親の年金と資産では介護・生活費が足りず、これまで子どもが補ってきましたが、今後は継続できません。利用できる制度と申請について相談したいです」
と連絡します。
生活保護の利用が決まるとは限りませんが、子どもの援助を無限に続けることを前提にせず、親本人の生活を支える制度を検討する入口になります。
カードや借入れで介護費を払っているなら、援助の限界を超えています
自分の給料だけでは足りず、カードの分割払いやキャッシングで親の施設費を出している。
ボーナスで返すつもりだったのに、次の請求が来て残高が減らない。
この状態は、「もう少し節約すれば払える」という段階ではありません。
まず、新しい借入れで今月分を埋める前に、次の数字を出します。
| 自分の家計 | 確認すること |
|---|---|
| 毎月の手取り | 給与、配偶者収入、手当 |
| 自分の生活に必要な額 | 住居、食費、教育、医療、光熱費 |
| 親へ払っている額 | 定期援助と臨時立替えを分ける |
| 借入残高 | カード、リボ、ローンの残高と手数料 |
| 毎月の不足 | 親への援助を続けた場合の赤字額 |
その数字を地域包括支援センターと、自分が住む自治体の家計・生活相談窓口の両方へ持っていきます。
親の介護計画を見直すことと、自分の借入れを増やさないことを同時に進めてください。
今日することは、次の請求書をそのまま払うことではありません
親の介護費は、今日一日で解決できる問題ではありません。
それでも、支払いを続けるしかない状態から抜ける一歩は取れます。
今日、紙に次の五つを書いてください。
- 親の介護関係に毎月払っている総額
- 親の年金から出ている金額
- 自分が補っている金額
- 自分が今後も無理なく出せる上限
- その上限へ変更する月
たとえば、
- 介護関係の支出:月14万円
- 親の年金から:月9万円
- 自分の負担:月5万円
- 今後出せる上限:月2万円
- 変更時期:翌々月から
ここまで書けたら、ケアマネジャーか地域包括支援センターへ電話します。
「これまでは月5万円補っていましたが、今後は月2万円までしか出せません。制度、施設費、サービス内容を含め、3万円分をどう減らせるか相談したいです」
親の介護を続けることと、子どもが自分の生活を失うことは同じではありません。
親の年金や資産を使う。対象になる軽減制度を申請する。追加費用を外す。兄弟でお金と作業を分ける。それでも足りなければ、親の地域の福祉制度へつなぐ。
自分だけが黙って不足分を埋める形をやめることは、親を見放すことではありません。
介護を来月も、その先も続けられる形へ組み直すことです。次の請求書を払う前に、まず内訳と自分の上限を一枚に書くところから始めてください。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」・介護サービス情報公表システム:介護保険サービスの利用者負担、施設利用時の食費・居住費などの確認先。
- 市区町村の介護保険窓口:高額介護サービス費、負担限度額認定、自治体独自助成の対象条件と申請状況の確認先。
- 厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度」:医療と介護の年間自己負担を合算する制度の確認先。
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」:地域包括支援センターと家族介護者支援の確認先。
- 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」:判断能力が低下した親の財産管理や介護契約を支援する制度の確認先。
- 厚生労働省「生活保護制度」:収入・資産だけでは生活や介護を維持できない場合の相談・申請に関する確認先。


















