家賃の支払日が近づくほど、何も見たくなくなることがあります
給料日までまだ日があるのに、口座残高が足りない。
家賃の引き落とし日が近い。管理会社からのメールを見るのが怖い。食費や電気代、スマホ代、カードの返済もあり、どれを先に払えばいいのか分からない。
「今月だけ遅れそう」
「一度滞納したら、すぐ退去になるのだろうか」
「大家さんや管理会社に連絡したら怒られそう」
「家族に知られたくない」
「借りてでも払った方がいいのか」
家賃は、生活の土台に関わる支払いです。だからこそ、払えないかもしれないと思った瞬間から、気持ちが一気に追い詰められます。
ただ、家賃を滞納しそうなときに一番避けたいのは、連絡せずに期限を過ぎてしまうことです。
責められるのが怖くても、支払い予定や不足額を伝えた方が、相談の余地が残ることがあります。さらに、収入減や離職などで住まいを失うおそれがある場合は、自治体の生活困窮窓口や住居確保給付金の対象になる可能性もあります。
最初にするのは、支払えない理由を説明することではなく、数字を出すことです
家賃を払えないかもしれないとき、まず考えてしまうのは「どう説明しよう」ということかもしれません。
けれど、大家さんや管理会社、自治体窓口に話す前に必要なのは、長い事情説明ではなく、金額と期限です。
| 確認すること | 具体的に見るもの | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 今月の家賃額 | 家賃、共益費、管理費、駐車場代など | いくら足りないのかを出すため |
| 支払い期限 | 契約書、請求書、管理会社の案内、引き落とし日 | いつまでに連絡すべきか判断するため |
| 今払える金額 | 口座残高、手元の現金、近く入る収入 | 一部でも払えるか、全額遅れるのかを伝えるため |
| 払える見込み日 | 給料日、年金日、手当、入金予定 | 「いつなら払えるか」を話す材料になるため |
| 滞納の回数 | 初めてか、以前にも遅れたことがあるか | 対応の緊急度が変わるため |
| 他の支払い | 食費、公共料金、医療費、借金返済、税金 | 家賃だけでなく生活全体の相談が必要か見るため |
たとえば、家賃7万円のうち今月3万円足りないのか、全額払えないのかで、次に動く内容は変わります。
来週の給料で払えるのか、来月以降も足りないのかでも、相談先は変わります。
家賃の不安は、頭の中だけで考えるほど大きくなります。まずは紙やスマホのメモに、「家賃」「足りない額」「払える予定日」を書いてください。
滞納前なら、大家さんや管理会社へ早めに連絡します
家賃の支払いが遅れそうなとき、連絡するのは気が重いものです。
「怒られるかもしれない」
「退去を言われるかもしれない」
「信用を失うかもしれない」
そう思うと、支払日を過ぎるまで黙ってしまうことがあります。
でも、連絡がないまま遅れると、相手から見ると「払う意思があるのか分からない」状態になります。滞納前、または遅れると分かった時点で連絡する方が、話し合いの入口を作りやすくなります。
| 状況 | 連絡で伝えること | 言い方の例 |
|---|---|---|
| 数日遅れそう | 支払い予定日と理由 | 「今月の家賃が〇日まで遅れる見込みです。〇日に全額支払う予定です」 |
| 一部しか払えない | 今払える金額、残りを払う予定 | 「〇円は先に支払えます。残りは〇日に支払える見込みです」 |
| 今月だけでなく来月も不安 | 収入減や生活状況、相談中であること | 「収入が減り、来月以降も不安があります。自治体にも相談しながら支払い方法を相談したいです」 |
| すでに督促が来ている | 督促内容、期限、払える見込み | 「督促を受け取っています。期限までに全額が難しく、支払い方法を相談したいです」 |
連絡は、できれば記録が残る方法も使います。
電話で話した場合でも、あとでメールや書面で「本日お電話した件ですが」と支払い予定を残しておくと、自分でも状況を追いやすくなります。
ただし、支払い予定日を伝えたら必ず守る必要があります。守れない見込みなら、無理な約束をせず、自治体などにも相談しながら現実的な予定を伝えましょう。
家賃だけでなく生活費も足りないなら、自治体の生活困窮窓口へつなげます
家賃の滞納が一度だけで、すぐ払える見込みがある場合は、大家さんや管理会社との相談で進むこともあります。
しかし、食費、公共料金、スマホ代、医療費、借金返済も苦しい場合は、家賃だけの問題ではありません。
厚生労働省は、生活に困りごとや不安がある人に対して、地域の相談窓口で支援員が相談を受け、支援プランを一緒に考える生活困窮者自立支援制度を案内しています。家賃を払えない、住むところがない、仕事が見つからないといった困りごとも対象例として示されています。
| 困っている状態 | 相談先の例 | 話せる内容 |
|---|---|---|
| 家賃を払うと食費が残らない | 生活困窮者自立相談支援機関 | 家計全体、支援制度、仕事や住まいの相談 |
| 収入が減って家賃が払えない | 自治体の生活困窮窓口 | 住居確保給付金、就労支援、家計改善支援 |
| 公共料金も滞納している | 自治体、社会福祉協議会、各事業者 | 支払い相談、生活支援、必要な窓口へのつなぎ |
| 借金返済で家賃が払えない | 生活困窮窓口、法テラス、多重債務相談 | 生活費と返済を同時に整理する相談 |
| 退去を言われそうで怖い | 自治体、法テラス、弁護士 | 住まいの確保、契約や退去に関する法律相談 |
自治体の窓口では、制度名を正確に言えなくても大丈夫です。
「家賃が払えそうにありません」
「生活費と家賃が足りません」
「どの窓口に行けばいいか分かりません」
この言い方で相談を始められます。
住居確保給付金は、対象になるか早めに確認します
家賃が払えないときに名前を知っておきたい制度の一つが、住居確保給付金です。
厚生労働省は、離職などにより住居を失った方、または住居を失うおそれが高い方に、就職に向けた活動をすることなどを条件に、一定期間、家賃相当額を支給すると説明しています。一定の資産・収入などの要件を満たす方が対象です。
ただし、住居確保給付金は「家賃が払えない人なら誰でもすぐ使える制度」ではありません。
収入、資産、離職や収入減の状況、就職活動などの要件が関係します。自治体によって必要書類や案内の流れも異なるため、早めに住んでいる地域の相談窓口へ確認してください。
| 確認すること | 用意したいもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 収入の状況 | 給与明細、年金通知、手当、通帳 | 世帯全体の収入を確認されることがあります |
| 資産の状況 | 預貯金残高、通帳 | 一定の資産要件があります |
| 住まいの契約 | 賃貸借契約書、家賃額、管理会社の情報 | 家賃額や契約者名を確認されます |
| 収入減や離職の事情 | 離職票、シフト減、休業、病気、介護などのメモ | 理由をうまく話せなくても、事実を時系列で書けば大丈夫です |
| 支払い状況 | 滞納の有無、督促状、支払い予定 | すでに滞納している場合も、隠さず伝えます |
住居確保給付金の対象外だったとしても、そこで終わりではありません。
生活困窮窓口では、家計改善支援、就労支援、ほかの制度や相談先へのつなぎを一緒に考えてもらえる場合があります。
督促状や退去の話が出ているときは、法律相談も同時に考えます
家賃を滞納すると、督促状、保証会社からの連絡、内容証明、契約解除の通知、退去に関する書類などが届くことがあります。
封筒を見るだけで怖くなり、開けずに置いてしまう方もいます。
でも、住まいに関わる書類は、放置するほど対応が難しくなることがあります。
| 届いているもの・起きていること | まず見る場所 | 相談先の例 |
|---|---|---|
| 管理会社からの督促 | 滞納額、支払い期限、連絡先 | 管理会社、自治体の生活困窮窓口 |
| 保証会社からの連絡 | 代位弁済、請求額、今後の支払い先 | 保証会社、生活相談、法律相談 |
| 契約解除の通知 | 解除予定日、滞納額、求められている対応 | 法テラス、弁護士、自治体 |
| 退去を求められている | 退去日、書面の内容、口頭か書面か | 法テラス、弁護士、住まいの相談窓口 |
| 裁判所から書類が届いた | 期日、提出期限、裁判所名 | すぐに法テラスや弁護士へ |
法テラスには、住まい・近隣トラブルに関する相談案内があり、家賃滞納や退去に関係する法的な問題は、状況によって法律相談が必要になることがあります。
「退去と言われたから、もう出るしかない」と一人で決めないでください。
書類の内容、滞納期間、支払い状況、契約内容によって、できる対応は変わります。怖くても封筒は開け、書類ごと相談先へ持っていきましょう。
借金で家賃を払う前に、来月の家賃も見ます
家賃の支払いが迫ると、カードローン、キャッシング、リボ払い、知人からの借入で一時的に払おうと考えることがあります。
今月だけなら、それで住まいを守れるように見えるかもしれません。
ただ、来月も収入が足りないなら、借りた分の返済が増え、家賃がさらに払えなくなる可能性があります。
| 考えている対応 | 起きやすいこと | 先にすること |
|---|---|---|
| カードローンで家賃を払う | 来月から返済が増え、生活費がさらに不足する | 生活困窮窓口で家賃と生活費を同時に相談する |
| リボ払いで生活費を回す | 手数料と残高が増え、長期化しやすい | 借金一覧を作り、多重債務相談も検討する |
| 知人に借りる | 返せないと人間関係が壊れることがある | 公的窓口や管理会社への相談を先にする |
| 他の支払いを全部止める | 公共料金や税金、医療費の問題が後から出る | 支払いの優先順位を窓口で一緒に見る |
| 給料日まで黙って待つ | 連絡がないことで相手の不信感が強くなる | 支払い見込み日を早めに伝える |
借りることが絶対に悪いわけではありません。
しかし、家賃を払うために毎月借りているなら、すでに家計の中で住まいの費用が支えきれなくなっているサインです。
その場合は、家賃だけでなく、収入、借金、固定費、食費、公共料金を一緒に相談する必要があります。
家族が代わりに調べている場合は、本人を責める前に期限を見ます
この記事を、家賃を滞納しそうな本人ではなく、家族が読んでいる場合もあると思います。
親、子ども、きょうだい、配偶者が家賃を払えていない。本人は「大丈夫」と言うけれど、督促状が届いている。通帳や契約書を見せたがらない。
家族としては、焦りや怒りが出るのも当然です。
でも、最初に責めると、本人は書類を隠したり、相談を拒んだりすることがあります。
| 家族が気づいたこと | 最初にすること | 言い方の例 |
|---|---|---|
| 家賃の督促状がある | 封筒を開け、期限と金額を見る | 「怒るためではなく、期限を確認したい」 |
| 本人が払えていないと認めない | 通帳、請求書、契約書を一緒に見る | 「今月いくら足りないのか一緒に見たい」 |
| 借金もありそう | 返済額と家賃を同じ紙に書く | 「家賃だけでなく、返済も一緒に相談しよう」 |
| 高齢の親の滞納が心配 | 判断力、認知機能、見守りも考える | 「生活の支払いが大変になっているなら、地域包括にも聞いてみよう」 |
| 家族が肩代わりしようとしている | 一度払う前に、来月以降も払えるか見る | 「今月だけ払って終わる話か、先に確認したい」 |
家族が家賃を肩代わりする前には、慎重に考えてください。
一度払っても、収入不足や借金、家計管理の問題が残っていれば、翌月また同じことが起きるかもしれません。
本人を責めるより、期限、滞納額、相談先を一緒に見る方が、住まいを守る行動につながります。
相談に行く前の持ち物は、完璧でなくて大丈夫です
自治体や法テラスへ相談したいと思っても、「何を持って行けばいいのか分からない」と止まってしまうことがあります。
家計簿がなくても、書類が全部そろっていなくても、相談は始められます。
| 持っていくもの | 具体例 | ない場合 |
|---|---|---|
| 賃貸借契約書 | 家賃額、契約者、管理会社、保証会社が分かる書類 | 請求書や管理会社のメールでもよい |
| 家賃の請求・督促 | 督促状、メール、SMS、保証会社からの通知 | スマホ画面を見せられるようにする |
| 収入が分かるもの | 給与明細、年金通知、通帳、手当の通知 | 手取り額をメモするだけでもよい |
| 支出のメモ | 食費、公共料金、通信費、医療費、借金返済 | 正確でなくても、だいたいでよい |
| 本人確認書類 | マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など | 窓口に事前確認する |
| いちばん困っていることのメモ | 「家賃が払えない」「退去が怖い」「借金もある」 | 一文だけでよい |
相談でうまく話せないときは、最初にこう言ってください。
「家賃を滞納しそうで、何から相談すればよいか分かりません」
「生活費と家賃が足りません」
「退去を言われるのが怖いです」
この一言で、窓口の人は状況を聞き取りやすくなります。
住まいを失いそうなときは、居住支援の窓口も確認します
家賃滞納が進んでいる、すでに退去を求められている、次の住まいが見つからない。そうした場合は、生活困窮窓口や法律相談だけでなく、居住支援の情報も確認したいところです。
国土交通省は、高齢者、低額所得者、障害者など住宅確保要配慮者の居住ニーズが高まる一方で、賃貸人側には孤独死や残置物処理、家賃滞納などへの懸念があるとして、住宅セーフティネット制度を案内しています。
| 困っている状態 | 確認したい窓口 | 相談できること |
|---|---|---|
| 今の家に住み続けたい | 大家・管理会社、自治体、法律相談 | 支払い計画、制度利用、契約上の対応 |
| 退去の可能性がある | 生活困窮窓口、法テラス、居住支援窓口 | 住まいの確保、法律面、生活支援 |
| 次の賃貸が見つからない | 居住支援協議会、自治体、支援団体 | 住宅確保要配慮者向けの相談や情報 |
| 高齢・障害・ひとり親など事情がある | 自治体、福祉窓口、地域包括支援センター | 住まいと生活支援を組み合わせた相談 |
住まいの問題は、家賃だけでなく、福祉、就労、法律、家計がつながります。
「自分の地域にどんな窓口があるか分からない」ときは、自治体の生活困窮相談で、住まいの相談先も一緒に聞いてください。
今日できる一歩は、支払えない理由を考えることではなく、3つの連絡先を決めることです
家賃を滞納しそうなとき、頭の中では何度も言い訳や謝罪の言葉を考えてしまいます。
でも、いま必要なのは、完璧な説明ではありません。
今日やるなら、次の5つだけ書いてください。
- 今月の家賃額
- 足りない金額
- 支払い期限
- 払える見込み日
- 家賃以外に足りない生活費
そのうえで、連絡先を3つ決めます。
- 大家さん・管理会社・保証会社
- 自治体の生活困窮者自立相談支援機関
- 退去や督促が怖い場合の法テラスや法律相談
家賃の滞納は、放っておくほど話しにくくなります。
反対に、早めに「いつ、いくら、どう払えるか」「生活費も足りないので相談している」と伝えれば、次に何をすべきか見えやすくなります。
家賃が払えないことは、あなたの価値を決めるものではありません。
住まいを守るために、まずは数字を出し、連絡を一つする。そこからで大丈夫です。
出典・確認先メモ
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」:生活困窮者自立相談支援、住居確保給付金、家計改善支援などの確認先。
- 国土交通省「住宅セーフティネット制度」:住宅確保要配慮者や居住支援に関する確認先。
- 法テラス「住まい・近隣トラブルに関するよくある相談」:家賃滞納や退去など法律相談が必要な場合の確認先。
- 契約中の大家・管理会社・保証会社:支払い期限、滞納額、支払い方法、今後の対応を確認する一次窓口。
- 住んでいる自治体の生活困窮者自立相談支援機関:住居確保給付金や家計相談、住まいの支援窓口を確認する一次窓口。














